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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145963
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】塗布工具
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B05C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058598
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】511213410
【氏名又は名称】MMCリョウテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】小倉 栄次
【テーマコード(参考)】
4F041
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA12
4F041CA02
4F041CA12
(57)【要約】
【課題】シム部材の位置合わせが容易であり、且つ、塗布液が漏れ出ることを抑えることが可能な塗布工具を提供する。
【解決手段】第1方向に延び、第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対のヘッド部材10と、一対のヘッド部材10の間に配置され、塗布液を吐出するスロット10Sを形成するシム部材20と、を備える塗布工具100であって、シム部材20は、第1方向に沿って延びる基部21Aと、基部21Aの両端から第1方向及び第2方向と直交する第3方向に延びる一対の起立部21Bと、を備える本体部21と、一対の起立部21Bにおける基部21A側と反対側の端部にそれぞれ設けられ、スロット10Sの第1方向の寸法である塗布幅Dpを調整可能とする一対の塗布幅調整部22と、を備え、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eは凹凸形状であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対のヘッド部材と、
前記一対のヘッド部材の間に配置され、塗布液を吐出するスロットを形成するシム部材と、
を備える塗布工具であって、
前記シム部材は、
前記第1方向に沿って延びる基部と、前記基部の両端から前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に延びる一対の起立部と、を備える本体部と、
前記一対の起立部における前記基部側と反対側の端部にそれぞれ設けられ、前記スロットの前記第1方向の寸法である塗布幅を調整可能とする一対の塗布幅調整部と、
を備え、
前記起立部と前記塗布幅調整部との係合部は凹凸形状である、
ことを特徴とする塗布工具。
【請求項2】
前記凹凸形状は、前記第1方向に沿って複数設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布工具。
【請求項3】
前記凹凸形状は、鉤型形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布工具。
【請求項4】
前記塗布幅調整部は、把持部を備える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに1項に記載の塗布工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布工具に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布工具として、一対のブロックの間にシム部材を挟み込むことによって、塗布液を収容するキャビティと、塗布液を吐出するスロットと、を形成するスロットダイが知られている。スロットダイは、シム部材を交換することで、スロットの厚みや幅を変更することが可能である。シム部材を交換する際は、都度スロットダイを分解し、スロットダイ内部の塗布液の排出や、ブロックの清掃を行う必要があり、作業が煩雑であった。
特許文献1では、シム部材のうち、スロットの幅に関わる部分を分割して、且つスロットの幅方向に摺動できるようにすることで、上記課題の解決を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5315453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る構造は、スロットの幅に関わる部分を、スロットの幅方向に摺動させることで位置を調整する必要があるため、正確な位置合わせが困難であった。また、シム部材が分割された部分が平坦であるため、シム部材が分割された部分から塗布液が漏れ出るおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、シム部材の位置合わせが容易であり、且つ、塗布液が漏れ出ることを抑えることが可能な塗布工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る塗布工具は、第1方向に延び、前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対のヘッド部材と、前記一対のヘッド部材の間に配置され、塗布液を吐出するスロットを形成するシム部材と、を備える塗布工具であって、前記シム部材は、前記第1方向に沿って延びる基部と、前記基部の両端から前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に延びる一対の起立部と、を備える本体部と、前記一対の起立部における前記基部側と反対側の端部にそれぞれ設けられ、前記スロットの前記第1方向の寸法である塗布幅を調整可能とする一対の塗布幅調整部と、を備え、前記起立部と前記塗布幅調整部との係合部は凹凸形状であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、一対のヘッド部材の間に配置されるシム部材は、本体部と、塗布幅調整部と、を備える。このように、塗布幅調整部と本体部とが別の部品になっていることで、例えば、塗布幅調整部を交換することのみによって塗布幅を調整することができる。したがって、一対のヘッド部材を完全に分解することなく、塗布幅を調整することができる。よって、塗布幅の調整を容易に行うことができる。
また、本体部の起立部と塗布幅調整部との係合部は凹凸形状である。これにより、起立部と塗布幅調整部との位置合わせは、互いの凹凸形状に位置を合わせることによって行うことができる。よって、塗布幅調整部の位置決めを容易に行うことができる。更に、例えば、起立部と塗布幅調整部との係合部が平坦である場合と比較して、起立部と塗布幅調整部との間から塗布液が漏れ出しにくくすることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る塗布工具は、態様1に係る塗布工具において、前記凹凸形状は、前記第1方向に沿って複数設けられることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、起立部と塗布幅調整部との係合部の凹凸形状は、第1方向に沿って複数設けられる。これにより、例えば、塗布幅調整部を起立部に取り付ける際、塗布幅調整部の起立部に対する位置を第1方向に段階的に変化させることができる。よって、より塗布幅の調整を行いやすくすることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る塗布工具は、態様1又は態様2に係る塗布工具において、前記凹凸形状は、鉤型形状であることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、起立部と塗布幅調整部との係合部の凹凸形状は、鉤型形状である。これにより、例えば、ヘッド部材の内部で生じる塗布液の内圧によって、起立部と塗布幅調整部との位置が変化することを抑えることができる。また、起立部と塗布幅調整部との係合部の形状を複雑にすることで、より起立部と塗布幅調整部との間から塗布液が漏れ出しにくくすることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る塗布工具は、態様1から態様3のいずれか1つに係る塗布工具において、前記塗布幅調整部は、把持部を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、塗布幅調整部は、把持部を備える。これにより、把持部を掴むことで、塗布幅調整部を取り外す、又は取り付けることができる。よって、塗布幅調整部の交換をより行いやすくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シム部材の位置合わせが容易であり、且つ、塗布液が漏れ出ることを抑えることが可能な塗布工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態の塗布工具を-X側から見た構成を示す側面図である。
図2図2は、一実施形態の塗布工具を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図3図3は、一実施形態のシム部材の第1例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図4図4は、一実施形態のシム部材の第2例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図5図5は、一実施形態のシム部材の第3例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図6図6は、一実施形態のシム部材の第4例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図7図7は、一実施形態のシム部材の第5例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図8図8は、一実施形態のシム部材の第6例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<一実施形態>
本発明の一実施形態の塗布工具100について、図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の塗布工具100は、いわゆるスロットダイである。
図1は、一実施形態の塗布工具100を-X側から見た構成を示す側面図である。図2は、一実施形態の塗布工具100を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の塗布工具100は、ヘッド部材10と、シム部材20と、を備える。
【0017】
一対のヘッド部材10は、それぞれ、略長方形板状または略直方体状であり、所定方向に延びる。ヘッド部材10は、第1ヘッド部材11と、第2ヘッド部材12と、を含む。第1ヘッド部材11と第2ヘッド部材12とは、前記所定方向と直交する方向において互いに対向する。以下、第1ヘッド部材11及び第2ヘッド部材12を区別しない場合に、ヘッド部材10という。
一対のヘッド部材10は、互いの内面(内側面)11a、12a同士を対向させた状態で、シム部材20を挟んで配置される。シム部材20は、一対のヘッド部材10の間に配置されることで、塗布液を吐出するスロット10Sを形成する(詳細は後述する)。
【0018】
〔方向の定義〕
本実施形態では、一対のヘッド部材10が延在する方向を、第1方向と呼ぶ。つまり一対のヘッド部材10は、第1方向に延びる。本実施形態において第1方向は、水平方向である。第1方向は、左右方向と言い換えてもよい。各図において、第1方向は、X軸方向に相当する。第1方向のうち、一方側を左側(-X側)と呼び、他方側を右側(+X側)と呼ぶ。なお、第1方向は、長手方向と言い換えてもよい。
【0019】
第1方向(X方向)と直交する方向のうち、一対のヘッド部材10が互いに対向する方向を、第2方向と呼ぶ。一対のヘッド部材10は、第2方向において互いに隣接配置される。本実施形態において第2方向は、水平方向である。第2方向は、前後方向と言い換えてもよい。各図において、第2方向は、Y軸方向に相当する。
【0020】
第2方向(Y方向)のうち、第1ヘッド部材11から第2ヘッド部材12へ向かう方向を奥側(-Y側)と呼び、第2ヘッド部材12から第1ヘッド部材11へ向かう方向を手前側(+Y側)と呼ぶ。第2方向は、各ヘッド部材10の板厚方向に相当する。このため第2方向は、厚さ方向と言い換えてもよい。
【0021】
第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)と直交する方向を、第3方向と呼ぶ。本実施形態において第3方向は、鉛直方向である。第3方向は、上下方向と言い換えてもよい。各図において、第3方向は、Z軸方向に相当する。
【0022】
第3方向(Z方向)のうち、一対のヘッド部材10の間からスロット10Sが不図示の被塗布物に向けて開口する方向を先端側(+Z側)と呼び、これとは反対方向を後端側(-Z側)と呼ぶ。なお、第3方向(Z方向)のうち、先端側は、上側と言い換えてもよく、後端側は、下側と言い換えてもよい。
【0023】
〔ヘッド部材10〕
ヘッド部材10は、それぞれ、例えばステンレス製である。一対のヘッド部材10は、図1に示すボルト等の締結部材Bfにより、互いに固定される。上述のように、一対のヘッド部材10は、第1ヘッド部材11と、第2ヘッド部材12と、を含む。
第1ヘッド部材11は、図1に示すように、スリット11Sを備える。スリット11Sは、第1ヘッド部材11の上側の面から、前記上側の面に直交する方向に、第1ヘッド部材11を切り欠くようにして形成される。スリット11Sには、調整ボルトBaが貫通するように配置される。調整ボルトBaは、回転させることで、シム部材20の塗布幅調整部22を交換可能とする(詳細は後述する。)
【0024】
第2ヘッド部材12は、図1に示すように、窪み12Dを備える。上述のように、一対のヘッド部材10は、互いの内面(内側面)11a、12a同士を対向させた状態で、シム部材20を挟んで配置される。このことで、一対のヘッド部材10は、内部に塗布液を収容するマニホールド10Mを形成する。マニホールド10Mに収容された塗布液は、シム部材20によって形成されたスロット10Sからヘッド部材10の外部に吐出される。
【0025】
〔シム部材20〕
シム部材20は、図1及び図2に示すように、一対のヘッド部材10の間に配置される板状の部材であり、マニホールド10Mに収容された塗布液を吐出するスロット10Sを形成する。シム部材20の板厚は、例えば、0.15mm~1mmである。シム部材20の板厚を変更することによって、スロット10Sの厚さが変更可能である。
図3は、一実施形態のシム部材20の第1例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図4は、一実施形態のシム部材20の第2例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図5は、一実施形態のシム部材20の第3例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図6は、一実施形態のシム部材20の第4例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図7は、一実施形態のシム部材20の第5例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図8は、一実施形態のシム部材20の第6例を+Y側から見た構成を示す正面図である。
図3図8に示すように、シム部材20は、本体部21と、塗布幅調整部22と、を備える。
【0026】
本体部21は、一対のヘッド部材10の間において、下方及び第1方向の両端に位置する。本体部21は、基部21Aと、起立部21Bと、を備える。基部21A及び起立部21Bの板厚は、同じである。
基部21Aは、本体部21のうち、第1方向(X方向)に沿って延びる部分である。基部21Aは、一対のヘッド部材10の下方に位置する。
起立部21Bは、基部21Aの両端から第3方向(Z方向)の上側(+Z側)に延びる。すなわち、起立部21Bは、本体部21において、基部21Aの両端に一対に設けられる。
基部21Aと起立部21Bとは、例えば、プレス加工等により一体に形成される。
【0027】
塗布幅調整部22は、一対の起立部21Bにおける基部21Aの側と反対側の端部にそれぞれ設けられる。つまり、塗布幅調整部22は、本体部21における第1方向の両端に一対に設けられる。このとき、塗布幅調整部22は、シム部材20において、第1方向の中央を基準として対称に設けられる。すなわち、本体部21において、左側(-X側)に設けられた塗布幅調整部22は、右側(+X側)に向かって延びる。右側(+X側)に設けられた塗布幅調整部22は、左側(-X側)に向かって延びる。このとき、塗布幅調整部22は、本体部21の両端から第1方向(X方向)に向かって、本体部21の長さの途中まで伸びている。このことで、図3図8に示すように、一対の塗布幅調整部22の間には空隙22Sが形成される。この空隙22Sが一対のヘッド部材10の間に位置することで、スロット10Sが形成される。
【0028】
スロット10Sの第1方向(X方向)の寸法、すなわち、シム部材20の空隙22Sの第1方向(X方向)の寸法は、塗布工具100によって塗布液を塗布可能な幅、すなわち塗布幅Dpである。塗布幅Dpは、塗布幅調整部22の第1方向の寸法、すなわち、図3図8に示す調整部長さDを変更することによって調整可能である。具体的には、本体部21に対して、調整部長さDの異なる塗布幅調整部22を複数備え、必要に応じて交換することで、塗布幅Dpを調整可能とする。
【0029】
本体部21の起立部21Bと塗布幅調整部22とは、図3図8に示す係合部20Eにおいて係合する。本実施形態において、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eは凹凸形状である。また、係合部20Eの凹凸形状は、第1方向(X方向)に沿って複数設けられる。
【0030】
〔係合部20Eの第1例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図3に示すように、矩形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する矩形状の凸部22pを複数有する。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。このことで、塗布幅調整部22の凸部22pを起立部21Bの凹部21dに合わせるようにすることで、起立部21Bと塗布幅調整部22との位置合わせを容易に行うことができる。
図3に示す係合部20Eにおいて、凹凸は3つ設けられている。これに限らず、凹凸は2つ設けられていてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0031】
図3に示す係合部20Eにおいて、複数設けられた凹凸の形状は、同じである。また、複数の凹凸は、等間隔に配置されている。このような配置とした場合は、塗布幅調整部22の調整部長さDの長さを変更することだけでなく、塗布幅調整部22の位置を第1方向(X方向)にずらすことによっても、塗布幅Dpを調整することができる。
塗布幅調整部22の位置を第1方向(X方向)にずらすことによる塗布幅Dpの調整を行わない場合は、複数の凹凸は等間隔に配置されなくてもよい。この場合は、起立部21Bと塗布幅調整部22との位置合わせを確実に正確に行うことができる。
【0032】
〔係合部20Eの第2例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図4に示すように、矩形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する矩形状の凸部22pを複数有する。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。このことで、塗布幅調整部22の凸部22pを起立部21Bの凹部21dに合わせるようにすることで、起立部21Bと塗布幅調整部22との位置合わせを容易に行うことができる。
図4に示す係合部20Eにおいて、凹凸は3つ設けられている。これに限らず、凹凸は2つ設けられていてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0033】
図4に示す係合部20Eにおいて、複数設けられた凹凸の形状は、互いに異なる。すなわち、図4に示す係合部20Eにおいて、3つ設けられた矩形状の凸部22pのうち、中央に位置する凸部22pの第3方向(Z方向)の寸法が、残りの2つの凸部22pより短い。このことで、係合部20Eの凹凸の位置合わせを確実に正確に行うことができる。なお、上記に限らず、複数の凹凸の形状は、例えば、3つそれぞれが互いに異なる形状を有していてもよい。
【0034】
〔係合部20Eの第3例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図5に示すように、平行四辺形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する凸部22pを複数有する。この時、凸部22pの先端は、第1方向(X方向)に向けて斜めに突出する。凸部22pの先端は、例えば、図5に示すように、本体部21の長手方向の内側に向かうように突出している。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。
ここで、塗布工具100において、塗布液の内圧が、塗布幅調整部22が係合部20Eから外れる方向、すなわち、例えば、第1方向(X方向)又は第3方向(Z方向)に付加されることがある。係合部20Eの凹凸が上述のような形状であることで、例えば、塗布液が塗布幅調整部22を第3方向(Z方向)の上側(+Z側)に向かって移動させようとする力に対して抵抗しやすくすることができる。
【0035】
上記に関わらず、塗布幅調整部22の凸部22pの先端は、本体部21の長手方向の外側に向かうように突出していてもよい。このような形状とした場合は、例えば、塗布液が塗布幅調整部22を本体部21の長手方向の外側に向かって移動させようとする力に対して抵抗しやすくすることができる。
図5に示す係合部20Eにおいて、凹凸は3つ設けられている。これに限らず、凹凸は2つ設けられていてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0036】
〔係合部20Eの第4例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図6に示すように、鋸刃形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する三角形状の凸部22pを複数有する。このとき、凸部22pは、第1方向(X方向)に亘って間隔を空けずに設けられている。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。このことで、調整部長さDの長さを変更することだけでなく、塗布幅調整部22の位置を第1方向(X方向)にずらすことによっても、塗布幅Dpを調整できる。また、凹凸が上述した鋸刃形状であることによって、より細かく塗布幅Dpの調整を行いやすくすることができる。
【0037】
〔係合部20Eの第5例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図7に示すように、鉤型形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する第1部22p1と、第1部22p1の先端から本体部21の長手方向の内側に突出する第2部22p2と、を有する凸部22pを複数有する。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。
【0038】
このとき、凹部21dが第3方向(Z方向)の上側(+Z側)に面して開口する部分の第1方向(X方向)の寸法は、第3方向(Z方向)の上側(+Z側)から下側(-Z側)に向けて移動する凸部22pの第2部22p2を受け入れられる程度である。上述の構成を備える係合部20Eにおいて、塗布幅調整部22を起立部21Bに係合させる時は、凹部21dの開口部から凸部22pを挿入した後に、塗布幅調整部22を本体部21の長手方向の内側に移動させるようにして係合させる。
【0039】
ここで、塗布工具100において、塗布液の内圧が、塗布幅調整部22が係合部20Eから外れる方向、すなわち、例えば、第1方向(X方向)又は第3方向(Z方向)に付加されることがある。係合部20Eの凹凸が上述のような形状であることで、例えば、塗布液が塗布幅調整部22を第3方向(Z方向)の上側(+Z側)に向かって移動させようとする力に対して抵抗しやすくすることができる。
図7に示す係合部20Eにおいて、凹凸は3つ設けられている。これに限らず、凹凸は2つ設けられていてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0040】
〔係合部20Eの第6例〕
係合部20Eの複数の凹凸は、例えば、図8に示すように、鉤型形状である。すなわち、塗布幅調整部22が、塗布幅調整部22から起立部21Bに向けて第3方向(Z方向)に突出する第1部22p1と、第1部22p1の先端から本体部21の長手方向の外側に突出する第2部22p2と、を有する凸部22pを複数有する。起立部21Bが、塗布幅調整部22の複数の凸部22pのそれぞれと嵌め合うように係合可能な凹部21dを複数有する。
【0041】
このとき、凹部21dが第3方向(Z方向)の上側(+Z側)に面して開口する部分の第1方向(X方向)の寸法は、第3方向(Z方向)の上側(+Z側)から下側(-Z側)に向けて移動する凸部22pの第2部22p2を受け入れられる程度である。上述の構成を備える係合部20Eにおいて、塗布幅調整部22を起立部21Bに係合させる時は、凹部21dの開口部から凸部22pを挿入した後に、塗布幅調整部22を本体部21の長手方向の外側に移動させるようにして係合させる。
【0042】
ここで、塗布工具100において、塗布液の内圧が、塗布幅調整部22が係合部20Eから外れる方向、すなわち、例えば、第1方向(X方向)又は第3方向(Z方向)に付加されることがある。係合部20Eの凹凸が上述のような形状であることで、例えば、塗布液が塗布幅調整部22を本体部21の長手方向の外側に向かって移動させようとする力に対して抵抗しやすくすることができる。
図8に示す係合部20Eにおいて、凹凸は3つ設けられている。これに限らず、凹凸は2つ設けられていてもよいし、4つ以上設けられてもよい。
【0043】
〔塗布幅調整部22の交換方法〕
次に、本実施形態に係る塗布工具100における、塗布幅調整部22の交換方法を説明する。本実施形態において、塗布幅調整部22は、シム部材20の本体部21をヘッド部材10から取り外すことなく交換できる。ここで、例えば、本体部21をヘッド部材10から取り外す場合には、ヘッド部材10の締結部材Bfを全て取り外し、更にマニホールド10Mに収容された塗布液を全て除去し、更に第1ヘッド部材11及び第2ヘッド部材12の内面(内側面)11a、12aを清掃する必要が生じることから、作業が煩雑となる。シム部材20の本体部21をヘッド部材10から取り外すことなく塗布幅調整部22を交換することで、上述の作業を不要とし、作業の効率化に寄与することができる。
【0044】
塗布幅調整部22を交換する際は、まず、第1ヘッド部材11のスリット11Sに配置された調整ボルトBaが、より締まる方向に回転させる。このことで、スリット11Sの第2方向(Y方向)の幅が小さくなる。すなわち、図1に示す、第1ヘッド部材11におけるスリット11Sとシム部材20の塗布幅調整部22との間に位置する部分11Eが、第2方向(Y方向)の手前側(+Y側)に移動する。すると、スリット11Sとシム部材20の塗布幅調整部22との間に位置する部分11Eが、塗布幅調整部22から離れる。これにより、一対のヘッド部材10の間から、塗布幅調整部22のみ取り外すことができる。
塗布幅調整部22を交換した後は、調整ボルトBaを緩める方向に回転させる。これにより、スリット11Sとシム部材20の塗布幅調整部22との間に位置する部分11Eが、塗布幅調整部22に押し付けられる。このことで、ヘッド部材10の間に交換後の塗布幅調整部22が固定される。
なお、塗布幅調整部22の取り付け及び取り外しをし易くするために、塗布幅調整部22は、図3図8に示すように、把持部22Hを備えることが好ましい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る塗布工具100によれば、一対のヘッド部材10の間に配置され、本体部21と、塗布幅調整部22と、を備える。このように、塗布幅調整部22と本体部21とが別の部品になっていることで、例えば、塗布幅調整部22を交換することのみによって塗布幅Dpを調整することができる。したがって、一対のヘッド部材10を完全に分解することなく、塗布幅Dpを調整することができる。よって、塗布幅Dpの調整を容易に行うことができる。
また、本体部21の起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eは凹凸形状である。これにより、起立部21Bと塗布幅調整部22との位置合わせは、互いの凹凸形状に位置を合わせることによって行うことができる。よって、塗布幅調整部22の位置決めを容易に行うことができる。更に、例えば、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eが平坦である場合と比較して、起立部21Bと塗布幅調整部22との間から塗布液が漏れ出しにくくすることができる。
【0046】
また、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eの凹凸形状は、第1方向に沿って複数設けられる。これにより、例えば、塗布幅調整部22を起立部21Bに取り付ける際、塗布幅調整部22の起立部21Bに対する位置を第1方向に段階的に変化させることができる。よって、より塗布幅Dpの調整を行いやすくすることができる。
【0047】
また、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eの凹凸形状は、鉤型形状である。これにより、例えば、ヘッド部材10の内部で生じる塗布液の内圧によって、起立部21Bと塗布幅調整部22との位置が変化することを抑えることができる。また、起立部21Bと塗布幅調整部22との係合部20Eの形状を複雑にすることで、より起立部21Bと塗布幅調整部22との間から塗布液が漏れ出しにくくすることができる。
【0048】
また、塗布幅調整部22は、把持部22Hを備える。これにより、把持部22Hを掴むことで、塗布幅調整部22を取り外す、又は取り付けることができる。よって、塗布幅調整部22の交換をより行いやすくすることができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、係合部20Eの形状は、シム部材20の一方と他方とで異なるものを用いてもよい。
また、係合部20Eの凹凸の形状は、例えば、台形状であってもよいし、円弧状であってもよい。あるいは、その他任意の形状を適宜用いてもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ヘッド部材
10M マニホールド
10S スロット
11 第1ヘッド部材
11a、12a 内面(内側面)
11S スリット
12 第2ヘッド部材
12D 窪み
20 シム部材
20E 係合部
21 本体部
21A 基部
21B 起立部
21d 凹部
22 塗布幅調整部
22H 把持部
22p 凸部
22p1 第1部
22p2 第2部
22S 空隙
100 塗布工具
Ba 調整ボルト
Bf 締結部材
D 調整部長さ
Dp 塗布幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8