(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145907
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電解水吐出ユニット及びキッチンユニット
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20241004BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20241004BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20241004BHJP
E03C 1/046 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
E03C1/042 B
E03C1/05
E03C1/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058493
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 謙英
【テーマコード(参考)】
2D060
4D061
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB03
2D060BE01
2D060BF03
2D060CA04
2D060CD02
4D061DA03
4D061DB07
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB14
4D061EB17
4D061EB19
4D061EB38
4D061GA18
(57)【要約】
【課題】洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる電解水吐出ユニット及びこの電解水吐出ユニットを備えたキッチンユニットを提供する。
【解決手段】電解水吐出ユニット1は、水を電気分解する電気分解装置21と、電気分解装置21を通過した電解水を吐出する水栓3と、を有している。水栓3は、電解水を吐出する吐出部34を備えた第一端部31と、基台への取り付け部321を備えた第二端部32と、を有している。吐出部34は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、吐出部34から吐出される電解水の吐出方向341が鉛直下方に対して第二端部32側に傾斜するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解する電気分解装置と、前記電気分解装置を通過した電解水を吐出する水栓と、を有する電解水吐出ユニットであって、
前記水栓は、前記電解水を吐出する吐出部を備えた第一端部と、
基台への取り付け部を備えた第二端部と、を有し、
前記吐出部は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記吐出部から吐出される前記電解水の吐出方向が鉛直下方に対して前記第二端部側に傾斜するように構成されている、電解水吐出ユニット。
【請求項2】
前記吐出部の少なくとも一部が周囲よりも外方に突出している、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項3】
前記水栓は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記第一端部が水平方向に対して上方に傾斜する形状を有している、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項4】
前記第一端部は、その先端に前記電解水の吐出と吐出停止とを切替可能に構成された非接触式スイッチを有しており、前記非接触式スイッチは、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記非接触式スイッチの検知範囲が上方を向くように配置されている、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項5】
前記第一端部は、前記電解水が吐出されているときに点灯するように構成された発光装置を有しており、前記発光装置は、前記吐出部と前記第一端部の先端との間に配置されている、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項6】
前記吐出部は、前記電解水を噴霧可能に構成されている、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項7】
前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態における、前記取り付け部から前記吐出部までの水平方向における距離が150mm以上250mm以下であり、かつ、前記取り付け部から前記吐出部までの鉛直方向における距離が100mm以上180mm以下である、請求項1に記載の電解水吐出ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電解水吐出ユニットを備えたキッチンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水吐出ユニット及びキッチンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水を電気分解することにより得られる電解水は、電気分解によって生じた化学物質に応じて種々の機能を有している。例えば、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン、塩素酸イオンなどの塩素原子を有する化学物質を含む電解水には、除菌や消毒、消臭などの種々の効果が期待されている。
【0003】
例えば特許文献1には、シンクと、前記シンクの上方から前記シンクに向けて水道水を吐出する第一水栓と、前記シンクの上方から前記シンクに向けて除菌作用を有する電解水を吐出する第二水栓と、を備えたシステムキッチンが記載されている。このシステムキッチンにおける前記第二水栓は、吐水口から前記電解水を霧状に拡散させて吐出すると共に、前記吐水口から吐出された前記電解水の吐出領域は、前記シンクの上端位置において前記シンクの左右方向の中心線上を通過するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のシステムキッチンは、第二水栓から吐出された電解水が洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって電解水の飛沫が跳ね返りやすいという問題がある。洗浄対象物から跳ね返った飛沫には、洗浄対象物に付着していた汚れなどが含まれている可能性があるため、衛生上の観点から、洗浄対象物からの飛沫の跳ね返りを抑制することが望まれている。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる電解水吐出ユニット及びこの電解水吐出ユニットを備えたキッチンユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、水を電気分解する電気分解装置と、前記電気分解装置を通過した電解水を吐出する水栓と、を有する電解水吐出ユニットであって、
前記水栓は、前記電解水を吐出する吐出部を備えた第一端部と、
基台への取り付け部を備えた第二端部と、を有し、
前記吐出部は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記吐出部から吐出される前記電解水の吐出方向が鉛直下方に対して前記第二端部側に傾斜するように構成されている、電解水吐出ユニットにある。
【発明の効果】
【0008】
前記電解水吐出ユニットにおける水栓の吐出部は、取り付け部を基台に取り付けた状態において、吐出部から吐出される電解水の吐出方向が鉛直下方に対して第二端部側に傾斜するように構成されている。このように、吐出部から第二端部側に向けて電解水を吐出することにより、吐出部から吐出される電解水が洗浄対象物に当たった後に、電解水の飛沫が水栓の取り付け部側に跳ね返りやすくなる。その結果、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる。
【0009】
以上のように、前記の態様によれば、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる電解水吐出ユニット及びこの電解水吐出ユニットを備えたキッチンユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1における電解水吐出ユニットの全体の構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1における電解水吐出ユニットの電解水生成部の概略構成を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施例1における水栓の側面図である。
【
図4】
図4は、実施例1における水栓の上面図である。
【
図6】
図6は、実施例2における、電解水吐出ユニットが取り付けられたキッチンユニットの上面図である。
【
図7】
図7は、実施例2における、キッチンユニットの側面図である。
【
図8】
図8は、実施例3における電気分解装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施例3における電気分解装置の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図8のX-X線矢視断面における、水導入部近傍の拡大図である。
【
図11】
図11は、
図8のX-X線矢視断面における、水導出部近傍の拡大図である。
【
図13】
図13は、実施例3における電気分解装置のケース本体部の上面図である。
【
図14】
図14は、実施例3における電気分解装置のケース蓋部の下面図である。
【
図15】
図15は、実施例3における第一電極板の上面図である。
【
図16】
図16は、実施例3における第一シール材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記電解水吐出ユニットは、水栓の取り付け部を基台に取り付けた状態で使用される。本明細書において、「基台」とは、水回り設備において水栓が取り付けられる部分をいう。水栓が取り付けられる基台は、洗浄対象物に応じた態様であればよい。例えば、基台としては、キッチンシンクや洗面台、手洗い器等が挙げられる。
【0012】
水栓の形状や寸法、取り付け部の構造及び吐出部の配置等は、基台の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、基台としてのキッチンシンクに取り付けられる水栓は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態における、前記取り付け部から前記吐出部までの水平方向における距離が150mm以上250mm以下であり、かつ、前記取り付け部から前記吐出部までの鉛直下方における距離が100mm以上180mm以下であることが好ましい。この場合には、吐出部から吐出される電解水をより容易に洗浄対象物に当てることができる。
【0013】
水栓の第一端部及び第二端部は、種々の形態を取り得る。例えば、第一端部は、一方向に延在する直管状の形状を有していてもよく、いずれかの方向に湾曲した形状を有していてもよい。同様に、第二端部は、一方向に延在する直管状の形状を有していてもよく、いずれかの方向に湾曲した形状を有していてもよい。また、第一端部と第二端部との境界は、明瞭であってもよく、不明瞭であってもよい。
【0014】
より具体的には、水栓は、例えば、直管状の第一端部と、第一端部の延在方向とは異なる方向に延在している直管状の第二端部とを有しており、第一端部と第二端部とが接続部を介して接続された形状を有していてもよい。また、水栓は、例えば、第一端部から第二端部までの全体にわたって湾曲した形状を有していてもよい。
【0015】
水栓は、取り付け部を基台に取り付けた状態において、第一端部が水平方向に対して上方に傾斜する形状を有していることが好ましい。この場合には、第一端部から基台までの距離をより容易に大きくすることができるため、洗浄対象物を第一端部の下方に配置しやすくなる。その結果、洗浄対象物を洗浄する作業の作業性をより向上させることができる。
【0016】
前記水栓における、電解水の吐出と吐出停止との切り替えの方法は種々の態様を取り得る。例えば、水栓は、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えるためのレバーやノブ、スイッチなどを有していてもよい。
【0017】
水栓の第一端部は、その先端に電解水の吐出と吐出停止とを切り替え可能に構成された非接触式スイッチを有しており、非接触式スイッチは、取り付け部を基台に取り付けた状態において、非接触式スイッチの検知範囲が上方を向くように配置されていることが好ましい。このように、非接触式スイッチを用いて電解水の吐出と吐出停止とを切り替えることにより、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えるために使用者が水栓を触る必要がなくなる。その結果、水栓をより衛生的に使用することができる。さらに、非接触式スイッチの検知範囲を上方に向けることにより、電解水の吐出と吐出停止との切り替え操作をより容易に行うことができる。
【0018】
なお、非接触式スイッチの検知範囲が上方に向いた状態とは、非接触式スイッチの鉛直上方が検知範囲内に含まれている状態をいう。このような状態には、例えば、検知範囲の中心が鉛直上方を向いた状態や、検知範囲の中心が鉛直上方から若干傾いた方向を向いた状態等が含まれる。
【0019】
非接触式スイッチとしては、例えば、静電容量の変化を検出する静電容量式センサや、人体から放射される赤外線を検出する赤外線センサ、光の反射を利用する光学式センサなどを利用することができる。
【0020】
第一端部は、電解水が吐出されているときに点灯するように構成された発光装置を有しており、発光装置は、吐出部と第一端部の先端との間に配置されていることが好ましい。この場合には、発光装置の光を吐出部から吐出された電解水に照射し、電解水を目立たせることができる。これにより、電解水が吐出されているか否かを使用者がより容易に判断することができる。さらに、第一端部に発光装置を設けることにより、例えば、吐出部から吐出される電解水を別の容器に採取する際に、発光装置の光を目安にして、電解水を採取する容器を容易に吐出部に配置することができる。その結果、電解水を採取する操作をより簡便に行うことができる。
【0021】
第一端部に設けられた吐出部は、電解水を吐出する吐出口を有している。吐出部における吐出口の態様は特に限定されることはなく、種々の態様を取り得る。例えば、吐出部は、1つの吐出口を有しており、電解水が1本の連続した水流となっている状態で吐出することができるように構成されていてもよい。また、吐出部は、複数の吐出口を有しており、電解水をシャワー状に、つまり、吐出口から吐出された電解水がそれぞれ連続した水流となっている状態で吐出することができるように構成されていてもよい。さらに、吐出部は、1つまたは複数の吐出口を有しており、各吐出口から電解水を霧の状態、つまり、吐出部から吐出された電解水が多数の微細な水滴になっている状態で吐出することができるように構成されていてもよい。
【0022】
比較的少量の電解水で洗浄対象物を効率よく洗浄する観点からは、吐出部は、電解水を噴霧可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
吐出部は、取り付け部を基台に取り付けた状態において、吐出部から吐出される電解水の吐出方向が鉛直下方に対して第二端部側に傾斜するように構成されている。ここで、電解水の「吐出方向」とは、吐出部から吐出部の外部に吐出された直後における電解水の流れの向きを平均した方向をいう。すなわち、例えば、吐出口から吐出される電解水が1本の水流である場合には、吐出口から吐出された直後の水流の流れの向きを電解水の吐出方向とする。
【0024】
また、例えば、吐出口から電解水がシャワー状に吐出される場合には、吐出口から吐出された複数の水流の流れの向きを平均した方向を電解水の吐出方向とする。なお、電解水がシャワー状に吐出される場合には、通常は、複数の水流のうち、電解水の吐出範囲の中心における水流の流れの向きと、複数の水流の流れの向きを平均した方向とがと概ね一致する。従って、この場合には、吐出部から吐出された複数の水流のうち、吐出範囲の中央における水流の流れの向きを吐出方向とすることもできる。
【0025】
また、例えば、電解水が霧の状態で吐出部から吐出される場合には、吐出部から吐出された電解水の霧の中心を貫く方向を電解水の吐出方向とする。
【0026】
吐出部から吐出される電解水の態様にかかわらず、吐出部からの電解水の吐出方向を前記特定の方向とすることにより、電解水が洗浄対象物に当たった際に、電解水の飛沫が使用者とは反対の方向に向かって跳ね返りやすくなる。それ故、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる。
【0027】
このような効果をより確実に得る観点からは、電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度が1.0°以上であることが好ましく、1.5°以上であることがより好ましく、2.0°以上であることがさらに好ましく、2.5°以上であることが特に好ましい。一方、電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度が過度に大きくなると、かえって電解水を洗浄対象物に当てることが難しくなるおそれがある。かかる問題を容易に回避する観点から、電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度は7.0°以下であることが好ましく、6.5°以下であることがより好ましく、6.0°以下であることがさらに好ましく、5.5°以下であることが特に好ましい。
【0028】
電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度の好ましい範囲を構成するに当たっては、前述した電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度の上限と下限とを任意に組み合わせることができる。例えば、電解水の吐出方向と鉛直下方とのなす角度は、1.0°以上7.0°以下であってもよく、1.5°以上6.5°以下であってもよく、2.0°以上6.0°以下であってもよく、2.5°以上5.5°以下であってもよい。
【0029】
吐出部の少なくとも一部は周囲よりも外方に突出していることが好ましい。この場合には、例えば、吐出部から吐出される電解水を別の容器に採取する際に、吐出部における外方に突出している部分を目安にして、電解水を採取する容器を容易に吐出部に配置することができる。その結果、電解水を採取する操作をより簡便に行うことができる。
【実施例0030】
(実施例1)
前記電解水吐出ユニットの実施例を、
図1~
図5を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本例の電解水吐出ユニット1は、水を電気分解する電気分解装置21と、電気分解装置21を通過した電解水を吐出する水栓3と、を有している。水栓3は、電解水を吐出する吐出部34を備えた第一端部31と、基台への取り付け部321を備えた第二端部32と、を有している。
図3に示すように、吐出部34は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、吐出部34から吐出される電解水の吐出方向341が鉛直下方に対して第二端部32側に傾斜するように構成されている。
【0031】
図1に示すように、本例の電解水吐出ユニット1は、電気分解装置21を備えた電解水生成部2と、水栓3と、を有している。電解水生成部2と水栓3とは、電解水チューブ11及び制御ケーブル261を介して接続されている。
図2に示すように、電解水生成部2は、直方体状の筐体22と、給水配管に接続され、電解水の原料となる水を採取する取水部23と、取水部23から電気分解装置21への水の供給と供給停止とを切り替える電磁弁部24と、電気分解装置21と、電気分解装置21を通過した電解水から異物を除去するストレーナ25と、電磁弁部24及び電気分解装置21の動作を制御する制御部26とを有している。
【0032】
取水部23は、筐体22の角部を貫通している。取水部23は、筐体22の外部に給水配管を接続する配管接続部231を有している。また、取水部23は、筐体22の内部において電磁弁部24に接続されている。取水部23は、給水配管の水を配管接続部231から採取し、電磁弁部24に供給することができるように構成されている。
【0033】
電磁弁部24は、取水部23に接続され、電気分解装置21への水の供給と供給停止とを切り替える開閉弁241と、開閉弁241に接続され、電気分解装置21に送出する水の圧力を調整する減圧弁242と、減圧弁242に接続され、電気分解装置21から取水部23への水の逆流を防止する逆止弁243と、を有している。電磁弁部24は、制御部26からの制御信号を受けて、開閉弁241が開放された状態と閉止された状態とを切り替えることができるように構成されている。電磁弁部24は、開閉弁241を開放することにより、給水配管から流入した水の圧力を減圧弁242によって調整した後、逆止弁243を介して電気分解装置21に水を供給することができる。
【0034】
電磁弁部24を通過した水は、電気分解装置21に供給される。本例の電気分解装置21の形状は直方体状であり、電気分解装置21の筐体22内において、電気分解装置21の長手方向が筐体22の対角線に沿うようにして配置されている。また、電気分解装置21は、その長手方向に水が流れるように構成されている。
【0035】
また、電気分解装置21は、その内部空間に、互いに間隔をあけて対面して配置された一対の電極211を有している。一対の電極211の間には、制御部26から供給される電力によって電圧が印加される。電気分解装置21は、電極211間に電圧を印加することにより、電極211の間に存在する水を電気分解して電解水を生成することができる。
【0036】
本例の電極211の形状は長方形状である。一対の電極211は、その長辺と電気分解装置21の長手方向とが平行になるように配置されている。このように、電気分解装置21を筐体22の対角線に沿って配置するとともに、電気分解装置21を、その長手方向に水が流れるように構成することにより、電解水生成部2の体積の増大を回避しつつ、電気分解装置21内において水が電気分解される時間をより長くすることができる。これにより、電解水中の電気分解によって生じる化学物質の濃度をより高めることが期待できる。
【0037】
制御部26は、図には示さない配線を介して開閉弁241に接続されており、開閉弁241が開放された状態と閉止された状態とを切り替えることができるように構成されている。また、制御部26は、図には示さない配線を介して電気分解装置21に接続されており、電気分解装置21の電極211に電力を供給することができるように構成されている。さらに、制御部26は、制御ケーブル261を介して後述する水栓3の非接触式スイッチ35に接続されている。開閉弁241及び電気分解装置21の動作は、非接触式スイッチ35の操作信号に応じて制御される。これらの制御部26の動作は、例えば、電子回路などによって実現することができる。
【0038】
電気分解装置21を通過した水は、ストレーナ25によって異物を除去された後、電解水チューブ11を介して水栓3に供給される。
【0039】
図3に示すように、水栓3の本体は金属管30から構成されている。水栓3の第一端部31及び第二端部32は、それぞれ一方向に延在した直管状の形状を有しており、第一端部31と第二端部32とが接続部33を介して接続されている。また、第一端部31は、第二端部32の延在方向とは異なる方向に延在している。より具体的には、本例の第一端部31は、第二端部32の延在方向とのなす角度θ1が約72°となる方向に延在している。
【0040】
第二端部32は、水栓3を基台に取り付けるための取り付け部321を有している。取り付け部321は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、第二端部32が基台から鉛直上方に延出するように設けられている。
【0041】
本例の水栓3は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、第一端部31が水平方向Hに対して上方に傾斜する形状を有している。より具体的には、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、第一端部31の延在方向と水平方向Hとのなす角度θ2は約18°となる。
【0042】
なお、以下において、水栓3の第一端部31が延在している方向を「前後方向X」といい、前後方向Xにおける、接続部33から第一端部31の先端へ向かう向きを「前方X1」、第一端部31の先端から接続部33へ向かう向きを「後方X2」という。また、水栓3の第二端部32が延在している方向を「上下方向Z」といい、上下方向Zにおける、取り付け部321から接続部33へ向かう向きを「上方Z1」、接続部33から取り付け部321へ向かう向きを「下方Z2」という。これらの前後方向及び上下方向に関する表現は便宜上のものであり、水栓3を基台に取り付けた状態における実際の水栓3の向きとは無関係である。
【0043】
図3に示すように、第一端部31の先端は、前方X1へ向かうほどその厚みが薄くなるようなくさび状の形状を有している。また、
図1、
図3及び
図4に示すように、第一端部31の先端には、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えるための非接触式スイッチ35が設けられている。
図4に示すように、非接触式スイッチ35の検知範囲は概ね上方Z1を向いており、非接触式スイッチ35の上方Z1に手をかざすことにより、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えることができるように構成されている。
【0044】
図5に示すように、水栓3の第一端部31の筒内には、電解水チューブ11が接続されるアダプタ36と、電解水の吐出口342を備えた吐出部34と、アダプタ36から吐出部34に電解水を導く流路部材37と、が設けられている。
【0045】
アダプタ36及び流路部材37は、第一端部31の筒内に配置されており、電解水生成部2から吐出部34までの電解水の経路の一部を構成している。アダプタ36は、後方X2、つまり、接続部33側に突出したチューブ接続部361を有している。チューブ接続部361には電解水チューブ11が接続されている。流路部材37は、アダプタ36の前方X1に設けられており、その内部に、アダプタ36の内部空間362と連通した電解水流路371を有している。電解水チューブ11から供給される電解水は、アダプタ36の内部空間362及び電解水流路371を通り、吐出部34へ導かれる。
【0046】
吐出部34は、流路部材37の前方X1の端部に取り付けられている。本例の吐出部34は円柱状の形状を有しており、高さ方向Zの下方Z2に引いた基準線に対して吐出部34の中心軸線が後方X2に傾斜するように配置されている。また、吐出部34の下方Z2の端部は、第一端部31における金属管30の外表面よりも外方に突出している。
【0047】
吐出部34の下方Z2の端面の中央には、電解水が吐出される吐出口342が設けられている。
【0048】
吐出部34は、電解水を霧状に吐出することができるように構成されている。より具体的には、本例の吐出部34は、
図3に示すように、吐出口342を頂点とする円錐状の範囲Sに電解水を噴霧するように構成されている。また、吐出部34は、電解水の吐出方向341、つまり、円錐状の吐出範囲Sにおける頂点と底面の中央とを結ぶ方向が、高さ方向Zの下方Z2に引いた基準線Lに対して後方X2に傾斜した方向となるように構成されている。より具体的には、本例の水栓3における電解水は、電解水の吐出方向341と、基準線Lとのなす角度θ3が4°となるように、基準線Lに対して後方X2に傾斜した方向に吐出される。
【0049】
前述したように、本例の水栓3は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において第二端部32が鉛直上方に延在するように構成されている。従って、水栓3の取り付け部321を基台に取り付けた状態において吐出部34から吐出される電解水の吐出方向341は、鉛直下方に対して第二端部32側に傾斜した方向となる。
【0050】
第一端部31の先端には、非接触式スイッチ35が設けられている。本例の非接触式スイッチ35は、具体的には赤外線センサであり、
図5に示すように、第一端部31の先端に内蔵されたスイッチ基板351と、スイッチ基板の上方に設けられた赤外線透過部352とを有している。スイッチ基板351は、図には示さないが、人体から放射された赤外線を検出する赤外線検出部を有しており、赤外線透過部352を通過した赤外線が赤外線検出部において検出された場合に操作信号を発生するように構成されている。また、赤外線透過部352は、人体から放射された赤外線を透過する材料から構成されている。
【0051】
スイッチ基板351において発生した操作信号は、制御ケーブル261を介して電解水生成部2の制御部26に伝達される。そして、制御部26は、スイッチ基板351から操作信号を受信したとき、つまり、非接触式スイッチ35の検知範囲が手などで遮られたときに、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えるように構成されている。
【0052】
第一端部31の先端と吐出口342との間には、発光装置38が設けられている。発光装置38は、電解水が吐出されているときに点灯し、電解水の吐出が停止しているときに消灯するように構成されている。本例の発光装置38は、具体的には発光ダイオードである。また、発光装置38は、吐出口342から吐出される電解水に光が照射されるように配置されている。
【0053】
次に、本例の電解水吐出ユニット1の作用効果を説明する。
図3に示すように、電解水吐出ユニット1における水栓3の吐出部34は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、吐出部34から吐出される電解水の吐出方向341が鉛直下方に対して第二端部32側に傾斜するように構成されている。このように、吐出部34から第二端部32側に向けて電解水を吐出することにより、吐出部34から吐出される電解水が洗浄対象物に当たった後に、電解水の飛沫が水栓3の取り付け部321側に跳ね返りやすくなる。その結果、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる。
【0054】
また、吐出部34の少なくとも一部は周囲よりも外方に突出している。そのため、例えば、吐出部34から吐出される電解水を別の容器に採取する際に、吐出部34における外方に突出している部分を目安にして、電解水を採取する容器を容易に吐出部34に配置することができる。その結果、電解水を採取する操作をより簡便に行うことができる。
【0055】
水栓3は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、第一端部31が水平方向に対して上方に傾斜する形状を有している。それ故、第一端部31から基台までの距離をより容易に大きくし、洗浄対象物を第一端部31の下方に配置しやすくなる。その結果、洗浄対象物を洗浄する作業の作業性をより向上させることができる。
【0056】
水栓3の第一端部31は、その先端に電解水の吐出と吐出停止とを切り替え可能に構成された非接触式スイッチ35を有しており、非接触式スイッチ35は、取り付け部321を基台に取り付けた状態において、非接触式スイッチ35の検知範囲が上方を向くように配置されている。このように、非接触式スイッチ35を用いて電解水の吐出と吐出停止とを切り替えることにより、電解水の吐出と吐出停止とを切り替えるために使用者が水栓3を触る必要がなくなる。その結果、水栓3をより衛生的に使用することができる。さらに、非接触式スイッチ35の検知範囲を上方に向けることにより、電解水の吐出と吐出停止との切り替え操作をより容易に行うことができる。
【0057】
第一端部31は、電解水が吐出されているときに点灯するように構成された発光装置38を有しており、発光装置38は、吐出部34と第一端部31の先端との間に配置されている。発光装置38は、吐出部34から吐出された電解水に光を照射し、電解水を目立たせることができる。これにより、電解水が吐出されているか否かを使用者がより容易に判断することができる。さらに、第一端部31に発光装置38を設けることにより、例えば、吐出部34から吐出される電解水を別の容器に採取する際に、発光装置38の光を目安にして、電解水を採取する容器を容易に吐出部34に配置することができる。その結果、電解水を採取する操作をより簡便に行うことができる。
【0058】
また、吐出部34は、電解水を噴霧可能に構成されている。それ故、電解水吐出ユニット1は、比較的少量の電解水で洗浄対象物を効率よく洗浄することができる。
【0059】
以上のように、本例の電解水吐出ユニット1は、洗浄対象物に当たった後に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる。
【0060】
(実施例2)
本例においては、
図6~
図7を参照しつつ、実施例1の電解水吐出ユニット1が組み込まれたキッチンユニット4の例を説明する。なお、本実施例以降の実施例において用いる符号のうち既出の実施例において用いた符号と同一の符号は、特に説明のない限り、既出の実施例における構成要素等と同様の構成要素等を表す。
【0061】
図6及び
図7に示すように、キッチンユニット4は、基台としてのキッチンシンク41と、キッチンシンク41に取り付けられ、水道水が吐出される主水栓42と、電解水吐出ユニット1と、を有している。電解水吐出ユニット1の水栓3は、キッチンシンク41における主水栓42の隣に取り付けられている。なお、本例においては、電解水吐出ユニット1の水栓を「電解水水栓3」という。なお、
図6及び
図7においては、便宜上、電解水生成部の記載を割愛した。
【0062】
本例のキッチンユニット4における電解水水栓3は、取り付け部321を中心として旋回することができるようにしてキッチンシンク41に取り付けられている。電解水水栓3を、取り付け部321を中心として旋回させることにより、電解水による洗浄が不要な場合に電解水水栓3をキッチンシンク41の上方から退避させ、キッチンユニット4の使い勝手を向上させることができる。
【0063】
また、電解水水栓3は、
図6に示すように、第一端部31を使用者に向けた状態において、その吐出部34が主水栓42の吐出口421よりも使用者に近い位置に配置されていてもよい。前述したように、電解水水栓3は、電解水を鉛直下方よりも第二端部32側、つまり、使用者から遠ざかる方向に吐出するように構成されている。そのため、電解水水栓3の吐出部34をより使用者に近い位置に配置することにより、使用者が電解水を用いて洗浄対象物を洗浄する際に、使用者に向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減しつつ、より使用者に近い位置で洗浄作業を行うことができる。これにより、キッチンユニット4の使い勝手をより向上させることができる。
【0064】
本例のキッチンシンク41において、
図7に示す、電解水水栓3の取り付け部321から吐出部34までの水平方向における距離Aは150mm以上250mm以下であり、取り付け部321から吐出部34までの鉛直方向における距離Bは100mm以上180mm以下であることが好ましい。電解水水栓3における取り付け部321と吐出部34との位置関係を前記特定の範囲内とすることにより、吐出部34から吐出される電解水をより容易に洗浄対象物に当て、キッチンユニット4の使い勝手をより向上させることができる。
【0065】
同様の観点から、キッチンシンク41における、取り付け部321が設けられた淵411から吐出部34までの水平方向における距離Cは150mm以上160mm以下であることが好ましい。また、キッチンシンク41の使い勝手をより向上させる観点からは、キッチンシンク41からの電解水水栓3の高さDは180mm以上220mm以下であることが好ましい。
【0066】
本例のキッチンユニット4におけるキッチンシンク41には、電解水を斜め後方に吐出するように構成された電解水水栓3が取り付けられている。前述したように、電解水水栓3から吐出される電解水の吐出方向を鉛直下方に対して後方に傾斜した方向とすることにより、洗浄対象物から使用者へ向かって跳ね返る電解水の飛沫を低減することができる。
【0067】
また、キッチンシンク41の底面412は、通常、キッチンシンク41の奥に設けられた排水口413に向かって緩やかに傾斜している。そのため、電解水水栓3から吐出される電解水の吐出方向を鉛直下方に対して後方に傾斜した方向とすることにより、キッチンシンク41の底面412に着水した電解水が、底面412の傾斜に沿って排水口413へ導かれやすくなる。これにより、電解水がキッチンシンク41の底面412に滞留しにくくなり、キッチンシンク41への汚れなどの付着をより低減する効果が期待できる。
【0068】
さらに、洗浄対象物を電解水で洗浄する際に、洗浄対象物を、使用者から離れるほど低くなるように傾けた状態で電解水に当てることにより、洗浄対象物の表面における電解水の流速を早くすることができる。これにより、洗浄対象物をより容易に洗浄する効果が期待できる。
【0069】
(実施例3)
本例では、実施例1の電解水吐出ユニット1に用いられる電気分解装置の他の構成の例を、
図8~
図16を参照しつつ説明する。本例の電気分解装置5は、
図8及び
図9に示すように、ケース51と、第一電極板6a及び第二電極板6bと、を有している。
図10及び
図11に示すように、ケース51は、水が流通する内部空間511と、内部空間511に水を導入する水導入部52と、内部空間511から水を導出する水導出部53と、を有している。第一電極板6aは、ケース51の内部空間511における水導入部52と水導出部53との間に配置されている。第二電極板6bは、ケース51の内部空間511における、第一電極板6aに対向する位置に配置されている。第一電極板6aと第二電極板6bとの間には電極間空間61が形成されている。また、ケース51は、内部空間511における、水導入部52の開口521と電極間空間61との間に配置された流路調整部54を有している。以下、電気分解装置5のより詳細な構成を説明する。
【0070】
A.電気分解装置5
図8に示すように、本例の電気分解装置5におけるケース51の形状は直方体状である。
図9に示すように、電気分解装置5のケース51は、有底箱状のケース本体部7と、ケース本体部7の開口を覆う蓋部8とから構成されている。ケース51の長手方向における一方の端部には水導入部52が設けられており、他方の端部には水導出部53が設けられている。
【0071】
図9に示すように、ケース本体部7と蓋部8との間には、第一シール材55、第一電極板6a、第二電極板6b、第二シール材56及びOリング57が収容されている。ケース本体部7と蓋部8とは、ケース本体部7に保持されるナット58と、蓋部8及びケース本体部7に挿通され、ナット58に締結されるボルト59とによって互いに固定されている。
【0072】
本例においては、ケース51の長手方向を「縦方向x」、ケース本体部7と蓋部8との並び方向を「高さ方向z」といい、縦方向x及び高さ方向zの両方に直交する方向を「横方向y」という。また、縦方向xにおける、水導出部53から水導入部52へ向かう向きを「前方x1」といい、水導入部52から水導出部53へ向かう向きを「後方x2」という。そして、高さ方向zにおける、蓋部8からケース本体部7へ向かう向きを「下方z1」といい、ケース本体部7から蓋部8へ向かう向きを「上方z2」という。これらの電気分解装置5に関する向きの記載は、実施例1における水栓3の方向に関する記載とは無関係である。さらに、電気分解装置5の前後方向及び上下方向に関する表現は、電気分解装置5を電解水吐出ユニット1等に取り付けた状態における実際の電気分解装置5の向きとも無関係である。
【0073】
B.ケース51
図8に示すように、本例の電気分解装置5におけるケース51は直方体状の形状を有している。縦方向xの寸法は17mmであり、横方向yの寸法は44mmであり、高さ方向zの寸法は16mmである。
【0074】
図9に示すように、ケース本体部7は、高さ方向zから視た平面視における中央部に位置するケース底壁71と、ケース底壁71の外周端縁から上方z2に立設されたケース側壁72と、ケース側壁72の上端から外方に延出した本体フランジ73とを有している。
【0075】
図13に示すように、ケース底壁71は、縦方向xにおける中央に位置し、第一電極板6aが配置される底壁中央部711と、底壁中央部711の前方x1に位置する底壁前端部712と、底壁中央部711の後方x2に位置する底壁後端部713と、を有している。底壁中央部711には、後述する第一シール材55に対応した形状を有する溝からなる底壁溝部714と、底壁中央部711から上方z2に立設された8個の第一ボス715(315a~315e)とが設けられている。
【0076】
8個の第一ボス715のうち2個の第一ボス715cは、底壁中央部711における縦方向Xの中央部に位置している。また、2個の第一ボス715cは、横方向yに互いに間隔をあけて配置されている。8個の第一ボス715のうち他の2個の第一ボス715aは、底壁中央部711における第一ボス715cの前方x1に位置しており、さらに他の2個の第一ボス715eは、底壁中央部711における第一ボス715cの後方x2に位置している。これらの第一ボス715a及び第一ボス715eは、第一ボス715cと同様に横方向yに互いに間隔をあけて配置されている。
【0077】
また、8個の第一ボス715のうち、1個の第一ボス715bは、底壁中央部711の前方x1に配置された第一ボス715aと縦方向xの中央部に配置された第一ボス715cとの間において、横方向yの中央に配置されている。そして、8個の第一ボス715のうち、残る1個の第一ボス715dは、底壁中央部711の後方x2に配置された第一ボス715eと縦方向xの中央部に配置された第一ボス715cとの間において、横方向yの中央に配置されている。
【0078】
底壁前端部712と底壁中央部711との間、及び底壁後端部713と底壁中央部711との間には底壁仕切り部716(716a、716b)が設けられている。底壁仕切り部716は、底壁前端部712、底壁後端部713及び底壁中央部711よりも上方z2に突出している。
【0079】
底壁仕切り部716の横方向yにおける中央には、周囲よりも上方z2に突出した仕切り凸部717が設けられている。
図10に示すように、2つの仕切り凸部717(717a、717b)のうち前方x1の仕切り凸部717aは、後述するように、水導入部52の開口521と電極間空間61との間に配置されており、流路調整部54を構成している。また、
図11に示すように、2つの仕切り凸部717のうち後方x2の仕切り凸部717bは、水導出部53の開口531と電極間空間61との間に配置されている。
【0080】
図10及び
図11に示すように、ケース側壁72は、ケース底壁71の外周端縁から上方z2に立設されている。ケース側壁72の周囲にはOリング57が配置されている。Oリング57は、ケース側壁72と、後述する蓋側壁82との間の隙間を閉鎖している。
【0081】
図13に示すように、ケース側壁72のうち、底壁前端部712に連なる第一側壁部721には、水導入部52が設けられている。水導入部52は、水が流通するチューブを接続することができるように構成された管状の形状を有している。また、水導入部52は、第一側壁部721の横方向yにおける中央に開口521を有している。水導入部52の開口521は、ケース底壁71の前方x1に設けられた底壁仕切り部716a及び仕切り凸部717aに対面している。本例の水導入部52の開口521は円形であり、その直径は3.2mmである。なお、水導入部52の開口521の形状は円形に限定されることはない。水導入部52の開口521は、例えば四角形状や楕円形状、長円形状などの円形以外の形状を有していてもよい。
【0082】
ケース側壁72のうち、底壁後端部713に連なる第二側壁部722には、水導出部53が設けられている。水導出部53は、水導入部52と同様に、水が流通するチューブを接続することができるように構成された管状の形状を有している。また、水導出部53は、第二側壁部722の横方向yにおける中央に開口531を有している。水導出部53の開口531は、ケース底壁71の後方x2に設けられた底壁仕切り部716b及び仕切り凸部717bに対面している。本例の水導出部53の開口531は円形であり、その直径は3.2mmである。なお、水導出部53の開口531の形状は円形に限定されることはない。水導出部53の開口531は、例えば四角形状や楕円形状、長円形状などの円形以外の形状を有していてもよい。
【0083】
本体フランジ73は、ケース側壁72の上端から外方に延出している。本体フランジ73には、ボルト59を挿通するためのボルト挿通孔731と、ナット58を保持するナット受け部(図示略)とが設けられている。ボルト挿通孔731は、本体フランジ73を高さ方向zに貫通している。また、ナット受け部は、本体フランジ73の下面に設けられており、ナット58に対応した形状に陥没している。
【0084】
図9に示すように、蓋部8は、高さ方向zから視た平面視における中央部に位置するケース頂壁81と、ケース頂壁81から上方z2に立設された蓋側壁82と、蓋側壁82の上端から外方に延出した蓋フランジ83とを有している。
【0085】
図14に示すように、ケース頂壁81は、縦方向xにおけるケース頂壁81の中央に位置し、第二電極板6bが配置される頂壁中央部811と、頂壁中央部811の前方x1に位置する頂壁前端部812と、頂壁中央部811の後方x2に位置する頂壁後端部813とを有している。頂壁中央部811には、後述する第二シール材56に対応した形状を有する溝からなる頂壁溝部814と、頂壁中央部811から下方z1に立設された8個の第二ボス815(815a~815e)とが設けられている。
【0086】
8個の第二ボス815のうち2個の第二ボス815cは、頂壁中央部811における縦方向Xの中央部に位置している。また、第二ボス815cは、横方向yに互いに間隔をあけて配置されている。8個の第二ボス815のうち他の2個の第二ボス815aは、頂壁中央部811における第二ボス815cの前方x1に位置しており、さらに他の2個の第二ボス815eは、頂壁中央部811における第二ボス815cの後方x2に位置している。これらの第二ボス815a及び第二ボス815eは、第二ボス815cと同様に横方向yに互いに間隔をあけて配置されている。
【0087】
また、8個の第二ボス815のうち、1個の第二ボス815bは、頂壁中央部811の前方x1に配置された第二ボス815aと縦方向xの中央部に配置された第二ボス815cとの間において、横方向yの中央に配置されている。そして、8個の第二ボス815のうち、残る1個の第二ボス815dは、頂壁中央部811の後方x2に配置された第二ボス815eと縦方向xの中央部に配置された第二ボス815cとの間において、横方向yの中央に配置されている。
【0088】
頂壁前端部812と頂壁中央部811との間、及び頂壁後端部813と頂壁中央部811との間には頂壁仕切り部816(816a、816b)が設けられている。頂壁仕切り部816は、頂壁前端部812、頂壁後端部813及び頂壁中央部811よりも下方z1に突出している。また、頂壁仕切り部816の横方向yにおける中央、つまり、底壁中央部711の仕切り凸部717と対応する位置には、周囲よりも上方z2に陥没した仕切り凹部817が設けられている。2つの仕切り凹部817(817a、817b)のうち前方x1の仕切り凹部817aは、
図10に示すように、水導入部52の開口521に対面している。また、2つの仕切り凹部817のうち後方x2の仕切り凹部817bは、
図11に示すように、水導出部53の開口531に対面している。
【0089】
図10及び
図11に示すように、蓋側壁82は、ケース頂壁81の外周端縁から上方z2に立設されている。ケース51において、蓋側壁82はケース側壁72と対面する位置に配置されている。また、蓋側壁82とケース側壁72との間には、ケース51の内部空間511からケース51の外部への水の漏出を抑制するためのOリング57が配置されている。
【0090】
図14に示すように、蓋フランジ83は、蓋側壁82の上端から外方に延出している。蓋フランジ83には、ボルト59を挿通するためのボルト挿通孔831が設けられている。ボルト挿通孔831は、本体フランジ73におけるボルト挿通孔731に対応する位置に配置されており、蓋フランジ83を高さ方向zに貫通している。
【0091】
図10及び
図11に示すように、ケース本体部7と蓋部8との間には、ケース51の内部空間511が形成されている。ケース51の内部空間511には、第一電極板6a、第二電極板6b、第一シール材55及び第二シール材56が配置されている。
【0092】
C.第一電極板6a
図10及び
図11に示すように、第一電極板6aは、ケース本体部7における底壁中央部711の上方z2に配置されている。第一電極板6aと底壁中央部711との間には第一シール材55が介在している。また、第一電極板6aの上方z2の表面には蓋部8のケース頂壁81に立設された第二ボス815が当接している。すなわち、第一電極板6aは、第一シール材55と第二ボス815とによって支持されている。
【0093】
本例の第一電極板6aは、金属から構成されており、その表面に電気分解を促進させるための触媒が付着している。
図9及び
図15に示すように、第一電極板6aの形状は長方形であり、第一ボス715に対応する位置に、第一ボス715が挿通されるボス挿通孔62aが設けられている。また、第一電極板6aの長辺の後端には、第一電極板6aを外部回路と電気的に接続するための第一端子部63aが設けられている。第一端子部63aは、第一電極板6aから横方向yに延出しており、
図8に示すように第一端子部63aの先端がケース側壁72を貫通してケース51の外部に露出している。また、
図9に示すように、第一端子部63aとケース側壁72との隙間は、端子シール材64aによって閉鎖されている。
【0094】
D.第二電極板6b
図10及び
図11に示すように、第二電極板6bは、蓋部8における頂壁中央部811の下方z1に配置されている。第二電極板6bは第一電極板6aと対面しており、第一電極板6aと第二電極板6bとの間に電極間空間61が形成されている。本例における電極間空間61の高さ方向zにおける内寸法、つまり、第一電極板6aから第二電極板6bまでの高さ方向zにおける距離は約0.5mmである。
【0095】
第二電極板6bと頂壁中央部811との間には第二シール材56が介在している。また、第二電極板6bの下方z1の表面にはケース本体部7の底壁中央部711に立設された第一ボス715が当接している。すなわち、第二電極板6bは、第二シール材56と第一ボス715とによって支持されている。
【0096】
本例の第二電極板6bは、第一電極板6aと同様に金属から構成されており、その表面に電気分解を促進させるための触媒が付着している。
図9に示すように、第二電極板6bの形状は長方形であり、第二ボス815に対応する位置に、第二ボス815が挿通されるボス挿通孔62bが設けられている。また、第二電極板6bの長辺の前端には、第二電極板6bを外部回路と電気的に接続するための第二端子部63bが設けられている。第二端子部63bは、第二電極板6bから第一端子部63aの延出方向と同一の方向に延出しており、
図8に示すように第二端子部63bの先端がケース側壁72を貫通してケース51の外部に露出している。また、
図9に示すように、第二端子部63bとケース側壁72との隙間は、端子シール材64bによって閉鎖されている。
【0097】
E.第一シール材55
本例の第一シール材55は、ゴムまたはエラストマーから構成されている。
図10及び
図11に示すように、第一シール材55は、ケース本体部7の底壁中央部711における底壁溝部714に保持されている。第一シール材55は、底壁中央部711と第一電極板6aとの間に介在しており、第一電極板6aを下方z1から支持している。
図16に示すように、第一シール材55は、第一電極板6aの外周端縁に沿った長方形の形状を有する第一外周シール部551と、第一外周シール部551の一方の長辺から他方の長辺までにわたって横方向yに延在する複数の第一電極支持部552とを有している。
【0098】
F.第二シール材56
本例の第二シール材56は、ゴムまたはエラストマーから構成されている。
図10及び
図11に示すように、第二シール材56は、蓋部8の頂壁中央部811における頂壁溝部814に保持されている。第二シール材56は、頂壁中央部811と第二電極板6bとの間に介在しており、第二電極板6bを上方z2から支持している。
図9に示すように、第二シール材56の形状は第一シール材55と同様である。すなわち、第二シール材56は、第二電極板6bの外周端縁に沿った長方形の形状を有する第二外周シール部561と、第二外周シール部561の一方の長辺から他方の長辺までにわたって横方向yに延在する複数の第二電極支持部562とを有している。
【0099】
G.内部空間511
図10及び
図11に示すように、ケース51は、ケース底壁71、ケース側壁72、Oリング57、蓋側壁82及びケース頂壁81によって囲まれた内部空間511を有している。
図10に示すように、内部空間511の前方x1の端部には水分配空間512が設けられている。また、
図11に示すように、内部空間511の後方x2の端部には水合流空間513が設けられている。水分配空間512と水合流空間513とは、両者の間に配置された電極間空間61を介して連通している。
【0100】
図10に示すように、水分配空間512は、水導入部52の開口521と電極間空間61との間に設けられている。また、水分配空間512は、水導入部52の開口521の流路断面積及び電極間空間61の流路断面積よりも大きな流路断面積を有している。より具体的には、本例の水分配空間512は、
図12に示すように、縦方向xに垂直な断面において、水導入部52の開口521から横方向yの両側に延出した形状を有している。これにより、水分配空間512の流路断面積は水導入部52の開口521の流路断面積よりも大きくなっている。
【0101】
また、水分配空間512の高さ方向zにおける内寸法、つまり、底壁前端部712から頂壁前端部812までの高さ方向zにおける距離は、電極間空間61の高さ方向zにおける内寸法、つまり、第一電極板6aから第二電極板6bまでの高さ方向zにおける距離よりも大きくなっている。また、水分配空間512の横方向yにおける内寸法及び電極間空間61の横方向yにおける内寸法は、ケース側壁72のうち、横方向yの一方に設けられた第三側壁部723から横方向yの他方に設けられた第四側壁部724までの距離と概ね等しい。これにより、水分配空間512の流路断面積は電極間空間61の流路断面積よりも大きくなっている。
【0102】
図12に示すように、水分配空間512と電極間空間61との間は、ケース底壁71の前方x1に設けられた底壁仕切り部716aと、ケース頂壁81の前方x1に設けられた頂壁仕切り部816aとによって区画されている。底壁仕切り部716aと頂壁仕切り部816aとの間には隙間が形成されており、水導入部52から流入した水は、底壁仕切り部716aと頂壁仕切り部816aとの間の隙間から電極間空間61に流入することができる。
【0103】
また、水導入部52の開口と電極間空間61との間には流路調整部54が設けられている。本例の流路調整部54は、より具体的には、底壁前端部712と底壁中央部711との間に設けられた底壁仕切り部716aである。
【0104】
図10に示すように、電極間空間61は、縦方向xにおける水分配空間512の後方x2に配置されている。電極間空間61には、ケース本体部7に設けられた第一ボス715及び蓋部8に設けられた第二ボス815が立設されている。電極間空間61内に流入した水は、これらのボスによって流れを乱されつつ、電極間空間61の後方x2に配置された水合流空間513に導かれる。
【0105】
図11に示すように、水合流空間513は、電極間空間61と水導出部53の開口531との間に設けられている。図には示さないが、水合流空間513と電極間空間61との間は、ケース底壁71の後方x2に設けられた底壁仕切り部716b(
図13参照)と、ケース頂壁81の後方x2に設けられた頂壁仕切り部816b(
図14参照)とによって区画されている。底壁仕切り部716bと頂壁仕切り部816bとの間には隙間が形成されており、電極間空間61から流入した水は、底壁仕切り部716bと頂壁仕切り部816bとの間の隙間から水合流空間513に流入することができる。
【0106】
水合流空間513は、水導出部53の開口531の流路断面積及び電極間空間61の流路断面積よりも大きな流路断面積を有している。より具体的には、本例の水合流空間513は、
図12に示す水分配空間512と同様に、縦方向xに垂直な断面において、水導出部53の開口531から横方向yの両側に延出した形状を有している。これにより、水合流空間513の流路断面積は水導出部53の開口531の流路断面積よりも大きくなっている。
【0107】
また、
図11に示すように、水合流空間513の高さ方向zにおける内寸法、つまり、底壁後端部713から頂壁後端部813までの高さ方向zにおける距離は、電極間空間61の高さ方向zにおける内寸法、つまり、第一電極板6aから第二電極板6bまでの高さ方向zにおける距離よりも大きくなっている。さらに、図には示さないが、水合流空間513の横方向yにおける内寸法及び電極間空間61の横方向yにおける内寸法は、第三側壁部723から第四側壁部724までの距離(
図12参照)と概ね等しい。これにより、水合流空間513の流路断面積は電極間空間61の流路断面積よりも大きくなっている。
【0108】
次に、本例の電気分解装置5に水を供給した際の水の流れを説明する。電気分解装置5の水導入部52に水を供給すると、まず、水導入部52の開口521からケース51の内部空間511に水が流入する。水導入部52の開口から流入した水は、
図12に示すように、流路調整部54としての仕切り凸部717aによって電極間空間61に直接流入することを妨げられ、水分配空間512内に貯留される。水分配空間512内に貯留された水は、底壁仕切り部716aと頂壁仕切り部816aとの間の隙間から電極間空間61に流入する。そして、第一電極板6aと第二電極板6bとの間において水の電気分解が行われる。
【0109】
電極間空間61を通過した水は、底壁仕切り部716bと頂壁仕切り部816bとの間の隙間から水合流空間513に流入する。水合流空間513内の水は、その後、水導出部53から電気分解装置5の外部に導出される。
【0110】
次に、本例の電気分解装置5の作用効果を説明する。
図10及び
図12に示すように、電気分解装置5のケース51は、その内部空間511における、水導入部52の開口521と電極間空間61との間に配置された流路調整部54を有している。前記特定の位置に設けられた流路調整部54は、水導入部52から導入された水が電極間空間61内に流入する前に水の流れの向きを変更することができる。そして、流路調整部54によって水導入部52から流入する水の流れの向きを変更することにより、水導入部52から流入した水が電極間空間61内に均一に広がりやすくなる。その結果、電極間空間61における水の電気分解の効率を高め、電気分解によって生じる化学物質の濃度を容易に高めることができる。
【0111】
また、
図12に示すように、ケース51の内部空間511は、水導入部52の開口521と電極間空間61との間に、水導入部52の開口521の流路断面積及び電極間空間61の流路断面積よりも大きな流路断面積を有する水分配空間512を有している。電極間空間61の上流に水分配空間512を設けることにより、水導入部52から流入した水を一旦水分配空間512に貯留することができる。また、水分配空間512は電極間空間61よりも流路断面積が大きいため、水分配空間512から電極間空間61に水が進入する際の流路抵抗を適度に高めることができる。その結果、水分配空間512内の水を電極間空間61内により均一に進入させ、電気分解の効率をより高めることができる。
【0112】
また、
図11に示すように、ケース51の内部空間511は、電極間空間61と水導出部53の開口531との間に、電極間空間61の流路断面積及び水導出部53の開口531の流路断面積よりも大きな流路断面積を有する水合流空間513を有している。このように、電極間空間61の下流に水合流空間513を設けることにより、電極間空間61を通過した後の水の流路抵抗をより低減することができる。その結果、電極間空間61における水の流れをより均一し、電気分解の効率をより高めることができる。
【0113】
図12に示すように、第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離は水導入部52の開口521の円相当径よりも小さい。このように、電極間の隙間を比較的小さくすることにより、流路調整部54によって流れの向きを変更された水が、電極間空間61内により均一に進入しやすくなる。その結果、電気分解の効率をより高めることができる。
【0114】
第一電極板6a及び第二電極板6bは、その端縁の少なくとも一部に直線部を有しており、流路調整部54は直線部における一方の端点と他方の端点との間に対面する位置に配置されている。より具体的には、
図12に示すように、流路調整部54は、長方形状の第一電極板6a及び第二電極板6bにおける短辺の中央に対面している。そのため、流路調整部54は、水導入部52から流入した水を流路調整部54の左右に均等に分配し、電極間空間61内に水をより均一に進入させることができる。その結果、電気分解の効率をより高めることができる。
【0115】
また、流路調整部54は、長方形状の第一電極板6a及び第二電極板6bの短辺に対面する位置に配置されているため、電極間空間61内に進入した水を、第一電極板6a及び第二電極板6bの長辺に沿う方向に流すことができる。その結果、電極間空間61内において水が電気分解される時間をより長くし、電気分解の効率をより高めることができる。
【0116】
また、第一電極板6a及び第二電極板6bの短辺の長さは水導入部52の開口の円相当径よりも大きい。これにより、電極間空間61の流路断面積をより広くし、電極間空間61内を流れる水の流速を適度に低下させることができる。その結果、電極間空間61内において水が電気分解される時間をより長くし、電気分解の効率をより高めることができる。
【0117】
また、第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離は、0.3mm以上0.7mm以下である。第一電極板6aと第二電極板6bとの間隔を、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.65mm以下、さらに好ましくは0.6mm以下、特に好ましくは0.55mm以下とすることにより、水の電気分解を効率よく行い、電気分解によって生じる化学物質の濃度を高めることができる。また、第一電極板6aと第二電極板6bとの間隔を、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.35mm以上、さらに好ましくは0.4mm以上、特に好ましくは0.45mm以上とすることにより、電気分解に伴って生じる析出物等の異物が第一電極板6aと第二電極板6bとの間に詰まりにくくなる。
【0118】
第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離の好ましい範囲を構成するに当たっては、前述した第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離の上限と下限とを任意に組み合わせることができる。例えば、第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離の好ましい範囲は、0.35mm以上0.65mm以下であってもよく、0.4mm以上0.6mm以下であってもよく、0.45mm以上0.55mm以下であってもよい。これらの電気分解の効率向上の効果と、異物の詰まりの抑制の効果とをバランス良く得る観点からは、第一電極板6aと第二電極板6bとの間隔を0.5mmとすることが最も好ましい。
【0119】
また、
図10及び
図11に示すように、電気分解装置5は、ケース51の内表面と第一電極板6aとの間に介在し、ゴムまたはエラストマーからなる第一シール材55と、ケース51の内表面と第二電極板6bとの間に介在し、ゴムまたはエラストマーからなる第二シール材56と、を有しており、ケース51は、その内表面から突出し、第二電極板6bを貫通して第一電極板6aに当接した第一ボス715と、第一電極板6aを貫通して第二電極板6bに当接した第二ボス815と、を有している。このように、各電極板をシール材とボスとによって支持することにより、第一電極板6aと第二電極板6bとの間の隙間の大きさをより均一にすることができる。さらに、第一ボス715及び第二ボス815を電極間空間61内に配置することにより、電極間空間61内の水の流れを適度に乱し、電極間空間61内の水を攪拌することができる。これにより、電気分解の効率をより高めることができる。
【0120】
図9に示すように、第一シール材55は、第一電極板6aの端縁に沿って配置された第一外周シール部551を有しており、第二シール材56は、第二電極板6bの端縁に沿って配置された第二外周シール部561を有している。このように、各電極板とケース51の内表面との間にシール材の外周シール部を配置することにより、水導入部52から流入した水が各電極板とケース51との間の隙間に進入することを抑制し、電極間空間61に進入する水の割合をより大きくすることができる。その結果、電気分解の効率をより高めることができる。
【0121】
また、第一シール材55は、第一外周シール部551の内側に配置された第一電極支持部552を有しており、第二シール材56は、第二外周シール部561の内側に配置された第二電極支持部562を有している。そのため、各電極板の外周部分をシール材の外周シール部で支持するとともに、各電極板の外周部分の内側をシール材の電極支持部で支持することができる。その結果、電極間空間61内における、第一電極板6aから第二電極板6bまでの距離のばらつきをより小さくし、電気分解の効率をより高めることができる。
【0122】
さらに、第一電極支持部552は第一外周シール部551に連なっており、第二電極支持部562は第二外周シール部561に連なっている。このように、各シール材における電極支持部を外周シール部と一体に形成することにより、電極板とケース51の内表面との間の空間を、外周シール部及び電極支持部によって複数の領域に区画することができる。これにより、電極間空間61を流れる水が、第一ボス715と第一電極板6aとの間の隙間や、第二ボス815と第二電極板6bとの間の隙間から各電極板とケース51の内表面との間の空間へより進入しにくくなる。その結果、電極間空間61に進入する水の割合をより大きくし、電気分解の効率をより高めることができる。
【0123】
図10及び
図11に示すように、第一ボス715は、第一電極板6aを貫通し、電極間空間61内に突出して配置されている。そのため、電極間空間61内を流れる水を第一ボス715によって攪拌することができる。さらに、
図13に示すように、横方向yに互いに並んだ第一ボス715a、315c、315eと、横方向yの中央に設けられた第一ボス715b、315dとが、縦方向xに間隔をあけて交互に配置されている。第一ボス715をこのように配置することにより、電極間空間61内の水をより効率よく攪拌することができる。これにより、電気分解の効率をより高めることができる。
【0124】
図10及び
図11に示すように、第二ボス815は、第二電極板6bを貫通し、電極間空間61内に突出して配置されている。そのため、電極間空間61内を流れる水を第二ボス815によって攪拌することができる。さらに、
図14に示すように、横方向yに互いに並んだ第二ボス815a、815c、815eと、横方向yの中央に設けられた第二ボス815b、815dとが、縦方向xに間隔をあけて交互に配置されている。第二ボス815をこのように配置することにより、電極間空間61内の水をより効率よく攪拌することができる。これにより、電気分解の効率をより高めることができる。
【0125】
また、
図8及び
図9に示すように、ケース本体部7と蓋部8とは、ケース本体部7に保持されたナット58と、蓋部8に挿通されたボルト59とによって締結されている。このように、ケース本体部7と蓋部8とをねじの締め付けによって締結することにより、高さ方向Zにおける第一電極板6aと第二電極板6bとの距離をより容易に調整することができる。また、この場合には、例えば電気分解装置5の修理が必要となった際等に、ケース本体部7と蓋部8とを容易に分離することができ、電気分解装置5のメンテナンス性をより向上させることができる。
【0126】
以上、実施例に基づいて前記電解水吐出ユニット及びキッチンユニットの態様を説明したが、本発明に係る電解水吐出ユニット及びキッチンユニットの具体的な態様は実施例の態様に限定されることはなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
【0127】
例えば、前記電解水吐出ユニットは、以下の〔1〕~〔7〕に係る態様を取り得る。
【0128】
〔1〕水を電気分解する電気分解装置と、前記電気分解装置を通過した電解水を吐出する水栓と、を有する電解水吐出ユニットであって、
前記水栓は、前記電解水を吐出する吐出部を備えた第一端部と、
基台への取り付け部を備えた第二端部と、を有し、
前記吐出部は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記吐出部から吐出される前記電解水の吐出方向が鉛直下方に対して前記第二端部側に傾斜するように構成されている、電解水吐出ユニット。
【0129】
〔2〕前記吐出部の少なくとも一部が周囲よりも外方に突出している、〔1〕に記載の電解水吐出ユニット。
〔3〕前記水栓は、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記第一端部が水平方向に対して上方に傾斜する形状を有している、〔1〕または〔2〕に記載の電解水吐出ユニット。
【0130】
〔4〕前記第一端部は、その先端に前記電解水の吐出と吐出停止とを切り替え可能に構成された非接触式スイッチを有しており、前記非接触式スイッチは、前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態において、前記非接触式スイッチの検知範囲が上方を向くように配置されている、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の電解水吐出ユニット。
〔5〕前記第一端部は、前記電解水が吐出されているときに点灯するように構成された発光装置を有しており、前記発光装置は、前記吐出部と前記第一端部の先端との間に配置されている、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の電解水吐出ユニット。
【0131】
〔6〕前記吐出部は、前記電解水を噴霧可能に構成されている、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の電解水吐出ユニット。
〔7〕前記取り付け部を前記基台に取り付けた状態における、前記取り付け部から前記吐出部までの水平方向における距離が150mm以上250mm以下であり、かつ、前記取り付け部から前記吐出部までの鉛直方向における距離が100mm以上180mm以下である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の電解水吐出ユニット。
【0132】
また、例えば、前記キッチンユニットは、以下の〔8〕に係る態様を取り得る。
【0133】
〔8〕〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の電解水吐出ユニットを備えたキッチンユニット。