(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145971
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】数値制御装置、工作機械、制御方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20241004BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G05B19/18 S
B23Q11/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058609
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳也
【テーマコード(参考)】
3C011
3C269
【Fターム(参考)】
3C011BB01
3C269AB03
3C269AB05
3C269BB17
3C269CC02
3C269MN27
(57)【要約】
【課題】切削液の噴出機構を適切なタイミングで駆動できる数値制御装置、工作機械、制御方法、プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】CPUは、加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動によりカバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を制御する。CPUは、加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻Tspに到達したか否かを判断する(S13、S21)。CPUは、特定時刻Tspに到達したと判断した時(S13:YES、S21:YES)、特定時刻Tspから加工プログラムの終了時までの第一所定時間ポンプを駆動する(S29)。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置において、
前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断部と、
前記第一判断部が前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動部と
を備えたことを特徴とする数値制御装置。
【請求項2】
前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを間欠駆動する第二ポンプ駆動部を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記第二ポンプ駆動部は、前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行し、
前記第一所定時間は、前記第一時間よりも短い
ことを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記第二ポンプ駆動部は、前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行し、
前記第一所定時間は、前記第一時間よりも長い
ことを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行する第二ポンプ駆動部と、
前記加工プログラムの終了前の最後の前記ポンプの駆動停止から前記特定時刻までの第二所定時間が所定の基準時間よりも短いか否か判断する第二判断部と、
前記第二判断部により前記第二所定時間が前記基準時間よりも短いと判断した場合、最後の前記第一時間の前記ポンプの駆動開始時刻から前記加工プログラムの終了時までの時間を前記第一所定時間に設定する設定部と
を備え、
前記第一ポンプ駆動部は、前記設定部が設定した前記第一所定時間前記ポンプを駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項6】
前記加工プログラムに基づいて前記カバー内に配置した前記ワークを加工することで生じた前記切粉を、前記ポンプの駆動により前記カバー内に前記切削液を噴出することで洗い流す前記噴出機構と、
請求項1~5の何れかに記載の前記数値制御装置と
を備えたことを特徴とする工作機械。
【請求項7】
加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置の制御方法において、
前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置のコンピュータに、
前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置のコンピュータに、
前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップと
を実行させるプログラム
を記憶することを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置、工作機械、制御方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の制御装置は、NCプログラムの実行中、NCプログラムを構成する複数のブロック中に、主軸、クーラント等の動作部が待機状態となるブロックが存在するか否かを判別する。制御装置は、待機状態となるブロックが存在する場合、当該ブロックの実行時に当該動作部に対応した動力源、例えば主軸モータ、クーラントポンプに供給される電力を遮断できるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記制御装置は、待機状態となる場合にのみ電力が遮断されるので、クーラント供給部によるクーラントの供給が過剰となる場合があり、クーラント供給部による消費電力を適切に抑制できない可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、切削液の噴出機構を適切なタイミングで駆動できる数値制御装置、工作機械、制御方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の数値制御装置は、加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置において、前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断部と、前記第一判断部が前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記数値制御装置は、第一所定時間のポンプの駆動で、加工プログラムの終了時までに確実に切粉を洗い流すことができる。故に、数値制御装置は、切削液の噴出機構を適切なタイミングで駆動できる。
【0008】
請求項2の数値制御装置は、前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを間欠駆動する第二ポンプ駆動部を備えてもよい。故に、数値制御装置は、常時ポンプを駆動した場合に比べて、消費電力を低減できる。
【0009】
請求項3の数値制御装置では、前記第二ポンプ駆動部は、前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行し、前記第一所定時間は、前記第一時間よりも短くてもよい。加工プログラムによっては、加工後半は切粉が微量しか発生しない場合がある。該時、第一所定時間が第一時間より短くても十分に切粉を流すことができるので、消費電力を低減できる。
【0010】
請求項4の数値制御装置では、前記第二ポンプ駆動部は、前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行し、前記第一所定時間は、前記第一時間よりも長くてもよい。数値制御装置は、加工プログラムの終了前に、繰り返し行われる第一時間のポンプの駆動よりも長い第一所定時間ポンプを駆動する。故に、数値制御装置は、加工プログラムの終了時までに、より確実に切粉を洗い流すことができる。
【0011】
請求項5の数値制御装置は、前記加工プログラムの実行中に前記ポンプを第一時間駆動し、前記ポンプの前記第一時間の駆動後に前記ポンプを第二時間停止することを繰り返し実行する第二ポンプ駆動部と、前記加工プログラムの終了前の最後の前記ポンプの駆動停止から前記特定時刻までの第二所定時間が所定の基準時間よりも短いか否か判断する第二判断部と、前記第二判断部により前記第二所定時間が前記基準時間よりも短いと判断した場合、最後の前記第一時間の前記ポンプの駆動開始時刻から前記加工プログラムの終了時までの時間を前記第一所定時間に設定する設定部とを備え、前記第一ポンプ駆動部は、前記設定部が設定した前記第一所定時間前記ポンプを駆動してもよい。数値制御装置は、第一所定時間を再設定することで、ポンプが短時間で停止と駆動を繰り返すことを防止できる。故に、数値制御装置は、低消費電力化を実現できる。
【0012】
請求項6の工作機械は、前記加工プログラムに基づいて前記カバー内に配置した前記ワークを加工することで生じた前記切粉を、前記ポンプの駆動により前記カバー内に前記切削液を噴出することで洗い流す前記噴出機構と、請求項1~5の何れかに記載の前記数値制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記工作機械は、請求項1~5の何れかの数値制御装置と同様の効果を得る。
【0014】
請求項7の制御方法は、加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置の制御方法において、前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップとを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記制御方法は、請求項1の数値制御装置と同様の効果を得る。
【0016】
請求項8のプログラムは、加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置のコンピュータに、前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップとを実行させることを特徴とする。
【0017】
上記プログラムは、請求項1の数値制御装置と同様の効果を得る。
【0018】
請求項9の記憶媒体は、加工プログラムに基づいてカバー内に配置したワークを加工することで生じた切粉を、ポンプの駆動により前記カバー内に切削液を噴出することで洗い流す噴出機構を備えた工作機械を制御する数値制御装置のコンピュータに、前記加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、前記加工プログラムが終了する時刻から第一所定時間前の特定時刻に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップが前記特定時刻に到達したと判断した時、前記特定時刻から前記加工プログラムの終了時までの前記第一所定時間前記ポンプを駆動する第一ポンプ駆動ステップとを実行させるプログラムを記憶することを特徴とする。
【0019】
上記記憶媒体は、請求項1の数値制御装置と同様の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】主軸7に装着する工具TがワークWを加工する状態を示す図。
【
図6】数値制御装置30と工作機械1の電気的構成を示すブロック図。
【
図11】運転パターンA、Bとポンプ22の駆動状態との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下説明は、
図2の紙面手前方向、紙面奥行き方向、左方、右方、上方、下方を、夫々工作機械1の前方、後方、左方、右方、上方、下方とする。工作機械1の左右方向、前後方向、上下方向は、夫々、工作機械1のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
【0022】
図1~
図4を参照し、工作機械1の構造の概略を説明する。工作機械1は、基台2、機械本体3、カバー4、テーブル8(
図3参照)、工具交換装置13(
図4参照)、制御箱15等を備える。基台2は略直方体状の鉄製土台である。機械本体3は基台2上部に設け、テーブル8上面に保持したワークW(
図5参照)を切削加工する。切削加工の種類は、例えばドリル、タップ、フライス加工等である。カバー4は基台2上部に設け、機械本体3周囲と基台2上部を覆う略直方体の箱状である。カバー4は切粉と切削液の飛沫等が外部に飛散するのを防止する。
図4に示す如く、テーブル8は基台2上部中央に設け、X軸モータ53(
図6参照)、Y軸モータ54(
図6参照)、X軸ガイド機構及びY軸ガイド機構(図示略)等により、X軸方向とY軸方向に移動可能である。各ガイド機構はリニアガイド、ボール螺子、ナット(図示略)等を備える。テーブル8は上面にワークW(
図5参照)を治具等で固定可能である。
【0023】
図4に示す如く、工具交換装置13は工具マガジン14を備える。円盤状の工具マガジン14は外周に複数のグリップアーム14Aを備える。グリップアーム14Aは先端部に工具T(
図5参照)を把持し、機械本体3の後述する主軸7(
図5参照)との間を揺動可能である。工具交換装置13は工具交換位置にあるグリップアーム14Aを揺動させ、主軸7に装着する工具Tの着脱を行う。工具交換位置は工具マガジン14の最下部の位置で且つ主軸7に最も近接する位置である。
図1に示す如く、制御箱15はカバー4背面側に設け、数値制御装置30(
図6参照)を内側に格納する。数値制御装置30は工作機械1の動作を制御する。
【0024】
図1~
図4を参照し、機械本体3の構成を説明する。機械本体3は、コラム5、主軸ヘッド6、主軸7(
図5参照)等を備える。コラム5は基台2上部後方に立設する。主軸ヘッド6はZ軸移動機構(図示略)でコラム5前面に沿ってZ軸方向に昇降可能である。Z軸移動機構は、リニアガイド、ボール螺子、ナット(図示略)等を備える。
図5に示す如く、主軸ヘッド6は内部に主軸7を回転可能に支持する。主軸7は下端部に工具Tを装着し、主軸モータ52(
図3,
図6参照)の駆動により回転する。工作機械1はテーブル8上面に保持したワークW(
図5参照)と主軸7に装着した工具Tとの相対移動によって、ワークWに切削加工を施すことができる。
【0025】
図1~
図4を参照し、カバー4の構造を説明する。カバー4は前壁41、左壁42、右壁43、左背壁44(
図3,
図4参照)、右背壁45(
図3,
図4参照)を備え、略直方体の箱状に形成する。各壁41~45の下端部は基台2上部に固定する。
図3,
図4に示す如く、左背壁44と右背壁45はカバー4の背壁を構成する。左背壁44はコラム5左側面前端部に固定し左側方に延出する。右背壁45はコラム5右側面前端部に固定し右側方に延出する。カバー4は工作機械1の加工領域を覆う。加工領域とは、工作機械1がワーク加工の為に必要とする領域であり、少なくとも主軸ヘッド6及び主軸7のZ軸方向における可動範囲、及びテーブル8のXY方向における可動範囲を包含する領域である。カバー4は切削液噴出機構(以下、「噴出機構」という。)を備える。噴出機構はカバー4内にて切削液を噴出する。故に工作機械1はワーク加工で発生しカバー4内に付着して堆積する切粉を洗い流すことができる。尚、噴出機構の構造は後述する。
【0026】
図2に示す如く、前壁41は、開口部46、開閉扉47、操作盤10を備える。開口部46は前壁41略中央に設け正面視矩形状である。開閉扉47は開口部46において左右方向に移動可能に設ける。作業者は開閉扉47を開き、テーブル8上面においてワークWの着脱が可能である。操作盤10は開口部46の右側に設ける。操作盤10はハーネス(図示略)で数値制御装置30(
図6参照)に接続する。操作盤10は入力部11と表示部12を備える。入力部11は、工作機械1の各種動作指示、加工プログラム、工具種類、工具径、各種パラメータ等を入力可能とする機器である。加工プログラムは各種制御指令を含む複数のブロックで構成し、数値制御装置30は加工プログラムに基づいて工作機械1の軸移動、工具交換等を含む各種動作をブロック単位で制御する。表示部12は数値制御装置30の指示を受け、各種入力画面又は操作画面等を表示可能である。
【0027】
図1,
図3,
図4を参照し、噴出機構の構造を説明する。噴出機構は噴出部と供給部で構成する。噴出部はカバー4内側に設け、カバー4内にて切削液を噴出する。供給部はカバー4外側に設け、噴出部に対して切削液を供給する。
【0028】
図4を参照し、噴出部の構成を説明する。噴出部は、一対のフレキシブルパイプ71,72、一対の切削液ノズル74,75、一対の切削液配管81,82、複数のチップシャワー83,84等で構成する。フレキシブルパイプ71は左背壁44に設けた貫通穴94からテーブル8上面に向けて延出する。貫通穴94は左背壁44の右端側の上下方向略中段位置に設ける。切削液ノズル74はフレキシブルパイプ71先端に設ける。フレキシブルパイプ72は右背壁45に設けた貫通穴92からテーブル8上面に向けて延出する。貫通穴92は右背壁45の左端側の上下方向略中段位置に設ける。切削液ノズル75はフレキシブルパイプ72先端に設ける。切削液ノズル74,75はフレキシブルパイプ71,72を屈曲させてテーブル8上面に向ける。
【0029】
切削液配管81は、左背壁44の左端側上部に設けた貫通穴93(
図3参照)から前方且つ水平に延出する。切削液配管82は右背壁45の右端側上部に設けた貫通穴91(
図3参照)から前方且つ水平に延出する。切削液配管81は下部において所定間隔毎に複数の穴(図示略)を備える。チップシャワー83は切削液配管81下部に設けた複数の穴に夫々取り付ける。切削液配管82も下部において所定間隔毎に複数の穴(図示略)を備える。チップシャワー84は切削液配管82下部に設けた複数の穴に夫々取り付ける。チップシャワー83,84は切削液の噴出方向を下方に向ける。
【0030】
図1,
図3を参照し、供給部の構成を説明する。
図1に示す如く、供給部は、タンク20、ポンプ22,23、主ホース25,26、分岐ホース27,28、T字継手61,62、継手63,64(
図3参照)等で構成する。タンク20は基台2後方に設置し切削液を貯留する。ポンプ22,23はタンク20右側に隣接して設ける。主ホース25はポンプ22に接続する。主ホース26はポンプ23に接続する。ポンプ22はタンク20内の切削液を汲み上げ主ホース25に供給する。ポンプ23はタンク20内の切削液を汲み上げ主ホース26に供給する。
【0031】
T字継手61は、右背壁45右端側上部に設けた貫通穴91に対しカバー4外側から接続する。T字継手62は、右背壁45の左端側上下方向中段位置に設けた貫通穴92に対しカバー4外側から接続する。
図3に示す如く、継手63は、左背壁44左端側上部に設けた貫通穴93に対しカバー4外側から接続する。継手64は、左背壁44右端側上下方向中段位置に設けた貫通穴94(
図4参照)に対しカバー4外側から接続する。
【0032】
T字継手61には主ホース25と分岐ホース27が夫々接続する。分岐ホース27はコラム5の背面側を介してコラム5左側に延出し、左背壁44に設けた継手63に接続する(
図3参照)。T字継手62には主ホース26と分岐ホース28が夫々接続する。分岐ホース28はコラム5に設けた穴5B(
図1参照)を挿通してコラム5左側に延出し、左背壁44に設けた継手64に接続する(
図3参照)。穴5Bはコラム5上下方向中段位置に設け左右方向に貫通する。
【0033】
図1,
図3,
図4を参照し、噴出機構の動作を説明する。ポンプ23が駆動すると、切削液は主ホース26を流れる。切削液はT字継手62で分岐し、一方は貫通穴92を介してフレキシブルパイプ72に流れ、他方は分岐ホース28に流れる。フレキシブルパイプ72に流れた切削液は切削液ノズル75から勢いよく噴出する。分岐ホース28に流れた切削液は、コラム5を挟んで反対側の継手64から貫通穴94を介してフレキシブルパイプ71を流れ、切削液ノズル74から勢いよく噴出する。切削液ノズル74,75は、テーブル8上面に治具等で固定したワークWの被加工部分(図示略)に対し、切削液を左右両側から直接当てることができる。切削液は被加工部分に付着する切粉を洗い落とすことができる。
【0034】
ポンプ22が駆動すると、切削液は主ホース25を流れる。切削液はT字継手61で分岐し、一方は貫通穴91を介して切削液配管82を流れ、他方は分岐ホース27に流れる。切削液配管82に流れた切削液は複数のチップシャワー84から下方に勢いよく噴出する。分岐ホース27に流れた切削液は、コラム5を挟んで反対側の継手63から貫通穴93を介して切削液配管81を流れ、複数のチップシャワー83から下方に勢いよく噴出する。故に切削液はカバー4の内側に付着して堆積する切粉を洗い落とすことができる。
【0035】
図6を参照し、数値制御装置30と工作機械1の電気的構成を説明する。数値制御装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性記憶装置34、入出力部35、モータ制御部51A~55A、駆動制御部56A,57A等を備える。CPU31は数値制御装置30を統括制御する。ROM32は制御プログラム等を記憶する。制御プログラムは後述するメイン処理(
図12参照)を実行する。RAM33は各種記憶領域を備える。不揮発性記憶装置34は作業者が操作盤10の入力部11で入力した複数の加工プログラム等を記憶する。なお、ROM32に記憶される制御プログラムは、読み取り可能な外付けの記憶媒体(USBメモリ、CD-ROM等)に記憶されてもよい。CPU31は、記憶媒体からプログラムを読み出して不揮発性記憶装置34に記憶し、不揮発性記憶装置34に記憶した制御プログラムを実行してもよい。又、工作機械1は、他の機器(サーバ等)と通信回線を介して通信可能であってもよい。他の機器の記憶装置に制御プログラムが記憶されてもよい。CPU31は、他の機器と通信を行うことによって取得した制御プログラムを、不揮発性記憶装置34に記憶してもよい。制御プログラムは本発明のプログラムに相当する。USBメモリ、CD-ROM、サーバ、他の機器等が記憶媒体に相当する。
【0036】
モータ制御部51AはZ軸モータ51とエンコーダ51Bに接続する。モータ制御部52Aは主軸モータ52とエンコーダ52Bに接続する。モータ制御部53AはX軸モータ53とエンコーダ53Bに接続する。モータ制御部54AはY軸モータ54とエンコーダ54Bに接続する。モータ制御部55Aはマガジンモータ55とエンコーダ55Bに接続する。駆動制御部56Aはポンプ22に接続する。駆動制御部57Aはポンプ23に接続する。モータ制御部51A~55AはCPU31から指令を受け、対応する各モータ51~55に駆動電流を夫々出力する。
【0037】
モータ制御部51A~55Aはエンコーダ51B~55Bからフィードバック信号を受け、位置と速度のフィードバック制御を行う。入出力部35は入力部11と表示部12に夫々接続する。駆動制御部56A,57AはCPU31から指令を受け、対応するポンプ22,23に駆動電流を夫々出力する。ポンプ22と23は駆動電流で夫々駆動する。Z軸モータ51、主軸モータ52、X軸モータ53、Y軸モータ54、及びマガジンモータ55は、何れもサーボモータである。尚、以下説明にて、Z軸モータ51、主軸モータ52、X軸モータ53、Y軸モータ54、及びマガジンモータ55を総称する場合は、各モータ51~55と呼ぶ。
【0038】
図7、
図8を参照して、ポンプ22のパラメータ設定とフラグ設定の一例を説明する。作業者は、操作盤10を操作して、ポンプ22の駆動に関する各パラメータを設定する。加工時間は、説明の便宜上100秒とする。加工時間は、加工プログラムによるワークWの加工開始から終了までの時間である。加工時間は、各加工プログラムに関連付けて不揮発性記憶装置34に記憶する。
【0039】
図7に示す如く、ポンプ22は、1サイクルTcycに一回ずつ駆動と停止を行い、1サイクルTcycは56秒である。ポンプ22の停止時間(以下、第二時間Toffという。)は、39秒であり、ポンプ22の駆動時間(以下、第一時間Tonという。)は、17秒である。加工終了前のポンプ22の駆動時間(以下、第一所定時間Tendという。)は、加工プログラムの1運転辺り15秒とする。第一所定時間Tendは、第一時間Tonよりも短い。加工開始から85秒後の時刻は特定時刻Tspという。つまり、加工開始後に特定時刻Tspに到達時、ポンプ22は加工プログラムの終了まで駆動する。
【0040】
図8に示す如く、ポンプ22のフラグは、作業者の設定したパラメータに基づきCPU31が設定する。フラグが「0」の場合、ポンプ22は停止する。フラグが「1」の場合、ポンプ22は駆動する。数値制御装置30は時刻0秒でワークWの加工を開始する。時刻0秒~時刻39秒までの第二時間Toff(39秒)の間、フラグは「0」となる。時刻39秒~時刻56までの第一時間Ton(17秒)の間、フラグは「1」となる。
【0041】
時刻56秒に到達時、2回目のサイクルTcycは開始する。該時、フラグは「0」となる。時刻56秒以降、且つ第二時間Toffの経過まで、フラグは「0」となる。時刻85秒、即ち特定時刻Tspに到達時、フラグは再び「1」となる。特定時刻Tspである時刻85秒~時刻100秒の加工完了までの第一所定時間Tendの間、フラグは1となる。
【0042】
図9、
図10を参照して、ポンプ22のパラメータ設定とフラグ設定の一例を説明する。以下では、加工時間は、
図7,
図8の場合と同様に100秒とする。
図9、
図10の場合は、
図7、
図8の場合に比べて、1サイクルTcycの時間が長い。
図9に示す如く、1サイクルTcycは83秒とする。第二時間Toffは、10秒とし、第一時間Tonは、73秒とする。第一所定時間Tendを加工終了の15秒前とする。つまり、特定時刻Tspは85秒である。第一所定時間Tendは、第一時間Tonよりも短い。
【0043】
図10に示す如く、時刻0秒で加工は開始する。時刻0秒~10秒までの第二時間Tоff(10秒)の間、フラグは「0」となる。時刻10秒~83秒までの第一時間Tоn(73秒)の間、フラグは「1」となる。時刻83秒に到達時、次のサイクルTcycの第二時間Tоffの開始時刻となるが、その2秒後に特定時刻Tspである85秒に到達する。該時、ポンプ22の停止と駆動を短時間で実行するので、工作機械1は必要以上に電力消費する。
【0044】
この場合、2回目のサイクルTcycの開始時刻である83秒に到達した場合でも、フラグは「1」に設定する。これにより、ポンプ22は、短時間での停止と駆動を実行するのを回避する。例えば加工プログラムの終了前の最後のポンプ22の駆動停止から特定時刻Tspまでの時間(以下、第二所定時間Tsubともいう。)が基準時間Trefより短い場合、フラグは「1」を維持する。基準時間Trefは、例えば3秒であり、ポンプ22の仕様に応じて決定すればよい。
【0045】
図11を参照して、加工プログラムの運転パターンA、Bについて簡単に説明する。運転パターンA、Bは、
図7~
図10に示す例とは異なり、加工時間が1サイクルTcycに対して長い。このため、加工開始の時刻t0から複数のサイクルTcycに亘ってポンプ22の駆動と停止を繰り返す。このサイクルTcycの繰り返しにより、噴出機構は、発生する切粉を排出する。運転パターンA、Bの場合もポンプ22を間欠駆動するので、数値制御装置30は消費電力を低減できる。
【0046】
運転パターンAは、第二所定時間Tsubが基準時間Trefより長い場合である。ポンプ22は、最後の第二時間Toffの開始から特定時刻Tspまで停止する。特定時刻Tspに到達時、ポンプ22は駆動する。特定時刻Tspから加工プログラムの終了する時刻teまで、ポンプ22は駆動する。故に、数値制御装置30は、繰り返し実行する1サイクルTcycで長時間の加工で発生する切粉を切削液で排出しつつ、特定時刻Tsp~時刻Teまでに発生した切粉も排出できる。
【0047】
運転パターンBは、第二所定時間Tsubが基準時間Trefより短い場合である。該時、時刻t10で、ポンプ22は、第二時間Toff停止しない。数値制御装置30は、時刻t7を特定時刻Tspとし、時刻t7から時刻Teを第一所定時間Tendに再設定する。つまり、時刻t7から加工プログラムの終了する時刻teまで、ポンプ22は駆動し続ける。故に数値制御装置30は、工作機械1は、ポンプ22の駆動と停止を短時間で繰り返すことによる電力消費を抑制できる。
【0048】
図12を参照し、メイン処理を説明する。以下の説明では、ポンプ22を駆動する為のパラメータは設定済みであることを前提とする。作業者は入力部11で一の加工プログラムを選択し開始指示を入力する。CPU31は入力部11で選択した加工プログラムを不揮発性記憶装置34から読み出し本処理を実行する。
【0049】
CPU31は、不揮発性記憶装置34を参照して、作業者が選択した加工プログラムに対応する加工時間を読み込む(S1)。
【0050】
CPU31は、第二所定時間Tsubが基準時間Tref以上か否か判断する(S5)。第二所定時間Tsubが基準時間Tref以上と判断した場合(S5:YES)、CPU31は、S1で受け付けたパラメータのうち第一所定時間Tendを維持して、処理をS9に進める。故に、
図11の運転パターンAの実行が可能となる。つまり、特定時刻Tspはパラメータ設定時から変更しない。
【0051】
第二所定時間Tsubが基準時間Trefよりも短いと判断した場合(S5:NO)、CPU31は、最後の第一時間Tonのポンプ22の駆動開始時刻から加工プログラムの終了時までの時間を第一所定時間Tendに再設定する(S7)。故に、
図11の運転パターンBの実行が可能となる。この場合、特定時刻Tspは、パラメータ設定時の特定時刻Tspよりも前の時刻となる。第一所定時間TendはS1の処理でのパラメータ設定時より長い。
【0052】
CPU31は、加工プログラムを開始する(S9)。CPU31は、加工プログラム開始からの経過時間の計測を開始する(S11)。CPU31は、加工プログラムが終了する時刻teから第一所定時間Tend前の特定時刻Tspに到達したか否かを判断する(S13)。特定時刻Tspに到達していないと判断した場合(S13:NO)、CPU31は、フラグを0に設定して、ポンプ22を停止する(S15)。CPU31は、ポンプ22を停止してからの停止時間を計測開始する(S17)。
【0053】
CPU31は、ポンプ22の停止時間が第二時間Toffを経過したか否か判断する(S19)。ポンプ22の停止時間が第二時間Toffを経過していないと判断した場合(S19:NO)、CPU31は、処理をS13に戻す。CPU31は、第二時間Toffが経過するまでポンプ22を停止する。ここで、ポンプ22の停止中に特定時刻Tspに到達する場合がある。該時、特定時刻Tspに到達したと判断して(S13:YES)、CPU31は、処理をS29に進める。
【0054】
ポンプ22の停止時間が第二時間Toff秒を経過したと判断した場合(S19:YES)、CPU31は、S13の処理と同様に、特定時刻Tspに到達したか否か判断する(S21)。特定時刻Tspに到達していないと判断した場合(S21:NO)、CPU31は、フラグを「1」に設定して、ポンプ22を駆動する(S23)。
【0055】
CPU31は、ポンプ22の駆動時間の計測を開始する(S25)。CPU31は、ポンプ22の駆動時間が第一時間Tonを経過したか否か判断する(S27)。ポンプ22の駆動時間が第一時間Tоnを経過していないと判断した場合(S27:NO)、CPU31は、処理をS21に戻す。つまり、CPU31は、第一時間Ton経過するまでポンプ22を駆動する。ここで、ポンプ22の駆動中に特定時刻Tspに到達する場合がある。該時、特定時刻Tspに到達したと判断して(S21:YES)、CPU31は、処理をS29に進める。
【0056】
一方、ポンプ22の駆動時間が第一時間Tonを経過した場合(S27:YES)、CPU31は、処理をS13に戻す。該時、特定時刻Tspに到達していなければ(S13:NO)、CPU31は、ポンプ22の駆動を停止し、次の1サイクルTcycのポンプ22の制御を行う(S13~S27)。
【0057】
特定時刻Tspに到達しているので、CPU31は、フラグを「1」に設定して、ポンプ22を駆動する(S29)。既にポンプ22が駆動している場合(S27:NO⇒S21:YES)、CPU31はフラグ「1」を維持して、ポンプ22を駆動する。
【0058】
CPU31は、加工プログラムが終了したか否か、即ち第一所定時間Tend経過したか否か判断する(S31)。加工プログラムが終了していないと判断した場合(S31:NO)、CPU31は、処理を戻して待機する。該時、CPU31はポンプ22を駆動し続ける。加工プログラムが終了したと判断した場合(S31:YES)、CPU31は、フラグを「0」に設定して、ポンプ22を停止する(S33)。つまり、CPU31は、特定時刻Tspに到達したと判断した時(S9:YES、S17:YES)、特定時刻Tspから加工プログラムの終了時までの第一所定時間Tendポンプ22を駆動する。CPU31は処理を終了する。
【0059】
以上説明したように、CPU31は、加工プログラムに基づく加工開始から加工終了までの加工時間に基づき、加工プログラムが終了する時刻teから第一所定時間Tend前の特定時刻Tspに到達したか否かを判断する。CPU31は、特定時刻Tspに到達したと判断した時、特定時刻Tspから加工プログラムの終了時までの第一所定時間Tendポンプ22を駆動する。
【0060】
上記数値制御装置30は、第一所定時間Tendのポンプ22の駆動で、加工プログラムの終了時までに確実に切粉を洗い流すことができる。故に、数値制御装置30は、切削液の噴出機構を適切なタイミングで駆動できる。
【0061】
CPU31は、加工プログラムの実行中にポンプ22を間欠駆動する。故に、数値制御装置30は、常時ポンプ22を駆動した場合に比べて、消費電力を低減できる。
【0062】
CPU31は、ポンプ22を第一時間Ton駆動し、ポンプ22の第一時間Tonの駆動後にポンプを第二時間Tоff停止することを繰り返す。第一所定時間Tendは、第一時間Tonよりも短い。加工プログラムによっては、加工後半は切粉が微量しか発生しない場合がある。該時、第一所定時間Tendが第一時間Tonより短くても十分に切粉を流すことができるので、消費電力を低減できる。
【0063】
CPU31は、加工プログラムの実行中にポンプ22を第一時間Ton駆動し、ポンプ22の第一時間Tonの駆動後にポンプ22を第二時間Tоff停止することを繰り返し実行する。CPU31は、加工プログラムの終了前の最後のポンプ22の駆動停止から特定時刻Tspまでの第二所定時間Tsubが所定の基準時間Trefよりも短いか否か判断する。CPU31は、第二所定時間Tsubが基準時間Trefよりも短いと判断した場合、最後の第一時間Tonのポンプ22の駆動開始時刻から加工プログラムの終了時までの時間を第一所定時間Tendに設定して、第一所定時間Tendポンプ22を駆動する。数値制御装置30は、第一所定時間Tendを再設定することで、ポンプ22が短時間で停止と駆動を行うことを防止できる。故に、数値制御装置30は、低消費電力化を実現できる。
【0064】
以上説明にて、S13、S21の処理を実行するCPU31が本発明の第一判断部の一例である。S29の処理を実行するCPU31が本発明の第一ポンプ駆動部の一例である。S13~S27の処理を実行するCPU31が本発明の第二ポンプ駆動部の一例である。S5の処理を実行するCPU31が本発明の第二判断部の一例である。S7の処理を実行するCPU31が本発明の設定部の一例である。
【0065】
本発明は上記実施形態に限らず種々の変更が可能である。上記実施形態では、メイン処理を実行しながらポンプ22のフラグの設定を行ったがこれに限らない。例えば、パラメータを設定時、先にポンプ22のフラグも設定してもよい。この場合、CPU31は、設定したフラグに基づきポンプ22を駆動するだけでよい。
【0066】
上記実施形態では、第一所定時間Tendは、第一時間Tonよりも短かったがこれに限らない。例えば、
図13に示す如く、第一所定時間Tendは、第一時間Tonよりも長くてもよい。数値制御装置30は、加工プログラムの終了前に、繰り返し行われる第一時間Tonのポンプ22の駆動よりも長い第一所定時間Tendポンプ22を駆動する。故に、数値制御装置30は、加工プログラムの終了時までに、より確実に切粉を洗い流すことができる。つまり、作業者は、省エネ性よりも、切屑の排出性を重視する場合にこのようにパラメータを設定する。
【0067】
上記実施形態では、少なくとも1サイクルTcycのポンプ22の駆動と停止が行われたがこれに限らない。例えば、1サイクルTcycが終わる前に、特定時刻Tspに到達する場合にも、上記実施形態と同様にポンプ22の駆動を開始してよい。
【0068】
上記実施形態では、ポンプ22を第一時間Tоn駆動し、ポンプ22を第二時間Tоff停止することで間欠駆動したがこれに限らない。例えば、CPU31は、切削液の流量を検出するセンサで切削液の流量を検出し、検出結果が所定の流量を検出した場合にポンプ22を停止してもよい。また、タンク20内部に備えた液面センサが所定位置を検出した場合、即ち所定量の切削液が外部へ流出した場合にポンプ22を停止してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 工作機械
4 カバー
22 ポンプ
30 数値制御装置
31 CPU
W ワーク
Tsp 特定時刻
Tоn 第一時間
Tоff 第二時間
Tend 第一所定時間
Tsub 第二所定時間
Tref 基準時間