IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産株式会社の特許一覧

特開2024-145901シリンダ部材、第1継手、及び管継手
<>
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図1
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図2
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図3
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図4
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図5
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図6
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図7
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図8
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図9
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図10
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図11
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図12
  • 特開-シリンダ部材、第1継手、及び管継手 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145901
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】シリンダ部材、第1継手、及び管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/34 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F16L37/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058482
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 直之
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 佳久
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AA02
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE13
3J106EA03
3J106EC04
3J106ED24
3J106GA03
3J106GA14
3J106GA23
3J106GA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】底面の段差とシール部材との間から液体が漏れることを低減できるシリンダ部材、第1継手、及び管継手を提供する。
【解決手段】シリンダ部材は、筒部と、挿入部と、第1封止部材210とを有する。筒部は、中心軸線を有し、中心軸線に沿った軸方向に延び、液体が流れる。挿入部208は、中心軸線に沿って延び、筒部の内部に挿入される。第1封止部材は、筒部と挿入部との間を封止する。挿入部は、凹部と、第2封止部材220とを有する。凹部は、環状である。凹部は、挿入部の外周面に沿って形成され、第1封止部材を収容する。第2封止部材は、凹部の底面の段差から第1封止部材までの間を封止する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を有し、前記中心軸線に沿った軸方向に延び、液体が流れる筒部と
前記中心軸線に沿って延び、前記筒部の内部に挿入される挿入部と、
前記筒部と前記挿入部との間を封止する第1封止部材と
を有し、
前記挿入部は、
前記挿入部の外周面に沿って形成され、前記第1封止部材を収容する環状の凹部と、
前記凹部の底面の段差から前記第1封止部材までの間を封止する第2封止部材と
を有する、シリンダ部材。
【請求項2】
前記底面の段差は、前記中心軸線に沿って延びる窪みと、前記中心軸線に沿って延びる突起とのうちの少なくとも一方を有し、
前記第2封止部材は、前記中心軸線に交差する方向に配置され、前記底面の外周に沿う環形状を有する、請求項1に記載のシリンダ部材。
【請求項3】
前記第2封止部材は、前記底面から前記第1封止部材までの間を更に封止する、請求項1に記載のシリンダ部材。
【請求項4】
前記第2封止部材は、前記底面のうち前記第1封止部材と重なる位置に配置される、請求項1または請求項2に記載のシリンダ部材。
【請求項5】
前記中心軸線に沿った断面において、前記第2封止部材は前記第1封止部材の外周面のうち半分以下の外周面と接触し、
前記第1封止部材の弾性率は、前記第2封止部材の弾性率よりも小さい、請求項4に記載のシリンダ部材。
【請求項6】
第1方向における前記第2封止部材の長さは、前記第1方向における前記第1封止部材の長さの3分の1の長さ以下であり、
前記第1方向は、前記筒部の径方向外側に向かう方向を示し、
前記第1封止部材の弾性率は、前記第2封止部材の弾性率よりも小さい、請求項4に記載のシリンダ部材。
【請求項7】
前記第2封止部材は、
前記底面から前記第1封止部材の外周面までの距離が第1距離となる第1部分と、
前記第1距離よりも長い第2距離となる一対の第2部分と
を有し、
前記第1部分は、前記一対の第2部分の間に位置する、請求項6に記載のシリンダ部材。
【請求項8】
前記凹部は、前記中心軸線に交差する一対の面を有し、
前記第1封止部材は、前記一対の面のうち少なくとも一方の面から離隔する、請求項7に記載のシリンダ部材。
【請求項9】
前記第2封止部材は、前記一対の面のうち少なくとも一方の面から離隔する、請求項8に記載のシリンダ部材。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシリンダ部材と、
前記中心軸線に沿って第2継手と連結する継手本体と
を有する、第1継手。
【請求項11】
請求項10に記載の第1継手と、
前記第2継手と
を有する、菅継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンダ部材、第1継手、及び管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂製管継手は、継手本体と、継手本体と一体に射出成型された内筒とを有する。継手本体は、ガラス繊維強化プラスチック製である。内筒は、シールリング篏合溝を有する。シールリング篏合溝は、切削部と、非切削部とが設けられる。切削部は、射出成型時に生じたバリが取り除かれた部分である。非切削部は、切削しないそのままにした部分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-17378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂製管継手では、シールリング嵌合溝の内底表面の切削の程度によっては、段差が生じ、段差とシール部材との間から液体の漏れることがあった。例えば、切削が十分でないために生じた段差とシール部材との間に隙間ができる場合、液体の漏れを低減できない。また、過剰に切削したために生じた段差とシール部材との間に隙間ができる場合、液体の漏れを低減できない。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、底面の段差とシール部材との間から液体が漏れることを低減できるシリンダ部材、第1継手、及び管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的なシリンダ部材によれば、シリンダ部材は、筒部と、挿入部と、第1封止部材とを有する。筒部は、中心軸線を有し、中心軸線に沿った軸方向に延び、液体が流れる。挿入部は、中心軸線に沿って延び、筒部の内部に挿入される。第1封止部材は、筒部と挿入部との間を封止する。挿入部は、凹部と、第2封止部材とを有する。凹部は、環状である。凹部は、挿入部の外周面に沿って形成され、第1封止部材を収容する。第2封止部材は、凹部の底面の段差から第1封止部材までの間を封止する。
【0007】
本開示の例示的な第1継手によれば、第1継手は、シリンダ部材と、継手本体とを有する。継手本体は、中心軸線に沿って第2継手と連結する。
【0008】
本開示の例示的な管継手によれば、管継手は、蒸気第1継手と、蒸気第2継手とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のシリンダ部材、第1継手、及び管継手によれば、底面の段差とシール部材との間から液体が漏れることを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る第2継手を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る第1継手を示す斜視図である。
図4図4は、第1継手を示す分解斜視図である。
図5図5は、第1継手と第2継手とが連結した状態を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態に係る管継手のプラグ弁部を示す図である。
図7図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図7に示すプラグ弁部を拡大して示す図である。
図9図9は、中心軸線に沿ったプラグ弁部の凹部の断面を拡大して示す図である。
図10図10は、本実施形態に係る管継手のステム部を示す図である。
図11図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12は、図11に示すステム部の前端部を拡大して示す図である。
図13図13は、中心軸線に沿ったステム部の凹部の断面を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜記載している。
【0012】
本明細書では、第1継手の中心軸線AX1(例えば図3)に対して平行な方向を「軸方向AD1」と記載する。また、中心軸線AX1に対して直交する方向を「径方向RD1」と記載する。「径方向RD1」は、中心軸線AX1に直交する方向である限りにおいては、任意の方向であってよく、特に限定されない。また、中心軸線AX1を中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD1」と記載する。
【0013】
また、第2継手の中心軸線AX2(例えば図1)に対して平行な方向を「軸方向AD2」と記載する。また、中心軸線AX2に対して直交する方向を「径方向RD2」と記載する。「径方向RD2」は、中心軸線AX2に直交する方向である限りにおいては、任意の方向であってよく、特に限定されない。また、中心軸線AX2を中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD2」と記載する。
【0014】
また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。更に、本明細書において、「円環形状」、「円筒形状」、「円環状」、「筒形状」、「円形形状」、及び、「波形状」は、厳密な意味の形状を表すのではなく、例えば本開示における第1継手または第2継手の機能を実現できる程度の形状を含む。
【0015】
図1図5を参照して、本開示の実施形態に係る第1継手100及び第2継手200を説明する。まず、図1及び図2を参照して、第2継手200を説明する。
【0016】
図1は、本開示の実施形態に係る第2継手200を示す斜視図である。図1に示すように、第2継手200は、中心軸線AX2を有する。第2継手200は、中心軸線AX2に沿った軸方向AD2に延びる。第2継手200は、雄継手である。本実施形態において、第2継手200の「前」は、第1継手100(図3)に挿入される側を示す。第2継手200の「後」は、チューブTB2に挿入される側を示す。
【0017】
第2継手200は、プラグ部201と、接続部202とを有する。プラグ部201と接続部202とは軸方向AD2に連結される。プラグ部201は、「シリンダ部材」の一例に相当する。プラグ部201は、プラグ体203と、突起部204と、連結体205とを有する。
【0018】
プラグ体203は、円筒形状を有する。プラグ体203は、中心軸線AX2を有し、中心軸線AX2に沿った軸方向AD2に延びる。プラグ体203は、「筒部」の一例に相当する。プラグ体203の内部は、液体が流れる。
【0019】
突起部204は、第2継手200の外周面から突起する。具体的には、突起部204は、径方向RD2外側に向かって、プラグ体203の外周面から突起する。突起部204は、周方向CD2に沿って延びる。突起部204は、円環形状を有する。突起部204は、第2継手200の軸方向AD2の前端203aから後端206aに向かって、中心軸線AX2に対して拡がっている。つまり、突起部204の径は、第2継手200の前端203aから後端206aに向かって大きくなる。突起部204は、プラグ体203の軸方向AD2の後端部203b側に位置する。
【0020】
連結体205は、プラグ体203の後端部203bに接続される。連結体205とプラグ体203とは、単一の部材(一体成形品)として構成される。連結体205は円筒形状を有する。
【0021】
接続部202は、チューブTB2に接続される。具体的には、接続部202はチューブTB2に挿入される。接続部202は、挿入体206と、連結体207と、複数の突起212とを有する。挿入体206はチューブTB2に挿入される。挿入体206は、円筒形状を有する。突起212は、径方向RD2外側に向かって、挿入体206の外周面から突起する。突起212は、円環形状を有する。突起212の径は、第2継手200の軸方向AD2の後端206aから前端203aに向かって大きくなる。
【0022】
連結体207は、挿入体206の軸方向AD2の後端部206bに接続される。連結体207と挿入体206とは、単一の部材(一体成形品)として構成される。連結体207は円筒形状を有する。
【0023】
プラグ部201の連結体205が接続部202の連結体207に嵌る。その結果、プラグ部201と接続部202とが連結される。
【0024】
図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図2は、第2継手200が第1継手100から分離している状態を示す。つまり、第2継手200が第1継手100に連結されていない状態が示される。図2に示すように、プラグ部201は、プラグ弁部208と、弾性部材209と、シール部材210と、密閉部材211と、流路213とを更に有する。また、接続部202は流路214を更に有する。流路213、214は、軸方向AD2に沿って延びる。流路214の軸方向AD2の前端は、流路213の軸方向AD2の後端に接続される。つまり、流路213と流路214とは繋がっている。
【0025】
プラグ弁部208は、プラグ体203の内部に挿入される。つまり、プラグ弁部208は、中心軸線AX2に沿った軸方向AD2に延びる。プラグ弁部208は、「挿入部」の一例に相当する。
【0026】
プラグ弁部208は、プラグ体203の前端203a側において、流路213に配置される。プラグ弁部208は、弾性部材209によって、プラグ体203の後端部203b側から前端203a側に押されている。プラグ弁部208は、プラグ体203の前端203a側において、流路213を塞ぐ。
【0027】
プラグ弁部208は、環状の凹部280を有する。凹部280は、プラグ弁部208の外周面に沿って形成される。凹部280は、プラグ弁部208の外周面から径方向RD2内側に凹み、周方向CD2に延びる。凹部280は、シール部材210を収容する。
【0028】
シール部材210は、プラグ弁部208の外周面に取り付けられる。具体的には、シール部材210は、凹部280に収容される。シール部材210は、「第1封止部材」の一例に相当する。シール部材210は、弾性体であり、円環形状を有する。シール部材210は、例えば、「Oリング」である。シール部材210は、例えば、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴムなどで形成される。シール部材210は、プラグ体203とプラグ弁部208との間を封止する。
【0029】
具体的には、シール部材210は、プラグ体203の前端203a側において、流路213をシールする。シール部材210は、プラグ体203の内周面と接触することで、変形する。変形したシール部材210は、反発力によりシール部材210とプラグ体203との隙間をシールする。また、流体の圧力によってもシール部材210は変形する。流体の圧力によってシール部材210が隙間に押し付けられることによって、隙間から液体が漏れることを抑制できる。
【0030】
弾性部材209は、流路213に配置される。弾性部材209は弾性を有する。弾性部材209は、例えば、圧縮コイルバネである。連結体205の外周面には、密閉部材211が取り付けられる。密閉部材211は、弾性体であり、円環形状を有する。密閉部材211は、連結体205の外周面と連結体207の内周面との間をシールする。
【0031】
次に、図3図6を参照して、第1継手100を説明する。図3は、本実施形態に係る第1継手100を示す斜視図である。図4は、第1継手100を示す分解斜視図である。
【0032】
図3及び図4に示すように、第1継手100は、中心軸線AX1を有する。第1継手100は、中心軸線AX1に沿った軸方向AD1に延びる。第1継手100は、雌継手である。第1継手100は中心軸線AX1に沿って第2継手200(図1)に連結される。本実施形態において、第1継手100の「前」は、第2継手200が挿入される側を示す。第1継手100の「後」は、チューブTB1に挿入される側を示す。
【0033】
第1継手100は、第1継手本体1と、作動部71と、弾性部材11とを有する。具体的には、第1継手100は、作動部材7を有する。そして、作動部材7が作動部71を有する。第1継手本体1は、軸方向AD1に沿って延びる。第1継手本体1は、中心軸線AX1に沿って第2継手200(図1)と連結する。作動部材7は、作業者に操作されることで、第1継手本体1と第2継手200との連結状態を、ロック状態と非ロック状態との間で切り替える。ロック状態は、第1継手本体1と第2継手200との連結が解除不可能な状態を示す。非ロック状態は、第1継手本体1と第2継手200との連結が解除可能な状態を示す。弾性部材11は作動部材7を支持する。一例として、作動部材7(作動部71)と弾性部材11とで押しボタンが構成される。
【0034】
具体的には、第1継手本体1は、ソケット部5と、接続部9とを有する。ソケット部5と接続部9とは軸方向AD1に連結される。ソケット部5には、第2継手200のプラグ部201(図1)が挿入される。ソケット部5は、「シリンダ部材」の一例に相当する。
【0035】
ソケット部5は、ソケット体50を有する。ソケット体50には、第2継手200のプラグ体203(図1)が挿入される。ソケット体50は筒形状を有する。
【0036】
ソケット体50は、開口51を有する。開口51は円形形状を有する。開口51は、ソケット体50の前端5a側に位置する。開口51は軸方向AD1に開口している。
【0037】
引き続き図3及び図4を参照して、接続部9はチューブTB1に接続される。具体的には、接続部9はチューブTB1に挿入される。接続部9は、挿入体91と、連結体92と、複数の突起93とを有する。挿入体91はチューブTB1に挿入される。挿入体91は、円筒形状を有する。突起93は、径方向RD1外側に向かって、挿入体91の外周面から突起する。突起93は、円環形状を有する。突起93の径は、第1継手100の軸方向AD1の後端91aから前端5aに向かって大きくなる。
【0038】
連結体92はソケット部5に連結される。連結体92は、挿入体91の軸方向AD1の後端部91bに接続される。連結体92と挿入体91とは、単一の部材(一体成形品)として構成される。連結体92は円筒形状を有する。
【0039】
次に、図4を参照して、第1継手100の内部構造を説明する。図4は、図3のV-V線に沿った断面図である。図4は、第1継手100が第2継手200から分離している状態を示す。つまり、第1継手100が第2継手200に連結されていない状態が示される。
【0040】
図4に示すように、ソケット部5は、連結体55と、ソケット弁部56と、ステム部57と、弾性部材58と、シール部材610、密閉部材59、61、65と、流路62と、プラグ配置部63とを更に有する。プラグ配置部63には、プラグ体203(図1)が配置される。具体的には、プラグ配置部63はプラグ配置空間67を有する。そして、プラグ配置空間67にプラグ体203が配置される。また、プラグ配置部63は突起配置部66を有する。突起配置部66には、プラグ体203の突起部204(図1)が配置される。また、接続部9は流路94を更に有する。
【0041】
流路94、62及びプラグ配置空間67は、軸方向AD1に沿って延びる。流路94の軸方向AD1の前端は、流路62の軸方向AD1の後端に接続される。つまり、流路94と流路62とは繋がっている。また、流路62の軸方向AD1の前端は、プラグ配置空間67の軸方向AD1の後端に接続される。つまり、流路62とプラグ配置空間67とは繋がっている。プラグ配置空間67の軸方向AD1の前端は、開口74に接続される。つまり、プラグ配置空間67は開口74に繋がっている。また、開口74は、軸方向AD1において、開口51と繋がっている。
【0042】
ソケット部5の連結体55が接続部9の連結体92に嵌る。その結果、ソケット部5と接続部9とが連結される。
【0043】
ソケット弁部56は円筒形状を有する。ソケット弁部56は、中心軸線AX1を有し、中心軸線AX1に沿った軸方向AD1に延びる。ソケット弁部56は、「筒部」の一例に相当する。ソケット弁部56の内部は、液体が流れる。ソケット弁部56は、プラグ配置空間67の後端部分に配置される。ソケット弁部56は、弾性部材58によって、ソケット体50の張出部64側から前端5a側に押されている。ソケット弁部56は、プラグ配置空間67の後端部分を塞ぐ。プラグ配置空間67には、密閉部材65が配置される。密閉部材65は、弾性体であり、円環形状を有する。密閉部材65がソケット弁部56の外周面に接触することで、プラグ配置空間67の後端部分がシールされる。
【0044】
ステム部57は、ソケット弁部56の内部に挿入される。ステム部57は、中心軸線AX1に沿った軸方向AD1に沿って延びる。ステム部57は、「挿入部」の一例に相当する。
【0045】
ステム部57の軸方向AD1の前端部57aは、プラグ配置空間67の後端部分に配置される。図4の例では、前端部57aは、ソケット弁部56の内部に配置される。
【0046】
ステム部57は、環状の凹部570を有する。凹部570は、ステム部57の前端部57aの外周面に沿って形成される。凹部570は、ステム部57の前端部57aの外周面から径方向RD1内側に凹み、周方向に延びる。凹部570は、シール部材610を収容する。
【0047】
シール部材610は、ステム部57の外周面に取り付けられる。具体的には、シール部材610は、凹部570に収容される。シール部材610は、「第1封止部材」の一例に相当する。シール部材610は弾性体であり、円環形状を有する。シール部材610は、弾性体であり、円環形状を有する。シール部材610は、例えば、「Oリング」である。シール部材610は、例えば、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴムなどで形成される。シール部材610は、ステム部57とソケット弁部56との間を封止する。
【0048】
具体的には、シール部材610は、ステム部57の外周面とソケット弁部56の内周面との間をシールする。シール部材610は、ソケット弁部56の内周面と接触することで、変形する。変形したシール部材610は、反発力によりシール部材610とソケット弁部56との隙間をシールする。また、流体の圧力によってもシール部材610は変形する。流体の圧力によってシール部材610が隙間に押し付けられることによって、隙間から液体が漏れることを抑制できる。
【0049】
また、密閉部材61がプラグ配置空間67に配置される。密閉部材61は、密閉部材65よりもソケット体50の前端5a側に配置される。
【0050】
弾性部材58は、流路62に配置される。弾性部材58は弾性を有する。弾性部材58は、例えば、圧縮コイルバネである。連結体55の外周面には、密閉部材59が取り付けられる。
【0051】
密閉部材59は、弾性体であり、円環形状を有する。密閉部材59は、連結体55の外周面と連結体92の内周面との間をシールする。
【0052】
次に、図5を参照して、第1継手100と第2継手200とが連結した状態を説明する。図5は、第1継手100と第2継手200とが連結した状態を示す断面図である。第1継手100と第2継手200とが連結した状態では、第1継手100の中心軸線AX1と第2継手200の中心軸線AX2とが一致する。したがって、軸方向AD1と軸方向AD2とが一致し、径方向RD1と径方向RD2とが一致し、周方向CD1と周方向CD2とが一致する。
【0053】
図5に示すように、第1継手100と第2継手200とは管継手300を構成する。つまり、管継手300は、第1継手100と、第2継手200とを有する。
【0054】
プラグ体203が、ソケット体50に挿入されると、プラグ体203の軸方向AD1の前端203aと、ソケット弁部56の軸方向AD1の前端56aとが接触する。したがって、プラグ体203によってソケット弁部56が、軸方向AD1の一方側D11から他方側2に向かって移動する。同時に、ソケット体50へのプラグ体203の挿入によって、ステム部57の軸方向AD1の前端部57aと、プラグ弁部208の軸方向AD1の前端部280bとが接触する。したがって、プラグ弁部208は、軸方向AD1の他方側D12から一方側D11に移動する。その結果、プラグ部201の流路213とソケット部5の流路62とが繋がる。よって、第1継手100と第2継手200との間で液体が流通する。
【0055】
次に、図2、及び、図5図9を参照して、プラグ弁部208を更に詳しく説明する。図6は、本実施形態に係る管継手300のプラグ弁部208を示す図である。図6では、プラグ体203等を省略し、プラグ弁部208のみを示す。図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図である。図8は、図7に示すプラグ弁部208を拡大して示す図である。図9は、中心軸線AX2に沿ったプラグ弁部208の凹部280の断面を拡大して示す図である。
【0056】
図6に示すように、凹部280は、底面281と、一対の側面282とを有する。底面281は、中心軸線AX2に沿う面である。本実施形態では、底面281は、中心軸線AX2に平行である。底面281は、プラグ弁部208の外周面から径方向RD2内側に凹む凹部280の、径方向RD2内側端に位置する面であり、周方向CD2に延びる。
【0057】
底面281は、段差285を有する。段差285は、中心軸線AX2に沿って延びる。段差285は、例えば、射出成型時に金型の分割面に生じるパーティングラインや、パーティングラインに発生したバリである。段差285は、中心軸線AX2に沿って延びる窪みと、中心軸線AX2に沿って延びる突起とのうちの少なくとも一方を含む。また、底面281は、複数の段差285を有していてもよい。段差285は、金型の分割数によって異なる。また、段差285は、例えば、上述のパーティングラインやバリを除くなどの目的で、切削加工などの加工や表面処理をされた際に底面281に残る痕であってもよい。
【0058】
一対の側面282は、中心軸線AX2に交差する。一対の側面282は、「一対の面」の一例に相当する。一対の側面282は、底面281から径方向RD2に延びる。
【0059】
また、図7図8とに示すように、プラグ弁部208は、シール部材220を有する。シール部材220は、「第2封止部材」の一例に相当する。シール部材220は、底面281の段差285からシール部材210までの間を封止する。したがって、底面281の段差285とシール部材210との間隙をシールできる。この結果、底面281の段差285とシール部材210との間から液体が漏れることを低減できる。
【0060】
また、段差285が底面281にあってもシール部材220により液体の漏れを抑制できるため、段差285の加工作業を省略できる。更に、段差285が底面281にあってもシール部材220により液体の漏れを抑制できるため、プラグ弁部208の製造で要求される加工精度が易しくなる。この結果、プラグ弁部208の生産性が向上する。
【0061】
一般的に、例えば、底面に突起がある場合、突起によってO-リングの一部が底面から離隔し、O-リングが底面に密着しない。このため、O-リングと底面との間に間隙が生じる。つまり、間隙から液体が漏れる。よって、シール性が十分でない。
【0062】
一方、本開示の発明によれば、シール部材210と段差285との間をシール部材220が封止する。これにより、シール部材210と段差285との間に間隙が生じることを抑制できる。この結果、プラグ体203とプラグ弁部208との間から液体が漏れることを抑制できる。
【0063】
シール部材220は、封止材を有する。例えば、封止材は、接着剤を含む。一例では、接着剤は、エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂により、低温硬化性、柔軟性及び破壊に対する耐力を実現できる。接着剤の具体例は、AE-780を含む。あるいは、接着剤は、NB3041Bを含む。よって、シール部材220は、シール部材210と底面281とを接着できる。したがって、シール部材210と底面281との間隙をシール部材220が塞ぐ。更に、パーティングラインである段差285には、シール部材220である接着剤が塗布されるため、シール部材210と段差285との間隙をシール部材220が塞ぐ。よって、パーティングラインである段差285を加工しなくてもシール部材210と底面281との間から液体が漏れることを抑制できる。このため、シール部材220によって段差285の加工作業を省略できる。また、厳しい加工精度が要求されなくなる。よって、プラグ弁部208の生産性が向上する。
【0064】
また、シール部材220は、中心軸線AX2に交差する方向に配置される。シール部材220は、底面281の外周に沿う環形状を有する。つまり、シール部材220は、底面281の外周に沿って途切れなく配置される。したがって、底面281に複数の段差285がある場合でも底面281の段差285とシール部材210との間隙をシールできる。この結果、底面281の段差285とシール部材210との間から液体が漏れることを更に低減できる。
【0065】
シール部材220は、凹部280の底面281からシール部材210までの間を更に封止する。したがって、段差285以外の箇所でシール部材210と底面281との間に生じた間隙をシール部材220が封止できる。この結果、底面281とシール部材210との間から液体が漏れることを更に低減できる。
【0066】
また、シール部材210とシール部材220とが接触する面積が増加する。具体的には、周方向CD2の全周にわたってシール部材220はシール部材210と接触する。また、周方向CD2の全周にわたってシール部材220は底面281と接触する。これにより、プラグ弁部208が軸方向AD2に沿って移動した際に、シール部材210が軸方向AD2に沿って移動することを抑制できる。よって、シール部材210の位置ズレを抑制し、シール部材210が凹部280から脱落することを抑制できる。更に、プラグ弁部208が軸方向AD2に沿って移動した際に、シール部材210が回転することを抑制できる。つまり、シール部材210に発生するねじれを抑制できる。ねじれに起因して、シール部材210とプラグ体203の内周面とに間隙が形成されることを抑制できる。
【0067】
また、図9に示すように、中心軸線AXに沿った断面において、シール部材220は底面281のうちシール部材210と重なる位置に配置される。したがって、シール部材210と重なる部分だけにシール部材220である接着剤が塗布される。つまり中心軸線AX2に沿う方向にシール部材210が配置される範囲を過剰に超えて接着剤が塗布されることを抑制できる。この結果、シール部材210の変形をシール部材220が妨げることを抑制できる。
【0068】
図9に示すように、中心軸線AX2に沿った断面において、シール部材220はシール部材210の外周面のうち半分以下の外周面と接触する。また、径方向RD2に沿う方向におけるシール部材220の長さは、径方向RD2に沿う方向におけるシール部材210の長さの3分の1の長さ以下である。径方向RD2に沿う方向は、「第1方向」に相当する。径方向RD2に沿う方向は、プラグ体203の径方向RD2外側に向かう方向を示す。
【0069】
シール部材220の弾性率は、シール部材210の弾性率よりも大きい。換言すると、シール部材210の弾性率は、シール部材220の弾性率よりも小さい。よって、径方向RD2内側に外力が加わった場合、シール部材210は、シール部材220よりも変形する。したがって、径方向RD2内側に外力が加わったときに、シール部材210はシール部材220の形状に合わせて変形する。更に、シール部材210の外周面に沿うシール部材220の長さが、シール部材210の外周面の長さの半分以下となるため、シール部材210の変形をシール部材210が妨げることを抑制できる。よって、シール部材210を覆うようにシール部材220が変形することが容易となる。この結果、プラグ体203とプラグ弁部208との間に生じる摺動抵抗を小さくできる。
【0070】
また、図9に示すように、シール部材220は、第1部分221と、一対の第2部分222とを有する。第1部分221は、底面281からシール部材210の外周面までの距離が第1距離L1となる部分である。第2部分222は、底面281からシール部材210の外周面までの距離が第2距離L2となる部分である。第2距離L2は、径方向RD2に沿う方向におけるシール部材210の長さの3分の1の長さ以下である。また、第2距離L2は、第1距離L1よりも長い。第1部分221は、一対の第2部分222の間に位置する。したがって、シール部材210は、第1部分221と一対の第2部分222とに接着される。この結果、シール部材210の位置ズレを抑制しつつ、シール部材210の変形を許容できる。
【0071】
また、シール部材220の長さL3は、シール部材210の長さL1の3分の1よりも短い。長さL1は、径方向RD2に沿ったシール部材210の長さである。よって、シール部材220を覆うようにシール部材210が変形することが容易となる。この結果、シール部材210とプラグ体203の内周面との間に過度な摩擦が発生することを抑制できる。
【0072】
シール部材220は、一対の側面282のうちの少なくとも一方の側面282から離隔する。シール部材220が側面282から離隔するため、シール部材210は一対の側面282のうちの少なくとも一方から離隔する。つまり、径方向RD2内側に外力が加わった場合、シール部材210は離隔している側面282側に向かって変形できる。よって、シール部材210が変形できる空間を設けることができる。この結果、シール部材210の変形が容易となり、シール部材210とプラグ体203の内周面との間に過度な摩擦が発生することを更に抑制できる。
【0073】
次に、図4図10~13を参照して、ステム部57を詳しく説明する。図10は、本実施形態に係る管継手300のステム部57を示す図である。図10では、ソケット体50等を省略し、ステム部57のみを示す。図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。図12は、図11に示すステム部57の前端部57aを拡大して示す図である。図13は、中心軸線AX1に沿ったステム部57の凹部570の断面を拡大して示す図である。
【0074】
図10に示すように、凹部570は、底面571と、一対の側面572とを有する。底面571は、中心軸線AX1に沿う面である。本実施形態では、底面571は、中心軸線AX1に平行である。底面571は、ステム部57の前端部57aの外周面から径方向RD1内側に凹む凹部570の、径方向RD1内側端に位置する面であり、周方向CD1に延びる。
【0075】
底面571は、段差575を有する。段差575は、中心軸線AX1に沿って延びる。段差575は、例えば、射出成型時に金型の分割面に生じるパーティングラインや、パーティングラインに発生したバリである。段差575は、中心軸線AX1に沿って延びる窪みと、中心軸線AX1に沿って延びる突起とのうちの少なくとも一方を含む。また、底面571は、複数の段差575を有していてもよい。また、段差575は、例えば、上述のパーティングラインやバリを除くなどの目的で、切削加工などの加工や表面処理をされた際に底面571に残る痕であってもよい。
【0076】
一対の側面572は、中心軸線AX1に交差する。一対の側面572は、「一対の面」の一例に相当する。一対の側面572は、底面571から径方向RD1に延びる。
【0077】
また、図11図12とに示すように、ステム部57の前端部57aは、シール部材620を有する。シール部材620は、「第2封止部材」の一例に相当する。シール部材620は、底面571の段差575からシール部材610までの間を封止する。したがって、底面571の段差575とシール部材610との間隙をシールできる。この結果、底面571の段差575とシール部材610との間から液体が漏れることを低減できる。
【0078】
また、段差575が底面571にあってもシール部材220により液体の漏れを抑制できるため、段差575の加工作業を省略できる。更に、段差575が底面571にあってもシール部材620により液体の漏れを抑制できるため、ステム部57の製造で要求される加工精度が易しくなる。この結果、ステム部57の生産性が向上する。
【0079】
一般的に、例えば、底面に窪みがある場合、窪みによってO-リングの一部が底面から離隔し、O-リングが底面に密着しない。このため、O-リングと底面との間に間隙が生じる。つまり、間隙から液体が漏れる。よって、シール性が十分でない。
【0080】
一方、本開示の発明によれば、シール部材610と段差575の窪みとの間をシール部材620が封止する。これにより、シール部材610と段差575の窪みとの間に間隙が生じることを抑制できる。この結果、ソケット弁部56とステム部57の前端部57aとの間から液体が漏れることを抑制できる。
【0081】
シール部材620は、封止材を有する。例えば、封止材は、接着剤を含む。よって、シール部材620は、シール部材610と底面571とを接着できる。したがって、シール部材610と底面571との間隙をシール部材620が塞ぐ。更に、パーティングラインである段差575には、シール部材620である接着剤が塗布されるため、シール部材610と段差575との間隙をシール部材620が塞ぐ。よって、パーティングラインである段差575を加工しなくてもシール部材610と底面571との間から液体が漏れることを抑制できる。このため、シール部材620によって段差575の加工作業を省略できる。また、厳しい加工精度が要求されなくなる。よって、ステム部57の生産性が向上する。
【0082】
また、シール部材620は、中心軸線AX1に交差する方向に配置される。シール部材620は、底面571の外周に沿う環形状を有する。つまり、シール部材620は、底面571の外周に沿って途切れなく配置される。したがって、底面571に複数の段差575がある場合でも底面571の段差575とシール部材610との間隙をシールできる。この結果、底面571の段差575の窪みとシール部材610との間から液体が漏れることを更に低減できる。
【0083】
シール部材620は、凹部570の底面571からシール部材610までの間を更に封止する。したがって、段差575の窪み以外の箇所でシール部材610と底面571との間に生じた間隙をシール部材620が封止できる。この結果、底面571とシール部材610との間から液体が漏れることを更に低減できる。
【0084】
また、シール部材610とシール部材620とが接触する面積が増加する。具体的には、周方向CD1の全周にわたってシール部材620はシール部材610と接触する。また、周方向CD1の全周にわたってシール部材620は底面571と接触する。これにより、ソケット弁部56が軸方向AD1に沿って移動した際に、シール部材610が軸方向AD2に沿って移動することを抑制できる。よって、シール部材610の位置ズレを抑制し、シール部材610が凹部570から脱落することを抑制できる。更に、ソケット弁部56が軸方向AD1に沿って移動した際に、シール部材610が回転することを抑制できる。つまり、シール部材610の回転によってシール部材610に発生するねじれを抑制できる。ねじれに起因して、シール部材610とソケット弁部56の内周面とに間隙が形成されることを抑制できる。
【0085】
図12に示すように、中心軸線AX1に沿った断面において、シール部材620はシール部材610の外周面のうち半分以下の外周面と接触する。また、径方向RD1に沿う方向におけるシール部材620の長さは、径方向RD1に沿う方向におけるシール部材610の長さの3分の1の長さ以下である。径方向RD1に沿う方向は、「第1方向」に相当する。径方向RD1に沿う方向は、ソケット弁部56の径方向RD1外側に向かう方向を示す。
【0086】
シール部材620の弾性率は、シール部材610の弾性率よりも大きい。換言すると、シール部材610の弾性率は、シール部材620の弾性率よりも小さい。よって、径方向RD1内側に外力が加わった場合、シール部材610は、シール部材620よりも変形する。したがって、径方向RD1内側に外力が加わったときに、シール部材610はシール部材620の形状に合わせて変形する。更に、シール部材610の外周面に沿うシール部材620の長さが、シール部材610の外周面の長さの半分以下となるため、シール部材610の変形をシール部材610が妨げることを抑制できる。よって、シール部材610を覆うようにシール部材620が変形することが容易となる。この結果、ソケット弁部56とステム部57との間に生じる摺動抵抗を小さくできる。
【0087】
また、図13に示すように、シール部材620は、第1部分621と、一対の第2部分622とを有する。第1部分621は、底面581からシール部材610の外周面までの距離が第5距離L5となる部分である。第2部分622は、底面581からシール部材610の外周面までの距離が第6距離L6となる部分である。第6距離L6は、径方向RD1に沿う方向におけるシール部材610の長さの3分の1の長さ以下である。第6距離L6は、第5距離L5よりも長い。また、第1部分621は、一対の第2部分622の間に位置する。したがって、シール部材610は、第1部分621と一対の第2部分622とに接着される。この結果、シール部材610の位置ズレを抑制しつつ、シール部材610の変形を許容できる。
【0088】
また、シール部材620の長さL6は、シール部材610の長さL4の3分の1よりも短い。長さL4は、径方向RD1に沿ったシール部材610の長さである。よって、シール部材620を覆うようにシール部材610が変形することが容易となる。この結果、シール部材210とプラグ体203の内周面との間に過度な摩擦が発生することを抑制できる。
【0089】
シール部材620は、一対の側面572のうちの少なくとも一方の側面572から離隔する。シール部材620が側面572から離隔するため、シール部材610は一対の側面572のうちの少なくとも一方から離隔する。つまり、径方向RD1内側に外力が加わった場合、シール部材610は離隔している側面572側に向かって変形できる。よって、シール部材610が変形できる空間を設けることができる。この結果、シール部材610の変形が容易となり、シール部材610とソケット弁部56の内周面との間に過度な摩擦が発生することを更に抑制できる。
【0090】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
本実施形態では、管継手300の第1継手100と第2継手200とを例に本開示を説明したが、これに限らない。例えば、筒状の本体部と、本体部に挿入される弁体と、本体部と弁体との間を封止する第1封止部材とを有するシリンダ部材であってもよい。筒状の本体部は、内部を液体が流れる。弁体は、本体部の内部に挿入される。弁体は、第1封止部材を収容する環状の凹部と、第2封止部材とを有する。第2封止部材は、環状の凹部の底面の段差から第1封止部材までの間を封止する。このような構成によっても、底面の段差と第1封止部材との間隙をシールできる。この結果、底面の段差と第1封止部材との間から液体が漏れることを低減できる。
【0092】
本実施形態の管継手は、樹脂と金属とを組み合わせて形成されていたがこれに限らない。つまり、管継手は金属で形成されていてもよいし、樹脂で形成されてもよい。また同様に、段差285や段差575は、樹脂で形成されていてもよく、金属で形成されていてもよい。本開示は樹脂成型品に段差285や段差575がある場合であっても、シール性を向上させることができる。また、本開示は金属加工品に段差285や段差575がある場合であっても、シール性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態ではシール部材220は環形状であったが、これに限らない。シール部材220は、底面281の形状に応じて形状が変形される。例えば、図7に示すように、底面281が円形状である場合、シール部材220の形状は環形状となる。また、底面281が矩形である場合、シール部材220の形状は、矩形状となる。なお、本実施形態のシール部材620もシール部材220と同様に、環形状に限らない。
【0094】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0095】
(1)中心軸線を有し、前記中心軸線に沿った軸方向に延び、液体が流れる筒部と、
前記中心軸線に沿って延び、前記筒部の内部に挿入される挿入部と、
前記筒部と前記挿入部との間を封止する第1封止部材と
を有し、
前記挿入部は、
前記挿入部の外周面に沿って形成され、前記第1封止部材を収容する環状の凹部と、
前記凹部の底面の段差から前記第1封止部材までの間を封止する第2封止部材と
を有する、シリンダ部材。
【0096】
(2)前記底面の段差は、前記中心軸線に沿って延びる窪みと、前記中心軸線に沿って延びる突起とのうちの少なくとも一方を有し、
前記第2封止部材は、前記中心軸線に交差する方向に配置され、前記底面の外周に沿う環形状を有する、(1)に記載のシリンダ部材。
【0097】
(3)前記第2封止部材は、前記底面から前記第1封止部材までの間を更に封止する、(1)または(2)に記載のシリンダ部材。
【0098】
(4)前記第2封止部材は、前記底面のうち前記第1封止部材と重なる位置に配置される、(1)から(3)のいずれかに記載のシリンダ部材。
【0099】
(5)前記中心軸線に沿った断面において、前記第2封止部材は前記第1封止部材の外周面のうち半分以下の外周面と接触し、
前記第1封止部材の弾性率は、前記第2封止部材の弾性率よりも小さい、(1)から(4)のいずれかに記載のシリンダ部材。
【0100】
(6)第1方向における前記第2封止部材の長さは、前記第1方向における前記第1封止部材の長さの3分の1の長さ以下であり、
前記第1方向は、前記筒部の径方向外側に向かう方向を示し、
前記第1封止部材の弾性率は、前記第2封止部材の弾性率よりも小さい、(1)から(4)のいずれかに記載のシリンダ部材。
【0101】
(7)前記第2封止部材は、
前記底面から前記第1封止部材の外周面までの距離が第1距離となる第1部分と、
前記第1距離よりも長い第2距離となる一対の第2部分と
を有し、
前記第1部分は、前記一対の第2部分の間に位置する、(1)から(6)のいずれかに記載のシリンダ部材。
【0102】
(8)前記凹部は、前記中心軸線に交差する一対の面を有し、
前記第1封止部材は、前記一対の面のうち少なくとも一方の面から離隔し、
(1)から(7)のいずれかに記載のシリンダ部材。
【0103】
(9)前記第2封止部材は、前記一対の面のうち少なくとも一方の面から離隔する、(8)に記載のシリンダ部材。
【0104】
(10)(1)から(9)のいずれかに記載のシリンダ部材と、
前記中心軸線に沿って第2継手と連結する継手本体と
を有する、第1継手。
【0105】
(11)(10)に記載の第1継手と、
前記第2継手と
を有する、菅継手。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示は、シリンダ部材、第1継手、及び管継手を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0107】
5 :ソケット部(シリンダ部材)
56 :ソケット弁部(筒部)
57 :ステム部(挿入部)
57a :前端部
100 :第1継手
200 :第2継手
201 :プラグ部(シリンダ部材)
203 :プラグ体(筒部)
208 :プラグ弁部(挿入部)
210 :シール部材(第1封止部材)
220 :シール部材(第2封止部材)
221 :第1部分
222 :第2部分
280 :凹部
281 :底面
285 :段差
570 :凹部
571 :底面
575 :段差
581 :底面
610 :シール部材(第1封止部材)
620 :シール部材(第2封止部材)
621 :第1部分
622 :第2部分
AD1 :軸方向
AD2 :軸方向
AX1 :中心軸線
AX2 :中心軸線
L1 :第1距離
L2 :第2距離
RD1 :径方向
RD2 :径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13