(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145974
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ラミネート型蓄電素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/131 20210101AFI20241004BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241004BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20241004BHJP
【FI】
H01M50/131
H01M50/105
H01M50/184 C
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058614
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池山 美紗子
(72)【発明者】
【氏名】花村 玲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆二
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC10
5H011DD13
5H011FF02
5H011GG09
5H011KK01
5H029AJ14
5H029BJ12
5H029DJ02
5H029DJ12
5H029HJ04
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】位置決め精度を低下させずに正極タブおよび負極タブの外部短絡を防ぐことのできるラミネート型蓄電素子を得ること。
【解決手段】ラミネート型蓄電素子1は、シート状の正極とシート状の負極とが間にセパレータを挟んで積層された電極体2と、正極側から電極体を覆うシート状の第1の外装体と負極側から電極体を覆うシート状の第2の外装体とを有して電極体2を内部に収容するとともに第1の辺3aを有する外装体3と、正極に接触するとともに一部が第1の辺3aから外装体3の外部に露出する正極タブ4と、負極に接触するとともに一部が第1の辺3aから外装体3の外部に露出する負極タブ5と、を備え、外装体3の表面には、第1の辺3aに沿って延びる凹部7が形成されており、凹部7の外周辺のうち第1の辺3a側となる第2の辺7aは、端部から一定の範囲が端部に向かうほど第1の辺3aから離れる離間範囲7bとなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正極とシート状の負極とが間にセパレータを挟んで積層された電極体と、
前記正極側から前記電極体を覆うシート状の第1の外装体と前記負極側から前記電極体を覆うシート状の第2の外装体とを有して前記電極体を内部に収容するとともに第1の辺を有する外装体と、
前記正極に接触するとともに一部が前記第1の辺から前記外装体の外部に露出する正極タブと、
前記負極に接触するとともに一部が前記第1の辺から前記外装体の外部に露出する負極タブと、を備え、
前記外装体の表面には、前記第1の辺に沿って延びる凹部が形成されており、
前記凹部の外周辺のうち前記第1の辺側となる第2の辺は、端部から一定の範囲が端部に向かうほど前記第1の辺から離れる離間範囲となっているラミネート型蓄電素子。
【請求項2】
前記離間範囲において前記第2の辺はR形状である請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項3】
前記凹部は前記第1の辺から離れている請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項4】
前記第1の外装体と前記第2の外装体とは前記第1の辺がタブフィルムを介して溶着されている請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項5】
前記外装体と前記正極と前記負極と前記正極タブまたは前記負極タブとが重なる部分の厚さが0.6mm以下である請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項6】
前記正極と前記負極とを一つずつ備えたことを特徴とする請求項1に記載のラミネート型蓄電素子。
【請求項7】
シート状の正極に正極タブを接触させる工程と、
シート状の負極に負極タブを接触させる工程と、
前記正極と前記負極とをセパレータを介して対向配置して電極体を形成する工程と、
前記正極タブと前記負極タブの一部を外部に露出させつつ前記電極体を外装体に収容する工程と、
前記外装体の表面に金型を当接して封止する工程と、を備え、
前記外装体は第1の辺を有するとともに、前記正極タブと前記負極タブは前記第1の辺から露出されており、
前記金型は前記第1の辺に沿って延びる形状であり、
前記封止工程で前記外装体の表面に形成される凹部の外周辺のうち前記第1の辺側となる第2の辺は、端部から一定の範囲が端部に向かうほど前記第1の辺から離れる離間範囲となっているラミネート型蓄電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラミネート型蓄電素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電素子が搭載される装置の薄型化が進められており、装置に搭載される蓄電素子にも薄型化への要求が高まっている。薄型化が図られた蓄電素子には、例えば特許文献1に示すように、シート状の正極とシート状の負極とがセパレータを介して対向配置された電極体をラミネートフィルムからなる外装体で覆ったラミネート型蓄電素子がある。外装体は、2枚のラミネートフィルムの間に電極体を挟んで電極体を覆っている。外装体は、2枚のラミネートフィルム同士を溶着させることで内部に電極体を収容する。ラミネート型蓄電素子では、外装体の内部で正極に接触する正極タブと負極に接触する負極タブの一部が、2枚のラミネートフィルムの間を貫通して外装体の外部に露出されている。
【0003】
ラミネートフィルムの両面には絶縁性の樹脂層が形成されており、樹脂層が形成された部分ではラミネートフィルムと正極タブおよび負極タブとが接触しても短絡の問題は生じない。しかしながら、ラミネートフィルムの端面には樹脂層が形成されておらず、ラミネートフィルムの端面と正極タブおよび負極タブとが接触すると短絡の問題が生じてしまう。特許文献1に開示されたラミネート型蓄電素子では、正極タブと負極タブとが露出する外装体の1辺に沿って絶縁性の樹脂からなるシール材(タブフィルム)を2枚のラミネートフィルムの間からはみ出させることで、正極タブおよび負極タブがラミネートフィルムの端面に接触して短絡することが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タブフィルムがラミネートフィルムの間からはみ出ていると、タブフィルムのはみ出した量によってラミネート型蓄電素子の外形寸法が異なってしまう。例えば、タブフィルムを溶融してラミネートフィルムを溶着するが、溶融後のタブフィルムの流動を精密に制御することは難しく、タブフィルムのはみ出した量にはばらつきが生じやすい。したがって、ラミネート型蓄電素子の外形寸法にばらつきが生じやすい。
【0006】
ラミネート型蓄電素子は、その製造工程において高い精度での位置決めが必要となる場合がある。したがって、外形寸法にばらつきが生じると、ラミネート型蓄電素子の性能が低くなったり、歩留まりが低下したりするという問題があった。
【0007】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、位置決め精度を低下させずに正極タブおよび負極タブの外部短絡を防ぐことのできるラミネート型蓄電素子を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によるラミネート型蓄電素子は、シート状の正極とシート状の負極とが間にセパレータを挟んで積層された電極体と、正極側から電極体を覆うシート状の第1の外装体と負極側から電極体を覆うシート状の第2の外装体とを有して電極体を内部に収容するとともに第1の辺を有する外装体と、正極に接触するとともに一部が第1の辺から外装体の外部に露出する正極タブと、負極に接触するとともに一部が第1の辺から外装体の外部に露出する負極タブと、を備え、外装体の表面には、第1の辺に沿って延びる凹部が形成されており、凹部の外周辺のうち第1の辺側となる第2の辺は、端部から一定の範囲が端部に向かうほど第1の辺から離れる離間範囲となっている。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示するラミネート型蓄電素子の一態様によれば、位置決め精度を低下させずに正極タブおよび負極タブの外部短絡を防ぐことのできるラミネート型蓄電素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すIII-III線に沿って切断した断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すV-V線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態1における短絡防止の効果について説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示するラミネート型蓄電素子およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によって、本願の開示する電池が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の平面図である。
図2は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の分解斜視図である。ラミネート型蓄電素子1は、電極体2と、外装体3と、正極タブ4と、負極タブ5と、タブフィルム6と、を備える。
【0013】
電極体2は、正極21と、負極22と、セパレータ23と、を備える。正極21は、シート状に形成されている。正極21は、金属板または金属箔からなる正極集電体の一面に正極活物質を含む正極材料を配置して形成されている。負極22は、シート状に形成されている。負極22は、金属板または金属箔からなる負極集電体の一面に負極活物質を含む負極材料を配置して形成されている。セパレータ23は、シート状に形成されている。セパレータ23は、絶縁体で形成される。絶縁体には、ポリオレフィンまたはセルロースが例示される。正極21と負極22とは、間にセパレータ23を挟んで積層されている。
【0014】
外装体3は、第1の外装体31と第2の外装体32とを有する。外装体3は、平面視において四角形形状に形成されている。第1の外装体31および第2の外装体32は、アルミラミネートフィルムである。平面視において第1の外装体31および第2の外装体32のほうが電極体2よりも大きな外形で形成されている。外装体3は、第1の外装体31と第2の外装体32との間に電極体2を挟み込み、第1の外装体31と第2の外装体32の互いの縁を溶着させることで、内部に電極体2を封止している。なお、以下の説明において、第1の外装体31と第2の外装体32について、互いに対向する面を裏面と称し、裏面の反対面を表面と称する。封止された外装体3の内部には、電極体2とともに電解液が封入されている。電解液は水系電解液であってもよいし、非水系有機電解液であってもよい。
【0015】
第1の外装体31および第2の外装体32は、基材である金属箔の両面に樹脂層が設けられている。より具体的には、第1の外装体31および第2の外装体32の裏面には、熱溶着層可能な樹脂層が形成されている。熱溶着が可能な樹脂層は、例えばポリプロピレンで形成されている。第1の外装体31および第2の外装体32の表面には、保護層となる樹脂層が形成されている。保護層となる樹脂層は、例えばポリアミド樹脂で形成されている。第1の外装体31および第2の外装体32の表面および裏面に形成された樹脂層はともに絶縁性の樹脂層である。第1の外装体31および第2の外装体32は、両面に樹脂層が形成されたアルミラミネートフィルムを切断して形成される。そのため、切断面となる端面は樹脂に覆われておらず基材である金属箔が露出している。なお、本実施の形態1では金属箔としてアルミニウム箔を例示しているがこれに限られず、例えばステンレス箔であってもよい。
【0016】
正極タブ4は、金属で形成された帯状の部材である。正極タブ4の一端4aは、外装体3の内部で正極21に接触されている。正極タブ4の他端4bは、第1の外装体31と第2の外装体32との間を貫通して外装体3の外部に露出されている。
【0017】
負極タブ5は、金属で形成された帯状の部材である。負極タブ5の一端5aは、外装体3の内部で負極22に接触されている。負極タブ5の他端5bは、第1の外装体31と第2の外装体32との間を貫通して外装体3の外部に露出されている。ここで、正極タブ4と負極タブ5は、平面視において四角形形状である外装体3の第1の辺3aから露出している。なお、外装体3の第1の辺3aは、図示したように直線状に形成されていてもよいし、角部が面取りされていてもよい。
【0018】
タブフィルム6は、第1の辺3aに沿って第1の外装体31の内側と第2の外装体32の内側のそれぞれに設けられる。タブフィルム6は、絶縁樹脂製のシール材である。第1の辺3aでは、正極タブ4と負極タブ5とが第1の外装体31と第2の外装体32との間を貫通しているため、第1の外装体31と第2の外装体32との隙間が大きくなり、第1の外装体31の内面と第2の外装体32の内面に設けられた樹脂層だけでの熱溶着では、接着が不十分になる場合がある。そこで、第1の辺3aでは、タブフィルム6で熱溶着させることで、第1の外装体31と第2の外装体32とのより確実な接着が図られている。
【0019】
タブフィルム6での熱溶着は、タブフィルム6が設けられた領域に外装体3の表面から金型を押し付けつつ加熱することで行われる。金型を押し付けられた外装体3の表面には金型の形状に凹んだ凹部7が形成される。外装体3の表面が凹むことで、裏面側で溶けたタブフィルム6が第1の外装体31と第2の外装体32との間から第1の辺3aの外側にはみ出してはみ出し部6aを形成する。
【0020】
凹部7は、第1の辺3aに沿って延びる形状となっている。凹部7の外周辺のうち第1の辺3a側となる第2の辺7aは、端部から一定の範囲が離間範囲7bとなっている。離間範囲7bでは、端部に向かうほど第2の辺7aが第1の辺3aから離れる。実施の形態1では離間範囲7bにおいて第2の辺7aはR形状となっている。なお、離間範囲7bは、C面取り形状によって形成されていてもよい。
【0021】
図3は、
図1に示すIII-III線に沿って切断した断面図である。
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿って切断した断面図である。
図5は、
図1に示すV-V線に沿って切断した断面図である。
図3から
図5では、ラミネート型蓄電素子1の製造工程において外装体3の表面に押し付けられた状態の金型10も示している。
【0022】
図3に示すように、正極タブ4が設けられた箇所では、金型10の間に外装体3とタブフィルム6に加えて、正極タブ4も挟まれるため、溶融したタブフィルム6は第1の外装体31と第2の外装体32との間から第1の辺3aの外側にはみ出す。このはみ出した部分がはみ出し部6aとなる。図示は省略するが、負極タブ5が設けられた箇所でも同様の理由によりはみ出し部6aが形成される。
【0023】
図4に示すように、正極タブ4および負極タブ5が設けられていない箇所では、金型10の間に外装体3とタブフィルム6は挟まれるが正極タブ4および負極タブ5は挟まれない。そのため、
図3に示した箇所よりも第1の外装体31と第2の外装体32との間でタブフィルム6が占めることのできる空間が広くなっている。これにより、溶融したタブフィルム6のはみ出しは発生しにくくなっている。
【0024】
図5では、離間範囲7bでの断面が示されている。離間範囲7bでは、
図4と同様に金型10の間に正極タブ4と負極タブ5が挟まれないことに加えて、凹部7の第2の辺7aと外装体3の第1の辺3aとの距離Xが広くなっているため、溶融したタブフィルム6が第1の辺3aまで到達しにくく、よりはみ出しが発生しにくくなっている。
【0025】
次に、ラミネート型蓄電素子1の製造工程について説明する。
図6は、実施の形態1に係るラミネート型蓄電素子の製造工程を説明するためのフローチャートである。まず、正極21に正極タブ4を接触させる(ステップS1)。次に、負極22に負極タブ5を接触させる(ステップS2)。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して対向配置して電極体2を形成する(ステップS3)。次に、正極タブ4と負極タブ5の他端4b,5bを外部に露出させつつ電極体2を外装体3に収容する(ステップS4)。次に、外装体3に金型10を当接してタブフィルム6および樹脂層で熱溶着して封止する(ステップS5)。以上の工程によってラミネート型蓄電素子1が製造される。
【0026】
以上説明したラミネート型蓄電素子によれば、シート状の正極21とシート状の負極22とが間にセパレータ23を挟んで積層された電極体2と、正極21側から電極体2を覆うシート状の第1の外装体31と負極22側から電極体2を覆うシート状の第2の外装体32とを有して電極体2を内部に収容するとともに第1の辺3aを有する外装体3と、正極21に接触するとともに一部が第1の辺3aから外装体3の外部に露出する正極タブ4と、負極22に接触するとともに一部が第1の辺3aから外装体3の外部に露出する負極タブ5と、を備え、外装体3の表面には、第1の辺3aに沿って延びる凹部7が形成されており、凹部7の外周辺のうち第1の辺3a側となる第2の辺7aは、端部から一定の範囲が端部に向かうほど第1の辺3aから離れる離間範囲7bとなっている。これにより、外装体3の第1の辺3aのうち正極タブ4と負極タブ5が貫通する部分に、絶縁性の樹脂からなるはみ出し部6aを設けることができる。外装体3の第1の辺3aのうち正極タブ4と負極タブ5が貫通する部分にはみ出し部6aが形成されることで、正極タブ4および負極タブ5と外装体3とが短絡することを防ぐことができる。
【0027】
図7は、実施の形態1における短絡防止の効果について説明するための断面図である。
第1の外装体31および第2の外装体32の表面と裏面とには樹脂層が設けられているので、正極タブ4または負極タブ5と外装体3とが短絡するのは、第1の外装体31または第2の外装体32の端面31a,32aと正極タブ4または負極タブ5とが接触したときである。
【0028】
図7に示すように、端面31a,32aからはみ出したはみ出し部6aが設けられていることで、正極タブ4または負極タブ5が折れ曲がった場合であっても、正極タブ4または負極タブ5が端面31a,32aに接触しにくく、短絡が発生しにくい。
【0029】
また、第1の辺3aのうち正極タブ4および負極タブ5が貫通する部分以外ではタブフィルム6は第1の辺3aからほとんどはみ出していないため、ラミネート型蓄電素子1の外形寸法は外装体3の外形寸法と一致する。したがって、正極タブ4と負極タブ5が貫通する部分以外ではタブフィルム6のはみ出し量によって外形寸法がばらつくことがない。正極タブ4と負極タブ5が貫通する部分以外を基準とすることで、製造工程における位置決めを精度よく行うことができる。これにより、位置決め不良を原因とするラミネート型蓄電素子1の性能の低下および歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0030】
なお、離間範囲17において第2の辺7aを例示したようにR形状とするために、金型10もR形状で形成される。R形状で形成された金型10は、R形状ではなく角部を有する形状の金型10を外装体3に当接させるよりも外装体3に傷がつきにくくなる。
【0031】
また、凹部7は外装体3の第1の辺3aから離れて形成されており、凹部7の第2の辺7aと外装体3の第1の辺3aとの間には隙間が設けられている。隙間部分ではタブフィルム6がほとんど溶融されないため、タブフィルム6のはみ出しをより確実に減らすことができる。
【0032】
また、第1の外装体31と第2の外装体32とが第1の辺3aでタブフィルム6を介して溶着されているので、正極タブ4および負極タブ5が貫通していても、確実に封止することができる。この記載は、タブフィルム6を設けずに、第1の外装体31の裏面と第2の外装体32の裏面に形成された熱溶着を目的とした樹脂層で溶着することを除外するものではない。また、タブフィルム6を第1の辺3aに沿って設ければよいため、タブフィルム6の形状を単純化できる。これにより、タブフィルム6を安価に製造することが可能となる。
【0033】
また、ラミネート型蓄電素子1の薄型化を図る観点から、外装体3と、正極21と、負極22と、セパレータ23と、正極タブ4または負極タブ5と、が重なった部分の厚さは0.6mm以下であることが好ましい。
【0034】
また、正極21と負極22とを一つずつ備えた1層型のラミネート型蓄電素子1とすることで、ラミネート型蓄電素子1の薄型化を図ることができる。この記載は、正極21と負極22とをそれぞれ複数備えた多層型のラミネート型蓄電素子1とすることを除外するものではない。
【0035】
なお、第1の辺3aにタブフィルム6を設けずに第1の外装体31と第2の外装体32との裏面に形成された樹脂層で溶着させてもよい。タブフィルム6を設けた場合と同様に、正極タブ4と負極タブ5の周りで樹脂層がはみ出してはみ出し部が形成される。また、正極タブ4と負極タブ5が貫通する部分以外では溶融した樹脂層がほとんどはみ出さず、ラミネート型蓄電素子1の位置決めを精度良く行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ラミネート型蓄電素子
2 電極体
3 外装体
3a 第1の辺
4 正極タブ
4a 一端
4b 他端
5 負極タブ
5a 一端
5b 他端
6 タブフィルム
6a はみ出し部
7 凹部
7a 第2の辺
7b 離間範囲
21 正極
22 負極
23 セパレータ
31 第1の外装体
31a,32a 端面
32 第2の外装体