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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145941
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20241004BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058559
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 格
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA13
2G001JA01
2G001JA06
2G001JA09
2G001KA05
2G001PA11
(57)【要約】
【課題】被検査物の搬送速度を減速することなく、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができるX線検査装置を提供すること。
【解決手段】順次搬送される被検査物WにX線を照射するX線発生器と、被検査物Wを透過したX線を検出するX線検出器とを備え、被検査物Wが通過する搬送路を挟んで対向するようにX線発生器とX線検出器とが配置されたX線検査装置であって、X線発生器とX線検出器とが被検査物Wの搬送方向と平行な方向に往復移動可能に構成されており、X線発生器とX線検出器とは、被検査物Wの搬送速度と等速で撮像開始位置P1から撮像終了位置P2まで搬送方向に移動しつつ被検査物Wの撮像を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次搬送される被検査物(W)にX線を照射するX線発生器(10)と、
前記被検査物を透過した前記X線を検出するX線検出器(11)と、を備え、
前記被検査物が通過する搬送路(3)を挟んで対向するように、前記X線発生器と前記X線検出器とが配置されたX線検査装置であって、
前記X線発生器と前記X線検出器とが前記被検査物の搬送方向と平行な方向に往復移動可能に構成されており、
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記被検査物の搬送速度と等速で撮像開始位置(P1)から撮像終了位置(P2)まで前記搬送方向に移動しつつ前記被検査物の撮像を行うX線検査装置。
【請求項2】
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記撮像終了位置まで移動した後、次に搬送される被検査物が前記撮像開始位置に到達する前に前記撮像開始位置に戻るよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線発生器と前記X線検出器とが前記撮像開始位置に戻る移動速度は、前記搬送速度よりも速いことを特徴する請求項1又は請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線検出器がエリアセンサによって構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線検出器がエリアセンサによって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されていることを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されていることを特徴とする請求項4に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されていることを特徴とする請求項5に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送路の途中の検査空間の上方に所定高さ離隔して配置され、順次搬送される被検査物に対して当該検査空間においてX線を照射するX線発生器と、搬送部内にX線発生器と対向して配置され、被検査物を透過したX線を検出するX線ラインセンサと、を備えたX線異物検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7060446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のX線異物検査装置において、被検査物に対する露光時間が短いと、得られる透過画像がノイズの多い画像となってしまう。また、例えば比較的厚さのある被検査物を検査する場合、露光時間が短いと、得られる透過画像が不鮮明な画像となってしまう。このため、被検査物に対する露光時間が短いと、検査精度を向上させることができない。
【0005】
これに対し、露光時間を長くすると、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができるが、露光時間を長くする分、被検査物の搬送速度を遅くしたり、場合によっては一時停止させたりする必要があり、効率的な検査を行うことができない。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、被検査物の搬送速度を減速することなく、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができるX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るX線検査装置は、順次搬送される被検査物にX線を照射するX線発生器と、前記被検査物を透過した前記X線を検出するX線検出器と、を備え、前記被検査物が通過する搬送路を挟んで対向するように、前記X線発生器と前記X線検出器とが配置されたX線検査装置であって、前記X線発生器と前記X線検出器とが前記被検査物の搬送方向と平行な方向に往復移動可能に構成されており、前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記被検査物の搬送速度と等速で撮像開始位置から撮像終了位置まで前記搬送方向に移動しつつ前記被検査物の撮像を行うよう構成されている。
【0008】
この構成により、本発明に係るX線検査装置は、X線発生器とX線検出器とが、被検査物の搬送方向と平行な方向に往復移動可能に構成され、かつ被検査物の搬送速度と等速で撮像開始位置から撮像終了位置まで搬送方向に移動しつつ被検査物の撮像を行うので、X線発生器とX線検出器とを固定して撮像する構成と比較して、被検査物の搬送速度を減速することなく露光時間を長くすることができる。このため、本発明に係るX線検査装置は、被検査物の搬送速度を減速することなく、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができる。
【0009】
本発明に係るX線検査装置において、前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記撮像終了位置まで移動した後、次に搬送される被検査物が前記撮像開始位置に到達する前に前記撮像開始位置に戻るよう構成されていることが好ましい。
【0010】
この構成により、本発明に係るX線検査装置は、X線発生器とX線検出器とが撮像終了位置まで移動した後、次に搬送される被検査物が撮像開始位置に到達する前に撮像開始位置に戻るので、順次搬送される被検査物間の隙間時間を利用してX線発生器とX線検出器とを次の被検査物の撮像に備えて撮像開始位置に戻すことができる。
【0011】
本発明に係るX線検査装置において、前記X線発生器と前記X線検出器とが前記撮像開始位置に戻る移動速度は、前記搬送速度よりも速いことが好ましい。
【0012】
この構成により、本発明に係るX線検査装置は、X線発生器とX線検出器とが撮像開始位置に戻る移動速度が搬送速度よりも速いので、順次搬送される被検査物間の間隔を小さくすることができ、単位時間当たりの検査数を多くすることができる。
【0013】
本発明に係るX線検査装置は、前記X線検出器がエリアセンサによって構成されていることが好ましい。
【0014】
この構成により、本発明に係るX線検査装置は、X線検出器がエリアセンサによって構成されているので、被検査物の搬送を止めることなく静止画像を得ることができる。
【0015】
本発明に係るX線検査装置において、前記X線発生器と前記X線検出器とは、前記搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されていることが好ましい。
【0016】
この構成により、本発明に係るX線検査装置は、X線発生器とX線検出器とが搬送方向と平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されているので、X線発生器とX線検出器とをズレなく同一速度で移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被検査物の搬送速度を減速することなく、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができるX線検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の概略斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の撮像ユニットの移動の遷移を示すグラフである。
図4図4(a)から(e)は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置の撮像ユニットと被検査物との位置関係を時系列で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るX線検査装置について説明する。
【0020】
(X線検査装置の構成)
図1に示すように、本実施形態のX線検査装置1は、搬送される被検査物WにX線を照射し、透過したX線を検出して得られる透過画像を用いて被検査物Wにおける異物混入や形状などを検査するX線検査装置である。
【0021】
本実施形態では、被検査物Wとして、例えばボトル製品などの円筒状の物品を例に説明するが、被検査物Wとしてはこれに限られない。
【0022】
本実施形態のX線検査装置1は、図示しない筐体と、X線を発生するX線発生器10と、被検査物Wを透過したX線を検出するX線検出器11と、制御回路20と、を含んで構成されている。X線発生器10、X線検出器11及び制御回路20は、図示しない筐体内に収容されている。
【0023】
当該筐体は、被検査物Wを搬送するコンベア2に組み込まれている。コンベア2は、被検査物Wの生産設備の一部であり、X線検査装置1と別体に構成されている。このように、X線検査装置1は、別体のコンベア2に組み込まれる組み込み型のX線検査装置であり、例えばトップチェーンコンベアやベルトコンベア等の被検査物Wを水平方向に搬送する既設のコンベアに組み込まれる。
【0024】
X線発生器10とX線検出器11とは、コンベア2上の被検査物Wが通過する搬送路3を挟んで、コンベア2の幅方向に対向するように配置されている。
【0025】
X線発生器10は、その内部に設けられた図示しないX線管の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成し、図1中、破線で示した範囲が撮像されるように生成したX線を放射状に照射する。これにより、X線発生器10は、順次搬送されるコンベア2上の被検査物WにX線を照射するようになっている。
【0026】
X線検出器11は、図示しないフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータからなる図示しない複数のX線検出素子と、を備えている。X線検出器11は、X線検出素子が搬送方向とこの搬送方向と直交する方向に並んで面状に配置されたエリアセンサによって構成されている。
【0027】
X線検出器11は、X線発生器10から搬送路3上の被検査物WにX線が照射されて当該被検査物Wを透過したX線の透過画像を撮像する。具体的には、X線検出素子のシンチレータによって光信号に変換され、その光信号がフォトダイオードによって電気信号に変換される。そして更にノイズ除去などの処理を施し、X線透過量に基づいて濃淡分布の透過画像を生成する。
【0028】
制御回路20には、表示部12、設定操作部13及び駆動部14が接続されている。
【0029】
表示部12は、平面ディスプレイ等から構成されており、ユーザに対する表示出力を行うようになっている。表示部12は、制御回路20による検査結果等の画像を表示するようになっている。
【0030】
また、表示部12は、被検査物Wの良否判定結果を「OK」や「NG」等の文字又は記号で表示するようになっている。また、表示部12は、総検査数、良品数、NG総数等の統計値を表示するようになっている。
【0031】
表示部12の表示内容及び表示態様は、既定設定、又は設定操作部13からの所定のキー操作による要求に基づいて決定される。
【0032】
設定操作部13は、制御回路20への各種パラメータ等の設定入力を行うものである。設定操作部13は、ユーザが操作する複数のキーやスイッチ等で構成され、制御回路20への各種パラメータ等の設定入力や動作モードの選択を行うものである。
【0033】
本実施形態では、表示部12と設定操作部13とがタッチパネル式表示器として一体化され、図示しない筐体の前面上部に配置されている。
【0034】
駆動部14は、後述する撮像ユニット30を被検査物Wの搬送方向と平行な方向に往復移動させる駆動源として構成されており、例えばモータ等のアクチュエータからなる。
【0035】
制御回路20は、X線画像記憶部21、画像処理部22、判定部23及び制御部25を備えている。
【0036】
X線画像記憶部21は、X線検出器11から受け取ったX線画像を記憶するようになっている。
【0037】
画像処理部22は、X線画像記憶部21から読み出したX線画像に対して各種の画像処理アルゴリズム等を適用して画像処理を施すようになっている。ここで、画像処理アルゴリズムは、複数の画像処理フィルタを組み合わせたものからなる。
【0038】
判定部23は、画像処理部22により画像処理されたX線画像に対して、被検査物Wと異物との判別を行って異物の混入の有無を判定し、また、被検査物Wの形状の良否を判定するようになっている。
【0039】
制御部25は、CPUおよび制御プログラムの記憶領域又は作業領域としてのメモリなどを有しており、X線検査装置1の全体を制御するようになっている。制御部25の制御内容には、表示部12の表示内容及び表示形態の制御が含まれる。
【0040】
また、制御部25は、駆動部14の駆動を制御するようになっている。制御部25は、駆動部14の駆動を制御することによって、撮像ユニット30の往復移動動作を制御する。
【0041】
(撮像ユニット)
図2に示すように、本実施形態のX線検査装置1において、X線発生器10とX線検出器11とは、移動ブラケット31によって互いに連結されることで、被検査物Wの搬送方向Bと平行な方向に往復移動可能なようにユニット化されている。
【0042】
本実施形態では、X線発生器10とX線検出器11と移動ブラケット31とで、撮像ユニット30を構成している。
【0043】
移動ブラケット31は、被検査物Wの搬送方向Bと平行な方向に延在するリニアスライダ32上を、往復移動するように構成されている。移動ブラケット31の往復移動は、駆動部14の駆動によって実現されている。
【0044】
移動ブラケット31の下部には、リニアスライダ32を挟んで搬送方向Bと直交する方向に対向するように配置された一対のガイドレール33、34が設けられている。移動ブラケット31は、一対のガイドレール33、34にガイドされつつ往復移動する。
【0045】
これにより、X線発生器10とX線検出器11とは、撮像開始位置(図4(a)に示す位置)と撮像終了位置(図4(b)に示す位置)との間を往復移動するようになっている。
【0046】
具体的には、X線発生器10とX線検出器11とは、被検査物Wの搬送速度と等速で撮像開始位置から撮像終了位置まで搬送方向Bに移動しつつ被検査物Wの撮像を行うようになっている。
【0047】
X線発生器10とX線検出器11とは、撮像終了位置まで移動した後、次に搬送される被検査物Wが撮像開始位置に到達する前に撮像開始位置に戻るようになっている。このとき、X線発生器10とX線検出器11とが撮像開始位置に戻る移動速度は、被検査物Wの搬送速度よりも速いことが望ましい。つまり、X線発生器10とX線検出器11とは、搬送方向Bに移動する移動速度よりも、搬送方向Bと反対方向に移動する移動速度の方が速いことが望ましい。これにより、順次搬送されてくる被検査物W間の間隔を小さくすることができ、単位時間当たりの被検査物Wの検査数を増やすことができる。
【0048】
(撮像ユニットの移動の遷移)
次に、図3及び図4を参照して、撮像ユニット30の移動の遷移について説明する。
【0049】
図3において、破線は被検査物Wの移動の遷移を示しており、実線は撮像ユニット30の移動の遷移を示している。図3においては、順次搬送される被検査物Wのうち、先に搬送される被検査物W1と、次に搬送される被検査物W2とを例に撮像ユニット30の移動の遷移について説明する。図3において、P1は撮像開始位置を示し、P2は撮像終了位置を示している。
【0050】
図4(a)から図4(e)は、図3中に示した時間t0から時間t4までの各時間における撮像ユニット30と被検査物Wとの位置関係を示した図であって、図4(a)が時間t0、図4(b)が時間t1、図4(c)が時間t2、図4(d)が時間t3、図4(e)が時間t4にそれぞれ対応している。
【0051】
図3に示すように、時間t0において被検査物W1が撮像開始位置P1に達すると、撮像ユニット30が被検査物W1に追従するように被検査物W1の搬送速度と等速で撮像終了位置P2に向けて移動しながら被検査物W1の撮像を開始する。つまり、図4(a)に示すように、被検査物W1の搬送方向の中心が、X線検出器11の撮像面に垂直な撮像軸Aと一致したタイミングで、X線発生器10とX線検出器11とが被検査物W1の撮像を開始しつつ、被検査物W1への追従を開始する。
【0052】
その後、被検査物W1の撮像が終了するまで、すなわち被検査物W1が撮像終了位置P2に達するまで、被検査物W1と撮像ユニット30とが等速で移動しながら被検査物W1の撮像が行われる。
【0053】
次いで、時間t1において被検査物W1及び撮像ユニット30が撮像終了位置P2(図4(b)に示す位置)に達すると、被検査物W1の撮像が終了し、撮像ユニット30が撮像開始位置P1に戻るための動作が開始される。具体的には、制御部25によって駆動部14の逆転駆動が開始される。
【0054】
このとき、撮像ユニット30は、撮像終了位置P2を搬送方向Bに僅かに通り越した後、当該位置(図4(c)に示す位置)にて移動方向が逆転し、撮像開始位置P1に戻り始める。
【0055】
時間t2において、撮像ユニット30が撮像開始位置P1に戻り始めると、撮像ユニット30に正の加速度が付与される。つまり、図4(c)に示す位置から撮像ユニット30が撮像開始位置P1に向けて加速して移動する。
【0056】
次いで、時間t3において、撮像ユニット30に付与される加速度が正から負に切り換えられる。すなわち、正の加速度で移動していた撮像ユニット30は、時間t3を境に負の加速度が付与されるように制御部25によって駆動部14が制御され、減速を開始する。
【0057】
時間t3は、例えば撮像ユニット30の移動距離の半分、つまり撮像開始位置P1と撮像終了位置P2との中間位置(図4(d)に示す位置)に撮像ユニット30が達したタイミングであり、t3=(t2+t4)/2で定義することもできる。なお、撮像ユニット30に付与される加速度の正負の切替タイミングは、前述したタイミングに限らず、撮像ユニット30や駆動部14の仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0058】
次いで、減速中の撮像ユニット30は、撮像開始位置P1を搬送方向Bと反対方向に僅かに通り越した後、時間t4において減速が終了し、当該タイミングで移動方向が逆転して撮像終了位置P2に向けて移動を開始する。このとき、図4(e)に示すように、被検査物W2は、まだ撮像開始位置P1に到達していない。
【0059】
その後、時間t5において被検査物W2が撮像開始位置P1に達すると、撮像ユニット30が被検査物W2に追従するように被検査物W2の搬送速度と等速で撮像終了位置P2に向けて移動しながら被検査物W2の撮像を開始する。以後は、被検査物W1と同一の流れとなる。
【0060】
このように、X線発生器10とX線検出器11とは、往復移動を周期的に繰り返すように制御部25によって駆動部14が制御される。
【0061】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置は、X線発生器10とX線検出器11とが、被検査物Wの搬送方向Bと平行な方向に往復移動可能に構成され、かつ被検査物Wの搬送速度と等速で撮像開始位置P1から撮像終了位置P2まで搬送方向Bに移動しつつ被検査物Wの撮像を行うので、X線発生器10とX線検出器11とを固定して撮像する構成と比較して、被検査物Wの搬送速度を減速することなく露光時間を長くすることができる。このため、本実施形態に係るX線検査装置は、被検査物Wの搬送速度を減速することなく、ノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得ることができる。
【0062】
ここで、露光時間を長くするために露光の度に被検査物Wの搬送を停止すると、例えば被検査物Wが液体の充填された容器等である場合には、停止の度に液面が揺れてしまい、当該液面揺れが収まるまで搬送を開始できない。このため、単位時間当たりの被検査物Wの検査数を多くすることができない。
【0063】
本実施形態に係るX線検査装置は、被検査物Wの搬送を停止する必要がないので、前述したような液面揺れが生じることがなく、単位時間当たりの被検査物Wの検査数を多くすることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、上述したようにX線発生器10とX線検出器11とを往復移動させて長い露光時間を確保することでノイズが少なく、かつ鮮明な透過画像を得るため、X線発生器10のX線源の電流や電圧を上げて高出力なX線を照射する必要がなく、X線源の低出力化を図ることができる。さらに、X線源の低出力化を図ることで、X線発生器10の小型化を図ることもできる。
【0065】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、X線発生器10とX線検出器11とが撮像終了位置P2まで移動した後、次に搬送される被検査物Wが撮像開始位置P1に到達する前に撮像開始位置P1に戻るので、順次搬送される被検査物W間の隙間時間を利用してX線発生器10とX線検出器11とを次の被検査物Wの撮像に備えて撮像開始位置P1に戻すことができる。
【0066】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、X線発生器10とX線検出器11とが撮像開始位置P1に戻る移動速度が被検査物Wの搬送速度よりも速いので、順次搬送される被検査物W間の間隔を小さくすることができ、単位時間当たりの検査数を多くすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、X線検出器11がエリアセンサによって構成されているので、被検査物Wの搬送を止めることなく静止画像を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、X線発生器10とX線検出器11とが搬送方向Bと平行な方向に一体で往復移動可能なようにユニット化されているので、X線発生器10とX線検出器11とをズレなく同一速度で移動させることができる。
【0069】
(変形例)
なお、本実施形態においては、本発明に係るX線検査装置を、搬送路3を挟んでX線発生器10とX線検出器11とが被検査物Wの搬送方向と直交する水平方向に対向するように配置された横照射型のX線検査装置に適用した例について説明したが、搬送路3を挟んでX線発生器10とX線検出器11とが上下方向に対向するように配置されたタイプのX線検査装置に適用してもよい。
【0070】
また、本実施形態に係るX線検査装置においては、X線発生器10とX線検出器11とを1組備える構成としたが、X線発生器10とX線検出器11とを2組以上備えた構成であってもよい。この場合、これら2組以上のX線発生器10とX線検出器11とをユニット化して一体で移動可能に構成することが好ましい。
【0071】
また、本実施形態に係るX線検査装置においては、X線発生器10とX線検出器11とをユニット化して一体で往復移動可能に構成したが、これに限らず、X線発生器10とX線検出器11とをそれぞれ独立して往復移動可能に構成してもよい。この場合、制御部25によって、X線発生器10の移動とX線検出器11の移動とを同期させる。
【0072】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0073】
1 X線検査装置
2 コンベア
3 搬送路
10 X線発生器
11 X線検出器
12 表示部
13 設定操作部
14 駆動部
20 制御回路
21 X線画像記憶部
22 画像処理部
23 判定部
25 制御部
30 撮像ユニット
31 移動ブラケット
32 リニアスライダ
33、34 ガイドレール
W、W1、W2 被検査物
P1 撮像開始位置
P2 撮像終了位置
図1
図2
図3
図4