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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145947
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/08 20060101AFI20241004BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20241004BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20241004BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20241004BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20241004BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241004BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20241004BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/18 900
B60W20/00 900
B60L3/00 J
B60L50/61
F02D13/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058571
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 幸秀
【テーマコード(参考)】
3D202
3G092
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB01
3D202BB11
3D202BB16
3D202BB40
3D202CC05
3D202CC24
3D202DD16
3D202DD18
3D202DD44
3G092AA01
3G092AA11
3G092AC02
3G092EA08
3G092FB03
3G092HA01Z
3G092HA04Z
3G092HC09Y
3G092HE08Z
3G092HF08Z
3G092HF26Z
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】例えばエンジンにVVT進角フェイルが発生し最進角状態で固着した場合でも、モータリングによりブレーキ負圧を回復可能な技術を提供すること。
【解決手段】エンジンと、前記エンジンの出力が伝達される発電モータと、を備えるハイブリッド車両において、ブレーキ負圧を制御するハイブリッド車両の制御装置である。制御装置は、VVT進角フェイルが発生しておらず且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数により前記エンジンを回転させる第1のモータリングを実行してブレーキ負圧を目標値まで回復させ、VVT進角フェイルが発生しており且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、前記第1の回転数よりも高い第2の回転数により前記エンジンを回転させる第2のモータリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの出力が伝達される発電モータと、を備えるハイブリッド車両において、ブレーキ負圧を制御する制御装置であって、
VVT進角フェイルが発生しておらず且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数により前記エンジンを回転させる第1のモータリングを実行してブレーキ負圧を目標値まで回復させ、
VVT進角フェイルが発生しており且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、前記第1の回転数よりも高い第2の回転数により前記エンジンを回転させる第2のモータリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる、
ハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記第2のモータリングに必要な電力が確保できない場合には、負圧線に基づくファイアリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる、
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
モータ負圧が前記目標値まで回復した場合には、前記第1のモータリング又は前記第2のモータリングを停止する、
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両においてブレーキ負圧が必要な場合、放電制限量を越えない範囲でモータリングを実施してブレーキ負圧を回復する。また、モータリングによってブレーキ負圧回復のために必要な電力が放電制限量を越える場合には、高回転-低トルクでのファイアリングを実行してブレーキ負圧を回復する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-87337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばエンジンにVVT(Variable Valve Timing)進角フェイルが発生し最進角状態で固着した場合、上記従来の技術でのモータリングではブレーキ負圧を回復できないことがある。
【0005】
本発明の目的は、例えばエンジンにVVT進角フェイルが発生した場合であっても、モータリングによりブレーキ負圧を回復可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、エンジンと、前記エンジンの出力が伝達される発電モータと、を備えるハイブリッド車両において、ブレーキ負圧を制御する。前記制御装置は、VVT進角フェイルが発生しておらず且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数により前記エンジンを回転させる第1のモータリングを実行してブレーキ負圧を目標値まで回復させる。前記制御装置は、VVT進角フェイルが発生しており且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、前記第1の回転数よりも高い第2の回転数により前記エンジンを回転させる第2のモータリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる。
【0007】
この構成によれば、VVT進角フェイルが発生し通常の回転数のモータリングではブレーキ負圧の回復が困難な場合であっても、より高い回転数でのモータリングを実施して、ブレーキ負圧を回復することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えばエンジンにVVT進角フェイルが発生した場合であっても、モータリングによりブレーキ負圧を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ハイブリッド車両の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、ECUによって実現されるハイブリッド車両の制御装置が有する機能の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るブレーキ負圧制御機能を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係るブレーキ負圧制御機能を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係るブレーキ負圧制御処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明のハイブリッド車両の制御装置の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態のハイブリッド車両1の要部構成の一例を示す図である。ハイブリッド車両1は、シリーズ方式のハイブリッドシステム10を搭載している。ハイブリッドシステム10は、エンジン11と、発電モータ(MG1)12と、駆動モータ(MG2)13と、バッテリ14と、PCU(Power Control Unit:パワーコントロールユニット)15と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)装置31とを備える。
【0012】
エンジン11は、例えば、ガソリンエンジンである。
【0013】
発電モータ12は、例えば、永久磁石同期モータである。発電モータ12の回転軸は、エンジン11のクランクシャフトと非図示のギヤを介して機械的に連結されている。例えば、エンジン11のクランクシャフトにエンジン11の出力ギヤが相対回転不能に支持され、発電モータ12の回転軸にエンジン11の出力ギヤが相対回転不能に支持されて、エンジン11の出力ギヤとモータギヤとが噛合している。
【0014】
駆動モータ13は、例えば、発電モータ12よりも大型の永久磁石同期モータである。駆動モータ13の回転軸は、ハイブリッド車両1の駆動系16に連結されている。駆動系16には、デファレンシャルギヤが含まれており、駆動モータ13の動力は、デファレンシャルギヤに伝達されて、デファレンシャルギヤから左右の前輪または後輪からなる駆動輪17に分配されて伝達される。これにより、左右の駆動輪17が回転し、ハイブリッド車両1が前進または後進する。
【0015】
バッテリ14は、複数の二次電池を組み合わせた組電池である。二次電池は、例えば、リチウムイオン電池である。バッテリ14は、例えば、約200~350Vの直流電力を出力する。
【0016】
PCU15は、発電モータ12および駆動モータ13の駆動を制御するためのユニットである。また、PCU15は、バッテリ14の、電流、電圧、温度、電池残量、放電制限量Wout等のデータを管理する。PCU15は、第1インバータ21と、第2インバータ22と、コンバータ23とを備えている。
【0017】
エンジン11の始動時には、バッテリ14から出力される直流電力がコンバータ23により昇圧されて、昇圧された直流電力が第1インバータ21で交流電力に変換され、交流電力が発電モータ12に供給される。これにより、発電モータ12が力行運転されて、エンジン11が発電モータ12によりモータリング(クランキング)される。モータリングによりエンジン11のクランクシャフトの回転数が始動に必要な回転数まで上昇した状態で、エンジン11の点火プラグがスパークされると、エンジン11が始動する。
【0018】
ハイブリッド車両1の走行時には、駆動モータ13が力行運転されて、駆動モータ13が動力を発生する。
【0019】
駆動モータ13に要求される出力がバッテリ14の出力より小さいときには、ハイブリッド車両1がEV走行する。即ち、エンジン11が停止されて、発電モータ12による発電が行われず、バッテリ14から駆動モータ13に電力が供給されて、その電力で駆動モータ13が駆動される。
【0020】
また、バッテリ14の残容量が所定以下に低下すると、駆動モータ13の駆動/停止に関わらず、エンジン11が稼動している状態で、発電モータ12が発電運転される。このとき、発電モータ12からの交流電力が第1インバータ21で直流電力に変換され、第1インバータ21から出力される直流電力がコンバータ23で降圧されて、降圧後の直流電力がバッテリ14に供給されることにより、バッテリ14が充電される。
【0021】
ハイブリッド車両1の減速時には、駆動モータ13が回生運転されて、駆動輪17から駆動モータ13に伝達される動力が交流電力に変換される。このとき、駆動モータ13が走行駆動系の抵抗となり、その抵抗がハイブリッド車両1を制動する制動力(回生制動力)として作用する。このとき、PCU15では、駆動モータ13から第2インバータ22に供給される交流電力が第2インバータ22で直流電力に変換され、第2インバータ22から出力される直流電力がコンバータ23で降圧される。そして、降圧後の直流電力がバッテリ14に供給されることにより、バッテリ14が充電される。
【0022】
ECU装置31は、ECU311、ECU312を含む複数のECUを備える。各ECUは、少なくとも一つのマイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。ECU装置31は、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。ECU装置31には、制御に必要な各種センサが接続されており、その接続されたセンサの検出信号が入力される。なお、ECU装置31は、ハイブリッド車両の制御装置の一例である。
【0023】
また、図1に示したECU装置31は、ハイブリッドシステム10の制御を司るECU、エンジン11の始動に関する制御を司るにEFI(Electronic Fuel Injection)-ECUを含む。ECU装置31が含む各ECUは、CAN(等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されて構成されている。
【0024】
また、ECU311には、アクセルセンサ32と、ブレーキ負圧センサ40とが接続されている。アクセルセンサ32は、ドライバ(運転者)により足踏み操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。ブレーキ負圧センサ40は、ブレーキ負圧の値を検出して出力する。
【0025】
また、ECU311は、CANデータに基づいて車速、車輪速を計算する。例えば、ECU311は、CANデータに含まれる車速センサの検出信号から、その検出信号(パルス信号)の周波数を求め車速を計算する。
【0026】
ECU312には、吸気温センサ42、吸気量センサ44及び水温センサ46が接続されている。吸気温センサ42は、エンジン11の吸気温を検出し、検出された吸気温に応じた検出信号を出力する。吸気量センサ44は、エンジン11の吸気量を検出し、検出された吸気量に応じた検出信号を出力する。水温センサ46は、エンジン11の冷却水温を検出し、検出された冷却水温(以下、水温ともいう)に応じた検出信号を出力する。
【0027】
図2は、ECU装置31によって実現されるハイブリッド車両の制御装置が有する機能の一例を示す図である。図2に示すように、ECU装置31は、取得部210、判定部220、モータ制御部230、エンジン制御部240を有する。
【0028】
なお、図2の例では、本実施形態の要部の説明に必要な機能のみを例示しているが、ECU31が有する機能はこれらに限られるものではない。また、図2に例示する機能の一部または全部が専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路)で実現される形態であってもよい。
【0029】
取得部210は、ブレーキ負圧センサ40が検出したブレーキ負圧を取得する。取得部210は、VVT進角フェイルが発生した場合、EFI-ECUからVVT進角フェイルを知らせる信号を受信する。取得部210は、PCU15からバッテリ14の放電制限量Woutを取得する。
【0030】
判定部220は、取得部210が取得したブレーキ負圧を監視し、ブレーキ負圧回復の要否を判定する。判定部220は、取得部210によるVVT進角フェイルを知らせる信号の受信の有無に基づいて、VVT進角フェイルの発生有無を判定する。
【0031】
判定部220は、取得部210が取得した放電制限量Woutに基づいて最大放電可能量(モータリング実施可能閾値VT)を算出する。判定部220は、ブレーキ負圧を目標値まで回復させるためにモータリングにおいて必要な電力(必要電力P)を算出する。判定部220は、モータリング実施可能閾値VTと必要電力Pとに基づいて、モータリングによるブレーキ負圧の回復の可否を判定する。
【0032】
モータ制御部230は、発電モータ12の駆動を制御する。例えば、モータ制御部230は、判定部220の判定の結果、VVT進角フェイルが発生しておらず且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数によりエンジン11を回転させる第1のモータリングを実行してブレーキ負圧を基準値まで回復させる。
【0033】
また、モータ制御部230は、判定部220の判定の結果、VVT進角フェイルが発生しており且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数よりも高い第2の回転数によりエンジン11を回転させる第2のモータリングを実行してブレーキ負圧を基準値まで回復させる。
【0034】
また、モータ制御部230は、ブレーキ負圧が目標値まで回復した場合には、第1のモータリング又は第2のモータリングを停止する。
【0035】
エンジン制御部240は、エンジン11の駆動を制御する。例えば、エンジン制御部240は、第2のモータリングに必要な電力が確保できない場合には、負圧線に基づくファイアリングを実行してブレーキ負圧を基準値まで回復させる。
【0036】
(ブレーキ負圧制御機能)
次に、ECU31によって実現される、実施形態に係るブレーキ負圧制御機能について説明する。当該機能は、VVT進角フェイル発生時においてブレーキ負圧の回復が必要である場合には、モータリングによるブレーキ負圧回復において、通常用いられるモータリングの回転数(第1の回転数)よりも高いモータリングの回転数(第2の回転数)を新たに設定するものである。
【0037】
なお、第1の回転数に従うモータリングは第1のモータリングの一例であり、第2の回転数に従うモータリングは第2のモータリングの一例である。
【0038】
図3図4は、実施形態に係るブレーキ負圧制御機能を説明するための図である。
【0039】
まず、VVT進角フェイルが発生していない場合のブレーキ負圧制御機能について説明する。VVT進角フェイルが発生していない場合において、図3の左列上段に示した様に、モータリング実施可能閾値VTが放電制限量Woutを越えない場合には、モータリング実施可能閾値VTに従って、例えば図3の左列中段の破線で示したタイミングでモータリング(すなわち、第1のモータリング)が開始される。
【0040】
モータリング開始以後、図3の左列中段のグラフで示した様に、エンジン回転数は上昇する。モータリングによる回転数の上昇に連動して、図3の左列下段のグラフ(実線)で示した様に、ブレーキ負圧は回復する。
【0041】
なお、仮に、VVT進角フェイルが発生した場合において、モータリング実施可能閾値VTを図3の左列上段に示した値のままで同様のモータリング(第1のモータリング)を実行した場合、ブレーキ負圧は図3の左列下段のグラフ(破線)で示した様になり回復しない場合がある。
【0042】
次に、VVT進角フェイルが発生した場合のブレーキ負圧制御機能について説明する。VVT進角フェイル発生時においてブレーキ負圧の回復が必要である場合には、図3の右列上段に示した様に、モータリング実施可能閾値VTが放電制限量Woutを越えない範囲で、モータリング実施可能閾値VTを引き上げて設定する。引き上げ後の新たなモータリング実施可能閾値VTは、ブレーキ負圧の現在の値を目標値にするモータリングに必要な必要電力Pを算出し、当該必要電力Pを基準として決定することができる。
【0043】
例えば図3の右列中段の破線で示したタイミングで、新たなモータリング実施可能閾値VTに従うモータリング(すなわち、第2のモータリング)が開始されると、引き上げ後の新たなモータリング実施可能閾値VTに従ってエンジン回転数は上昇する。モータリングによる回転数の上昇に連動して、図3の左右下段のグラフ(実線)で示した様に、ブレーキ負圧は回復する。
【0044】
一方、図4上段に示した様に、必要電力Pに基づいて決定された新たなモータリング実施可能閾値VTが、放電制限量Woutを越える場合がある。係る場合には、モータリングの替わりにファイアリングを実行し、図4の中段に示した様にエンジン回転を上昇させ、図4の下段に示した様にブレーキ負圧を回復させる。
【0045】
図5は、実施形態に係るブレーキ負圧制御処理の流れを示したフローチャートである。図4に示した様に、判定部220は、VVT進角フェイルが発生したか否かを判定する(ステップS1)。VVT進角フェイルが発生していないと判定した場合には(ステップS1のNo)、判定部220は、VVT進角フェイル発生の有無の監視を継続して実行する。
【0046】
一方、VVT進角フェイルが発生したと判定した場合には(ステップS1のYes)、判定部220は、例えばブレーキ負圧と基準値との大小関係に基づいて、ブレーキ負圧の確保(回復)が必要であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0047】
ブレーキ負圧の確保が必要でないと判定した場合には(ステップS2のNo)、判定部220は、VVT進角フェイル発生の有無の監視を継続して実行する。
【0048】
一方、ブレーキ負圧の確保が必要であると判定した場合には(ステップS2のYes)、判定部220は、現在のブレーキ負圧を目標値にするモータリングに必要な必要電力P(パワー)を算出する(ステップS3)。
【0049】
判定部220は、放電制限量Woutに基づいて最大放電可能量(モータリング実施可能閾値VT)を算出する(ステップS4)。
【0050】
判定部220は、必要電力Pとモータリング実施可能閾値VTとの大小関係に基づいて、モータリングによるブレーキ負圧確保が可能であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0051】
モータリングによるブレーキ負圧確保が可能であると判定した場合(ステップS5のYes)、判定部220は、モータリングにより必要電力Pを実現するエンジン11の目標回転数/トルクを算出する(ステップS6)。
【0052】
判定部220は、算出したエンジン11の目標回転数を実現するMG1目標トルクを算出する(ステップS7)。
【0053】
判定部220は、算出したMG1目標トルクをモータ制御部230へ出力する(ステップS8)。モータ制御部230は、MG1目標トルクに従ってモータを制御する。その結果、エンジン11の回転数が上昇し、これに連動してブレーキ負圧が回復する。
【0054】
また、モータリングによるブレーキ負圧確保が不可能であると判定した場合(ステップS5のNo)、判定部220は、ファイアリングにより必要電力Pを実現するエンジン11の目標回転数/トルクを算出する(ステップS9)。
【0055】
判定部220は、算出したエンジン11の目標トルクをエンジン制御部240へ出力する(ステップS10)。エンジン制御部240は、目標トルクに従ってエンジン11を制御する。その結果、エンジン11の回転数が上昇し、これに連動してブレーキ負圧が回復する。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置31は、エンジン11と、エンジン11の出力が伝達される発電モータ12と、を備えるハイブリッド車両において、ブレーキ負圧を制御する。ハイブリッド車両の制御装置31は、VVT進角フェイルが発生しておらず且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数によりエンジンを回転させる第1のモータリングを実行してブレーキ負圧を目標値まで回復させる。VVT進角フェイルが発生しており且つブレーキ負圧の回復が必要な場合には、第1の回転数よりも高い第2の回転数によりエンジンを回転させる第2のモータリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる。
【0057】
この構成によれば、VVT進角フェイルが発生し、例えばVVTが最進状態で固着し通常の回転数のモータリングではブレーキ負圧の回復が困難な場合であっても、より高い回転数でのモータリングを実施して、ブレーキ負圧を回復することができる。その結果、従来に比して安全性の高いハイブリッド車両の制御を実現することができる。
【0058】
また、第2のモータリングに必要な電力が確保できない場合には、負圧線に基づくファイアリングを実行してブレーキ負圧を前記目標値まで回復させる。
【0059】
この構成によれば、第2のモータリングに必要な電力が確保できない場合であっても、ファイアリングによって確実にブレーキ負圧を目標値まで回復させることができる。その結果、従来に比して安全性の高いハイブリッド車両の制御を実現することができる。
【0060】
また、モータ負圧が目標値まで回復した場合には、第1のモータリング又は第2のモータリングを停止する。
【0061】
この構成によれば、ハイブリッド車両の安全性を確保しつつ、不要な電力消費を抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 ハイブリッド車両
10 ハイブリッドシステム
11 エンジン
12 発電モータ(MG1)
13 駆動モータ(MG2)
14 バッテリ
15 PCU
16 駆動系
17 駆動輪
21 第1インバータ
22 第2インバータ
23 コンバータ
31 ECU装置(ハイブリッド車両の制御装置)
210 取得部
220 判定部
230 モータ制御部
240 エンジン制御部
311、312 ECU
図1
図2
図3
図4
図5