(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145951
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 12/062 20210101AFI20241004BHJP
H04W 12/69 20210101ALI20241004BHJP
H04W 12/069 20210101ALI20241004BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04W12/062
H04W12/69
H04W12/069
G08G1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058576
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】大久保 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良介
(72)【発明者】
【氏名】植田 真介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC12
5H181FF13
5H181FF27
5K067AA14
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE12
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】認証完了までの待ち時間の増加を抑制する技術を提供する。
【解決手段】認証装置200は、第1通信部210、第2通信部220を含む。第1通信部210は、第1無線通信方式により通信する。第2通信部220は、第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信し、第1通信部210よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少ない。第2通信部220は、第1通信部210の通信により端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの端末装置と通信可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信方式により通信する第1通信部と、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信し、前記第1通信部よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少ない第2通信部とを備え
前記第2通信部は、前記第1通信部の通信により前記端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置と通信可能である通信装置。
【請求項2】
前記端末情報は、前記第1通信部と前記端末装置との接続後に、前記端末装置から受信される請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記端末情報は、前記端末装置に設定されたMAC(Media Access Control)アドレスを含む請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1通信部が前記端末装置から受信した事前情報をもとに、前記端末装置を端末認証する端末認証部をさらに備え、
前記第1通信部は、前記端末認証部において端末認証された前記端末装置と接続する請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記事前情報は、クレデンシャル情報を含む請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記端末情報をもとに、前記端末装置を端末認証する端末認証部をさらに備え、
前記第2通信部は、前記端末認証部において端末認証された前記端末装置と接続する請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第2通信部は、所定の条件に基づく優先順位において、いずれかの前記端末装置と接続する請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記第1通信部が前記端末装置から受信した信号の受信強度を含む請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記第1通信部との接続開始のタイミングまたは接続継続時間の少なくとも1つを含む請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定の条件は、予め規定された優先度を含む請求項7に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第1通信部において同時接続可能な前記端末装置の数がX台であり、
前記第2通信部において同時接続可能な前記端末装置の数がY(X>Y)台であり、
前記第1通信部は、Y台よりも多い数の前記端末装置と通信し、
前記第2通信部は、前記Y台よりも多い数の前記端末装置と前記第1通信部との通信がなされる場合、Y台以下の前記端末装置と通信し、残りの前記端末装置を待機させ、
前記第2通信部は、前記端末装置との通信が終了した後、待機中の前記端末装置との通信を開始する請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記端末装置のうちの1つを第1端末装置と呼び、前記端末装置のうちの別の1つを第2端末装置と呼ぶ場合、
前記第1端末装置が前記第2通信部の通信開始を待機している場合に、前記第1端末装置が前記第1通信部に接続開始してから所定の期間経過すると、
前記第2通信部は、一番先に通信を開始した前記第2端末装置との通信を切断して前記第1端末装置との通信を開始する請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
前記第2通信部は、前記端末装置または前記通信装置からのトリガをもとに、前記端末装置との通信を開始する請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
第1無線通信方式により通信するステップと、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信するステップとを備え、
前記第2無線通信方式では、前記第1無線通信方式よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少なく、
前記第2無線通信方式により通信するステップは、前記第1無線通信方式での通信により前記端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置と通信可能である通信方法。
【請求項15】
第1無線通信方式により通信するステップと、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信するステップとを備え、
前記第2無線通信方式では、前記第1無線通信方式よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少なく、
前記第2無線通信方式により通信するステップは、前記第1無線通信方式での通信により前記端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置と通信可能であることをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信技術に関し、特に人に携帯された端末装置と通信する通信装置、通信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの無線通信機器が認証を実行する際、ユーザの利便性を損なわないことが望まれる。そのため、第1の通信距離の通信により通信対象の装置を認証してから、第1の通信距離よりも短い第2の通信距離の通信により、認証された通信対象の装置と通信が実行される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの無線通信機器間の認証が入室または退室等の入退管理に利用される。例えば、認証装置を有するゲートが部屋の入口に設置されるとともに、ユーザが端末装置を携帯する。入室または退室のためにユーザがゲートを通過すると、端末装置と認証装置との間において、UWB(Ultra Wide Band)による無線通信がなされる。これに続いて、認証装置が端末装置を測距してから認証する。UWBによる測距では、測距のためのパラメータ通信を事前に行う必要があるので、認証受付状態であっても測距可能な状態になるまで、1台あたり2秒以上要する。そのため、ゲートを通過しようとするユーザが複数存在する場合、認証完了までの待ち時間が増加し、利便性を妨げるおそれがある。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、認証完了までの待ち時間の増加を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の通信装置は、第1無線通信方式により通信する第1通信部と、第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信し、第1通信部よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少ない第2通信部とを備え 第2通信部は、第1通信部の通信により端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの端末装置と通信可能である。
【0007】
本開示の別の態様は、通信方法である。この方法は、第1無線通信方式により通信するステップと、第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信するステップとを備える。第2無線通信方式では、第1無線通信方式よりも同時接続可能な端末装置の数が同数または少なく、第2無線通信方式により通信するステップは、第1無線通信方式での通信により端末装置から受信した端末情報をもとに、いずれかの端末装置と通信可能である。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、認証完了までの待ち時間の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施例に係る入退管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の入退管理システムにおける前提となる処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3(a)-(b)は、
図1の入退管理システムの比較対象における処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図5】
図1の入退管理システムにおける処理の手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例は、施設における所定のエリアへのユーザの進入、あるいは当該エリアからのユーザの退出を管理する入退管理システムに関する。入退管理システムでは、ゲートに設けられた認証装置が、ユーザに携帯される端末装置と第1無線通信方式により無線通信を実行することによって、第2無線通信方式による無線通信のためのパラメータを交換する。その後、認証装置は、第2無線通信方式により端末装置と無線通信を実行することによって、端末装置との距離等を測定してから、端末装置を認証する。
【0012】
このような入退管理システムにおいて第2無線通信方式の同時接続数よりも多くの端末装置が存在する場合、認証装置との無線通信を実行できない端末装置が発生する。当該端末装置が第2無線通信方式により認証装置と通信可能な状況になった場合に、当該端末装置が第1無線通信方式による認証装置との通信を開始すれば、パラメータ交換、距離等の測定、認証による待ち時間がそこから発生する。そのため、端末装置の数が多い状況下においても、認証完了までの待ち時間の増加を抑制することが望まれる。
【0013】
本実施例に係る認証装置は、第2無線通信方式による無線通信を実行できない端末装置に対して、第1無線通信方式による無線通信を実行しておくことによって、パラメータ交換を事前に済ませておく。また、認証装置は、当該端末装置と、第2無線通信方式による無線通信が可能になった場合に、既に交換したパラメータを使用して、当該端末装置との第2無線通信方式による無線通信を直ちに実行する。
【0014】
図1は、入退管理システム1000の構成を示す。入退管理システム1000は、端末装置100と総称される第1端末装置100aから第6端末装置100f、認証装置200を含む。第1端末装置100aから第6端末装置100fのそれぞれは、第1ユーザ110aから第6ユーザ110fに携帯される。第1ユーザ110aから第6ユーザ110fはユーザ110と総称される。端末装置100とユーザ110の数は「6」に限定されない。
【0015】
端末装置100は、例えばスマートフォン等の携帯可能な無線通信装置である。端末装置100は、少なくとも2つの無線通信方式による無線通信を実行可能である。例えば、1つ目の無線通信方式(以下、「第1無線通信方式」という)は、Bluetooth Low Energy(登録商標)(BLE)であり、2つ目の無線通信方式(以下、「第2無線通信方式」という)は、UWBである。第1無線通信方式または第2無線通信方式は、これらに限定されない。
【0016】
所定の領域、例えば部屋の出入り口には、ゲート130が設置される。ユーザ110は、部屋に進入したり、部屋から退出したりする際に、端末装置100を携帯しながらゲート130を通過する。その際、ゲート130に固定された認証装置200は、第1無線通信方式で端末装置100と無線通信を実行することによって、端末装置100との間でパラメータを交換する。その後、認証装置200は、交換したパラメータを使用して、第2無線通信方式で端末装置100と無線通信を実行することによって、第2無線通信方式により端末装置100の測距を実行する。認証装置200は、測距の結果をもとに、端末装置100の認証処理を実行する。認証処理の結果により、当該端末装置100を携帯したユーザ110の入退室が管理される。ゲート130の代わりに扉が使用されてもよく、認証装置200は、認証に成功した場合に、扉の解錠または開放を実行してもよい。
【0017】
認証装置200は一体的に構成されず、複数の装置により構成されてもよい。例えば、認証装置200のうち、第1無線通信方式と第2無線通信方式を実行する無線通信機能が通信装置に備えられ、認証装置200は、無線通信機能を備えなくてもよい。このような通信装置と認証装置200との組合せ、または1つの認証装置200は、認証システムと総称されてもよい。
【0018】
図2は、入退管理システム1000における前提となる処理の手順を示すシーケンス図である。以下では、第1無線通信方式がBLEであり、第2無線通信方式がUWBであるとする。認証装置200は、BLEにおけるアドバタイズを送信する(S10)。端末装置100は、アドバタイズを受信すると、応答信号を送信する(S12)。認証装置200が応答信号を受信すると、認証装置200と端末装置100は、BLEにおける端末認証(以下、「第1端末認証」という)と、BLEにおける接続処理とを実行する(S14)。ここで、端末装置100がBLEにおけるアドバタイズを送信してから、認証装置200と端末装置100は、BLEにおける第1端末認証とBLEにおける接続処理を実行してもよい。つまり、端末装置100と認証装置200のどちらがアドバタイザになってもよい。
【0019】
認証装置200と端末装置100はパラメータ交換を実行する(S16)。交換されたパラメータは、UWBで通信するために使用される。ここまでの処理にBLEが使用される。認証装置200と端末装置100は、パラメータを設定する(S18)。認証装置200と端末装置100は、UWBにおける端末認証(以下、「第2端末認証」という)を実行して(S20)から、UWBによる測距を実行する(S22)。認証装置200と端末装置100は、測距の結果を使用して認証を実行する(S24)。図示のごとく、UWBによる測距の前の処理に2s以上要する。
【0020】
以下では、
図2のステップ10からステップ16の処理、つまりBLEを使用して通信する処理を「第1処理」と呼ぶ場合、ステップ18からステップ24の処理、つまりUWBを使用して通信する処理を「第2処理」と呼ぶ。つまり、第1処理が実行されてから、第2処理が実行される。
図3(a)-(b)は、入退管理システム1000の比較対象における処理の手順を示すシーケンス図である。比較対象は、端末装置10と総称される第1端末装置10a、第2端末装置10b、認証装置20を含む。第1端末装置10a、第2端末装置10b、認証装置20は、
図1の第1端末装置100a、第2端末装置100b、認証装置200に対応する。また、認証装置20は、第1通信部22と第2通信部24を含み、第1通信部22が第1無線通信方式(BLE)により通信可能であり、第2通信部24が第2無線通信方式(UWB)により通信可能である。
【0021】
図3(a)は、端末装置10の数が「1」である場合、つまり第1端末装置10aのみが存在する場合の処理を示す。第1端末装置10aと、認証装置20の第1通信部22との間で第1処理が実行される(S100)。これに続いて、第1端末装置10aと、認証装置20の第2通信部24との間で第2処理が実行される(S102)。
【0022】
図3(b)は、端末装置10の数が「2」である場合、つまり第1端末装置10aと第2端末装置10bが存在する場合の処理を示す。ここで、第1無線通信方式の同時接続数と第2無線通信方式の同時接続数は、端末装置10の数よりも少ない「1」とする。第1端末装置10aと、認証装置20の第1通信部22との間で第1処理が実行される(S110)。これに続いて、第1端末装置10aと、認証装置20の第2通信部24との間で第2処理が実行される(S112)。その後、第2端末装置10bと、認証装置20の第1通信部22との間で第1処理が実行される(S114)。これに続いて、第2端末装置10bと、認証装置20の第2通信部24との間で第2処理が実行される(S116)。つまり、第1無線通信方式の同時接続数または第2無線通信方式の同時接続数が端末装置10の数よりも少ない場合、端末装置10に対する処理が順番になされる。
【0023】
図1の入退管理システム1000において第2無線通信方式(UWB)の同時接続数が「3」である場合、3台の端末装置100に対する測距はすぐになされるが、3台の端末装置100に対する測距は、先の3台の端末装置100に対する測距の終了後になされる。その際、
図3(b)のような処理手順であると、第2無線通信方式(UWB)による通信の前に実行される第1無線通信方式(BLE)に2秒以上要してしまうので、測距がすぐに開始されない。
【0024】
図4は、認証装置200の構成を示す。認証装置200は、第1通信部210、第2通信部220、制御部230、記憶部240を含む。制御部230は、第1端末認証部250、第2端末認証部252、選択部254、測定部256、認証部258を含む。第1通信部210は、複数の端末装置100と第1無線通信方式により通信可能である。前述のごとく、第1無線通信方式の一例はBLEである。第1通信部210は、アドバタイズを送信する。また、第1通信部210は、アドバタイズを受信した各端末装置100からの応答信号を受信すると、応答信号の受信強度を測定するとともに、応答信号を制御部230に出力する。前記のごとく、第1通信部210は、各端末装置100からのアドバタイズを受信してもよい。
【0025】
第1通信部210は、端末装置100に接続要求を送信することによって、当該端末装置100とBLEにより接続する。この接続処理の中で、第1端末認証部250は、端末装置100から受信した信号に含まれた事前情報をもとに、端末装置100に対する第1端末認証を実行する。事前情報は、例えば、BLEにおける識別情報、クレデンシャル情報である。事前情報を含む信号は、応答信号であってもよく、BLEによる接続中に受信する信号であってもよい。第1端末認証には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0026】
第1通信部210は、端末装置100と接続した後に、端末装置100との間でパラメータ交換を実行する。前述のごとく、交換したパラメータは、UWBで通信するために使用される。交換したパラメータには、端末情報が含まれる。端末情報は、端末装置100に設定されたMAC(Media Access Control)アドレス、端末装置100のUWBにおける識別情報を含む。第1通信部210は、パラメータを制御部230に出力する。
【0027】
第1通信部210において同時接続可能な端末装置100の数はX台である。第1通信部210は、X台以下であり、かつY(Y<X)台よりも多い数の端末装置100と通信することによって、第1通信部210と制御部230は、それらの端末装置100に対して第1処理を同時並行で実行する。
【0028】
第2通信部220は、第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により端末装置100と通信可能である。前述のごとく、第2無線通信方式の一例はUWBである。第2通信部220において同時接続可能な端末装置100の数は、第1通信部210において同時接続可能な端末装置100の数以下である。ここでは、第2通信部220において同時接続可能な端末装置100の数はY(X>Y)台である。このような状況において、Y台よりも多い数の端末装置100と第1通信部210との通信がなされる場合、第2通信部220は、それらすべての端末装置100と同時接続できない。
【0029】
そこで、第2通信部220は、Y台以下の端末装置100と通信することによって、第2処理を同時並行で実行し、残りの端末装置100を第1処理終了後に待機させる。制御部230の選択部254は、所定の条件に基づく優先順位において、第2通信部220に優先的に接続する端末装置100を決定する。所定の条件の一例は、第1通信部210が端末装置100から受信した応答信号の受信強度が大きいことである。その際、制御部230は、受信強度の大きい端末装置100から順に選択する。これは、認証装置200の近くに存在する端末装置100を優先的に選択することに相当する。
【0030】
第2通信部220には、制御部230によりパラメータが設定される。パラメータの設定後、第2通信を開始するために、第2通信部220は、端末装置100または認証装置200からのトリガをもとに、端末装置100とのUWBによる通信を開始する。第2通信部220は、選択部254において選択した端末装置100からの信号を受信する。第2通信部220は、受信した信号を制御部230に出力する。
【0031】
制御部230の第2端末認証部252は、第2通信部220から受けつけた信号と、端末情報をもとに、端末装置100に対する第2端末認証を実行する。前述のごとく、端末情報の一例は、端末装置100に設定されたMACアドレス、端末装置100のUWBにおける識別情報である。第2通信部220は、第2端末認証部252において第2端末認証が成功した端末装置100とUWBにより接続する。つまり、第2通信部220は、第1通信部210の通信により端末装置100から受信した端末情報をもとに、当該端末装置100と通信可能である。
【0032】
測定部256は、第2通信部220における端末装置100とのUWB通信において、端末装置100に対する測距を実行する。測距については公知の技術が使用されればよいが、例えば、電波の飛行時間(ToF:Time of Flight)による距離推定、または第2通信部220の2以上のアンテナへの電波の到来時間差による角度推定がなされる。認証部258は、測定部256における測距の結果を受けつける。認証部258は、測距の結果をもとに、端末装置100を認証する。例えば、認証部258は、測距した端末装置100の位置が、予め定めた範囲内であれば、端末装置100を認証する。
【0033】
端末装置100の認証に成功した場合、制御部230は、端末装置100を携帯したユーザ110の入退室の状況を記憶部240に記憶する。また、ゲート130が扉である場合、制御部230は、認証に成功した端末装置100を携帯したユーザ110の通過のために、扉を解錠または開放してもよい。
【0034】
選択部254は、第2通信部220と端末装置100との通信が終了した後、待機中の端末装置100の中から、次に第2処理を実行すべき端末装置100を選択する。この選択には、前述の所定の条件、つまり受信強度が使用される。第2通信部220には、選択部254により選択された端末装置100についてのパラメータが設定される。第2通信部220は、これまでと同様に第2処理を実行する。
【0035】
これまでの所定の条件には受信強度が使用されている。所定の条件はこれに限定されない。所定の条件は、第1通信部210と端末装置100の接続開始のタイミングが早いこと、または端末装置100の接続継続時間が長いことの少なくとも1つであってもよい。これは、接続開始の早い端末装置100を優先的に選択することに相当する。また、所定の条件は、予め規定された端末装置100の優先度に従うことであってもよい。記憶部240には、登録された端末装置100のそれぞれについての優先度が記憶される。選択部254は、優先度の高い端末装置100を優先的に選択する。
【0036】
これまでは、第2通信部220と端末装置100との通信が終了してから、選択部254は、次に第2通信部220と通信すべき別の端末装置100を選択している。選択部254は、第2通信部220と端末装置100との通信が終了する前に、次に第2通信部220と通信すべき別の端末装置100を選択してもよい。別の端末装置100が第2通信部220の通信開始を待機している場合に、当該別の端末装置100が第1通信部210に接続開始してから所定の期間経過すると、選択部254は、第2通信部220に通信の切替を指示する。第2通信部220は、選択部254から指示を受けつけると、一番先に通信を開始した端末装置100との通信を切断して別の端末装置100との通信を開始する。
【0037】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0038】
以上の構成による入退管理システム1000の動作を説明する。
図5は、入退管理システム1000における処理の手順を示すシーケンス図である。これは、端末装置100の数が「2」である場合、つまり第1端末装置100aと第2端末装置100bが存在する場合の処理を示す。ここで、第1無線通信方式の同時接続数は「2」以上であり、第2無線通信方式の同時接続数は「1」であるとする。第1端末装置100aと、認証装置200の第1通信部210(ソケット1)との間で第1処理が実行される(S200)。これと同時に、第2端末装置100bと、認証装置200の第1通信部210(ソケット2)との間で第1処理が実行される(S202)。
【0039】
第1端末装置100aと、認証装置200の第1通信部210(ソケット1)との間の第1処理に続いて、第1端末装置100aと、認証装置200の第2通信部220との間で第2処理が実行される(S204)。一方、第2端末装置100bと、認証装置200の第1通信部210(ソケット2)との間の第1処理が終了しても、第2端末装置100bは第2通信を実行せずに待機する。第1端末装置100aと、認証装置200の第2通信部220との間で第2処理が終了すると、第2端末装置100bと、認証装置200の第2通信部220との間で第2処理が実行される(S206)
【0040】
本実施例によれば、第1無線通信方式による通信に続いて第2無線通信方式による通信を実行する場合において、第1無線通信方式での同時接続可能な端末装置100の数を、第2無線通信方式での同時接続可能な端末装置100の数以上とするので、第1無線通信方式での通信を予め実行できる。また、第1無線通信方式での通信が予め実行されるので、パラメータ交換を予め実行できる。また、パラメータ交換が予め実行されるので、認証完了までの待ち時間の増加を抑制できる。
【0041】
また、第1無線通信方式において端末装置100を端末認証するので、第1無線通信方式を安全に実行できる。また、事前情報は、クレデンシャル情報を含むので、クレデンシャル情報を端末認証に使用できる。また、第2無線通信方式において端末装置100を端末認証するので、第2無線通信方式を安全に実行できる。
【0042】
また、所定の条件に基づく優先順位において、いずれかの端末装置100と接続するので、特定の端末装置100と優先的に通信できる。また、受信強度をもとに端末装置100を選択するので、認証装置200の近くに存在する端末装置100と優先的に通信できる。また、接続開始のタイミングまたは接続継続時間の少なくとも1つをもとに端末装置100を選択するので、接続順に端末装置100と通信できる。また、予め規定された優先度をもとに端末装置100を選択するので、所望の端末装置100を選択できる。
【0043】
また、認証装置200と通信すべき端末装置100の数が多い場合、第1無線通信方式による通信だけを済ませておき、通信可能になってから第2無線通信方式による通信を実行するので、待ち時間の増加を抑制できる。また、第2無線通信方式による通信を実行までの待ち時間が長い場合、すでに第2無線通信方式による通信を実行している他の端末装置100を切断してから、第2無線通信方式による通信を開始させるので、待ち時間の増加を抑制できる。
【0044】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
(項目1)
第1無線通信方式により通信する第1通信部(210)と、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信し、前記第1通信部(210)よりも同時接続可能な端末装置(100)の数が同数または少ない第2通信部(220)とを備え
前記第2通信部(220)は、前記第1通信部(210)の通信により前記端末装置(100)から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置(100)と通信可能である通信装置(200)。
【0045】
(項目2)
前記端末情報は、前記第1通信部(210)と前記端末装置(100)との接続後に、前記端末装置(100)から受信される項目1に記載の通信装置(200)。
【0046】
(項目3)
前記端末情報は、前記端末装置(100)に設定されたMAC(Media Access Control)アドレスを含む項目1または2に記載の通信装置(200)。
【0047】
(項目4)
前記第1通信部(210)が前記端末装置(100)から受信した事前情報をもとに、前記端末装置(100)を端末認証する端末認証部(250)をさらに備え、
前記第1通信部(210)は、前記端末認証部(250)において端末認証された前記端末装置(100)と接続する項目1から3のいずれか1項に記載の通信装置(200)。
【0048】
(項目5)
前記事前情報は、クレデンシャル情報を含む項目4に記載の通信装置(200)。
【0049】
(項目6)
前記端末情報をもとに、前記端末装置(100)を端末認証する端末認証部(252)をさらに備え、
前記第2通信部(220)は、前記端末認証部(252)において端末認証された前記端末装置(100)と接続する項目1から3のいずれか1項に記載の通信装置(200)。
【0050】
(項目7)
前記第2通信部(220)は、所定の条件に基づく優先順位において、いずれかの前記端末装置(100)と接続する項目1から6のいずれかに1項に記載の通信装置(200)。
【0051】
(項目8)
前記所定の条件は、前記第1通信部(210)が前記端末装置(100)から受信した信号の受信強度を含む項目7に記載の通信装置(200)。
【0052】
(項目9)
前記所定の条件は、前記第1通信部(210)との接続開始のタイミングまたは接続継続時間の少なくとも1つを含む項目7に記載の通信装置(200)。
【0053】
(項目10)
前記所定の条件は、予め規定された優先度を含む項目7に記載の通信装置(200)。
【0054】
(項目11)
前記第1通信部(210)において同時接続可能な前記端末装置(100)の数がX台であり、
前記第2通信部(220)において同時接続可能な前記端末装置(100)の数がY(X>Y)台であり、
前記第1通信部(210)は、Y台よりも多い数の前記端末装置(100)と通信し、
前記第2通信部(220)は、前記Y台よりも多い数の前記端末装置(100)と前記第1通信部(210)との通信がなされる場合、Y台以下の前記端末装置(100)と通信し、残りの前記端末装置(100)を待機させ、
前記第2通信部(220)は、前記端末装置(100)との通信が終了した後、待機中の前記端末装置(100)との通信を開始する項目1から10のいずれか1項に記載の通信装置(200)。
【0055】
(項目12)
前記端末装置(100)のうちの1つを第1端末装置(100)と呼び、前記端末装置(100)のうちの別の1つを第2端末装置(100)と呼ぶ場合、
前記第1端末装置(100)が前記第2通信部(220)の通信開始を待機している場合に、前記第1端末装置(100)が前記第1通信部(210)に接続開始してから所定の期間経過すると、
前記第2通信部(220)は、一番先に通信を開始した前記第2端末装置(100)との通信を切断して前記第1端末装置(100)との通信を開始する項目1から11のいずれか1項に記載の通信装置(200)。
【0056】
(項目13)
前記第2通信部(220)は、前記端末装置(100)または前記通信装置(200)からのトリガをもとに、前記端末装置(100)との通信を開始する項目1から12のいずれか1項に記載の通信装置(200)。
【0057】
(項目14)
第1無線通信方式により通信するステップと、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信するステップとを備え、
前記第2無線通信方式では、前記第1無線通信方式よりも同時接続可能な端末装置(100)の数が同数または少なく、
前記第2無線通信方式により通信するステップは、前記第1無線通信方式での通信により前記端末装置(100)から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置(100)と通信可能である通信方法。
【0058】
(項目15)
第1無線通信方式により通信するステップと、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式により通信するステップとを備え、
前記第2無線通信方式では、前記第1無線通信方式よりも同時接続可能な端末装置(100)の数が同数または少なく、
前記第2無線通信方式により通信するステップは、前記第1無線通信方式での通信により前記端末装置(100)から受信した端末情報をもとに、いずれかの前記端末装置(100)と通信可能であることをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0059】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0060】
10 端末装置、 20 認証装置、 22 第1通信部、 24 第2通信部、 100 端末装置、 110 ユーザ、 130 ゲート、 200 認証装置、 210 第1通信部、 220 第2通信部、 230 制御部、 240 記憶部、 250 第1端末認証部、 252 第2端末認証部、 254 選択部、 256 測定部、 258 認証部、 1000 入退管理システム。