(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145898
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20241004BHJP
F16K 1/38 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K1/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058478
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】早▲瀬▼ 友哉
(72)【発明者】
【氏名】二宮 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 典生
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】兼子 直人
【テーマコード(参考)】
3H051
3H052
【Fターム(参考)】
3H051AA02
3H051BB10
3H051CC11
3H051FF01
3H052AA01
3H052BA31
3H052CA02
3H052CC01
3H052CC03
3H052CD05
3H052EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガイド本体と弁体との間に異物が入り込むことを抑制できる弁装置を提供する。
【解決手段】弁装置1は、軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口21と、該弁口に繋がる弁室22と、を含むハウジング11と、筒状のガイド本体31と、ガイド本体の外周面から外方へ延出し弁室の内周面に当接する複数のサポート32とを含み、弁室に配置されるガイド12と、ガイド本体に挿入され、弁口を開閉する弁体13と、を備え、ガイド本体の一端は、軸方向においてハウジングに対して離間している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、
筒状のガイド本体と、前記ガイド本体の外周面から外方へ延出し前記弁室の内周面に当接する複数のサポートとを含み、前記弁室に配置されるガイドと、
前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、
前記ガイド本体の一端は、軸方向において前記ハウジングに対して離間している、弁装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記弁室の周囲にある拡径部を更に含み、
前記拡径部は、前記ガイド本体の一端に対して軸方向一方側及び他方側に夫々延在している、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記拡径部は、前記ガイド本体の一端より軸方向他方側において、軸方向他方側に進むにつれて前記ガイド本体に向かって縮径している、請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記弁体は、前記ガイド本体に挿入される弁軸と、最外周部分が前記弁軸より大径であり且つ前記ガイド本体の一端より軸方向一方側にある弁頭部を含み、
前記弁頭部は、軸方向一方側から見て前記ガイド本体と前記弁軸との間を覆っている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁体は、前記ガイド本体に挿入される弁軸と、最外周部分が前記弁軸より大径であり且つ前記ガイド本体より軸方向一方側にある弁頭部を含み、
前記弁頭部の最外周部分は、軸方向一方側から見て前記ガイド本体の一端と重なる、請求項1乃至3の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項6】
前記ガイド本体は、一端から軸方向他方側に向かって拡径する傾斜部を外周面に有し、
前記傾斜部は、前記弁頭部の軸方向他方側に延びる延長線上又は延長線より内方に位置している、請求項4又は5に記載の弁装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記弁口の周りにある弁座を含み、
前記弁頭部は、前記弁座に着座するシート部分と、前記シート部分の軸方向他方側にある形状急変部と、を更に有する、請求項4乃至6の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項8】
前記弁軸は、径方向内側に凹む凹溝を更に有し、
前記凹溝は、前記弁軸の外周面に周方向全周にわたっており、且つ少なくとも一部分が前記ガイド本体から軸方向一方側に表出している、請求項4乃至7の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項9】
前記弁体は、前記凹溝の少なくとも一部分が重力方向下方に開口するように配置されている、請求項8に記載の弁装置。
【請求項10】
前記凹溝は、断面U字状になっている、請求項8又は9に記載の弁装置。
【請求項11】
前記ガイド本体は、底部を有し、
軸方向において、前記弁体と前記底部との間にダンパ室が形成されている、請求項1乃至10の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項12】
軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、
前記弁室に配置され且つ筒状のガイド本体と、
前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、
前記ハウジングは、前記弁室の周囲にある拡径部を更に含み、
前記拡径部は、前記ガイド本体の軸方向一方側の端である一端に対して軸方向一方側及び他方側に夫々延在している、弁装置。
【請求項13】
軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、
前記弁室に配置され且つ筒状のガイド本体と、
前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、
前記弁体は、前記ガイド本体に挿入される弁軸と、最外周部分が前記該弁軸より大径であり且つ前記ガイド本体より軸方向一方側にある弁頭部を含み、
前記弁頭部は、軸方向一方側から見て前記ガイド本体と前記弁軸との間を覆っている、弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの流れを制御する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁装置として、例えば特許文献1のような弁装置が知られている。特許文献1の弁装置は、ハウジング内に有底筒状のケースが収容されている。また、ケース内には、弁体が収容されている。そして、弁体は、ケース内を移動することによって、弁孔を閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の弁装置では、流れるガスに、例えば水分などの異物が含まれていることがある。そして、異物が弁体とケースとの間に入り込むことがある。例えば、特許文献1の弁装置では、弁体を案内するケースがハウジング、より詳しくは弁座に当接している。それ故、ガスと共に流れる異物が弁座に付着すると、異物が弁座を伝ってケース内に入り込むことがある。その他、異物がガスと共にケースに沿って流れる等してケース内に入り込むことがある。
【0005】
そこで本発明の目的は、ケースであるガイド本体と弁体との間に異物が入り込むことを抑制できる弁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の弁装置は、軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、筒状のガイド本体と、前記ガイド本体の外周面から外方へ延出し前記弁室の内周面に当接する複数のサポートとを含み、前記弁室に配置されるガイドと、前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、前記ガイド本体の一端は、軸方向において前記ハウジングに対して離間しているものである。
【0007】
第1の発明に従えば、ガイド本体の一端をハウジングから離すことによって、ガスと共に流れてハウジングの内周面に付着した異物がガイド本体の一端を伝ってガイド本体と弁体との間に入り込むことを抑制できる。例えば、異物が水分である場合、ガイド本体と弁体との間に入り込んだ水分が固化することが抑制される。
【0008】
第2の発明の弁装置は、軸方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、前記弁室に配置され且つ筒状のガイド本体と、前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、前記ハウジングは、前記弁室の周囲にある拡径部を更に含み、前記拡径部は、前記ガイド本体の軸方向一方側の端である一端に対して軸方向一方側及び他方側に夫々延在しているものである。
【0009】
第2の発明に従えば、拡径部を含むことによって、ハウジング内周面をガイド本体の一端から径方向に離すことができる。これにより、ガスと共に流れてハウジングの内周面に付着した異物がガイド本体の一端に達することを抑制できる。また、ガイド本体の一端に対して軸方向他方側の位置まで拡径部が延在しているので、拡径部を流れる異物がガイド本体の一端より軸方向他方側に導かれる。これにより、ガイド本体の一端にガスと共に流れる異物が導かれることを抑制できる。そして、ガイド本体と弁体との間に入り込んだ異物が固化することが抑制される。
【0010】
第3の発明の弁装置は、方向一方側にあり且つガスが流れる弁口と、該弁口に繋がる弁室と、を含むハウジングと、前記弁室に配置され且つ筒状のガイド本体と、前記ガイド本体に挿入され、前記弁口を開閉する弁体と、を備え、前記弁体は、前記ガイド本体に挿入される弁軸と、最外周部分が前記該弁軸より大径であり且つ前記ガイド本体より軸方向一方側にある弁頭部を含み、前記弁頭部は、軸方向一方側から見て前記ガイド本体と前記弁軸との間を覆っているものである。
【0011】
第3の発明に従えば、弁頭部が軸方向一方側から見て弁軸とガイド本体との間を覆っているので、ガイド本体と弁軸との間にガスが流れ込むことを抑制できる。これにより、弁軸とガイド本体との間に異物がガスと共に入り込むことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガイド本体と弁体との間に異物が入り込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る逆止弁を示す断面図である。
【
図2】
図1の逆止弁の領域Xを拡大して示す拡大断面図である。
【
図3】
図1の逆止弁の領域Yを拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】
図1の逆止弁を切断線IV-IVで切断して見た断面図である。
【
図5】
図1の逆止弁を切断線V-Vで切断して見た断面図である。
【
図6】
図1の逆止弁の閉状態を示す拡大断面図である。
【
図7】その他の実施形態に係る逆止弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る逆止弁1について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する逆止弁1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0015】
<逆止弁>
図1に示す逆止弁1は、ガスの流れを制御する弁装置の一例である。逆止弁1は、ガスが流れる流路に設けられる。そして逆止弁1は、流路におけるガスの一方向の流れを許容する。他方、逆止弁1は、流路におけるガスの反対方向の流れを阻止する。ガスは、例えば水素である。但し、ガスは、水素に限定されず、酸素、天然ガス、及び窒素等のように水素以外のガスであってもよい。そして、逆止弁1は、ハウジング11と、ガイド12と、弁体13と、ばね部材14と、を備えている。そして、逆止弁1は、中心軸線L1(以下、「軸線L1」という)に沿って延在している。
【0016】
<ハウジング>
ハウジング11は、弁口21と、弁室22とを含んでいる。弁口21は、ハウジング11において軸方向一方側にある。ここで、軸方向とは、例えば逆止弁1が延在している方向である。また、弁口21には、ガスが流れる。弁室22は、弁口21に繋がっている。より詳細に説明すると、弁室22は、ハウジング11において軸線L1周りにある断面円形状の孔である。そして、弁口21は、弁室22の底において軸線L1周りにある。更に詳細に説明すると、ハウジング11は、流入通路23と、流出通路24とを含んでいる。流入通路23及び流出通路24は、弁室22に対して軸方向反対側に夫々位置している。即ち、流入通路23は、弁室22に対して軸方向一方側に位置し、また流出通路24は、弁室22に対して軸方向他方側に位置している。そして、流入通路23は、弁口21を介して弁室22に繋がっている。また、流出通路24もまた、軸線L1周りにある流出口25を介して弁室22に接続されている。
【0017】
また、ハウジング11は、弁座26を含んでいる。弁座26は、弁口21の周りにある。より詳細に説明すると、弁座26は、弁口21を外囲するように軸線L1周りにある。そして、弁座26は、弁口21から軸方向に離れるに従って拡径するようなテーパ状になっている。なお、弁座26は、必ずしもテーパ状である必要はない。弁座26は、例えば平坦であったり、突起状であったりしてもよい。
【0018】
更に、ハウジング11は、拡径部27を含んでいる。拡径部27は、弁室22の周囲にある。より詳細に説明すると、拡径部27は、弁室22の周りにおいて弁口21側に配置されている。そして、拡径部27は、後述するガイド本体31の一端31aに対して軸方向一方側及び他方側に夫々延在している。更に詳細に説明すると、拡径部27は、後述するガイド本体31の一端31aに跨がるように弁口21側及び流出口25側に夫々延在している。また、拡径部27は、ハウジング11において弁室22の周りにおいて周方向全周にわたって形成されている。本実施形態において、拡径部27は、円環状になっている。また、拡径部27は、弁室22の周りにおいて弁口21側に配置されている。更に詳細に説明すると、拡径部27の軸方向一方側部分が弁座26に連なっている。そして、拡径部27は、後述するガイド本体31の一端31aより軸方向他方側の部分において以下のような形状を有している。即ち、拡径部27は、軸方向他方側に進むにつれてガイド本体31に向かって縮径している。換言すると、拡径部27は、軸方向他方側に進むにつれて径方向内方に向かって縮径している。そして、拡径部27の軸方向他方側は、弁室22の軸方向他方側にある内周面22aに繋がっている。
【0019】
<ガイド>
ガイド12は、ガイド本体31と、複数のサポート32とを含んでいる。ガイド12は、ハウジング11の弁室22に配置されている。そして、ガイド12は、ガイド本体31に後述する弁体13が挿入されている。そして、ガイド12は、挿入される弁体13を軸方向一方及び他方に摺動案内する。また、ガイド12は、複数のサポート32を弁室22の内周面22a、即ちハウジング11の内周面に当接させることによってハウジング11に支持されている。以下、ガイド12を構成するガイド本体31及び複数のサポート32が更に詳細に説明される。
【0020】
ガイド本体31は、筒状になっている。本実施形態において、ガイド本体31は、有底筒状になっている。即ち、ガイド本体31は、底部31eを有している。そして、ガイド本体31は、弁室22に配置されている。より詳細に説明すると、ガイド本体31は、軸線が軸線L1に一致し、且つ開口を弁口21に向けようにして弁室22に挿入されている。また、ガイド本体31の内孔33は、大径部分33aと、小径部分33bとを有している。大径部分33aは、内孔33において開口側(本実施形態において軸方向一方側)に位置している。小径部分33bは、内孔33においてガイド本体31の底側(本実施形態において軸方向他方側)に位置している。そして、小径部分33bは、大径部分33aより小径になっている。
【0021】
また、ガイド本体31の一端31aは、軸方向においてハウジング11から離間している。なお、ガイド本体31の一端31aは、ガイド本体31の軸方向一方側の端、即ち弁口21側の開口端である。また、ガイド本体31の他端は、ガイド本体31の軸方向他方側、即ち流出口25側の端である。より詳細に説明すると、ガイド本体31の軸方向長さは、弁室22の軸方向長さより小さくなっている。そして、ガイド本体31の他端は、軸方向においてハウジング11に当接している。これにより、ガイド本体31の一端31aが軸方向においてハウジング11から離間している。
【0022】
更に詳細に説明すると、ガイド本体31の一端31aは、
図2にも示すようにハウジング11において弁室22の軸方向一方側にある面に対して軸方向他方に離間させて配置されている。本実施形態において、ガイド本体31は、一端31aを弁座26に対して軸方向に離間させて配置されている。また、ガイド本体31の一端31aは、
図3に示すように拡径部27が一端31aから軸方向一方側及び軸方向他方側に夫々延在するように配置されている。更に、ガイド本体31の一端31aより軸方向他方側において、拡径部27が軸方向他方側に進むにつれてガイド本体31に向かって縮径している。他方、ガイド本体31の他端は、
図1に示すようにハウジング11において弁室22の軸方向他方側にある面に当接している。本実施形態において、ガイド本体31の他端は、流出口25の周りのある面に当接している。
【0023】
また、ガイド本体31では、
図2に示すように一端31aが角面取りされている。即ち、ガイド本体31は、一端部の外周面に傾斜部31cを有している。傾斜部31cは、ガイド本体31の一端31aから軸方向他方側に向かって拡径するように傾斜している。
【0024】
更に、ガイド本体31は、
図1に示すように他端部においてハウジング11に嵌合されている。他方、ガイド本体31では、一端31aから中間部分にかけてハウジング11との間に径方向に隙間が空いている。それ故、ガイド本体31とハウジング11との間には、ガイド本体31の一端31aから中間部分にかけて環状流路34が形成されている。そして、ガイド本体31は、底部31eに連通路31dを有している。そして、環状流路34は、連通路31dを介して流出通路24の流出口25に繋がっている。
【0025】
複数のサポート32は、ガイド本体31の外周面から外方へ延出している。そして、複数のサポート32は、弁室22の内周面22aに当接している。より詳細に説明すると、複数のサポート32は、ガイド本体31の外周面に互いに間隔をあけて配置されている。本実施形態において、サポート32は、
図4に示すようにガイド本体31の外周面に4つ設けられている。そして、4つのサポート32は、周方向に互いに等間隔をあけて配置されている。なお、複数のサポート32は、必ずしも互いに等間隔をあけて配置されている必要はない。また、4つのサポート32は、
図1に示すようにガイド本体31の外周面において他端部から軸方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、4つサポート32は、拡径部27より軸方向他方側であってガイド本体31の一端側に配置されている。即ち、4つのサポート32は、内周面22aに当接している。これにより、ガイド12は、ガイド本体31の他端部と複数のサポート32とによって、軸方向において間隔あけた2箇所でハウジング11に支持されている。これにより、弁室22において一端31aがハウジング11から離れた状態であっても、ガイド12のがたつきが抑制される。また、ガイド12において4つのサポート32は、周方向に互いに間隔をあけて配置されている。それ故、環状流路34は、互いに隣り合うサポート32の間の隙間を介して軸方向一方側から他方側にガスを流すことができる。
【0026】
<弁体>
弁体13は、ガイド本体31に挿入されている。そして、弁体13は、弁口21を開閉する。より詳細に説明すると、弁体13は、ガイド本体31内を軸方向に往復運動する。そして、弁体13は、往復運動することによって弁口21を開閉する。また、弁体13は、ガイド本体31内において底部31eとの間にダンパ室38を形成している。ダンパ室38は、弁体13の軸方向動きを減衰している。これにより、弁体13の急峻な動きが抑制されている。更に詳細に説明すると、弁体13は、弁軸35と、弁頭部36とを含んでいる。弁軸35は、ガイド本体31の内孔33に挿入されている。そして、弁軸35は、ガイド本体31によって軸方向に摺動案内されている。また、弁頭部36は、ガイド本体31の一端31aより軸方向一方側にある。そして、弁頭部36が弁座26に着座することによって弁口21が閉じられる。
【0027】
より詳細に説明すると、弁軸35は、円柱状になっている。そして、弁軸35は、小径部35aと大径部35bと凹溝35cとを有している。小径部35aは、弁軸35において軸方向他方側に位置している。そして、弁軸35は、内孔33の小径部分33bに摺動可能に挿入されている。また、小径部35aは、内孔33の小径部分33bから大径部分33aに突き出ている。大径部35bは、弁軸35において軸方向一方側にある。そして、大径部35bは、内孔33の大径部分33aに摺動可能に挿入されている。また、大径部35bは、内孔33の小径部分33bから軸方向一方側に離れている。それ故、内孔33の大径部分33aにおいて弁軸35の小径部35aの周りには、円環状のばね収容空間37がある。また、大径部35bは、閉弁時においてガイド本体31の一端31aから軸方向一方に突き出ている(後述する
図6参照)。
【0028】
凹溝35cは、弁軸35の外周面に周方向全周にわたっている。そして、凹溝35cは、弁軸35の外周面から径方向内側に凹んでいる。また、凹溝35cは、少なくとも一部分がガイド本体31の一端31aから軸方向一方側に表出している。より詳細に説明すると、閉弁時において弁軸35の一部分がガイド本体31の一端31aから軸方向一方に突き出ている。そして、凹溝35cは、弁軸35の突き出ている部分の外周面に周方向全周にわたって延在している。更に、凹溝35cは、断面U字状になっている。より詳細に説明すると、凹溝35cは、周方向に直交する断面がU字状になっている。
【0029】
弁頭部36は、最外周部分が弁軸35より大径である。また、弁頭部36は、ガイド本体31の一端31aから軸方向一方側にある。更に詳細に説明すると、弁頭部36は、軸方向他方側に向かって拡径する傘状になっている。なお、弁頭部36は、必ずしも傘状に形成されている必要はない。そしてまた、弁頭部36は、弁軸35の軸方向一方側の大径部35bに一体的に設けられている。また、弁頭部36は、軸方向一方側から見てガイド本体31と弁軸35との間を覆っている。弁頭部36についてより詳細に説明すると、弁頭部36は、テーパ部分41と、シート部分42と、剥離部分43と、を有している。そして、テーパ部分41、シート部分42、及び剥離部分43は、弁頭部36において軸方向他方側から順に並んでいる。
【0030】
テーパ部分41は、弁頭部36において剥離部分43及びシート部分42より軸方向他方側に位置している。本実施形態において、テーパ部分41は、弁頭部36の最も軸方向一方側に位置している。テーパ部分41は、軸方向他方側に向かって拡径している。なお、本実施形態において、テーパ部分41は、最も軸方向他方側の部分に鍔41aを有している。鍔41aは、テーパ部分41において同径になっている部分である。そして、鍔41aは、テーパ部分41において最も径方向外側に位置しているので、テーパ部分41の最外周部分を成している。なお、テーパ部分41は、必ずしも鍔41aを有している必要はなく。テーパ部分41が鍔41aを有しない場合、テーパ部分41の最外周部分は、テーパ部分41において最も径方向外側に位置している部分、例えば最も軸方向他方側の部分である。
【0031】
また、テーパ部分41では、
図5に示すように最外周部分が軸方向一方側から見て前記ガイド本体31の一端31aと重なっている。より詳細に説明すると、テーパ部分41では、最外周部分がガイド本体31の一端31aの外周縁31bと面一となっている。本実施形態において、鍔41aの外周面がガイド本体31の一端31aの外周縁31bと面一となっている。なお、面一とは、完全に面一である場合だけでなく、略面一である場合も含まれる。また、テーパ部分41は、
図2に示すようにテーパ部分41の軸方向他方側に延びる延長線T1より径方向内方に傾斜部31cの少なくとも一端部が位置するようになっている。より詳細に説明すると、テーパ部分41において軸方向他方側に進むにつれて拡径するテーパ面を軸方向他方側に延ばした仮想円錐台面より径方向内方に傾斜部31cが位置するになっている。
【0032】
シート部分42は、弁座26に着座する。より詳細に説明すると、シート部分42は、弁頭部36においてテーパ部分41及び剥離部分43より軸方向一方側に位置している(
図1も参照)。本実施形態において、シート部分42は、弁頭部36の先端部分に位置している。但し、シート部分42は、必ずしも弁頭部36の先端部分に位置している必要はない。また、シート部分42は、角R状になっている。更に詳細に説明すると、また、シート部分42の外周縁がR面取りされている。そして、シート部分42は、外周縁にR面42aを有している。シート部分42は、外周縁のR面42aを弁座26に着座させることによって弁口21を閉じる。
【0033】
形状急変部の一例である剥離部分43は、シート部分42とテーパ部分41との間にある。より詳細に説明すると、剥離部分43は、シート部分42と互いの周面が繋がっている。そして、剥離部分43とシート部分42とは、互いの周面が滑らかにつながらないように剥離部分43の形状が急変するようになっている。剥離部分43は、シート部分42のR面42aに対して曲率が不連続になるように形成されたり、径方向に凸状又は凹状に形成されたりしてもよい。即ち、シート部分42のR面42aに沿って流れるがガスが剥離部分43において剥離するように形状が急変していればよい。本実施形態において、剥離部分43は、
図2に示すように正面から見てシート部分42において剥離部分43と繋がる部分の接線T2より径方向内方に位置している。より詳細に説明すると、シート部分42のR面42aの中心角が鋭角、即ち90度以下になっている。それ故、接線T2が軸方向他方側に進むにつれて軸線L1から離れるように延在する。剥離部分43は、軸線L1から離れるように延在する接線T2より径方向内方に配置されている。本実施形態において、剥離部分43は、シート部分42と繋がる部分の外径と同じ外径を有する円柱状である。なお、テーパ部分41もまた接線T2より径方向内方に配置されている。
【0034】
<ばね部材>
ばね部材14は、弁口21に向かわせるように弁体13を付勢している。より詳細に説明すると、ばね部材14は、軸方向一方に弁体13を付勢している。そして、ばね部材14によって弁体13が弁座26に着座している。本実施形態において、ばね部材14は、圧縮コイルばねである。そして、ばね部材14は、弁体13の弁軸35に外装され、且つばね収容空間37に収容されている。
【0035】
<逆止弁の配置例>
このように構成されている逆止弁1は、例えば軸線L1が水平になるように配置されている。逆止弁1では、軸線L1が水平になっていると、凹溝35cの少なくとも一部分が重力方向下方に開口するように弁体13が配置される。より詳細に説明すると、弁体13は、周方向全周にわたって延在する凹溝35cの開口の少なくとも一部分が重力下方に向くように配置される。なお、軸線L1が水平になるとは、軸線L1が完全に水平になっている必要はなく、凹溝35cの少なくとも一部分が重力方向下方に開口していれば軸線L1が水平に対して傾いていてもよい。また、逆止弁1は、必ずしも軸線L1が水平になるように配置されている必要はない。
【0036】
<逆止弁の動作>
逆止弁1では、ダンパ室38が流出口25のガス圧と同圧になっている。それ故、弁体13には、弁口21のガス圧と流出口25のガス圧とが互いに抗するように作用している。従って、弁体13は、弁口21のガス圧と流出口25のガス圧との差圧に応じて移動する。例えば、弁口21のガス圧が流出口25のガス圧より低い、又は弁口21のガス圧が流出口25のガス圧より高くても差圧が所定圧以下になると、
図6に示すように弁体13が弁座26に着座する。所定圧とは、ばね部材14の付勢力に対応する圧力である。着座すると、弁口21が閉じられるので、流出口25から弁口21へのガスの流れが止められる。つまり、逆止弁1は、流出通路24から流入通路23への流れを阻止する。
【0037】
他方、弁口21のガス圧が流出口25のガス圧より高く、且つ差圧が所定圧を超えると、
図1に示すように弁体13が弁座26から離れる。そうすると、弁口21のガスは、弁体13のシート部分42と弁座26との間を通って、弁頭部36周りにある環状空間45に流れる(
図3の矢印A参照)。また、ガスは、環状空間45から拡径部27を通って環状流路34に流れる。更に、ガスは、環状流路34からガイド本体31の連通路31d及び流出口25を介して流出通路24に流れ出る。このように、逆止弁1では、弁口21のガス圧が流出口25のガス圧より高く、且つ差圧が所定圧以上になると、弁口21から流出口25にガスが流れる。つまり、逆止弁1は、流入通路23から流出通路24への流れを許容する。
【0038】
このように流れるガスは、弁口21から弁室22へ異物と共に流れてくる。異物は、例えば水分である。ただし、異物は水分以外の液体、並びに前記液体が固化したもの及びコンタミ等の固形物であってもよい。ガスと共に流れる異物がガイド本体31等を伝ってガイド本体31と弁軸35との間に入り込むことが考えられる。しかし、逆止弁1では、ガイド本体31の一端31aがハウジング11から離れている。これにより、ハウジング11の内周面に付着した異物がガイド本体31の一端31aを伝ってガイド本体31と弁体13との間に入り込むことを抑制できる。特に、異物が水分である場合、ガイド本体31と弁体13との間に入り込んだ水分が固化することを抑制できる。
【0039】
また、逆止弁1では、ハウジング11が拡径部27を含んでいる。それ故、ハウジング11の内周面をガイド本体31の一端31aから径方向に離すことができる。また、ガイド本体31の一端31aに対して軸方向他方側の位置まで拡径部27が延在しているので、拡径部27に流れてきた異物をガイド本体31の一端31aより軸方向他方側に導くことができる。それ故、ガイド本体31の一端31aに異物が導かれることを更に抑制できる。これにより、異物がガイド本体31と弁軸35との間に入り込むことを更に抑制することができる。
【0040】
逆止弁1では、拡径部27の軸方向他方側の部分が軸方向他方側に進むにつれてガイド本体31に向かって縮径している。それ故、拡径部27を流れる異物が軸方向他方側に流れることを促進することができる。これにより、異物が拡径部27に溜まることを抑制できる。
【0041】
逆止弁1では、弁頭部36が軸方向一方側から見てガイド本体31と弁軸35との間を覆っているので、ガイド本体31と弁軸35との間にガスが流れ込むことを抑制できる。これにより、弁軸35とガイド本体31との間に異物がガスと共に入り込むことを更に抑制することができる。
【0042】
逆止弁1では、ガイド本体31の傾斜部31cがテーパ部分41の延長線T1より径方向内方に位置し且つガイド本体31の一端31aから軸方向他方側に向かって拡径している。それ故、傾斜部31cによって延長線T1がガイド本体31の一端31aに当たらないようにしつつ弁頭部36の最外径を小さくすることができる。これにより、弁体13を小径化することができる。
【0043】
逆止弁1では、シート部分42の軸方向他方側に形状急変部である剥離部分43がある。シート部分42(より詳細に説明すると、R面42a)に沿って流れるガスが剥離部分43において弁頭部36から剥離し、剥離部分43の軸方向他方側において弁頭部36に沿うようなガスの流れが発生することが抑制される。これにより、ガスと共に流れる異物がガイド本体31の一端31aに付着することを抑制できる。また、付着した異物がガイド本体31を伝って弁軸35とガイド本体31との間に入り込むことを更に抑制することができる。
【0044】
逆止弁1では、弁軸35が凹溝35cを有している。それ故、弁頭部36とガイド本体31の一端31aとの間に入り込んだ異物を凹溝35cによって捕捉することができる。これにより、弁軸35とガイド本体31との間に異物が入り込むことを更に抑制することができる。
【0045】
逆止弁1では、凹溝35cの少なくとも一部分が重力方向下方に開口するように弁体13が配置されている。それ故、凹溝35cにおいて捕捉した異物が重力によって重力方向下方に流される。そして、重力方向下方に向いた部分から下方に落とすことができる。これにより、凹溝35cに異物が溜まることが抑制される。
【0046】
逆止弁1では、凹溝35cが断面U字状になっている。それ故、凹溝35c内において渦流を発生させることができる。これにより、異物の捕捉性能を向上させることができる。
【0047】
逆止弁1では、ガイド本体31と弁軸35との間にガスが入り込むことを抑制できるので、弁体13の軸方向他方側に形成されているダンパ室38に異物が入り込むことを抑制することができる
【0048】
逆止弁1では、ガスを流す環状流路34がガイド本体31の外周面とハウジング11との間に形成されている。これにより、弁軸35とガイド本体31との間にガスが導かれることを抑制することができる。それ故、弁軸35とガイド本体31との間に異物がガスと共に流れ込むことを抑制することができる。特に、逆止弁1では、弁頭部36のテーパ部分41がガイド本体31の外側にガスを案内するようになっているので、環状流路34へとガスをスムーズに流すことができる。これにより、弁軸35とガイド本体31との間に異物がガスと共に流れ込むことを更に抑制することができる。
【0049】
<その他の実施形態>
本実施形態の逆止弁1が弁装置の一例として説明されているが、弁装置は必ずしも逆止弁1に限定されない。弁装置は、例えば電磁弁や過流防止弁であってもよい。つまり、弁装置は、ガスの流れを制御するものであればよい。また、弁体13の弁軸35において、凹溝35cは、必ずしも形成されている必要はない。また、弁頭部36において、剥離部分43もまた必ずしも形成されている必要はない。更に、ガイド本体31の一端31aは、軸方向及び径方向の何れにおいてもハウジング11から離間しているが、必ずしもハウジング11から離間している必要はない。例えば、ガイド本体31の一端31aは、軸方向及び径方向の何れかだけハウジング11から離間してもよい。また、ガイド本体31の一端31aは、軸方向及び径方向の両方においてハウジング11に当接してもよい。
【0050】
更に、本実施形態の逆止弁1では、テーパ部分41の最外周部分が軸方向一方側から見て前記ガイド本体31の一端31aと重なっている(
図5参照)。しかし、
図7に示す逆止弁1Aのようにテーパ部分41の最外周部分が軸方向一方側から見てガイド本体31の一端31aの外径より大きくなっていてもよい。これによっても、軸方向一方側から見て弁軸35とガイド本体31との間が弁頭部36によって覆われる。それ故、弁軸35とガイド本体31との間にガスが流れ込むことを抑制できる。ガイド本体31の一端31aにガスと共に流れる異物が付着し、付着した異物がガイド本体31を伝って弁軸35とガイド本体31との間に入り込むことが抑制される。また、弁軸35とガイド本体31との間に異物がガスと共に流れ込むことが抑制される。更に、テーパ部分41を沿って流れるガスをガイド本体31の一端31aより外側へと案内することができる。これにより、弁軸35とガイド本体31との間に、ガスと共に異物が流れ込むことが更に抑制されている。
【符号の説明】
【0051】
1,1A 逆止弁(弁装置)
11 ハウジング
12 ガイド
13 弁体
21 弁口
22 弁室
22a 内周面
26 弁座
27 拡径部
31 ガイド本体
31a 一端
31c 傾斜部
32 サポート
35 弁軸
35c 凹溝
36 弁頭部
38 ダンパ室
42 シート部分
43 剥離部分(形状急変部)
T1 延長線
T2 接線