(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145913
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】非水系毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20241004BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241004BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/892
A61Q5/00
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058500
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100222302
【弁理士】
【氏名又は名称】南原 克行
(72)【発明者】
【氏名】本村 友希
(72)【発明者】
【氏名】戸田 和成
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC31
4C083DD28
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】毛髪にまとまりを付与できる非水系毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】非水系毛髪化粧料は、成分(A)~(C)を含有する。成分(A)は、揮発性炭化水素である。成分(B)は、揮発性シリコーンである。成分(C)は、ジメチコノールである。成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比(A/B)は、質量基準で0.6以上2.5以下である。非水系毛髪化粧料の25℃における粘度は、50mPa・s以上であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C)を含有し、前記成分(B)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の比(A/B)は、質量基準で0.6以上2.5以下である、非水系毛髪化粧料。
(A)揮発性炭化水素
(B)揮発性シリコーン
(C)ジメチコノール
【請求項2】
25℃における粘度が50mPa・s以上である、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)は、イソドデカン、(C11-13)イソパラフィン、およびイソヘキサデカンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)の含有量は、10質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項5】
成分(D)として、安息香酸アルキルをさらに含有する、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項6】
環状シリコーンを実質的に含有しない、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【請求項7】
毛髪に接触させた後、前記毛髪から洗い流さずに使用される、請求項1に記載の非水系毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、日常生活における紫外線照射、ヘアカラーおよびパーマ施術等の化学処理、並びに、ヘアアイロンおよびドライヤー等の熱を利用した物理処理によって、日常的に損傷を受けている。毛髪が損傷を受けることによって、毛髪が絡まりやすくなる。加えて、毛髪が損傷を受けることによって、毛髪の柔らかさ、まとまり感、指通り等の毛髪の仕上がりが悪化する。毛髪の損傷の例は、毛髪の表面のキューティクルの剥離、毛髪の内部のタンパク質の変性、および毛髪の内部の空洞化である。毛髪の内部の空洞化は、例えば毛髪の内部の脂質が流出することによって進行する。そこで、損傷を受けた毛髪に対して、様々なヘアケア製品が開発されている。例えば、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、および洗い流さないタイプのトリートメント等のヘアケア製品が提供されている。
【0003】
特許文献1には、所定の炭素数を有する分枝アルカン、ジメチコノール、および所定の粘度を有するシリコーンを含む化粧料組成物が記載されている。
【0004】
特許文献2には、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコノール、およびジメチコンを含有し、環状シリコーンを含有しない洗い流さない油性毛髪化粧料が記載されている。
【0005】
特許文献3には、(a)揮発性分枝状C13-15アルカン油、(b)成分(a)以外の揮発性油、および(c)不揮発性油を含み、成分(a)の量が、成分(a)と成分(b)との総質量に対して所定の含有量である、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための組成物が記載されている。
【0006】
特許文献4には、(A)成分として(A1)ジメチコン及び(A2)ジメチコノールを含有し、(A)成分の含有量が60質量%以上、並びに(B)イソドデカンを1~40質量%を含有し、実質的に環状シリコーンを含有しない洗い流さない非水系ヘアオイルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2022-527344号公報
【特許文献2】特開2020-040915号公報
【特許文献3】特開2019-182769号公報
【特許文献4】特開2018-100244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、毛髪にまとまりを付与できる非水系毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
下記成分(A)~(C)を含有し、前記成分(B)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の比(A/B)は、質量基準で0.6以上2.5以下である、非水系毛髪化粧料を提供する。
(A)揮発性炭化水素
(B)揮発性シリコーン
(C)ジメチコノール
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛髪にまとまりを付与できる非水系毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明を特定の形態に限定するものではない。
【0012】
本実施形態に係る非水系毛髪化粧料は、以下の成分(A)~(C)を含有する。成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比(A/B)は、質量基準で0.6以上2.5以下である。
(A)揮発性炭化水素
(B)揮発性シリコーン
(C)ジメチコノール
【0013】
・成分(A)
成分(A)は、揮発性炭化水素である。本明細書において、「揮発性炭化水素」は、沸点が260℃以下である炭化水素を意味する。揮発性炭化水素の沸点は、50℃以上260℃以下であってもよい。
【0014】
揮発性炭化水素は、直鎖状の炭化水素であってもよく、分岐鎖状の炭化水素であってもよい。揮発性炭化水素は、例えば、炭素数6~18の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素である。揮発性炭化水素は、炭素数10~16の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素であってもよい。
【0015】
直鎖状の炭化水素の例は、デカン、ドデカン、およびヤシアルカンである。分岐鎖状の炭化水素の例は、イソドデカン、(C11-13)イソパラフィン、イソヘキサデカン、および水添ポリイソブテンである。(C11-13)イソパラフィンは、炭素数11~13の分岐鎖状の脂肪族炭化水素の混合物である。
【0016】
成分(A)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(A)は、イソドデカン、(C11-13)イソパラフィン、およびイソヘキサデカンからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよく、イソドデカンであってもよい。
【0017】
非水系毛髪化粧料の総質量に対する成分(A)の含有量は、例えば、10質量%以上70質量%以下である。成分(A)の含有量は、15質量%以上、20質量%以上、さらには30質量%以上であってもよく、65質量%以下、さらには60質量%以下であってもよい。非水系毛髪化粧料における成分(A)の含有量がこの程度に高くても樹脂は膨潤しにくい。すなわち、非水系毛髪化粧料をポンプディスペンサー付き容器に収容した場合でも、ポンプディスペンサーを構成する樹脂製の部品が膨潤しにくい。その結果、ポンプディスペンサーを滑らかに作動させることができる。
【0018】
・成分(B)
成分(B)は、揮発性シリコーンである。
【0019】
本明細書において、「揮発性シリコーン」は、沸点が50℃以上260℃以下であるシリコーンを意味する。
【0020】
揮発性シリコーンは、直鎖状のシリコーンであってもよく、分岐鎖状のシリコーンであってもよい。
【0021】
揮発性シリコーンの25℃における動粘度は、例えば、5.0cSt未満である。揮発性シリコーンの25℃における動粘度は、4.5cSt以下であってもよく、4.0cSt以下、3.0cSt以下、2.5cSt以下、さらには2.2cSt以下であってもよい。揮発性シリコーンの25℃における動粘度の下限値は、例えば、0.1cStである。
【0022】
成分(B)として、揮発性シリコーンを1種類のみ使用してもよく、2種類以上の揮発性シリコーンを併用してもよい。
【0023】
非水系毛髪化粧料の総質量に対する成分(B)の含有量は、例えば、10質量%以上70質量%以下である。成分(B)の含有量は、20質量%以上、30質量%以上、さらには35質量%以上であってもよく、60質量%以下、50質量%以下、さらには45質量%以下であってもよい。非水系毛髪化粧料における成分(B)の含有量がこの程度に高くても、毛髪の質感(まとまり)をより向上させることができる。
【0024】
非水系毛髪化粧料において、成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比A/Bは、質量基準で0.6以上2.5以下である。これにより、毛髪の質感(まとまり)を向上させることができる。加えて、比A/Bを適切に調節することによって、樹脂をより膨潤しにくくできる。すなわち、比A/Bを適切に調節することによって、非水系毛髪化粧料をポンプディスペンサー付き容器に収容した場合でも、ポンプディスペンサーを構成する樹脂製の部品が膨潤しにくい。その結果、ポンプディスペンサーをより滑らかに作動させることができる。
【0025】
比A/Bは、0.7以上であってもよく0.8以上であってもよい。比A/Bは、2.0以下であってもよく、1.5以下であってもよく、1.0以下であってもよい。
【0026】
・成分(C)
成分(C)は、ジメチコノールである。
【0027】
ジメチコノールは、ジメチルポリシロキサンの末端メチル基がヒドロキシ基に置換された重合体である。ジメチコノールは、直鎖状のジメチコノールであってもよい。
【0028】
非水系毛髪化粧料は、成分(C)として、1種類のジメチコノールのみを含んでいてもよく、2種類以上のジメチコノールを併用してもよい。
【0029】
非水系毛髪化粧料の総質量に対する成分(C)の含有量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下である。含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、さらには5.0質量%以上であってもよく、18.0質量%以下、15.0質量%以下、10.0質量%以下、8.0質量%以下、さらには7.0質量%以下であってもよい。
【0030】
非水系毛髪化粧料の25℃における粘度は、例えば、50mPa・s以上である。これにより、優れた展延性を有する非水系毛髪化粧料を得ることができ、非水系毛髪化粧料を毛髪に均一に塗布できる。非水系毛髪化粧料の粘度の測定方法は、実施例の欄に記載する。
【0031】
非水系毛髪化粧料の25℃における粘度は、80mPa・s以上であってもよく、100mPa・s以上、200mPa・s以上、さらには250mPa・s以上であってもよい。非水系毛髪化粧料の25℃における粘度の上限値は、1000mPa・sであってもよく、700mPa・sであってもよく、500mPa・sであってもよい。
【0032】
・成分(D)
非水系毛髪化粧料は、成分(D)をさらに含有していてもよい。成分(D)は安息香酸アルキルである。非水系毛髪化粧料に成分(D)が含まれることによって、より毛流れが整いやすくなる。
【0033】
安息香酸アルキルは、安息香酸と脂肪族アルコールとのエステルである。安息香酸アルキルの例は、安息香酸アルキル(C12-15)、安息香酸アルキル(C16,17)、安息香酸イソステアリル、安息香酸イソブチル、安息香酸エチル、安息香酸エチルへキシル、および安息香酸オクチルドデシルである。安息香酸アルキル(C12-15)は、安息香酸と炭素数12~15の脂肪族アルコールとのエステルである。安息香酸アルキル(C16,17)は、安息香酸と炭素数16,17の脂肪族アルコールとのエステルである。
【0034】
成分(D)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(D)は、安息香酸アルキル(C12-15)であってもよい。
【0035】
非水系毛髪化粧料の総質量に対する成分(D)の含有量は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。成分(D)の含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、さらには1.5質量%以上であってもよく、8質量%以下、5質量%以下、さらには3質量%以下であってもよい。
【0036】
非水系毛髪化粧料は、エステル油をさらに含有していてもよい。エステル油は、室温(25℃)で液状であってもよい。エステル油は、毛流れの整いに寄与しうる。加えて、エステル油は、さらさらとした指通り(さらさら感)、および非水系毛髪化粧料を毛髪に使用したときの指通り(すべり感)に寄与しうる。
【0037】
エステル油は、脂肪酸とアルコールとのエステルである。脂肪酸は、直鎖状の脂肪酸であってもよく、分岐鎖状の脂肪酸であってもい。アルコールは、低級アルコールであってもよく、高級アルコールであってもよい。加えて、アルコールは、直鎖状のアルコールであってもよく、分岐鎖状のアルコールであってもよい。
【0038】
エステル油は、モノエステル、ジエステル、トリエステル、およびテトラエステルからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0039】
エステル油の例は、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、乳酸イソステアリル、乳酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエチルヘキシル、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジリノール酸ジイソプロピル、ジオクタン酸エチレングリコール、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリエチルヘキサノイン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、カプリル酸プロピルヘプチル、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、およびテトライソステアリン酸ペンタエリスリチルである。
【0040】
エステル油として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
【0041】
非水系毛髪化粧料の総質量に対するエステル油の含有量は、例えば、0.1質量%以上30質量%以下である。エステル油の含有量は、1.0質量%以上、2.0質量%以上、さらには3.0質量%以上であってもよく、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、さらには5.0質量%以下であってもよい。
【0042】
非水系毛髪化粧料は、不揮発性シリコーンをさらに含有していてもよい。不揮発性シリコーンとは、25℃における動粘度が5cSt以上のシリコーンを意味する。不揮発性シリコーンの25℃における動粘度の上限値は、50000000cStであってもよい。不揮発性シリコーンは、毛流れの整い、しっとり感、および/またはまとまりをより向上させうる。
【0043】
不揮発性シリコーンの例は、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、およびアルキル変性シリコーンである。不揮発性シリコーンとして、これらから選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。不揮発性シリコーンは、ジメチルポリシロキサンであってもよい。
【0044】
非水系毛髪化粧料の総質量に対する不揮発性シリコーンの含有量は、例えば、1質量%以上30質量%以下である。不揮発性シリコーンの含有量は、5質量%以上、10質量%以上、さらには15質量%以上であってもよく、25質量%以下、さらには20質量%以下であってもよい。
【0045】
非水系毛髪化粧料は、環状シリコーンを実質的に含有していなくてもよい。「実質的に含有していない」とは、微量の混入を許容する趣旨であり、非水系毛髪化粧料の総質量に対して、1.0質量%未満、さらには0.5質量%未満であり、特に0.1質量%未満であることを意味する。環状シリコーンの例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)である。非水系毛髪化粧料が環状シリコーンを実質的に含有していなくても、損傷を受けた毛髪に対してよりまとまりを付与できる。
【0046】
非水系毛髪化粧料は、水を実質的に含有していなくてもよい。「実質的に含有していない」の定義は、上記したとおりである。
【0047】
非水系毛髪化粧料は、その他、高級アルコール、多価アルコール、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性高分子、フッ素化合物、加水分解ペプチド、ビタミン類、キレート剤、酸化防止剤、増粘剤、ゲル化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、溶剤、防腐剤、pH調整剤、および/または香料を、目的に応じて適量で含有しうる。
【0048】
非水系毛髪化粧料の製品形態の例は、アウトバストリートメント、インバストリートメント、ヘアカラー、およびスタイリング剤である。
【0049】
非水系毛髪化粧料の具体的な用途の例は、洗い流さないタイプのヘアトリートメント剤、洗い流すタイプのヘアトリートメント剤、パーマネントウェーブ処理および縮毛矯正処理等の毛髪変形処理における前処理剤および後処理剤、ヘアケアおよびヘアセット等のスタイリング剤、並びにヘアカラー処理における前処理剤および後処理剤である。
【0050】
非水系毛髪化粧料は、洗い流さないタイプの非水系毛髪化粧料であってもよく、洗い流すタイプの非水系毛髪化粧料であってもよい。すなわち、非水系毛髪化粧料は、毛髪に接触させた後、洗い流さずに使用されてもよく、洗い流して使用してもよい。非水系毛髪化粧料を毛髪に接触させる方法は、非水系毛髪化粧料を手で直接毛髪に塗布してもよく、コーム、ブラシ、刷毛、スプレー等の塗布器具を用いて毛髪に塗布してもよい。非水系毛髪化粧料は、乾燥した毛髪に対して塗布してもよく、濡れた毛髪に対して塗布してもよい。非水系毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、非水系毛髪化粧料を毛髪から洗い流してから毛髪を乾燥させてもよく、非水系毛髪化粧料を毛髪から洗い流さずに毛髪を乾燥させてもよい。毛髪の乾燥は、自然乾燥であってもよく、ドライヤー等を使用した温風乾燥であってもよい。
【0051】
非水系毛髪化粧料は、様々な剤型として調製可能である。剤型の例は、ローション状、クリーム状、ミルク状、ゲル状、泡状、ミスト状、およびスプレー状である。
【0052】
非水系毛髪化粧料は、例えば、ボトル容器、パウチ容器等の容器に充填される。非水系毛髪化粧料は、例えば、ポンプディスペンサー、ミストディスペンサー、トンガリキャップ、ワンタッチキャップ、およびエアゾール等の各種機構を使用して吐出される。
【0053】
例えば、シャンプー等の化粧品の容器に多く用いられているポンプディスペンサーにおいて、その内部パーツは樹脂で構成されている。樹脂の例は、LDPE(低密度ポリエチレン)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、およびSI(シリコーン樹脂)である。本実施形態に係る非水系毛髪化粧料によれば、樹脂の膨張を抑制できる。例えば、非水系毛髪化粧料をポンプディスペンサー付き容器に充填した場合であっても、樹脂でできたポンプディスペンサーの内部パーツは膨張しにくいので、ポンプディスペンサーの動作性を向上させることができる。
【実施例0054】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0055】
(非水系毛髪化粧料の調製)
表1および2の組成に従って、実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料を調製した。表中の「成分」の欄における(A)~(D)の表記は、それぞれ、成分(A)~成分(D)に対応する。表中の単位は、全て質量%である。各表の「成分」の欄における「-」の表記は、当該成分を含有していないことを意味する。表中、「A/B」は、非水系毛髪化粧料における、成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比(質量基準)を意味する。
【0056】
(ダメージ処理毛束の作製)
株式会社ユーカリジャパン社製人毛黒髪(YK-1B#10’’)を、ブリーチ剤(タカラベルモント社製「エドル ブリーチ」)を用いてブリーチ処理を行い、水洗した。その後、この人毛黒髪を、濃度10質量%のラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄して乾燥させた。上記した、人毛黒髪を洗浄および乾燥させる工程を3回繰り返して、ダメージ処理毛束を作製した。
【0057】
(毛束における質感等の評価)
上記で作製したダメージ処理毛束を十分にお湯で予洗いした後、シャンプー(タカラベルモント社製「SEE/SAW ヘア&スキャルプシャンプーB」)で洗浄した。次に、このダメージ処理毛束に、トリートメント(タカラベルモント社製「SEE/SAW ヘアトリートメントB」)を塗布し水洗した。その後、実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料をダメージ処理毛束に塗布して、毛束をドライヤーで乾燥させた。
【0058】
非水系毛髪化粧料をダメージ処理毛束に塗布した際に、非水系毛髪化粧料が展延性を有しており、非水系毛髪化粧料を毛束に均一に塗布できたかを「均一な塗布感」として官能評価した。また、非水系毛髪化粧料をダメージ処理毛束に塗布して乾燥させた後の毛束について、毛髪のまとまり、毛髪の内部が補修されたようなしっとりとした質感、柔らかさ、およびダメージによりごわついた毛束の表面が整ったようなすべり感を、それぞれ、「まとまり」「しっとり感」「柔らかさ」および「毛流れの整い」として官能評価した。これらの官能評価は、専門評価者10名によって行われた。各評価項目について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。各評価項目について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0未満であった場合を「×」と評価した。結果を表1および2に示す。
【0059】
(化粧料の飛び散りの抑制)
実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料をボトル容器に充填し、ポンプディスペンサー(三谷バルブ社製、Z-200-C126-1-070、材質:低密度ポリエチレン(LDPE))をボトル容器に接続させることによって、ポンプディスペンサー付き容器を作製した。このポンプディスペンサー付き容器において、ポンプディスペンサーから非水系毛髪化粧料を専門評価者の手に吐出させた。このとき、非水系毛髪化粧料が飛び散らず、ストレスなく非水系毛髪化粧料を吐出できたかを「化粧料の飛び散りの抑制」として官能評価した。官能評価の方法は上記のとおりとした。
【0060】
(粘度の測定)
実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料の粘度の測定には、東機産業社製の粘度計(TVB-10M)を使用した。測定温度は25℃であった。使用したロータの種類は、M2であった。また、ロータの回転速度は60rpmに設定し、測定時間は2分とした。
【0061】
(吐出試験)
実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料をボトル容器に充填し、ポンプディスペンサー(三谷バルブ社製、Z-200-C126-1-070、材質:低密度ポリエチレン(LDPE))をボトル容器に接続させることによって、ポンプディスペンサー付き容器を作製した。次に、ポンプディスペンサーの流路に非水系毛髪化粧料を充填させて、40℃の恒温槽にポンプディスペンサー付き容器を30日間保管した。その後、ポンプディスペンサー付き容器を恒温槽から取り出し、室温で2時間静置させた。次に、このポンプディスペンサー付き容器から、合計の吐出量が270mLとなるまで連続で非水系毛髪化粧料を吐出させる吐出試験を実施した。吐出試験において、1回の吐出量は0.2mLであった。
【0062】
吐出試験において、非水系毛髪化粧料を吐出する際のポンプディスペンサーの引っ掛かり、吐出後のポンプの戻りの動作、およびエア絡みについて官能評価した。「エア絡み」は、吐出時において、非水系毛髪化粧料と空気(気泡)とが混ざった状態で出てくる現象、或いは、吐出時に、ポンプディスペンサーから空気が出てくる現象、を示す。各ポンプディスペンサーにおいて、引っ掛かりがない、ポンプの戻りがゆっくりしていない(復帰緩慢がない)、およびエア絡みがないと判断した場合、合格と判断した。各実施例および比較例について、ポンプディスペンサーを5本用いて吐出試験を実施した。各非水系毛髪化粧料において、合格と判断したポンプディスペンサーの本数を表1および2に示す。
【0063】
(吐出量の測定)
実施例および比較例に係る非水系毛髪化粧料をボトル容器に充填し、ポンプディスペンサー(三谷バルブ社製、Z-200-C126-1-070、材質:低密度ポリエチレン(LDPE))をボトル容器に接続させることによって、ポンプディスペンサー付き容器を作製した。次に、ポンプディスペンサーの流路に非水系毛髪化粧料を充填させた。その後、40℃の恒温槽にポンプディスペンサー付き容器を保管する前に、非水系毛髪化粧料を1回吐出させた。このときの吐出量[g]を測定し、吐出試験前の吐出量とした。次に、上記(吐出試験)において非水系毛髪化粧料を270mL吐出した後に、さらに非水系毛髪化粧料を1回吐出させたときの吐出量[g]を測定した。この吐出量を、吐出試験後の吐出量とした。各実施例および比較例について、ポンプディスペンサーを5本用いて上記試験を実施した。結果を表1および2に示す。表1および2に記載された、吐出試験前の吐出量の値および吐出試験後の吐出量の値は、5サンプルの平均値を示す。
【0064】
【0065】
【0066】
各実施例では、毛髪にまとまりを付与できた。加えて、各実施例では、均一な塗布感、しっとり感、柔らかさ、および毛流れの整いに優れていた。さらに、各実施例では、ポンプディスペンサー付き容器から非水系毛髪化粧料を吐出させたときの化粧料の飛び散りを抑制できたと共に、吐出量に関して良好な再現性を有していた。