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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145940
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】防火ダンパー装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/14 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F24F13/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058558
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】上坂 一郎
【テーマコード(参考)】
3L081
【Fターム(参考)】
3L081AA05
3L081FC02
3L081HA01
3L081HA06
(57)【要約】
【課題】防火区画を貫通する部分に使用される防火ダンパー装置において、メンテナンスサイクルを長期化し、交換の頻度を低減することを目的とする。
【解決手段】スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5との間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8と、を有し、第1磁力形温度ヒューズ7は、第1ダンパー4に係る第1係合部11と、第1磁石15と、第1磁石15を覆う第1ケース16と有する第1連結部12と、を有し、第2磁力形温度ヒューズ8は、第2ダンパー5に係る第2係合部21と、第2磁石25と、第2磁石25を覆う第2ケース26と有する第2連結部22と、を有し、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とは、第1磁石15と第2磁石25の磁力によって連結され、第1ケース16と第2ケース26の材質は錆びない材料である防火ダンパー装置。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端の開口部を連通する通風路が形成された枠体と、
前記枠体の内部に前記通風路と直角に固定された支軸と、
前記支軸を境に回動自在に設けられた第1ダンパーと第2ダンパーと、
前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとを常時押し広げ、前記通風路を遮断する方向に力が働くよう前記支軸を介して取り付けられたスプリングと、
前記スプリングに抗して、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとの間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズと、を有し、
前記第1磁力形温度ヒューズは、
前記第1ダンパーの周縁部に係る第1係合部と、
磁力を有する第1連結部と、を有し、
前記第2磁力形温度ヒューズは、
前記第2ダンパーの周縁部に係る第2係合部と、
磁力を有する第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、
第1磁石と、
前記第1磁石を覆う第1ケースと、を有し、
前記第2連結部は、
第2磁石と、
前記第2磁石を覆う第2ケースと、を有し、
前記第1磁力形温度ヒューズと前記第2磁力形温度ヒューズとは、前記第1磁石と前記第2磁石の磁力によって連結され、前記第1ケースと前記第2ケースの材質は錆びない材料である防火ダンパー装置。
【請求項2】
前記第1ケースと前記第2ケースの材質は樹脂である請求項1に記載の防火ダンパー装置。
【請求項3】
前記第1磁力形温度ヒューズは、
板状である第1板部を有し、
前記第1板部の他方端側には前記第1連結部が設けられ、
前記第1板部の前記第1連結部より一方端側には前記第1係合部が設けられ、
前記第2磁力形温度ヒューズは、
板状である第2板部を有し、
前記第2板部の他方端側には前記第2連結部が設けられ、
前記第2板部の前記第2連結部より他方端側には前記第2係合部が設けられ、
前記第1板部における前記支軸側の面を第1他方側面とし、
前記第1板部における前記支軸と反対側の面を第1一方側面とし、
前記第2板部における前記支軸側の面を第2他方側面とし、
前記第2板部における前記支軸側と反対側の面を第2一方側面とし、
前記第1板部における前記第1他方側面と、前記第2板部における前記第2一方側面とが対向し、
前記第1連結部は、前記第1板部における前記第1一方側面から突出している請求項1に記載の防火ダンパー装置。
【請求項4】
前記第2連結部は、前記第2板部における前記第2他方側面から突出している請求項3に記載の防火ダンパー装置。
【請求項5】
前記第2連結部は、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとの間に配置され、前記第1ダ
ンパーと前記第2ダンパーの材質は金属である請求項4に記載の防火ダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の類焼などを防ぐための防火区画を貫通する部分、たとえば通風ダクトに取り付ける防火ダンパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、火災時などに類焼を防ぐため防火ダンパー装置が作動したとき確実に通風路を遮断する開閉装置が求められている。壁等を貫通するように設けられる円筒状の枠体は両端を開口し、通風路を形成している。この枠体には通風路を開閉する2枚の半円形状のダンパーをこのダンパーに設けられたヒンジ部を介して支軸によって回動自在に支持している。2枚のダンパーが通風路を遮断するように一平面をなす方向に張力を有するスプリングが支軸に設けられ、この張力に対抗して2枚のダンパーの一端に温度ヒューズが設けられている。
【0003】
上記構成において、異常高温空気が通風路に流れ込むと、温度ヒューズが溶断し、ダンパーがスプリングに働く張力を起動力として作動し、通風路を遮断する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3607072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の防火ダンパー装置においては、特に、海岸沿いなどの塩害を受ける地域にあっては、長期間塩分を含んだ外気にさらされることで、温度ヒューズに錆が発生しやすくなり、メンテナンスサイクルが短くなるという課題を有している。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、メンテナンスサイクルを長期化し、交換の頻度を低減することのできる防火ダンパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る防火ダンパー装置は、両端の開口部を連通する通風路が形成された枠体と、前記枠体の内部に前記通風路と直角に固定された支軸と、前記支軸を境に回動自在に設けられた第1ダンパーと第2ダンパーと、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとを常時押し広げ、前記通風路を遮断する方向に力が働くよう前記支軸を介して取り付けられたスプリングと、前記スプリングに抗して、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとの間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズと、を有し、前記第1磁力形温度ヒューズは、前記第1ダンパーの周縁部に係る第1係合部と、磁力を有する第1連結部と、を有し、前記第2磁力形温度ヒューズは、前記第2ダンパーの周縁部に係る第2係合部と、磁力を有する第2連結部と、を有し、前記第1連結部は、第1磁石と、前記第1磁石を覆う第1ケースと、を有し、前記第2連結部は、第2磁石と、前記第2磁石を覆う第2ケースと、を有し、前記第1磁力形温度ヒューズと前記第2磁力形温度ヒューズとは、前記第1磁石と前記第2磁石の磁力によって連結され、前記第1ケースと前記第2ケースの材質は錆びない材料である防火ダンパー装置としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、両端の開口部を連通する通風路が形成された枠体と、前記枠体の内部に前記通風路と直角に固定された支軸と、前記支軸を境に回動自在に設けられた第1ダンパーと第2ダンパーと、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとを常時押し広げ、前記通風路を遮断する方向に力が働くよう前記支軸を介して取り付けられたスプリングと、前記スプリングに抗して、前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとの間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズと、を有し、前記第1磁力形温度ヒューズは、前記第1ダンパーの周縁部に係る第1係合部と、磁力を有する第1連結部と、を有し、前記第2磁力形温度ヒューズは、前記第2ダンパーの周縁部に係る第2係合部と、磁力を有する第2連結部と、を有し、前記第1連結部は、第1磁石と、前記第1磁石を覆う第1ケースと、を有し、前記第2連結部は、第2磁石と、前記第2磁石を覆う第2ケースと、を有し、前記第1磁力形温度ヒューズと前記第2磁力形温度ヒューズとは、前記第1磁石と前記第2磁石の磁力によって連結され、前記第1ケースと前記第2ケースの材質は錆びない材料である防火ダンパー装置という構成にしたことにより、錆の発生を抑制し、メンテナンスサイクルを長期化し、交換の頻度を低減するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置を示す斜視図
図2】同防火ダンパー装置の分解斜視図
図3】同防火ダンパー装置の斜視図
図4】同防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの斜視図
図5】同防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの概略断面図
図6】同防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置を示す斜視図であり、第1ダンパーと第2ダンパーとが、平行状態に移動し、通風路が開いた状態である。図2は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置の分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置を示す斜視図であり、第1ダンパーと第2ダンパーとが、同一面上に移動し、通風路が閉じた状態である。
【0012】
図1図2図3に示すように、防火ダンパー装置1は、枠体2と、支軸3と、第1ダンパー4と、第2ダンパー5と、スプリング6と、第1磁力形温度ヒューズ7と、第2磁力形温度ヒューズ8と、を有している。
【0013】
枠体2は、両端が開口した筒形状であり、内部には両端の開口部を連通する通風路9が形成されている。枠体2は、片側の開口縁から内方に突出した受け部2aを有している。
【0014】
支軸3は、円柱形状であり、枠体2の内部の通風路9と直角に固定されている。支軸3には、第1ダンパー4と、第2ダンパー5と、スプリング6と、が設けられている。
【0015】
第1ダンパー4と第2ダンパー5は、枠体2内の通風路9を開閉する。第1ダンパー4
と第2ダンパー5は、円板を半割り状にした形状であり、支軸3に回動自在に設けられている。第1ダンパー4と第2ダンパー5とが、平行状態で、略半円形状で対向した状態では、通風路9が開いた状態となる(図1参照)。第1ダンパー4と第2ダンパー5とが、同一面上に移動し、枠体2の受け部2aに当たり、略円板形状になると、通風路9を遮断した状態となる(図3参照)。
【0016】
第1ダンパー4は、略半円形状の第1ダンパー4の直径となる直線状の周縁部寄りには、第1ダンパー4と第2ダンパー5とが平行状態において第1ダンパー4から第2ダンパー5に向けて突出した複数の第1ヒンジ部4aを有している。第1ヒンジ部4aは、支軸3が貫通する第1孔4bを有している。支軸3が、複数の第1ヒンジ部4aの第1孔4bを貫通することによって、第1ダンパー4は、支軸3に回動自在に設けられている。第1ダンパー4の略半円弧状の周縁部は、外方に突出した突起状の第1凸部4cを有している。
【0017】
第2ダンパー5は、略半円形状の第2ダンパー5の直径となる直線状の周縁部寄りには、第1ダンパー4と第2ダンパー5とが平行状態において第2ダンパー5から第1ダンパー4に向けて突出した複数の第2ヒンジ部5aを有している。第2ヒンジ部5aは、支軸3が貫通する第2孔5bを有している。支軸3が、複数の第2ヒンジ部5aの第2孔5bを貫通することによって、第2ダンパー5は、支軸3に回動自在に設けられている。第2ダンパー5の略半円弧状の周縁部は、外方に突出した突起状の第2凸部5cを有している。
【0018】
スプリング6は、支軸3に適宜の数を巻きつけられ、スプリング6の両端は、第1ダンパー4と第2ダンパー5との間にも一定の通風路9を形成する形で、一定の間隔を開けて互いに重ねられた第1ダンパー4と第2ダンパー5を蝶開きするように力を加えている。つまり、スプリング6は、第1ダンパー4と第2ダンパー5とを常時押し広げ、通風路9を遮断する方向に力を加えている。
【0019】
第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8は、後述する第1磁石15と第2磁石25の磁力によって連結され、スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5を一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの斜視図である。図5は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの概略断面図である。図6は、本発明の実施の形態1の防火ダンパー装置の第1磁力形温度ヒューズと第2磁力形温度ヒューズの分解斜視図である。
【0021】
図1図2図4図5図6に示すように、第1磁力形温度ヒューズ7は、第1ダンパー4の周縁部に係る第1係合部11と、磁力を有する第1連結部12と、第1板部13と、を有している。
【0022】
具体的には、第1磁力形温度ヒューズ7は、折り曲げられた細長板状である第1板部13を有し、第1板部13の他方端側には第1連結部12が設けられ、第1板部13の第1連結部12より一方端側には第1係合部11が設けられている。
【0023】
第1板部13の材質は、金属であり、一例としては、リン青銅である。第1板部13は、第1内板部分13aと、第1曲板部分13bと、第1外板部分13cと、を有している。第1内板部分13aと、第1曲板部分13bと、第1外板部分13cとは一体的に形成されている。
【0024】
第1内板部分13aは、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8が、スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5を一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持した状態において、第1ダンパー4の面に対して垂直、かつ支軸3に平行な面を有する板形状である。第1内板部分13aには、円形の第1孔14を有し、第1孔14に第1連結部12が嵌り固定されている。
【0025】
第1曲板部分13bは、第1内板部分13aの一方端から支軸3の方向に延びた板形状である。
【0026】
第1外板部分13cは、第1曲板部分13bの支軸3側の端部から第1板部13一方端の方向に延びた板形状である。
【0027】
第1連結部12は、磁力を有する第1磁石15と、第1磁石15を覆う第1ケース16と、を有している。
【0028】
第1磁石15の一例は、ネオジウム磁石である。第1磁石15は、温度が上昇すると磁力が低下する。
【0029】
第1ケース16は、中空の円柱形状であり、内部には、円柱形状の第1磁石15を有している。第1ケース16は、第1板部13の第1内板部分13aに設けられた円形の第1孔14に嵌り固定され、第1内板部分13aの円形の第1孔14の中心線上に、中空の円柱形状の第1ケース16の中心線が位置している。
【0030】
第1係合部11は、第1内板部分13aの一部を支軸3の方向へ凸状に切り起こした第1内突起部分17と、第1曲板部分の一部を第1連結部12側へ凸状に切り起こした第1外突起部分19と、を有している。第1内突起部分17と第1外突起部分19とが、第1ダンパー4の板厚に沿って互いに向き合う形に設けられている。第1磁力形温度ヒューズ7を第1ダンパー4の板厚に沿って圧入、または挿入することにより、第1内突起部分17と第1外突起部分19とは、第1ダンパー4の周縁部から突出した第1凸部4cに沿って移動し、周縁部に係り、確実に係合することとなる。
【0031】
第2磁力形温度ヒューズ8は、第2ダンパー5の周縁部に係る第2係合部21と、磁力を有する第2連結部22と、第2板部23と、を有している。
【0032】
具体的には、第2磁力形温度ヒューズ8は、折り曲げた細長板状である第2板部23を有し、第2板部23の他方端側には第2連結部22が設けられ、第2板部23の第2連結部22より他方端側には第2係合部21が設けられている。
【0033】
第2板部23の材質は、金属であり、一例としては、リン青銅である。第2板部23は、第2内板部分23aと、第2曲板部分23bと、第2外板部分23cと、を有している。第2内板部分23aと、第2曲板部分23bと、第2外板部分23cとは一体的に形成されている。
【0034】
第2内板部分23aは、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8が、スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5を一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持した状態において、第2ダンパー5の面に対して垂直、かつ支軸3に平行な面を有する板形状である。第2内板部分23aには、円形の第2孔24を有し、第2孔24に第2連結部22が嵌り固定されている。
【0035】
第2曲板部分23bは、第2内板部分23aの他方端から支軸3の方向に延びた板形状である。
【0036】
第2外板部分23cは、第2曲板部分23bの支軸3側の端部から第2板部23他方端の方向に延びた板形状である。
【0037】
第2連結部22は、磁力を有する第2磁石25と、第2磁石25を覆う第2ケース26と、を有している。
【0038】
第2磁石25の一例は、ネオジウム磁石である。第2磁石25は、温度が上昇すると磁力が低下する。
【0039】
第2ケース26は、中空の円柱形状であり、内部には、円柱形状の第2磁石25を有している。第2ケース26は、第2板部23に設けられた円形の第2孔24に嵌り固定され、第2板部23の第2内板部分23aの円形の第2孔24の中心線上に、中空の円柱形状の第2ケース26の中心線が位置している。
【0040】
第2係合部21は、第2内板部分23aの一部を支軸3の方向へ凸状に切り起こした第2内突起部分27と、第2曲板部分の一部を第2連結部22側へ凸状に切り起こした第2外突起部分29と、を有している。第2内突起部分27と第2外突起部分29とが、第2ダンパー5の板厚に沿って互いに向き合う形に設けられている。第2磁力形温度ヒューズ8を第2ダンパー5の板厚に沿って圧入、または挿入することにより、第2内突起部分27と第2外突起部分29とは、第2ダンパー5の周縁部から突出した第2凸部5cに沿って移動し、周縁部に係り、確実に係合することとなる。
【0041】
第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とは、第1磁石15と第2磁石25の磁力によって連結され、第1磁力形温度ヒューズ7の第1係合部11が第1ダンパー4の周縁部に係り、第2磁力形温度ヒューズ8の第2係合部21が第2ダンパー5の周縁部に係る。これによって、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8は、スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5との間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持する(図1参照)。この状態で、異常高温空気が通風路に流れ込むと、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8の一方または両方の温度が上昇し、磁力が低下し、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とが離れ、スプリング6によって、第1ダンパー4と第2ダンパー5とが同一面上に移動し、第1ダンパー4と第2ダンパー5の周縁部の一部が、枠体2の受け部2aに当たり、略円板形状になり、通風路9を遮断する(図3参照)。なお、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8が、スプリング6に抗して、第1ダンパー4と第2ダンパー5との間に一定の間隔を開けて互いに対向する状態に保持した場合に、枠体2の受け部2aは、第1ダンパー4と第2ダンパー5とが枠体2から突出する反対側の開口縁に設けられている。
【0042】
本実施形態の特徴は、第1ケース16と第2ケース26の材質は錆びない材料である点である。これにより、第1磁石15と第2磁石25の錆の発生を抑制し、メンテナンスサイクルを長期化し、交換の頻度を抑制できる。なお、第1ケース16と第2ケース26の材質の一例は、樹脂である。
【0043】
また、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とを第1磁石15と第2磁石25の磁力によって連結し、第1ダンパー4と第2ダンパー5とに装着した状態において、第1板部13における支軸3側の面を第1他方側面31とし、第1板部13における支軸3と反対側の面を第1一方側面32とし、第2板部23における支軸3側の面を第
2他方側面33とし、第2板部23における支軸3側と反対側の面を第2一方側面34とする。第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とが、第1磁石15と第2磁石25の磁力によって連結されると、第1板部13における第1他方側面31と、第2板部23における第2一方側面34とが対向した状態となる。ここで、第1連結部12は、第1板部13における第1一方側面32から突出している。第1連結部12の第1ケース16は、中空の円柱形状であり、内部には、円柱形状の第1磁石15を有している。第1磁石15は、第1ケース16より一回り小さい大きさである。第1ケース16と第1磁石15は、第1板部13における第1一方側面32から支軸3とは反対側に突出し、第1ケース16の一部は、第1板部13に設けられた円形の第1孔14に嵌り固定されている。これにより、第1一方側面32から突出する第1連結部12の表面積が増加するので、第1連結部12が第1一方側面32から突出していない場合に比べて、第1板部13における第1一方側面32からの熱に対して第1連結部12の第1ケース16を介して、第1連結部12の第1磁石15へ熱が伝わり易くなり、第1磁力形温度ヒューズ7の作動精度を向上することができる。
【0044】
また、第1磁石15と第2磁石25の磁力によって、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とを連結した場合、第1ケース16と第2ケース26とが接触すると共に、第1板部13における第1他方側面31と第2板部23における第2一方側面34とが接触する。これにより、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8との接触面が増え、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8との連結状態が安定する。
【0045】
また、第2連結部22は、第2板部23における第2他方側面33から突出している。第2連結部22の第2ケース26は、中空の円柱形状であり、内部には、円柱形状の第2磁石25を有している。第2磁石25は、第2ケース26より一回り小さい大きさである。第2ケース26と第2磁石25は、第2板部23における第2他方側面33から支軸3側に突出し、第2ケース26の一部は、第2板部23に設けられた円形の第2孔24に嵌り固定されている。これにより、第2他方側面33から突出する第2連結部22の表面積が増加するので、第2連結部22が第2他方側面33から突出していない場合に比べて、第2板部23における第2他方側面33からの熱に対して第2連結部22の第2ケース26を介して、第2連結部22の第2磁石25へ熱が伝わり易くなり、第2磁力形温度ヒューズ8の作動精度を向上することができる。
【0046】
また、第2連結部22は、第1ダンパー4と第2ダンパー5との間に配置され、第1ダンパー4と第2ダンパー5の材質は金属である。これにより、第2板部23における第2他方側面33からの熱に対して、第1ダンパー4と第2ダンパー5からの放熱によって、第2連結部22への熱伝導性が向上するので、第2板部23における第2他方側面33からの熱に対して第2連結部22の第2ケース26を介して、第2連結部22の第2磁石25へ熱が伝わり易くなり、第2磁力形温度ヒューズ8の作動精度を向上することができる。
【0047】
また、第1連結部12は、材質がゴムである円板形状の第1円板35を有している。第1円板35は、第1ケース16における他方側面に固定されている。第2連結部22は、材質はゴムである円板形状の第2円板36を有している。第2円板36は、第2ケース26における一方側面に固定されている。第1磁石15と第2磁石25の磁力によって、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8とを連結した場合、第1ケース16と第2ケース26とが接触、第1板部13における第1他方側面31と第2板部23における第2一方側面34とが接触すると共に、第1円板35と第2円板36とが接触する。これにより、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8との接触面での摩擦抵抗が増え、第1磁力形温度ヒューズ7と第2磁力形温度ヒューズ8との連結状態が安定
する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る防火ダンパー装置は、メンテナンスサイクルを長期化し、交換の頻度を低減することができるので、防火区画を貫通する部分、たとえば通風ダクトに使用される防火ダンパーとして有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 防火ダンパー装置
2 枠体
3 支軸
4 第1ダンパー
4a 第1ヒンジ部
4b 第1孔
4c 第1凸部
5 第2ダンパー
5a 第2ヒンジ部
5b 第2孔
5c 第2凸部
6 スプリング
7 第1磁力形温度ヒューズ
8 第2磁力形温度ヒューズ
9 通風路
11 第1係合部
12 第1連結部
13 第1板部
13a 第1内板部分
13b 第1曲板部分
13c 第1外板部分
14 第1孔
15 第1磁石
16 第1ケース
17 第1内突起部分
19 第1外突起部分
21 第2係合部
22 第2連結部
23 第2板部
23a 第2内板部分
23b 第2曲板部分
23c 第2外板部分
24 第2孔
25 第2磁石
26 第2ケース
27 第2内突起部分
29 第2外突起部分
31 第1他方側面
32 第1一方側面
33 第2他方側面
34 第2一方側面
35 第1円板
36 第2円板
図1
図2
図3
図4
図5
図6