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特開2024-145885レトルトカレー、レトルトカレーの製造方法及びレトルトカレーの風味改善方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145885
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】レトルトカレー、レトルトカレーの製造方法及びレトルトカレーの風味改善方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20241004BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058445
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503414429
【氏名又は名称】サンハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】桜谷 茉佑
(72)【発明者】
【氏名】井野口 定男
(72)【発明者】
【氏名】松島 大祐
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LC02
4B036LE02
4B036LF05
4B036LH15
4B036LH34
4B036LH37
4B036LH38
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP05
4B047LB06
4B047LF04
4B047LF10
4B047LG16
4B047LG43
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さが低減されたレトルトカレーの提供と、上記レトルトカレーの製造方法の提供と、上記不快な味の強さを低減するレトルトカレーの風味改善方法の提供と、を含む。
【解決手段】本開示は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含む、レトルトカレーを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、
コラーゲンペプチドと、を含む、
レトルトカレー。
【請求項2】
牛肉、豚肉及び鶏肉からなる群から選択される少なくとも1つを含む前記畜肉を含む、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項3】
鶏肉を含む前記畜肉を含む、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項4】
魚、海老及び帆立貝からなる群から選択される少なくとも1つを含む前記魚介類を含む、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項5】
前記畜肉及び前記魚介類の総含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、5g~30gの範囲内である、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項6】
タンパク質の含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、2g~20gの範囲内である、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項7】
前記コラーゲンペプチドの含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、1g~10gの範囲内である、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項8】
前記畜肉及び前記魚介類の総質量に対する前記コラーゲンペプチドの総質量の比が、3%~200%の範囲内である、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項9】
コリアンダー及びセロリシードからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のレトルトカレー。
【請求項10】
すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含むカレーを含む密封された容器を準備することと、
前記カレーを殺菌することと、を含む、
レトルトカレーの製造方法。
【請求項11】
すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つを含むレトルトカレーの材料としてコラーゲンペプチドを使用して、前記畜肉及び前記魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さを低減することを含む、
レトルトカレーの風味改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レトルトカレー、レトルトカレーの製造方法及びレトルトカレーの風味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品は保存性といった利点を有しており、レトルト食品に関連する様々な技術が提案されている。例えば、下記特許文献1は、特定の果汁を使用して、特定の畜肉を含むレトルト丼の素のレトルト臭をマスキングする方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-192528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類を使用してレトルトカレーを製造すると、畜肉又は魚介類に由来する不快な味が顕在化することがわかった。
【0005】
本開示の目的は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さが低減されたレトルトカレーの提供と、上記レトルトカレーの製造方法の提供と、上記不快な味の強さを低減するレトルトカレーの風味改善方法の提供と、を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の実施形態を包含する。
<1> すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含む、レトルトカレー。
<2> 牛肉、豚肉及び鶏肉からなる群から選択される少なくとも1つを含む上記畜肉を含む、<1>に記載のレトルトカレー。
<3> 鶏肉を含む上記畜肉を含む、<1>に記載のレトルトカレー。
<4> 魚、海老及び帆立貝からなる群から選択される少なくとも1つを含む上記魚介類を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<5> 上記畜肉及び上記魚介類の総含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、5g~30gの範囲内である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<6> タンパク質の含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、2g~20gの範囲内である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<7> 上記コラーゲンペプチドの含有量が、レトルトカレーの液部の100gを基準として、1g~10gの範囲内である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<8> 上記畜肉及び上記魚介類の総質量に対する上記コラーゲンペプチドの総質量の比が、3%~200%の範囲内である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<9> コリアンダー及びセロリシードからなる群から選択される少なくとも1つを含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載のレトルトカレー。
<10> すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含むカレーを含む密封された容器を準備することと、上記カレーを殺菌することと、を含む、レトルトカレーの製造方法。
<11> すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つを含むレトルトカレーの材料としてコラーゲンペプチドを使用して、上記畜肉及び上記魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さを低減することを含む、レトルトカレーの風味改善方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さが低減されたレトルトカレーを提供する。本開示の一実施形態は、上記レトルトカレーの製造方法を提供する。本開示の一実施形態は、上記不快な味の強さを低減するレトルトカレーの風味改善方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。下記の少なくとも1つの実施形態は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更されてもよい。
【0009】
<レトルトカレー>
レトルトカレーは、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含む。上記実施形態に係るレトルトカレーによれば、コラーゲンペプチドが、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さを低減する。
【0010】
(すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類)
レトルトカレーは、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つを含む。例えば、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類の使用は、レトルトカレーにおけるタンパク質の含有量の増大に寄与できる。レトルトカレーは、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類の両方を含んでもよい。好ましい実施形態において、レトルトカレーは、すり潰された畜肉を含む。
【0011】
畜肉の例は、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、鴨肉及び猪肉を含む。1種類又は2種類以上の畜肉が使用されてもよい。好ましい実施形態において、畜肉は、牛肉、豚肉及び鶏肉からなる群から選択される少なくとも1つを含む。好ましい実施形態において、畜肉は、鶏肉を含む。すり潰された鶏肉は、他の畜肉と比べて、レトルトカレーにおいて不快な味を示しやすいが、コラーゲンペプチドは、すり潰された鶏肉に由来する不快な味の強さを効果的に低減できる。鶏肉は、皮を除いた鶏肉であってもよい。鶏肉の例は、鶏もも肉及び鶏むね肉を含む。好ましい実施形態において、鶏肉は、鶏むね肉を含む。
【0012】
すり潰された畜肉の大きさは、レトルトカレーの目的の風味及びレトルトカレーにおけるタンパク質の含有量を考慮して決定されてもよい。好ましい実施形態において、すり潰された畜肉は、500μm目開きを有する篩を通過する大きさを有する。上記のような大きさを満たす畜肉は、畜肉の好ましい濃厚な風味を提供できる。すり潰された畜肉は、ペーストの形態であってもよい。
【0013】
魚介類の例は、魚、海老及び帆立貝を含む。1種類又は2種類以上の魚介類が使用されてもよい。好ましい実施形態において、魚介類は、魚、海老及び帆立貝からなる群から選択される少なくとも1つを含む。魚は、白身魚が好ましい。
【0014】
すり潰された魚介類の大きさは、レトルトカレーの目的の風味及びレトルトカレーにおけるタンパク質の含有量を考慮して決定されてもよい。好ましい実施形態において、すり潰された魚介類は、500μm目開きを有する篩を通過する大きさを有する。上記のような大きさを満たす魚介類は、魚介類の好ましい濃厚な風味を提供できる。すり潰された魚介類は、ペーストの形態であってもよい。
【0015】
畜肉及び魚介類の総含有量は、レトルトカレーの目的の風味及びレトルトカレーにおけるタンパク質の含有量を考慮して決定されてもよい。好ましい実施形態において、畜肉及び魚介類の総含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、5g~30gの範囲内である。畜肉及び魚介類の総含有量を5g以上に設定することは、レトルトカレーにおけるタンパク質の含有量を増大できる。畜肉及び魚介類の総含有量の下限は、好ましくは7g、より好ましくは10gである。畜肉及び魚介類の総含有量を30g以下に設定することは、レトルトカレーとしての食味を保つことができる。畜肉及び魚介類の総含有量の上限は、好ましくは25g、より好ましくは20gである。レトルトカレーが畜肉を含まない場合、「畜肉及び魚介類の総含有量」という用語は、魚介類の含有量を指す。レトルトカレーが魚介類を含まない場合、「畜肉及び魚介類の総含有量」という用語は、畜肉の含有量を指す。本開示において「カレーの液部」という用語は、500μmの目開きを有する篩を通過する、カレーの可食部を意味する。例えば、500μmの目開きを有する篩を通過しない固形具材は、カレーの液部に含まれない。
【0016】
(コラーゲンペプチド)
レトルトカレーは、コラーゲンペプチドを含む。コラーゲンペプチドは、レトルトカレーにおいてすり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さを低減する。
【0017】
コラーゲンペプチドの材料又は起源は制限されない。コラーゲンペプチドは、家畜又は魚に由来するコラーゲンペプチドであってもよい。家畜の例は、牛、豚及び鶏を含む。魚の例は、タラ及びテラピアを含む。好ましい実施形態において、コラーゲンペプチドは、豚又は魚に由来するコラーゲンペプチドである。好ましい実施形態において、コラーゲンペプチドは、豚の皮又は魚の皮に由来するコラーゲンペプチドである。コラーゲンペプチドは、市販品であってもよい。コラーゲンペプチドは、公知のコラーゲンペプチドの製造方法に基づいて製造されてもよい。例えば、コラーゲンペプチドは、家畜又は魚から得られたコラーゲンを酵素によって分解することによって得られる。
【0018】
コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、好ましくは4000~6000の範囲内である。コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、日本ゼラチンコラーゲン工業組合推奨法であるGMJ法によって測定される。
【0019】
好ましい実施形態において、コラーゲンペプチドの含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、1g以上である。コラーゲンペプチドの含有量を1g以上に設定することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。コラーゲンペプチドの含有量の下限は、2g、3g、4g、5g又は6gであってもよい。コラーゲンペプチドの含有量の上限は、10g、9g、8g又は7gであってもよい。例えば、コラーゲンペプチドの含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、1g~10gの範囲内であってもよい。
【0020】
好ましい実施形態において、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類の総質量に対するコラーゲンペプチドの総質量の比は、3%~200%の範囲内である。上記比を3%~200%の範囲内に設定することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。上記比の下限は、4%、5%、10%又は15%であってもよい。上記比の上限は、100%、67%又は50%であってもよい。
【0021】
(コリアンダー及びセロリシード)
好ましい実施形態において、レトルトカレーは、コリアンダー及びセロリシードからなる群から選択される少なくとも1つを含む。コラーゲンペプチドに加えてコリアンダー又はセロリシードを使用することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。レトルトカレーは、コリアンダー又はセロリシードを更に含んでもよい。レトルトカレーは、コリアンダー及びセロリシードを含んでもよい。
【0022】
好ましい実施形態において、コリアンダーは、焙煎されたコリアンダーである。焙煎されていないコリアンダーと比べて、焙煎されたコリアンダーは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。
【0023】
コリアンダーの含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、好ましくは0.01g~1g、より好ましくは0.02g~0.5g、更に好ましくは0.03g~0.1gの範囲内である。コリアンダーの含有量を上記範囲内に設定することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。
【0024】
セロリシードの含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、好ましくは0.003g~1g、より好ましくは0.01g~0.5g、更に好ましくは0.02g~0.1gの範囲内である。セロリシードの含有量を上記範囲内に設定することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。
【0025】
(タンパク質)
レトルトカレーにおいて、タンパク質の含有量は、レトルトカレーの液部の100gを基準として、好ましくは2g~20g、より好ましくは3g~18g、更に好ましくは5g~15gの範囲内である。タンパク質の起源は制限されない。タンパク質の含有量は、窒素定量換算法によって測定される。窒素定量換算法によれば、試料中のタンパク質の量は、試料中の窒素の量に特定の係数を乗じることによって得られる。窒素定量換算法に基づく具体的な分析法は、好ましくはケルダール法又は燃焼法である。窒素定量換算法の詳細は、日本国の食品表示法に基づく食品表示基準及び上記食品表示基準に関連する通知に記載されている。
【0026】
(他の材料及び成分)
レトルトカレーは、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、他の材料を更に含んでもよい。他の材料は、一般的なレトルトカレーに使用される材料から選択されてもよい。他の材料の例は、具材、調味料、油脂、増粘剤、乳化剤、乳製品、香料及び水を含む。具材の例は、野菜、果実、豆、きのこ、畜肉(既述のすり潰された畜肉を除く)、魚介類(既述のすり潰された魚介類を除く)及びチーズを含む。調味料の例は、塩(例えば、塩化ナトリウム)、糖類(例えば、砂糖)、醤油及びソースを含む。
【0027】
(レトルトカレーの製造方法他の材料及び成分)
目的のレトルトカレーが得られる限り、レトルトカレーの製造方法は制限されない。例えば、レトルトカレーの製造方法は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、を含むカレーを含む密封された容器を準備することと、上記カレーを殺菌することと、を含む。
【0028】
すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドとを使用すること以外は、カレーは、公知のカレーの製造方法に基づいて製造されてもよい。例えば、カレーは、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドと、カレーベースと、水とを混ぜることによって製造される。例えば、カレーベースは、固形のカレールウと、水とを混ぜることによって製造される。
【0029】
すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類を得る方法は制限されない。すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類を得るための装置の例は、摩砕機を含む。摩砕機の市販品の例は、コミトロールプロセッサ(Urschel Laboratories, Inc.)を含む。レトルトカレーの材料としてセロリシードを使用する場合、セロリシードを畜肉又は魚介類と一緒にすり潰すことが好ましい。セロリシードを畜肉又は魚介類と一緒にすり潰すと、畜肉又は魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。
【0030】
目的のレトルトカレーが得られる限り、カレーを密封する容器の種類は制限されない。容器は、公知のレトルトパウチから選択されてもよい。
【0031】
目的のレトルトカレーが得られる限り、カレーを殺菌する方法及び条件は制限されず、公知の方法及び条件が適用できる。
【0032】
<レトルトカレーの風味改善方法>
本開示は、レトルトカレーの風味改善方法を更に提供する。レトルトカレーの風味改善方法は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つを含むレトルトカレーの材料としてコラーゲンペプチドを使用して、上記畜肉及び上記魚介類からなる群から選択される少なくとも1つに由来する不快な味の強さを低減することを含む。例えば、コラーゲンペプチドの使用は、すり潰された畜肉及びすり潰された魚介類からなる群から選択される少なくとも1つと、コラーゲンペプチドとを混ぜることを含む。畜肉、魚介類及びコラーゲンペプチドの各実施形態は既述のとおりである。コラーゲンペプチドに加えて、コリアンダー及びセロリシードからなる群から選択される少なくとも1つを使用することも好ましい。既述のとおり、コラーゲンペプチドに加えてコリアンダー又はセロリシードを使用することは、すり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを更に低減できる。
【実施例0033】
以下、実施例に基づいて本開示を説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に制限されない。下記の技術的事項は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更されてもよい。
【0034】
<レトルトカレーの製造>
表1及び表2に記載された配合に従って材料を攪拌しながら95℃まで加熱し、次に95℃を保ったまま5分間加熱した。得られた混合物の質量に基づき、混合物に温水を加えることで、蒸発によって失われた水を補い、カレーを得た。100gのカレーをレトルトパウチに入れ、次にレトルトパウチを密封した。レトルトパウチをレトルト殺菌機に入れて、120℃で20分間、レトルトパウチ内のカレーを殺菌した。殺菌後、レトルトパウチを室温で一晩静置した。静置後、後述の官能試験を実施した。
【0035】
<官能試験>
レトルトパウチを、沸騰している水の中で5分間加熱した後、5人の評価者によって官能試験を実施した。具体的に、5人の評価者が、協議しながら以下の基準に従って評価を収束させた。その評価結果を、表1及び表2に示す。
【0036】
(畜肉又は魚介類の不快な味の弱さ)
5:畜肉又は魚介類の不快な味がない。
4:畜肉又は魚介類の不快な味が非常に弱い。
3:畜肉又は魚介類の不快な味が弱い。
2:畜肉又は魚介類の不快な味がやや弱い。
1:畜肉又は魚介類の不快な味が強い。
【0037】
(畜肉又は魚介類の風味の濃厚さ)
5:畜肉又は魚介類の好ましい風味が非常に濃厚である。
4:畜肉又は魚介類の好ましい風味が濃厚である。
3:畜肉又は魚介類の好ましい風味がある。
2:畜肉又は魚介類の好ましい風味はあるが、やや物足りない。
1:畜肉又は魚介類の好ましい風味が弱い。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
カレーベースの製造方法は次のとおりである。固形のカレールウ及び水を34:66の質量比で混ぜた。カレールウ及び水を攪拌しながら95℃まで加熱した。得られた混合物の質量に基づき、混合物に温水を加えることで、蒸発によって失われた水を補った。上記方法によって得られたカレーベースは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0041】
角切りの鶏肉の製造方法は次のとおりである。皮を除いた鶏むね肉を準備した。鶏むね肉を12mmの大きさに角切りにし、角切りの鶏むね肉及び水を32:41の質量比で混ぜた。角切りの鶏むね肉及び水を95℃まで加熱し、次に95℃で5分間維持した。得られた混合物の質量に基づき、混合物に温水を加えることで、蒸発によって失われた水を補った。上記方法によって得られた角切りの鶏肉は、500μmの目開きを有する篩を通過しない。
【0042】
鶏挽肉の製造方法は次のとおりである。皮を除いた鶏むね肉を準備した。鶏むね肉を適当な大きさに切って、次にミンサー(肉ひき機)を用いて鶏挽肉に加工した。ミンサーは、3mmの孔径のダイを有する。鶏挽肉及び水を32:41の質量比で混ぜた。鶏挽肉及び水を攪拌しながら95℃まで加熱し、次に95℃で5分間維持した。得られた混合物の質量に基づき、混合物に温水を加えることで、蒸発によって失われた水を補った。上記方法によって得られた鶏挽肉は、500μmの目開きを有する篩を通過しない。
【0043】
鶏肉ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された畜肉)の製造方法は次のとおりである。皮を除いた鶏むね肉を準備した。鶏むね肉を適当な大きさに切って、次にミンサー(肉ひき機)を用いて鶏挽肉に加工した。ミンサーは、3mmの孔径のダイを有する。鶏挽肉及び水を32:41の質量比で混ぜた。鶏挽肉及び水を攪拌しながら95℃まで加熱し、次に95℃で5分間維持した。得られた混合物の質量に基づき、混合物に温水を加えることで、蒸発によって失われた水を補った。得られた混合物を、コミトロールプロセッサ(モデル1700、Urschel Laboratories, Inc.)を用いて、目的の鶏肉ペーストが500μmの目開きを有する篩を通過するように摩砕した。
【0044】
牛肉ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された畜肉)の製造方法は、既述の鶏肉ペーストの製造方法に準ずる。具体的に、鶏むね肉の代わりに牛もも赤身肉を使用して、牛肉ペーストを得た。
【0045】
豚肉ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された畜肉)の製造方法は、既述の鶏肉ペーストの製造方法に準ずる。具体的に、鶏むね肉の代わりに豚もも赤身肉を使用して、豚肉ペーストを得た。
【0046】
帆立貝ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された魚介類)の製造方法は、既述の鶏肉ペーストの製造方法に準ずる。具体的に、鶏むね肉の代わりに帆立貝の閉殻筋(貝柱)を使用して、帆立貝ペーストを得た。
【0047】
海老ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された魚介類)の製造方法は、既述の鶏肉ペーストの製造方法に準ずる。具体的に、鶏むね肉の代わりにバナエイエビのむき身を使用して、海老ペーストを得た。
【0048】
白身魚ペースト(すなわち、本開示におけるすり潰された魚介類)の製造方法は、既述の鶏肉ペーストの製造方法に準ずる。具体的に、鶏むね肉の代わりに皮を除いたマダラの身を使用して、白身魚ペーストを得た。
【0049】
セロリシード粉末Aは、既述の鶏肉ペーストを製造する過程において添加されたセロリシード粉末を指す。具体的に、セロリシード粉末Aは、既述の鶏肉ペーストを製造する過程において鶏肉及び水と共に加熱された。上記方法によって得られたセロリシード粉末Aは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0050】
セロリシード粉末Bは、既述のレトルトカレーを製造する過程において添加されたセロリシード粉末を指す。具体的に、セロリシード粉末Bは、既述のレトルトカレーを製造する過程において他の材料と共に加熱された。上記方法によって得られたセロリシード粉末Bは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0051】
焙煎コリアンダーの製造方法は次のとおりである。コリアンダー粉末及びラードを0.1:5の質量比で混ぜた。コリアンダー粉末及びラードを130℃まで加熱し、次に130℃で1分間維持した。加熱後のコリアンダーを冷却した。上記方法によって得られた焙煎コリアンダーは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0052】
コラーゲンペプチドは、豚皮に由来するコラーゲンを酵素によって分解することによって得られたコラーゲンペプチドである。コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、5000である。コラーゲンペプチドは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0053】
デキストリンは、カレー全体の質量を調節するために使用される任意選択の材料であり、既述の官能試験に影響を及ぼさない。デキストリンは、500μmの目開きを有する篩を通過する。
【0054】
表1に示された結果について説明する。比較例1~3の結果は、すり潰された鶏肉(具体的には鶏肉ペースト)を使用してレトルトカレーを製造すると、鶏肉に由来する不快な味が顕著に強くなることを示した。実施例1~8及び比較例3の結果は、コラーゲンペプチドの不使用と比べて、コラーゲンペプチドの使用が、すり潰された鶏肉に由来する不快な味の強さを低減することを示した。実施例4~8の結果は、コリアンダー及びセロリシードからなる群から選択される少なくとも1つの追加的使用が、すり潰された鶏肉に由来する不快な味の強さを更に低減する傾向を示した。特に、焙煎されたコリアンダー及びセロリシードの使用は、すり潰された鶏肉に由来する不快な味の強さを更に低減した。
【0055】
表2に示された結果について説明する。実施例9~13及び比較例4~8の結果は、コラーゲンペプチドの不使用と比べて、コラーゲンペプチドの使用が、鶏肉以外のすり潰された畜肉又はすり潰された魚介類に由来する不快な味の強さを低減することを示した。