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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145975
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】回転電機、および電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/40 20160101AFI20241004BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02K11/40
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058615
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA11
5H605CC02
5H605EC20
5H605GG06
5H611TT01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡素な構造で基板を接地できる回転電機および電動ポンプを提供する。
【解決手段】本発明の回転電機の一つの態様は、取付対象に取り付けられる回転電機であって、中心軸線を中心として回転可能なロータと、ロータと隙間を介して対向するステータと、ステータの軸方向一方側に位置しステータに電気的に接続される基板7と、ロータ、ステータ、および基板7を収容するハウジング6と、を備える。ハウジング6は、基板を軸方向一方側から覆う樹脂製の蓋体60と、蓋体60の少なくとも一部を軸方向一方側から覆う金属製の板体50と、蓋体60を軸方向に貫通し、基板と板体とを電気的に接続する導電部材65と、を備える。板体50は、取付対象に電気的に接続される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に取り付けられる回転電機であって、
中心軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと隙間を介して対向するステータと、
前記ステータの軸方向一方側に位置し前記ステータに電気的に接続される基板と、
前記ロータ、前記ステータ、および前記基板を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記基板を軸方向一方側から覆う樹脂製の蓋体と、
前記蓋体の少なくとも一部を軸方向一方側から覆う金属製の板体と、
前記蓋体を軸方向に貫通し、前記基板と前記板体とを電気的に接続する導電部材と、を備え、
前記板体は、前記取付対象に電気的に接続される、
回転電機。
【請求項2】
前記導電部材は、弾性変形して前記板体に接触する、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分と、
前記蓋体よりも軸方向一方側に位置し軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との境界部に位置する弾性部と、を有し、
前記第2部分は、前記弾性部の弾性変形により、前記板体の軸方向他方側を向く面に接触する、
請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ハウジングは、接続ネジを有し、
前記導電部材と前記板体とは、前記接続ネジによって接続される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項5】
前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分と、
前記蓋体の上側に位置し軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分と、を有し、
前記蓋体の軸方向一方側を向く面には、ネジ孔が設けられ、
前記第2部分は、軸方向から見て前記ネジ孔と重なる第1孔部が設けられ、
前記板体には、軸方向から見て前記ネジ孔と重なる第2孔部が設けられ、
前記接続ネジは、前記第1孔部および前記第2孔部を通って前記ネジ孔にネジ止めされる、
請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記導電部材は、前記板体に溶接又はかしめによって接合される接合部を有する、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項7】
前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分を有し、
前記板体は、軸方向に沿って延びる延伸部を有し、
前記接合部は、前記第1部分の軸方向一方側の端部に位置し前記延伸部に接合される、
請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記基板を支持する支持部材を有し、
前記支持部材は、
軸方向に貫通する保持孔が設けられる樹脂製の突出部と、
前記保持孔の内側面に固定される金属製の筒体と、を有し、
前記板体には、軸方向に貫通する第3孔部が設けられ、
前記板体および前記支持部材は、前記孔部および前記筒体を挿通するボルトによって、前記取付対象に固定される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の回転電機と、
前記ロータに軸方向他方側に接続されるポンプ機構と、を備える、
電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、および電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
基板とロータとステータとこれらを収容するハウジングとを有する回転電機が知られている。このような回転電機における基板の接地の方法として、基板を金属製の筐体に接続するものがある。特許文献1には、ねじで基板のグランドパターンと筐体とを電気的に接続する駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-80471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造コストの低減などを目的として、ハウジングのうち基板を収容する部分を樹脂材料で構成する場合がある。この場合、ハウジングを介して基板を外部の部材に接地させようとすると構造が複雑化してしまい、製造コストの増大、又は回転電機の大型化が問題となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、簡素な構造で基板を接地できる回転電機および電動ポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、取付対象に取り付けられる回転電機であって、中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して対向するステータと、前記ステータの軸方向一方側に位置し前記ステータに電気的に接続される基板と、前記ロータ、前記ステータ、および前記基板を収容するハウジングと、を備える。前記ハウジングは、前記基板を軸方向一方側から覆う樹脂製の蓋体と、前記蓋体の少なくとも一部を軸方向一方側から覆う金属製の板体と、前記蓋体を軸方向に貫通し、前記基板と前記板体とを電気的に接続する導電部材と、を備える。前記板体は、前記取付対象に電気的に接続される。
【0007】
本発明の電動ポンプの一つの態様は、上述の回転電機と、前記ロータに軸方向他方側から接続されるポンプ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、簡素な構造で基板を接地できる回転電機および電動ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の電動ポンプの断面図である。
図2図2は、一実施形態の電動ポンプの分解斜視図である。
図3図3は、筒体の周囲を示す一実施形態の電動ポンプの部分断面図である。
図4図4は、導電部材の周囲を示す一実施形態の電動ポンプの部分断面図である。
図5図5は、変形例1の導電部材の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
図6図6は、変形例2の導電部材の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
図7図7は、変形例2の導電部材の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図には、適宜、以下の各実施形態の回転電機の中心軸線Jを示す。中心軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸線Jが延びる方向、つまり中心軸線Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図においては、軸方向と平行なZ軸を示す。以下の説明においては、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼び、軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。以下の各実施形態において、上側は「軸方向一方側」に相当し、下側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
(取付対象)
図1は、一実施形態の電動ポンプ1の断面図である。図2は、電動ポンプ1の一部を分解した分解斜視図である。
図1に示すように、電動ポンプ1は取付対象9に取り付けられる。取付対象9は、金属製である。取付対象9は、たとえば、車軸に繋がり車軸を回転させることで車両を進行させる駆動装置の筐体である。取付対象9は、取付面9fと収容凹部9aとを有する。電動ポンプ1は、収容凹部9aに収容される。また、電動ポンプ1は、取付面9fに固定される。
【0012】
収容凹部9aは、内側面9bを有する。内側面9bは、径方向内側を向く周壁面9dと、上側を向く底壁面9eと、を有する。周壁面9dは、中心軸線Jを中心とする略円筒状の面である。底壁面9eは、軸方向から見て、略円形の平坦面である。
【0013】
底壁面9eには流入開口9gと、流出開口9hと、流入開口9gの周囲を囲む筒状部9iと、が設けられる。流入開口9gは、軸方向から見て円形の開口である。流体は、電動ポンプ1の駆動に伴い、流入開口9gから収容凹部9a内に流入する。流出開口9hは、軸方向から見て、中心軸線Jを中心とした円弧状に延びる開口である。流体は、電動ポンプ1の駆動に伴い、流出開口9hから収容凹部9aの外部に流出する。なお、流出開口9hの形状は、限定されない。筒状部9iは、流入開口9gを囲む円筒状である。筒状部9iは、流入開口9gの内縁に沿って上側に突出する。
【0014】
(ポンプ)
本実施形態の電動ポンプ1は、例えば、車両に搭載される電動ポンプである。電動ポンプ1が送る流体は、例えば、オイルである。なお、電動ポンプ1が送る流体は、特に限定されず、水などのオイル以外の流体であってもよい。電動ポンプ1は、回転電機10と、回転電機10に接続されたポンプ機構20と、を備える。
【0015】
(ポンプ機構)
ポンプ機構20は、回転電機10によって駆動されて流体を送る。ポンプ機構20は、後述するハウジング本体部80に設けられたポンプ室R内に収容されている。ポンプ機構20は、回転電機10によって中心軸線J回りに回転させられるインナーロータ21と、インナーロータ21を囲みインナーロータ21と噛み合うアウターロータ22と、を有する。
【0016】
本実施形態のポンプ機構20は、トロコイドポンプ機構である。ポンプ機構20は、インナーロータ21とアウターロータ22との間に流体を取り込み、インナーロータ21を中心軸線Jに対して偏心回転させることで流体を移送する。しかしながら、ポンプ機構20の種類は、本実施形態に限定されない。すなわち、ポンプ機構20は、回転電機10の動力によって駆動し流体を圧送するものであれば本実施形態の構成に限定されない。
【0017】
(回転電機)
回転電機10は、中心軸線Jを中心として回転可能なロータ30と、ロータ30と隙間を介して対向するステータ40と、ステータ40の上側に位置する基板7と、ハウジング6と、導電部材15と、を備える。すなわち、電動ポンプ1は、ロータ30、ステータ40、基板7、およびハウジング6を有する。ロータ30およびシャフト31は、モータ部10Aを構成する。
【0018】
(ロータ)
ロータ30は、軸方向に延びるシャフト31と、シャフト31の外周面に固定されたロータコア32と、ロータコア32に固定された複数のマグネット33と、を有する。本実施形態においてシャフト31は、中心軸線Jを中心として延び、軸方向の両側に開口する円筒状の中空シャフトである。シャフト31の下端部には、ポンプ機構20のインナーロータ21が接続される。すなわち、ポンプ機構20は、ロータ30に下側から接続される。
【0019】
(ステータ)
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、ロータ30を囲む環状である。ステータ40は、ステータコア41と、ステータコア41に取り付けられた絶縁性のインシュレータ42と、インシュレータ42を介してステータコア41に取り付けられた複数のコイル43と、を有する。
【0020】
ステータコア41は、ロータコア32の径方向外側に隙間を空けて対向して配置される。ステータコア41は、中心軸線Jを囲む環状のコアバック41aと、コアバック41aから径方向内側に延びる複数のティース41bと、を有する。複数のティース41bは、周方向において一周に亘って等間隔に配置される。複数のティース41bには、インシュレータ42を介して、複数のコイル43が装着される。すなわち、コイル43は、ステータコア41に装着される。
【0021】
コイル43は、コイル線をティース41bに巻き付けることで構成される。コイル43からは、引出線43aが引き出される。引出線43aは、コイル線の端部である。引出線43aは、ステータコア41に対し上側に延び出る。
【0022】
引出線43aの先端には、端子部材5が接続される。また、端子部材5は、基板7に接続される。すなわち、基板7は、端子部材5を介してステータ40に電気的に接続される。基板7が、引出線43aを介しコイル43に電流を流すことで、ステータコア41を励磁してロータ30を中心軸線J周りに回転させる。
【0023】
(ハウジング)
ハウジング6は、ロータ30、ステータ40、基板7、ポンプ機構20を収容する。ハウジング6は、ハウジング本体部80と、ハウジング本体部80の下側に位置するポンプカバー90と、ハウジング本体部80の上側に位置する支持部材70と、支持部材70の上側に位置する蓋体60と、蓋体60の上側に位置する遮蔽板(板体)50と、を有する。ハウジング本体部80、ポンプカバー90、および遮蔽板50は、金属製である。一方で、支持部材70、および蓋体60は、樹脂製である。
【0024】
(ハウジング本体部)
ハウジング本体部80は、ポンプ機構20、ロータ30、およびステータ40を内部に収容する。ハウジング本体部80は、金属製である。ハウジング本体部80は、上側に開口する筒状である。ハウジング本体部80は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。
【0025】
ハウジング本体部80は、ステータ収容部81と、ポンプ機構収容部82と、ポンプカバー嵌合部83と、を有する。ステータ収容部81は、中心軸線Jを中心とし、上側に開口する略円筒状である。ステータ収容部81は、ステータ40を内部に収容する。ステータ収容部81の内周面には、ステータコア41の外周面が固定される。ステータ収容部81は、ステータ40の下側に位置する底壁部81aを有する。底壁部81aには、底壁部81aを軸方向に貫通する挿通孔81bが設けられる。挿通孔81bには、シャフト31が軸方向に通される。
【0026】
ポンプ機構収容部82は、ステータ収容部81の下側に繋がる。ポンプ機構収容部82の外径は、ステータ収容部81の外径よりも小さい。ポンプ機構収容部82は、ポンプ機構収容部82の下側の面から上側に窪む機構収容部82aを有する。機構収容部82aの下側の開口における少なくとも一部がポンプカバー90によって塞がれることで、ポンプ機構20を内部に収容するポンプ室Rが構成される。ポンプ室Rの内部には、挿通孔81bに通されたシャフト31の下端部が配置される。シャフト31の下端部は、ポンプ室R内においてインナーロータ21に接続される。
【0027】
ポンプカバー嵌合部83は、ポンプ機構収容部82の下側に位置する。ポンプカバー嵌合部83は、中心軸線Jを中心とする筒状である。ポンプカバー嵌合部83の内径は、ポンプ機構収容部82の内径よりも大きい。ポンプカバー嵌合部83の内部空間は、ポンプ機構収容部82の機構収容部82aに連通する。
【0028】
(ポンプカバー)
ポンプカバー90は、ポンプカバー嵌合部83の内周面に圧入される。これにより、ポンプカバー90は、ハウジング本体部80の下側の端部に接続される。また、ポンプカバー90は、ポンプ機構20を下側から覆う。なお、ポンプカバー90は、ボルトによる締結など他の手段でハウジング本体部80に固定されていてもよい。
【0029】
ポンプカバー90は、中心と軸線を中心とする円盤状の円板部91と、円板部91の下側を向く面(以下、下面91a)から下側に突出するポート部92と、を有する。また、ポンプカバー90には、吸入孔93と吐出孔94とが設けられる。吸入孔93および吐出孔94は、ポンプカバー90を軸方向に貫通する。吸入孔93および吐出孔94は、それぞれポンプ室Rに繋がる。吸入孔93は、ポート部92の下端面に開口する。吐出孔94は、円板部91の下面91aに開口する。電動ポンプ1は、吸入孔93からポンプ機構収容部82の内部に流体を吸入する。また、電動ポンプ1は、吐出孔94を介して流体を部に吐出する。
【0030】
ポート部92は、軸方向に延びる円筒状である。ポート部92の内周面は、吐出孔94を構成する。ポート部92の外周面には、Oリング92gが嵌め込まれる溝が設けられる。ポート部92は、取付対象9の流入開口9gに挿入される。Oリング92gは、ポート部92の外周面と流入開口9gの内周面との間を封止する。
【0031】
(支持部材)
支持部材70は、軸方向において、基板7とステータ40との間に位置する。支持部材70は、基板7、端子部材5、および蓋体60を支持する。
【0032】
図2に示すように、支持部材70は、樹脂製の支持部材本体70Aと、金属製の筒体76と、を有する。支持部材本体70Aは、第1筒状部71と第2筒状部72と円環部73と固定爪部74と複数の突出部75と複数の係止部78とを有する。支持部材本体70Aの各部は、一体的に成形される。また、筒体76は、突出部75の内部に埋め込まれている。
【0033】
図1に示すように、第1筒状部71は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第1筒状部71の内周面には、径方向内側に突出する段部71aが設けられる。段部71aの上面には、上側に突出して基板7を支持するボス71bが設けられる。段部71aの径方向内側を向く面には、端子部材5を支持する端子部材支持部71cが設けられる。また、第1筒状部71の外周面には、周方向に沿って延びてOリング79が収容される溝が設けられる。Oリング79は、電動ポンプ1の外周面と、取付対象9の収容凹部9aの周壁面9dとの間を封止する。
【0034】
固定爪部74は、第1筒状部71の下端部から下側に突出する。固定爪部74は、ハウジング本体部80の上端部の径方向外側に位置する。固定爪部74の下端には、径方向内側に突出するフック74aが設けられる。フック74aは、ハウジング本体部80の外周面に設けられた固定溝80gに掛けられる。これにより、固定爪部74は、ハウジング本体部80に固定される。固定爪部74は、周方向に間隔を空けて複数設けられる。複数の固定爪部74によって、支持部材70は、ハウジング本体部80に固定される。
【0035】
第2筒状部72は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第2筒状部72は、第1筒状部71の上側に位置する。第2筒状部72の直径は、第1筒状部71の直径よりも大きい。第2筒状部72の上側への開口は、蓋体60によって覆われる。第2筒状部72の上端部には、蓋体60が固定される。円環部73は、中心軸線Jを中心とする円環板状である。円環部73は、第1筒状部71の上端と第2筒状部72の下端とを繋ぐ。
【0036】
図2に示すように、突出部75は、第2筒状部72の外周面に設けられる。突出部75は、第2筒状部72から径方向外側に突出している。軸方向に見て、突出部75は一つの角が径方向外側に突出する略三角形状である。複数の突出部75は、周方向に沿って間隔をあけて配置される。本実施形態において、突出部75は2個設けられている。突出部75には、軸方向に貫通する保持孔75hが設けられている。保持孔75hの内周面には、筒体76が配置される。
【0037】
図3は、筒体の76の周囲を示す電動ポンプ1の部分断面図である。筒体76は、軸方向に沿って延びる略円筒状である。筒体76は、保持孔75hに埋め込まれている。筒体76は、保持孔75hの内側面に固定される。また、筒体76の内周面76c、上端面76a、および下端面76bは、突出部75から露出する。筒体76は、筒体76をインサート部材とするインサート成形によって、突出部75の内部に埋め込まれることが好ましい。筒体76は、導電性に優れた金属材料(例えば銅合金)から構成される。
【0038】
筒体76には、上側からボルト3が通される。ボルト3は、取付対象9の取付面9fに設けられるネジ孔9cに締め込まれる。これにより、筒体76を介して、回転電機10および電動ポンプ1は取付対象9に固定される。ボルト3の締結力は、筒体76の上端面76a、および下端面76bに付与される。本変形例によれば、ボルト3の締結力が、樹脂材料から構成される突出部75に付与されることを抑制し、樹脂材料にクリープ変形が生じることを抑制できる。また、筒体76の下端面76bは、取付対象9の取付面9fに接触する。これにより、筒体76は、取付対象9と電気的に接続される。
【0039】
図2示すように、係止部78は、第2筒状部72の外周面に設けられる。本実施形態の支持部材70は、4つの係止部78を有する。4つの係止部78は、周方向に等間隔に配置される。係止部78は、爪部78aと一対のガイドリブ78bとを有する。爪部78aは、第2筒状部72の外周面から径方向外側に突出する。一対のガイドリブ78bは、爪部78aに対して周方向の両側に配置される。一対のガイドリブ78bは、それぞれ径方向外側に突出し軸方向に沿って延びる。
【0040】
(蓋体)
図1に示すように、蓋体60は、基板7を上側から覆う。蓋体60は、基板7を保護する。また、蓋体60は、複数のコネクタ端子8を支持する。蓋体60は、天壁部61と、周壁部62と、フランジ部63と、コネクタ部64と、導電部材支持部65と、を有する。
【0041】
天壁部61は、径方向に広がる略円板状である。天壁部61は、基板7を上側から覆う。周壁部62は、天壁部61の径方向外縁部から下側に突出する。周壁部62は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。周壁部62の径方向内側には、基板7が配置される。フランジ部63は、周壁部62の下端部から径方向外側に突出する。フランジ部63は、中心軸線Jを囲む略円環状である。フランジ部63の外縁は下側に突出して支持部材70の第2筒状部72の内周面に嵌る。蓋体60は、フランジ部63において支持部材70に固定される。蓋体60と第2筒状部72とは、溶着などの手段によって隙間なく接合される。
【0042】
コネクタ部64は、天壁部61から上側に突出する筒状の保護筒部64aと、コネクタ端子8を支持する端子支持部64bと、を有する。コネクタ部64は、コネクタ端子8を囲んでコネクタ端子8を保護する。端子支持部64bは、軸方向から見て保護筒部64aの内側に配置される。
【0043】
端子支持部64bは、第1ポッティング貯留部64cを有する。第1ポッティング貯留部64cは、蓋体60の下面に設けられる。したがって、第1ポッティング貯留部64cは、ハウジング6の内部に配置される。第1ポッティング貯留部64cは、下側に開口する凹状である。コネクタ端子8は、第1ポッティング貯留部64cの底面からハウジング6の内部空間に延び出る。第1ポッティング貯留部64cには、ポッティング材Pが貯留される。ポッティング材Pは、接着性の樹脂材料から構成される。ポッティング材Pは、未硬化の状態で、第1ポッティング貯留部64cに貯留されて、紫外線照射などの硬化工程を経て硬化する。ポッティング材Pは、コネクタ端子8と端子支持部64bとの間の微細な隙間を塞いで、ハウジング6の内部の防水性を確保する。
【0044】
本実施形態によれば、蓋体60を樹脂材料から構成することで、蓋体60にコネクタ端子8を直接的に支持させることができる。これに対し、蓋体を金属製とする場合、蓋体にコネクタ端子8の支持部を別体として設ける必要がある。この場合、蓋体と支持部との間の防水のために、蓋体の構造が複雑化するという問題がある。本実施形態によれば、蓋体60を樹脂材料から構成することで、蓋体60の構造を簡素化して、回転電機10を安価に製造できる。さらに、本実施形態によれば、蓋体60を絶縁材料である樹脂材料から構成することで、蓋体60を基板7に近づけて配置できる。このため、回転電機10を鉛直方向に小型化することができる。
【0045】
図4は、導電部材15の周囲を示す電動ポンプ1の部分断面図である。
図4に示すように、導電部材支持部65の天壁部61の下面に設けられる。蓋体60には天壁部61および導電部材支持部65を軸方向に貫通する挿通孔66が設けられる。挿通孔66には、導電部材15が通される。蓋体60は、挿通孔66の内周面において導電部材15を保持する。
【0046】
導電部材支持部65は、第2ポッティング貯留部65cを有する。第2ポッティング貯留部65cは、蓋体60の下面に設けられる。したがって、第2ポッティング貯留部65cは、ハウジング6の内部に配置される。第2ポッティング貯留部65cは、下側に開口する凹状である。導電部材15は、第2ポッティング貯留部65cの底面からハウジング6の内部空間に延び出る。第2ポッティング貯留部65cには、第1ポッティング貯留部64cと同様にポッティング材Pが貯留される。ポッティング材Pは、導電部材15と挿通孔66の内周面との間の微細な隙間を塞いで、ハウジング6の内部の防水性を確保する。
【0047】
(遮蔽板(板体))
図2に示すように、遮蔽板50は、蓋体60の上側に配置される。遮蔽板50は、蓋体60の少なくとも一部を上側から覆う。遮蔽板50は、板本体51と、周板部52と、フランジ板部53と、複数の固定片59と、複数のネジ止め部54と、を有する。
【0048】
板本体51は、中心軸線Jと直交する平面に沿って延びる。板本体51は、中心軸線Jを中心とする略円形である。板本体51は、蓋体60の天壁部61を上側から覆う。板本体51には、板本体51を軸方向に貫通する開口部51hが設けられる。開口部51hには、コネクタ部64の保護筒部64aが挿通される。
【0049】
周板部52は、板本体51の径方向外縁部から下側に突出する。周板部52は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。周板部52の径方向内側には、蓋体60の周壁部62が配置される。周板部52は、蓋体60を径方向外側から囲む。フランジ板部53は、周板部52の下端部から径方向外側に突出する。フランジ板部53は、中心軸線Jを囲む略円環状である。
【0050】
固定片59は、フランジ板部53から下側に延び出る。本実施形態の遮蔽板50は、4つの固定片59を有する。固定片59は、径方向を厚さ方向とする板状である。固定片59は、径方向から見て略矩形状である。固定片59には、固定片59を厚さ方向に貫通する係止孔59hが設けられる。固定片59は、支持部材70の係止部78に係止される。より具体的には、固定片59の係止孔59hの内縁が、係止部78の爪部78aに引っ掛かる。これにより、支持部材70に対する遮蔽板50の上側への移動が制限される。また、固定片59は、係止部78の一対のガイドリブ78bの間に配置される。固定片59は、周方向両端縁においてガイドリブ78bにガイドされる。これにより、支持部材70に対する遮蔽板50の周方向への移動が制限される。固定片59が、係止部78に係止されることで、遮蔽板50は、支持部材70に対して仮固定される。これにより、取付対象9に取り付ける前の電動ポンプ1において、遮蔽板50が他の部材から離脱することを抑制することができ、取り付け前の電動ポンプ1のハンドリングが容易となる。
【0051】
ネジ止め部54は、フランジ板部53から径方向外側に突出する。本実施形態の遮蔽板50は、2つのネジ止め部54を有する。ネジ止め部54は、軸方向を厚さ方向とする板状である。ネジ止め部54は、軸方向から見て、支持部材70の突出部75および筒体76に重なる。ネジ止め部54には、軸方向に貫通する孔部(第3孔部)54hが設けられる。孔部54hは、軸方向から見て円形である。
【0052】
図3に示すように、ネジ止め部54の下面54bは、筒体76の上端面76aと接触する。また、孔部54hは、筒体76の内周面76cの内部空間と連通する。ネジ止め部54は、筒体76に挿入されるボルト3の頭部3aと、筒体76の上端面76aとの間に挟み込まれる。これにより、遮蔽板50および支持部材70は、孔部54hおよび筒体76を挿通するボルト3によって、取付対象9に固定される。また、遮蔽板50は、筒体76に電気的に接続される。遮蔽板50は、筒体76を介して、取付対象9に電気的に接続される。
【0053】
本実施形態の遮蔽板50は、金属製であり、蓋体60の少なくとも一部を上側から覆う。本実施形態の回転電機10では、蓋体60が樹脂材料から構成されるため、蓋体60に電磁ノイズを遮蔽させる効果を求め難い。本実施形態の遮蔽板50は、蓋体60を介して、基板7を覆うことができる。これにより、遮蔽板50は、基板7から電磁ノイズを遮蔽し、回転電機10および電動ポンプ1の外部に放射される電磁ノイズを低減する。なお、本実施形態の遮蔽板50は、フェライト系ステンレス鋼によって構成されている。遮蔽板50を構成する材料は、本実施形態の材料に限定されず、例えば、ケイ素鋼等の様々な材料を用いることができる。
【0054】
(基板)
基板7は、中心軸線Jと直交する平面に沿って配置される。基板7は、外部装置からの指令に基づいて、ステータ40に電流を流してロータ30を回転させる。基板7には、例えばインバータ回路などの制御回路が実装される。
【0055】
基板7には、基板7を軸方向に貫通するコネクタ孔部7bが設けられる。コネクタ孔部7bの内面には銅メッキ層が設けられる。コネクタ孔部7bは、いわゆるスルーホールである。コネクタ孔部7bの銅メッキ層は、基板7に実装される制御回路と電気的に接続される。コネクタ孔部7bには、コネクタ端子8が挿入される。
【0056】
図4に示すように、基板7は、基板本体7aと弾性端子19とを有する。基板本体7aは、軸方向と直交する平面に沿って延びる板体である。基板本体7aの上面には、グランドパターンなどの様々なパターンが形成される。弾性端子19は、基板本体7aの上面のグランドパターン上に実装される。
【0057】
弾性端子19は、導電性の板材をプレス加工することで成形されている。本実施形態の弾性端子19は、ベース板19aと、接触板19bと、連結板19cと、を有する。ベース板19aは、基板本体7aの上面に沿って配置される。ベース板19aは、基板本体7aのグランドパターンに半田付けなどの実装手段で実装される。接触板19bは、基板本体7aの上面と平行に配置される。接触板19bは、ベース板19aの直上に位置する。連結板19cは、ベース板19aと接触板19bとを連結する。ベース板19a、接触板19b、および連結板19cと、Z字状に連結される。
【0058】
接触板19bの上面には、導電部材15の下端部が接触する。これにより、弾性端子19は、軸方向に圧縮され弾性変形する。また、弾性端子19は、弾性力によって接触板19bを導電部材15に向けて押し付ける。これにより、弾性端子19と導電部材15とは、電気的に接続される。すなわち、導電部材15と基板7とは、電気的に接続される。
【0059】
本実施形態によれば、導電部材15が軸方向に弾性変形可能な弾性端子19を介して基板7のグランドパターンと接触する。本実施形態によれば、導電部材15の軸方向の寸法誤差や設計変更に伴う長さの変更を弾性端子19の弾性変形によって吸収して、導電部材15とグランドパターンとを確実に接続できる。
【0060】
なお、本実施形態では、基板7が弾性端子19を有する場合について説明した。しかしながら、導電部材15の下端部が、基板のグランドパターンに上側から接触することで弾性変形してもよい。また、導電部材15の下端側(基板7側)に弾性部(第2弾性部)を有していてもよい。この場合、基板7に弾性端子19を実装する必要がなく、回転電機10の部品点数を削減できる。
【0061】
(導電部材)
図4に示すように、導電部材15は、導電性を有する。導電部材15は、基板7と遮蔽板50とを電気的に接続する。導電部材15は、導電性に優れた金属材料(例えば銅合金)から構成される。本実施形態の導電部材15は、板金部材である。本実施形態の導電部材15は、一部材で構成されるが、導電部材15は、互いに電気的に接続される複数部材から構成されていてもよい。
【0062】
導電部材15は、軸方向に沿って延びる第1部分15aと、軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分15bと、第1部分15aと第2部分15bとの境界部に位置する弾性部15c(第1弾性部)と、を有する。
【0063】
第1部分15aは、軸方向に沿って延びる板状である。第1部分15aは、蓋体60の挿通孔66に通されて蓋体60に支持される。すなわち、導電部材15は、第1部分15aにおいて、蓋体60を軸方向に貫通する。
【0064】
第1部分15aは、蓋体60に埋め込まれる。導電部材15は、導電部材15をインサート部材とするインサート成形によって、蓋体60の内部に埋め込まれることが好ましい。なお、第1部分15aと挿通孔66との間の隙間は、ポッティング材Pによって埋め込まれる。このため、第1部分15aが蓋体60を貫通しても、蓋体60の防水性は担保される。
【0065】
第1部分15aの下端部は、ハウジング6の内部に配置される。第1部分15aの下端部は、弾性端子19に接触する。これにより、導電部材15は、弾性端子19を介して基板7のグランドパターンに電気的に接続される。なお、導電部材15と基板7のグランドパターンとの接続は、本実施形態に限定されず、導電部材15をスルーホールに挿入することで、これらの接続を実現してもよい。
【0066】
第2部分15bは、蓋体60よりも上側に位置する。また、第2部分15bは、遮蔽板50の下側に位置する。第2部分15bは、軸方向と直交する平面に沿う板状である。第2部分15bは、上側を向く面で、遮蔽板50の下面51bに接触する。これにより、導電部材15は、遮蔽板50と電気的に接続される。
【0067】
弾性部15cは、導電部材15において弾性変形可能な部位である。導電部材15は、弾性部15cにおいてL字状に屈曲する。弾性部15cは、導電部材15が電動ポンプ1に組み付けられる前の単品状態で、鈍角に屈曲する。また、弾性部15cは、導電部材15が電動ポンプ1に組み付けられた後の組付状態で、弾性変形して略直角に屈曲する。
【0068】
図4に弾性部15cが弾性変形する前の、第2部分15bの状態を図示する。弾性部15cは、第2部分15bが遮蔽板50の下面51bに接触することで第2部分15bを下側に移動させる方向に弾性変形する。また、弾性部15cは、弾性変形することで第2部分15bを下面51bに押し当てられる。すなわち、第2部分15bは、弾性部15cの弾性変形により、遮蔽板50の下面51bに接触する。
【0069】
本実施形態の導電部材15は、基板7と遮蔽板50とを電気的に接続させる。さらに、図3に示すように、遮蔽板50は、筒体76を介して取付対象9に電気的に接続される。本実施形態によれば、基板7のグランドパターンを、導電部材15、遮蔽板50、筒体76を介して、取付対象9に電気的に接続できる。これにより、基板7を接地することができ、簡素な構造で基板7の基準電位を安定させて基板7の信頼性を高めることができる。
【0070】
本実施形態によれば、基板7は、基板7から上側に延びる導電部材15と、基板7の上側に配置される遮蔽板50と、遮蔽板50の下面に接触する筒体76とを介して、取付対象9に接続される。したがって、基板7から取付対象9までの接地経路を比較的短くすることができ、基板7の基準電位を安定させやすい。
【0071】
本実施形態によれば、電磁ノイズを遮蔽させるために配置する遮蔽板50を利用して、基板7と取付対象9との接地の経路を構成する。このため、基板7から取付対象9までの接地経路として、別途部材を用意する場合と比較して、簡素な構造で基板7を接地できる。本実施形態によれば、回転電機10の部品点数を減らして回転電機10の製造コストを低減できる。
【0072】
本実施形態の導電部材15は、弾性変形して遮蔽板50の下面51bに押し当てられて接触する。本実施形態によれば、回転電機10の組み立て工程において、導電部材15が保持された蓋体60の上側に遮蔽板50を組み付けることで、容易に導電部材15と遮蔽板50とを電気的に接続できる。すなわち、本実施形態の回転電機10の組み立て工程において、導電部材15と遮蔽板50とを接続するための特別な工程(例えばネジ止め工程)を必要としない。本実施形態の電動ポンプ1によれば、組立工程を簡素化することができ、電動ポンプ1を安価に製造できる。
【0073】
本実施形態の導電部材15は、遮蔽板50の下側で遮蔽板50に接続される。このため、導電部材15は、その全体が遮蔽板50よりも下側に配置される。本実施形態によれば、基板7と遮蔽板50とを電気的に接続する部材の少なくとも一部を遮蔽板50の上側に配置する場合と比較して、回転電機10が軸方向に大型することを抑制できる。
【0074】
本実施形態によれば、導電部材15と遮蔽板50との接触部が、遮蔽板50の下側に配置される。これにより、導電部材15と遮蔽板50との接触部が、遮蔽板50によって保護され、導電部材15と遮蔽板50との間に、異物が挟まるなどして接触が不安定になることを抑制できる。
<変形例>
次に上述の実施形態に採用可能な変形例の導電部材と遮蔽板(板体)との接続構造について説明する。なお、以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態又は変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
(変形例1)
図5は、変形例1の導電部材115の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
本変形例のハウジング106は、導電部材115と遮蔽板(板体)150を蓋体160にネジ止めする接続ネジ104を有する。導電部材115は、軸方向に沿って延びる第1部分15aと、軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分115bと、を有する。
【0076】
図示を省略するが、第1部分15aの下端部は、弾性端子19(図4参照)を介して基板7のグランドパターンに電気的に接続される。第1部分15aは、蓋体160を軸方向に貫通する。第1部分15aは、インサート成形によって蓋体160に埋め込まれる。上述の実施形態と同様に、蓋体160において天壁部61の下側には、導電部材115を支持する導電部材支持部165が設けられる。蓋体160には天壁部61および導電部材支持部165を軸方向に貫通する挿通孔66が設けられる。挿通孔66には、導電部材115が通される。導電部材支持部165は、下側に開口する凹状の第2ポッティング貯留部165cを有する。導電部材115は、第2ポッティング貯留部165cの底面からハウジング106の内部空間に延び出る。第2ポッティング貯留部165cには、ポッティング材Pが貯留される。
【0077】
本変形例において、第2ポッティング貯留部165cの底面165dには、蓋体160を軸方向に貫通するピン孔167が開口する。ピン孔167の上側の開口は、導電部材115の第2部分115bと軸方向に対向する。ピン孔167は、蓋体160のインサート成形時に第2部分115bを支持する支持ピンの痕跡である。本変形例によれば、ピン孔167が第2ポッティング貯留部165cに開口するため、ピン孔167をポッティング材Pによって埋め込むことができる。これにより、ピン孔167を介してハウジング106の内部に水分が侵入することを抑制できる。
【0078】
第2部分115bは、蓋体160の上側に位置し、蓋体160の上面に沿って延びる。また、第2部分115bは、遮蔽板150の下側に位置する。第2部分115bは、軸方向と直交する平面に沿う板状である。
【0079】
蓋体160の上面(上側を向く面)には、ネジ孔160eが設けられる。第2部分115bには、軸方向に貫通する第1孔部115eが設けられる。同様に、遮蔽板150には、軸方向に貫通する第2孔部151eが設けられる。第1孔部115eおよび第2孔部151eは、軸方向から見て、ネジ孔160eと重なる。接続ネジ104は、第2部分115bおよび遮蔽板150の第1孔部115eおよび第2孔部151eを通ってネジ孔160eにネジ止めされる。これにより、導電部材115と遮蔽板150とは、接続ネジ104によって締結される。また、導電部材115は、遮蔽板150と電気的に接続される。
【0080】
本変形例において、第1孔部115eおよび第2孔部151eは、ともに円形である。本変形例では、第2孔部151eの直径は、第1孔部115eの直径よりも大きい。遮蔽板150は、図3に示すように、筒体76を介して取付対象9にネジ止めする際にネジ孔9cとの位置関係によっては、軸方向と直交する平面に沿って位置ずれする場合がある。遮蔽板150に設けられる第2孔部151eの直径を十分に大きくすることで、遮蔽板150が位置ずれする場合であっても、接続ネジ104を第1孔部115e、第2孔部151e、およびネジ孔160eに挿入して、導電部材115をネジ止めできる。なお、ここで説明する組立手順は一例であり、導電部材115をネジ止めした後に遮蔽板150をネジ止めしてもよい。また、導電部材115と遮蔽板150との何れか一方を仮止めした後に他方をネジ止めするなどして、位置ずれを抑制しながら組立を行ってもよい。
【0081】
図示を省略するが、本変形例の遮蔽板150は、筒体76(図3参照)を介して取付対象9に接続される。本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、基板7のグランドパターンを、取付対象9に電気的に接続でき、簡素な構造で基板7の基準電位を安定させて基板7の信頼性を高めることができる。
【0082】
本変形例によれば、導電部材115と遮蔽板150とが接続ネジ104によって接続される。これにより、導電部材115と遮蔽板150との接触状態を安定させることができる。また、接続ネジ104を緩めることで、遮蔽板150を導電部材115から容易に離脱させることができるため、回転電機10のメンテナンス時に、回転電機10を容易に分解することができる。
【0083】
(変形例2)
図6は、変形例2の導電部材215の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
本変形例において、導電部材215は、遮蔽板(板体)250に溶接によって接合される接合部259を有する。また、導電部材215は、軸方向に沿って延びる第1部分215aを有する。第1部分215aは、蓋体260を軸方向に貫通する。図示を省略するが、第1部分215aの下端部は、弾性端子19(図4参照)を介して基板7のグランドパターンに電気的に接続される。
【0084】
蓋体260の上面には、上側に突出するベース部267が設けられる。ベース部267の上面267aは、軸方向と直交する平面に沿って延びる平坦面である。ベース部267の上面267aは、遮蔽板250の下面251bと軸方向に対向する。ベース部267の上面267aは、遮蔽板250の下面251bと接触していてもよい。導電部材215の第1部分215aは、ベース部267上面267aから上側に突出する。
【0085】
遮蔽板250は、軸方向と直交する平面に沿って延びる板本体251と、板本体251に対し上側に立ち上げられる延伸部256と、を有する。延伸部256は、軸方向に沿って延びる。導電部材215の第1部分215aは、延伸部256と対向して配置される。接合部259は、第1部分215aの上端部に位置し延伸部256に溶接によって接合される。接合の手段としては、例えば、抵抗溶接が採用できる。
【0086】
図示を省略するが、本変形例の遮蔽板250は、筒体76(図3参照)を介して取付対象9に接続される。本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、基板7のグランドパターンを、取付対象9に電気的に接続でき、簡素な構造で基板7の基準電位を安定させて基板7の信頼性を高めることができる。
【0087】
本変形例によれば、導電部材215と遮蔽板250とが接合部259において溶接される。これにより、接合部259が風雨にさらされる場合などにおいても、導電部材215と遮蔽板250との電気的な接続が安定しやすい。
【0088】
(変形例3)
図7は、変形例2の導電部材315の周囲を示す電動ポンプの部分断面図である。
本変形例において、導電部材315は、遮蔽板(板体)350にかしめによって接合される接合部359を有する。また、導電部材315は、軸方向に沿って延びる第1部分315aを有する。第1部分315aは、蓋体260を軸方向に貫通する。導電部材315の第1部分315aは、蓋体260のベース部267の上面267aから上側に突出する。図示を省略するが、第1部分315aの下端部は、弾性端子19(図4参照)を介して基板7のグランドパターンに電気的に接続される。
【0089】
遮蔽板350は、軸方向と直交する平面に沿って延びる板本体251と、板本体251に対し上側に立ち上げられる延伸部356と、を有する。延伸部356は、軸方向に沿って延びる。導電部材315の第1部分315aは、延伸部356と対向して配置される。接合部359は、第1部分315aの上端部に位置し、延伸部356にかしめによって接合される。接合の手段としては、例えば、ダボかしめが採用できる。
【0090】
図示を省略するが、本変形例の遮蔽板350は、筒体76(図3参照)を介して取付対象9に接続される。本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、基板7のグランドパターンを、取付対象9に電気的に接続でき、簡素な構造で基板7の基準電位を安定させて基板7の信頼性を高めることができる。
【0091】
本変形例によれば、導電部材315と遮蔽板350とが接合部359においてかしめられる。これにより、接合部359が風雨にさらされる場合などにおいても、導電部材315と遮蔽板350との電気的な接続が安定しやすい。
【0092】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態およびその変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0093】
例えば、上述の実施形態では、遮蔽板が筒体を介して取付対象に締結されことで、遮蔽板が取付対象に電気的に接続される場合について説明した。しかしながら、遮蔽板と取付対象との電気的な接続の手段は、上述の実施形態に限定されない。
【0094】
また、上述の実施形態および変形例における、導電部材と遮蔽板との接続部の構成は例示であり、導電部材と遮蔽板とは、その他の手段(例えば半田付け)で接続されていてもよい。
【0095】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、電動ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。電動ポンプの用途は、特に限定されず、車両以外の機器に搭載されてもよい。
【0096】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 取付対象に取り付けられる回転電機であって、中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して対向するステータと、前記ステータの軸方向一方側に位置し前記ステータに電気的に接続される基板と、前記ロータ、前記ステータ、および前記基板を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記基板を軸方向一方側から覆う樹脂製の蓋体と、前記蓋体の少なくとも一部を軸方向一方側から覆う金属製の板体と、前記蓋体を軸方向に貫通し、前記基板と前記板体とを電気的に接続する導電部材と、を備え、前記板体は、前記取付対象に電気的に接続される、回転電機。
(2) 前記導電部材は、弾性変形して前記板体に接触する、(1)に記載の回転電機。
(3) 前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分と、前記蓋体よりも軸方向一方側に位置し軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との境界部に位置する弾性部と、を有し、前記第2部分は、前記弾性部の弾性変形により、前記板体の軸方向他方側を向く面に接触する、(2)に記載の回転電機。
(4) 前記ハウジングは、接続ネジを有し、前記導電部材と前記板体とは、前記接続ネジによって接続される、(1)に記載の回転電機。
(5) 前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分と、前記蓋体の上側に位置し軸方向と直交する平面に沿って延びる第2部分と、を有し、前記蓋体の軸方向一方側を向く面には、ネジ孔が設けられ、前記第2部分は、軸方向から見て前記ネジ孔と重なる第1孔部が設けられ、前記板体には、軸方向から見て前記ネジ孔と重なる第2孔部が設けられ、前記接続ネジは、前記第1孔部および前記第2孔部を通って前記ネジ孔にネジ止めされる、(4)に記載の回転電機。
(6) 前記導電部材は、前記板体に溶接又はかしめによって接合される接合部を有する、(1)に記載の回転電機。
(7) 前記導電部材は、前記蓋体を軸方向に貫通する第1部分を有し、前記板体は、軸方向に沿って延びる延伸部を有し、前記接合部は、前記第1部分の軸方向一方側の端部に位置し前記延伸部に接合される、(6)に記載の回転電機。
(8) 前記ハウジングは、前記基板を支持する支持部材を有し、前記支持部材は、軸方向に貫通する保持孔が設けられる樹脂製の突出部と、前記保持孔の内側面に固定される金属製の筒体と、を有し、前記板体には、軸方向に貫通する第3孔部が設けられ、前記板体および前記支持部材は、前記孔部および前記筒体を挿通するボルトによって、前記取付対象に固定される、(1)~(7)の何れか一項に記載の回転電機。
(9) (1)~(8)の何れか一項に記載の回転電機と、前記ロータに軸方向他方側から接続されるポンプ機構と、を備える、ポンプ。
【符号の説明】
【0097】
1…電動ポンプ、3…ボルト、6,106…ハウジング、7…基板、9…取付対象、10…回転電機、15,115,215,315…導電部材、15a,215a,315a…第1部分、15b,115b…第2部分、15c…弾性部、20…ポンプ機構、30…ロータ、40…ステータ、50,150,250,350…遮蔽板(板体)、54h,…孔部(第3孔部)、60,160,260…蓋体、70…支持部材、75…突出部、75h…保持孔、76…筒体、104…接続ネジ、115e…第2孔部、151e…第3孔部、160e…ネジ孔、256,356…延伸部、259,359…接合部、J…中心軸線
図1
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図5
図6
図7