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特開2024-145932調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法
<図1>
  • 特開-調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法 図1
  • 特開-調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法 図2
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  • 特開-調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法 図15
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  • 特開-調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法 図19
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145932
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20241004BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20241004BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1345
G02F1/1334
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058545
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 紀彦
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088GA01
2H088GA10
2H088GA13
2H088HA01
2H088HA02
2H088KA26
2H088MA20
2H092GA46
2H092GA48
2H092GA50
2H092NA25
2H092PA01
2H092QA15
2H092RA10
2H189AA04
2H189AA05
2H189BA04
2H189DA04
2H189HA02
2H189KA17
2H189LA01
2H189LA03
2H189MA15
(57)【要約】
【課題】透明板に対する第1配線接続部の動きを抑えることができる調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】調光ユニットは、調光シート11と、調光シート11の裏面に接合されたシート接着層70と、第1透明電極層31と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部51とを備える。調光ユニットは、調光領域Siと第1接続領域SAとを含み、第1配線接続部51は、第1接続領域SAにて第1透明電極層31に接続されている。調光ユニットはさらに、第1接続領域SAに、第1配線接続部51に対して第1透明支持層41および第1透明電極層31と反対側に位置する端部接着層71を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層を備える調光シートと、
前記調光シートの裏面に接合されたシート接着層と、
前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部と、
を備える調光ユニットであって、
前記調光ユニットは、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記調光層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の5つの層がこの順に並ぶ構造を有する調光領域と、前記5つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる第1接続領域と、を含み、
前記第1配線接続部は、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層に接続されており、
前記調光ユニットはさらに、前記第1接続領域に、前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に位置する端部接着層を備える
調光ユニット。
【請求項2】
前記調光シートは、第1配向層および第2配向層をさらに備え、
前記調光領域は、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記第1配向層、前記調光層、前記第2配向層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の7つの層がこの順に並ぶ構造を有し、
前記第1接続領域には、前記7つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる
請求項1に記載の調光ユニット。
【請求項3】
前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記端部接着層は、前記調光シートと重なる領域のみに位置する
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項4】
前記調光ユニットは、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層および前記第1配線接続部を覆う第1封止部を備え、
前記端部接着層は、前記第1封止部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側で、前記第1封止部に接合されている
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項5】
前記端部接着層は、互いに異なる特性を有する複数の層を備える
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項6】
前記調光シートは、前記第1透明支持層に対して前記第1透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層、および、前記第2透明支持層に対して前記第2透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層の少なくとも一方を備える
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項7】
前記調光シートは、前記第2透明支持層に対して前記第2透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層を備え、
前記端部接着層は、前記機能層と同一の組成を有する層と、前記シート接着層と同一の組成を有する層とを備える
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項8】
前記第1封止部は、前記第1接続領域から前記調光領域に延び、前記第1接続領域の外周で前記第2透明支持層における前記第2透明電極層と反対側の面を覆う
請求項4に記載の調光ユニット。
【請求項9】
前記端部接着層は、前記第1接続領域から前記調光領域に延び、前記第1接続領域の外周で前記第2透明支持層における前記第2透明電極層と反対側の面を覆う
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項10】
前記調光ユニットにおける前記調光領域と前記第1接続領域との厚さの差は、5μm以下である
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項11】
前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記第1接続領域と前記端部接着層との面積の差は、前記第1接続領域の面積の30%以下である
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項12】
前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記調光シートは、前記第1接続領域の両側に、前記調光シートの外縁が内側に窪んだ切欠部を有する
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項13】
調光ユニットと、前記調光ユニットが取り付けられた透明板とを備える調光板であって、
前記調光ユニットは、
第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層を備える調光シートと、
前記調光シートの裏面と前記透明板との間に位置し、当該裏面および当該透明板の各々に接合されたシート接着層と、
前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部と、を備え、
前記調光ユニットは、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記調光層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の5つの層がこの順に並ぶ構造を有する調光領域と、前記5つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる第1接続領域と、を含み、
前記第1配線接続部は、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層に接続されており、
前記調光ユニットはさらに、前記第1接続領域に、前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に位置し、前記透明板に接合された端部接着層を備える
調光板。
【請求項14】
第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層がこの順に積層されたシートと、当該シートの裏面に接合されたシート接着層とを備える積層体の一部に、前記第1透明支持層に支持された前記第1透明電極層を露出させることと、
前記第1透明電極層を露出させた領域に、前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部を接続することと、
前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に、端部接着層を形成することと、を含む
調光ユニットの製造方法。
【請求項15】
前記第1透明電極層に接続された前記第1配線接続部に、光硬化性樹脂からなる封止剤を塗布し、前記シート接着層に対応する厚さの離型フィルムを前記封止剤の塗布領域に重ねて当該塗布領域を平坦化した状態で前記封止剤を硬化することによって、前記封止剤の硬化体である封止部を形成することをさらに含み、
前記端部接着層を形成することは、前記封止部から前記離型フィルムを剥離した後に、前記封止部に前記端部接着層を積層することを含む
請求項14に記載の調光ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過率の可変な調光シートを備える調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備える。透明電極層への電圧の印加の有無に応じて液晶組成物の配向状態が変わることから、調光層を光が透過する透明状態と、調光層で光が散乱する不透明状態とを切り替えることが可能である(例えば、特許文献1参照)。こうした調光シートと、透明電極層を電源に接続するための配線接続部とから、調光ユニットが構成される。
【0003】
調光ユニットにおける配線接続部の付近の構造の一例について、図面を参照して説明する。図18に示すように、調光ユニット210は、調光シート211と、配線接続部212と、調光シート211を窓ガラス等の透明板220に貼り付けるための接着層213と、を備えている。
【0004】
調光シート211は、調光層200と、第1透明支持層203に支持された第1透明電極層201と、第2透明支持層204に支持された第2透明電極層202とを備えている。調光層200は、第1透明電極層201と第2透明電極層202との間に挟まれている。第2透明支持層204における第2透明電極層202と反対側の面が、接着層213を介して透明板220に貼り付けられている。
【0005】
図18では、第1透明電極層201を電源に電気的に接続するための配線接続部212と調光シート211とが接続されている部分の構造を示している。調光シート211の端部において、第1透明電極層201が、調光層200と第2透明電極層202および第2透明支持層204とから露出されており、この第1透明電極層201の露出部分に、配線接続部212が接続されている。詳細には、配線接続部212は、配線基板206と導電性接着層207とを備え、導電性接着層207を介して配線基板206が第1透明電極層201に固定されている。そして、配線基板206には、配線230が接続される。第1透明電極層201と配線接続部212との接続部分の周辺は、封止部208によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-45135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図18に示した構造では、配線接続部212と透明板220とが隙間をあけて対向している。言い換えれば、透明板220に対して配線接続部212が浮いた状態となっている。それゆえ、配線230の重さや動きに起因して配線基板206に力が加わると、第1透明電極層201と配線接続部212との接続部分の付近で、図19に示すように配線接続部212が剥離することや、図20に示すように第1透明電極層201に屈曲による亀裂が生じることが起こり得る。こうした配線接続部212の剥離や第1透明電極層201の亀裂は、調光シート211の駆動に不具合を生じさせる要因となる。さらに、透明板220に対して配線接続部212が浮いているために、配線接続部212の付近を起点として透明板220から調光シート211が剥離しやすくなるという問題も生じる。
【0008】
したがって、調光シート211と配線接続部212との接続部分の構造について、改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の各態様を記載する。
[態様1]第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層を備える調光シートと、前記調光シートの裏面に接合されたシート接着層と、前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部と、を備える調光ユニットであって、前記調光ユニットは、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記調光層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の5つの層がこの順に並ぶ構造を有する調光領域と、前記5つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる第1接続領域と、を含み、前記第1配線接続部は、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層に接続されており、前記調光ユニットはさらに、前記第1接続領域に、前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に位置する端部接着層を備える、調光ユニット。
【0010】
上記構成によれば、端部接着層が透明板に貼り付けられることにより、第1配線接続部が透明板に対して浮いた状態となることが抑えられる。これにより、配線の動き等を受けて第1配線接続部が動くことが抑えられるため、第1透明電極層の亀裂や第1配線接続部の剥離といった不具合が生じることが抑えられる。また、第1接続領域の付近を起点として透明板から調光シートが剥がれることも抑えられる。
【0011】
[態様2]前記調光シートは、第1配向層および第2配向層をさらに備え、前記調光領域は、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記第1配向層、前記調光層、前記第2配向層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の7つの層がこの順に並ぶ構造を有し、前記第1接続領域には、前記7つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる、[態様1]に記載の調光ユニット。
上記構成によれば、電圧の非印加時の液晶組成物の配向状態を配向層によって制御することが可能であり、電圧の非印加時に調光シートを透明状態とすることも可能である。
【0012】
[態様3]前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記端部接着層は、前記調光シートと重なる領域のみに位置する、[態様1]または[態様2]に記載の調光ユニット。
上記構成によれば、調光シートの外側の狭い領域や窓枠等の障害物がある領域で第1配線接続部と透明板との固定の作業を行う必要がないため、固定の作業が煩雑になることが抑えられ、また、固定を的確に行うことができる。
【0013】
[態様4]前記調光ユニットは、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層および前記第1配線接続部を覆う第1封止部を備え、前記端部接着層は、前記第1封止部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側で、前記第1封止部に接合されている、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、第1封止部が設けられていることにより、調光層や透明電極層に対する水分等の侵入が抑えられるとともに、第1透明電極層からの第1配線接続部の剥離も抑えられる。
【0014】
[態様5]前記端部接着層は、互いに異なる特性を有する複数の層を備える、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、端部接着層に多様な機能を付与することができる。
【0015】
[態様6]前記調光シートは、前記第1透明支持層に対して前記第1透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層、および、前記第2透明支持層に対して前記第2透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層の少なくとも一方を備える、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、調光シートに多様な機能を付与することができる。
【0016】
[態様7]前記調光シートは、前記第2透明支持層に対して前記第2透明電極層と反対側に位置する1以上の機能層を備え、前記端部接着層は、前記機能層と同一の組成を有する層と、前記シート接着層と同一の組成を有する層とを備える、[態様1]~[態様6]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
【0017】
上記構成によれば、調光層の裏面側において、調光領域と第1接続領域とで層構成を揃えることにより調光ユニットが有する機能を揃えることが可能であり、また、調光領域と第1接続領域とで調光ユニットの厚さも揃えやすい。
【0018】
[態様8]前記第1封止部は、前記第1接続領域から前記調光領域に延び、前記第1接続領域の外周で前記第2透明支持層における前記第2透明電極層と反対側の面を覆う、[態様4]に記載の調光ユニット。
上記構成によれば、第1接続領域の付近での封止機能を高めることができる。
【0019】
[態様9]前記端部接着層は、前記第1接続領域から前記調光領域に延び、前記第1接続領域の外周で前記第2透明支持層における前記第2透明電極層と反対側の面を覆う、[態様1]~[態様7]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、第1接続領域の付近での封止機能を高めることができる。
【0020】
[態様10]前記調光ユニットにおける前記調光領域と前記第1接続領域との厚さの差は、5μm以下である、[態様1]~[態様9]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、第1接続領域が盛り上がったり窪んだりすることが抑えられるため、調光ユニットについて良好な外観が得られ、また、透明電極層の屈曲も抑えられる。
【0021】
[態様11]前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記第1接続領域と前記端部接着層との面積の差は、前記第1接続領域の面積の30%以下である、[態様1]~[態様8]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
上記構成によれば、透明板に対する第1配線接続部の固定の強さが十分に得られる。
【0022】
[態様12]前記調光シートの前記表面と対向する位置から見て、前記調光シートは、前記第1接続領域の両側に、前記調光シートの外縁が内側に窪んだ切欠部を有する、[態様1]~[態様11]のいずれか1つに記載の調光ユニット。
【0023】
上記構成では、第1配線接続部が透明板に対して浮いた状態である場合に第1配線接続部が動きやすいため、第1透明電極層の亀裂や第1配線接続部の剥離といった不具合が生じやすい。したがって、端部接着層によって第1配線接続部が透明板に固定されることの有益性が高い。
【0024】
[態様13]調光ユニットと、前記調光ユニットが取り付けられた透明板とを備える調光板であって、前記調光ユニットは、第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層を備える調光シートと、前記調光シートの裏面と前記透明板との間に位置し、当該裏面および当該透明板の各々に接合されたシート接着層と、前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部と、を備え、前記調光ユニットは、前記調光シートの表面から裏面に向けて、前記第1透明支持層、前記第1透明電極層、前記調光層、前記第2透明電極層、および、前記第2透明支持層の5つの層がこの順に並ぶ構造を有する調光領域と、前記5つの層のうち前記第1透明支持層および前記第1透明電極層が前記調光領域から延びる第1接続領域と、を含み、前記第1配線接続部は、前記第1接続領域にて前記第1透明電極層に接続されており、前記調光ユニットはさらに、前記第1接続領域に、前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に位置し、前記透明板に接合された端部接着層を備える、調光板。
【0025】
上記構成によれば、端部接着層によって第1配線接続部が透明板に固定されているため、第1配線接続部が透明板に対して浮いた状態となることが抑えられる。これにより、配線の動き等を受けて第1配線接続部が動くことが抑えられるため、第1透明電極層の亀裂や第1配線接続部の剥離といった不具合が生じることが抑えられる。また、第1接続領域の付近を起点として透明板から調光シートが剥がれることも抑えられる。
【0026】
[態様14]第1透明支持層、第1透明電極層、液晶組成物を含む調光層、第2透明電極層、および、第2透明支持層がこの順に積層されたシートと、当該シートの裏面に接合されたシート接着層とを備える積層体の一部に、前記第1透明支持層に支持された前記第1透明電極層を露出させることと、前記第1透明電極層を露出させた領域に、前記第1透明電極層と電源とを電気的に接続するための第1配線接続部を接続することと、前記第1配線接続部に対して前記第1透明支持層および前記第1透明電極層と反対側に、端部接着層を形成することと、を含む調光ユニットの製造方法。
【0027】
上記製法によれば、端部接着層によって第1配線接続部を透明板に固定可能な調光ユニットが得られる。また、シート接着層が積層された状態で第1接続領域が形成されることから、シート接着層と第1接続領域との位置合わせに要する負荷の軽減が可能である。
【0028】
[態様15]前記第1透明電極層に接続された前記第1配線接続部に、光硬化性樹脂からなる封止剤を塗布し、前記シート接着層に対応する厚さの離型フィルムを前記封止剤の塗布領域に重ねて当該塗布領域を平坦化した状態で前記封止剤を硬化することによって、前記封止剤の硬化体である封止部を形成することをさらに含み、前記端部接着層を形成することは、前記封止部から前記離型フィルムを剥離した後に、前記封止部に前記端部接着層を積層することを含む、[態様14]に記載の調光ユニットの製造方法。
【0029】
上記製法によれば、調光領域と第1接続領域との厚さを揃えることが容易に可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、調光ユニットにおいて、透明板に対する第1配線接続部の動きを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態の調光ユニットの平面構造を示す図。
図2】第1実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図3】第1実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図4】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図5】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図6】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図7】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図8】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図9】第1実施形態の調光ユニットの製造工程を示す図。
図10】第2実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図11】第3実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図12】第4実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図13】第5実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図14】第5実施形態の変形例の調光ユニットの断面構造を示す図。
図15】第6実施形態の調光ユニットの平面構造を示す図。
図16】第6実施形態の調光ユニットの断面構造を示す図。
図17】変形例の調光ユニットの断面構造を示す図。
図18】従来の調光ユニットの断面構造を示す図。
図19】従来の調光ユニットの断面構造を示す図。
図20】従来の調光ユニットの断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
図1図9を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第1実施形態を説明する。
【0033】
[調光ユニットおよび調光板の構成]
図1に示すように、調光ユニット10は、調光シート11と、第1配線接続部51および第2配線接続部52とを備えている。調光シート11の裏面は、透明板110に貼り付けられており、調光ユニット10と透明板110とから調光板100が構成されている。
【0034】
調光シート11の表面と対向する位置から見た平面視にて、調光ユニット10は、調光領域Siと、第1接続領域SAおよび第2接続領域SBとを含む。調光シート11が位置する領域は、これらの調光領域Siおよび接続領域SA,SBに区分される。調光領域Siは、光透過率の可変な領域であり、接続領域SA,SBは配線接続部51,52が接続される領域である。第1接続領域SAには第1配線接続部51が接続され、第2接続領域SBには第2配線接続部52が接続されている。
【0035】
2つの接続領域SA,SBは、調光シート11の端部に位置する。例えば、調光シート11は、略矩形形状を有し、2つの接続領域SA,SBは、調光シート11の一辺に沿って配置される。図1では、第1接続領域SAおよび第2接続領域SBが、調光シート11の角部を含む位置に設けられる例を示している。すなわち、調光シート11の一辺における一方の端部を含む角部から当該辺に沿って第1接続領域SAが延び、上記一辺における他方の端部を含む角部から当該辺に沿って第2接続領域SBが延びる。
【0036】
なお、配線接続部51,52の形状は任意であり、配線接続部51,52のなかで接続領域SA,SBに接続される領域は特に限定されない。例えば、配線接続部51,52が、調光シート11の外縁に沿って延びる第1部分と、この部分と直交する方向に突き出した第2部分とを備えるT字状を有する場合、第1部分の全体が接続領域SA,SBに接続されてもよいし、第1部分の一部が接続領域SA,SBに接続されてもよい。
【0037】
透明板110は、ガラス基板や樹脂基板である。透明板110の一例は、建物に設置された窓ガラス、車両や航空機等の移動体が搭載する窓ガラス、車内や屋内に配置された間仕切りである。調光シート11が貼り付けられる面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
【0038】
上記平面視にて、透明板110は、調光シート11と同程度の大きさであるか、調光シート11よりもやや大きい。そして、上記平面視にて、第1配線接続部51および第2配線接続部52は、調光シート11および透明板110の外側まで延びている。透明板110が窓ガラスである場合、透明板110の外周には、サッシ等である窓枠が位置する。
【0039】
図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図であり、図3は、図1におけるIII-III線に沿った断面図である。図2および図3を参照して、まず、調光シート11の層構成について説明する。
【0040】
調光シート11は、調光層20、第1透明電極層31、第2透明電極層32、第1透明支持層41、および、第2透明支持層42を備えている。調光層20は、第1透明電極層31と第2透明電極層32とに挟まれ、これらの透明電極層31,32に接している。第1透明支持層41は、第1透明電極層31に対して調光層20と反対側で第1透明電極層31を支持し、第2透明支持層42は、第2透明電極層32に対して調光層20と反対側で第2透明電極層32を支持している。
【0041】
第1透明支持層41における第1透明電極層31と反対側の面が、調光シート11の表面であり、第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面が、調光シート11の裏面である。調光層20が第1透明電極層31と第2透明電極層32とに挟まれた構造を有する領域が、調光領域Siであり、調光領域Siでは、調光シート11の表面から裏面に向けて、第1透明支持層41、第1透明電極層31、調光層20、第2透明電極層32、第2透明支持層42がこの順に並んでいる。
【0042】
調光シート11の裏面は、シート接着層70を介して、透明板110に貼り付けられている。言い換えれば、シート接着層70は、調光シート11の裏面と透明板110との間に位置し、当該裏面および透明板110の各々に接合されている。シート接着層70は、調光ユニット10の構成部材の1つである。
【0043】
以下、各層の詳細な構成を説明する。調光層20は、透明高分子層と液晶組成物とを含んでいる。透明高分子層は、空隙を有しており、液晶組成物が、この空隙に充填されている。空隙の形状は、球形状、楕円体状、あるいは、不定形状である。
【0044】
調光層20の構造は、ポリマーネットワーク型、高分子分散型、および、カプセル型のいずれかである。ポリマーネットワーク型の調光層20は、3次元の網目状を有したポリマーネットワークを備える。ポリマーネットワークは、透明高分子層の一例であり、ポリマーネットワークにおける相互に連通した網目の空隙のなかに液晶組成物が保持される。高分子分散型の調光層20は、孤立した多数の空隙を区画する透明高分子層を備え、透明高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物が保持される。カプセル型の調光層20は、透明高分子層のなかに分散したカプセル内の空隙に液晶組成物を保持する。
【0045】
透明高分子層は、光重合性化合物の重合体である。光重合性化合物は、例えば、紫外線重合性化合物である。紫外線重合性化合物は、例えば、ブチルエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアクリレート化合物、N,N‐ジメチルアミノエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート等のメタクリレート化合物、スチルベン化合物、ジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物、トリアクリレート化合物、トリメタクリレート化合物、テトラアクリレート化合物、テトラメタクリレート化合物、これらの各化合物のオリゴマーである。調光層20の総質量に対する透明高分子層の割合は、20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
【0046】
液晶組成物は、例えば、誘電率異方性が正の液晶分子を含む。すなわち、液晶分子の長軸方向の誘電率は、液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。
液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、ピリダジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ジシアノベンゼン系、ナフタレン系、ジオキサン系の化合物である。
【0047】
液晶組成物は、液晶分子に加えて、二色性色素、粘度低下剤、消泡剤、酸化防止剤、耐候剤等を含有してもよい。耐候剤の一例は、紫外線吸収剤や光安定剤である。
また、調光層20は、透明高分子層の全体に渡って分散されたスペーサを含んでいてもよい。スペーサは、スペーサの周辺において調光層20の厚さを定めることにより、調光層20の厚さを均一化する。スペーサは、透光性を有していれば、ビーズスペーサでもよいし、フォトレジストの露光および現像によって形成されるフォトスペーサでもよい。
【0048】
第1透明電極層31および第2透明電極層32の各々は、導電性を有し、可視領域の光に対して透明である。透明電極層31、32の材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)、銀、銀合金等である。
【0049】
第1透明支持層41および第2透明支持層42の各々は、可視領域の光に対して透明な基材である。透明支持層41,42の材料は、例えば、合成樹脂や無機化合物である。合成樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン等である。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等である。
【0050】
シート接着層70は、可視領域の光に対して透明である。シート接着層70の材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂である。
【0051】
シート接着層70は、自己粘着性を有していてもよい。自己粘着性は、シート接着層70が自ら有する粘着性によって、調光シート11の透明板110に対する外部応力による剥離と、調光シート11と透明板110との再接着とを可能にする。
【0052】
続いて、配線接続部51,52の付近の構造を説明する。第1接続領域SAには、調光領域Siから、第1透明支持層41および第1透明電極層31が延びている。すなわち、第1接続領域SAにおいて、第1透明電極層31は、調光層20と第2透明電極層32および第2透明支持層42とから露出している。そして、この露出した第1透明電極層31の表面に、第1配線接続部51が接続されている。第1接続領域SAには、シート接着層70も配置されておらず、調光領域Siと第1接続領域SAとの境界において、調光層20、第2透明電極層32、第2透明支持層42、および、シート接着層70の端面は、厚さ方向に揃っている。
【0053】
また、第2接続領域SBには、調光領域Siから、第2透明支持層42および第2透明電極層32が延びている。すなわち、第2接続領域SBにおいて、第2透明電極層32は、調光層20と第1透明電極層31および第1透明支持層41とから露出している。そして、この露出した第2透明電極層32の表面に、第2配線接続部52が接続されている。シート接着層70もまた、調光領域Siから第2接続領域SBまで延びている。
【0054】
第1配線接続部51は、第1配線基板53および第1導電性接着層54を備えており、第1導電性接着層54が、第1透明電極層31と第1配線基板53との間でこれらに接合している。これにより、第1透明電極層31に第1配線接続部51が固定され、第1透明電極層31と第1配線基板53が有する配線領域とが導通している。
【0055】
同様に、第2配線接続部52は、第2配線基板55および第2導電性接着層56を備えており、第2導電性接着層56が、第2透明電極層32と第2配線基板55との間でこれらに接合している。これにより、第2透明電極層32に第2配線接続部52が固定され、第2透明電極層32と第2配線基板55が有する配線領域とが導通している。
【0056】
配線基板53,55は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC : Flexible Printed Circuits)である。導電性接着層54,56は、例えば、異方性導電フィルム(ACF : Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP : Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF : Isotropic Conductive Film)、等方性導電ペースト(ICP : Isotropic Conductive Paste)等から形成される。
【0057】
第1接続領域SAにおいて、第1透明電極層31および第1配線接続部51は、第1封止部61によって覆われている。第1封止部61は、第1接続領域SAに面する調光層20および第2透明電極層32の端面も覆っている。そして、第1封止部61と透明板110との間に、端部接着層71が設けられている。すなわち、端部接着層71は、第1配線接続部51に対して、第1透明支持層41および第1透明電極層31と反対側に位置する。端部接着層71は、第1封止部61と透明板110とに接合されている。
【0058】
上記構成において、第1接続領域SAに位置する調光シート11、第1配線接続部51、および、第1封止部61からなる構造体が、端部構造体19であり、端部構造体19は、端部接着層71によって透明板110に固定されている。
【0059】
第2接続領域SBにおいて、第2透明電極層32および第2配線接続部52は、第2封止部62によって覆われている。第2封止部62は、第2接続領域SBに面する調光層20および第1透明電極層31の端面も覆っている。
【0060】
封止部61,62および端部接着層71の各々は、調光ユニット10の構成部材の1つである。封止部61,62は、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂から形成されている。封止部61,62の材料の樹脂は、例えば、ポリアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、アリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等である。
【0061】
端部接着層71の材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂である。
【0062】
端部接着層71は、自己粘着性を有していてもよい。自己粘着性は、端部接着層71が自ら有する粘着性によって、端部構造体19の透明板110に対する外部応力による剥離と、端部構造体19と透明板110との再接着とを可能にする。
【0063】
端部接着層71の構成についてさらに説明する。端部接着層71は、調光シート11の表面と対向する位置から見た平面視にて、調光シート11と重なる領域のみに位置し、調光シート11の外側にははみ出していない。すなわち、上記平面視にて、調光シート11の外側では、第1配線接続部51は透明板110に固定されていない。図3に示すように、調光シート11の外側において、第1配線接続部51には、配線57が接続される。
【0064】
上記平面視にて、端部接着層71の位置する領域は、第1接続領域SAと一致していてもよいし、第1接続領域SAよりも小さくてもよい。端部接着層71が第1接続領域SAよりも小さい場合、端部接着層71は、シート接着層70に接していてもよいし、シート接着層70から離れていてもよい。
【0065】
端部接着層71が第1接続領域SAよりも小さいと、端部接着層71の形成位置に要求される精度の緩和が可能である。また、端部接着層71が自己粘着性を有する場合、端部接着層71が第1接続領域SAよりも小さいと、透明板110からの端部構造体19の剥離が容易である。一方で、端部接着層71が自己粘着性を有するか否かに関わらず、端部構造体19が透明板110から自然に剥がれやすくなることを抑えるためには、上記平面視にて、第1接続領域SAと端部接着層71との面積の差は、第1接続領域SAの面積の30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0066】
調光シート11およびシート接着層70の総厚と、端部構造体19および端部接着層71の総厚とは、同程度であることが好ましい。言い換えれば、第1接続領域SAと調光領域Siとで、調光ユニット10の厚さは同程度であることが好ましい。具体的には、第1接続領域SAと調光領域Siとの厚さの差が、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。こうした構成によれば、第1接続領域SAが盛り上がったり窪んだりすることが抑えられる。第1接続領域SAと調光領域Siとの厚さに差がある場合、第1接続領域SAと調光領域Siとのいずれが厚くてもよく、その差が上記範囲内であればよい。
【0067】
以上のように、本実施形態では、第1配線接続部51を含む端部構造体19が、端部接着層71によって透明板110に固定されている。したがって、透明板110に対して第1配線接続部51が浮いた状態とならないため、配線の動き等に起因して第1透明電極層31の亀裂や第1配線接続部51の剥離といった不具合が生じることが抑えられる。また、第1接続領域SAの付近を起点として透明板110から調光シート11が剥がれることも抑えられる。
【0068】
さらに、第1配線接続部51は、上記平面視における調光シート11と重なる領域で透明板110に固定されており、調光シート11の外側では、第1配線接続部51は透明板110に固定されていない。調光シート11の外側にて第1配線接続部51と透明板110とが対向する領域は狭いため、この領域で第1配線接続部51を透明板110に固定しようとすれば、接着層やテープを配置する作業が煩雑となる。特に透明板110の外周に窓枠が設けられている場合には、窓枠が作業の障害となるため、作業が一層困難になる。また、接着層やテープを配置する領域の大きさや角度を的確に確保することが困難となりやすいため、透明板110に対する第1配線接続部51の固定が弱くなりやすい。
【0069】
これに対し、調光シート11と重なる領域で第1配線接続部51が透明板110に固定される構造であれば、固定のための作業が煩雑となることを抑えることが可能であり、透明板110に対する第1配線接続部51の的確な固定が可能である。例えば、透明板110に調光シート11を配設する前に、端部接着層71を調光シート11に配置しておき、シート接着層70と共に端部接着層71を透明板110に貼り付けることが可能である。
【0070】
調光シート11の動作について説明する。透明電極層31,32は、配線接続部51,52および配線接続部51,52から延びる配線を介して、電源装置に電気的に接続されている。電源装置は、透明電極層31,32に、液晶分子の配向状態を変えるための交流電圧である駆動電圧を印加する。
【0071】
調光シート11は、液晶分子の配向状態の変化に基づいて、透明状態と不透明状態とのうちの一方から他方へ切り替わる。透明状態は、光透過率、すなわち平行線透過率が相対的に高い状態であり、不透明状態は、光透過率が相対的に低い状態である。また、透明状態は、ヘイズが相対的に低い状態であり、不透明状態は、ヘイズが相対的に高い状態である。
【0072】
駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、液晶分子の複屈折率や液晶分子と透明高分子層との屈折率差に起因して、調光シート11に入射した光は、調光層20にて様々な方向に散乱される。したがって、調光シート11は、駆動電圧が印加されていないときに、不透明状態となる。
【0073】
液晶分子の誘電率異方性が正の場合、駆動電圧が印加されると、液晶分子は、その長軸方向が電界方向に沿う向きに配向される。すなわち、調光層20の厚さ方向に長軸方向が沿うように、液晶分子の向きが変わる。その結果、調光層20での光の散乱が抑えられ、調光シート11を光が透過しやすくなる。したがって、調光シート11は、駆動電圧が印加されているときに、透明状態となる。
【0074】
[調光ユニットの製造方法]
図4図9を参照して、調光ユニット10の製造方法を説明する。
図4に示すように、まず、シート接着層70が積層された調光シート11が形成される。例えば、調光層20、透明電極層31,32、透明支持層41,42、シート接着層70の積層体である大判のシートから、所望の形状のシートが切り出される。そして、切り出されたシートの端部にて、積層体の一部の層が除去されることによって、接続領域SA,SBが形成される。これにより、調光シート11とシート接着層70との積層体が形成される。
【0075】
シート接着層70が積層された状態で第1接続領域SAが形成されることにより、第1接続領域SAの形成後にシート接着層70を積層する場合と比べて、第1接続領域SAとシート接着層70との位置合わせが容易である。
【0076】
図5に示すように、第1接続領域SAにて露出されている第1透明電極層31に、第1配線接続部51が接続される。そして、図6に示すように、第1透明電極層31と第1配線接続部51との接続部分を覆うように、封止剤65が塗布される。図7に示すように、封止剤65の塗布領域に離型フィルム120が押し当てられることによって、塗布領域が平坦化される。この状態で、封止剤65が硬化される。例えば、封止剤65が光硬化性樹脂である場合、透明な離型フィルム120が用いられ、離型フィルム120を介して、封止剤65に光が照射されることによって、封止剤65が硬化される。これにより、封止剤65の硬化体である第1封止部61が形成される。
【0077】
図8に示すように、離型フィルム120が剥がされた後、図9に示すように、第1封止部61に端部接着層71が積層される。離型フィルム120として、シート接着層70と同程度の厚さのフィルムを用いれば、シート接着層70と同程度の厚さに端部接着層71を形成することで、第1接続領域SAと調光領域Siとの厚さを揃えることが容易に可能である。
【0078】
第2接続領域SBについても、第2配線接続部52の接続および第2封止部62の形成が同様に行われる。これにより、調光ユニット10が形成される。さらに、透明板110に対してシート接着層70および端部接着層71を貼り付けることにより、透明板110に調光ユニット10が固定されて、調光板100が形成される。シート接着層70および端部接着層71が自己粘着性を有していれば、透明板110に対する調光ユニット10の位置決めの際に、調光ユニット10の剥離と再接着とが可能である。
【0079】
なお、図1図3に示した構造を有する調光ユニット10が形成可能であれば、調光ユニット10の形成方法は上記とは異なっていてもよい。
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0080】
(1-1)端部接着層71によって第1配線接続部51が透明板110に固定されている。そのため、配線の動き等を受けて第1配線接続部51が動くことが抑えられるため、第1透明電極層31の亀裂や第1配線接続部51の剥離といった不具合が生じることが抑えられる。また、第1接続領域SAの付近を起点として透明板110から調光シート11が剥がれることも抑えられる。
【0081】
(1-2)調光シート11の表面と対向する位置から見て、端部接着層71が調光シート11と重なる領域のみに位置する。これにより、調光シート11の外側の狭い領域や窓枠等の障害物がある領域で第1配線接続部51と透明板110との固定の作業を行う必要がないため、固定の作業が煩雑になることが抑えられ、また、固定を的確に行うことができる。
【0082】
(1-3)調光ユニット10が、第1接続領域SAにて第1透明電極層31および第1配線接続部51を覆う第1封止部61を備える。これにより、調光層20や透明電極層31,32に対する水分等の侵入が抑えられるとともに、第1透明電極層31からの第1配線接続部51の剥離も抑えられる。
【0083】
(1-4)調光ユニット10における調光領域Siと第1接続領域SAとの厚さの差が5μm以下であれば、第1接続領域SAが盛り上がったり窪んだりすることが抑えられる。それゆえ、調光ユニット10について良好な外観が得られ、また、透明電極層31,32等の層の屈曲も抑えられる。
【0084】
(1-5)調光シート11の表面と対向する位置から見て、第1接続領域SAと端部接着層71との面積の差が、第1接続領域SAの面積の30%以下であれば、透明板110に対する第1配線接続部51の固定の強さが十分に得られる。
【0085】
(1-6)調光ユニット10の製造方法において、第1透明電極層31に接続された第1配線接続部51に封止剤65を塗布し、シート接着層70に対応する厚さの離型フィルム120を封止剤65の塗布領域に重ねて当該塗布領域を平坦化した状態で、封止剤65を硬化する。そして、離型フィルム120を剥離した後にシート接着層70と同程度の厚さの端部接着層71を配置すれば、調光領域Siと第1接続領域SAとの厚さを揃えることが容易に可能である。
【0086】
(第2実施形態)
図10を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図10に示すように、第2実施形態の調光ユニット12では、端部接着層71が、複数の層から構成されている点が、第1実施形態と異なる。図10では、一例として、端部接着層71が、表側接着層72と、支持基材73と、裏側接着層74との三層構造を有する形態を示している。表側接着層72が第1封止部61に接し、裏側接着層74が透明板110に接し、支持基材73は、表側接着層72と裏側接着層74とに挟まれている。
【0088】
表側接着層72と裏側接着層74とは、互いに異なる特性を有する。接着層72,74が有する特性は、例えば、自己粘着性、強接着性、紫外線遮断性、赤外線遮断性、色素含有による有色性、封止性等である。例えば、表側接着層72が紫外線遮断性を有し、裏側接着層74が自己粘着性を有する構成であれば、紫外線遮断性と自己粘着性とを端部接着層71に付与することができる。
【0089】
支持基材73は、表側接着層72と裏側接着層74とを支持する基材であり、例えば樹脂製である。支持基材73もまた、紫外線遮断性、赤外線遮断性、色素含有による有色性、偏光機能、耐熱性等を有していてもよい。これによっても、端部接着層71に所望の特性を付与することができる。
【0090】
例えば、端部接着層71が紫外線遮断性を有していれば、外光による第1配線接続部51の劣化を抑えることができる。また、端部接着層71が有色性を有していれば、調光シート11と第1配線接続部51との接合部分が視認されることを抑えられるため、調光ユニット12の外観を良くすることができる。
【0091】
表側接着層72、裏側接着層74、支持基材73が有する特性は、調光ユニット12の用途や調光ユニット12が配置される環境に応じて、選択されればよい。
以上のように、第2実施形態では、端部接着層71が特性の異なる複数の層を備えているため、端部接着層71に多様な機能を付加することができる。なお、端部接着層71が備える層の数は、三層とは異なっていてもよい。
【0092】
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-6)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)端部接着層71が、互いに異なる特性を有する複数の層を備える。これにより、端部接着層71に多様な機能を付与することができる。
【0093】
(第3実施形態)
図11を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第3実施形態を説明する。以下では、第3実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0094】
図11に示すように、第3実施形態の調光ユニット13では、調光シート11が、第1機能性基材81、第2機能性基材82、第1中間接着層91、および、第2中間接着層92を備えている点が、第1実施形態と異なる。機能性基材81,82および中間接着層91,92の各々は、機能層の一例である。
【0095】
第1中間接着層91は、第1透明支持層41に対して調光層20と反対側で第1透明支持層41に接し、第1中間接着層91における第1透明支持層41と反対側に第1機能性基材81が積層されている。すなわち、第1中間接着層91を介して、第1機能性基材81が第1透明支持層41に貼り付けられている。
【0096】
第2中間接着層92は、第2透明支持層42に対して調光層20と反対側で第2透明支持層42に接し、第2中間接着層92における第2透明支持層42と反対側に第2機能性基材82が積層されている。すなわち、第2中間接着層92を介して、第2機能性基材82が第2透明支持層42に貼り付けられている。そして、第2機能性基材82における第2中間接着層92と反対側の面に、シート接着層70が接合されている。
【0097】
第3実施形態においては、第1機能性基材81における第1中間接着層91と反対側の面が、調光シート11の表面であり、第2機能性基材82における第2中間接着層92と反対側の面が、調光シート11の裏面である。
【0098】
第1接続領域SAでは、調光シート11の層のうち、調光層20、第2透明電極層32、第2透明支持層42、第2中間接着層92、および、第2機能性基材82が除かれており、第1透明電極層31に第1配線接続部51が接続されている。同様に、図示しない第2接続領域SBでは、調光シート11の層のうち、調光層20、第1透明電極層31、第1透明支持層41、第1中間接着層91、および、第1機能性基材81が除かれており、第2透明電極層32に第2配線接続部52が接続されている。
【0099】
機能性基材81,82は、可視領域の光に対して透明であり、例えば、樹脂製である。機能性基材81,82は、例えば、調光シート11を傷や汚れから保護するハードコート機能、紫外線遮断性、赤外線遮断性、耐熱性、調光シート11の補強機能等の特性を有している。第1機能性基材81と第2機能性基材82とは、互いに異なる特性を有していてもよい。例えば、第1機能性基材81はハードコート機能を有し、第2機能性基材82は補強機能を有していてもよい。
【0100】
中間接着層91,92の材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂である。中間接着層91,92は、紫外線遮断性や赤外線遮断性等の特性を有していてもよい。また、第1中間接着層91と第2中間接着層92とは、互いに異なる特性を有していてもよい。例えば、中間接着層91,92が紫外線遮断性を有していれば、外光による透明電極層31,32や調光層20の劣化を抑えることができる。
【0101】
以上のように、第3実施形態では、調光シート11が、透明支持層41,42の外側にさらに層を備えているため、調光シート11に多様な機能を付加することができる。なお、上記においては、各透明支持層41,42に二層の機能層が積層される形態を例示したが、各透明支持層41,42に積層される機能層の数は、二層とは異なっていてもよい。
【0102】
また、第3実施形態の端部接着層71について、第2実施形態の複数の層からなる構造を採用すれば、調光領域Siおよび第2接続領域SBと第1接続領域SAとで、透明板110の表面から第2透明支持層42および第1封止部61までを同一の層構成とすることも可能である。具体的には、端部接着層71を、シート接着層70と同一の組成を有する層と、第2透明支持層42に積層された機能層と同一の組成を有する層との積層体とすることで、透明板110の表面から第2透明支持層42および第1封止部61までを同一の層構成とすることができる。
【0103】
以上、第3実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-5)の効果および第2実施形態の(2-1)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(3-1)調光シート11は、第1透明支持層41に積層された1以上の機能層、および、第2透明支持層42に積層された1以上の機能層の少なくとも一方を備える。これにより、調光シート11に多様な機能を付与することができる。
【0104】
(3-2)端部接着層71が、第2透明支持層42に積層された機能層と同一の組成を有する層と、シート接着層70と同一の組成を有する層とを備えていれば、調光領域Siと第1接続領域SAとで調光層20の裏面側の層構成を揃えることが可能である。これにより、調光領域Siと第1接続領域SAとで調光層20の裏面側の層が有する機能を揃えることが可能であり、また、調光領域Siと第1接続領域SAとで調光ユニット13の厚さも揃えやすい。
【0105】
(第4実施形態)
図12を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第4実施形態を説明する。以下では、第4実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図12に示すように、第4実施形態の調光ユニット14では、調光シート11が、第3実施形態と同様に機能性基材81,82および中間接着層91,92を備えている。第1接続領域SAの付近において、第2中間接着層92、第2機能性基材82、および、シート接着層70の外縁は、調光領域Siと第1接続領域SAの境界まで延びておらず、第1接続領域SAの手前にて調光領域Si内に位置する。
【0107】
そして、第1封止部61が、第1接続領域SAから調光領域Siに延びており、第1接続領域SAの外周において、第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面を覆っている。第1封止部61は、第2中間接着層92、第2機能性基材82、および、シート接着層70からなる積層体と接していてもよいし、離れていてもよい。
【0108】
こうした構成によれば、第1接続領域SA付近の封止機能が高められ、第1接続領域SAに面する調光層20および第2透明電極層32の端面付近に水分等が侵入することがより好適に抑えられる。
【0109】
なお、端部接着層71は、第1封止部61と同様に調光領域Siに延びていてもよいし、第1接続領域SAのみに位置してもよい。また、第1実施形態と同様に、調光シート11は、機能性基材81,82および中間接着層91,92を備えていなくてもよいし、第2実施形態と同様に、端部接着層71は、複数の層を備えていてもよい。
【0110】
以上、第4実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-4)の効果、第2実施形態の(2-1)の効果、および、第3実施形態の(3-1)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0111】
(4-1)第1封止部61が、第1接続領域SAから調光領域Siに延び、第1接続領域SAの外周で第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面を覆う。これにより、第1接続領域SAの付近での封止機能を高めることができる。
【0112】
(第5実施形態)
図13を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第5実施形態を説明する。以下では、第5実施形態と第4実施形態との相違点を中心に説明し、第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0113】
図13に示すように、第5実施形態の調光ユニット15では、第1封止部61および端部接着層71が配置されている領域が、第4実施形態と異なる。第5実施形態では、第1封止部61は、第1~第3実施形態と同様、第1接続領域SAのみに位置し、調光領域Siまで延びていない。すなわち、第1封止部61は、第1接続領域SAに面する調光層20、第2透明電極層32、および、第2透明支持層42の端面を覆う一方で、第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面は覆っていない。
【0114】
端部接着層71は、第1接続領域SAから調光領域Siに延びており、第1接続領域SAの外周において、第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面を覆っている。端部接着層71は、第2中間接着層92、第2機能性基材82、および、シート接着層70からなる積層体と接していてもよいし、離れていてもよい。
【0115】
こうした構成によっても、第1接続領域SA付近の封止機能が高められ、第1接続領域SAに面する調光層20および第2透明電極層32の端面付近に水分等が侵入することがより好適に抑えられる。
【0116】
なお、第1実施形態と同様に、調光シート11は、機能性基材81,82および中間接着層91,92を備えていなくてもよいし、第2実施形態と同様に、端部接着層71は、複数の層を備えていてもよい。
【0117】
図14は、端部接着層71が、表側接着層72と支持基材73と裏側接着層74との三層構造を有する例を示す。例えば、表側接着層72として、第2中間接着層92と同じ材料および厚さの層を用い、支持基材73として、第2機能性基材82と同じ材料および厚さの層を用い、裏側接着層74として、シート接着層70と同じ材料および厚さの層を用いることが好ましい。これにより、調光ユニット15の全域において、透明板110の表面から第2透明支持層42および第1封止部61までを同一の層構成とすることができる。したがって、透明板110に対する接着性や紫外線遮断性等の機能を、調光ユニット15の全域で均等に得ることができる。また、調光ユニット15の全域で厚さを揃えることも容易に可能である。
【0118】
以上、第5実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-4)の効果、第2実施形態の(2-1)の効果、および、第3実施形態の(3-1),(3-2)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0119】
(5-1)端部接着層71が、第1接続領域SAから調光領域Siに延び、第1接続領域SAの外周で第2透明支持層42における第2透明電極層32と反対側の面を覆う。これにより、第1接続領域SAの付近での封止機能を高めることができる。
【0120】
(第6実施形態)
図15および図16を参照して、調光ユニット、調光板、および、調光ユニットの製造方法の第6実施形態を説明する。以下では、第6実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0121】
図15は、第6実施形態の調光ユニット16における第1接続領域SAの付近の平面構造について、第4実施形態の構造が採用された形態を示している。
第6実施形態では、第1接続領域SAは、調光シート11の角部とは異なる位置に配置されており、第1接続領域SAの両側に、調光シート11が切り欠かれた部分である切欠部17が設けられている。言い換えれば、調光シート11の表面と対向する位置から見た平面視において、調光シート11の外縁は、切欠部17にて内側に窪んでいる。
【0122】
接続領域SA,SBを除く領域では、調光シート11の外縁に沿った領域R1に、外周封止が施されている。この外周封止の構造について、図16を参照して説明する。図16は、図15におけるXVI-XVI線に沿った断面図である。
【0123】
図16に示すように、調光シート11の外縁に沿って、調光シート11の端面を覆う外周封止部63が配置されている。詳細には、上記平面視にて、調光層20と、第1透明電極層31、第1透明支持層41、第1機能性基材81、および、第1中間接着層91からなる表側積層体21との外縁は、第2透明電極層32、第2透明支持層42、第2機能性基材82、および、第2中間接着層92からなる裏側積層体22と、シート接着層70との外縁よりも内側に位置する。そして、上記平面視にて、裏側積層体22における表側積層体21の外側にはみ出している部分の第2透明電極層32と、調光層20および表側積層体21の端面とを、外周封止部63が覆っている。さらに、外周封止部63は、調光シート11の表面まで延びて、当該表面における表側積層体21の外縁に沿った領域を覆っている。
【0124】
外周封止部63は、第1封止部61や第2封止部62と同様の材料から形成されていればよい。外周封止部63は、調光ユニット16の構成部材の1つである。外周封止部63が設けられていることにより、調光シート11の外周部にて、調光層20および透明電極層31,32に水分等が付着することが抑えられる。
【0125】
図15に戻り、調光領域Siのなかで、第1接続領域SAの付近の領域R2では、第2機能性基材82、第2中間接着層92、および、シート接着層70が除かれており、第1接続領域SA、および、領域R2のなかで接続領域SAに隣接する領域R3には、第1封止部61および端部接着層71が配置されている。この第1封止部61および端部接着層71が位置する部分の断面構造は、図12と同様である。
【0126】
図15では、外周封止部63が位置する領域に濃いドットを付して示し、第1封止部61が位置する領域に粗いドットを付して示している。調光ユニット16における表側の封止構造である外周封止部63と、裏側の封止構造である第1封止部61とは、矢印A1で示す箇所の付近、すなわち、切欠部17の内周縁のなかで第1接続領域SAに隣接する箇所の付近にて切り替わっている。そして、表側と裏側の封止構造が切り替わる部分で、外周封止部63と第1封止部61とは繋がっている。
【0127】
このように、外周封止部63と第1封止部61とが繋がっているため、表側と裏側との切り替わりの部分で封止構造が途切れている場合と比較して、封止機能が高められる。また、外周封止部63と第1封止部61とを連続して形成することができるため、封止構造の形成の効率が高められる。
【0128】
そして、切欠部17が設けられて切欠部17の内周縁にて外周封止部63と第1封止部61とが繋がっているため、外周封止部63と第1封止部61とを繋げた構造の形成が容易である。
【0129】
第1接続領域SAの両側に切欠部17が設けられている形態では、第1接続領域SAが調光領域Siから突出した構造となるため、第1配線接続部51が透明板110から浮いていると、外力に対する第1配線接続部51の動きが大きくなりやすい。その結果、第1透明電極層31の亀裂や第1配線接続部51の剥離といった不具合が生じやすくなる。そのため、端部接着層71が設けられて第1配線接続部51が透明板110に固定されていることの有益性が高く得られる。
【0130】
なお、図15では、上記平面視における切欠部17の形状が矩形である例を示しているが、切欠部17は、例えば、半円形状のように、矩形とは異なる形状を有していてもよい。また、切欠部17は、第2接続領域SBの両側にも設けられていてもよい。また、切欠部17を有する本実施形態の調光ユニット16において、第1接続領域SA付近の構造に第5実施形態の構造が採用されてもよい。
【0131】
以上、第6実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-4)の効果、第2実施形態の(2-1)の効果、第3実施形態の(3-1),(3-2)の効果、第4実施形態の(4-1)の効果、および、第5実施形態の(5-1)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0132】
(6-1)調光シート11の表面と対向する位置から見て、調光シート11は、第1接続領域SAの両側に、調光シート11の外縁が内側に窪んだ切欠部17を有する。こうした構成では、第1配線接続部51が透明板110に対して浮いた状態である場合に第1配線接続部51が動きやすいため、第1透明電極層31の亀裂や第1配線接続部51の剥離といった不具合が生じやすい。したがって、端部接着層71によって第1配線接続部51が透明板110に固定されることの有益性が高い。
【0133】
(変形例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0134】
・端部接着層71は、1つの平膜状でなくてもよく、例えば、複数の点状やストライプ状のように、パターン状に配置されていてもよい。
・端部接着層71とシート接着層70とは、連続した1つの部材であってもよい。この場合、第1接続領域SAに対する第1配線接続部51の接続および第1封止部61の形成後に、端部接着層71およびシート接着層70が調光シート11に積層されればよい。
【0135】
・第1封止部61が設けられず、端部接着層71が封止部を兼ねてもよい。
・配線接続部51,52の構成は、配線基板53,55と導電性接着層54,56とを備える構成に限られない。例えば、配線接続部51,52は、導電性テープ等の導電性材料と導線とがはんだ付けによって接合された構造を有していてもよい。
【0136】
・駆動電圧の印加による液晶分子の配向状態の変化に基づいて、調光シート11の透明状態と不透明状態とが切り換えられるように構成されていれば、調光シート11の層構成は各実施形態に記載の構成に限られない。
【0137】
例えば、調光シート11は、調光層20と透明電極層31,32との間で調光層20を挟む一対の配向層である第1配向層および第2配向層を備えていてもよい。配向層は、調光層20が含む液晶分子の配向を制御する層である。この場合、図17に示すように、調光領域Siでは、調光シート11の表面から裏面に向けて、第1透明支持層41、第1透明電極層31、第1配向層33、調光層20、第2配向層34、第2透明電極層32、および、第2透明支持層42の7つの層がこの順に並ぶ。そして、第1接続領域SAには、第1透明支持層41および第1透明電極層31が調光領域Siから延びる。なお、図17は第1実施形態に配向層を備える構成を適用した形態を示しているが、配向層を備える構成は第2~第6実施形態やその変形例に適用されてもよい。
また、調光層20が含む液晶組成物は、誘電率異方性が負の液晶分子を含んでもよい。例えば、配向層が垂直配向膜であり、液晶組成物の誘電率異方性が負である場合、透明電極層31,32に駆動電圧が印加されていないとき、調光シート11は透明状態となり、透明電極層31,32に駆動電圧が印加されているとき、調光シート11は不透明状態となる。
【符号の説明】
【0138】
SA,SB…接続領域
Si…調光領域
10,12,13,14,15,16…調光ユニット
11…調光シート
17…切欠部
20…調光層
31,32…透明電極層
41,42…透明支持層
51,52…配線接続部
61,62…封止部
70…シート接着層
71…端部接着層
72…表側接着層
73…支持基材
74…裏側接着層
81,82…機能性基材
91,92…中間接着層
100…調光板
110…透明板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20