(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145962
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】汚泥焼却方法及び混合汚泥焼却システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/06 20060101AFI20241004BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20241004BHJP
F23G 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C02F11/06 ZAB
F23G5/50 G
F23G5/50 K
F23G5/50 N
F23G5/50 Q
F23G7/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058597
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 均
【テーマコード(参考)】
3K062
3K161
4D059
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC02
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB03
3K062DA01
3K062DA07
3K062DA32
3K062DA35
3K062DB01
3K062DB12
3K062DB28
3K161AA40
3K161CA01
3K161DB32
3K161EA32
3K161FA23
3K161FA32
3K161FA35
3K161FA67
3K161FA73
3K161GA12
4D059AA03
4D059AA23
4D059BB01
4D059BJ00
4D059CB09
4D059EA01
4D059EA02
4D059EA06
4D059EB02
4D059EB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の性状の異なる汚泥を混合させた混合汚泥Kを焼却炉で最小のランニングコストで燃焼させる汚泥の燃焼方法を提供する。
【解決手段】焼却炉30で燃焼される性状の異なる汚泥を混合させた混合汚泥Kを、補助燃料と冷却水を低減できるかもしくは必要としない混合汚泥に変換して前記焼却炉に投入する汚泥混合投入方法であって、焼却炉に供給する混合汚泥を、混合されるそれぞれの汚泥の流量と含水率を流量計5と含水率計6から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、当該水分量に基づいて混合する汚泥の混合割合を決める。当該混合汚泥を焼却炉に供給し燃焼させ、混合汚泥の燃焼中の焼却炉内の炉内温度に基づいて、混合機20に移送する汚泥の混合割合を変えて焼却炉に供給し汚泥焼却に必要な補助燃料費と冷却水費を最小にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の性状の異なる汚泥を混合させた混合汚泥Kを、補助燃料と冷却水を低減できるかもしくは必要としない混合汚泥に変換して焼却炉に投入し焼却する汚泥焼却方法であって、
前記混合汚泥を焼却炉に供給し燃焼させ、混合汚泥の燃焼中の焼却炉内の炉内温度に基づいて、補助燃料と冷却水の供給量を調整することで炉内温度を制御する炉内温度制御ステップと、
それぞれの汚泥の流量と含水率を流量計と含水率計から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、
当水分量に基づいて混合する汚泥の混合割合を決め、当該混合割合に基づいて汚泥を混合する汚泥混合割合制御ステップと、
前記汚泥混合割合制御ステップを受けて焼却炉に供給する混合汚泥の混合割合を調整する混合流量制御ステップと、
を含むことを特徴とする汚泥焼却方法。
【請求項2】
複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を混合機(20)に移送する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、前記混合機(20)により汚泥が混合された混合汚泥Kを貯留し焼却炉(30)に供給する少なくとも1つ以上の供給ホッパ(21)と供給ホッパ(21)に設けられた移送ポンプ(23)と、
焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の前記貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【請求項3】
複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を混合機(20)に移送する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、
焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の前記貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、下水処理場の下水処理の過程で生じた性状(含水率等)の異なる汚泥を混合して焼却炉で焼却する際に、性状(含水率、発熱量)の異なる汚泥の割合を制御する方法及び汚泥焼却するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理の過程で沈殿分離させた固形物は濃縮、脱水され、脱水汚泥が発生する。脱水汚泥は通常焼却処理されるが、脱水汚泥をそのまま焼却する場合と、嫌気性消化により減容化して焼却する場合がある。後者はメタン発酵反応を利用するもので、メタンガスとしてのエネルギー資源の有効利用につながるものである。しかしながら、消化を行うと汚泥中の固形物の分解物と水分との親和性が高くなってしまい、含水率の高い、脱水しにくい汚泥を生じる。大都市などでは各下水処理場から汚泥を車両や移送管で集約する施設があり、消化反応後の消化汚泥などの含水率の高い汚泥と消化汚泥を含まない比較的含水率の低い汚泥が入り混じった状態で運ばれることになる。従って、集約施設の焼却炉では、焼却する汚泥を供給するホッパに含水率の違いのある汚泥が層状に積み重なる状況となる。また、焼却炉には複数の汚泥供給配管が設けられ、汚泥供給配管の系統により、燃えにくい高含水率・低発熱量の汚泥が供給ホッパに供給されたり、低含水率・高発熱量の汚泥が供給ホッパに供給されたり、時間の経過によってそれらの性状の汚泥が入り混じることで、供給ホッパに含水率と発熱量に違いのある汚泥が層状に積み重なる状況となる。
集約施設でなくとも、焼却炉のある下水処理場においては、最初沈殿池の固形物濃度の高い生汚泥(低含水率で高発熱量)と最終沈殿池の微生物由来の余剰汚泥(高含水率で低発熱量)があり、加えて、汚泥消化工程を経る汚泥と汚泥消化工程を経ない汚泥があったりする場合があり、焼却での供給ホッパに含水率の違いのある汚泥が層状に積み重なる状況が生じえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
焼却での供給ホッパに含水率の違いのある汚泥が層状に積み重なると、燃えやすい汚泥と燃えにくい汚泥を焼却炉に供給することとなり、焼却炉において燃焼温度が変動する。燃焼温度の制御は重油や都市ガスなどの補助燃料の供給量を調整したり、炉内へ冷却水を注水したりして調整するが、燃焼温度の変動に合わせてそれらをきめ細やかに調整する必要が生ずる。そして燃焼温度の変動が大きくなると、本来汚泥の持つ発熱量を有効利用せずに冷却水を注水することによる無駄な補助燃料の消費につながったり、高い燃焼温度での焼却炉の運転によって補助燃料を無駄に消費することにつながったりすることになる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、性状の異なる汚泥を混合機で混合し、当該混合された汚泥(以下、混合汚泥K)を焼却炉に投入し、当該焼却炉内の炉内温度に基づいて混合機に移送する性状の異なる汚泥の汚泥量を調整することで補助燃料と冷却水の消費を最小にとどめることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的達成のため、 本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
〔1〕複数の性状の異なる汚泥を混合させた混合汚泥Kを、補助燃料と冷却水を低減できるかもしくは必要としない混合汚泥に変換して焼却炉に投入し焼却する汚泥焼却方法であって、
前記混合汚泥を焼却炉に供給し燃焼させ、混合汚泥の燃焼中の焼却炉内の炉内温度に基づいて、補助燃料と冷却水の供給量を調整することで炉内温度を制御する炉内温度制御ステップと、
それぞれの汚泥の流量と含水率を流量計と含水率計から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、
当水分量に基づいて混合する汚泥の混合割合を決め、当該混合割合に基づいて汚泥を混合する汚泥混合割合制御ステップと、
前記汚泥混合割合制御ステップを受けて焼却炉に供給する混合汚泥の混合割合を調整する混合流量制御ステップと、
を含むことを特徴とする汚泥焼却方法。
【0006】
〔2〕複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を混合機(20)に移送する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、前記混合機(20)により汚泥が混合された混合汚泥Kを貯留し焼却炉(30)に供給する少なくとも1つ以上の供給ホッパ(21)と供給ホッパ(21)に設けられた移送ポンプ(23)と、
焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の前記貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【0007】
〔3〕複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を混合機(20)に移送する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、
焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記混合機(20)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の前記貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混合汚泥の混合割合を適宜制御することができるので、補助燃料と冷却水の消費を最小にとどめて性状の異なる汚泥を燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】第1実施例の汚泥混合割合制御のフローチャート
【
図4】第1実施例の汚泥混合割合制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明の第1の実施例を示す概要構成図である。
本実施例1は、汚泥Aを貯留する第一貯留ホッパ1と、第一貯留ホッパ1内の汚泥Aを排出す汚泥排出機2と、汚泥Aを供給する移送ポンプ3と、汚泥Aと性状の異なる汚泥Bを貯留する第二貯留ホッパ11と、第二貯留ホッパ11内の汚泥Bを排出す汚泥排出機12と、汚泥Bを供給する移送ポンプ13と、
前記移送ポンプ3と移送ポンプ13により供給された汚泥Aと汚泥Bとを混合する混合機20と、当該混合機20から供給された混合汚泥Kを貯留し焼却炉に供給する供給ホッパ21と、当該供給ホッパ21内の混合汚泥Kを排出す汚泥排出機22と、混合汚泥Kを供給する移送ポンプ23とを備える。
なお、本実施例では性状の異なる汚泥A,Bがそれぞれ供給される経路として説明するが、実際は各供給経路で時間によって汚泥の含水率と発熱量の汚泥の性状が変化するものであり、必ずしも各供給経路で供給される汚泥の性状が異なるものではないことを断っておく。前記移送ポンプ3と混合機20に接続された配管4の途中には汚泥の流量を計測する流量計5と汚泥の含水率を計測する含水率計6が、移送ポンプ13と混合機20に接続された配管14の途中には汚泥の流量を計測する流量計15と汚泥の含水率を計測する含水率計16が設けられている。
以上が混合汚泥Kを焼却炉30へ供給する汚泥流量制御系を構成する。
【0012】
焼却炉30には、炉内温度を計測する炉内温度計31が設けられている。
また、炉内で汚泥が燃焼されている炉内温度に応じて炉内を冷却する冷却水供給系と、炉内温度を調節する補助燃料供給系とが設けられている。
冷却水供給系には、焼却炉30内に冷却水を供給する冷却水供給装置32と、当該冷却水供給装置32と前記焼却炉30に接続された配管33の途中に冷却水流量計34と冷却水調整弁35が設けられている。
補助燃料供給系には、焼却炉30内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置42と、当該補助燃料供給装置42と前記焼却炉30に接続された配管43の途中に補助燃料流量計44と補助燃料調整弁45が設けられている。
【0013】
本発明の第1の実施例を示す概要構成図においては、制御装置60と演算器50が設けられている。
演算器50は、流量計5(15)と含水率量計6(16)により測定された汚泥A(汚泥B)の流量値と含水率値を受け演算し演算値として汚泥A(汚泥B)の水分量(流量単位時間あたり)を求める。
制御装置60は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であり、PLCが実行する制御プログラムに基づいて動作する。そして、制御装置60は、炉内各種センサ(炉内温度計、冷却水流量計、補助燃料流量計)や演算器50から信号を受け取り、内蔵する制御プログラムにより、前記受け取った信号に対応した制御信号を各種機器(冷却水調整弁、補助燃料調整弁、インバータ駆動モータ7及び17(以降、モータと称する。)に送り各種機器を制御する。
図において、矢印の付いた破線は、制御装置60から冷却水調整弁35、補助燃料調整弁45やモータ7、17に制御信号を送る信号線を示す。
例えば、制御装置60は、炉内温度計31からの炉内温度値を受け、該炉内温度値に基づいて開度指令信号を冷却水調整弁35に送り、当該冷却水調整弁35の開度を調整する。
または、炉内温度計31からの温度値を受け、該炉内温度値に基づいて開度指令信号を補助燃料調整弁45に送り、当該補助燃料調整弁45の開度を調整する。
【0014】
第1実施例による焼却炉への混合汚泥Kの供給方法を説明する。
下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Aが貯留されている第一貯留ホッパ1から汚泥Aを汚泥排出機2と、移送ポンプ3とにより混合機20に移送する。
このとき、前記移送ポンプ3と混合機20に接続された配管4に設けられている汚泥流量を測定する流量計5と含水率計6により汚泥Aの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Aの水分量の演算値が求められる。
一方下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Bが貯留されている第二貯留ホッパ11から汚泥Bを汚泥排出機12と、移送ポンプ13とにより混合機20に移送する。
このとき、前記移送ポンプ13と混合機20に接続された配管14に設けられている汚泥流量を測定する流量計15と含水率計16により汚泥Bの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Bの水分量の演算値が求められる。
このときの、前記流量計(5,15)と含水率計(6,16)で汚泥Aと汚泥Bの流量と含水率を測定しその測定値を演算器50に出力し、当該演算器50で演算(含水率値×流量値)が行われ、より補助燃料と冷却水を使用しない混合汚泥となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で混合機20へ移送し、当該混合機20で汚泥Aと汚泥Bを混合させ混合汚泥Kを均一化する。
そして、混合機20から前記混合汚泥Kが供給ホッパ21に移送され貯留され、当該供給ホッパ21から焼却炉30に供給される。
【0015】
より補助燃料と冷却水を使用しない混合汚泥となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で混合機20へ移送し、当該混合機20で汚泥Aと汚泥Bを混合させ混合汚泥Kを均一化する方法を説明するにあたり、まず、焼却炉30に供給された混合汚泥Kの焼却による炉内温度を制御する制御フローチャートの
図2を用いて炉内温度の制御を説明する。
ステップ1(S1)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より低いかを判断する。
ステップ2(S2)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より低い場合は、Tiを上昇させる判断とする。
ステップ3(S3)
炉内温度(Ti)を上昇させるために、補助燃料調整弁45の開度を大きくして焼却炉に供給している補助燃料の量を多くする。かつ、冷却水調整弁35の開度を小さくして焼却炉に噴射している冷却水の量を少なくする。
ステップ4(S4)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より高い場合は、Tiを下降させる判断とする。
ステップ5(S5)
炉内温度(Ti)を降下させるために、補助燃料調整弁45の開度を小さくして焼却炉に供給している補助燃料の量を少なくする。かつ、冷却水調整弁35の開度を大きくして焼却炉に噴射している冷却水の量を多くする。
以上は、本発明の炉内温度を冷却水量の調整と補助燃料量の調整により行う基本制御である。
【0016】
次に、焼却炉30に供給された混合汚泥Kを焼却している際に、補助燃料使用と冷却水使用によって炉内温度を制御しているときの、汚泥Aと汚泥Bの汚泥混合割合を制御する汚泥混合割合制御フローチャートである
図3を用いて、炉内に供給する混合汚泥Kを構成する汚泥A又は汚泥Bの流量(供給量)の制御を説明する。
ステップ1(S1)
補助燃料供給量Ffの計測値をみて焼却炉内で補助燃料を供給しているかを判断する。
ステップ2(S2)
焼却炉内で、補助燃料を使用している場合は、前記演算器50により演算された汚泥Aの水分量(単位時間あたりの流量)(前記流量計5の計測値Fa×含水率計6の計測値Wa)が、同じく演算器50により演算された汚泥Bの水分量(単位時間あたりの流量)(前記流量計15の計測値Fb×含水率計16の計測値Wb)より多いかを判断する。
ステップ3(S3)
S2で汚泥Aの水分量が多い場合は汚泥Aの流量の設定値を減じ、※1Aへ進む。S6も同時に行う。
ステップ4(S4)
焼却炉内で補助燃料を使用していない場合は冷却水供給量Fcの計測値をみて冷却水が使用されているかを判断する
ステップ5(S5)
焼却炉内で冷却水を使用している場合は、前記演算器50により演算された汚泥Aの水分量(Fa×Wa)が汚泥Bの水分量(Fb×Wb)より少ないかを判断する。
ステップ6(S6)
S5で汚泥Bの水分量が多い場合は汚泥Bの流量の設定値を増やし※1Bへ進む。S3も同時に行う。
ステップ7(S7)
S2において、汚泥Aの水分量が少ない場合は汚泥Aの流量の設定値を増やし、※1Aへ進む。S8も同時に行う。
ステップ8(S8)
S5において、汚泥Bの水分量が少ない場合は汚泥Bの流量の設定値を減じ、※1Bへ進む。S7も同時に行う。
ステップ9(S9)
焼却炉内で冷却水が使用されていない場合は制御を終了する。
【0017】
以上は、炉内における冷却水と補助燃料の使用状況において、炉内に供給する汚泥A及び汚泥Bの供給量を制御することで炉内温度を制御するもので、本発明の基本となる考えは、次の通りである。
1)「含水率計A計測値×流量計A計測値(積)」と「含水率計B計測値×流量計B計測値(積)」の演算値を比較して、A系統、B系統のどちらの系統が時間当たりの水分量が多いかを判断し、
〔1〕焼却炉で冷却水を使用している場合
「含水率計計測値×流量計計測値(積)」の大きい方(水分量が多い)系統の汚泥量を増やし、小さい方(水分量が少ない)系統の汚泥量を減らす。
〔2〕焼却炉で補助燃料を使用している場合
「含水率計計測値×流量計計測値(積)」の小さい方(水分量が少ない)系統の汚泥量を増やし、大きい方(水分量が多い)系統の汚泥量を減らす。
この時の混合割合の比を変更する操作量は、冷却水もしくは補助燃料の使用状況により決定する。
【0018】
次に、前記汚泥Aと汚泥Bの汚泥混合割合制御により求められた汚泥流量(1A、1B)の制御フローチャートである
図4を用いて、汚泥Aの流量(Fa)と汚泥Bの流量(Fb)の供給量(流量)の制御を説明する。
ステップ1(S1)
前記汚泥混合割合制御からの※1Aに続いて、増減された汚泥流量設定値FaSV値を入力する。
ステップ2(S2)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより少ないかを判断する。
ステップ3(S3)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより少ない場合は、移送ポンプ3のモータ7の回転数を増加させ汚泥流量Faを増加させる。
ステップ4(S4)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより多い場合は、移送ポンプ3のモータ7の回転数を減少させ汚泥流量Faを減少させる。
ステップ5(S5)
前記汚泥混合割合制御からの※1Bに続いて、増減された汚泥流量設定値FaSV値を入力する。
ステップ6(S6)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより少ないかを判断する。
ステップ7(S7)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより少ない場合は、移送ポンプ13のモータ17の回転数を増加させ汚泥流量Fbを増加させる。
ステップ8(S8)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより多い場合は、移送ポンプ13のモータ17の回転数を減少させ汚泥流量Fbを減少させる。
【0019】
上記の各制御に基づいて、汚泥(混合汚泥K)の焼却方法を説明する。
前記したように汚泥Aと汚泥Bがそれぞれの含水量に基づいて設定された汚泥Aと汚泥Bの混合比(より補助燃料と冷却水を使用しない混合汚泥となる汚泥Aと汚泥Bの割合比)で汚泥Aと汚泥Bが混合機20に移送され、混合された混合汚泥Kが供給ホッパ21に移送され貯留される。当該供給ホッパ21から貯留された混合汚泥Kが焼却炉に供給され焼却される。
ここで、混合汚泥Kが燃焼されている焼却炉の炉内温度計31により炉内温度が測定され、必要に応じて冷却水を炉内に噴射し炉内温度を調節したり、補助燃料を炉内に供給して温度を調節したりして、設定された炉内温度を維持するように制御する。
上記温度制御と併せて、炉内に供給されている冷却水と補助燃料に基づいて、炉内温度が高いときは、水分量の多い汚泥を多く供給したり、炉内温度が低い場合は、水分量の少ない汚泥を多く供給したりすることで補助燃料と冷却水の使用を極力避けて設定された炉内温度を維持するように制御する。
【表1】
【0020】
表1は、下水処理において消化工程を経ない割合が多い汚泥Aの次に消化工程を経る割合が多い汚泥Bの順に、あるいはその逆の順に焼却する場合と、汚泥Aと汚泥Bを同時に焼却炉へ供給して焼却する場合の1日あたりのコストの一例を表したものである。
例として、1日に汚泥Aを30t、汚泥Bを20tで合計50t焼却処理する場合のコストの比較である。
汚泥Aと汚泥Bを順に焼却する場合、汚泥Aを30t焼却するのに必要なコストを説明する。汚泥Aは消化工程を経ていないことから、嫌気性消化反応による有機物の分解がなされておらず、発熱量が高く、焼却炉の炉内温度を高めるため冷却水を必要とする。冷却水として下水処理場内の処理水を使用する場合の冷却水費は71円になる。また、冷却水として上水を使用する場合の冷却水費は2,848円になる。
汚泥Bを20t焼却するのに必要なコストとしては補助燃料(都市ガス)費として71,506円になる。
このように汚泥Aと汚泥Bの合計50tを順にそれぞれを別々に焼却するのに必要なコストは冷却水として処理水を使用する場合は、71,577円、冷却水として上水を使用する場合は、74,354円になる。
これに対して、汚泥Aと汚泥Bを混合した混合汚泥50t焼却するのに必要なコストは、補助燃料と冷却水の使用量を共に低減でき(冷却水を必要としない)、補助燃料(都市ガス)費の6,632円になる。
このように汚泥Aと汚泥Bを混合しそれぞれの汚泥に含まれる水分量の影響を考慮して混合汚泥を焼却する方が、汚泥Aと汚泥Bをそれぞれ単独で焼却するより冷却水と補助燃料の使用量を抑えることができ、断然コストが低いことが分かる。なお、上述の説明では汚泥Aと汚泥Bを焼却炉に供給する場合を例示したが、本発明はこれに限らず複数の供給経路がある場合にも適用しえるものである。
【0021】
図5は、本発明の第2の実施例を示す概要構成図である。
同
図5を用いて第2実施を説明する。
なお、この実施例では第1実施例と異なるところのみを説明する。
下水処理場の下水処理工程から生じ脱水された汚泥Aと汚泥Bの流量と含水率を測定しその測定値を演算器50に出力し、当該演算器50で演算(含水率値×流量値)して、より補助燃料と冷却水を使用しない混合汚泥となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で混合機20へ移送し、当該混合機20で汚泥Aと汚泥Bを混合させ混合汚泥Kを均一化する。
そして、混合機20から前記混合汚泥Kが焼却炉30に供給される。
その後の炉内温度の基本制御、汚泥混合割合制御、前記汚泥混合割合制御により求められた汚泥流量制御を行なう。
この実施例では、供給ホッパを設けず混合機20から混合汚泥Kを焼却炉30へ供給するところが異なっている。
第1の実施例は移送ポンプ3,13の供給量の調整と別に、移送ポンプ23で供給量を調整することでも焼却炉へ供給する水分量の調整ができる。第2の実施例のように移送ポンプ3,13での供給量の調整だけで炉内温度変動を許容できればよいが、汚泥性状などによる計測条件の影響受けて含水率計の正確さが変わったり汚泥の発熱量が変動したりする場合があることから、炉内温度の変動につながってしまうことがある。その際、第1の実施例のように供給ホッパ21で貯められる分だけ汚泥移送ポンプ23により炉内温度変動に応じて供給量を調整すればよい。なお、上述の説明では汚泥Aと汚泥Bを焼却炉に供給する場合を例示したが、本発明はこれに限らず複数の供給経路がある場合にも適用しえるものである。
【0022】
また、制御装置(60)に集約される汚泥A、汚泥Bの水分量は焼却工程の前工程の脱水設備における含水率調整に利用することもできる。水分量に応じて脱水設備側での脱水能力を加減し、水分総量を所定範囲に調整することで、焼却の炉内温度の変動の抑制につなげることが可能となる。