(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014595
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】液浸冷却装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240125BHJP
H01L 23/44 20060101ALI20240125BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20240125BHJP
F28F 9/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H05K7/20 M
H01L23/44
G06F1/20 A
G06F1/20 C
F28F9/02 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117545
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】内田 澄生
(72)【発明者】
【氏名】北本 博子
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AA09
5E322DA01
5E322DA03
5E322DA04
5E322EA05
5E322FA01
5E322FA04
5F136CB01
5F136CB11
5F136CB13
(57)【要約】
【課題】小型化を実現しつつ、冷媒の管理性を向上させることができる液浸冷却装置を提供する。
【解決手段】液浸冷却装置は、基板に設けられた発熱体を冷却する液浸冷却装置であって、水平方向に延びる箱型をなして、内部に基板が水平方向に延びるように配置された複数のケーシングを有し、これらケーシングが上下方向に配列されてなるケーシング群と、ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、複数のケーシング内にそれぞれ第一冷媒を導入可能な供給側ヘッダと、ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、複数のケーシングのそれぞれから第一冷媒が導入される排出側ヘッダと、排出側ヘッダから供給側ヘッダに第一冷媒を圧送する冷媒圧送部と、排出側ヘッダ及び供給側ヘッダの少なくとも一方の内側で延びて、内部を流通する第二冷媒と第一冷媒とを熱交換させて第一冷媒を冷却する伝熱管と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた発熱体を冷却する液浸冷却装置であって、
水平方向に延びる箱型をなして、内部に前記基板が水平方向に延びるように配置された複数のケーシングを有し、これらケーシングが上下方向に配列されてなるケーシング群と、
前記ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシング内にそれぞれ第一冷媒を導入可能な供給側ヘッダと、
前記ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシングのそれぞれから前記第一冷媒が導入される排出側ヘッダと、
前記排出側ヘッダから前記供給側ヘッダに前記第一冷媒を圧送する冷媒圧送部と、
前記排出側ヘッダ及び前記供給側ヘッダの少なくとも一方の内側で延びて、内部を流通する第二冷媒と前記第一冷媒とを熱交換させて前記第一冷媒を冷却する伝熱管と、
を備える液浸冷却装置。
【請求項2】
前記伝熱管は、上下方向に延びている請求項1に記載の液浸冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒圧送部は、前記排出側ヘッダの下部から前記供給側ヘッダに前記第一冷媒を圧送し、
前記伝熱管は、前記排出側ヘッダの内側で延びるように設けられ、下方から上方に向かって前記第二冷媒が流通する請求項2に記載の液浸冷却装置。
【請求項4】
前記供給側ヘッダは、前記ケーシング群の水平方向一方側に設けられ、
前記排出側ヘッダは、前記ケーシング群の水平方向他方側に設けられ、
各前記ケーシング内に設けられた冷媒供給部をさらに備え、
前記冷媒供給部は、
前記供給側ヘッダから供給される前記第一冷媒を前記供給側ヘッダと前記排出側ヘッダとの対向方向に直交する水平方向である幅方向に導く供給側マニホールドと、
前記供給側マニホールドに前記幅方向に複数が並設されるように設けられて、前記供給側マニホールド内の前記第一冷媒を前記排出側ヘッダ側に噴出可能なノズルと、
を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の液浸冷却装置。
【請求項5】
基板に設けられた発熱体を冷却する液浸冷却装置であって、
第一冷媒が貯留され、内部に前記基板が水平方向に延びるように配置されたケーシングと、
前記発熱体に前記第一冷媒の噴流を供給する噴流供給部と、
前記ケーシングを貫通し、内部を流通する第二冷媒と前記第一冷媒とで熱交換を行い前記第一冷媒を冷却する伝熱管と、
を備える液浸冷却装置。
【請求項6】
前記噴流供給部は、
前記ケーシングの外部に設けられるとともに両端が前記ケーシング内と連通し、前記第一冷媒が流通可能な循環配管と、
前記循環配管に設けられ、前記循環配管の一端から他端に向けて前記第一冷媒を流通させるポンプと、
を有し、
前記循環配管の他端は、前記発熱体と対向する位置に配置されている、請求項5に記載の液浸冷却装置。
【請求項7】
前記噴流供給部は、前記ケーシング内で前記発熱体に対向する位置に配置され、回転軸が前記発熱体に向けて延びるプロペラである、
請求項5に記載の液浸冷却装置。
【請求項8】
前記ケーシング内で、
前記伝熱管は、前記発熱体よりも前記第一冷媒の流通方向の下流側に配置される、
請求項5から7のいずれか一項に記載の液浸冷却装置。
【請求項9】
前記伝熱管の内周面には、フィンが設けられている、
請求項5から7のいずれか一項に記載の液浸冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液浸冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発熱体を有する電子機器を冷却する冷却システムが開示されている。冷却システムは、冷媒が入れられた冷却槽を有する。電子機器は、冷却槽の冷媒中に浸漬される。電子機器は、冷却槽内に複数縦置きで配置されている。冷却槽内の冷媒は、発熱体を冷却した後、冷却槽の外部で冷却されて再び冷却槽に供給されるように循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却システムでは、1つの冷却槽内に複数の電子機器が縦置きで配置されるため、冷却システムが大型化してしまう。
また、大型の冷却槽内を冷媒で満たす必要があるため、冷媒の使用量が多くなる。さらに、冷却槽内の冷媒を外部で冷却するための設備が別途必要となる。このため、冷媒の管理に多くの手間とコストを要し、冷媒の管理が困難となっていた。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、小型化を実現しつつ、冷媒の管理性を向上させることができる液浸冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る液浸冷却装置は、基板に設けられた発熱体を冷却する液浸冷却装置であって、水平方向に延びる箱型をなして、内部に前記基板が水平方向に延びるように配置された複数のケーシングを有し、これらケーシングが上下方向に配列されてなるケーシング群と、前記ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシング内にそれぞれ第一冷媒を導入可能な供給側ヘッダと、前記ケーシングに隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシングのそれぞれから前記第一冷媒が導入される排出側ヘッダと、前記排出側ヘッダから前記供給側ヘッダに前記第一冷媒を圧送する冷媒圧送部と、前記排出側ヘッダ及び前記供給側ヘッダの少なくとも一方の内側で延びて、内部を流通する第二冷媒と前記第一冷媒とを熱交換させて前記第一冷媒を冷却する伝熱管と、を備える。
【0007】
本開示に係る液浸冷却装置は、基板に設けられた発熱体を冷却する液浸冷却装置であって、第一冷媒が貯留され、内部に前記基板が水平方向に延びるように配置されたケーシングと、前記発熱体に前記第一冷媒の噴流を供給する噴流供給部と、前記ケーシングを貫通し、内部を流通する第二冷媒と前記第一冷媒とで熱交換を行い前記第一冷媒を冷却する伝熱管と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の液浸冷却装置によれば、小型化を実現しつつ、冷媒の管理性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る液浸冷却装置の概略構成を示す全体図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る液浸冷却装置を斜方から見た模式図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係るヒートシンク機構を側方から見た模式図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る伝熱管の断面図である。
【
図5】本開示の第一実施形態の第一変形例に係る液浸冷却装置を側方から見た模式図である。
【
図6】本開示の第一実施形態の第二変形例に係る伝熱管の断面図である。
【
図7】本開示の第一実施形態の第三変形例に係る液浸冷却装置の概略構成を示す全体図である。
【
図8】本開示の第一実施形態の第四変形例に係る液浸冷却装置を側方から見た模式図である。
【
図9】本開示の第一実施形態の第五変形例に係る液浸冷却装置の概略構成を示す全体図である。
【
図10】本開示の第一実施形態の第五変形例に係る液浸冷却装置を斜方から見た模式図である。
【
図11】本開示の第一実施形態の第六変形例に係る液浸冷却装置の概略構成を示す全体図である。
【
図12】本開示の第二実施形態に係る液浸冷却装置を側方から見た模式図である。
【
図13】本開示の第三実施形態に係る液浸冷却装置全体の概略構成を示す模式図である。
【
図14】本開示の第三実施形態に係るケーシング内部の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係る液浸冷却装置10について、
図1から
図4を参照して説明する。
図1に示すように、液浸冷却装置10は、高速計算を行う電子機器の冷却に用いられる。本実施形態では、液浸冷却装置10は、データセンターに設置されたサーバ1に使用されている。サーバ1は複数設けられている。複数のサーバ1は、空冷用のラック8の各段に設置されている。このラック8は、例えば19インチ程度の大きさに形成された一般的なものである。
【0011】
図2に示すように、サーバ1は、プリント基板と、プリント基板に設けられたCPUやGPUのチップ等の素子と、を有する。CPUやGPUは、高速計算処理を担う部品であるため高負荷がかかり、サーバ1の他の箇所に比べて高温に発熱する。
【0012】
データセンターには、水を冷媒とする熱交換器7が設置されている。熱交換器7として、例えばドライクーラやチラー等が挙げられる。本実施形態の液浸冷却装置10は、熱交換器7とは別に設けられ、CPUやGPU等の高温に発熱する素子を冷却するために用いられる。
【0013】
以下では、サーバ1のプリント基板を単に「基板2」と称し、CPUやGPU等の基板2中で特に高温に発熱する素子を「発熱体3」と称する場合がある。
【0014】
図3に示すように、基板2は、矩形板状に形成されている。基板2の表面には、発熱体3が設けられている。
【0015】
発熱体3は、基部4と、発熱体本体6と、を有する。基部4は、矩形板状の部材である。基部4は、基板2の表面に張り付けられている。基部4の表面のうち基板2と反対側の表面には、凹部5が設けられている。凹部5は、基部4の中央部に設けられている。凹部5には、発熱体本体6が取り付けられている。発熱体本体6は、発熱体3のうち主に発熱する部分である。本実施形態では、発熱体本体6は、CPUやGPUを構成する半導体である。発熱体本体6の表面のうち基板2とは反対側の表面は、基部4の表面と面一となっている。
【0016】
(液浸冷却装置の構成)
続いて、液浸冷却装置10の構成について説明する。
図1、
図2に示すように、液浸冷却装置10は、ケーシング11と、ヒートシンク機構20と、噴流供給部30と、ヘッダ管40と、伝熱管50と、を有する。
【0017】
(ケーシング)
ケーシング11は、ラック8の各段に配置されている。ケーシング11は、水平方向に延びる矩形箱状に形成されている。ケーシング11内には、第一冷媒R1が貯留されている。本実施形態では、ケーシング11は、第一冷媒R1で満液となっている。すなわち、第一冷媒R1は、ケーシング11内の全貯留空間に満たされている。第一冷媒R1は、絶縁性を有する冷媒である。第一冷媒R1は、液相の状態で発熱体3を冷却する。このため、第一冷媒R1の沸点は、70度以上であることが望ましい。第一冷媒R1の例として、フルオロカーボン類を基にした液体等が挙げられる。
【0018】
ケーシング11の内部には、各サーバ1の基板2が水平方向に延びるように配置されている。本実施形態では、基板2は、発熱体3が設けられた側の表面が上向きとなるように配置されている。基板2に設けられた発熱体3には、ヒートシンク機構20が設けられている。
【0019】
(ヒートシンク機構)
ヒートシンク機構20は、発熱体3の基板2とは反対側の表面に取り付けられている。
図3に示すように、ヒートシンク機構20は、第一伝熱板21と、グリース22と、第二伝熱板23と、ヒートシンクフィン24と、を有する。
【0020】
(第一伝熱板)
第一伝熱板21は、発熱体3の表面のうち基板2とは反対側の表面に重ねて取り付けられている。上下方向から見て、第一伝熱板21の外縁は、発熱体3の外縁と一致している。第一伝熱板21は、例えばステレンスにより形成されている。第一伝熱板21は、発熱体本体6の表面積を増大させて、発熱体本体6の発熱を拡散させるために設けられている。
【0021】
(グリース)
グリース22は、第一伝熱板21の表面のうち発熱体3とは反対側の表面に設けられている。グリース22は、第一伝熱板21と第二伝熱板23とを接着する。第一伝熱板21と第二伝熱板23とは、グリース22によって密着している。
【0022】
(第二伝熱板23)
第二伝熱板23は、グリース22を介して第一伝熱板21の表面のうち発熱体3とは反対側の表面に設けられている。第二伝熱板23は、例えば銅等の金属により形成されている。
【0023】
(ヒートシンクフィン)
ヒートシンクフィン24は、第二伝熱板23の表面のうちの第一伝熱板21とは反対側の表面に設けられている。ヒートシンクフィン24は、第二伝熱板23に複数設けられている。ヒートシンクフィン24は、第二伝熱板23に対して垂直に延びる棒状に形成されている。ヒートシンクフィン24は、例えば第二伝熱板23と同じ銅等の金属により形成されている。ヒートシンクフィン24は、発熱体本体6の表面積をさらに増大させて、発熱体本体6の発熱をより一層拡散させるために設けられている。
【0024】
(噴流供給部)
図2に示すように、噴流供給部30は、発熱体3に第一冷媒R1の噴流を供給する。噴流供給部30は、循環配管31と、ポンプ32と、フィルタ33と、を有する。
【0025】
(循環配管)
循環配管31は、ケーシング11の外部に設けられている。循環配管31は、両端がケーシング11内と連通している。循環配管31には、第一冷媒R1が流通可能である。本実施形態では、循環配管31の一端は31a、ケーシング11の下面に接続されている。循環配管31の一端31aは、発熱体3と上下方向で重なる位置に設けられている。循環配管31の他端31bは、ケーシング11の上面に接続されている。循環配管31の他端31bは、発熱体3と上下方向で重なる位置に設けられている。このため、循環配管31の他端31bは、発熱体3及びヒートシンク機構20と対向する位置に配置されている。
【0026】
(ポンプ)
ポンプ32は、循環配管31に設けられている。ポンプ32は、循環配管31の一端31aから他端31bに向けて第一冷媒R1を流通させる。
【0027】
(フィルタ)
フィルタ33は、循環配管31に設けられている。フィルタ33は、ポンプ32よりも第一冷媒R1の流通方向の下流側に設けられている。フィルタ33は、例えば活性炭フィルタである。
【0028】
上記噴流供給部30によって、第一冷媒R1がケーシング11及び循環配管31の内部を循環する。これにより、ケーシング11内では、第一冷媒R1は、循環配管31の他端31bから噴出されて基板2を迂回し、循環配管31の一端31aに流入する。
【0029】
以下、ケーシング11内では、第一冷媒R1の流通方向を単に「流通方向」と称し、第一冷媒R1の流通方向のうち、循環配管31の他端31b側を「上流側」と称し、循環配管31の一端31a側を「下流側」と称する場合がある。
【0030】
(ヘッダ管)
図1に示すように、ヘッダ管40は、熱交換器7と連通している。ヘッダ管40には、熱交換器7の冷媒が流通する。以下では、熱交換器7の冷媒を単に「第二冷媒R2」と称する。
ヘッダ管40は、母管43と、サブヘッダ44と、を有する。母管43は、ヘッダ管40ごとに1本設けられている。母管43は、上下方向に延びている。サブヘッダ44は、1本の母管43から複数延びる配管である。複数のサブヘッダ44は、全て水平方向に延びている。複数のサブヘッダ44は、互いに平行に延びるとともに、上下方向で等間隔に配置されている。ヘッダ管40は、2本設けられている。本実施形態では、2本のヘッダ管40は、ケーシング11を挟んで互いに反対側に設けられている。一方のヘッダ管40には、熱交換器7から第二冷媒R2が供給される。この一方のヘッダ管40に供給された第二冷媒R2は、ケーシング11内を通り、他方のヘッダ管40に戻される。この他方のヘッダ管40は、ケーシング11内を通過した第二冷媒R2を熱交換器7に戻す。
【0031】
以下では、熱交換器7から第二冷媒R2が供給される一方のヘッダ管40を「供給ヘッダ管41」と称し、熱交換器7に第二冷媒R2を戻す他方のヘッダ管40を「戻りヘッダ管42」と称する。
【0032】
供給ヘッダ管41のサブヘッダ44と、戻りヘッダ管42のサブヘッダ44とは、複数の伝熱管50によって接続されている。
【0033】
(伝熱管)
伝熱管50は、各ケーシング11に複数本設けられている。伝熱管50は、熱交換器7と連通している。伝熱管50の内部には、熱交換器7の第二冷媒R2が流通する。伝熱管50は、ケーシング11を水平方向に貫通している。複数の伝熱管50は、互いに平行に延びるとともに、等間隔に配置されている。複数の伝熱管50は、上下方向で同じに位置に設けられている。各伝熱管50内の第二冷媒R2の流れは、供給ヘッダ管41から戻りヘッダ管42へ向かう層流である。伝熱管50は、第二冷媒R2と第一冷媒R1とで熱交換を行い、第一冷媒R1を冷却する。
【0034】
伝熱管50は、ケーシング11内で、発熱体3よりも第一冷媒R1の流通方向の下流側に配置されている。
【0035】
また、
図4に示すように、伝熱管50は、四角形筒状に形成されている。伝熱管50の内周面には、フィン51が複数設けられている。フィン51は、伝熱管50の内周面の角部に設けられている。伝熱管50は、押出加工によって製造された、いわゆる押出管である。
【0036】
(第一冷媒の循環)
続いて、液浸冷却装置10内の第一冷媒R1の循環について説明する。
まず、ケーシング11の第一冷媒R1が、循環配管31の一端31aから循環配管31に流入する。第一冷媒R1は、ポンプ32によって循環配管31の一端31aから他端31bに向けて圧送される。そして、第一冷媒R1は、循環配管31の他端31bからジェット噴流として噴出される。第一冷媒R1の噴流は、ヒートシンク機構20に供給される。第一冷媒R1には、ヒートシンク機構20を介して発熱体3の熱が伝達される。このようにして、発熱体3が冷却される。また、第一冷媒R1は、ヒートシンク機構20に衝突するように供給される。このため、発熱体3には、いわゆるインピンジ冷却が行われることとなる。
【0037】
その後、第一冷媒R1は、ヒートシンク機構20のヒートシンクフィン24を通過し、基板2の上面に沿って放射状に流れる。第一冷媒R1は、基板2の外縁に到達すると、基板2の下側に回り込む。そして、第一冷媒R1は、基板2の下面に沿って流れる。この際、第一冷媒R1は、複数の伝熱管50を通過する。第一冷媒R1は、複数の伝熱管50を通過する過程で、第二冷媒R2と熱交換を行って冷却される。伝熱管50によって冷却された第一冷媒R1は、循環配管31の一端31aに流入する。循環配管31の一端31aに流入した第一冷媒R1は、ポンプ32によって再び圧送される。このようにして、第一冷媒R1は、液浸冷却装置10内を循環する。
【0038】
(作用効果)
本実施形態の液浸冷却装置10によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、液浸冷却装置10は、第一冷媒R1が貯留され、内部に基板2が水平方向に延びるように配置されたケーシング11と、発熱体3に第一冷媒R1の噴流を供給する噴流供給部30と、ケーシング11を貫通し、内部を流通する第二冷媒R2と第一冷媒R1とで熱交換を行い第一冷媒R1を冷却する伝熱管50と、を備える。
【0039】
これにより、液浸冷却装置10は、発熱体3に第一冷媒R1の噴流を吹き付けて発熱体3をインピンジ冷却することができる。発熱体3に吹き付けられた第一冷媒R1は、伝熱管50によって冷却されて再び発熱体3の冷却に用いられる。このように、本実施形態によれば、第一冷媒R1を循環させるための大規模なサイクルが不要となる。したがって、設備全体として小型化を実現することができる。
【0040】
さらに、各ケーシング11は、基板2を1つ分収容できる程度の大きさであればよいので、ケーシング11上部の空間を自由に利用することが容易となる。これにより、本実施形態のように、既存の空冷用のラック8の各段に、ケーシング11を水平方向に延びるように横置きで設置することができる。また、本実施形態ではケーシング11を横置きで配置したが、ケーシング11の縦置き及び横置きを問わずに、ケーシング11を配置することも可能である。また、ケーシング11を、基板2を1つ分収容できる程度の小型に設計することにより、液浸冷却装置10を可搬とすることができる。これにより、他の高速計算を行う設備に液浸冷却を搬送することが容易となる。また、第一冷媒R1の量は、ケーシング11内を充填させる程度でよいため、絶縁性を有するため高価な第一冷媒R1の使用量を低減することも可能となる。
【0041】
また、液浸冷却装置10は、伝熱管50によって、ケーシング11に貯留された第一冷媒R1をケーシング11内で冷却することができる。これにより、第一冷媒R1を冷却するために、外部に熱交換器を別途設ける必要が無くなり、設備全体として熱交換器の台数を減らすことができる。また、第一冷媒R1の循環を液浸冷却装置10内で完結させることができる。
以上のように、第一冷媒R1の使用量を低減しつつ、第一冷媒R1の循環を液浸冷却装置10内で完結させることができるので、第一冷媒R1の管理性を向上させることもできる。
【0042】
本実施形態では、噴流供給部30は、ケーシング11の外部に設けられるとともに両端がケーシング11内と連通し、第一冷媒R1が流通可能な循環配管31と、循環配管31に設けられ、循環配管31の一端31aから他端31bに向けて第一冷媒R1を流通させるポンプ32と、を有する。循環配管31の他端31bは、発熱体3と対向する位置に配置されている。
【0043】
これにより、ケーシング11内の第一冷媒R1の流通方向が、循環配管31の一端31aと他端31bの設置箇所により設定される。したがって、ケーシング11内の第一冷媒R1の流路の任意に設定できるので、液浸冷却装置10の冷却効率を向上させることができる。
さらに、ポンプ32の圧力を調整することにより、発熱体3の発熱量に応じて噴流の強さをコントロールすることができる。これにより、発熱体3に必要な除熱量に見合った最低限の噴流で発熱体3を冷却することができる。したがって、液浸冷却装置10の冷却効率を向上させることができる。
【0044】
本実施形態では、ケーシング11内で、伝熱管50は、発熱体3よりも第一冷媒R1の流通方向の下流側に配置されている。
【0045】
これにより、伝熱管50内を流通する第二冷媒R2は、発熱体3を冷却した後の第一冷媒R1と熱交換を行うことができる。したがって、液浸冷却装置10の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0046】
本実施形態では、伝熱管50の内周面には、フィン51が設けられている。
【0047】
これにより、第二冷媒R2と接触する伝熱管50の内周面の表面積が増加する。したがって、伝熱管50は、第二冷媒R2と第一冷媒R1との熱交換の効率を向上させることができる。
【0048】
(第一実施形態の第一変形例)
続いて、第一実施形態の第一変形例について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、本変形例では、発熱体3及び伝熱管50は、基板2に対して同じ側(例えば、基板2の下側)に配置されている。噴流供給部30の第一冷媒R1の噴流を供給する循環配管31の他端31bは、発熱体3の真下に設けられている。また、循環配管31の一端31aは、ケーシング11の側壁に近い位置に設けられている。なお、本変形例では、循環配管31の一端31aは、二股に分岐している。循環配管31の一端31a及び他端31bは、ともにケーシング11の下面に設けられている。
さらに、複数の伝熱管50は、上下方向の位置が異なるように配置されている。
【0049】
第一冷媒R1の噴流は、下方から発熱体3に供給される。第一冷媒R1は、発熱体3を冷却した後、基板2の下面に沿って流れる。この時、第一冷媒R1は、伝熱管50を通過し、伝熱管50を通過する過程で伝熱管50内の第二冷媒R2と熱交換を行って冷却される。その後、第一冷媒R1は、循環配管31に戻り、再びポンプ32によって圧送されて、発熱体3に吹き付けられる。
【0050】
本変形例では、複数の伝熱管50は、上下方向の位置が異なるように配置されている。
これにより、第一冷媒R1は、複数の伝熱管50を蛇行しながら通過する。このため、第一冷媒R1は、第二冷媒R2と良好に熱交換を行うことができる。したがって、本変形例の液浸冷却装置10によれば、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0051】
(第一実施形態の第二変形例)
続いて、第一実施形態の第二変形例について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、本変形例では、伝熱管50は、六角形筒状に形成されている。
【0052】
これにより、伝熱管50内により多くの第二冷媒R2を流通させることができる。したがって、本変形例の液浸冷却装置10によれば、冷却効率をより一層向上させることが出来る。
【0053】
伝熱管50が五角、又は七角以上の多角形筒状に形成されている場合でも、上述の作用効果と同様の作用効果を発揮することが可能となる。
【0054】
(第一実施形態の第三変形例)
続いて、第一実施形態の第三変形例について、
図7を参照して説明する。
図7に示すように、本変形例では、供給ヘッダ管41と戻りヘッダ管42とがケーシング11に対して同じ側に設けられている。伝熱管50は、ケーシング11内のヘッダ管40とは反対側で折り返されるように曲げられている。
【0055】
(第一実施形態の第四変形例)
続いて、第一実施形態の第四変形例について、
図8を参照して説明する。
図8に示すように、本変形例では、液浸冷却装置10は、補助プロペラ15をさらに有する。補助プロペラ15は、ケーシング11内に設けられている。補助プロペラ15は、ケーシング11内を流れる第一冷媒R1を攪拌する。補助プロペラ15の攪拌速度は、噴流供給部30の噴出速度と比較して小さい。
【0056】
本変形例によれば、液浸冷却装置10は、補助プロペラ15によって第一冷媒R1をケーシング11内に均一に流通させることができる。これにより、液浸冷却装置10は、例えば基板2の発熱体3以外の素子を良好に冷却することができる。したがって、本変形例の液浸冷却装置10によれば、冷却効率をより一層向上させることができる。
【0057】
(第一実施形態の第五変形例)
続いて、第一実施形態の第五変形例について、
図9、
図10を参照して説明する。
図9、
図10に示すように、本変形例では、循環配管31は、ケーシング11の側面に沿って設けられている。循環配管31は、ケーシング11を側方から囲うように配置されている。循環配管31の一端31a及び他端31bは、それぞれ、ケーシング11の対向する一対の側面に設けられている。循環配管31の一端31a及び他端31bは、ヒートシンク機構20と水平方向で重なる位置に設けられている。
【0058】
循環配管31及びポンプ32、フィルタ33は、ケーシング11の上下ではなく、ケーシング11と水平方向で重なる位置に設けられている。
【0059】
ヘッダ管40のサブヘッダ44は、L字状に形成されている。サブヘッダ44の母管43と反対側の端部44aは、上向きに延びている。このサブヘッダ44の上方に向けて延びる端部44aには、複数の伝熱管50が設けられている。
【0060】
伝熱管50は、ケーシング11内において、基板2を挟んで発熱体3と上下方向で同じ側に設けられている。伝熱管50は、ケーシング11の循環配管31の一端31a側の側面に沿って複数設けられている。すなわち、複数の伝熱管50は、ケーシング11内における下流側に設けられている。複数の伝熱管50は、上下方向で等間隔に配置されている。
【0061】
第一冷媒R1の噴流は、水平方向にヒートシンク機構20に向けて直接供給される。第一冷媒R1は、ヒートシンク機構20を介して発熱体3と熱交換を行い、発熱体3が冷却される。第一冷媒R1は、発熱体3を冷却した後、基板2の上面に沿って流れる。その後、第一冷媒R1は、伝熱管50を通過し、伝熱管50を通過する過程で伝熱管50内の第二冷媒R2と熱交換を行って冷却される。そして、第一冷媒R1は、循環配管31内に戻り、再びポンプ32によって圧送されてヒートシンク機構20に吹き付けられる。
【0062】
本変形例では、循環配管31及びポンプ32、フィルタ33は、ケーシング11と水平方向で重なる位置に設けられている。
【0063】
本変形例によれば、液浸冷却装置10を上下方向に小型化することができる。これにより、例えば液浸冷却装置10がラック8等によって上下方向に多段配置される場合に、少ないスペースにより多くの液浸冷却装置10を配置することができる。
【0064】
本変形例では、循環配管31の一端31a及び他端31bは、ヒートシンク機構20と水平方向で重なる位置に設けられている。
【0065】
本変形例によれば、液浸冷却装置10は、ケーシング11内に第一冷媒R1をスムーズに流通させることができる。これにより、液浸冷却装置10は、ケーシング11内の第一冷媒R1の圧損を低減することができる。したがって、液浸冷却装置10の冷却効率を向上させることができる。
【0066】
(第一実施形態の第六変形例)
続いて、第一実施形態の第六変形例について、
図11を参照して説明する。
図11に示すように、本変形例では、液浸冷却装置10ごとに、伝熱管50が1本設けられている。伝熱管50は、ケーシング11内において、水平方向に延在している。伝熱管50は、ケーシング11内において、対向する一対の側壁の間を複数回折り返すように波状に設けられている。伝熱管50の両端は、ケーシング11の同一の側壁からケーシング11外に突出している。伝熱管50の両端は、それぞれ熱交換器7に直接接続されている。
なお、伝熱管50の両端は、それぞれ供給ヘッダ管41と戻りヘッダ管42を介して、熱交換器7と連通していてもよい。
【0067】
なお、上述した第一実施形態及び各変形例では、噴流供給部30は1本の循環配管31を備え、第一冷媒R1の流入口である循環配管31の一端31aと、第二冷媒R2の流出口となる循環配管31の他端31bとが、それぞれ1つずつ設けられている場合ついて説明したが、これに限られるものではない。例えば、循環配管31は、複数本設けられてそれぞれ流入口としての一端31aと流出口としての他端31bとを有してもよい。また、例えば、1本の循環配管31の両端が複数に分岐し、この1本の循環配管31が流入口としての一端31aと流出口としての他端31bとをそれぞれ複数個有してもよい。
【0068】
なお、上述した第一実施形態及び各変形例では、循環配管31にフィルタ33が設けられているとしたが、これに限られない。循環配管31にはフィルタ33が設けられていなくてもよい。
【0069】
<第二実施形態>
以下、本開示の第二実施形態に係る液浸冷却装置210について、
図12を参照して説明する。前述した第一実施形態と同様の構成については、同一の名称及び同一の符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0070】
図12に示すように、本実施形態では、噴流供給部230は、ケーシング11内で発熱体3に対向する位置に配置されたプロペラ234である。プロペラ234は、基板2よりも上方に設置されている。プロペラ234の回転軸235は、発熱体3に向けて延びている。また、本実施形態では、発熱体3及び伝熱管50は、基板2に対して同じ側(例えば、基板2の下側)に配置されている。
【0071】
さらに、液浸冷却装置10は、ケーシング11内に、第一冷媒R1の流れを決定するガイド260が設けられている。ガイド260は、発熱体3及びプロペラ234よりもケーシング11の側壁側に設けられている。ガイド260は、傾斜ガイド261と、水平ガイド262と、を有する。傾斜ガイド261は、発熱体3の下方に設けられている。傾斜ガイド261は、下方に傾斜しながら水平方向に延びている。水平ガイド262は、傾斜ガイド261の下端から、水平方向で発熱体3から離間する方向に延びている。
【0072】
プロペラ234は、第一冷媒R1の噴流を、下方から発熱体3に向かうように発生させる。第一冷媒R1は、発熱体3を冷却した後、ガイド260の上面によって案内されることにより、基板2の下面に沿って流れる。この時、第一冷媒R1は、伝熱管50を通過し、伝熱管50を通過する過程で伝熱管50内の第二冷媒R2と熱交換を行って冷却される。その後、第一冷媒R1は、ガイド260の下面に沿って流れてプロペラ234に戻り、再びプロペラ234によって、発熱体3に吹き付けられる。
【0073】
本実施形態では、噴流供給部230は、ケーシング11内で発熱体3に対向する位置に配置され、回転軸235が発熱体3に向けて延びるプロペラ234である。
【0074】
これにより、噴流供給部230の全体が、ケーシング11内に配置される。したがって、液浸冷却装置210の移動がより一層容易となる。
【0075】
なお、上述した第一実施形態及び第二実施形態では、伝熱管50が四角形筒状又は五角以上の多角形筒状に形成される場合について説明したが、これに限られるものではない。伝熱管50は、例えば三角形筒状や円筒状に形成されていてもよい。
【0076】
なお、上述した第一実施形態の各変形例同士を適宜組み合わせてもよく、第一実施形態の各変形例と第二実施形態とを適宜組み合わせてもよい。
【0077】
<第三実施形態>
以下、本開示の第三実施形態に係る液浸冷却装置310について、
図12、
図13を参照して説明する。前述した第一実施形態と同様の構成については、同一の名称及び同一の符号を付す等して説明を適宜省略する。
【0078】
図12、
図13に示すように、本実施形態の液浸冷却装置310は、基板2に設けられた発熱体3を冷却する。第一実施形態及び第二実施形態と同様に、液浸冷却装置310は、ケーシング群311と、供給側ヘッダ320と、排出側ヘッダ330と、冷媒圧送部340と、伝熱管350と、上側第二ヘッダ314と、下側第二ヘッダ313と、冷媒供給部360と、冷媒排出部370と、第一接続管315と、第二接続管316と、第三接続管317と、第四接続管318と、を備える。
【0079】
(ケーシング群)
ケーシング群311は、ケーシング312が上下方向に配列されてなる集合体である。ケーシング312は、水平方向に延びる、立方体状の箱型をなしている。ケーシング312は、ラック8の各段に設けられている。本実施形態では、ケーシング312は、上下方向に並んで7個配置されている。
【0080】
ケーシング312内には、第一冷媒R1が貯留されている。本実施形態では、ケーシング312は、第一冷媒R1で満液となっている。すなわち、第一冷媒R1は、ケーシング312内の全貯留空間に満たされている。
ケーシング312の内部には、基板2が水平方向に延びるように配置されている。基板2の表面には、発熱体3が設けられている。
【0081】
また、ケーシング群311の水平方向一方側には、供給側ヘッダ320が設けられ、ケーシング群311の水平方向他方側には、排出側ヘッダ330が設けられている。すなわち、ケーシング群311を挟んで、供給側ヘッダ320と排出側ヘッダ330とが水平方向に対向するように設けられている。
【0082】
以下では、供給側ヘッダ320と排出側ヘッダ330との対向方向Daを単に「対向方向Da」と称し、対向方向Daに直交する水平方向を「幅方向Dw」と称する。
【0083】
(供給側ヘッダ)
供給側ヘッダ320は、ケーシング312に隣接するように上下方向に延びている。供給側ヘッダ320は、複数のケーシング312内にそれぞれ第一冷媒R1を導入可能とされている。供給側ヘッダ320は、供給側ヘッダ本体321と、供給側分岐管322と、を有する。
【0084】
供給側ヘッダ本体321は、上下方向に延びる筒状に形成されている。供給側ヘッダ本体321の延在方向の両端部は、閉塞されている。供給側ヘッダ本体321の内部では、第一冷媒R1が上下方向に流通する。
【0085】
供給側分岐管322は、供給側ヘッダ本体321に複数設けられている。複数の供給側分岐管322は、ケーシング群311に沿って上下方向に等間隔で配置されている。供給側分岐管322は、ケーシング312毎に1つずつ設けられている。供給側分岐管322は、ケーシング312の供給側ヘッダ320側の側壁312aに接続されている。供給側分岐管322は、ケーシング312の側壁312aを貫通している。供給側分岐管322は、ケーシング312の側壁312aの幅方向Dw一方側の端部に設けられている。
【0086】
(排出側ヘッダ)
排出側ヘッダ330は、ケーシング312に隣接するように上下方向に延びている。排出側ヘッダ330には、複数のケーシング312のそれぞれから第一冷媒R1が導入される。排出側ヘッダ330は、排出側ヘッダ本体331と、排出側分岐管332と、を有する。
【0087】
排出側ヘッダ本体331は、上下方向に延びる筒状に形成されている。排出側ヘッダ本体331の延在方向の両端部は、閉塞されている。排出側ヘッダ本体331の内部では、第一冷媒R1が上下方向に流通する。
【0088】
排出側分岐管332は、排出側ヘッダ本体331に複数設けられている。複数の排出側分岐管332は、ケーシング群311に沿って上下方向に等間隔で配置されている。排出側分岐管332は、ケーシング312毎に1つずつ設けられている。排出側分岐管332は、ケーシング312の排出側ヘッダ330側の側壁312aに接続されている。排出側分岐管332は、ケーシング312の側壁312aを貫通している。排出側分岐管332は、ケーシング312の側壁312aの幅方向Dw一方側の端部に設けられている。排出側分岐管332は、供給側分岐管322と対向方向Daで重なる位置に設けられている。
【0089】
(冷媒圧送部)
冷媒圧送部340は、ケーシング群311の下方に設けられている。冷媒圧送部340は、第一接続管315によって排出側ヘッダ330の下部と接続され、第二接続管316によって供給側ヘッダ320の下部と接続されている。第一接続管315は、排出側ヘッダ330と冷媒圧送部340とを連通させ、第二接続管316は、供給側ヘッダ320と冷媒圧送部340とを連通させている。冷媒圧送部340は、排出側ヘッダ330の下部から供給側ヘッダ320の下部に第一冷媒R1を圧送する。本実施形態の冷媒圧送部340は、ポンプである。
【0090】
(伝熱管)
伝熱管350は、排出側ヘッダ330及び供給側ヘッダ320の少なくとも一方の内側で延びる配管である。本実施形態では、伝熱管350は、排出側ヘッダ330の内側で上下方向に延びるように設けられている。伝熱管350は、排出側ヘッダ330内で、水平方向に間隔を空けて複数本設けられている。伝熱管350の内部では、下方から上方に向かって第二冷媒R2が流通する。伝熱管350は、伝熱管350の内部を流通する第二冷媒R2と伝熱管350の周りを流通する第一冷媒R1とを熱交換させて第一冷媒R1を冷却する。本実施形態では、伝熱管350は、第二冷媒R2と排出側ヘッダ330内の第一冷媒R1とを熱交させて排出側ヘッダ330内の第一冷媒R1を冷却する。
【0091】
本実施形態では、伝熱管350は、排出側ヘッダ本体331内に設けられ、排出側ヘッダ本体331の延在方向両側の端壁を貫通している。
【0092】
(下側第二ヘッダ)
排出側ヘッダ330の上端部には、下側第二ヘッダ313が設けられている。下側第二ヘッダ313は、排出側ヘッダ330の下端の端壁を下方から覆うように設けられている。下側第二ヘッダ313は、伝熱管350の下端と連通している。下側第二ヘッダ313内には、伝熱管350に供給される第二冷媒R2が供給される。下側第二ヘッダ313は、第三接続管317によって外部の熱交換器7と接続されている。第三接続管317は、下側第二ヘッダ313と熱交換器7とを連通させる。
【0093】
(上側第二ヘッダ)
排出側ヘッダ330の上端部には、上側第二ヘッダ314が設けられている。上側第二ヘッダ314は、排出側ヘッダ330の上端の端壁を上方から覆うように設けられている。上側第二ヘッダ314は、伝熱管350の上端と連通している。上側第二ヘッダ314内には、伝熱管350を通過した第二冷媒R2が供給される。上側第二ヘッダ314は、第四接続管318によって外部の熱交換器7と接続されている。第四接続管318は、上側第二ヘッダ314と熱交換器7とを連通させる。
【0094】
(冷媒供給部)
冷媒供給部360は、各ケーシング312内に設けられている。冷媒供給部360は、ケーシング312内の供給側ヘッダ320側に設けられている。冷媒供給部360は、供給側マニホールド361と、ノズル362と、を有する。
【0095】
供給側マニホールド361は、ケーシング312の供給側ヘッダ320側の側壁312aに沿って幅方向Dwに延びる管状の部材である。供給側マニホールド361は、幅方向Dw一方側の端部で供給側分岐管322と連通している。供給側マニホールド361は、供給側ヘッダ320から供給される第一冷媒R1を、ケーシング312内に、幅方向Dwに導く。
【0096】
ノズル362は、供給側マニホールド361に幅方向Dwに複数が並設されるように設けられている。本実施形態では、ノズル362は、幅方向Dwに並んで6個設けられている。ノズル362は、供給側マニホールド361と連通し、対向方向Daに延びる円筒状の部材である。ノズル362は、ケーシング312内に向けて対向方向Daに開口している。ノズル362は、供給側マニホールド361内の第一冷媒R1を排出側ヘッダ330側に噴出可能とされている。ノズル362は、供給側マニホールド361から対向方向Daで排出側ヘッダ330側に向かうしたがい漸次拡径している。
【0097】
(冷媒排出部)
冷媒排出部370は、各ケーシング312内に設けられている。冷媒排出部370は、ケーシング312内の排出側ヘッダ330側に設けられている。冷媒排出部370は、排出側マニホールド371を有する。
【0098】
排出側マニホールド371は、ケーシング312の排出側ヘッダ330側の側壁312aに沿って幅方向Dwに延びる管状の部材である。排出側マニホールド371の供給側ヘッダ320側の側壁には、該側壁312aを貫通する導入孔372が設けられている。排出側マニホールド371内には、ケーシング312内の第一冷媒R1が導入孔372から導入される。排出側マニホールド371は、幅方向Dw一方側の端部で排出側分岐管332と連通している。排出側マニホールド371は、ケーシング312内から排出される第一冷媒R1を排出側ヘッダ330に導く。
【0099】
(第一冷媒の循環)
続いて、液浸冷却装置310内の第一冷媒R1の循環について説明する。
まず、冷媒圧送部340を稼動させると、供給側ヘッダ320からケーシング312内に第一冷媒R1が供給される。この時、第一冷媒R1は、複数のノズル362によってケーシング312内に噴出される。第一冷媒R1は、噴流としてケーシング312内を対向方向Daに流れる。ケーシング312内の第一冷媒R1は、発熱体3を通過し、発熱体3と熱交換を行う。これにより、発熱体3が冷却される。一方で、第一冷媒R1は発熱体3の熱を受けて加熱される。その後、第一冷媒R1は、各ケーシング312から排出側ヘッダ330に導入される。第一冷媒R1は、冷媒圧送部340の圧力と自重によって、排出側ヘッダ330内を上方から下方に向けて流れる。
【0100】
一方で、伝熱管350内では、第二冷媒R2が下方から上方に向けて流れる。すなわち、第一冷媒R1と第二冷媒R2とは、上下方向で互いに逆方向に流れる。第一冷媒R1は、排出側ヘッダ330内を流通する過程で、第二冷媒R2と熱交換を行う。これにより、第一冷媒R1は冷却され、第二冷媒R2は加熱される。第二冷媒R2は、第一冷媒R1と熱交換を行った後、外部の熱交換器7に送られる。第二冷媒R2は、熱交換器7によって冷却されて、再び各伝熱管350に供給される。
【0101】
第一冷媒R1は、第二冷媒R2との熱交換によって冷却されると、冷媒圧送部340によって供給側ヘッダ320に再び圧送される。そして上述したように、第一冷媒R1は、ケーシング312内に再び供給される。このようにして、第一冷媒R1は、液浸冷却装置310内を循環する。
【0102】
(作用効果)
本実施形態の液浸冷却装置310によれば、以下の作用効果が発揮される。
本実施形態では、液浸冷却装置310は、水平方向に延びる箱型をなして、内部に基板2が水平方向に延びるように配置された複数のケーシング312を有し、これらケーシング312が上下方向に配列されてなるケーシング群311と、ケーシング312に隣接するように上下方向に延びて、複数のケーシング312内にそれぞれ第一冷媒R1を導入可能な供給側ヘッダ320と、ケーシング312に隣接するように上下方向に延びて、複数のケーシング312のそれぞれから第一冷媒R1が導入される排出側ヘッダ330と、排出側ヘッダ330から供給側ヘッダ320に第一冷媒R1を圧送する冷媒圧送部340と、排出側ヘッダ330及び供給側ヘッダ320の少なくとも一方の内側で延びて、内部を流通する第二冷媒R2と第一冷媒R1とを熱交換させて第一冷媒R1を冷却する伝熱管350と、を備える。
【0103】
これにより、上下方向に配列される複数のケーシング312に対して、伝熱管350を、ケーシング312に沿うように設けることができる。このため、液浸冷却装置310が水平方向に広がることを抑制することができる。したがって、液浸冷却装置310を水平方向に小型化することができる。また、第一冷媒R1の流路が水平方向にコンパクトにまとめられるので、第一冷媒R1の管理が容易となる。すなわち、第一冷媒R1の管理性を向上させることができる。
【0104】
本実施形態では、伝熱管350は、上下方向に延びている。
【0105】
これにより、ケーシング312の配列方向と伝熱管350の延在方向が一致する。このため、ケーシング312や伝熱管350等の液浸冷却装置310の構成の配置効率が向上される。さらに、上下方向に延びる供給側ヘッダ320と排出側ヘッダ330の内側に、伝熱管350を上下方向に延びるように設けることができるため、第一冷媒R1と第二冷媒R2とで熱交換が行われる距離を長くすることができる。したがって、液浸冷却装置310は、第一冷媒R1を良好に冷却することができる。よって、液浸冷却装置310の冷却効率を向上させることができる。
【0106】
本実施形態では、冷媒圧送部340は、排出側ヘッダ330の下部から供給側ヘッダ320に第一冷媒R1を圧送し、伝熱管350は、排出側ヘッダ330の内側で延びるように設けられ、下方から上方に向かって第二冷媒R2が流通する。
【0107】
これにより、第一冷媒R1は、供給側ヘッダ320内を上方に向けて流れ、ケーシング312内に供給される。その後、第一冷媒R1は、ケーシング312内から排出側ヘッダ330に排出され、排出側ヘッダ330内を下方に向けて流れる。一方で、第二冷媒R2は、排出側ヘッダ330内に設けられた伝熱管350内を上方に向けて流れる。よって、排出側ヘッダ330内において、第一冷媒R1の流れと第二冷媒R2の流れとは、互いに流通方向が反対向きの対向流となる。このため、第一冷媒R1と第二冷媒R2との熱交換効率が向上する。したがって、液浸冷却装置310は、第一冷媒R1をより一層良好に冷却することができる。よって、液浸冷却装置310の冷却効率をより一層向上させることができる。
また、伝熱管350が排出側ヘッダ330の内側に設けられているので、液浸冷却装置310は、伝熱管350で第一冷媒R1を冷却してから、冷媒圧送部340に第一冷媒R1を導くことができる。
【0108】
本実施形態では、供給側ヘッダ320は、ケーシング群311の水平方向一方側に設けられ、排出側ヘッダ330は、ケーシング群311の水平方向他方側に設けられ、各ケーシング312内に設けられた冷媒供給部360をさらに備え、冷媒供給部360は、供給側ヘッダ320から供給される第一冷媒R1を供給側ヘッダ320と排出側ヘッダ330との対向方向Daに直交する水平方向である幅方向Dwに導く供給側マニホールド361と、供給側マニホールド361に幅方向Dwに複数が並設されるように設けられて、供給側マニホールド361内の第一冷媒R1を排出側ヘッダ330側に噴出可能なノズル362と、を有する。
【0109】
これにより、液浸冷却装置310は、第一冷媒R1を基板2の発熱体3に噴出することができる。さらに、第一冷媒R1の噴出方向に排出側ヘッダ330があるため、熱交換を終えた第一冷媒R1をスムーズに排出することができる。したがって、液浸冷却装置310は、ケーシング312内の第一冷媒R1の圧損を低減することができる。よって、液浸冷却装置310の冷却効率をより一層向上させることができる。
【0110】
なお、上述した第三実施形態では、ケーシング312は、上下方向に並んで7個配置されている場合について説明したが、これに限られるものではない。ケーシング312の個数は適宜変更可能である。
【0111】
なお、上述した第三実施形態では、冷媒圧送部340は、ケーシング群311の下方に設けられている場合について説明したが、これに限られるものではない。冷媒圧送部340は、ケーシング群311の上方に設けられていてもよい。この場合、冷媒圧送部340は、排出側ヘッダ330の上部から供給側ヘッダ320に第一冷媒R1を圧送する。
【0112】
なお、上述した第三実施形態では、伝熱管350は、排出側ヘッダ330の内側で延びるように設けられている場合ついて説明したが、これに限るものではない。伝熱管350は、供給側ヘッダ320の内側で延びるように設けられていてもよい。この場合、第一冷媒R1がケーシング312内に導入される直前に、第一冷媒R1が伝熱管350によって冷却される。このため、液浸冷却装置310は、ケーシング312内の発熱体3をより良好に冷却することができる。すなわち、液浸冷却装置310の冷却効率を向上させることができる。また、排出側ヘッダ330及び供給側ヘッダ320の両方の内側で延びるように設けられていてもよい。
【0113】
なお、上述した第三実施形態では、伝熱管350は、ケーシング群311に沿うように上下方向に延びて、水平方向に間隔を空けて複数本設けられている場合ついて説明したが、これに限るものではない。伝熱管350は、水平方向に延びて、ケーシング群311に沿うように上下方向に間隔を空けて複数本設けられていてもよい。
【0114】
なお、上述した第三実施形態では、ノズル362は、幅方向Dwに並んで6個設けられている場合ついて説明したが、これに限るものではない。ノズル362の個数は適宜変更可能である。
【0115】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0116】
<付記>
各実施形態に記載の液浸冷却装置10、210、310は、例えば以下のように把握される。
【0117】
(1)第1の態様に係る液浸冷却装置310は、基板2に設けられた発熱体3を冷却する液浸冷却装置310であって、水平方向に延びる箱型をなして、内部に前記基板2が水平方向に延びるように配置された複数のケーシング312を有し、これらケーシング312が上下方向に配列されてなるケーシング群311と、前記ケーシング312に隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシング312内にそれぞれ第一冷媒R1を導入可能な供給側ヘッダ320と、前記ケーシング312に隣接するように上下方向に延びて、前記複数のケーシング312のそれぞれから前記第一冷媒R1が導入される排出側ヘッダ330と、前記排出側ヘッダ330から前記供給側ヘッダ320に前記第一冷媒R1を圧送する冷媒圧送部340と、前記排出側ヘッダ330及び前記供給側ヘッダ320の少なくとも一方の内側で延びて、内部を流通する第二冷媒R2と前記第一冷媒R1とを熱交換させて前記第一冷媒R1を冷却する伝熱管350と、を備える。
【0118】
これにより、上下方向に配列される複数のケーシング312に対して、伝熱管350を、ケーシング312に沿うように設けることができる。このため、液浸冷却装置310が水平方向に広がることを抑制することができる。
【0119】
(2)第2の態様の液浸冷却装置310は、(1)の液浸冷却装置310であって、前記伝熱管350は、上下方向に延びていてもよい。
【0120】
これにより、ケーシング312の配列方向と伝熱管350の延在方向が一致する。このため、ケーシング312や伝熱管350等の液浸冷却装置310の構成の配置効率が向上される。さらに、上下方向に延びる供給側ヘッダ320と排出側ヘッダ330の内側に、伝熱管350を上下方向に延びるように設けることができるため、第一冷媒R1と第二冷媒R2とで熱交換が行われる距離を長くすることができる。
【0121】
(3)第3の態様の液浸冷却装置310は、(2)の液浸冷却装置310であって、前記冷媒圧送部340は、前記排出側ヘッダ330の下部から前記供給側ヘッダ320に前記第一冷媒R1を圧送し、前記伝熱管350は、前記排出側ヘッダ330の内側で延びるように設けられ、下方から上方に向かって前記第二冷媒R2が流通してもよい。
【0122】
これにより、第一冷媒R1は、供給側ヘッダ320内を上方に向けて流れ、ケーシング312内に供給される。その後、第一冷媒R1は、ケーシング312内から排出側ヘッダ330に排出され、排出側ヘッダ330内を下方に向けて流れる。一方で、第二冷媒R2は、排出側ヘッダ330内に設けられた伝熱管350内を上方に向けて流れる。よって、排出側ヘッダ330内において、第一冷媒R1の流れと第二冷媒R2の流れとは、互いに流通方向が反対向きの対向流となる。このため、第一冷媒R1と第二冷媒R2との熱交換効率が向上する。
【0123】
(4)第4の態様の液浸冷却装置310は、(1)から(3)のいずれかの液浸冷却装置310であって、前記供給側ヘッダ320は、前記ケーシング群311の水平方向一方側に設けられ、前記排出側ヘッダ330は、前記ケーシング群311の水平方向他方側に設けられ、各前記ケーシング312内に設けられた冷媒供給部360をさらに備え、前記冷媒供給部360は、前記供給側ヘッダ320から供給される前記第一冷媒R1を前記供給側ヘッダ320と前記排出側ヘッダ330との対向方向Daに直交する水平方向である幅方向Dwに導く供給側マニホールド361と、前記供給側マニホールド361に前記幅方向Dwに複数が並設されるように設けられて、前記供給側マニホールド361内の前記第一冷媒R1を前記排出側ヘッダ330側に噴出可能なノズル362と、を有してもよい。
【0124】
これにより、液浸冷却装置310は、第一冷媒R1を基板2の発熱体3に噴出することができる。さらに、第一冷媒R1の噴出方向に排出側ヘッダ330があるため、熱交換を終えた第一冷媒R1をスムーズに排出することができる。
【0125】
(5)第5の態様に係る液浸冷却装置10、210は、基板2に設けられた発熱体3を冷却する液浸冷却装置10、210であって、第一冷媒R1が貯留され、内部に前記基板2が水平方向に延びるように配置されたケーシング11と、前記発熱体3に前記第一冷媒R1の噴流を供給する噴流供給部30、230と、前記ケーシング11を貫通し、内部を流通する第二冷媒R2と前記第一冷媒R1とで熱交換を行い前記第一冷媒R1を冷却する伝熱管50と、を備える。
【0126】
これにより、液浸冷却装置10、210は、発熱体3に第一冷媒R1の噴流を吹き付けて発熱体3をインピンジ冷却することができる。発熱体3に吹き付けられた第一冷媒R1は、伝熱管50によって冷却されて再び発熱体3の冷却に用いられる。このように、本態様によれば、第一冷媒R1の循環をさせるために大規模な循環サイクルが不要となる。また、液浸冷却装置10、210は、伝熱管50によって、ケーシング11に貯留された第一冷媒R1をケーシング11内で冷却することができる。
【0127】
(6)第6の態様の液浸冷却装置10は、(5)の液浸冷却装置10であって、前記噴流供給部30は、前記ケーシング11の外部に設けられるとともに両端が前記ケーシング11内と連通し、前記第一冷媒R1が流通可能な循環配管31と、前記循環配管31に設けられ、前記循環配管31の一端31aから他端31bに向けて前記第一冷媒R1を流通させるポンプ32と、を有し、前記循環配管31の他端31bは、前記発熱体3と対向する位置に配置されていてもよい。
【0128】
これにより、ケーシング11内の第一冷媒R1の流通方向が、循環配管31の一端31aと他端31bの設置箇所により設定される。
【0129】
(7)第7の態様の液浸冷却装置210は、(5)の液浸冷却装置210であって、前記噴流供給部230は、前記ケーシング11内で前記発熱体3に対向する位置に配置され、回転軸235が前記発熱体3に向けて延びるプロペラ234であってもよい。
【0130】
これにより、噴流供給部230の全体が、ケーシング11内に配置される。
【0131】
(8)第8の態様の液浸冷却装置10、210は、(5)から(7)のいずれかの液浸冷却装置10、210であって、前記ケーシング11内で、前記伝熱管50は、前記発熱体3よりも前記第一冷媒R1の流通方向の下流側に配置されてもよい。
【0132】
これにより、伝熱管50内を流通する第二冷媒R2は、発熱体3を冷却した後の第一冷媒R1と熱交換を行うことができる。
【0133】
(9)第9の態様の液浸冷却装置10、210は、(5)から(8)のいずれかの液浸冷却装置10、210であって、前記伝熱管50の内周面には、フィン51が設けられていてもよい。
【0134】
これにより、第二冷媒R2と接触する伝熱管50の内周面の表面積が増加する。
【符号の説明】
【0135】
1…サーバ 2…基板 3…発熱体 4…基部 5…凹部 6…発熱体本体 7…熱交換器 8…ラック 10…液浸冷却装置 11…ケーシング 15…補助プロペラ 20…ヒートシンク機構 21…第一伝熱板 22…グリース 23…第二伝熱板 24…ヒートシンクフィン 30…噴流供給部 31…循環配管 31a…一端 31b…他端 32…ポンプ 33…フィルタ 40…ヘッダ管 41…供給ヘッダ管 42…戻りヘッダ管 43…母管 44…サブヘッダ 44a…端部 50…伝熱管 51…フィン 210…液浸冷却装置 230…噴流供給部 234…プロペラ 235…回転軸 260…ガイド 261…傾斜ガイド 262…水平ガイド 310…液浸冷却装置 311…ケーシング群 312…ケーシング 312a…側壁 313…下側第二ヘッダ 314…上側第二ヘッダ 315…第一接続管 316…第二接続管 317…第三接続管 318…第四接続管 320…供給側ヘッダ 321…供給側ヘッダ本体 322…供給側分岐管 330…排出側ヘッダ 331…排出側ヘッダ本体 332…排出側分岐管 340…冷媒圧送部 350…伝熱管 360…冷媒供給部 361…供給側マニホールド 362…ノズル 370…冷媒排出部 371…排出側マニホールド 372…導入孔 R1…第一冷媒 R2…第二冷媒 Da…対向方向 Dw…幅方向