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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145949
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】破砕設備
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/00 20060101AFI20241004BHJP
   B02C 13/02 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
B02C23/00 Z
B02C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058573
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 規史
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D065AA04
4D065BB20
4D067EE45
4D067GA18
(57)【要約】
【課題】 破砕機の破砕室における状態を監視するカメラのレンズ破損を抑止できる破砕設備を提供する。
【解決手段】 被破砕物を破砕するための破砕室と、破砕室に投入された被破砕物を破砕する破砕部材と、破砕室の入口部分における被破砕物の状態を撮像する監視用赤外線カメラと、破砕室と監視用赤外線カメラとの間に設けられ、監視用赤外線カメラの撮像軸を屈曲させる反射部と、を備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物を破砕するための破砕室と、
前記破砕室に投入された前記被破砕物を破砕する破砕部材と、
前記破砕室の入口部分における前記被破砕物の状態を撮像する監視用赤外線カメラと、
前記破砕室と前記監視用赤外線カメラとの間に設けられ、前記監視用赤外線カメラの撮像軸を屈曲させる反射部と、を備えている、破砕設備。
【請求項2】
前記反射部は、前記撮像軸を複数回屈曲させるように複数の反射材が備えられている、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項3】
前記反射部は、前記被破砕物の破片の衝突力で破損する反射材である、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項4】
前記反射部は、複数枚の反射材を備えており、
前記複数枚の前記反射材は、各反射材を前記撮像軸上に配置替え可能な切替え部に備えられている、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項5】
前記反射部は、反射材と、前記反射材の背面に備えられ該反射材への衝撃で変形可能な弾性部材と、を有する、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項6】
前記反射部は、反射材と、前記被破砕物の破片の衝突力で前記反射材の配置角度を一時的に変化させる弾性部材と、を有する、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項7】
前記監視用赤外線カメラの出力信号を画像データに変換する制御装置をさらに備えている、請求項1に記載の破砕設備。
【請求項8】
前記監視用赤外線カメラは、遠赤外線カメラである、請求項7に記載の破砕設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、粗大ごみなどの被破砕物を破砕する破砕機を備えた破砕設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々雑多な粗大ごみなどは、破砕機によって破砕され必要部品などはリサイクルされている。破砕機で破砕される被破砕物は、種々雑多な粗大ごみなどが含まれるため、破砕機の破砕室における被破砕物の状態を監視する場合がある。破砕室における被破砕物の状態を監視する手段として、一般的に工業用カメラ等を使用した監視が行われている。被破砕物の状態の監視は、特に被破砕物が破砕室内に入り過ぎていないかの監視や、破砕困難物などが混入していないかの監視が行われる。例えば、破砕困難物の混入は、気付かないまま運転を継続することで設備に不測の停止を招くおそれがあり、破砕室内の監視は非常に重要である。
【0003】
この種の先行文献として、トンネルを掘削する際に発生する掘削物を含む破砕物を積込機で運搬し、移動式破砕機に投入して破砕する装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、移動式破砕機の破砕室内を上方から監視カメラで撮像し、破砕状況を監視している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-31842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献のように、監視カメラを使用して破砕室における被破砕物の状態を上方から撮像した場合、被破砕物の破片が監視カメラに向かって飛散してレンズを破損する場合がある。監視カメラのレンズが破損した場合、破砕設備を停止して監視カメラのレンズを交換する必要が生じて破砕設備の稼働率を低下させる。しかも、監視カメラのレンズ交換に要する費用が発生する。
【0006】
そこで、本出願は、破砕機の破砕室における状態を監視するカメラのレンズ破損を抑止できる破砕設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一態様に係る破砕設備は、被破砕物を破砕するための破砕室と、前記破砕室に投入された前記被破砕物を破砕する破砕部材と、前記破砕室の入口部分における前記被破砕物の状態を撮像する監視用赤外線カメラと、前記破砕室と前記監視用赤外線カメラとの間に設けられ、前記監視用赤外線カメラの撮像軸を屈曲させる反射部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本出願によれば、破砕機の破砕室内における状態を監視するカメラのレンズ破損を適切に抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本出願の一実施形態に係る破砕設備を模式的に示す側面視の断面図である。
図2図2は、図1に示す監視装置における遠赤外線カメラと第1反射部の部分を示す側面視の拡大断面図である。
図3図3は、図1に示す遠赤外線カメラで破砕室の入口部分を撮像して被破砕物の状態を監視する制御装置のブロック図である。
図4図4は、図3に示すモニタに映し出された被破砕物の状態を示す中間調画像の写真である。
図5図5は、図2に示す第1反射部とは異なる例の第2反射部を示す側面視の断面図である。
図6図6は、図5に示す第2反射部の破片衝突時の状態を示す断面図である。
図7図7は、図2に示す第1反射部とは異なる例の第3反射部を示す側面視の断面図である。
図8図8は、図7に示す第3反射部の破片衝突時の状態を示す断面図である。
図9図9は、図2に示す第1反射部とは異なる例の第4反射部を示す側面視の断面図である。
図10図10は、図9に示す第4反射部の破片衝突時の状態を示す断面図である。
図11図11は、図2に示す第1反射部とは異なる例の第5反射部を示す側面視の断面図である。
図12図12は、図2に示す第1反射部とは異なる例の第6反射部を示す側面視の断面図である。
図13図13は、図12に示す第6反射部の支持軸の部分を示す平面図である。
図14図14は、図12に示す第6反射部の動きを示す側面図である。
図15図15は、図12に示す第6反射部の破片衝突時の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本出願の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、破砕設備1の一例として衝撃式の破砕機10を備えた設備を例に説明する。また、監視用赤外線カメラは、赤外線波長帯のカメラを採用可能であり、以下の実施形態では、好適な遠赤外線カメラ51を例に説明する。遠赤外線カメラ51は、反射部に好適な金属の部材を採用できる。この明細書および特許請求の範囲の書類中における上流方向、下流方向の概念は、図1に示すように、被破砕物Wの供給方向を上流方向、破砕室11の方向を下流方向とする概念と一致するものとする。この明細書および特許請求の範囲の書類中における「撮像軸L」は、監視用赤外線カメラの撮像範囲の中心軸をいう。
【0011】
<破砕設備の構成>
図1は、一実施形態に係る破砕設備1を模式的に示す側面視の断面図である。図2は、図1に示す監視装置50における遠赤外線カメラ51と第1反射部60の部分を示す側面視の拡大断面図である。図1に示すように、この実施形態の破砕設備1は、破砕機10と、破砕機10の破砕室11に被破砕物Wを供給するフィーダ30を有する。破砕機10は、被破砕物Wを破砕室11に設けられた破砕部材12を回転させて破砕する。被破砕物Wは、所定の大きさまで破砕されると破砕室11から下方へ排出される。フィーダ30は、破砕室11の入口部分15に設けられた破砕機カバー20の内部に設けられている。フィーダ30は、被破砕物Wを2つの回転式供給装置31で破砕室11へ供給しており、被破砕物Wの供給量を調節する。被破砕物Wは、破砕機10の上流方向に設けられた供給コンベア35から入口部分15に投入され、フィーダ30で破砕室11に供給される。
【0012】
また、破砕設備1は、破砕機10の動作制御、供給コンベア35の動作制御、フィーダ30の動作制御などを行う制御装置41を有する制御室40が備えられている。制御装置41は、破砕機10および供給コンベア35と配線42で電気的に接続されている。
【0013】
そして、破砕室11の入口部分15は、監視装置50によって監視されている。監視装置50は、破砕機カバー20の上部に設けられた監視用赤外線カメラである遠赤外線カメラ51と、遠赤外線カメラ51の出力信号を画像データに変換する制御装置41とを有している。遠赤外線カメラ51は、制御室40に設けられた制御装置41と配線42で電気的に接続されている。この実施形態の制御装置41は、監視装置50としての機能の他、破砕機10などの動作制御も行う。制御装置41は、モニタ43と接続されている。破砕機10の運転状態、遠赤外線カメラ51による監視状態は、作業者がモニタ43で確認できる。
【0014】
この実施形態の破砕機カバー20は、入口部分15では所定の角度θ1で供給コンベア35の方向へ斜め上向きで延びる第1上面21が形成され、所定位置から大きな角度θ2で立ち上がる第2上面22が形成されている。第2上面22は、所定の高さまで立ち上がり、上端が水平の第3上面23に接続されている。第3上面23は、供給コンベア35のカバー36に接続されている。破砕機カバー20は、両側面24にもカバーを有し、閉鎖構造となっている。遠赤外線カメラ51は、水平の第3上面23の、第2上面22に近い位置に設けられた開口部25の上方に設けられている。破砕機カバー20は、第1上面21と第3上面23との間に大きな角度θ2の第2上面22を設けることで、第1上面21と第2上面22との接続部分を内方へ張り出させている。この張り出し部により、破砕室11やフィーダ30から開口部25に向けて被破砕物Wの破片Vが飛散し難い構造としている。また、開口部25には、大きな破片Vが入るのを防ぐ金属網26が設けられている。金属網26は、例えばパンチングメタルなども含む。
【0015】
図2に示すように、遠赤外線カメラ51は、保護装置52に内蔵され、保護装置52は、筐体55の内部に固定されている。遠赤外線カメラ51は、公知の製品を使用できる。保護装置52は、遠赤外線カメラ51を中心部分に内蔵し、配線42を接続するコネクタ53が後端に設けられている。保護装置52の前端は、遠赤外線カメラ51からの遠赤外線を透過するガラス54が備えられている。ガラス54は、ゲルマニウムガラスが用いられている。
【0016】
また、筐体55の内部には、遠赤外線カメラ51の撮像軸Lを屈曲させる第1反射部60が設けられている。この実施形態の第1反射部60は、撮像軸Lを90°屈曲させる例である。第1反射部60は、遠赤外線カメラ51の撮像軸Lを所定角度で屈曲させればよく、屈曲角度は90°に限定されない。第1反射部60は、遠赤外線を反射するアルミニウム板などを用いることができる。第1反射部60は、遠赤外線カメラ51を用いることで反射板に好適な金属板を採用することができる。第1反射部60は、金属であるため、砕け散ることはない。遠赤外線カメラ51は、第1反射部60によって撮像軸Lが屈曲させられるため、第1反射部60を介して破砕室11の入口部分15を撮像する。
【0017】
遠赤外線カメラ51は、所定の視野角αで広がる撮像範囲を有しており、フィーダ30を含む所定範囲を撮像するように設定されている。遠赤外線カメラ51の撮像軸Lは、第1反射部60で屈曲させられて入口部分15のフィーダ30による被破砕物Wの供給状態を監視するように設定されている。遠赤外線カメラ51は、例えば、撮像軸Lを挟んだ視野角αが5°乃至10°の範囲のものを利用できる。遠赤外線カメラ51の位置は、例えば入口部分15における撮像範囲が2m×3m程度となる位置とすることができる。遠赤外線カメラ51の位置、視野角αは、破砕機10の大きさなどに応じて決めればよく、この例に限定されない。
【0018】
図3は、図1に示す遠赤外線カメラ51で破砕室11の入口部分15を撮像して被破砕物Wの状態を監視する制御装置41のブロック図である。図4は、図3に示すモニタ43に映し出された被破砕物Wの状態を示す中間調画像の写真である。図3に示すように、遠赤外線カメラ51の出力信号は制御装置41の画像入力部45に入力され、その信号は画像処理部46で温度差から入口部分15の内部における画像データに変換される。制御装置41は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等を有しており、画像処理部46は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。画像処理部46で変換された画像データは、画像出力部47からモニタ43に出力され、作業者が入口部分15の状態を認識することができる。
【0019】
図4は、モニタ43に示された画像の一例であり、遠赤外線カメラ51の出力信号を画像処理部46で処理した画像データの一例である。この画像データは、熱による出力信号の差に基づいて画像処理部で変換処理したものである。モニタ43には、破砕室11の入口部分15における被破砕物Wの状態、フィーダ30などが濃淡で示されている。作業者は、この画像から入口部分15における被破砕物Wの状態を監視することができる。
【0020】
また、上記監視装置50によれば、破砕室11で破砕した被破砕物Wから粉じんが発生したとしても、遠赤外線カメラ51は細かい粉じんの熱を検知しにくい。これにより、破砕時に発生する粉じんによって画像データが見にくくなることを抑えることができる。しかも、被破砕物Wの破砕時に水蒸気が発生した場合や、粉じん対策のために散水して水蒸気が発生した場合でも、遠赤外線カメラ51は細かい水蒸気の熱を検知しにくい。これにより、水蒸気によって画像データが見にくくなることも抑えることができる。
【0021】
すなわち、破砕機10は、破砕室11において多くの被破砕物Wを破砕処理している最も監視したいタイミングが、粉じんの発生や水蒸気の発生によって従来の監視カメラでは最も監視しづらい状況となりやすい。しかし、上記監視装置50によれば、遠赤外線カメラ51によって破砕室11の入口部分15における被破砕物Wの状態を撮像しているため、入口部分15において熱の変化がある被破砕物Wや回転式供給装置31の供給状態を適切に撮像することができる。すなわち、粉じんや水蒸気などは信号に含まれにくくできる。このように、上記破砕設備1によれば、多くの被破砕物Wを破砕処理している、最も監視したいタイミングを適切に監視することができる。よって、上記破砕設備1によれば、破砕室11の入口部分15を適切に監視して、安定的な運転が可能となる。
【0022】
しかも、遠赤外線カメラ51は、反射部60で撮像軸Lを屈曲させているので、被破砕物Wの破片Vなどが飛散したとしても、破片Vは反射部60に衝突して遠赤外線カメラ51のレンズを直撃して破損させることを抑止できる。また、遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54などの破損を抑止でき、ガラス破損による設備費用の増加を抑えることができる。
【0023】
なお、監視カメラのレンズ保護のために、強化ガラスなどを監視カメラと破砕室の間に設置することも考えられる。しかし、可視光以外の波長を使った、例えば遠赤外線カメラ51を使用する場合、一般的な透過ガラスでは遠赤外線を透過することができないため、強化機能を付与できない特殊なガラスを使用する必要がある。このような場合はガラス自体も高額なうえ、ガラスは飛散物によって容易に割れてしまい、最終的に遠赤外線カメラ51のレンズも破損に至る可能性がある。しかし、上記破砕設備1によれば、反射部60により破片Vが遠赤外線カメラ51の方向に飛散することを抑えるので、カメラのレンズ破損を抑止できる。
【0024】
<第2反射部の説明>
図5は、図2に示す第1反射部60とは異なる例の第2反射部70を示す側面視の断面図である。図6は、図5に示す第2反射部70の破片衝突時の状態を示す断面図である。図5に示すように、第2反射部70は、被破砕物Wの破片Vの衝突力で破損する反射材71となっている。反射材71は、アルミニウム箔、薄いアルミニウム板などを利用できる。反射材71は、アルミニウム箔や薄いアルミニウム板を利用することで、破片Vが衝突した場合、アルミニウム箔の場合は破片Vが貫通し、アルミニウム板の場合は部分的に変形して衝撃を吸収する。反射材71は、砕け散ることはない。
【0025】
図6に示すように、第2反射部70は、破砕室11から反射材71に向かって被破砕物Wの破片Vが飛散したとしても、破片Vの衝突力で反射材71が破損して衝撃を吸収し破片Vが遠赤外線カメラ51の方向に飛散することを抑えることができる。よって、第2反射部70は、遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54の破損抑止と、遠赤外線カメラ51のレンズ破損を抑止できる。
【0026】
<第3反射部の説明>
図7は、図2に示す第1反射部60とは異なる例の第3反射部80を示す側面視の断面図である。図8は、図7に示す第3反射部80の破片衝突時の状態を示す断面図である。図7に示すように、第3反射部80は、反射材81と、この反射材81の背面に備えられた弾性部材82と、を有している。反射材81は、アルミニウム板などを利用できる。弾性部材82は、反射材81へ破片Vが衝突したときに変形可能なゴム材などの弾性を有する部材を利用できる。反射材81は、アルミニウム板と弾性部材を組み合わせることで、破片Vが衝突した場合、アルミニウム板は表面に傷が付く程度で弾性部材の変形によって衝撃を吸収する。反射材81は、砕け散ることはない。
【0027】
図8に示すように、第3反射部80は、被破砕物Wの破片Vが反射材81に向かって飛散したとしても、反射材81に衝突したときに背面の弾性部材82が変形して運動エネルギを減衰させ、破片Vが遠赤外線カメラ51の方向に反射することを抑えることができる。また衝突した際に、弾性部材によって反射材の角度が変わり、遠赤外線カメラ51の方向に反射することを妨げることができる。よって、第3反射部80は、遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54の破損抑止と、遠赤外線カメラ51のレンズ破損を抑止できる。
【0028】
<第4反射部の説明>
図9は、図2に示す第1反射部60とは異なる例の第4反射部90を示す側面視の断面図である。図10は、図9に示す第4反射部90の破片衝突時の状態を示す断面図である。図9に示すように、第4反射部90は、複数枚の反射材91、92、93を備え、複数枚の反射材91、92、93を撮像軸L上に配置可能な切替え部94を有している。第4反射部90は、3枚の反射材91、92、93が側面視で正三角形となるように備えられており、3枚の反射材91、92、93の中心部分が切替え部94となっている。切替え部94は、中心部の支持軸95をモータまたは手動で回転させる構成とし、第4反射部90を120°の間隔で回転させる。また、3枚の反射材91、92、93は、切替え部94との間に弾性部材96を備えていてもよい。弾性部材96は、反射材91、92、93へ破片Vが衝突したときに変形可能なゴム材などの弾性を有する部材を利用できる。第4反射部90は、反射材91、92、93に被破砕物Wの破片Vが衝突したときに弾性部材96が変形して運動エネルギを減衰させたり、反射角を変えることで、破片Vが遠赤外線カメラ51の方向に反射することを抑えることができる。
【0029】
図10に示すように、第4反射部90は、破砕室11から飛散した被破砕物Wの破片Vで1つの反射材91が破損したとしても、切替え部94で他の反射材92または93を撮像軸L上に配置することができる。このように、第4反射部90によれば、1つの反射材91が破損したとしても、他の反射材92、93と容易に交換することができ、破砕設備1の稼働率低下などを防止できる。また、第4反射部90は、遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54の破損抑止と、遠赤外線カメラ51のレンズ破損を抑止できる。
【0030】
<第5反射部の説明>
図11は、図2に示す第1反射部60とは異なる例の第5反射部100を示す側面視の断面図である。第5反射部100は、撮像軸Lを複数回屈曲させるように複数の反射材101、102が備えられた例である。第5反射部100は、撮像軸Lを第1反射材101で90°屈曲させ、第2反射材102でさらに90°屈曲させている。屈曲角度は一例である。
【0031】
第5反射部100は、第1反射材101に向かって飛散した被破砕物Wの破片Vが第1反射材101で反射して第2反射材102の方向に飛んだとしても、第2反射材102から遠赤外線カメラ51に向かって反射することを抑えることができる。すなわち、第1反射材101で反射した破片Vは、運動エネルギが減衰させられた状態で第2反射材102に向かって飛ぶため、第2反射材102で反射しても遠赤外線カメラ51まで飛ぶことを抑えることができる。よって、第5反射部100は、遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54の破損抑止と、遠赤外線カメラ51のレンズ破損を抑止できる。なお、複数の反射材は、3以上備えられてもよい。
【0032】
<第6反射部の説明>
図12は、図2に示す第1反射部60とは異なる例の第6反射部110を示す側面視の断面図である。図13は、図12に示す第6反射部110の支持軸114の部分を示す平面図である。図14は、図12に示す第6反射部110の動きを示す側面図である。図15は、図12に示す第6反射部110の破片衝突時の状態を示す断面図である。図12、13に示すように、第6反射部110は、反射材111が背面の支持部112に支持されている。反射材111は、アルミニウム板などを利用できる。支持部112は、背面にブラケット113を有し、ブラケット113は筐体55に回転不能に支持された支持軸114に支持されている。ブラケット113と支持軸114との間は、弾性部材115が設けられている。弾性部材115は、この実施形態ではゴム材が用いられており、ブラケット113と支持軸114とに固定されている。第6反射部110は、弾性部材115を介して支持軸114によって筐体55に支持されている。なお、弾性部材115は、バネ材などでもよく、ゴム材に限定されない。
【0033】
図14に示すように、第6反射部110は、反射材111が弾性部材115を介して支持軸114で支持されている。このため、反射材111に被破砕物Wの破片Vが飛散して衝突した場合、その破片Vの衝突力により弾性部材115の弾性力によって反射材111の配置角度を支持軸114の軸心Cを中心に変化させる。例えば、反射材111は中央部分がブラケット113で支持されているため、下方に破片が衝突した場合は下向きに角度を変化させ、上方に破片が衝突した場合は上向きに角度を変化させる。弾性部材115は、ブラケット113と支持軸114に固定されているため、反射材111の配置角度を一時的に変化させた後、自らの弾性力で反射材111を元の角度に戻す。このように第6反射部110は、反射材111に被破砕物Wの破片Vが方向F1で飛散して衝突したときに、その衝突力で反射材111の角度を一時的に変化させて破片Vの反射角を方向F2に変えることで、破片Vが遠赤外線カメラ51の方向F3に反射することを抑えることができる。
【0034】
図15に示すように、第6反射部110は、破砕室11から飛散した被破砕物Wの破片Vが方向F1から反射材111に衝突した場合、その衝突力で反射材111の角度が変化し、破片Vが反射する角度を変化させて方向F2にすることができる。反射材111は、一時的に角度が変化するが、弾性部材115の弾性力によって元の角度に戻る。このように、第6反射部110によれば、被破砕物Wの破片Vが飛散しても、反射材111によって遠赤外線カメラ51の前方に備えられるゲルマニウムガラス54の破損抑止と、遠赤外線カメラ51のレンズ破損を抑止できる。
【0035】
<その他の実施形態>
上記した実施形態の反射部60、70、80、90、100、110は、撮像軸Lを90度で屈曲させる例を説明したが、撮像軸Lの屈曲角度は一例で120°などでもよく、上記した実施形態に限定されない。また、各反射部60、70、80、90、100、110は、それぞれの構成を組み合わせることも可能である。
【0036】
また、上記した実施形態の破砕設備1は一例を示しており、破砕機10は他の形式であっても実施可能であり、本出願の要旨を損なわない範囲で種々の構成を変更してもよく、本出願は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0037】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
[項目1]
被破砕物を破砕するための破砕室と、前記破砕室に投入された前記被破砕物を破砕する破砕部材と、前記破砕室の入口部分における前記被破砕物の状態を撮像する監視用赤外線カメラと、前記破砕室と前記監視用赤外線カメラとの間に設けられ、前記監視用赤外線カメラの撮像軸を屈曲させる反射部と、を備えている、破砕設備。
【0038】
この構成により、破砕室の入口部分に投入された被破砕物の状態を撮像する監視用赤外線カメラは、撮像軸が反射部で屈曲させられている。このため、破砕室の入口部分から監視用赤外線カメラの方向に被破砕物の破片が飛散したとしても、反射部があるため監視用赤外線カメラに直接飛散することを防止できる。よって、監視用赤外線カメラは、レンズ破損を抑えられる。
【0039】
[項目2]
前記反射部は、前記撮像軸を複数回屈曲させるように複数の反射材が備えられている、項目1に記載の破砕設備。
【0040】
このように構成すれば、反射部の方向に被破砕物の破片が飛散したとしても、複数の反射材で複数回屈曲させられるため、被破砕物の破片が監視用赤外線カメラまで飛ぶことを抑えることができる。
【0041】
[項目3]
前記反射部は、前記被破砕物の破片の衝突力で破損する反射材である、項目1または2に記載の破砕設備。
【0042】
このように構成すれば、破砕室から反射材に向かって被破砕物の破片が飛散したとしても、破片の衝突力で反射材が破損して衝撃を吸収し破片が監視用赤外線カメラの方向に飛ぶことを抑えることができる。
【0043】
[項目4]
前記反射部は、複数枚の反射材を備えており、前記複数枚の前記反射材は、各反射材を前記撮像軸上に配置替え可能な切替え部に備えられている、項目1乃至3のいずれかに記載の破砕設備。
【0044】
このように構成すれば、破砕室から飛散した被破砕物の破片で反射材が破損したとしても、切替え部で他の反射材を撮像軸上に配置替えすることで、反射材を容易に交換することができる。よって、破砕設備は、稼働率低下が抑えられる。
【0045】
[項目5]
前記反射部は、反射材と、前記反射材の背面に備えられ該反射材への衝撃で変形可能な弾性部材と、を有する、項目1乃至4のいずれかに記載の破砕設備。
【0046】
このように構成すれば、被破砕物の破片が反射材に向かって飛散したとしても、反射材に当接したときに背面の弾性部材が変形して衝撃を吸収する。よって、破片が監視用赤外線カメラの方向に飛ぶことを抑えることができる。
【0047】
[項目6]
前記反射部は、反射材と、前記被破砕物の破片の衝突力で前記反射材の配置角度を一時的に変化させる弾性部材と、を有する、項目1または2に記載の破砕設備。
【0048】
このように構成すれば、被破砕物の破片が反射材に向かって飛散したとしても、破片が反射材に衝突したときの衝突力によって反射材の配置角度が一時的に変化する。よって、反射材で反射する破片の反射角が変化して、破片が監視用赤外線カメラの方向に飛ぶことを抑えることができる。
【0049】
[項目7]
前記監視用赤外線カメラの出力信号を画像データに変換する制御装置をさらに備えている、項目1乃至6のいずれかに記載の破砕設備。
【0050】
このように構成すれば、監視用赤外線カメラの出力信号を画像データに変換し、その画像データに基づいて作業者が入口部分における被破砕物の状態を適切に監視することができる。
【0051】
[項目8]
前記監視用赤外線カメラは、遠赤外線カメラである、項目1乃至7のいずれかに記載の破砕設備。
【0052】
このように構成すれば、破砕室の内部において粉じんや水蒸気が発生したとしても、遠赤外線カメラによって破砕室の入口部分における被破砕物の状態を適切に撮像することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 破砕設備
10 破砕機
11 破砕室
15 入口部分
20 破砕機カバー
23 第3上面
25 開口部
26 金属網
30 フィーダ
31 回転式供給装置
40 制御室
41 制御装置
43 モニタ
50 監視装置
51 遠赤外線カメラ(監視用赤外線カメラ)
52 保護装置
53 コネクタ
54 ガラス
55 筐体
60 第1反射部
70 第2反射部
71 反射材
80 第3反射部
81 反射材
82 弾性部材
90 第4反射部
91、92、93 反射材
94 切替え部
95 支持軸
96 弾性部材
100 第5反射部
101 第1反射材
102 第2反射材
110 第6反射部
111 反射材
115 弾性部材
図1
図2
図3
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