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  • 特開-切替装置および通信システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145956
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】切替装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/44 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H04B1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058585
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】足立 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】西野 大生
(72)【発明者】
【氏名】河下 真臣
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011BA01
5K011DA01
5K011DA21
5K011FA01
5K011JA03
5K011KA01
5K011KA12
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で複数の無線機のうちの1つを送信可能にする。
【解決手段】切替装置(3)は、送信信号を伝送する送信経路(TP)と、受信信号を伝送する受信経路(RP)と、無線機(1,2)のうち、1つを送信経路(TP)に接続するとともに、他の1つを受信経路(RP)に接続するように経路を切り替える主経路切替部(4)と、受信経路(RP)に接続された無線機(1,2)に送信を許可する許可コマンド(CMDOK)を出力し、受信経路(RP)に接続された無線機(1,2)に送信を禁止する禁止コマンド(CMDNG)信号を出力するコマンド出力部(92)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を伝送する送信経路と、
受信信号を伝送する受信経路と、
複数の無線機のうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するように経路を切り替える経路切替部と、
前記送信経路に接続された前記無線機に送信を許可する許可信号を出力するとともに、前記受信経路に接続された前記無線機に送信を禁止する禁止信号を出力する送信制御部と、を備える、切替装置。
【請求項2】
予め前記切替装置に接続されている複数のアンテナのうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するように切り替えるアンテナ切替部をさらに備える、請求項1に記載の切替装置。
【請求項3】
前記送信経路を伝送される前記送信信号を増幅する増幅器をさらに備える、請求項1または2に記載の切替装置。
【請求項4】
複数の無線機と、
複数のアンテナと、
前記複数の無線機と前記複数のアンテナとの接続を切り替える切替装置と、を備え、
前記切替装置は、
送信信号を伝送する送信経路と、
受信信号を伝送する受信経路と、
前記複数の無線機のうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するように経路を切り替える経路切替部と、
前記送信経路に接続された前記無線機に送信を許可する許可信号を出力するとともに、前記受信経路に接続された前記無線機に送信を禁止する禁止信号を出力する送信制御部と、
予め前記切替装置に接続されている複数のアンテナのうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するようにアンテナを切り替えるアンテナ切替部と、を有し、
前記複数の無線機は、前記許可信号を受けると送信可能となり、前記禁止信号を受けると受信のみが可能となる、通信システム。
【請求項5】
前記切替装置は、前記送信経路を伝送される前記送信信号を増幅する増幅器をさらに備える、請求項4に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線機の送信および受信を切り替える切替装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線機を運用する場合、接続された複数の無線機から選択された1つの無線機にアンテナを接続する切替装置を用いることが知られている。例えば、特許文献1には、2つの信号入力端子に入力される信号を、それぞれがアッテネータを介して伝送される入力経路を信号切り替えスイッチにより切り替ることで、1つのアンテナに入力する伝送回路が記載されている。
【0003】
上記の伝送回路では、1つの無線機のみがアンテナに接続されるため、複数の無線機を運用する場合、1台の無線機のみが運用可能となり、他の無線機を運用することができない。また、アマチュア無線の運用形態として、SO2R(Single Operator two Radios)が知られている。アマチュア無線のコンテストでは、SO2Rの運用形態において2波同時送信が規約違反となる場合がある。このため、他の無線機は受信のみを可能とすることが要望される。
【0004】
上記のような要望に対し、複数の無線機に対する送信操作(PTT操作)を制御するインターロック装置が存在している。このようなインターロック装置は、複数の無線機とそれぞれのマイクとの間に配置され、1つのマイクで送信操作がされている間には、他方のマイクでの送信操作を受け付けないことにより、1つの無線機のみを送信を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-215128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、1つの無線機を送信可能にするためにインターロック装置が必要となることから、システム構成が複雑となる上、コストが嵩むという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、簡素な構成で複数の無線機のうちの1つを送信可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る切替装置は、送信信号を伝送する送信経路と、受信信号を伝送する受信経路と、複数の無線機のうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するように経路を切り替える経路切替部と、前記送信経路に接続された前記無線機に送信を許可する許可信号を出力するとともに、前記受信経路に接続された前記無線機に送信を禁止する禁止信号を出力する送信制御部と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信システムは、複数の無線機と、複数のアンテナと、前記複数の無線機と前記複数のアンテナとの接続を切り替える切替装置と、を備え、前記切替装置は、送信信号を伝送する送信経路と、受信信号を伝送する受信経路と、前記複数の無線機のうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するように経路を切り替える経路切替部と、前記送信経路に接続された前記無線機に送信を許可する許可信号を出力するとともに、前記受信経路に接続された前記無線機に送信を禁止する禁止信号を出力する送信制御部と、予め前記切替装置に接続されている複数のアンテナのうち、1つを前記送信経路に接続するとともに、残余を前記受信経路に接続するようにアンテナを切り替えるアンテナ切替部と、を有し、前記複数の無線機は、前記許可信号を受けると送信可能となり、前記禁止信号を受けると受信のみが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、簡素な構成で複数の無線機のうちの1つを送信可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】上記通信システムにおける切替装置が2台の無線機のうち1台を送信可能にするとともに他の1台を送信不可にする状態を示す図である。
図3】上記通信システムにおける切替装置が2台の無線機のうち1台を送信可能にするとともに他の1台を送信不可にする他の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図3を参照して説明する。
【0013】
〈通信システムの概要〉
図1は、本実施形態に係る通信システム10の構成を示すブロック図である。
【0014】
通信システム10は、2台の無線機1,2と、切替装置3と、6基のアンテナA1~A6とを備えている。通信システム10は、切替装置3により、無線機1,2とアンテナA1~A6との接続を切り替える。また、通信システム10は、切替装置3により、無線機1,2のいずれか一方を送信可能にし、他方を送信不可にする。
【0015】
〈切替装置の構成〉
切替装置3は、主経路切替部4(経路切替部)と、増幅器5(図中「PA」にて示す)と、ローパスフィルタ6(図中「LPF」にて示す)と、アンテナ切替部7と、操作部8と、制御装置9と、スイッチSW1,SW2とを備えている。また、切替装置3は、信号経路として、送信経路TPと、受信経路RPと、第1制御経路CP1と、第2制御経路CP2とを備えている。送信経路TPは、2つの第1経路TP1および第2経路TP2により構成されている。さらに、切替装置3は、外部機器との接続のためコネクタとして、通信コネクタC11,C21と、制御コネクタC12,C22と、アンテナコネクタAC1~AC6とを有している。
【0016】
通信コネクタC11は、無線機1との間で送信信号および受信信号の授受を行うために、無線機1と切替装置3とを接続する通信ケーブルが接続されるコネクタである。通信コネクタC21は、無線機2との間で送信信号および受信信号の授受を行うために、無線機2と切替装置3とを接続する通信ケーブルが接続されるコネクタである。
【0017】
制御コネクタC12は、無線機1へ制御コマンドを出力するために、無線機1と切替装置3とを接続する制御ケーブルが接続されるコネクタである。制御コネクタC22は、無線機2へ制御コマンドを出力するために、無線機2と切替装置3とを接続する制御ケーブルが接続されるコネクタである。
【0018】
アンテナコネクタAC1~AC6は、それぞれアンテナA1~A6が接続されるコネクタである。
【0019】
主経路切替部4は、送信信号および受信信号を伝送する通信伝送経路を切り替える切替回路である。主経路切替部4は、無線機側の端子として、通信端子RT11,RT21を有し、内部側(経路側)の端子として、通信端子IT11,IT21を有している。通信端子RT11,RT21は、それぞれ通信コネクタC11,C21と接続されている。
【0020】
主経路切替部4は、通信端子RT11,IT11を結ぶ第1通信伝送経路、通信端子RT21,IT21を結ぶ第2通信伝送経路、通信端子RT11,IT21を結ぶ第3通信伝送経路、および通信端子RT21,IT11を結ぶ第4通信伝送経路を有している。各通信伝送経路は、送信信号および受信信号を伝送する。
【0021】
主経路切替部4は、第1接続モードと第2接続モードとで各伝送経路の接続形態を切り替える。第1接続モードは、第1通信伝送経路および第2通信伝送経路を形成する。第2接続モードは、第3通信伝送経路および第4通信伝送経路を形成する。
【0022】
スイッチSW1は、主経路切替部4の通信端子IT11と第1経路TP1との接続、および通信端子IT11と第2経路TP2との接続を切り替える。第1経路TP1には、スイッチSW1側から、増幅器5と、ローパスフィルタ6とが配置されている。増幅器5は、スイッチSW1を経て入力される送信信号を増幅する。ローパスフィルタ6は、増幅器5により増幅された送信信号の所定の低周波成分を通過させる。スイッチSW2は、アンテナ切替部7の後述する通信端子IT1と第1経路TP1との接続、および通信端子IT1と第2経路TP2との接続を切り替える。スイッチSW1,SW2は、連動して切替動作を行い、いずれも第1経路TP1および第2経路TP2のうちの一方に接続される。
【0023】
受信経路RPは、受信信号を伝送する経路である。受信経路RPは、主経路切替部4の通信端子IT21と、アンテナ切替部7の後述する通信端子IT2とを接続する。
【0024】
アンテナ切替部7は、送信経路TPおよび受信経路RPとアンテナA1~A6との接続を切り替える。アンテナ切替部7は、内部側(経路側)の端子として通信端子IT1,IT2を有するとともに、アンテナ側の端子としてアンテナ端子AT1~AT6を有している。アンテナ端子AT1~AT6は、それぞれアンテナコネクタAC1~AC6に接続されている。通信端子IT1は、スイッチSW2の共通端子に接続されている。通信端子IT2は、上述したように受信経路RPと接続されている。
【0025】
アンテナ切替部7は、通信端子IT1と、アンテナ端子AT1~AT6のうちのいずれか1つとを接続するように接続経路を切り替える。また、アンテナ切替部7は、通信端子IT2と、アンテナ端子AT1~AT6のうちの通信端子IT1に接続された1つを除くいずれか1つとを接続するように接続経路を切り替える。
【0026】
操作部8は、切替装置3の図示しない正面パネルに設けられている。操作部8は、ユーザの操作を受け付けるために、タッチパネル、操作ボタンなどの入力デバイスを有している。特に、操作部8は、上述した第1接続モードおよび第2接続モードのいずれか1つを上記の入力デバイスにより選択できるように構成されている。また、操作部8は、第1経路TP1および第2経路TP2のいずれか1つを上記の入力デバイスにより選択できるように構成されている。また、操作部8は、送信経路TPおよび受信経路RPにそれぞれ接続するアンテナを上記の入力デバイスにより選択できるように構成されている。
【0027】
操作部8は、接続モードとして第1接続モードおよび第2接続モードのいずれか1つを選択する操作が行われると、選択された接続モードを示すモード選択信号を制御装置9に出力する。また、操作部8は、第1経路TP1および第2経路TP2のいずれか1つを選択する操作が行われると、経路選択信号を制御装置9に出力する。また、操作部8は、送信経路TPおよび受信経路RPに接続するアンテナをアンテナA1~A6から選択する操作が行われると、アンテナ選択信号を制御装置9に出力する。
【0028】
制御装置9は、切替装置3の制御対象となる部分の制御、特に経路の切り替え制御やアンテナの切り替え制御を行う。また、制御装置9は、無線機1,2に制御コマンドを出力する。制御装置9は、これらの機能を実現するために、経路切替制御部91と、コマンド出力部92(送信制御部)と、スイッチ制御部93と、アンテナ切替制御部94とを有している。
【0029】
経路切替制御部91は、操作部8からのモード選択信号に基づいて、主経路切替部4に第1接続モードと第2接続モードとの切り替えを指令するモード切替信号を、主経路切替部4に出力する。
【0030】
コマンド出力部92は、操作部8からの第1接続モードを選択することを示すモード選択信号に応じて、第1制御経路CP1に制御コマンドとして送信許可コマンドCMDOK(許可信号)を出力するとともに、第2制御経路CP2に制御コマンドとして送信禁止コマンドCMDNG(禁止信号)を出力する。また、コマンド出力部92は、操作部8からの第2接続モードを選択することを示すモード選択信号に応じて、第2制御経路CP2に送信許可コマンドCMDOKを出力するとともに、第1制御経路CP1に送信禁止コマンドCMDNGを出力する。第1制御経路CP1は、制御コネクタC12に接続されている。第2制御経路CP2は、制御コネクタC22に接続されている。
【0031】
スイッチ制御部93は、操作部8からの経路選択信号に基づいて、スイッチSW1,SW2を切り替え動作させる動作信号をスイッチSW1,SW2に出力する。アンテナ切替制御部94は、操作部8からのアンテナ選択信号に基づいて、アンテナ切替信号をアンテナ切替部7に出力する。
【0032】
〈無線機の構成〉
無線機1,2は、例えば、アマチュア無線で音声信号の送受信に使用できる周波数帯の周波数が設定可能であり、アマチュア無線機として使用することができる。ただし、無線機1,2の使用形態がアマチュア無線機に限定されることはない。無線機1,2は、それぞれ、送受信部11,21と、PTT(Push to Talk)スイッチ12,22と、制御部13,23と、通信コネクタRCと、制御コネクタCCとを備えている。
【0033】
送受信部11,21は、送信処理および受信処理を行う。PTTスイッチ12,22は、無線機1,2に設けられた図示しないマイクに付属しており、送信時にユーザにより操作される。送受信部11,21は、PTTスイッチ12,22の操作時に送信処理を行い、PTTスイッチ12,22の非操作時に受信処理を行う。
【0034】
送受信部11,21は、通信コネクタRCを介して、送信信号を出力するとともに受信信号が入力される。無線機1の通信コネクタRCは、切替装置3の通信コネクタC11に接続されている。無線機2の通信コネクタRCは、切替装置3の通信コネクタC21に接続されている。
【0035】
制御部13,23は、送受信部11,21を制御する。制御部13,23には、制御コネクタCCを介して制御コマンドが入力される。無線機1の制御コネクタCCは、切替装置3の制御コネクタC12に接続されている。無線機2の制御コネクタCCは、切替装置3の制御コネクタC22に接続されている。
【0036】
制御部13,23は、コマンド出力部92からの制御コマンドとして送信許可コマンドCMDOKが入力されると、送信可能のフラグをセットし、制御コマンドとして送信禁止コマンドCMDNGが入力されると、送信不可のフラグをセットする。制御部13,23は、送信可能のフラグに基づいて送信許可指令を送受信部11,21に出力し、送信不可のフラグに基づいて送信禁止指令を送受信部11,21に出力する。
【0037】
送受信部11,21は、それぞれ、制御部13,23からの送信許可指令に基づいて、PTTスイッチ12,22からの操作信号を有効にすることにより、送信可能な状態にする。また、送受信部11,21は、それぞれ、制御部13,23からの送信禁止指令に基づいて、PTTスイッチ12,22からの操作信号を無効にすることにより、送信不可の受信のみが可能な状態にする。
【0038】
〈切替装置による送受信切替動作〉
図2は、通信システム10における切替装置3が2台の無線機1,2のうち1台を送信可能にするとともに他の1台を送信不可にする状態を示す図である。図3は、通信システム10における切替装置3が2台の無線機1,2のうち1台を送信可能にするとともに他の1台を送信不可にする他の状態を示す図である。
【0039】
操作部8において、第1接続モードが選択される操作が行われた場合、経路切替制御部91は、第1接続モードに切り替えることを示すモード切替信号を出力する。主経路切替部4は、当該モード切替信号を受けて、第1通信伝送経路を形成するとともに、第2通信伝送経路を形成する。これにより、無線機1は、主経路切替部4の第1通信伝送経路を介して送信経路TPに接続される。一方、無線機2は、主経路切替部4の第2通信伝送経路を介して受信経路RPに接続される。
【0040】
コマンド出力部92は、操作部8からのモード選択信号に基づいて、第1制御経路CP1に送信許可コマンドCMDOKを出力し、第2制御経路CP2に送信禁止コマンドCMDNGを出力する。
【0041】
この状態で、図2に示すように、無線機1には、切替装置3のコマンド出力部92から出力された送信許可コマンドCMDOKが入力され、無線機2には、コマンド出力部92から出力された送信禁止コマンドCMDNGが入力される。これにより、無線機1は、PTTスイッチ12を有効にして送信可能な状態となる。また、無線機2は、PTTスイッチ22を無効にして送信不可の受信のみが可能な状態となる。
【0042】
操作部8において、第2接続モードが選択される操作が行われた場合、経路切替制御部91は、第2接続モードに切り替えることを示すモード切替信号を出力する。主経路切替部4は、当該モード切替信号を受けて、第3通信伝送経路を形成するとともに、第4通信伝送経路を形成する。これにより、無線機1は、主経路切替部4の第3通信伝送経路を介して受信経路RPに接続される。一方、無線機2は、主経路切替部4の第4通信伝送経路を介して送信経路TPに接続される。
【0043】
コマンド出力部92は、操作部8からのモード選択信号に基づいて、第1制御経路CP1に送信禁止コマンドCMDNGを出力し、第2制御経路CP2に送信許可コマンドCMDOKを出力する。
【0044】
この状態で、図3に示すように、無線機1には、コマンド出力部92から出力された送信禁止コマンドCMDNGが入力され、無線機2には、コマンド出力部92から出力された送信許可コマンドCMDOKが入力される。これにより、無線機1は、PTTスイッチ12を無効にして送信不可の受信のみが可能な状態となる。また、無線機2は、PTTスイッチ22を有効にして送信可能な状態となる。
【0045】
〈切替装置による送信経路切替動作〉
操作部8において、第1経路TP1を選択する操作が行われた場合、スイッチ制御部93は、第1経路TP1に接続することを示す動作信号を出力する。スイッチSW1は、当該動作信号を受けて、主経路切替部4の通信端子IT11を第1経路TP1に接続する。また、スイッチSW2は、上記の動作信号を受けて第1経路TP1をアンテナ切替部7の通信端子IT1に接続する。これにより、主経路切替部4を経た送信信号は、第1経路TP1に導かれ、増幅器5による増幅処理およびローパスフィルタ6によるフィルタ処理が施されてアンテナ切替部7に出力される。
【0046】
操作部8において、第2経路TP2を選択する操作が行われた場合、スイッチ制御部93は、第2経路TP2に接続することを示す動作信号を出力する。スイッチSW1は、当該動作信号を受けて、主経路切替部4の通信端子IT11を第2経路TP2に接続する。また、スイッチSW2は、上記動作信号を受けて第2経路TP2をアンテナ切替部7の通信端子IT1に接続する。これにより、主経路切替部4を経た送信信号は、第2経路TP2を介してアンテナ切替部7に導かれる。
【0047】
〈切替装置によるアンテナ切替動作〉
操作部8において、例えば、送信経路TPをアンテナA1に接続する操作が行われた場合、アンテナ切替制御部94は、通信端子IT1をアンテナ端子AT1に接続することを示すアンテナ選択信号を出力する。アンテナ切替部7は、当該アンテナ選択信号を受けて、通信端子IT1をアンテナ端子AT1に接続する。また、受信経路RPをアンテナA2に接続する操作が行われた場合、アンテナ切替制御部94は、通信端子IT2をアンテナ端子AT2に接続することを示すアンテナ選択信号を出力する。アンテナ切替部7は、当該アンテナ選択信号を受けて、通信端子IT2をアンテナ端子AT2に接続する。
【0048】
〈実施形態の効果〉
本実施形態に係る通信システム10は、無線機1,2と、アンテナA1~A6と、無線機1,2とアンテナA1~A6との接続を切り替える切替装置3とを備える。切替装置3は、送信経路TPと、受信経路RPと、第1制御経路CP1と、第2制御経路CP2と、主経路切替部4と、コマンド出力部92とを備えている。主経路切替部4は、無線機1,2のうち、1つを送信経路TPに接続するとともに、残余を受信経路RPに接続するように経路を切り替える。コマンド出力部92は、送信経路TPに接続された無線機1または2に送信許可コマンドCMDOKを出力するとともに、受信経路RPに接続された無線機2または1に送信禁止コマンドCMDNGを出力する。
【0049】
上記の構成によれば、コマンド出力部92からの送信許可コマンドCMDOKが、第1制御経路CP1を介して送信経路TPに接続された、例えば無線機1に与えられる。また、送信禁止コマンドCMDNGが、第2制御経路CP2を介して受信経路RPに接続された、例えば無線機2に与えられる。
【0050】
これにより、送信経路TPに接続された無線機1は、送信許可コマンドCMDOKに基づいて、送信可能とするように自身を制御することができる。また、受信経路RPに接続された無線機2は、送信禁止コマンドCMDNGに基づいて、送信を不可として受信のみを可能とするように自身を制御することができる。それゆえ、上述したようなインターロック装置を用いることなく、無線機1,2のうちの1つを送信可能にし、残余を受信のみを可能にすることができる。
【0051】
ところで、特許文献1に記載されたような送信用の伝送回路に送受信を並行して行うように受信機能を持たせる場合、当該伝送回路に受信回路を設けることになる。この場合、送信用の無線機を送信回路に接続し、受信用の無線機を受信回路に接続するという切り替えを手動で行う必要がある。しかしながら、その切り替え操作を誤ると、受信回路に送信信号が入力されることにより、受信回路がダメージを受けるという問題がある。
【0052】
これに対し、通信システム10では、送信経路TPに接続された無線機1のみが送信可能となるので、上記のような問題は生じない。
【0053】
切替装置3は、予め切替装置3に接続されている複数のアンテナA1~A6のうち、1つを送信経路TPに接続するとともに、他の1つを受信経路RPに接続するように切り替えるアンテナ切替部7を備えている。
【0054】
上記の構成によれば、送信可能な無線機1,2のいずれか1つを送信の周波数帯に適したアンテナに接続し、送信不可である無線機1,2の他方を受信周波数帯に適したアンテナに接続することができる。
【0055】
切替装置3は、送信経路TPを伝送される送信信号を増幅する増幅器5に備えている。
【0056】
上記の構成によれば、送信信号を増幅することにより、送信距離を伸ばすことができる。
【0057】
〈変形例〉
上述した実施形態では、通信システム10が2台の無線機1,2を備える構成について説明したが、これに限らず、通信システム10は、3台以上の無線機を備えていてもよい。また、送信経路TPは、送信信号を伝送するのみではなく、受信信号を伝送してもよい。さらに、通信システム10は、最大で6基のアンテナA1~A6が接続可能な構成であるが、7基以上のアンテナが接続可能に構成されていてもよい。
【0058】
上述した無線機1,2は、PTTスイッチ12,22の操作により送信を行うように構成されているが、これに限らず、他の送信操作を行うように構成されていてもよい。このような無線機1,2では、制御部13,23からの送信許可指令に基づいて、当該送信操作を有効にし、制御部13,23からの送信禁止指令に基づいて、当該送信操作を無効にする。
【0059】
〔ソフトウェアによる実現例〕
切替装置3の機能は、切替装置3としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。当該プログラムは、切替装置3の制御装置9における制御ブロック(特に経路切替制御部91、コマンド出力部92、スイッチ制御部93およびアンテナ切替制御部94)としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0060】
この場合、制御装置9は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、上述したCPUおよびメインメモリをそれぞれ少なくとも1つ備えている。このCPUおよびメインメモリにより上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0061】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、切替装置3が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0062】
また、制御装置9の制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。
【0063】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1,2 無線機
3 切替装置
4 主経路切替部(経路切替部)
7 アンテナ切替部
10 通信システム
92 コマンド出力部(送信制御部)
A1~A6 アンテナ
CP1 第1制御経路
CP2 第2制御経路
TP 送信経路
RP 受信経路
CMDOK 許可コマンド(許可信号)
CMDNG 禁止コマンド(禁止信号)
図1
図2
図3