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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145967
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】汚泥焼却方法及び汚泥焼却システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/06 20060101AFI20241004BHJP
   F23G 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C02F11/06 ZAB
F23G7/00 104A
F23G5/50 G
F23G5/50 K
F23G5/50 N
F23G5/50 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058602
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 均
【テーマコード(参考)】
3K062
3K161
4D059
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC02
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB03
3K062DA01
3K062DA07
3K062DA32
3K062DA35
3K062DB01
3K062DB12
3K062DB28
3K161AA40
3K161CA01
3K161DB32
3K161EA32
3K161FA23
3K161FA32
3K161FA35
3K161FA67
3K161FA73
3K161GA12
4D059AA03
4D059BB01
4D059BB13
4D059BJ00
4D059CB09
4D059EA01
4D059EA02
4D059EA06
4D059EB01
4D059EB02
4D059EB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の性状の異なる汚泥をそれぞれ流動床式焼却炉内に供給し、当該流動床式焼却炉内で混合させ焼却し、補助燃料と冷却水の消費を最小にとどめて汚泥を混合焼却させることができる汚泥の燃焼方法を提供する。
【解決手段】流動床式焼却炉30に供給する性状の異なる汚泥Aと汚泥Bの流量と含水率を流量計5と含水率計6から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、当該水分量に基づいて流動床式焼却炉に供給する性状の異なる汚泥の供給割合を決める。当該供給割合に基づいて性状の異なるそれぞれの汚泥を流動床式焼却炉に供給し、流動床式焼却炉内で混合焼却し、燃焼中の流動床式焼却炉内の炉内温度に基づいて、流動床式焼却炉に供給する汚泥Aと汚泥Bの供給割合を変えて汚泥焼却に必要な燃料費と冷却水費を最小にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の性状の異なる汚泥をそれぞれ異なる供給ルートから流動床式焼却炉内に供給し、当該流動床式焼却炉内で、補助燃料と冷却水を低減できるかもしくは必要としない汚泥供給割合となるよう焼却する汚泥焼却方法であって、
前記汚泥供給割合となる汚泥を流動床式焼却炉内で燃焼させ、流動床式焼却炉内の炉内温度に基づいて、補助燃料と冷却水の供給量を調整することで炉内温度を制御する炉内温度制御ステップと、
それぞれの汚泥の流量と含水率を流量計と含水率計から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、
水分量に基づいて流動床式焼却炉内に供給する性状の異なる汚泥供給割合を決め、当該汚泥供給割合に基づいて汚泥を供給する汚泥供給割合制御ステップと、
前記汚泥供給割合制御ステップを受けて流動床式焼却炉に供給する性状の異なる汚泥の供給量を調整する汚泥流量制御ステップと、
を含むことを特徴とする汚泥焼却方法。
【請求項2】
複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を流動床式焼却炉(30)に供給する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと流動床式焼却炉(30)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、流動床式焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、流動床式焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
流動床式焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場の下水処理の過程で生じた性状(含水率等)の異なる汚泥をそれぞれ流動床式焼却炉内に投入し、当該流動床式焼却炉内で混合焼却する際に、流動床式焼却炉内に投入する性状(含水率、発熱量)の異なる汚泥の割合を制御する方法及び汚泥焼却するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
流動床式焼却炉は、炉に入れた砂等の流動媒体を炉の下部から送り込まれる空気により流動させて流動層(流動床)を生成し、熱せられた流動層内に投入された下水汚泥または都市ゴミ等の焼却対象物を流動媒体とともに撹拌させて焼却する焼却炉である。
下水処理の過程で沈殿分離させた固形物は濃縮、脱水され、脱水汚泥が発生する。脱水汚泥は通常焼却処理されるが、脱水汚泥をそのまま焼却する場合と、嫌気性消化により減容化して焼却する場合がある。後者はメタン発酵反応を利用するもので、メタンガスとしてのエネルギー資源の有効利用につながるものである。しかしながら、消化を行うと汚泥中の固形物の分解物と水分との親和性が高くなってしまい、含水率の高い、脱水しにくい汚泥を生じる。大都市などでは各下水処理場から汚泥を車両や移送管で集約する施設があり、消化反応後の消化汚泥などの含水率の高い汚泥と消化汚泥を含まない比較的含水率の低い汚泥が入り混じった状態で運ばれることになる。従って、集約施設の汚泥焼却炉では、焼却する汚泥を供給する流動床式焼却炉に含水率と発熱量の違いのある汚泥が供給される。
【0003】
集約施設でなくとも、焼却炉のある下水処理場においては、最初沈殿池の固形物濃度の高い生汚泥(低含水率で高発熱量)と最終沈殿池の微生物由来の余剰汚泥(高含水率で低発熱量)があり、加えて、汚泥消化工程を経る汚泥と汚泥消化工程を経ない汚泥があったりする場合があり、これらの性状の異なる汚泥が流動床式焼却炉に供給され含水率と発熱量に違いのある汚泥が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流動床式焼却炉に含水率の違いのある汚泥が供給されると、燃焼温度の制御は重油や都市ガスなどの補助燃料の供給量を調整したり、炉内へ冷却水を注水したりして調整するため、燃えやすい汚泥が継続的に供給される時間は、本来汚泥の持つ発熱量を有効利用せずに冷却水を注水することになり、燃えにくい汚泥が継続的に供給されるときは高い燃焼温度での焼却炉の運転をするために多くの補助燃料を消費する時間が継続する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、含水率と発熱量の性状の異なる汚泥を流動床式焼却炉内に供給し、当該流動床式焼却炉内の炉内温度に基づいて流動床式焼却炉に供給する性状の異なる汚泥の汚泥量を調整することで補助燃料と冷却水の消費を最小にとどめることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、 本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
〔1〕複数の性状の異なる汚泥をそれぞれ異なる供給ルートから流動床式焼却炉内に供給し、当該流動床式焼却炉内で、補助燃料と冷却水を低減できるかもしくは必要としない汚泥供給割合となるよう焼却する汚泥焼却方法であって、
前記汚泥供給割合となる汚泥を流動床式焼却炉内で燃焼させ、流動床式焼却炉内の炉内温度に基づいて、補助燃料と冷却水の供給量を調整することで炉内温度を制御する炉内温度制御ステップと、
それぞれの汚泥の流量と含水率を流量計と含水率計から求め、求められた流量値と含水率値を演算器で演算し水分量(流量単位時間当たり)を求め、
当水分量に基づいて流動床式焼却炉内に供給する性状の異なる汚泥供給割合を決め、当該汚泥供給割合に基づいて汚泥を供給する汚泥供給割合制御ステップと、
前記汚泥供給割合制御ステップを受けて流動床式焼却炉に供給する性状の異なる汚泥の供給量を調整する汚泥流量制御ステップと、
を含むことを特徴とする汚泥焼却方法。
【0007】
〔2〕複数の性状の異なる汚泥を貯留する複数の貯留ホッパと、汚泥を流動床式焼却炉(30)に供給する複数の移送ポンプと、前記移送ポンプと流動床式焼却炉(30)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計と、流動床式焼却炉(30)に設けられた炉内温度計(31)と、流動床式焼却炉(30)内に冷却水を供給する冷却水供給装置(32)と、当該冷却水供給装置(32)と前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管(33)の途中に設けられた冷却水流量計(34)と冷却水調整弁(35)と、
流動床式焼却炉(30)内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置(42)と、当該補助燃料供給装置(42)と前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管(43)の途中に設けられた補助燃料流量計(44)と補助燃料調整弁(45)と、
前記流動床式焼却炉(30)に接続された配管の途中に設けられた汚泥の流量を計測する流量計及び汚泥の含水率を計測する含水率計の計測値を演算し水分量を演算する演算器(50)と、
演算器(50)からの水分量に基づいて複数の貯留ホッパに設けられた前記汚泥移送ポンプで供給量を調整し、前記炉内温度計(31)により計測された炉内温度に基づいて前記冷却水調整弁(35)及び補助燃料調整弁(45)で冷却水と補助燃料の供給量を調整する制御装置(60)とからなることを特徴とする汚泥焼却システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流動床式焼却炉に供給する含水率と発熱量の性状の異なる汚泥の供給割合を適宜制御することができるので、補助燃料と冷却水の消費を最小にとどめて性状の異なる汚泥を燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例を示す概要構成図
図2】実施例の炉内温度制御のフローチャート
図3】実施例の汚泥供給割合制御のフローチャート
図4】実施例の汚泥流量制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明の実施例を示す概要構成図である。
本実施例は、汚泥Aを貯留する第一貯留ホッパ1と、第一貯留ホッパ1内の汚泥Aを排出する汚泥排出機2と、汚泥Aを供給する移送ポンプ3と、
汚泥Aと性状の異なる汚泥Bを貯留する第二貯留ホッパ11と、第二貯留ホッパ11内の汚泥Bを排出す汚泥排出機12と、汚泥Bを供給する移送ポンプ13とを備える。
なお、本実施例では性状の異なる汚泥A,Bがそれぞれ供給されるルートとして説明するが、実際は各ルートで時間によって汚泥の含水率と発熱量の汚泥の性状が変化するものであり、必ずしも各ルートで供給される汚泥の性状が異なるものではないことを断っておく。
前記移送ポンプ3と流動床式焼却炉30に接続された配管4の途中には汚泥の流量を計測する流量計5と汚泥の含水率を計測する含水率計6が、移送ポンプ13と流動床式焼却炉30に接続された配管14の途中には汚泥の流量を計測する流量計15と汚泥の含水率を計測する含水率計16が設けられている。
以上がそれぞれの汚泥を流動床式焼却炉30へ供給する汚泥流量制御系を構成する。
【0011】
流動床式焼却炉30には、炉内温度を計測する炉内温度計31が設けられている。
また、流動床式焼却炉の炉内で汚泥が燃焼されている炉内温度に応じて炉内を冷却する冷却水供給系と、炉内温度を調節する補助燃料供給系とが設けられている。
冷却水供給系には、流動床式焼却炉30内に冷却水を供給する冷却水供給装置32と、当該冷却水供給装置32と前記流動床式焼却炉30に接続された配管33の途中に冷却水流量計34と冷却水調整弁35が設けられている。
補助燃料供給系には、流動床式焼却炉30内に補助燃料を供給する補助燃料供給装置42と、当該補助燃料供給装置42と前記流動床式焼却炉30に接続された配管43の途中に補助燃料流量計44と補助燃料調整弁45が設けられている。
【0012】
本実施例を示す概要構成図においては、制御装置60と演算器50が設けられている。
演算器50は、流量計5(15)と含水率量計6(16)により測定された汚泥A(汚泥B)の流量値と含水率値を受け演算し演算値として汚泥A(汚泥B)の水分量(流量単位時間あたり)を求める。
制御装置60は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であり、PLCが実行する制御プログラムに基づいて動作する。そして、制御装置60は、炉内各種センサ(炉内温度計、冷却水流量計、補助燃料流量計)や演算器50から信号を受け取り、内蔵する制御プログラムにより、前記受け取った信号に対応した制御信号を各種機器(冷却水調整弁、補助燃料調整弁、インバータ駆動モータ7及び17(以降、モータと称する。)に送り各種機器を制御する。
【0013】
図において、矢印の付いた破線は、制御装置60から冷却水調整弁35、補助燃料調整弁45やモータ7、17に制御信号を送る信号線を示す。
例えば、制御装置60は、炉内温度計31からの炉内温度値を受け、該炉内温度値に基づいて開度指令信号を冷却水調整弁35に送り、当該冷却水調整弁35の開度を調整する。
または、炉内温度計31からの温度値を受け、該炉内温度値に基づいて開度指令信号を補助燃料調整弁45に送り、当該補助燃料調整弁45の開度を調整する。
【0014】
本実施例による流動床式焼却炉30への汚泥の供給方法を説明する。
下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Aが貯留されている第一貯留ホッパ1から汚泥Aを汚泥排出機2と、移送ポンプ3とにより流動床式焼却炉30に移送する。
このとき、前記移送ポンプ3と流動床式焼却炉30に接続された配管4に設けられている汚泥流量を測定する流量計5と含水率計6により汚泥Aの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Aの水分量の演算値が求められる。
【0015】
一方下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Bが貯留されている第二貯留ホッパ11から汚泥Bを汚泥排出機12と、移送ポンプ13とにより流動床式焼却炉30に移送する。
このとき、前記移送ポンプ13と流動床式焼却炉30に接続された配管14に設けられている汚泥流量を測定する流量計15と含水率計16により汚泥Bの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Bの水分量の演算値が求められる。
このときの、前記流量計(5,15)と含水率計(6,16)で汚泥Aと汚泥Bの流量と含水率を測定しその測定値を演算器50に出力し、当該演算器50で演算(含水率値×流量値)が行われ、より補助燃料と冷却水を使用しない汚泥供給となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で流動床式焼却炉30へ移送する。
【0016】
本実施例による流動床式焼却炉30への性状の異なる汚泥A及び汚泥Bの供給方法を説明する。
下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Aが貯留されている第一貯留ホッパ1から汚泥Aを汚泥排出機2と、移送ポンプ3とにより流動床式焼却炉30に供給する。
このとき、前記移送ポンプ3と流動床式焼却炉30に接続された配管4に設けられている汚泥流量を測定する流量計5と含水率計6により汚泥Aの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Aの水分量の演算値が求められる。
【0017】
一方下水処理場の下水処理工程から生じた脱水された汚泥Bが貯留されている第二貯留ホッパ11から汚泥Bを汚泥排出機12と、移送ポンプ13とにより流動床式焼却炉30に供給する。
このとき、前記移送ポンプ13と流動床式焼却炉30に接続された配管14に設けられている汚泥流量を測定する流量計15と含水率計16により汚泥Bの流量と含水率が計測されそれぞれの計測値が演算装置50に送られ当該演算装置50において汚泥Bの水分量の演算値が求められる。
このときの、前記流量計(5,15)と含水率計(6,16)で汚泥Aと汚泥Bの流量と含水率を測定しその測定値を演算器50に出力し、当該演算器50で演算(含水率値×流量値)が行われ、より補助燃料と冷却水を使用しない汚泥となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で流動床式焼却炉30へ移送し、混合焼却される。
【0018】
より補助燃料と冷却水を使用しない汚泥となるように汚泥Aと汚泥Bの割合で流動床式焼却炉30へ移送し、当該流動床式焼却炉30内の流動床で汚泥Aと汚泥Bを混合焼却する方法を説明するにあたり、まず、流動床式焼却炉30に供給された汚泥の焼却による炉内温度を制御する制御フローチャートの図2を用いて炉内温度の制御を説明する。
ステップ1(S1)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より低いかを判断する。
ステップ2(S2)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より低い場合は、Tiを上昇させる判断とする。
ステップ3(S3)
炉内温度(Ti)を上昇させるために、補助燃料調整弁45の開度を大きくして流動床式焼却炉に供給している補助燃料の量を多くする。かつ、冷却水調整弁35の開度を小さくして流動床式焼却炉に噴射している冷却水の量を少なくする。
ステップ4(S4)
炉内温度(Ti)が設定温度値(TiSV)より高い場合は、Tiを下降させる判断とする。
ステップ5(S5)
炉内温度(Ti)を降下させるために、補助燃料調整弁45の開度を小さくして流動床式焼却炉に供給している補助燃料の量を少なくする。かつ、冷却水調整弁35の開度を大きくして流動床式焼却炉に噴射している冷却水の量を多くする。
以上は、本発明の炉内温度を冷却水量の調整と補助燃料量の調整により行う基本制御である。
【0019】
次に、流動床式焼却炉30に供給された汚泥Aと汚泥Bを焼却している際に、補助燃料使用と冷却水使用によって炉内温度を制御しているときの汚泥Aと汚泥Bの汚泥供給割合を制御する汚泥供給割合制御フローチャートである図3を用いて、炉内に供給する汚泥A又は汚泥Bの流量(供給量)の制御を説明する。
ステップ1(S1)
補助燃料供給量Ffの計測値をみて流動床式焼却炉内で補助燃料を供給しているかを判断する。
ステップ2(S2)
流動床式焼却炉内で、補助燃料を使用している場合は、前記演算器50により演算された汚泥Aの水分量(単位時間あたりの流量)(前記流量計5の計測値Fa×含水率計6の計測値Wa)が、同じく演算器50により演算された汚泥Bの水分量(単位時間あたりの流量)(前記流量計15の計測値Fb×含水率計16の計測値Wb)より多いかを判断する。
ステップ3(S3)
S2で汚泥Aの水分量が多い場合は汚泥Aの流量の設定値を減じ、※1Aへ進む。S6も同時に行う。
ステップ4(S4)
流動床式焼却炉内で補助燃料を使用していない場合は冷却水供給量Fcの計測値をみて冷却水が使用されているかを判断する
ステップ5(S5)
流動床式焼却炉内で冷却水を使用している場合は、前記演算器50により演算された汚泥Aの水分量(Fa×Wa)が汚泥Bの水分量(Fb×Wb)より少ないかを判断する。
ステップ6(S6)
S5で汚泥Bの水分量が多い場合は汚泥Bの流量の設定値を増やし※1Bへ進む。S3も同時に行う。
ステップ7(S7)
S2において、汚泥Aの水分量が少ない場合は汚泥Aの流量の設定値を増やし、※1Aへ進む。S8も同時に行う。
ステップ8(S8)
S5において、汚泥Bの水分量が少ない場合は汚泥Bの流量の設定値を減じ、※1Bへ進む。S7も同時に行う。
ステップ9(S9)
流動床式焼却炉内で冷却水が使用されていない場合は制御を終了する。
【0020】
以上は、炉内における冷却水と補助燃料の使用状況において、炉内に供給する汚泥A及び汚泥Bの供給量を制御することで炉内温度を制御するもので、本発明の基本となる考えは、次の通りである。
1)「含水率計A計測値×流量計A計測値(積)」と「含水率計B計測値×流量計B計測値(積)」の演算値を比較して、A系統、B系統のどちらの系統が時間当たりの水分量が多いかを判断し、
〔1〕流動床式焼却炉で冷却水を使用している場合
「含水率計計測値×流量計計測値(積)」の大きい方(水分量が多い)系統の汚泥量を増やし、小さい方(水分量が少ない)系統の汚泥量を減らす。
〔2〕流動床式焼却炉で補助燃料を使用している場合
「含水率計計測値×流量計計測値(積)」の小さい方(水分量が少ない)系統の汚泥量を増やし、大きい方(水分量が多い)系統の汚泥量を減らす。
この時の汚泥供給割合の比を変更する操作量は、冷却水もしくは補助燃料の使用状況により決定する。
【0021】
次に、前記汚泥Aと汚泥Bの汚泥供給割合制御により求められた汚泥流量(1A、1B)の制御フローチャートである図4を用いて、汚泥Aの流量(Fa)と汚泥Bの流量(Fb)の供給量(流量)の制御を説明する。
ステップ1(S1)
前記汚供給割合制御からの※1Aに続いて、増減された汚泥流量設定値FaSV値を入力する。
ステップ2(S2)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより少ないかを判断する。
ステップ3(S3)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより少ない場合は、移送ポンプ3のモータ7の回転数を増加させ汚泥流量Faを増加させる。
ステップ4(S4)
汚泥Aの流量Faが流量設定値FaSVより多い場合は、移送ポンプ3のモータ7の回転数を減少させ汚泥流量Faを減少させる。
ステップ5(S5)
前記汚泥供給割合制御からの※1Bに続いて、増減された汚泥流量設定値FbSV値を入力する。
ステップ6(S6)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより少ないかを判断する。
ステップ7(S7)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより少ない場合は、移送ポンプ13のモータ17の回転数を増加させ汚泥流量Fbを増加させる。
ステップ8(S8)
汚泥Bの流量Fbが流量設定値FbSVより多い場合は、移送ポンプ13のモータ17の回転数を減少させ汚泥流量Fbを減少させる。
【0022】
上記の各制御に基づいて、汚泥の焼却方法を説明する。
前記したように汚泥Aと汚泥Bがそれぞれの含水量に基づいて設定された汚泥Aと汚泥Bの汚泥供給割合(より補助燃料と冷却水を使用しない汚泥Aと汚泥Bの割合)で汚泥Aと汚泥Bが流動床式焼却炉30に供給され、流動床式焼却炉30の流動床で混合焼却される。
ここで、汚泥が燃焼されている流動床式焼却炉30の炉内温度計31により炉内温度が測定され、必要に応じて冷却水を流動床式焼却炉30の炉内に噴射し炉内温度を調節したり、補助燃料を炉内に供給して温度を調節したりして、設定された炉内温度を維持するように制御する。
上記温度制御と併せて、炉内に供給されている冷却水と補助燃料に基づいて、流動床式焼却炉30の炉内温度が高いときは、水分量の多い汚泥を多く供給したり、当該炉内温度が低い場合は、水分量の少ない汚泥を多く供給したりすることで燃料と冷却水の使用を極力避けて設定された前記炉内温度を維持するように制御する。
【表1】
【0023】
表1は、下水処理において消化工程を経ない割合が多い汚泥Aの次に消化工程を経る割合が多い汚泥Bの順に、あるいはその逆の順に焼却させる場合と、汚泥Aと汚泥Bを同時に流動床式焼却炉へ供給して焼却する場合の1日あたりのコストの一例を表したものである。
例として、1日に汚泥Aを30t、汚泥Bを20tで合計50t焼却処理する場合のコストの比較である。
汚泥Aと汚泥Bを順に焼却する場合、汚泥Aを30t焼却するのに必要なコストを説明する。汚泥Aは消化工程を経ていないことから、嫌気性消化反応による有機物の分解がなされておらず、発熱量が高く、流動床式焼却炉の炉内温度を高めるため冷却水を必要とする。冷却水として下水処理場内の処理水を使用する場合の冷却水費は71円になる。また、冷却水として上水を使用する場合の冷却水費は2,848円になる。
汚泥Bを20t焼却するのに必要なコストとしては補助燃料(都市ガス)費として71,506円になる。
このように汚泥Aと汚泥Bの合計50tを順にそれぞれを別々に焼却するのに必要なコストは冷却水として処理水を使用する場合は、71,577円、冷却水として上水を使用する場合は、74,354円になる。
これに対して、汚泥Aと汚泥Bの供給割合を制御して同時に供給する場合の汚泥50t焼却するのに必要なコストは、補助燃料と冷却水の使用量を共に低減でき(冷却水を必要としない)、補助燃料(都市ガス)費の6,632円になる。
【0024】
このように汚泥Aと汚泥Bの供給割合を制御してそれぞれの汚泥に含まれる水分量の影響を考慮して汚泥を焼却する方が、汚泥Aと汚泥Bをそれぞれ単独で焼却するより冷却水と補助燃料の使用量を抑えることができ、断然コストが低いことが分かる。なお、上述の説明では汚泥Aと汚泥Bを流動床式焼却炉に供給する場合を例示したが、本発明はこれに限らず複数の供給経路がある場合にも適用しえるものである。
【0025】
また、制御装置(60)に集約される汚泥A、汚泥Bの水分量は焼却工程の前工程の脱水設備における含水率調整に利用することもできる。水分量に応じて脱水設備側での脱水能力を加減し、水分総量を所定範囲に調整することで、焼却の炉内温度の変動の抑制につなげることが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1:第一貯留ホッパ 11:第二貯留ホッパ
2、12:汚泥排出機
3、13:移送ポンプ
4、14:配管
5、15:流量計
6、16:含水率計
30:流動床式焼却炉
31:炉内温度計
32:冷却水供給装置
33:配管
34:冷却水流量計
35:冷却水調整弁
42:補助燃料供給装置
43:配管
44:補助燃料流量計
45:補助燃料調整弁
50:演算器
60:制御装置
図1
図2
図3
図4