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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145980
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20241004BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/18 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058625
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】板垣 一彦
(57)【要約】
【課題】充電トレーが充電状態にあっても、充電を一旦停止して、給電部上を通過して充電トレーの循環動作を可能とし、循環動作が終了したのち移動後の充電位置で充電を再開できる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【解決手段】機械式駐車装置1は、受電部30を下面に有する充電トレー12Eと、充電トレー12Eが平面循環可能に形成される複数の格納区画12と、格納区画12のうちの複数の区画に設けられ、受電部30に下面から接触して電力を供給する給電部20と、を有する機械式駐車装置1であって、給電部20は、充電トレー12Eの停止位置からずれた位置に設けられ、当該ずれた位置に充電トレー12Eが位置して受電部30が給電部20と接触するように構成され、充電トレー12Eは、循環動作の際に充電トレー12Eがずれた方向に向けて給電部20を通過可能とされる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電部を下面に有する充電トレーと、前記充電トレーが平面循環可能に形成される複数の格納区画と、前記格納区画のうちの複数の区画に設けられ、前記受電部に前記下面から接触して電力を供給する給電部と、を有する機械式駐車装置であって、
前記給電部は、前記充電トレーの停止位置からずれた位置に設けられ、当該ずれた位置に充電トレーが位置して前記受電部が前記給電部と接触するように構成され、
前記充電トレーは、循環動作の際に前記充電トレーが前記ずれた方向に向けて前記給電部を通過可能とされる、機械式駐車装置。
【請求項2】
前記給電部は、前記格納区画において、前記充電トレーの下面の側で、前記充電トレーの下面に向けて上方を向く給電子を有し、前記受電部は、前記給電子に上方から接触する集電子を有する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記給電部は、前記格納区画を構成する縦送りフレーム及び横送りフレームのいずれか一方に1箇所設けられる、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記給電部の前記ずれた位置は、複数の前記格納区画を構成するフレームの柱の平面寸法と同等とされる、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記給電部の前記ずれた位置は、複数の前記格納区画を構成するフレーム柱の平面寸法と同等とされる、請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記給電部は、前記受電部と前記給電部が接触しているときに、前記受電部を上方から覆う覆い部材を有する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記格納区画の一部に、少なくとも一つの前記給電部を有しない非充電区画を有する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の駐車スペースと、車両を搭載可能であり、駐車スペース間を移動可能なパレット、を備え、前記複数の駐車スペースのうちの少なくとも1つの駐車スペースには給電端子が設けられ、前記パレットには受電端子が設けられ、前記給電端子は、前記パレットが前記給電端子が設けられた駐車スペースへ移動する際に、前記受電端子と接触しない位置に設けられていることを特徴とする機械式駐車場が記載されている。
【0003】
特許文献2には、車両への充電に対応した充電用パレットを含む、車両積載用の複数のパレットと、それぞれが前記パレットを収容する複数の駐車スペースと、前記複数の駐車スペースのうち、充電駐車スペースとして利用される駐車スペースに前記充電用パレットが収容されたとき、車両を急速充電するための電力を当該充電用パレットに供給する給電システムと、を備える機械式駐車場が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-160738号公報
【特許文献2】特開2021-085277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、給電端子が、パレットが給電端子が設けられた駐車スペースへ移動する際に、受電端子と接触しない位置に設けられており、充電を行う際には、パレットを給電端子が設けられている壁側に移動させ、充電が終了すると、パレットを元の駐車スペースに戻さなければ、パレットを循環移動させることができない。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、急速充電を行うに際し必要となる高電力を用いることから、給電ユニット及び受電ユニットは複雑な構造を有し、パレットを循環させる際には、給電ユニットに進退自在に設けられた給電端子の接触部を受電ユニットの受電端子の挿入孔から抜いて退避位置に退避させなければならず、構造及び制御が複雑でコストが嵩む。
【0007】
本発明は、充電トレーが充電状態にあっても、充電を一旦停止して、給電部上を通過して充電トレーの循環動作を可能とし、循環動作が終了したのち移動後の充電位置で充電を再開できる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置は、受電部を下面に有する充電トレーと、前記充電トレーが平面循環可能に形成される複数の格納区画と、前記格納区画のうちの複数の区画に設けられ、前記受電部に前記下面から接触して電力を供給する給電部と、を有する機械式駐車装置であって、前記給電部は、前記充電トレーの停止位置からずれた位置に設けられ、当該ずれた位置に充電トレーが位置して前記受電部が前記給電部と接触するように構成され、前記充電トレーは、循環動作の際に前記充電トレーが前記ずれた方向に向けて前記給電部を通過可能とされる。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記給電部は、前記格納区画において、前記充電トレーの下面の側で、前記充電トレーの下面に向けて上方を向く給電子を有し、前記受電部は、前記給電子に上方から接触する集電子を有する。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記給電部は、前記格納区画を構成する縦送りフレーム及び横送りフレームのいずれか一方に1箇所設けられる。
【0011】
第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記給電部の前記ずれた位置は、複数の前記格納区画を構成するフレームの柱の平面寸法と同等とされる。
【0012】
第5態様に係る機械式駐車装置は、第3態様に係る機械式駐車装置において、前記給電部の前記ずれた位置は、複数の前記格納区画を構成するフレーム柱の平面寸法と同等とされる。
【0013】
第6態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記給電部は、前記受電部と前記給電部が接触しているときに、前記受電部を上方から覆う覆い部材を有する。
【0014】
第7態様に係る機械式駐車装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置において、前記格納区画の一部に、少なくとも一つの前記給電部を有しない非充電区画を有する。
【発明の効果】
【0015】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、上方を充電トレーが通過できない給電部を有するものに比べて、充電トレーが給電部の上方を通過して循環可能とされる。
【0016】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、給電部及び受電部が充電トレーの縁部に対応して設置されるものに比べて、充電トレーの循環動作を可能としたまま、対応する受電位置で受電部及び給電部を正確に接触させることができる。
【0017】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、給電部が床又は壁等に設置されているものに比べて、配線をフレームに沿って支持でき、また、充電トレーの停止位置に対して給電部と受電部とを正確に接触させることができる。
【0018】
第4態様及び第5態様に係る機械式駐車装置によれば、充電トレーを受電位置に大きく移動させるものに比べて、充電トレーが僅かな距離を移動するだけで受電部と給電部とが接触され、循環移動の際にも僅かな移動距離で循環位置に配置される。
【0019】
第6態様に係る機械式駐車装置によれば、給電部が受電部に向けて露出しているものに比べて、充電トレーから滴下する水分の影響を阻止でき、また、作業員の保守作業等の際の感電防止に寄与する。
【0020】
第7態様に係る機械式駐車装置によれば、格納区画のすべてが充電区画とされるものに比べて、充電が完了した充電トレーを非充電区画に移動させて新たな充電トレーを充電区画に配置して充電を行え、効率の良い充電運用を行うことができる。また、複数の格納区画のうち、非充電区画の数を多くすると充電区画が少なくなることで、原価低減及び保守作業の削減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の機械式駐車装置の概要を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態における装置本体に配置されたトレーの移動前の定位置状態を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態における装置本体に配置されたトレーが移動されて給電部と集電部とが接触している状態を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態における装置本体に配置されたトレーが給電部の上を通過して隣接する駐車区画に移動された状態を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態における給電部と集電部とが接触している状態を示す一部断面側面図である。
図6】本発明の一実施形態における給電部と集電部とが接触している状態を、図5の90度水平回転した方向から見た状態を示す一部断面側面図である。
図7】本発明の一実施形態における給電部において、集電部が給電部の上を通過して互いに離れた状態を示す一部断面側面図である。
図8】本発明の変形例における装置本体に配置されたトレーの移動前の定位置状態を示す平面図である。
図9】本発明の変形例における装置本体に配置されたトレーが移動されて給電装置が接触している状態を示す平面図である。
図10】本発明の変形例における装置本体に配置されたトレーが給電部の上を通過して隣接する駐車区画に移動された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態に係る機械式駐車装置の一例について図面を参照しながら説明する。なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wは「横方向」又は「トレーの短手方向」と、また、装置奥行方向Dは「縦方向」又は「トレーの長手方向」と、また、装置高さ方向Hは「上方」と、また、この反対方向を「下方」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、それぞれ言い換えることがある。
【0023】
[実施形態]
<機械式駐車装置の全体構成>
図1は、本発明の機械式駐車装置の一例を示す。図1に示すように、機械式駐車装置1は、建物2の内部に構築された装置本体10を有する。装置本体10は、後述する複数の格納区画12が形成さている。本実施形態では、一例として、トレー幅方向に3列及びトレー長手方向に3列の合計9箇所の格納区画12で構成され、各格納区画12には、後述するトレーを縦横に駆動するトレー駆動装置12Cが配備されている。
【0024】
また、格納区画12は、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの外部から充電を行うバッテリが搭載され充電を行う車両(以下、「EV等」又は「車両」という)の充電が行える充電区画範囲12Eと、充電を要しないガソリン車やハイブリッド車(以下、「非充電車両」又は「車両」という)と、充電が完了したEV等とが格納可能な非充電区画範囲12Fと、を有し、複数のトレー14が配置され、一部に空き区画を有する。車両の格納状態は、これに限らず、入庫する車両がEV等であっても駐車中に充電を要しない場合は非充電区画範囲12Fに配置される非充電トレー14Fに載置してもよく、EV等の入庫が少ない場合は、充電区画範囲12Eに配置される充電トレー14Eに非充電車両を載置してもよい。
【0025】
また、装置本体10には、図1では図示しないが、車両が入出庫する入出庫部が装置本体10の上方又は下方に別途設けられている場合は、非充電区画範囲12Fの中の格納区画のひとつに入出庫部と格納区画とを連絡する昇降装置が設けられる。この場合も、昇降装置には、後述するトレー駆動装置12Cが配備されている。
【0026】
〔格納区画〕
図1に示すように、格納区画12は、フレームの一部として構成され、トレー14を縦横に走行可能に支持する縦送りフレーム12Aと横送りフレーム12Bとを有する。縦送りフレーム12A及び横送りフレーム12Bは、平面視、格子状に組まれ、縦送りフレーム12Aと横送りフレーム12Bとが交差する部分には、縦送りフレーム12Aにトレー14を横送り方向に回転支持する埋込車輪12Dが設けられるとともに、横送りフレーム12Bにトレー14を縦送り方向に回転支持する埋込車輪12Dとが設けられている(図5参照。)。縦送りフレーム12A及び横送りフレーム12Bのそれぞれの上面は、後述するトレー14の下面に設けられる縦送り車輪16又は横送り車輪18が走行可能なレールとされている。
【0027】
〔トレー〕
図1に示すように、トレー14で総称する充電トレー14E及び非充電トレー14Fは、平面視、矩形状とされ、各格納区画12をトレー短手方向方向又はトレー長手方向に循環移動可能とされている。図5に示すように、トレー14は、上面14Aと下面14Bとを有する板部材と、下面14Bに縦横に固定され、板部材を補強する骨部材14Cと、骨部材14Cの下面であってトレー14の平面視の4隅にそれぞれ、縦送りフレーム12Aに対応する縦送り車輪16と、横送りフレーム12Bに対応する横送り車輪18と、を含んで構成されている。縦送り車輪16及び横送り車輪18は、縦送りフレーム12Aに設けられる埋込車輪12Dと横送りフレーム12Bに設けられる埋込車輪12Dの上に支持された状態で循環可能な位置に停止される。また、充電トレー14Eには、上面14Aに図示しない充電用のコンセントが設けられており、後述する受電部30と配線を介して接続されている。コンセントは、上面14Aの上部に立ち上がる支柱に設ける態様や上面14Aに蓋を介して上面14Aの下部に内蔵させる態様など、いずれの態様としてもよい。
【0028】
また、充電トレー14Eの下面14Bに設けられた骨部材14Cには、給電部20と受電部30とが接触して充電状態となる位置(充電位置)を検出するための図示しない被検出部が設けられている。被検出部は、具体的には、後述する検出部に対応する位置に設けられ、検出部により検出されるストライカ等が用いられる。この非検出部とは別に、充電トレー14E及び非充電トレー14Fには、充電トレー14E及び非充電トレー14Fが循環位置に停止したことを検出する定位置被検出部が別途設けられている。
【0029】
<要部の構成>
ここで、本発明の要部の構成の一例を図2から図7を参照して説明する。
【0030】
〔給電部〕
図2において、例えば格納区画12Eのうちの格納区画12E2に示すように、給電部20は、一対の縦送りフレーム12Aの一方の側で他方の側の縦送りフレーム12Aの方向を向く位置、すなわち、格納区画12Eの内側に設置されている。具体的には、図5及び図6に示すように、給電部20は、縦送りフレーム12Aの側面から格納区画12Eの内側に向けて突出して固定される支持部材22と、支持部材22の上部に上方に向けて開口を有する台座24と、台座24の内部に上方に向けて固定される取付部材24Aと、台座24の側面に固定され、上方に延びる板材が後述する受電部30の支持部材32を覆うように折り曲げられて形成される覆い部材24Bと、取付部材24Aに固定され、上部に給電子26Aを有する給電部材26と、を含んで構成されている。給電子26Aは、本実施形態では三相交流電力を用いていることから、3個の端子が間隔を隔てて同一方向に平行に設けられている。
【0031】
台座24と覆い部材24Bとは、受電部30の支持部材32がトレー短手方向に通過可能となるように、トレー長手方向における支持部材32の側とトレー短手方向の両方が開口されている。この覆い部材24Bは、給電部20に受電部30が位置して充電トレー14Eが受電位置にあるとき、受電部30を上方から覆うとともに、充電トレー14Eがトレー短手方向に移動する際に、上述した開口を支持部材32が通過して横送り動作が可能となるように設けられている。
【0032】
また、給電部20には、充電トレー14Eが、給電部20と受電部30とが接触して充電状態となる位置(充電位置)を検出するための図示しない検出部が設けられている。検出部は、具体的には、被検出部に対応する位置に設けられ、被検出部を検出する近接スイッチ、リミットスイッチ、又は光電管等が用いられる。この検出部とは別に、充電トレー14E及び非充電トレー14Fには、充電トレー14E及び非充電トレー14Fが循環位置に停止したことを検出する定位置検出部が別途設けられている。
【0033】
〔受電部〕
図2において、格納区画12の第1格納区画12E1に位置している充電トレー14Eに示すように、受電部30は、充電トレー14Eが循環可能な位置(以下、「循環位置」という)に停止しているとき、充電トレー14Eの下面の側であって、給電部20からずれた位置に設けられている。具体的には、図5及び図6に示すように、受電部30は、充電トレー14Eの下面14Bに固定されている骨部材14Cの下面に固定され、下方に延びる板材を水平方向に折り曲げた形状の支持部材32と、支持部材32の下面に設けられた集電子34と、を含んで構成されている。集電子34も、給電子26Aに対応した三相集電子として、給電子26Aに対応させて間隔を隔てて同一方向に並ぶ3個の端子で構成されている。
【0034】
集電子34は、充電トレー14Eが循環位置にあるとき、給電子26Aとは接触しないずれた位置に設けられている。このずれた位置とは、具体的には、複数の格納区画12を構成するフレーム10Aの柱の平面寸法とほぼ同等の寸法だけずれており、充電トレー14Eが受電位置にあるときのみ、給電子26Aと集電子34とが接触する。
【0035】
<要部の作用>
ここで、要部の作用について図2から図7を参照しながら説明する。
【0036】
〔循環位置〕
充電トレー14Eが循環位置に停止している状態を図2に示す。図2に示すように、第1充電区画12E1の循環位置に停止している充電トレー14Eはフレーム10Aの柱に干渉しない位置に停止している。この状態の位置を循環位置といい、充電トレー14Eの受電部30は給電部20からはずれた位置にあり、充電トレー14Eはトレー長手方向にもトレー短手方向にも移動可能である。この状態は、図7に示すように、受電部30が給電部20からはずれて互いに干渉しない位置にずれている。すなわち、矢印Cの装置幅方向W(トレー短手方向の図面右方向)にずれている。
【0037】
〔受電位置〕
次に、図3に示すように、充電トレー14Eを矢印A方向にフレーム10Aの柱の平面寸法とほぼ同等の寸法だけ各格納区画に設置されたトレー駆動装置12Cの駆動によって移動する。そうすると、充電トレー14Eの受電部30は、図7に示す矢印Cの装置幅方向Wの反対側(トレー短手方向の図面左方向)に移動し、図6に示すように、給電部20の給電子26Aと受電部30の集電子34とが接触する。この状態で、図示しない電源から図示しない配線を介して給電部20に電力が送電され、充電トレー14Eの受電部30が電力を受電して、図示しないEV等のバッテリに、図示しない充電コードを介して充電される。
【0038】
〔循環動作と充電〕
ここで、機械式駐車装置1に入庫指令又は出庫指令が発出されるとトレー14は各格納区画12を循環して、入庫の場合は空きのトレーが、又は、出庫の場合は指定された車両が載置されたトレーが、図示しない入出庫部に搬送される。このとき、第1充電区画12E1で充電中の充電トレー14Eが循環移動される場合が生じる。一例として、第1充電区画12E1で充電中の充電トレー14Eが第2充電区画12E2に移動する場合が生じるが、給電部20と受電部30とは、図5から図7で説明した態様となっていることから、図4に示すように、第1充電区画12E1の給電部20を矢印Bで示すように通過して第2充電区画12E2に循環移動が可能となっている。第2充電区画12E2の循環位置に移動して停止した充電トレー14Eが再度充電を行う場合は、第2充電区画12E2において、充電トレー14Eを図3に示した受電位置と同じように矢印A方向にずらして、第2充電区画12E2の給電部20に受電部30を位置させて充電を再開させることができる。
【0039】
このとき、第1充電区画12E1で充電していた電力量は、図示しない制御盤において計量器によって計量されており、充電トレー14Eが第2充電区画12E2に移動後に充電が再開されても、制御盤にて充電されていた該当する充電トレー14Eの位置を把握していることから、該当する充電トレー14Eが第2充電区画12E2に移動されて充電が再開されても、その電力量は、制御盤の計量器によって第1充電区画12E1で充電されていた電力量に加算されるため、該当する充電トレー14Eがいずれの充電区画に移動されても電力量は逐次加算されて計量されて充電総電力量が計算される。
【0040】
また、図4において、第3充電区画12E3に停止している充電トレー14Eが他の格納区画に循環移動されて、第2充電区画12E2で充電されていた該当する充電トレー14Eが第3充電区画12E3に移動された場合も、同様に、充電総電力量は加算されて計算される。
【0041】
このように、本発明の実施形態では、複数の格納区画12内を循環移動される受電部30を下面の側に有する充電トレー14Eは、給電部20の上方を通過して循環可能とされることから、機械式駐車装置1における入庫指令又は出庫指令に基づく循環動作が発生しても、給電部20の上方を充電トレー14Eが通過して移動することができる。また、給電部20及び受電部30が充電トレー14の縁部に対応して設置されていないため、充電トレー14Eの循環動作を可能としたまま、対応する受電位置で受電部30を給電部20に正確に接触させることができる。
【0042】
[変形例]
次に、本発明の変形例について、図8から図10を主に参照して説明する。なお、実施形態と同一の構成は同一符号を用い、実施形態と異なる構成には新たな符号を付す。
【0043】
本発明の変形例は、図8に示すように、充電トレー14Eがトレー長手方向にずれた位置を充電位置とするものである。この場合、給電部20及び受電部30は、図5に示す状態を平面内で90度回転させた態様となる。
【0044】
〔循環位置〕
充電トレー14Eが循環位置に停止している状態を図8に示す。図8に示すように、第1充電区画12E4の循環位置に停止している充電トレー14Eはフレーム10Aの柱に干渉しない位置に停止している。この状態の位置を循環位置といい、充電トレー14Eの受電部30は給電部20からはずれた位置にあり、充電トレー14Eはトレー長手方向にもトレー短手方向にも移動可能である。この状態は、図7に示すように、受電部30が給電部20からはずれて互いに干渉しない位置にずれている。すなわち、矢印Cの装置奥行方向Dにずれている。
【0045】
〔受電位置〕
次に、図9に示すように、充電トレー14Eを矢印A方向にフレーム10Aの柱の平面寸法とほぼ同等の寸法だけ各格納区画に設置されたトレー駆動装置12Cの駆動によって移動する。そうすると、充電トレー14Eの受電部30は、図7に示す矢印Cの装置奥行方向Dの反対側(トレー短手方向の図面左方向)に移動し、図6に示すように、給電部20の給電子26Aと受電部30の集電子34とが接触する。この状態で、図示しない電源から図示しない配線を介して給電部20に電力が送電され、充電トレー14Eの受電部30が電力を受電して、図示しないEV等のバッテリに、図示しない充電コードを介して充電される。
【0046】
〔循環動作と充電〕
ここで、機械式駐車装置1に入庫指令又は出庫指令が発出されるとトレー14は各格納区画12を循環して、入庫の場合は空きのトレーが、又は、出庫の場合は指定された車両が載置されたトレーが、図示しない入出庫部に搬送される。このとき、第1充電区画12E4で充電中の充電トレー14Eが循環移動される場合が生じる。一例として、第1充電区画12E4で充電中の充電トレー14Eが第2充電区画12E5に移動する場合が生じるが、給電部20と受電部30とは、図5から図7で説明した態様の90度平面回転した状態となっていることから、図10に示すように、第1充電区画12E4の給電部20を矢印Bで示すように通過して第2充電区画12E5に循環移動が可能となっている。第2充電区画12E5の循環位置に移動して停止した充電トレー14Eが再度充電を行う場合は、第2充電区画12E5において、充電トレー14Eを図8に示した受電位置と同じように矢印A方向にずらして、第2充電区画12E5の給電部20に受電部30を位置させて充電を再開させることができる。
【0047】
このとき、第1充電区画12E4で充電していた電力量は、図示しない制御盤において計量器によって計量されており、充電トレー14Eが第2充電区画12E5に移動後に充電が再開されても、制御盤にて充電されていた該当する充電トレー14Eの位置を把握していることから、該当する充電トレー14Eが第2充電区画12E5に移動されて充電が再開されても、その電力量は、制御盤の計量器によって第1充電区画12E4で充電されていた電力量に加算されるため、該当する充電トレー14Eがいずれの充電区画に移動されても電力量は逐次加算されて計量されて充電総電力量が計算される。
【0048】
また、図10において、第3充電区画12E6に停止している充電トレー14Eが他の格納区画に循環移動されて、第2充電区画12E5で充電されていた該当する充電トレー14Eが第3充電区画12E6に移動された場合も、同様に、充電総電力量は加算されて計算される。
【0049】
このように、本発明の実施形態では、複数の格納区画12内を循環移動される受電部30を下面の側に有する充電トレー14Eは、給電部20の上方を通過して循環可能とされることから、機械式駐車装置1における入庫指令又は出庫指令に基づく循環動作が発生しても、給電部20の上方を充電トレー14Eが通過して移動することができる。また、給電部20及び受電部30が充電トレー14の縁部に対応して設置されていないため、充電トレー14Eの循環動作を可能としたまま、対応する受電位置で受電部30を給電部20に正確に接触させることができる。こうして、変形例において、充電トレー14Eをトレー長手方向にずらした位置を充電位置にしても、充電トレー14Eをトレー短手方向にずらした位置を充電位置とした実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
このように、本発明の機械式駐車装置1は、受電部30を下面に有する充電トレー14Eと、充電トレー14Eが平面循環可能に形成される複数の格納区画12と、格納区画12のうちの複数の区画に設けられ、受電部30に下面から接触して電力を供給する給電部20と、を有する機械式駐車装置1であって、給電部20は、充電トレー14Eの停止位置からずれた位置に設けられ、当該ずれた位置に充電トレー14Eが位置して受電部30が給電部20と接触するように構成され、充電トレー14Eは、循環動作の際に充電トレー14Eがずれた方向に向けて給電部20を通過可能とされる。
【0051】
これにより、上方を充電トレーが通過できない給電部を有するものに比べて、充電トレー14Eが給電部20の上方を通過して循環可能とされる。
【0052】
また、給電部20は、格納区画12において、充電トレー14Eの下面14Bの側で、充電トレー14Eの下面14Bに向けて上方を向く給電子26Aを有し、受電部30は、給電子26Aに上方から接触する集電子34を有する。
【0053】
これにより、給電部及び受電部が充電トレーの縁部に対応して設置されるものに比べて、充電トレー14Eの循環動作を可能としたまま、対応する受電位置で受電部30及び給電部20を正確に接触させることができる。
【0054】
また、給電部20は、格納区画12を構成する縦送りフレーム12A及び横送りフレーム12Bのいずれか一方に1箇所設けられる。
【0055】
これにより、給電部が床又は壁等に設置されているものに比べて、配線をフレーム10Aに沿って支持でき、また、充電トレー14Eの停止位置に対して給電部20と受電部30とを正確に接触させることができる。
【0056】
また、給電部20のずれた位置は、複数の格納区画12を構成するフレーム10Aの柱の平面寸法と同等とされる。
【0057】
これにより、充電トレーを受電位置に大きく移動させるものに比べて、充電トレー14Eが僅かな距離を移動するだけで受電部30と給電部20とが接触され、循環移動の際にも僅かな移動距離で循環位置に配置される。
【0058】
また、給電部20は、受電部30と給電部20が接触しているときに、受電部30を上方から覆う覆い部材24Bを有する。
【0059】
これにより、給電部が受電部に向けて露出しているものに比べて、充電トレー14Eから滴下する水分の影響を阻止でき、また、作業員の保守作業等の際の感電防止に寄与する。
【0060】
また、格納区画12の一部に、少なくとも一つの給電部20を有しない非充電区画12Fを有する。
【0061】
これにより、格納区画のすべてが充電区画とされるものに比べて、充電が完了した充電トレー14Eを非充電区画12Fに移動させて新たな充電トレー14Eを充電区画12Eに配置して充電を行え、効率の良い充電運用を行うことができる。また、複数の格納区画のうち、非充電区画の数を多くすると充電区画が少なくなることで、原価低減及び保守作業の削減に寄与できる。
【0062】
以上、各実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0063】
例えば、本実施形態では、充電区画範囲12Eと非充電区画範囲12Fとに分けられると説明したが、これに限らず、格納区画12は全区画を充電区画範囲12Eとしてもよい。
【0064】
また、給電部20及び受電部30は三相交流電力を用いると説明したが、これに限らず、単相交流式又は直流式としてもよく、この場合、給電子26A及び集電子34はそれぞれに対応する個数又は形状に変更してよい。
【0065】
また、昇降装置を用いる場合には非充電区画範囲12Fに配置されると説明したが、これに限らず、図1で示す機械式駐車装置1の格納区画12の範囲外に昇降装置を設置してもよい。この場合、建物10の形状も変更される。
【符号の説明】
【0066】
1 機械式駐車装置
2 建物
10 装置本体
10A フレーム(柱)
12 格納区画
12A 縦送りフレーム
12B 横送りフレーム
12C トレー駆動装置
12D 埋込車輪
12E 充電区画範囲
12E1 第1充電区画
12E2 第2充電区画
12E3 第3充電区画
12E4 第1充電区画
12E5 第2充電区画
12E6 第3充電区画
12F 非充電区画範囲
14 トレー
14A 上面
14B 下面
14C 骨部材
14E 充電トレー
14F 非充電トレー
16 縦送り車輪
18 横送り車輪
20 給電部
22 支持部材
24 台座
24A 取付部材
24B 覆い部材
26 給電部材
26A 給電子
30 受電部
32 支持部材
34 集電子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10