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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014594
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫及び固定具
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20240125BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F25D29/00 A
F25B49/02 510C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117543
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武下 正憲
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045GA04
3L045NA14
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】冷媒管に対して温度検出部を固定する際に冷媒管が変形しにくい冷蔵庫及び固定具を提供する。
【解決手段】
冷媒管21aと、温度検出部54と、温度検出部54を冷媒管21aに固定する固定具70とを備える冷蔵庫1において、固定具70は、温度検出部54を保持する保持部71と、互いに間隔をあけて設けられた一対の取付部72,73とを備え、一対の取付部72,73は、互いに逆向きに開口する開口部72b、73bを有し、開口部72b、73bから冷媒管21aが嵌め込まれ冷媒管21aの周面を保持する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒管と、温度検出部と、前記温度検出部を前記冷媒管に固定する固定具とを備える冷蔵庫において、
前記固定具は、前記温度検出部を保持する保持部と、互いに間隔をあけて設けられた一対の取付部とを備え、
前記一対の取付部は、互いに逆向きに開口する開口部を有し、前記開口部から前記冷媒管が嵌め込まれ前記冷媒管の周面を保持する、冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷媒管は、下側冷媒管と前記下側冷媒管の上方に間隔をあけて配置された上側冷媒管とを備え、
前記固定具は、下方へ延びる延長部を備え、前記一対の取付部が前記上側冷媒管に取り付けられると、前記延長部が前記下側冷媒管の高さまで延びている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記下側冷媒管は前後に間隔をあけて設けられ、
前記一対の取付部が前記上側冷媒管に取り付けられると、前記延長部の少なくとも一部が前記下側冷媒管の間に配置される、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記固定具は、前記温度検出部に接続された電気線を保持する電気線保持部を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
一対の前記取付部は、前記開口部が前方に開口する第1取付部と、前記開口部が後方に開口する第2取付部とを備え、
前記電気線保持部が、前記第2取付部よりも前記第1取付部に近い位置に設けられている、請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記温度検出部は、電気線が接続された接続面を備え、前記接続面から第1方向に前記電気線が引き出され、
前記固定具は、前記保持部に保持された前記温度検出部の前記接続面から前記第1方向に間隔をあけて設けられた規制部を備え、
前記規制部は、前記電気線が前記接続面から前記第1方向に延びるように、前記電気線の位置を規制する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
冷媒管に温度検出部を固定する固定具において、
前記温度検出部を保持する保持部と、互いに間隔をあけて設けられた一対の取付部とを備え、
前記一対の取付部は、互いに逆向きに開口する開口部を有し、前記開口部から前記冷媒管が嵌め込まれ前記冷媒管の周面を保持する、固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫及び固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、除霜運転の開始や終了など冷蔵庫の運転を制御するために、冷媒が流れる冷媒管に温度検出部が設けられている。温度検出部は、冷媒管に対して位置や距離を精度良く取り付けるために、固定具を介して冷媒管に固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-58738
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の冷蔵庫では、固定具を冷媒管の複数箇所に固定しなければならず、取り付けが煩雑となることがある。
【0005】
そこで、本発明は、冷媒管に対して温度検出部を取り付けやすい冷蔵庫及び固定具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、冷媒管と、温度検出部と、前記温度検出部を前記冷媒管に固定する固定具とを備える冷蔵庫において、前記固定具は、前記温度検出部を保持する保持部と、互いに間隔をあけて設けられた一対の取付部とを備え、前記一対の取付部は、互いに逆向きに開口する開口部を有し、前記開口部から前記冷媒管が嵌め込まれ前記冷媒管の周面を保持するものである。
【0007】
また、一実施形態の固定具は、冷媒管に温度検出部を固定する固定具において、前記温度検出部を保持する保持部と、互いに間隔をあけて設けられた一対の取付部とを備え、前記一対の取付部は、互いに逆向きに開口する開口部を有し、前記開口部から前記冷媒管が嵌め込まれ前記冷媒管の周面を保持するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の断面図
図2】冷却器室の正面図
図3】冷却器の斜視図
図4】冷却器の側面図
図5】固定具の斜視図
図6図2のA-A断面図
図7図4のB-B断面図
図8】固定具の冷媒管への取付方法を示す冷却器の要部拡大平面図
図9】固定具の冷媒管への取付方法を示す固定具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0010】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示し、冷蔵庫の扉については閉扉状態において冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0011】
(1)冷蔵庫1の構成
冷蔵庫1の構成について図面を参照して説明する。冷蔵庫1は、図1及び図2に示すように、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4とを備え、外箱3及び内箱4との間に発泡断熱材や真空断熱パネルなどの断熱材を収納する断熱空間5が形成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内側に複数の貯蔵室が設けられている。具体的には、図1に示すように、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に冷凍室10が設けられている。
【0012】
冷蔵室6及び野菜室7は、その後面に設けられた冷蔵室温度センサ36の検出温度に基づいて冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室6と野菜室7の間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られているが、仕切板11の後端部に設けられた連通孔17を介して冷蔵室6の空気が野菜室7へ流れるようになっている。冷蔵室6の前面開口部には、ヒンジで枢支された回動式の断熱扉6aが設けられている。
【0013】
冷蔵室6の後面は、内箱背面4aの前方に間隔をあけて設けられた後壁部材40によって区画されている。後壁部材40は、内箱背面4aとの間で、冷蔵室6へ供給する冷気が流れる冷蔵室流路24aを形成する。
【0014】
冷蔵室6の内部空間には、上下に間隔をあけて複数の棚板12が設けられている。仕切板11と最下段の棚板12とで上下に仕切られた空間には、給水タンク及び給水装置や引き出し式の容器14が収納されている。
【0015】
野菜室7の前面開口部には、引き出し式の断熱扉7aが設けられている。この断熱扉7aの背面部には、貯蔵容器を構成する収納容器15が連結されており、開扉動作とともに収納容器15が庫外に引き出されるように構成されている。野菜室7の後面は、内箱背面4aの前方に間隔をあけて設けられた後壁部材41によって区画されている。後壁部材41は、内箱背面4aとの間で、冷蔵室6へ供給する冷気が流れる野菜室流路24bを形成する。野菜室流路24bの上端は冷蔵室流路24aの下端に接続されており、冷蔵室流路24a及び野菜室流路24bによって冷蔵側ダクト24を構成する。
【0016】
冷凍室10は、その後面に設けられた冷凍室温度センサ37の検出温度に基づいて冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。野菜室7と冷凍室10との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁16により上下に仕切られている。冷凍室10の前面開口部には、引き出し式の断熱扉10aが設けられている。
【0017】
冷凍室10には、下段容器100、中段容器101及び上段容器102とからなる3つの収納容器が上下に並べて設けられている。断熱扉10aの背面部には、下段容器100を支持する容器支持体120が連結され、開扉動作とともに下段容器100と、下段容器100に上面に支持された中段容器101が庫外に引き出されるように構成されている。
【0018】
上段容器102の上方には、製氷皿と離氷機構を含む製氷装置105が設けられている。製氷装置105で作製した氷は上段容器102へ落下され上段容器102で貯氷される。製氷装置105は、冷蔵室6に設けられた給水タンク及び給水装置とともに自動製氷装置を構成し、給水装置によって吸い上げられた給水タンクの水が製氷皿に供給されるようになっている。
【0019】
冷凍室10の奥部には、冷蔵室6,野菜室7及び冷凍室10を冷却する冷気を生成する冷却器21と、生成した冷気を送風する冷却器ファン22を収納する冷却器室23が設けられている。冷却器室23は、冷蔵ダンパ25が設けられた冷蔵側ダクト24と、不図示の冷凍ダンパが設けられた冷凍側ダクト26と、野菜室7を流れた空気を冷却器室23へ戻すリターンダクト19(図2参照)と、冷凍室10を流れた空気を冷却器室23へ戻すリターンダクト20が接続されている。
【0020】
冷却器室23に設けられた冷却器21は、機械室28に設けられた圧縮機29や凝縮器31等とともに冷凍サイクルを構成する。冷却器21は、圧縮機29から吐出された冷媒の供給を受けて冷却され、冷却器室23内の空気を冷却する。冷却器21によって冷却された冷却器室23の空気は、冷却器ファン22を駆動しながら冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパの開閉を制御することで、冷蔵室6と冷凍室10に切り替えて供給される。
【0021】
また、冷却器室23には、冷却器21及び冷却器ファン22以外にも、冷却器21を除霜するための除霜ヒータ52や、除霜水を受ける水受部53や、冷媒が流れる冷媒管の温度を検出する温度検出部54や、ハウジングケース55が設けられている。
【0022】
冷却器ファン22、除霜ヒータ52及び温度検出部54は、冷蔵庫幅方向の他方側(図2では左側)へ寄った位置に設けられたハウジングケース55の内部において、制御基板62から延びるリード線に接続され、制御基板62から駆動電源が供給されたり、制御信号や検出信号を制御基板62との間で送受信したりする。
【0023】
冷蔵庫本体2の背面上部には、図1に示すように、前方へ陥没する基板収納部60が設けられ、その内部に冷蔵庫1を制御する制御基板62が設けられている。
【0024】
制御基板62は、センサ36、37などから入力される検出信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ダンパ25及び冷凍ダンパの開閉や、冷却器ファン22の回転速度や、圧縮機29の運転周波数などを制御することによって、冷蔵室温度センサ36や冷凍室温度センサ37の検出温度が所定の温度条件を満たすように、各貯蔵室6,7,10を冷却する。また、貯蔵室6,7,10の冷却運転を所定時間実行するなどの所定条件を満たすと、除霜ヒータ52を通電して冷却器21の除霜運転を開始し、温度検出部54の検出温度が所定温度以上になると除霜運転を終了する。
【0025】
(2)冷却器21の構成
冷却器21は、この例では、冷蔵庫幅方向に延びる直線部21a1の幅方向両端にU字状に折り返した折り曲げ部21a2が設けられた蛇行状の冷媒管21aと、冷媒管21aの直線部21a1に取り付けられた多数のフィン21bと、冷媒管21aの直線部21a1の左右両端部を互いに連結する端板21cとを備えるフィンチューブ型の冷却器である。本実施形態では、多数のフィン21bと端板21cとが、左右方向に間隔をあけて並べて設けられた複数の放熱板を構成する。また、蛇行状の冷媒管21aは、直線部21a1が上下方向及び前後方向に間隔をあけて配置されており、フィン21b及び端板21cを複数箇所において貫通している。
【0026】
冷媒管21aの上流側部分21a3は、冷却器21の端板21cの上端部から冷蔵庫幅方向の一方(図3では右方)へ突出した後、U字状に上側へ折り返され、冷却器21の上方を冷蔵庫幅方向へ延び、冷却器21の上方においてキャピラリーチューブ34に接続されている。
【0027】
本実施形態では、端板21cに連結された直線部21a1のうち最も上側に配置された2つ直線部21a11が下側冷媒管であり、冷媒管21aの上流側部分21a3が下側冷媒管の上方に配置された上側冷媒管である。2つの下側冷媒管21a11は前後方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。上側冷媒管21a3は、後述する固定具70が取り付けられる冷媒管21aであって、前後方向において2つの下側冷媒管の間に配置されている。
【0028】
キャピラリーチューブ34は、内箱4に設けられた導入孔4bを通って冷蔵庫本体2の断熱空間5から冷却器室23へ進入し、冷媒管21aの上流側部分21a3に接続されている。
【0029】
冷媒管21aの上流側部分21a3には、冷蔵ダンパ25と上下に重なる位置に固定具70を介して温度検出部54が取り付けられている。温度検出部54は、冷媒管21aに近接して配置される円柱状の検出本体部54aと、検出本体部54aの接続面54bに接続された電気線54cとを備え、電気線54cの先端がハウジングケース55の内部において制御基板62から延びるリード線に接続されている。温度検出部54は、検出本体部54aで検出した冷媒管21aの温度を、電気線54c及びリード線を介して制御基板62へ伝送する。
【0030】
冷媒管21aの下流側には冷媒管51が接続され、冷媒管51の更に下流側にサクションパイプ35が接続されている。冷媒管51は、冷却器21の端板21cの下端部から冷蔵庫幅方向の一方へ突出した後、上方へ折れ曲がり冷却器21の冷蔵庫幅方向一方側を上方向に沿って設けられている。この冷媒管51は、冷却器21とリターンダクト19との間において外径が広がった気液分離機30が設けられている。気液分離機30は、冷却器21を流れた後の冷媒を液体の冷媒と気体の冷媒に分離する。
【0031】
(3)固定具70
次に固定具70について図3図7に基づいて説明する。
【0032】
固定具70は、樹脂成形品からなり、温度検出部54の検出本体部54aを保持する保持部71と、冷媒管21aを保持する一対の取付部72、73と、温度検出部54の電気線54cを保持する電気線保持部74と、フィン21bと端板21cとの間に挿入される延長部75とを備える。
【0033】
保持部71は、図6及び図7に示すように、下方に開口する挿入部71aを有する筒状をなしており、挿入部71aに突出する係合爪76が設けられている。保持部71は、係合爪76が円柱状の検出本体部54aの周面に係合することで、電気線54cが検出本体部54aの接続面54bから右方へ突出し、検出本体部54aの周面の一部が挿入部71aを臨むように検出本体部54aを保持する。
【0034】
また、保持部71には、係合爪76に保持された検出本体部54aの接続面54bから右方へ間隔をあけて規制部77が設けられている。規制部77には下方に開口する長孔77aが設けられており、検出本体部54aの接続面54bから右方へ延びる電気線54cが長孔77aに挿入される。規制部77は、接続面54bと規制部77との間において電気線54cが右方へ延びるように電気線54cの位置を規制する。
【0035】
筒状をなした保持部71には、その軸方向(保持部71の長手方向)に間隔をあけて一対の取付部72,73が設けられている。一対の取付部72,73の間隔は、例えば30~50mm程度とすることができる。本実施形態では、一対の取付部72,73が保持部71の長手方向の両端部に設けられている。
【0036】
一対の取付部72,73は、保持部71の下面から下方に突出する板状をなしている。一対の取付部72,73には、冷媒管21aの周面を保持する貫通孔72a,73aと、貫通孔72a,73aに繋がる開口部72b,73bとが設けられている。
【0037】
貫通孔72a,73aは、取付部72,73が冷媒管21aの周面を容易に移動しないように冷媒管21aの周面を保持するために、冷媒管21aの外径より若干小さい内径に設けられている。開口部72b,73bの幅は、貫通孔72a,73aに嵌め込まれた冷媒管21aが容易に脱落するのを防ぐため、貫通孔72a,73aの内径より小さく設けられている。
【0038】
一方の取付部(第1取付部)72は開口部72bが前方に開口し、他方の取付部(第2取付部)73は開口部73bが後方に開口しており、第1取付部72の開口部72bと第2取付部73の開口部73bとが互いに逆向きに開口している。
【0039】
一対の取付部72,73は、開口部72b、73bから貫通孔72a,73aへ冷媒管21aが嵌め込まれることで、貫通孔72a,73aにおいて冷媒管21aの周面を保持する。一対の取付部72,73の貫通孔72a,73aに冷媒管21aが保持されると、保持部71の挿入部71aを介して冷媒管21aが温度検出部54の検出本体部54aと上下に対向する。
【0040】
電気線保持部74は、図3図6に示すように、下方に開口する切れ込み74aと、切れ込み74aの下端部におい開口を狭めるように突出する係止部74bとを備える。電気線保持部74は、下方から切れ込み74aに挿入された電気線54cを保持する。
【0041】
電気線保持部74は、後方に開口する開口部73bが設けられた第2取付部73よりも、前方に開口する開口部72bが設けられた第1取付部72に近い位置に設けることが好ましい。本実施形態では、第1取付部72の後側に電気線保持部74が設けられている。
【0042】
また、保持部71には、規制部77の長孔77aから引き出されてから電気線保持部74で保持されるまでの電気線54cの下面を支える支持部78が設けられても良い。
【0043】
延長部75は、一対の取付部72,73の一方、例えば、第1取付部72から下方へ延びる板状体である。図3図4及び図7に示すように、一対の取付部72,73が冷媒管21aの上流側部分21a3を保持すると、延長部75がフィン21bと端板21cとの間に挿入されるとともに、最も上側に配置された2つの下側冷媒管21a11より下方まで延び、2つの下側冷媒管21a11の間に挿入される。つまり、冷却器21を前方から見ると、フィン21bと端板21cとの間において、延長部75aの少なくとも一部が最も上側に配置された下側冷媒管21a11と前後方向に重なっている。
【0044】
延長部75は、その下端部に前後方向に広がった幅広部75aが設けられ、幅広部75aが2つの下側冷媒管21a11の間に挿入されてもよい。幅広部75aの前後方向の長さは、2つの下側冷媒管21a11の前後方向の間隔よりも小さく、一対の直線部21a1の間に挿入可能な長さであれば良い。例えば、幅広部75aの前側及び後側にそれぞれ0.5mm以上3mm以下の隙間(クリアランス)Sが、直線部21a1との間に形成されることが好ましく、より好ましくは1mm以上2mm以下である(図4参照)。
【0045】
(4)固定具70の取り付け方
次に、冷媒管21aの上側冷媒管21a3に固定具70を取り付ける方法について説明する。
【0046】
まず、固定具70を上側冷媒管21a3に固定する前に、予め、固定具70に温度検出部54を取り付ける。つまり、保持部71の挿入部71aから温度検出部54の検出本体部54aを圧入して保持部71に検出本体部54aを保持させる。また、電気線54cを規制部77の長孔77aから保持部71の外側へ引き出し、支持部78の上側を通してから電気線保持部74の切れ込み74aに電気線54cを挿入して電気線保持部74に保持させる。
【0047】
固定具70に温度検出部54を取り付けた後、図8に示すように、温度検出部54を取り付けた固定具70の延長部75を、フィン21bと端板21cとの間であって、前後方向に間隔をあけて配置された一対の下側冷媒管21a11の間に挿入する。
【0048】
そして、図8及び図9に示すように、保持部71の長手方向を上側冷媒管21a3に対して傾斜させて、第1取付部72の開口部72bを上側冷媒管21a3の後側と対向させ、第2取付部73の開口部73bを上側冷媒管21a3の前側と対向させる。
【0049】
そして、保持部71の長手方向が上側冷媒管21a3と平行となるように、図8において矢符Rで示す方向へ固定具70を回動させて、開口部72b、73bから貫通孔72a,73aへ上側冷媒管21a3を嵌め込み、固定具70を固定する。
【0050】
なお、本実施形態では、延長部75をフィン21bと端板21cとの間に挿入する場合について説明したが、左右方向に隣り合うフィン21bとフィン21bの間に延長部75を挿入してもよい。また、本実施形態では、固定具70を上側冷媒管21a3に固定したが、下側冷媒管21a11など他の冷媒管21aに固定してもよい。
【0051】
(5)効果
本実施形態では、固定具70を回動させることで、互いに逆向きに開口する開口部72b、73bから貫通孔72a,73aへ冷媒管21aを嵌め込んで固定具70を冷媒管21aに固定することができ、固定具70を冷媒管21aに簡単に固定することができる。
【0052】
本実施形態では、固定具70は温度検出部54を保持することができる程度の比較的小さな部材であり、一対の取付部72,73が近接した位置に設けられている。そのため、冷媒管21aを貫通孔72a,73aへ嵌め込む際に、冷媒管21aに対して逆向きの応力が近接した位置に作用し、冷媒管21aの変形を抑えることができる。
【0053】
本実施形態では、固定具70の取付部72,73に冷媒管21aの上流側部分21a3を取り付けると、延長部75が、左右方向に隣り合うフィン21bと端板21cの間から挿入され、前後方向に間隔をあけて配置された2つの下側冷媒管21a11の間に入り込む。そのため、固定具70が冷媒管21aの長手方向に沿って移動したり、冷媒管21aの周面に沿って移動したりするのを防ぐことができる。
【0054】
また、本実施形態のように延長部75の下端部に前後方向に広がった幅広部75aを設けた場合、固定具70を成形するのに要する合成樹脂量を抑えつつ、延長部75と冷媒管21aの直線部21a1との隙間Sを小さくすることができる。
【0055】
本実施形態では、固定具70に電気線保持部74が設けられているため、電気線54cが引っ張られても、電気線54cの付け根部分(つまり、電気線54cの接続面54b近傍部分)に大きな力が作用するのを防ぐことができ、電気線54cの断線を防ぐことができる。
【0056】
特に、電気線保持部74が、後方に開口する開口部73bを有する第2取付部73よりも、前方に開口する開口部72bを有する第1取付部72に近接する位置に設けることで、電気線54cの先端をハウジングケース55内部のリード線と接続する際に、電気線54cが引っ張られても、固定具70が冷媒管21aから外れるのを防ぐことができる。
【0057】
すなわち、冷蔵庫1の組み立て工程では、通常、固定具70を取り付けた冷却器21を冷蔵庫本体2の冷却器室23に固定した後、固定具70が保持する温度検出部54の電気線54cの先端をハウジングケース55内部のリード線と接続する。組み立て作業者は、電気線54cをリード線と接続する際に、作業性の良さから電気線54cを前方へ引き出すことが多い。前方に開口する開口部72bを有する第1取付部72に近接させて電気線保持部74を配置することで、組み立て作業者が電気線54cを前方へ引き出しても、第2取付部73よりも第1取付部72に前向きの力が集中し、固定具70が冷媒管21aから外れることがない。
【0058】
また、本実施形態では、接続面54bと規制部77との間において電気線54cが右方へ延びるように電気線54cの位置を規制する規制部77が設けられているため、電気線54cが引っ張られても、電気線54cの付け根部分(電気線54cの接続面54b近傍部分)が強く折り曲げられるのを防ぐことができ、電気線54cの断線を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…冷蔵庫、6…冷蔵室、6a…断熱扉、7…野菜室、7a…断熱扉、10…冷凍室、10a…断熱扉、20a…吸入口、21…冷却器、21a…冷媒パイプ、21a1…直線部、21a11…下側冷媒管、21a2…折り曲げ部、21a3…上側冷媒管、21b…フィン、21c…端板、22…冷却器ファン、23…冷却器室、28…機械室、29…圧縮機、30…アキュムレータ、31…凝縮器、32…放熱パイプ、33…ドライヤ、34…キャピラリーチューブ、35…サクションパイプ、51…冷媒管、54…温度検出部、54a…検出本体部、54b…接続面、54c…電気線、60…基板収納部、62…制御基板、70…固定具、71…保持部、72…第1取付部、72a…貫通孔、72b…開口部、73…第2取付部、73a…貫通孔、73b…開口部、74…電気線保持部、75…延長部、76…係合爪、77…規制部、78…支持部
図1
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図9