(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145996
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】異種金属材の接合方法及び異種金属接合構造体
(51)【国際特許分類】
B23K 9/23 20060101AFI20241004BHJP
B23K 9/007 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B23K9/23 H
B23K9/007
B23K9/23 J
B23K9/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058650
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一朗
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB09
4E001CA02
4E001CB01
4E001DD02
4E001DD04
4E001EA01
4E001EA03
4E001EA04
4E001EA08
(57)【要約】
【課題】異種材同士を容易に高品質で接合することができ、特に、一方が融点の低い材料からなる部材であっても損傷することなく接合することができる、異種金属材の接合方法を提供する。
【解決手段】異種金属材の接合方法は、鋼板(第1部材)1の上に、第1の貫通穴2aを有するCFRP板(第2部材)2を配置する母材配置工程と、第2の貫通穴3aを有する接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入する接合補助部材配置工程と、アーク溶接により第2の貫通穴3aに溶接金属8を形成し、接合補助部材3と鋼板1とを接合する接合工程と、を有する。接合補助部材配置工程において、CFRP板2と接合補助部材3のフランジ部4とが点又は線で接触する第1部分接触領域6と、第1の貫通穴2aの内側面と軸部5とが点又は線で接触する第2部分接触領域7とを形成し、その他の領域において、接合補助部材3をCFRP板2に接触させない。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材の上に、前記第1部材と異なる材質からなり、板厚方向に貫通する第1の貫通穴を有する板状の第2部材を配置する母材配置工程と、
第2の貫通穴を有し、前記第1部材と等しい主成分を有する接合補助部材を前記第1の貫通穴に挿入する接合補助部材配置工程と、
アーク溶接により、前記第2の貫通穴を介して前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部を溶融させるとともに、前記第1部材と等しい主成分を有する溶接金属を形成する接合工程と、を有する異種金属材の接合方法であって、
前記接合補助部材は、前記第2部材における前記第1部材との接触面と反対側の面上に配置されるフランジ部と、前記第1の貫通穴内に挿入される軸部と、を備え、
前記接合補助部材配置工程において、前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域と、前記第1の貫通穴の内周面と前記軸部とが点又は線で接触する第2部分接触領域と、を形成し、前記第1部分接触領域及び前記第2部分接触領域を除く領域において、前記接合補助部材を前記第2部材に接触させないことを特徴とする、異種金属材の接合方法。
【請求項2】
第1部材の上に、前記第1部材と異なる材質からなり、板厚方向に貫通する第1の貫通穴を有する板状の第2部材を配置する母材配置工程と、
第2の貫通穴を有し、前記第1部材と等しい主成分を有する接合補助部材を前記第1の貫通穴に挿入する接合補助部材配置工程と、
アーク溶接により、前記第2の貫通穴を介して前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部を溶融させるとともに、前記第1部材と等しい主成分を有する溶接金属を形成する接合工程と、を有する異種金属材の接合方法であって、
前記接合補助部材は、前記第2部材における前記第1部材との接触面と反対側の面上に配置されるフランジ部と、前記第1の貫通穴内に挿入される軸部と、を備え、
前記接合補助部材配置工程において、前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域を形成し、前記第1部分接触領域を除く領域において、前記接合補助部材を前記第2部材に接触させないことを特徴とする、異種金属材の接合方法。
【請求項3】
前記第2部材を構成する材料の融点は、前記第1部材を構成する材料の融点よりも低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の異種金属材の接合方法。
【請求項4】
前記第2部材は、樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異種金属材の接合方法。
【請求項5】
前記接合補助部材の熱伝導率は、前記第1部材の熱伝導率よりも低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の異種金属材の接合方法。
【請求項6】
前記接合補助部材における前記軸部の外径は、前記フランジ部側の端部から他方の端部に向かって小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の異種金属材の接合方法。
【請求項7】
前記接合補助部材における前記第2の貫通穴の内径は、前記フランジ部側の端部から他方の端部に向かって小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の異種金属材の接合方法。
【請求項8】
第1部材と、
前記第1部材の上に重ねて配置され、前記第1部材と異なる材質からなり、第1の貫通穴を有する第2部材と、
軸部とフランジ部とを有するとともに前記軸部の軸方向に平行な第2の貫通穴を有し、前記軸部が前記第1の貫通穴に挿入された接合補助部材と、
前記第2の貫通穴の内部に形成され、前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部が溶融した溶融部を含む溶接金属と、を有し、
前記接合補助部材及び前記溶接金属は、それぞれ前記第1部材と等しい主成分を有し、前記接合補助部材及び前記溶接金属によって前記第1部材と前記第2部材とが接合された異種金属接合構造体であって、
前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域と、前記第1の貫通穴の内周面と前記軸部とが点又は線で接触する第2部分接触領域と、が形成されており、前記第1部分接触領域及び前記第2部分接触領域を除く領域において前記接合補助部材と前記第2部材とが接触していないことを特徴とする、異種金属接合構造体。
【請求項9】
第1部材と、
前記第1部材の上に重ねて配置され、前記第1部材と異なる材質からなり、第1の貫通穴を有する第2部材と、
軸部とフランジ部とを有するとともに前記軸部の軸方向に平行な第2の貫通穴を有し、前記軸部が前記第1の貫通穴に挿入された接合補助部材と、
前記第2の貫通穴の内部に形成され、前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部が溶融した溶融部を含む溶接金属と、を有し、
前記接合補助部材及び前記溶接金属は、それぞれ前記第1部材と等しい主成分を有し、前記接合補助部材及び前記溶接金属によって前記第1部材と前記第2部材とが接合された異種金属接合構造体であって、
前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域が形成されており、前記第1部分接触領域を除く領域において前記接合補助部材と前記第2部材とが接触していないことを特徴とする、異種金属接合構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる材料からなる板材を高強度で接合することができる異種金属材の接合方法、及び上記接合方法により接合された異種金属接合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を代表とする輸送機器には、(1)有限資源である石油燃料消費、(2)燃焼に伴って発生する地球温暖化ガスであるCO2、(3)走行コストといった各種の抑制を目的として、走行燃費の向上が常に求められている。その手段としては、電気駆動の利用など動力系技術の改善の他に、車体重量の軽量化も改善策の一つである。軽量化には現在の主要材料となっている鋼を、軽量素材であるアルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム又はマグネシウム合金、炭素繊維、樹脂、炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)等に置換する手段がある。しかし、全てをこれら軽量素材に置換するには、高コスト化や強度不足になる、といった課題があり、解決策として鋼と軽量素材を適材適所に組み合わせた、いわゆるマルチマテリアルと呼ばれる設計手法が注目を浴びている。
【0003】
ところで、特許文献1には、例えば鋼材と、鋼材と溶接困難な非鉄金属材とが接合された接合構造が開示されている。上記接合構造は、突起部を有し第1の同種系金属材である第1の材料と、突起部を有し第2の同種系金属材である第3の材料とが、突起部同士が対向するように配置されており、これらの間に貫通部を有する異種材の第2の材料が挟まれ、突起部同士が溶融接合されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の接合構造を形成するためには、下板となる第3の材料に突起を形成する必要があり、製造工程が増加するとともに、下板の形状が制限される。また、上記特許文献1には、突起を形成しない構造も記載されているが、この方法を使用する場合に、第1の材料、第2の材料及び第3の材料の厚さ等も制限される。さらに、異種材の第2の材料として樹脂等の低融点材料を選択した場合に、溶接時の熱によって第2の材料が損傷するという問題が発生する。このような問題は、従来のリベットを使用した溶接方法によっても発生する。したがって、鋼材等の高強度の部材と、樹脂等の低融点材料からなる部材とを、損傷を発生させることなく接合する方法については、未だ確立されていない。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、異種材同士を容易に高品質で接合することができ、特に、一方が融点の低い材料からなる部材であっても損傷することなく接合することができる、異種金属材の接合方法、及び上記接合方法により接合された異種金属材の接合構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、異種金属材の接合方法に係る下記[1]又は[2]の構成により達成される。
【0008】
[1] 第1部材の上に、前記第1部材と異なる材質からなり、板厚方向に貫通する第1の貫通穴を有する板状の第2部材を配置する母材配置工程と、
第2の貫通穴を有し、前記第1部材と等しい主成分を有する接合補助部材を前記第1の貫通穴に挿入する接合補助部材配置工程と、
アーク溶接により、前記第2の貫通穴を介して前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部を溶融させるとともに、前記第1部材と等しい主成分を有する溶接金属を形成する接合工程と、を有する異種金属材の接合方法であって、
前記接合補助部材は、前記第2部材における前記第1部材との接触面と反対側の面上に配置されるフランジ部と、前記第1の貫通穴内に挿入される軸部と、を備え、
前記接合補助部材配置工程において、前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域と、前記第1の貫通穴の内周面と前記軸部とが点又は線で接触する第2部分接触領域と、を形成し、前記第1部分接触領域及び前記第2部分接触領域を除く領域において、前記接合補助部材を前記第2部材に接触させないことを特徴とする、異種金属材の接合方法。
【0009】
[2] 第1部材の上に、前記第1部材と異なる材質からなり、板厚方向に貫通する第1の貫通穴を有する板状の第2部材を配置する母材配置工程と、
第2の貫通穴を有し、前記第1部材と等しい主成分を有する接合補助部材を前記第1の貫通穴に挿入する接合補助部材配置工程と、
アーク溶接により、前記第2の貫通穴を介して前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部を溶融させるとともに、前記第1部材と等しい主成分を有する溶接金属を形成する接合工程と、を有する異種金属材の接合方法であって、
前記接合補助部材は、前記第2部材における前記第1部材との接触面と反対側の面上に配置されるフランジ部と、前記第1の貫通穴内に挿入される軸部と、を備え、
前記接合補助部材配置工程において、前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域を形成し、前記第1部分接触領域を除く領域において、前記接合補助部材を前記第2部材に接触させないことを特徴とする、異種金属材の接合方法。
【0010】
また、異種金属材の接合方法に係る本発明の好ましい実施形態は、以下の[3]~[7]に関する。
【0011】
[3] 前記第2部材を構成する材料の融点は、前記第1部材を構成する材料の融点よりも低いことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の異種金属材の接合方法。
【0012】
[4] 前記第2部材は、樹脂からなることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1つに記載の異種金属材の接合方法。
【0013】
[5] 前記接合補助部材の熱伝導率は、前記第1部材の熱伝導率よりも低いことを特徴とする、[1]~[4]のいずれか1つに記載の異種金属材の接合方法。
【0014】
[6] 前記接合補助部材における前記軸部の外径は、前記フランジ部側の端部から他方の端部に向かって小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする、[1]~[5]のいずれか1つに記載の異種金属材の接合方法。
【0015】
[7] 前記接合補助部材における前記第2の貫通穴の内径は、前記フランジ部側の端部から他方の端部に向かって小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする、[1]~[6]のいずれか1つに記載の異種金属材の接合方法。
【0016】
本発明の上記目的は、異種金属接合構造体に係る下記[8]又は[9]の構成により達成される。
【0017】
[8] 第1部材と、
前記第1部材の厚さ方向に直交する面上に配置され、前記第1部材と異なる材質からなり、第1の貫通穴を有する第2部材と、
軸部とフランジ部とを有するとともに前記軸部の軸方向に平行な第2の貫通穴を有し、前記軸部が前記第1の貫通穴に挿入された接合補助部材と、
前記第2の貫通穴の内部に形成され、前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部が溶融した溶融部を含む溶接金属と、を有し、
前記接合補助部材及び前記溶接金属は、それぞれ前記第1部材と等しい主成分を有し、前記接合補助部材及び前記溶接金属によって前記第1部材と前記第2部材とが接合された異種金属接合構造体であって、
前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域と、前記第1の貫通穴の内周面と前記軸部とが点又は線で接触する第2部分接触領域と、が形成されており、前記第1部分接触領域及び前記第2部分接触領域を除く領域において前記接合補助部材と前記第2部材とが接触していないことを特徴とする、異種金属接合構造体。
【0018】
[9] 第1部材と、
前記第1部材の上に重ねて配置され、前記第1部材と異なる材質からなり、第1の貫通穴を有する第2部材と、
軸部とフランジ部とを有するとともに前記軸部の軸方向に平行な第2の貫通穴を有し、前記軸部が前記第1の貫通穴に挿入された接合補助部材と、
前記第2の貫通穴の内部に形成され、前記第1部材の少なくとも一部及び前記接合補助部材の少なくとも一部が溶融した溶融部を含む溶接金属と、を有し、
前記接合補助部材及び前記溶接金属は、それぞれ前記第1部材と等しい主成分を有し、前記接合補助部材及び前記溶接金属によって前記第1部材と前記第2部材とが接合された異種金属接合構造体であって、
前記第2部材と前記フランジ部とが点又は線で接触する第1部分接触領域が形成されており、前記第1部分接触領域を除く領域において前記接合補助部材と前記第2部材とが接触していないことを特徴とする、異種金属接合構造体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば異種材同士を容易に高品質で接合することができ、特に、一方が融点の低い材料からなる部材であっても損傷することなく接合することができる、異種金属材の接合方法、及び上記接合方法により接合された異種金属材の接合構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る異種金属材の接合方法を示す図であり、母材配置工程を示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の第1実施形態に係る異種金属材の接合方法を示す図であり、接合補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の第1実施形態に係る異種金属材の接合方法により得られた異種金属接合構造体を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2実施形態に係る異種金属材の接合方法を示す図であり、接合補助部材配置工程を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施例において使用した接合補助部材のサイズを示す模式図である。
【
図4A】
図4Aは、実施例の異種金属材の接合方法により製造された異種金属接合構造体の断面を示す図面代用写真である。
【
図5A】
図5Aは、比較例の異種金属材の接合方法により製造された異種金属接合構造体の断面を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明者は、異種金属材の接合において、特に一方が低融点の部材である場合に、低融点の部材が損傷する原因について、種々検討を行った。まず、一般的なリベットを使用した方法により、鋼製の下板の上に樹脂からなる上板を配置し、上板に形成された穴に鋼製の接合補助部材を挿入して、この接合補助部材と下板とを、アーク溶接により接合した。
その結果、本願発明者は、アーク溶接時のアーク熱が接合補助部材を介して上板に熱伝導することから、低融点の上板が損傷し、接合不良を引き起こすことを見出した。すなわち、接合補助部材と上板との接合面積を可能な限り低減し、アーク熱を上板に伝導させないように接合補助部材を配置した状態で溶接を実施することにより、上板の損傷を防止し、高品質で接合することができる。
本発明は、これら知見に基づいてなされたものである。
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
【0023】
[異種金属材の接合方法]
(第1実施形態)
図1A~
図1Cは、本発明の第1実施形態に係る異種金属材の接合方法を工程順に示す断面図である。なお、以下に示す実施形態は、鋼板(第1部材)1と、CFRP板(第2部材)2とをエレメントアークスポット溶接により接合する方法である。
【0024】
<母材配置工程>
図1Aに示すように、CFRP板2の鋼板1との接合予定位置に、この板厚方向に貫通する第1の貫通穴2aを形成する。次に、鋼板1の板厚方向に直交する面上に、CFRP板2を配置する。
【0025】
<接合補助部材配置工程>
その後、
図1Bに示すように、鋼製の接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入する。接合補助部材3は、円板形状のフランジ部4と、この円板形状の中心軸と同一軸方向に軸を有する軸部5とを有する。また、接合補助部材3には、軸部5と同一軸方向に貫通する第2の貫通穴3aが形成されている。なお、接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入するということは、接合補助部材3の軸部5を第1の貫通穴2aに挿入することを示し、このとき、フランジ部4は、CFRP板2における鋼板1との接触面と反対側の面、すなわち上面2bの上に配置される。
【0026】
本実施形態において、接合補助部材3のフランジ部4は、その径方向の端部に近づくにつれて軸部5側に傾斜している。また、軸部5の外径Doは、フランジ部4側から他方の端部に向かって小さくなるように形成されており、テーパ形状を構成している。同様に、接合補助部材3における第2の貫通穴3aの内径Diも、フランジ部4側の端部から他方の端部に向かって小さくなるように形成されており、テーパ形状を構成している。
【0027】
したがって、本実施形態において、接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入した場合に、CFRP板2の上面2bとフランジ部4の外径側端部とが、フランジ部4の周方向に沿って線接触し、第1部分接触領域6が形成されている。また、第1の貫通穴2aの内周面におけるCFRP板2の上面2b側の端部と、接合補助部材3の軸部5とが、軸部5の周方向に沿って線接触し、第2部分接触領域7が形成されている。このように、接合補助部材配置工程においては、第1部分接触領域6と第2部分接触領域7とを除く部分においては、接合補助部材3をCFRP板2に接触させず、空隙部9が形成されるように配置する。
【0028】
<接合工程>
その後、
図1Cに示すように、アーク溶接により、第2の貫通穴3aを介して鋼板1の少なくとも一部と、接合補助部材3の少なくとも一部とを溶融させるとともに、不図示の溶接用ワイヤを溶融させて溶接金属8を形成する。なお、溶接金属8によって、接合補助部材3と鋼板1とを接合するため、接合補助部材3及び溶接用ワイヤは、鋼板1に接合可能な材料、すなわち鋼板1と等しい主成分を有するものとする。
【0029】
本実施形態に係る接合方法によると、接合補助部材3、鋼板1及び溶接金属8が全て等しい主成分を有するものであるため、これらが溶接により強固に固定される。また、CFRP板2は、接合補助部材3のフランジ部4により物理的に鋼板1に固定される。したがって、鋼板1とCFRP板2とが接合された異種金属接合構造体10を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、接合補助部材3とCFRP板2とが、第1部分接触領域6及び第2部分接触領域7のみで接触しており、接触領域が極めて小さいため、溶接時の熱伝導によるCFRP板2の損傷を抑制することができる。さらに、接合補助部材3における第2の貫通穴3aの内径部がテーパ形状に形成されているため、少量の溶接金属のみで接合補助部材3と鋼板1とを接合することができる。したがって、溶接時の熱量をより一層小さくすることができ、CFRP板2の損傷をより一層抑制することができる。その結果、異種材同士を容易に高品質で接合することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る異種金属材の接合方法を以下に説明する。なお、第2実施形態において、接合補助部材3とCFRP板2との接触領域が第1実施形態と異なるため、上記
図1Bに代わる図として
図2を示し、その他の工程を示す図面は省略する。
【0032】
<母材配置工程>
第1実施形態と同様に、鋼板1の板厚方向に直交する面上に、第1の貫通穴2aを有するCFRP板2を配置する。
図2に示すように、第2実施形態において、CFRP板2の上面2bには、第1の貫通穴2aよりも径方向外側に、接合補助部材3の位置決めをする輪環状の溝22を設けている。
【0033】
<接合補助部材配置工程>
次に、鋼製の接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入する。第1実施形態と同様に、接合補助部材3は、円板形状のフランジ部4と軸部5とを有し、第2の貫通穴3aが形成されている。接合補助部材3のフランジ部4は、その径方向の端部に近づくにつれて軸部5側に傾斜している。ただし、軸部5の外径及び第2の貫通穴3aの内径は、フランジ部4側から他方の端部に向かって、同一のサイズとなるように形成されている。
【0034】
第2実施形態においては、接合補助部材3を第1の貫通穴2aに挿入した場合に、フランジ部4の下面における外径側端部がCFRP板2の溝22に嵌り、接合補助部材3が位置決めされる。このとき、接合補助部材3のフランジ部4とCFRP板2とは、溝22が形成されている領域において周方向に線接触し、第1部分接触領域26a、26bが形成されるが、接合補助部材3の軸部5とCFRP板2とは接触させず、空隙部9が形成される。
【0035】
<接合工程>
その後、アーク溶接により、第2の貫通穴3aを介して鋼板1の少なくとも一部と、接合補助部材3の少なくとも一部とを溶融させるとともに、不図示の溶接用ワイヤを溶融させて、
図1Cと同様に溶接金属8を形成する。
【0036】
第2実施形態に係る接合方法においても、鋼板1とCFRP板2とが接合された異種金属接合構造体を得ることができる。また、本実施形態においては、接合補助部材3とCFRP板2とが、第1部分接触領域26a、26bのみで接触しており、接触領域が極めて小さいとともに、高い溶接熱を与えられる領域から第1部分接触領域26a、26bが離隔しているため、溶接時の熱伝導によるCFRP板2の損傷をより一層抑制することができる。その結果、異種材同士を容易に高品質で接合することができる。
【0037】
なお、接合補助部材3を位置決めする方法としては、CFRP板2に溝22を形成する方法に限定されず、他の部材や装置を使用する等、種々の方法を利用することができる。また、第2実施形態においては、2つの第1部分接触領域26a、26bが形成されているが、フランジ部4とCFRP板2とが接触する第1部分接触領域は、1つでも3以上でもよく、両者が点又は線で接触していればよい。さらに、本実施形態において、接合補助部材3の軸部5の形状は、フランジ部4側から他方の端部に向かって、同一のサイズとなるように形成されている必要はなく、第1実施形態と同様に、テーパ形状であってもよい。
【0038】
上記第1及び第2実施形態においては、第1部材として鋼板1、第2部材としてCFRP板2を使用するとともに、鋼製の接合補助部材3を使用した例を示したが、本発明はこのような組合せに限定されない。第1部材及び接合補助部材3としては、種々の金属材料からなるものを採用することができる。第1部材の材料として、具体的には、鋼、アルミニウム、マグネシウム等を採用することができる。また、接合補助部材3の材料として、具体的には、鋼、アルミニウム、マグネシウム等を採用することができる。
【0039】
なお、本発明は、融点が低い材料からなる第2部材を使用した場合であっても、第2部材に損傷が発生することを防止することができるという効果を有する。したがって、第2部材を構成する材料として、第1部材を構成する材料よりも低い融点を有する材料を使用することにより、本発明の効果を十分に発揮することができる。第2部材の材料として、例えば、アルミダイキャスト、樹脂等を使用することができる。本発明による効果をより一層発揮するためには、第2部材の材料として樹脂を選択することがより好ましく、樹脂の中でも、軽量で優れた強度を有する炭素繊維強化樹脂(CFRP)を使用することがさらに好ましい。
【0040】
なお、接合補助部材3は、第1部材よりも低い熱伝導率を有する材料からなるものとすることがより好ましい。接合補助部材3が小さい熱伝導率を有するものであると、溶接時の熱量が接合補助部材3に伝わりにくくなるため、第2部材への熱影響を低減することができ、損傷の発生をより一層抑制することができる。
【0041】
また、本発明において、接合補助部材3の形状も特に限定されない。軸部5の外形については、下端部に近づくにつれて小さくなるテーパ形状である必要はない。第1実施形態に示すように、軸部5とCFRP板2の第1の貫通穴2aの内周面とが、点又は線で接触するように、軸部5の外径を設計することができる。例えば、接合補助部材3の軸部5の外周面に突起を形成し、突起と第1の貫通穴2aとを接触させるようにしてもよい。また、第2実施形態に示すように、接合補助部材3の軸部5とCFRP板2とが接触していなくてもよい。
【0042】
接合補助部材3のフランジ部4についても、
図1Bや
図2に示す傾斜した形状に限定されず、フランジ部4における第2部材に対向する面に突起を形成し、突起と第2部材とを接触させるようにしたり、突起を溝に嵌めるように形成してもよい。
【0043】
接合補助部材3に形成する第2の貫通穴3aについても、下端部に近づくにつれて小さくなるテーパ形状である必要はないが、上述のとおり、第2の貫通穴3aの内径が小さい方が溶接時の熱によるCFRP板への損傷を防止することができる。一方、第2の貫通穴3aの内径が小さすぎると、
図1Cに示す溶接金属8が小さくなってしまうため、接合強度が低下する可能性がある。したがって、第2部材を構成する材料や要求される接合強度に応じて、第2の貫通穴3aの内径の大きさや形状を選択することが好ましい。
【0044】
さらに、第1部材の形状は板状である必要はなく、種々の形状のものを使用することができる。第2部材の形状については、第1部材との接合部分は平板状であることが好ましいが、一部で屈曲した形状や、部分的に厚さが異なる形状のもの等、自由に選択することができる。すなわち、本願明細書において「板状の第2部材」とは、接合部分のみが板状であればよい。
【0045】
また、本願明細書において、「点又は線で接触する」とは、接合補助部材3のフランジ部4及び軸部5と第2部材とが、実質的に点形状又は線形状で接触していればよいことを表す。具体的には、接合補助部材3のフランジ部4が第2部材の上面に完全に接触する場合や、接合補助部材3の軸部5が第2部材の第1の貫通穴2aの内周面に完全に接触する場合と比較して、小さい面積で両者を接触させる必要がある。例えば、本実施形態においては、フランジ部4と第2部材の上面とが完全に接触している場合の面積に対して、第1部分接触領域6の合計の面積は30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、軸部5と第2部材の第1の貫通穴2aの内周面とが完全に接触する場合の面積に対して、第2部分接触領域7の面積は30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
【0046】
第1部分接触領域6及び第1部分接触領域26a、26bや第2部分接触領域7は、それぞれ複数の点接触部及び線接触部を含んでいてもよい。線接触の場合は、必ずしもフランジ部4又は軸部5の周方向に連続して接触している必要はなく、部分的に接触していない領域があったり、点接触部と線接触部とが混在していてもよい。
【0047】
次に、上記本実施形態に係る異種金属材の接合方法により接合された異種金属接合構造体について説明する。
【0048】
[異種金属接合構造体]
(第1実施形態)
第1実施形態に係る異種金属接合構造体は、例えば、上記第1実施形態に係る異種金属材の接合方法により製造することができる。
図1Cに示すように、第1実施形態に係る異種金属接合構造体10は、第1部材(鋼板1)と、板状の第2部材(CFRP板2)と、接合補助部材3と、溶接金属8とを有する。第2部材は、第1部材と異なる材質からなり、第1部材の上に重ねて配置されている。また、第2部材は、板厚方向に貫通する第1の貫通穴2aを有する。接合補助部材3は、軸部5とフランジ部4とを有するとともに、軸部5の軸方向に平行な第2の貫通穴3aを有し、軸部5が第1の貫通穴2aに挿入されている。溶接金属8は、第2の貫通穴3aの内部に形成されており、第1部材の少なくとも一部及び接合補助部材3の少なくとも一部が溶融した溶融部を含む。接合補助部材3及び溶接金属8は、それぞれ第1部材と等しい主成分を有し、前記接合補助部材及び前記溶接金属によって前記第1部材と前記第2部材とが接合されている。
【0049】
本実施形態において、異種金属接合構造体10には、第2部材とフランジ部4とが点又は線で接触する第1部分接触領域6と、第1の貫通穴2aの内周面と軸部5とが点又は線で接触する第2部分接触領域7と、が形成されている。また、第1部分接触領域6及び第2部分接触領域7を除く領域において、接合補助部材3と第2部材とは接触していない。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る異種金属接合構造体は、例えば、上記第2実施形態に係る異種金属材の接合方法により製造することができる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の部分については、説明を省略又は簡略化する。なお、
図2は、第2実施形態に係る異種金属接合構造体の製造途中の図であるが、
図2を参照して第2実施形態の構成について説明する。第2実施形態に係る異種金属接合構造体は、CFRP板2とフランジ部4とが点又は線で接触する第1部分接触領域26a、26bが形成されている。また、第1部分接触領域26a、26bを除く領域において、接合補助部材3とCFRP板2とは接触していない。また、第2実施形態に係る異種金属接合構造体は、
図1Cに示す第1実施形態に係る異種金属接合構造体10と同様に、第2の貫通穴3aの内部に、不図示の溶接金属が形成されており、この溶接金属及び接合補助部材3により、鋼板1とCFRP板2とが接合されている。
【0051】
このように構成された上記第1実施形態及び第2実施形態に係る異種金属接合構造体は、その製造工程において第2部材(CFRP板2)に対して溶接熱による損傷が与えられることが抑制されるため、優れた外観及び所望の強度を有するものとなる。
【実施例0052】
以下、本実施形態に係る異種金属材の接合方法の実施例について、その比較例と比較して具体的に説明する。
【0053】
<実施例>
図1A~
図1Cに示すように、鋼板1の上面に第1の貫通穴2aを有するCFRP板2を載置し、さらに第1の貫通穴2aに、第2の貫通穴3aを有する接合補助部材3の軸部5を挿入した。このとき、接合補助部材3のフランジ部4とCFRP板2とが、フランジ部4の外周面に沿って線接触するとともに、軸部5とCFRP板2の第1の貫通穴2aの内周面とが、この内周面に沿って線接触するように、接合補助部材3の形状を設計した。その後、アークスポット溶接により鋼板1の一部と接合補助部材3の一部とを溶融させ、第2の貫通穴3a内に溶接金属8を形成することにより、鋼板1とCFRP板2とを接合した。実施例において使用した接合補助部材の形状及びサイズを
図3で示すとともに、以下に説明する。また、その他の溶接条件を以下に示す。
【0054】
(接合補助部材のサイズ)
フランジ部4の外径Df:11mm
第2の貫通穴3aの内径(フランジ部側の端部)Di1:6mm
第2の貫通穴3aの内径(他方の端部)Di2:4mm
軸部5の外径(フランジ部側の端部)Do1:7mm
軸部5の外径(他方の端部)Do2:6mm
軸部5の外周面の傾斜角度(鉛直方向に対する角度)θ:21°
フランジ部4の傾斜(フランジ部4の下面と軸部5の外周面との境界部から、フランジ部4の下面における径方向端部までの高さの差)Hf:0.2mm
フランジ部4の厚さ(径方向端部の厚さ)T:1.2mm
接合補助部材3の軸方向高さHe:2.6mm
軸部5における傾斜が形成されている部分の軸方向高さHs:1.1mm
【0055】
(その他の溶接条件)
鋼板1の材質・板厚:980MPa級の鋼板、1.4mm
CFRP板2の板厚:2.0mm
第1の貫通穴2aの直径:7.0mm
接合補助部材3の材質:軟鋼
溶接用ワイヤの種類・ワイヤ径:JIS Z3312G59J3M1T、1.2mm
シールドガスの種類・流量:80%Ar+20%CO2、25リットル/分
溶接電流・溶接電圧:120A、23V
アークタイム:0.8秒
【0056】
<比較例>
上記実施例と同様にして、鋼板1とCFRP板2とを配置し、第1の貫通穴2aに接合補助部材3の軸部5を挿入した。ただし、比較例において使用した接合補助部材3は、フランジ部4の傾き及び軸部のテーパ形状がないものを使用し、フランジ部4とCFRP板2の上面、及び軸部5とCFRP板2の第1の貫通穴2aの内周面とは、面接触となるように配置した。その後、上記実施例と同様にしてアークスポット溶接を行い、鋼板1の一部と接合補助部材3の一部とを溶融させるとともに、溶接金属を形成して、鋼板1とCFRP板2とを接合した。比較例において使用した接合補助部材3のサイズの一部を以下に示す。その他のサイズ及び溶接条件については、実施例と同様とした。
【0057】
(接合補助部材のサイズ)
第2の貫通穴3aの内径Di:6.0mm
軸部5の外径Do:7.0mm
なお、第2の貫通穴3aの内径Di及び軸部5の外径Doは、いずれもフランジ部側の端部から他方の端部まで同一サイズである。
【0058】
図4Aは、実施例の異種金属材の接合方法により製造された異種金属接合構造体の断面を示す図面代用写真であり、
図4Bは、そのフランジ部を拡大して示す図面代用写真である。なお、
図4A及び
図4Bにおいて、
図1Cと同一物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略又は簡略化する。
図4Aに示すように、実施例においては、接合補助部材3とCFRP板2とは、第1部分接触領域6及び第2部分接触領域7のみで接触しており、その他の部分で接触していない。したがって、CFRP板2に損傷を与えることなく、鋼板1とCFRP板2とを接合することができた。また、
図4Bに示すように、異種金属接合構造体の上面を観察しても、CFRP板2の損傷は見られなかった。
【0059】
図5Aは、比較例の異種金属材の接合方法により製造された異種金属接合構造体の断面を示す図面代用写真であり、
図5Bは、そのフランジ部を拡大して示す図面代用写真である。また、
図6Aは、
図5Aにおける領域(a)を拡大して示す図面代用写真であり、
図6Bは、
図5Aにおける領域(b)を拡大して示す図面代用写真である。なお、比較例においては、接合補助部材の形状が実施例と異なるが、フランジ部及び軸部の構成は同様であるため、
図5A及び
図5Bにおいて、
図4A及び
図4Bと同一物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略又は簡略化する。
【0060】
比較例は、接合補助部材3とCFRP板2とは、少なくとも一部で面接触した状態で接合を実施した例である。ただし、
図5Aに示すように、溶接金属8と接合補助部材3とは完全に接合されておらず、未接合部14が形成されている。
図5Bに示すように、比較例の異種金属接合構造体の上面を観察しても、CFRP板2の損傷は見られなかった。また、
図6Aに示すように、接合補助部材3から離隔した領域(a)においては、CFRP板2の内部における複数の繊維が左右方向に配列された第1層11と、この左右方向に直交する方向に配列された第2層12とが交互に積層された構造となっており、損傷は観測されなかった。
【0061】
しかし、
図6Bに示すように、比較例は、未接合部14が形成される程度の入力熱であったにもかかわらず、接合補助部材3に接近した領域(b)においては、一部が溶融した損傷部13が観察された。
【0062】
このように、実施例の異種金属材の接合方法を用いることにより、上板(第2部材)が樹脂のように低い融点を有する材質で形成されたものであっても、上板に損傷を与えることなく、下板(第1部材)と上板とを高い品質で接合することができることが示された。