(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145902
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】掘削装置および掘削装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20241004BHJP
E21B 11/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058483
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】595067442
【氏名又は名称】システム計測株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512064619
【氏名又は名称】株式会社オトワコーエイ
(71)【出願人】
【識別番号】512256454
【氏名又は名称】KSコンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】久保 豊
(72)【発明者】
【氏名】小島 一彦
(72)【発明者】
【氏名】北岡 茂樹
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB16
2D129BA03
2D129BA07
2D129DA12
2D129DC23
2D129EA11
2D129EB13
(57)【要約】
【課題】コンパクトで簡素な構造を有し、ケリーバを容易かつ確実に地面に立設された固定台に同心で配置できる掘削装置を提供する。
【解決手段】ベースフレームと、ベースフレームに軸支され、鉛直方向に垂下される軸状のケリーバと、ベースフレームに設けられた原動機と、ベースフレームに設けられ、専らケリーバに対して原動機の回転トルクを伝達するケリーバ回転駆動機構と、地面に立設された固定台の上端に、ベースフレームを着脱可能に設置する設置装置と、を備え、設置装置は、基端側がベースフレームに設けられ、ケリーバの回転中心側から半径方向に外側に向かって突出し、かつ固定台の周方向に均等割された位置に配される複数本の支持腕部と、固定台の上端に設けられ、支持腕部を周方向に均等な位置で固定する均等位置固定部とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削位置の上方に配置されるベースフレームと、
前記ベースフレームに軸支され、鉛直方向に垂下される軸状のケリーバと、
前記ベースフレームに設けられた原動機と、
前記ベースフレームに設けられ、専ら前記ケリーバに対して前記原動機の回転トルクを伝達するケリーバ回転駆動機構と、
地面に立設された固定台の上端に、前記ベースフレームを着脱可能に設置する設置装置と、を備え、
前記設置装置は、
基端側が前記ベースフレームに設けられ、前記ケリーバの回転中心側から半径方向に外側に向かって突出し、かつ仮想水平面に含まれる前記固定台の周方向に均等割された位置に配される複数本の支持腕部と、
前記固定台の上端に設けられ、前記支持腕部を前記周方向に均等な位置で固定する均等位置固定部と、
を備えた掘削装置。
【請求項2】
前記固定台は、地面に設けられた穴に挿入され、地面から上部が突出するケーシングチューブである
請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記設置装置の前記支持腕部は、三本である
請求項2に記載の掘削装置。
【請求項4】
各前記支持腕部は、前記ケリーバの回転中心に対してそれぞれ等距離で設けられ、前記ケーシングチューブ内へ挿入される際に前記ケリーバの回転中心を前記ケーシングチューブの中心に一致させるガイド部を
備えた請求項2または3に記載の掘削装置。
【請求項5】
各前記ガイド部は、前記ケーシングチューブに対向する側が凸となった円弧状部を含んで上下方向に延在する板状体と、
前記支持腕部の下部に組付けられて上下方向に垂下する垂下支持部と、
前記板状体と前記垂下支持部との間に設けられ、前記板状体の前記円弧状部を前記ケリーバの中心側から半径方向の外側に向かって付勢する付勢部と、を備え、
前記板状体は、下部が前記垂下支持部で支持されるととともに、上端部が自由端であり、
前記板状体における自由端となった前記上端部および前記垂下支持部で支持された前記下部が、前記円弧状部において前記ケーシングチューブの内壁に接する接触部よりも、前記半径方向の内側にある
請求項4に記載の掘削装置。
【請求項6】
請求項4に記載の掘削装置を使ってケーシングチューブに設置する掘削装置の設置方法であって、
複数本の支持腕部を、前記ケーシングチューブに円周方向に沿って均等に配置する均等配置工程と、
前記ケリーバの回転中心を前記ケーシングチューブの中心に一致させる同心位置決め工程と、
を備えた掘削装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地面に杭井を掘削する掘削装置およびその掘削装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に縦穴を掘削し、その中に鉄筋篭を建て込み、コンクリートを打設することで杭を築造する様々な工法が知られている。これらの工法において、縦穴を掘るケリーバと、掘った穴の内壁を補強するケーシングチューブ(固定台)とが使われている。
特許文献1には、ケリーバとケーシングチューブとを一体に設け、ケリーバの回転と、ケーシングチューブの回転とを、一つの駆動装置によって行う掘削装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に、ケーシングチューブの回転トルクは、ケリーバの回転トルクの二~三倍以上必要であるため、ケーシングでは低回転で高トルク、ケリーバでは高回転で低トルクにさせるための複雑な機構を必要とした。
一方、ケリーバとケーシングチューブとを、別体に設けた場合、重量のあるケリーバを、地面に突設された筒状の固定台であるケーシングチューブにクレーン等で同心に配置して固定する作業は非常に繁雑であった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクトで簡素な構造を有し、ケリーバを、容易かつ確実に地面に立設された固定台に同心で配置して固定できる掘削装置およびその設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様の掘削装置によれば、掘削位置の上方に配置されるベースフレームと、前記ベースフレームに軸支され、鉛直方向に垂下される軸状のケリーバと、前記ベースフレームに設けられた原動機と、前記ベースフレームに設けられ、専ら前記ケリーバに対して前記原動機の回転トルクを伝達するケリーバ回転駆動機構と、地面に立設された固定台の上端に、前記ベースフレームを着脱可能に設置する設置装置と、を備えている。
【0007】
前記設置装置は、基端側が前記ベースフレームに設けられ、前記ケリーバの回転中心側から半径方向に外側に向かって突出し、かつ仮想水平面に含まれる前記固定台の周方向に均等割された位置に配される複数本の支持腕部と、前記固定台の上端に設けられ、前記支持腕部を前記周方向に均等な位置で固定する均等位置固定部と、を備えている。
【0008】
これによれば、地面に立設された固定台の上端において、ケリーバを容易かつ確実に偏らない均等な位置に配置することができる。
【0009】
本発明の第二の態様の掘削装置によれば、第一の態様の掘削装置において、前記固定台は、地面に設けられた穴に挿入され、地面から上部が突出するケーシングチューブである。
これによれば、地面に設けられた穴に挿入されたケーシングチューブの上端において、ケリーバを容易かつ確実に偏らない均等な位置に配置することができる。
【0010】
本発明の第三の態様の掘削装置によれば、第二の態様の掘削装置において、前記設置装置の前記支持腕部は、三本である。
【0011】
これによれば、ケーシングチューブの円周方向に均等割された位置に配された支持腕部が三本場合、一本の支持腕部がその延在する方向に沿ってずれるのを、他の二本の支持腕部が抑制するので、ケリーバの回転中心をケーシングチューブの中心に一致させた状態を容易に維持することができる。
【0012】
本発明の第四の態様の掘削装置によれば、第二または第三の態様の掘削装置において、各前記支持腕部に前記ケリーバの回転中心に対してそれぞれ等距離で設けられ、前記ケーシングチューブ内へ挿入される際に前記ケリーバの回転中心を前記ケーシングチューブの中心に一致させるガイド部を備えている。
【0013】
これによれば、ケリーバの回転中心を容易かつ確実にケーシングチューブの中心に一致させることができる。そして、ケリーバを効率的に回転可能となり、ケリーバ専用のモータに求められる出力を低減して小型化を図ることができる。
【0014】
本発明の第五の態様の掘削装置によれば、第四の態様の掘削装置において、各前記ガイド部は、前記ケーシングチューブに対向する側が凸となった円弧状部を含んで上下方向に延在する板状体と、前記支持腕部の本体に組付けられて上下方向に垂下する垂下支持部と、前記板状体と前記垂下支持部との間に設けられ、前記板状体の前記円弧状部を前記ケリーバの回転中心側から半径方向の外側に向かって付勢する付勢部と、を備えている。
【0015】
前記板状体は、下部が前記垂下支持部で支持されるととともに、上端部が自由端であり、前記板状体における自由端となった前記上端部および前記垂下支持部で支持された前記下部が、前記円弧状部において前記ケーシングチューブの内壁に接する接触部よりも、前記半径方向の内側にある。
【0016】
これによれば、ケリーバのケーシングチューブへの設置時において、垂下支持部に支持された板状体の円弧状部にガイドされて、ケリーバの回転中心と、ケーシングチューブの中心とを同心に容易に位置決めすることができる。同時に、板状体がケーシングチューブの内壁を押圧することで、位置決めされた位置の安定した状態を保持することができる。
【0017】
本発明の第六の態様の掘削装置の設置方法によれば、第四の態様の掘削装置を使ってケーシングチューブに設置する掘削装置の設置方法であって、複数本の支持腕部を、前記ケーシングチューブに円周方向に沿って均等に配置する均等配置工程と、前記ケリーバの回転中心を前記ケーシングチューブの中心に一致させる同心位置決め工程と、を備える。
【0018】
これによれば、地面の竪穴に挿入されたケーシングチューブの上端に、ケリーバを容易かつ確実にケーシングチューブと同心で設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の掘削装置の実施形態を示す側方からの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
本件発明にかかる掘削装置と、その掘削装置を使用した設置方法の実施形態を
図1~
図6に基づいて以下に説明する。
なお、構造物がある場合に、その構造物に仮想の中心線を考え、その中心線に近い側を「内側」、遠い側を「外側」というものとする。
【0021】
本実施形態における掘削装置1は、いわゆるアースドリル工法における表層上部を、径の大きなドリリングバケットDBで縦穴を先行掘削後の状態を示している。そして、縦穴にはケーシングチューブ6が挿入されている。
【0022】
掘削装置1は、
図1および
図2に示すように、ベースフレーム2と、ケリーバ3と、原動機4と、設置装置5と、を備えている。
【0023】
(ベースフレーム)
ベースフレーム2は、略短円筒状に形成されたケーシングに、後述するケリーバ3を回転可能に支承する図略の軸受け構造、油圧モータの回転トルクを変速してケリーバ3に伝達する変速機等を備えている。
【0024】
(ケリーバ)
ケリーバ3は、例えば、断面角型あるいは丸形の棒状材で形成され、下端部には、掘削するともに土を排出するドリリングバケットDBが設けられている。ケリーバ3には、回転中心方向に沿って延在する複数の溝が円周方向に並んで周設され、ケリーバ3の外周に嵌合する外歯車が溝によって相対回転不能に設けられている。ケリーバ3を回転させる機構は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。この機構を記載した例として、例えば特開2016-173011号公報を挙げることができる。
【0025】
(原動機)
原動機4は、例えば油圧モータを使用し、本実施形態では、二台の油圧モータがベースフレーム2の外周に沿って設けられている。
油圧モータとケリーバ3との間には、図略の変速機が設けられており、前記ケリーバ3の外周に設けられた外歯車に噛合する。ケリーバ3のみを回転させるには、比較的高速回転でかつ低トルクが出力されるように制御されている。
【0026】
なお、主に変速機が、ケリーバ回転駆動機構に相当する。
地面BGの表層には先行掘削で設けられた竪穴が設けられる。縦穴には、穴の内周壁が崩れるのを防止するため、ケーシングチューブ6が挿入される。
【0027】
(設置装置)
設置装置5は、縦穴に挿入されたケーシングチューブ6の上端に、ベースフレーム2を着脱可能に設置する。
設置装置5は、支持腕部51と、ガイド部52とを備えている。
【0028】
(支持腕部)
支持腕部51は、基端部がベースフレーム2の外周に設けられ、ケリーバ3の回転中心RC側から半径方向に外側に向かって突出するように設けられている。支持腕部51は、
図2に示すように、三本設けられ、ケーシングチューブ6の円周方向に120度づつ均等に割り振られた位置に配されている。
【0029】
支持腕部51の長さは、フランジ部を介して連結して増設することで、ケーシングチューブ6の径に適合させることができるようになっている。
【0030】
(ガイド部)
ガイド部52は、各支持腕部51にケリーバ3の回転中心RCに対してそれぞれ等距離で設けられている。ガイド部52は、ケーシングチューブ6内へ挿入される際に、ケリーバ3の回転中心RCをケーシングチューブ6の中心CLに一致させる。
【0031】
ガイド部52は、板状体521と、垂下支持部522と、付勢部523とを備えている。
板状体521は、
図4に示すように、例えば、弾性力のある鉄製の板材で、ケーシングチューブ6に対向する側の上部が凸となった円弧状部521cとなっている。円弧状部521cの上端部521aは、自由端となっている。板状体521の下部521bは、平板状に形成され、円弧状部521cに連続している。板状体521は、後述する垂下支持部522に下部521bにおいて支持され、上下方向に延在するよう設けられている。
【0032】
垂下支持部522は、支持腕部51の下面に例えばボルトBによって組付けられて上下方向に垂下する。
垂下支持部522は、取付フランジ部522aと、垂下壁522bと、三角壁522cと、を備えている。取付フランジ部522aは、矩形の板状に形成され、例えば、四つの取付穴が四角状に配されて穿設されている。取付フランジ部522aには、取付フランジ部522aが支持腕部本体に取り付けられたときに、外側となる端部に垂下壁522bが連続して設けられている。
【0033】
垂下壁522bは取付フランジ部522aと円周方向の幅が同じにして四角形状に形成され、取付フランジ部522aに対して垂直となる方向に沿って、延在している。取付フランジ部522aと垂下壁522bとは、断面が逆L字状に形成されている。
【0034】
三角壁522cは、取付フランジ部522aの端辺を底辺、垂下壁522bの短辺を垂線とする直角三角形状に形成され、取付フランジ部522aおよび垂下壁522bのいずれとも連続して形成されている。これらの取付フランジ部522a、垂下壁522bおよび三角壁522cは、剛性の高い、例えば鉄製で一体に形成されている。
【0035】
付勢部523は、例えばコイルばねであり、板状体521の下部521bの平板状となった上端部521aに、板状体521と垂下支持部522との間に設けられている。付勢部523は、板状体521の円弧状部521cをケリーバ3の回転中心RC側から半径方向の外側に向かって付勢する。
【0036】
板状体521における自由端となった上端部521aおよび垂下支持部522で支持された下部521bが、円弧状部521cにおいてケーシングチューブ6の内壁に接する接触部よりも、半径方向の内側に配置されている。ケーシングチューブ6内に挿入する際のガイドとして、また、逆にケーシングチューブ6から抜き出すときに、引っ掛かりなく容易に抜き出されるようになっている。
【0037】
(ケーシングチューブ)
ケーシングチューブ6の上端部には、外周フランジ部61と、均等位置固定部62とを備えている。
外周フランジ部61は、ケーシングチューブ6の上端部全周に鍔状に形成されている。
【0038】
均等位置固定部62は、支持腕部51に対向して三カ所に設けられ、支持腕部51を間に挟持するように、所定間隔で対となった挟持壁621をそれぞれ備えている。挟持壁621の背面には補強板622が設けられている。ガイド部52等によって、設置される位置であるケーシングチューブ6の中心CLにケリーバ3の回転中心RCが同心となった位置で固定される。
この均等位置固定部62は、設置装置5に含まれる。
【0039】
(掘削装置設置方法)
上記のように構成された掘削装置1の設置方法について、
図1および
図3を参照して以下に説明する。
いわゆるアースドリル工法における表層上部を、径の大きなドリリングバケットDBで縦穴を先行掘削した後の状態を示している。そして、縦穴にはケーシングチューブ6が挿入されている。
【0040】
ケリーバ3を含むベースフレーム2は、図略のクレーンで吊り下げられて、ケーシングチューブ6に対向している。
【0041】
次に、作業者は、
図3に示すように、ケリーバ3をケーシングチューブ6に挿入して、三本の支持腕部51を、それぞれ均等位置固定部62に対向させて接近させ、対となった挟持壁621の間に支持腕部51を配置する(均等配置工程)。
【0042】
次に、作業者は、
図1に示すように、ケリーバ3をさらに降下させ、支持腕部51のガイド部52をケーシングチューブ6の上端内壁に接触させる。ケリーバ3は、三つのガイド部52の反力によって、回転中心RCをケーシングチューブ6の中心CLに一致させる(同心位置決め工程)。
【0043】
このようにして、地面BGの竪穴に挿入されたケーシングチューブ6の上端に、ケリーバ3を容易かつ確実にケーシングチューブ6と同心で設置することができる。
【0044】
上記の記述で明らかなように、本実施形態の掘削装置11は、掘削位置の上方に配置されるベースフレーム2と、ベースフレーム2に軸支され、鉛直方向に垂下される軸状のケリーバ3と、ベースフレーム2に設けられた原動機4と、ベースフレーム2に設けられ、専らケリーバ3に対して原動機4の回転トルクを伝達するケリーバ回転駆動機構(変速機)と、地面BGの竪穴に挿入されたケーシングチューブ(固定台)6の上端に、ベースフレーム2を着脱可能に設置する設置装置5と、を備えている。
【0045】
そして、設置装置5は、基端側がベースフレーム2に設けられ、ケリーバ3の回転中心RC側から半径方向に外側に向かって突出し、かつケーシングチューブ6の円周方向(仮想水平面に含まれる周方向に相当)に均等割された位置に配される複数本の支持腕部51と、ケーシングチューブ6の上端に設けられ、支持腕部51を円周方向に均等な位置で固定する均等位置固定部62と、を備えている。
【0046】
これによれば、地面BGの竪穴に挿入されたケーシングチューブ6の上端において、ケリーバ3を容易かつ確実に偏らない均等な位置に配置することができる。
【0047】
また、設置装置5の支持腕部51は、三本である。
これによれば、ケーシングチューブ6の円周方向に均等割された位置に配された支持腕部51が三本場合、一本の支持腕部51がその延在する方向に沿ってずれるのを、他の二本の支持腕部51が抑制するので、ケリーバ3の回転中心RCをケーシングチューブ6の中心CLに一致させた状態を、容易に維持することができる。
【0048】
また、各支持腕部51にケリーバ3の回転中心RCに対してそれぞれ等距離で設けられ、ケーシングチューブ6内へ挿入される際にケリーバ3の回転中心RCをケーシングチューブ6の中心CLに一致させるガイド部52を備えている。
これによれば、ケリーバ3の回転中心RCを容易かつ確実にケーシングチューブ6の中心CLに一致させることができる。そして、ケリーバ3を効率的に回転可能となり、ケリーバ3専用のモータに求められる出力を低減して小型化を図ることができる。
【0049】
また、各ガイド部52は、ケーシングチューブ6に対向する側が凸となった円弧状部521cを含んで上下方向に延在する板状体521と、支持腕部51の本体に組付けられて上下方向に垂下する垂下支持部522と、板状体521と垂下支持部522との間に設けられ、板状体521の円弧状部521cをケリーバ3の回転中心RC側から半径方向の外側に向かって付勢する付勢部523と、を備えている。
【0050】
そして板状体521は、下部521bが垂下支持部522で支持されるととともに、上端部521aが自由端であり、板状体521における自由端となった上端部521aおよび垂下支持部522で支持された下部521bが、円弧状部521cにおいてケーシングチューブ6の内壁に接する接触部よりも、半径方向の内側にある。
【0051】
これによれば、ケーシングチューブ6への設置時において、垂下支持部522に支持された板状体521の円弧状部521cにガイドされて、ケリーバ3の回転中心RCと、ケーシングチューブ6の中心CLとを同心に容易に位置決めすることができる。同時に、板状体521がケーシングチューブ6の内壁を押圧することで、位置決めされた状態の安定した状態を保持することができる。
【0052】
また、複数本の支持腕部51を、ケーシングチューブ6に円周方向に均等に配置する均等配置工程と、ケリーバ3の回転中心RCをケーシングチューブ6の中心CLに一致させる同心位置決め工程と、を備える。
【0053】
これによれば、地面BGの竪穴に挿入されたケーシングチューブ6の上端に、ケリーバ3を容易かつ確実にケーシングチューブ6と同心で設置することができる。
【0054】
なお、上記実施形態において、支持腕部の本数を三本としたが、これに限定されない。例えば、四本や五本であってもよい。
また、固定台をケーシングチューブ6としたが、これに限定されない。固定台はケリーバで掘削しようとする縦穴の周囲において、地面に対して不動の構造物であれ任意の構造を採用できる。例えば、矩形筒状に地面に組まれた櫓でもよい。
【0055】
また、ガイド部52の板状体521の下端部の固定をボルトBおよびナットNによって行ったが、これに限定されない。例えば
図5に示すように、巻回されたばねCを板状体の下端部に沿って設け、垂下支持部に連結させてもよい。この場合、ばねCによって板状体が垂下支持部に接近する方向に付勢させる。
【0056】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0057】
1:掘削装置、2:ベースフレーム、3:ケリーバ、4:原動機、5:設置装置、51:支持腕部、52:ガイド部、521a:上端部、521c:円弧状部、522:垂下支持部、523:付勢部、6:ケーシングチューブ(固定台)、62:均等位置固定部。