(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145905
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】流体機械及び冷却装置
(51)【国際特許分類】
F16K 15/06 20060101AFI20241004BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16K15/06
H05K7/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058491
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】川田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 健人
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 鋭彦
【テーマコード(参考)】
3H058
5E322
【Fターム(参考)】
3H058AA05
3H058BB04
3H058BB32
3H058CA01
3H058CA11
3H058CA33
3H058CC02
3H058CD05
3H058CD28
3H058DD09
5E322AA05
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】逆止弁よりも下流側の流路の内圧が上昇した場合でも、流路あるいは逆止弁の破損を防止する装置の提供。
【解決手段】逆止弁部6は、第一方向に沿って移動可能であって、一方端を閉塞する第一位置と、第一位置よりも第一方向一方側であるとともに第一部分と前記第二部分との間で流体が流通可能な第二位置と、一方端を閉塞するとともに第一位置よりも第一方向の他方側の第三位置とに位置する。内圧上昇時に逆止弁部6が第三位置に移動することにより、流出部212及び逆止弁部6が受ける圧力が低下する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流出口と、前記流体が第一方向の他方側から一方側に流れる第一部分と、前記流体が流れる第二部分を有する流路であって、前記第二部分が、前記第一部分における前記第一方向の一方端と、前記流出口との間に位置する流路と、
前記第一部分において前記第一方向に沿って移動可能な逆止弁部であって、前記一方端を閉塞する第一位置と、前記第一位置よりも前記第一方向の一方側の位置であるとともに前記第一部分と前記第二部分との間で前記流体が流通可能な第二位置と、前記一方端を閉塞するとともに前記第一位置よりも前記第一方向の他方側の第三位置とに位置する逆止弁部と
を備える流体機械。
【請求項2】
ソケットを更に備え、
前記ソケットに、前記ソケットの対になるプラグが接続されたことに応じて前記第二部分の内圧が上昇し、前記逆止弁部が前記第三位置に移動する、請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記逆止弁部を前記第一方向の他方側から一方側に付勢する第一付勢部材と、
前記逆止弁部を前記第一方向の一方側から他方側に付勢する第二付勢部材と
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記逆止弁部は、
前記第二付勢部材により付勢される弁体と、
前記弁体に設けられた封止部材と、
前記第一方向の他方側から前記封止部材に当接し、前記第一付勢部材により付勢される当接部材と
を有する、請求項3に記載の流体機械。
【請求項5】
前記第一付勢部材は、第一バネであり、
前記第二付勢部材は、第二バネであり、
前記第二バネのバネ定数は、前記第一バネのバネ定数より小さい、請求項4に記載の流体機械。
【請求項6】
前記逆止弁部は、前記弁体における前記第一方向の他方の端部から前記第一方向の他方に突出し、前記第一方向に交差する第二方向における寸法が前記弁体よりも小さい突出部を更に有し、
前記突出部は、前記第一方向の他方側程、前記第二方向における寸法が小さい外周面を有する、請求項4に記載の流体機械。
【請求項7】
前記流出口は、前記第一部分から、前記第一方向に交差する第二方向に離れており、
前記第二部分は、前記一方端と前記流出口との間で前記第二方向に延びる、請求項1又は請求項2に記載の流体機械。
【請求項8】
冷媒が流通する配管と、
請求項1又は請求項2に記載の流体機械と
を備える、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械及び冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の冷却装置は、対象冷却部と、冷媒補充部とを備える。対象冷却部は、冷却対象を冷却する。冷媒補充部は、対象冷却部に冷媒を補充する。対象冷却部は、接続部によって冷媒が流通可能に冷媒補充部と接続される。接続部において、流路は、対象冷却部と、冷媒補充部とを互いに接続する。接続部において、逆止弁は、流路において冷媒補充部から対象冷却部への液冷媒の流通を許容するが、逆方向への液冷媒の流通を規制する(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術の冷却装置には信頼性の面で改善の余地がある。詳細には、背景技術では、流路において逆止弁よりも対象冷却部側の部分の内圧が上昇した場合に、流路及び逆止弁の少なくとも一方が破損するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、信頼性が高い流体機械及び冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な流体機械は、流体の流出口と、前記流体が第一方向の他方側から一方側に流れる第一部分と、前記流体が流れる第二部分を有する流路であって、前記第二部分が、前記第一部分における前記第一方向の一方端と、前記流出口との間に位置する流路と、前記第一部分において前記第一方向に沿って移動可能な逆止弁部であって、前記一方端を閉塞する第一位置と、前記第一位置よりも前記第一方向の一方側の位置であるとともに前記第一部分と前記第二部分との間で前記流体が流通可能な第二位置と、前記一方端を閉塞するとともに前記第一位置よりも前記第一方向の他方側の第三位置とに位置する逆止弁部とを備える。
【0007】
本開示の例示的な冷却装置は、冷媒が流通する配管と、前記流体機械とを備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、内圧上昇による流路又は逆止弁の破損を抑制可能な流体機械及び冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る冷却装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される線III-IIIに沿う流体機械の断面の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示される線III-IIIに沿う流体機械の断面を第二方向一方側から平面視した図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す線V-Vに沿う断面を第三方向他方から視た流体機械の断面図であって、特に、第一位置の逆止弁部を示す図である。
【
図6】
図6は、
図2に示す線V-Vに沿う断面を第三方向他方から視た流体機械の断面図であって、特に、第二位置の逆止弁部を示す図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す線V-Vに沿う断面を第三方向他方から視た流体機械の断面図であって、特に、第三位置の逆止弁部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る冷却装置について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1は、CDU10の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、CDU10は、少なくとも1個のコールドプレート100と、少なくとも1組の第一配管20及び第二配管30と、ラジエータ40と、少なくとも1個の流体機械200とを備える。第一配管20及び第二配管30は、本開示における「配管」の一例である。
【0012】
なお、コールドプレート100の個数、第一配管20及び第二配管30の組数、ラジエータ40の個数、及び流体機械200の個数は、
図1に示す個数に限定されない。即ち、コールドプレート100の個数は3個以外でも良い。第一配管20及び第二配管30の組数は3組以外でもよい。ラジエータ40の個数は複数でもよい。流体機械200の個数は4個以外でもよい。
【0013】
また、複数の流体機械200は互いに同一仕様であることが好ましい。しかし、複数の流体機械200は、一部又は全てにおいて互いに異なる仕様であってもよい。各流体機械200は、CDU10に組み込まれた状態で市場において流通することが可能である。また、各流体機械200は、独立して市場において流通することも可能である。
【0014】
コールドプレート100、第一配管20、ラジエータ40、流体機械200、及び第一配管20と対の第二配管30の間では、冷媒が循環する。冷媒は、例えば冷却液である。冷却液としては不凍液又は純水が例示される。不凍液の典型例は、エチレングリコール水溶液又はプロピレングリコール水溶液である。
【0015】
ラジエータ40には、第一配管20から高温の冷媒が流入する(矢印A01参照)。ラジエータ40は、流入した冷媒を冷却する。流体機械200は、ラジエータ40からの低温の冷媒を圧送する。複数の流体機械200からの低温の冷媒は、第二配管30を通じて複数のコールドプレート100に流入する(矢印A02参照)。複数のコールドプレート100は、複数の熱源(図示せず)と熱的に接触する。
【0016】
各熱源は、典型的には、電子機器の発熱部品である。また、発熱部品としては、電子機器の光源が例示される。なお、電子機器は、サーバ、プロジェクター、ノート型パーソナルコンピュータ、二次元ディスプレイ装置のいずれであってもよい。熱源で発生した熱は、複数のコールドプレート100内を冷媒が流通する間に冷媒に移動する。その結果、冷媒が高温になる。高温の冷媒は、複数のコールドプレート100から複数の第一配管20に流出する。
【0017】
図2は、
図1に示される流体機械200を示す斜視図である。
図3は、
図2に示される線III-IIIに沿う流体機械200の断面の斜視図である。
図4は、
図2に示される線III-IIIに沿う流体機械200の断面を第二方向一方Z1側から平面視した図である。
図5から
図7は、
図2に示す線VI-VIに沿う断面を第三方向他方Y2から視た流体機械200の断面図である。特に、
図5、
図6及び
図7は、第一位置、第二位置及び第三位置の逆止弁部6をそれぞれ示す。
【0018】
図2から
図7には、説明の便宜のため、流体機械200の第一方向X、第二方向Z及び第三方向Yが示されている。第一方向X、第二方向Z、及び第三方向Yは、互いに交差する。実施形態では、「交差」とは、線同士、面同士又は線及び面が互いに直角に交わることと、微差(公差及び誤差等)の範囲で非直角に交わることとを含む。
【0019】
第一方向Xは、第一方向一方X1及び第一方向他方X2を含む。第一方向一方X1は、流体機械200への冷媒の流入口11Aと、流体機械200からの冷媒の流出口12Aとが開放される向きである。実施形態では、第一方向一方X1は、流出口12Aから冷媒が流出する方向である。第一方向他方X2は、第一方向一方X1とは反対方向である。実施形態では、第一方向他方X2は、流入口11Aへ冷媒が流入する方向である。
【0020】
第二方向Zは、互いに反対向きの第二方向一方Z1及び第二方向他方Z2を含む。第二方向一方Z1は、流体機械200の外壁225を鉛直下方向に向けた状態で人が流入口11A及び流出口12Aと正対した場合の上方向である。
【0021】
第三方向Yは、互いに反対向きの第三方向一方Y1及び第三方向他方Y2を含む。第三方向一方Y1は、外壁225を鉛直下方向に向けた状態で人が流入口11A及び流出口12Aと正対した場合の左手の方向である。
【0022】
各流体機械200は、コネクタ1を備えている。コネクタ1は、流体機械200及びラジエータ40を互いに接続するために用いられる。
図2に示すように、コネクタ1は、ソケット11,12を有する。
【0023】
ソケット11は、流入口11Aを有しており、ラジエータ40側の第一プラグ(図示せず)に接続可能である。ソケット11と第一プラグ(図示せず)とが接続されたことに応じて、ソケット11の内部に設けられたバルブが開く。その結果、冷媒は、ラジエータ40から流入口11Aを通じて流体機械200に、矢印A11で示されるように流入可能となる。
【0024】
ソケット12は、流出口12Aを有しており、ラジエータ40側の第二プラグ(図示せず)に接続可能である。ソケット12と第二プラグ(図示せず)とが接続されたことに応じて、ソケット12の内部に設けられたバルブが開く。その結果、冷媒は、流体機械200から流出口12Aを通じてラジエータ40に、矢印A12に示されるように流出可能となる。
【0025】
なお、ソケット11,12は、ラジエータ40に直接接続されなくともよい。詳細には、流体機械200は、配管等の流路管を介してラジエータ40に間接的に接続されてもよい。この場合、第一プラグ及び第二プラグは、流路管に設けられる。以下の説明において、「流体機械200とラジエータ40とが接続」という用語は、流体機械200とラジエータ40とが直接的又は間接的に接続されることを意味する。
【0026】
流体機械200は、流通部2と、ポンプ4,5とを更に備える。
【0027】
流通部2は、連結部21と、本体部22とを有する。連結部21は、
図3に明示されるように、コネクタ1と接続され、流入部211と、流出部212を有する。流入部211は、ソケット11を流通した冷媒を矢印A31で示すように本体部22へと案内する貫通孔である。流入部211は、連結部21において第三方向一方Y1側の端に近い位置で、第二方向Zに直線的に延びている。流出部212は、本体部22内で流通した冷媒を矢印A35で示すようにソケット12へと案内する貫通孔である。流出部212は、連結部21において第三方向他方Y2側の端に近い位置で、第二方向Zに直線的に延びている。
【0028】
本体部22は、
図4及び
図5冷媒が流通する内部流路221と、取付部222,223とを有する。取付部222,223には、ポンプ4,5がそれぞれ取り付けられる。詳細には、取付部222,223の各々は、本体部22の内側に窪む。取付部222,223にはポンプ4,5がそれぞれ嵌め込まれる。取付部222,223の各々は、本体部22の内部流路221に接続される。このため、取付部222,223の各々には、冷媒が流入する。
【0029】
本体部22は、外壁224~229を有する。外壁224は、本体部22において第二方向一方Z1側で第一方向X及び第三方向Yの各々に拡がっている。外壁224には、取付部222,223が位置する。即ち、外壁224には、ポンプ4,5が配置される。外壁224の第一方向一方X1側には連結部21が位置する。
【0030】
外壁226は、本体部22において第一方向一方X1側で、第三方向Y及び第二方向Zの各々に拡がっている。外壁226には、連結部21が位置する。つまり、外壁226には、流入部211と流出部212とが配置される。
【0031】
外壁227は、外壁226の第三方向一方Y1における端から第一方向他方X2に向かって延びている。外壁227は、本体部22において第三方向一方Y1側で、第一方向X及び第二方向Zの各々に拡がっている。
【0032】
外壁228は、第一方向他方X2側で、外壁226から第一方向他方X2に離れた位置で第三方向Y及び第二方向Zの各々に拡がっている。
【0033】
外壁229は、外壁228の第三方向他方Y2における端から第一方向一方X1に延びている。外壁229は、外壁227から第三方向他方Y2に離れた位置で第一方向X及び第二方向Zの各々に拡がっている。
【0034】
外壁225は、外壁226~229の各々における第二方向他方Z2の端と繋がっており、第一方向X及び第三方向Yの各々に拡がる。即ち、外壁225は、外壁224から第二方向他方Z2に離れている。
【0035】
ポンプ4は、流入部211から流入した冷媒をポンプ5へ圧送する。
図2及び
図4に示されるように、ポンプ4は、インペラ室41を有する。ポンプ4は、インペラ室41内にいずれも図示しないインペラ及びモータを有する。インペラは、モータの出力軸に取り付けられる。インペラがモータの出力軸の回転とともに回転することで、ポンプ4は、流入部211から流入した冷媒をポンプ5へ圧送する。
【0036】
ポンプ5は、冷媒を流出部212に圧送する。
図2及び
図4に示されるように、ポンプ5は、インペラ室51を有する。ポンプ5は、インペラ室51内に、ポンプ4と同様のインペラとモータとを有しており、冷媒を流出部212に圧送する。
【0037】
内部流路221は、外壁224,225と、外壁226~229によって規定される。換言すると、流通部2は、内部流路221を内部に有する。
【0038】
図3から
図7に示されるように、内部流路221は、部分流路221a,221b,221cを含む。
【0039】
部分流路221aは、第一方向Xに直線的に延びている(
図3、
図4参照)。部分流路221aにおいて第一方向一方X1側の端は、流入部211の第一方向他方X2側の端に接続される。部分流路221aにおいて第一方向他方X2側の端は、インペラ室41内に接続される。(
図3、
図4参照)。
【0040】
部分流路221bは、本体部22においてポンプ4,5よりも第二方向他方Z2側の位置で、第三方向一方Y1側の端から、第三方向他方Y2側の端に向かって直線的に延びる(
図3、
図4を参照)。部分流路221bは、第一方向X及び第三方向Yの各々に対して傾斜している。詳細には、第三方向一方Y1側の端の方が、第三方向他方Y2側の端よりも外壁226に近い。部分流路221bの第三方向一方Y1側の端は、インペラ室41内に接続される。部分流路221bの第三方向他方Y2側の端は、インペラ室51内に接続される。
【0041】
部分流路221cは、第一方向Xに直線的に延びている。部分流路221cにおいて第一方向他方X2側の端は、部分流路221bよりも第二方向一方Z1側の位置でインペラ室51内に接続されている(
図3,
図4参照)。部分流路221cの第一方向一方X1側の端は、流出部212の第二方向他方Z2側の端に接続されている(
図4から
図7を参照)。
【0042】
部分流路221aにおいて、流入部211からの冷媒は、矢印A32(
図3、
図4参照)で示されるように第一方向一方X1側から第一方向他方X2側に向かって流通する。次に、冷媒は、インペラ室41において圧送され、部分流路221bに流入する。その後、冷媒は、部分流路221bにおいて矢印A33で示されるように流通する。次に、冷媒は、インペラ室51において圧送されて、部分流路221cに流入する。冷媒は、部分流路221cにおいて、矢印A34で示されるように流通した後、流出部212に流入する。
【0043】
図5から
図7に示されるように、部分流路221cは、小径部2211と、大径部2212と、接続面2213とを有する。小径部2211は、第一方向Xにおいて直線的に延びている。小径部2211の第一方向他方X2の端は、インペラ室51内に接続される。小径部2211の第一方向一方X1の端は、大径部2212の第一方向他方X2の端に接続される。小径部2211における断面形状は、第一方向Xの一方端から他方端に至るまでの間で円形である。大径部2212の第一方向一方X1の端は、流出部212の第二方向他方Z2側の端に接続される。大径部2212における断面形状は、第一方向Xの一方端から他方端に至るまでの間で、小径部2211よりも大径の円形である。接続面2213は、小径部2211の第一方向一方X1側の端と、大径部2212の第一方向他方X2側の端とを接続する面である。接続面2213は、環状であり、第一方向一方X1を向いている。
【0044】
部分流路221cでは、冷媒が第一方向他方X2側から第一方向一方X1側に流通可能である。また、流出部212では、冷媒が第二方向Zに流通可能である。流出部212は、部分流路221cにおける第一方向一方X1の端と、流出口12A(
図2参照)との間に位置する。部分流路221c及び流出部212は、本開示における「第一部分」及び「第二部分」の一例である。部分流路221c及び流出部212の組み合わせは、本開示における「流路」の一例である。また、冷媒は、本開示における「流体」の一例である。
【0045】
流体機械200は、逆止弁部6を更に備える。逆止弁部6は、部分流路221cにおいて第一方向Xに沿って移動可能である。逆止弁部6は、第一位置(
図5参照)と、第二位置(
図6参照)と、第三位置(
図7参照)とに位置することが可能である。
【0046】
第一位置(
図5参照)は、大径部2212、即ち部分流路221cの第一方向一方X1側の端を逆止弁部6が閉塞する位置である。詳細には、流体機械200とラジエータ40とが接続されていない場合、又は、流体機械200とラジエータ40とが接続されているが冷媒が流通しない場合には、逆止弁部6は第一位置に位置する。
【0047】
第二位置(
図6参照)は、第一位置(
図5参照)よりも第一方向一方X1側の位置であるとともに部分流路221cと流出部212との間で冷媒が相互に流通可能になる逆止弁部6の位置である。流体機械200とラジエータ40とが接続されており、冷媒が流出口12Aから流出する場合には、逆止弁部6は、第一方向他方X2側から流れてくる冷媒から受ける力により、第二位置に位置する。
【0048】
第三位置(
図7参照)は、第一方向一方X1側の端を閉塞するとともに第一位置よりも第一方向他方X2側の位置である。第三位置でも、大径部2212を逆止弁部6は閉塞する。
【0049】
流出部212内の流体(冷媒又は空気)が圧縮されると、流出部212において内圧が上昇する。ここで、仮に逆止弁部6が第三位置(
図7参照)に移動できない場合、流出部212及び逆止弁部6に比較的大きな圧力が加わるため、流出部212及び逆止弁部6が破損するおそれがある。しかし、実施形態では、内圧上昇時に逆止弁部6が第三位置(
図7参照)に移動する。よって、流出部212及び逆止弁部6が受ける圧力が低下する。従って、流出部212及び逆止弁部6の少なくとも一方が破損し難い。
【0050】
内圧上昇は、例えば前述の第二プラグ(図示せず)がソケット12に接続されたことに応じてソケット12内のバルブが第一方向他方X2に移動することで発生する。内圧上昇により、逆止弁部6が第三位置(
図7参照)に移動する。従って、流出部212及び逆止弁部6の少なくとも一方が破損し難い。
【0051】
図9は、逆止弁部6の分解図である。
図5から
図8に示されるように、逆止弁部6は、弁体61と、突出部62と、Oリング63と、流路部材64とを有する。
【0052】
弁体61は、付勢部材8により付勢される。弁体61は、大径部2212と概ね同径であるか、大径部2212より僅かに小径の円柱体である。弁体61は、第一方向Xにおける寸法に関して大径部2212より小さい。弁体61は、典型的には、硬質の樹脂製である。
【0053】
突出部62は、弁体61の第一方向他方X2側の端部から、第一方向他方X2に突出する。突出部62は、第一方向Xにおける一方端から他方端に至るまでの間で、第二方向Zにおける寸法に関して、弁体61よりも小さい。
【0054】
また、突出部62は、弁体61における第一方向他方X2側の端部から第一方向他方X2に若干離れた位置から、第一方向他方X2の位置になる程、第二方向Zにおける寸法が小さい外周面621を有する。詳細には、外周面621は、錐体を形成している。従って、第一方向他方X2から冷媒が流れてきた場合に、外周面621の表面積が比較的大きいため、比較的大きな圧力を冷媒から受ける。その結果、逆止弁部6は、冷媒が大径部2212に流入してきたときに、第一位置(
図5参照)から第二位置(
図6参照)へ早く移動可能となる。
【0055】
また、突出部62は、第一方向Xにおいて外周面621と弁体61との間に、弁体61及び錐体の外周面621の各々の中心軸Ax1の周方向θ1に延びる環状の溝が形成されている。溝には、ゴム又は合成樹脂等の弾性材料で作製された環状のOリング63が装着される。即ち、Oリング63は、弁体61に備わる。詳細には、Oリング63は、弁体61に当接し、突出部62の外周に沿って装着される。Oリング63は、本開示における「封止部材」の一例である。Oリング63の外径は、外周面621よりも外側に突出している。
【0056】
流路部材64は、第一方向他方X2側からOリング63に当接し、付勢部材7により付勢される。流路部材64が弁体61とは別部材であり、それらの間にOリング63が介在する。このような構成の逆止弁部6が部分流路221c内で第三位置(
図7参照)に移動可能である。従って、内圧上昇時に高いシール性を実現しつつ、流出部212から部分流路221cへの逆流を防止することができる。なお、流路部材64は、本開示における「当接部材」の一例である。
【0057】
また、流路部材64は、第一方向他方X2の端から、流路部材64の第二方向Zにおける外周面641に至る流路642を有する。
【0058】
逆止弁部6が弁体61、突出部62、Oリング63及び流路部材64から構成されることにより、組み立て性及びシール性が向上する。
【0059】
詳細には、流路部材64は、典型的には樹脂材料で作製される。実施形態では、流路部材64は、
図9に示されるように、2個の環状部643と、4個の連結部644とを有する。2個の環状部643は、第一方向Xに互いに離れて位置する。各環状部643の内径は、外周面621の外径よりも若干大きい。また、各環状部643の外径は、Oリング63の外径よりも若干小さい。4個の連結部644は、2個の環状部643の間で、第一方向Xに延びている。4個の連結部644は、周方向θ1において間隔を空けて並んでいる。なお、流路部材64は、上記に限らず、筒体に貫通孔の形成することでも実現可能である。
【0060】
流体機械200は、付勢部材7,8を更に備える。付勢部材7,8は、本開示における「第一付勢部材」及び「第二付勢部材」の一例である。
【0061】
付勢部材7は、逆止弁部6を、第一方向他方X2側から第一方向一方X1側に付勢する。付勢部材8は、逆止弁部6を、第一方向一方X1側から第一方向他方X2側に付勢する。従って、簡単な構成で逆止弁部6を第一方向一方X1及び第一方向他方X2に移動させることができる。
【0062】
付勢部材7,8が逆止弁部6に加える付勢力は、下記(a)~(c)の条件を満たすように適宜調整される。条件(a)は、流体機械200とラジエータ40とが接続されていない場合、又は、流体機械200とラジエータ40とが接続されているが冷媒が流通しない場合には、逆止弁部6が第一位置に位置することである。条件(b)は、流体機械200とラジエータ40とが接続された状態において冷媒が流出口12Aから流出する場合には、逆止弁部6が第二位置(
図6参照)に位置することである。条件(c)は、ラジエータ40側の第二プラグ(図示せず)がソケット12に接続される過程で、逆止弁部6が第三位置(
図7参照)に移動することである。
【0063】
より詳細には、付勢部材7,8は、バネ71,81である。バネ71,81は、本開示における「第一バネ」及び「第二バネ」の一例である。
【0064】
バネ71の外径は、大径部2212の径と概ね同じ、又は大径部2212の径より若干小さい。バネ71は、接続面2213と、流路部材64における第一方向他方X2側の端との間に配置される。詳細には、バネ71の一方端は、流路部材64における第一方向他方X2側の端に当接する。バネ71の他方端は、接続面2213に当接する。
【0065】
バネ81の外径は、大径部2212の径よりも遥かに小さい。バネ81は、弁体61における第一方向一方X1側の端と、流出部212の内周面との間に配置される。詳細には、バネ81の一方端は、流出部212の内周面において、弁体61と第一方向一方X1において対向する部分に当接する。バネ81の他方端は、弁体61における第一方向一方X1側の端に当接する。
【0066】
ここで、部分流路221cから、流出口12Aは第二方向Zにおいて離れている。流出部212は、部分流路221cと流出口12Aとの間で第二方向Zに延びている。このような部分流路221c及び流出部212を構成することにより、バネ81の一方端を流出部212の内周面に突き当てることができる。即ち、流出部212の内周面を有効利用することで、流体機械200の構成は簡素化される。
【0067】
バネ81のバネ定数は、バネ71のバネ定数より小さい。即ち、バネ81の方がバネ71よりも伸び縮みし易い。従って、内部流路221において冷媒が流れる際に、逆止弁部6が第一位置(
図5参照)から第二位置(
図6参照)に移動し易い。詳細には、弁体61及び流路部材64のうち、弁体61のみが冷媒からの圧力により移動することもある。この場合、弁体61及び流路部材64には隙間が生じるため、この隙間に冷媒を流通させることも可能となる。
【0068】
バネ71,81の各々は、典型的にはコイルバネである。コイルバネは、引っ張りコイルバネ及び圧縮コイルバネのいずれであってもよい。
【0069】
以下、実施形態の各種変形例について説明する。実施形態では、流出部212は、部分流路221cに対して概ね直角に交差していた。しかし、これに限らず、流出部212は、部分流路221cに対して傾斜するだけでもよい。
【0070】
実施形態では、流体機械200は、2個のポンプ4,5を備えていた。しかし、ポンプの個数は、2個以外でもよい。
【0071】
実施形態では、弁体61及び流路部材64は別部材であった。しかし、これに限らず、弁体61及び流路部材64は、一体であってもよい。
【0072】
冷媒は、ガス冷媒であってもよい。
【0073】
実施形態では、小径部2211及び大径部2212の断面形状は円形であった。しかし、これに限らず、これらの断面形状は、多角形であってもよい。
【0074】
実施形態では、外周面621は、円錐体であった。しかし、これに限らず、外周面621は、角錐体であってもよい。
【0075】
以上、図面を参照して本実施形態及び変形例について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態及び変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態及び変形例に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。
【0076】
また、図面は、開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0077】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0078】
(1)流体の流出口と、前記流体が第一方向の他方側から一方側に流れる第一部分と、前記流体が流れる第二部分を有する流路であって、前記第二部分が、前記第一部分における前記第一方向の一方端と、前記流出口との間に位置する流路と、
前記第一部分において前記第一方向に沿って移動可能な逆止弁部であって、前記一方端を閉塞する第一位置と、前記第一位置よりも前記第一方向一方側の位置であるとともに前記第一部分と前記第二部分との間で前記流体が流通可能な第二位置と、前記一方端を閉塞するとともに前記第一位置よりも前記第一方向の他方側の第三位置とに位置する逆止弁部と
を備える流体機械。
【0079】
(2)ソケットを更に備え、
前記ソケットに、前記ソケットの対になるプラグが接続されたことに応じて前記第二部分の内圧が上昇し、前記逆止弁部が前記第三位置に移動する、(1)に記載の流体機械。
【0080】
(3)前記逆止弁部を前記第一方向の他方側から一方側に付勢する第一付勢部材と、
前記逆止弁部を前記第一方向の一方側から他方側に付勢する第二付勢部材と
を更に備える、(1)又は(2)に記載の流体機械。
【0081】
(4)前記逆止弁部は、
前記第二付勢部材により付勢される弁体と、
前記弁体に設けられた封止部材と、
前記第一方向の他方側から前記封止部材に当接し、前記第一付勢部材により付勢される当接部材と
を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の流体機械。
【0082】
(5)前記第一付勢部材は、第一バネであり、
前記第二付勢部材は、第二バネであり、
前記第二バネのバネ定数は、前記第一バネのバネ定数より小さい、(3)又は(4)に記載の流体機械。
【0083】
(6)前記逆止弁部は、前記弁体における前記第一方向他方の端部から前記第一方向他方に突出し、前記第一方向に交差する第二方向における寸法が前記弁体よりも小さい突出部を更に有し、
前記突出部は、前記第一方向の他方側程、前記第二方向における寸法が小さい外周面を有する、(1)から(5)のいずれかに記載の流体機械。
【0084】
(7)前記流出口は、前記第一部分から前記第二方向に離れており、
前記第二部分は、前記一方端と前記流出口との間で前記第二方向に延びる、(1)から(6)のいずれかに記載の流体機械。
【0085】
(8)冷媒が流通する配管と、
(1)から(7)のいずれかに記載の流体機械と
を備える、冷却装置。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示に係る流体機械及び冷却装置は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0087】
10 :冷却装置
200 :流体機械
6 :逆止弁部
7 :付勢部材
8 :付勢部材
11 :ソケット
12 :ソケット
12A :流出口
61 :弁体
62 :突出部
64 :流路部材
71 :バネ
81 :バネ
X :第一方向
X1 :第一方向他方
X2 :第一方向他方
Z :第二方向