(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146000
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】モジュラーUPS装置及びモジュラーUPS装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20241004BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058662
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 一樹
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA01
5G015GA08
5G015JA59
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
(57)【要約】
【課題】ピークシフト機能を搭載し、商用系統からの購入電力量を減らすことができるモジュラーUPSを提供する。
【解決手段】実施形態のモジュラーUPS装置は、商用系統と負荷との間に並列接続された複数のUPSモジュールと、複数のUPSモジュールのそれぞれに接続された蓄電池ユニットと、複数のUPSモジュールを介して電力供給を制御する制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、UPSモジュール毎に対応する蓄電池ユニットの残容量を推定する残容量推定部を備え、推定した各UPSモジュールに対応する蓄電池ユニットの残容量が、所定の定格放電時間に相当する定格電力容量を超えているUPSモジュールに対し、所定の定格電力容量を超えている容量の範囲内で蓄電池ユニットに放電させて負荷に供給させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用系統と負荷との間に並列接続される複数のUPSモジュールと、
前記複数のUPSモジュールのそれぞれに接続された蓄電池ユニットと、
前記複数のUPSモジュールを介して電力供給を制御する制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記UPSモジュール毎に対応する前記蓄電池ユニットの残容量を推定する残容量推定部を備え、前記推定した各前記UPSモジュールに対応する前記蓄電池ユニットの残容量が、所定の定格放電時間に相当する定格電力容量を超えている前記UPSモジュールに対し、所定の前記定格電力容量を超えている容量の範囲内で前記蓄電池ユニットに放電させて前記負荷に供給させる、
モジュラーUPS装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記放電により前記UPSモジュールの残容量が前記定格電力容量となった場合に、当該UPSモジュールによる放電及び充電を禁止する、
請求項1に記載のモジュラーUPS装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、複数のUPSモジュールのうち、一部のUPSモジュールに対応する前記蓄電池ユニットにより放電を行わせる、
請求項1に記載のモジュラーUPS装置。
【請求項4】
前記残容量推定部は、前記蓄電池ユニットの容量推定結果より前記蓄電池ユニットの劣化状態を推定し、
前記制御ユニットは、前記劣化状態がより進んだ蓄電池ユニットを優先的に所定の前記定格電力容量を超えている容量の範囲内で前記蓄電池ユニットに放電させる、
請求項1に記載のモジュラーUPS装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、所定の前記定格電力容量を超えている容量の範囲内で前記蓄電池ユニットに放電させている期間に、前記蓄電池ユニットへの充電を禁止する、
請求項1に記載のモジュラーUPS装置。
【請求項6】
商用系統と負荷との間に並列接続される複数のUPSモジュールと、前記複数のUPSモジュールのそれぞれに接続された蓄電池ユニットと、前記複数のUPSモジュールを介して電力供給を制御する制御ユニットと、を備えたモジュラーUPS装置の制御方法出会って、
前記UPSモジュール毎に対応する前記蓄電池ユニットの残容量を推定する過程と、
前記推定した各前記UPSモジュールに対応する前記蓄電池ユニットの残容量が、所定の定格放電時間に相当する定格電力容量を超えているか否かを判断する過程と、
残容量が、所定の定格放電時間に相当する定格電力容量を超えている前記UPSモジュールに対し、所定の前記定格電力容量を超えている容量の範囲内で前記蓄電池ユニットに放電させて前記負荷に供給させる過程と、
を備えたモジュラーUPS装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モジュラーUPS装置及びモジュラーUPS装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予期せぬ停電や、入力電源に異常が発生した際に、負荷装置に対し、所定時間電力を供給し続けることで、機器やデータを保護するためのUPS(Uninterruptible Power Systems:無停電電源装置)が知られている。
【0003】
さらに、このようなUPSをUPSモジュールとして構成し、複数のUPSモジュールを備えたモジュラーUPS装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開特開2018-182872号公報
【特許文献2】実用新案登録第3210532号
【特許文献3】特開2011-16059620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなモジュラーUPS装置においては、更なる高機能化に向けて、通常運転時にも余剰容量を有した蓄電池から放電させることで、商用系統における電力の消費量が多い時間帯の購入電力量を減らし、電力消費量の少ない時間帯に電力購入をシフトする、いわゆる、ピークシフト機能を搭載することが望まれているが、ピークシフト機能を搭載したモジュラーUPS装置は提供されていなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであってピークシフト機能を搭載し、商用系統からの購入電力量を減らすことができるモジュラーUPS装置及びモジュラーUPS装置の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のモジュラーUPS装置は、商用系統と負荷との間に並列接続された複数のUPSモジュールと、複数のUPSモジュールのそれぞれに接続された蓄電池ユニットと、複数のUPSモジュールを介して電力供給を制御する制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、UPSモジュール毎に対応する蓄電池ユニットの残容量を推定する残容量推定部を備え、推定した各UPSモジュールに対応する蓄電池ユニットの残容量が、所定の定格放電時間に相当する定格電力容量を超えているUPSモジュールに対し、所定の定格電力容量を超えている容量の範囲内で蓄電池ユニットに放電させて負荷に供給させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の無停電電源システムの概要構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、モジュラーUPS装置の概要構成ブロック図である。
【
図3】
図3は、従来のモジュラーUPS装置の通常動作時の説明図である。
【
図4】
図4は、従来のモジュラーUPS装置の効率制御動作時の説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態の動作処理フローチャート(その1)である。
【
図6】
図6は、実施形態の動作処理フローチャート(その2)である。
【
図7】
図7は、実施形態の動作説明図(その1)である。
【
図8】
図8は、実施形態の動作説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態の無停電電源システムの概要構成ブロック図である。
無停電電源システム10は、商用系統11と、モジュラーUPS装置12と、負荷13と、を備えている。
【0010】
商用系統11は、発電設備、送電設備等を備え、発電電力を送電設備を介して送電し、需要家に供給する電力会社11Aと、電力会社11Aから送電された電力を受電し、変圧して供給する受変電設備11Bと、を備えている。
【0011】
図2は、モジュラーUPS装置の概要構成ブロック図である。
モジュラーUPS装置12は、入力電流/電圧センサ21と、コントローラユニット22と、UPSモジュール23-1~23-4と、蓄電池ユニット24-1~24-4と、出力電流/電圧センサ25と、を備えている。
入力電流/電圧センサ21は、商用系統11からの入力電流及び入力電圧を検出し、コントローラユニット22に出力する。
【0012】
コントローラユニット22は、入力電流/電圧センサ21及び出力電流/電圧センサ25の出力、各UPSモジュール23-1~23-4の状態、蓄電池ユニット24-1~34-4の蓄電状態、劣化状態等に基づいてモジュラーUPS装置12全体の制御を行う。
【0013】
UPSモジュール23-1~23-4は、入力された商用系統11からの電力及び蓄電池ユニット24-1~24-4からの電力の直流/交流変換、位相及び電圧を制御して、負荷13に供給するとともに、商用系統11からの電力の交流/直流変換を行って蓄電池ユニット24-1~24-4を充電して電気を蓄える。
【0014】
蓄電池ユニット24-1~24-4は、UPSモジュール23-1~23-4の制御下で、蓄電電力を放電したり、充電電力の供給を受けたりして蓄電を行う。
出力電流/電圧センサ25は、UPSモジュール23-1~23-4から負荷13に出力される出力電流及び出力電圧を検出し、コントローラユニット22に出力する。
【0015】
まず従来の問題点について装置構成として
図2と同様の場合を例として、説明する。
図3は、従来のモジュラーUPS装置の通常動作時の説明図である。
以下の説明において、各UPSモジュール23-1~23-4は、最大100kVAの電力を供給が可能であるものとし、各UPSモジュール23-1~23-4の変換効率は同じであるものとする。
【0016】
また、各UPSモジュール23-1~23-4に対応する蓄電池ユニット24-1~24-4は、商用系統11から電力が供給されなくなった場合あるいは商用系統11からの電力供給が不安定になった場合に安定した電力を供給することを保証する定格電力容量を100%とした場合に、現在の電力容量は120%であるものとする。
【0017】
従来の無停電電源システムにおいては、UPSモジュールが複数系統設けられていた場合には、各系統に均一に電力を供給するように制御を行っていた。
【0018】
例えば、負荷が100kVAを必要とする場合には、
図3に示すように、UPSモジュール23-1~23-4は4系統設けられているので、商用系統11から100kVAに電力変換等によるロス分αkVAを購入し、各UPSモジュール23-1~23-4はそれぞれ25kVA+α1(ここで、α1は、電力変換時のロスであり、たとえば、α=α1×4である)の電力が商用系統11から入力される。
【0019】
この結果、通常時においては、各UPSモジュール23-1~23-4は、電力変換を行って、25kVAの電力を負荷13に供給する。
したがって、負荷13には、合計で100kVAの電力が供給されることとなる。
【0020】
この場合において、蓄電池ユニット24-1~24-4には、余剰電力(
図3の例の場合、電力容量20%分)が蓄えられているが、これが用いられることは無い。
したがって、負荷13側から見れば、モジュラーUPS装置12が実効的に動作しておらず、単に商用系統11から電力を供給されている状態と等価な状態となっている。
【0021】
図4は、従来のモジュラーUPS装置の効率制御動作時の説明図である。
図4において、モジュラーUPS装置12の定格電力容量は、各UPSモジュールが最大100kVAの電力を供給が可能であるので、400kVAである。この定格電力容量よりも負荷の必要電力量が少ない場合には、全てのUPSモジュール23-1~23-4を稼働するよりも、効率向上の観点からはUPSモジュール23-1~23-4のうち一部のUPSモジュールを稼働するのが好ましい。
【0022】
より具体的には、UPSモジュール23-1~23-4の効率は、変換電力量により変化し、例えば、定格電力容量の50%程度の場合が効率が高い。
従って、各UPSモジュール23-1~23-4は、最大100kVAの電力を供給が可能である場合には、50kVA程度が良いということとなる。
【0023】
このため、例えば、負荷13が100kVAを必要とする場合には、
図4に示すように、4系統のUPSモジュール23-1~23-4が設けられているので、商用系統11から100kVAに電力変換によるロス分αkVAを購入し、何れか二つのUPSモジュールにそれぞれ50kVA+α1の電力が商用系統11から入力される。
【0024】
この結果、
図4に示す効率制御動作時においては、上の二つのUPSモジュール23-1、23-2のみが電力変換を行い、それぞれ50kVAの電力を負荷13に供給する。
したがって、負荷13には、合計で100kVAの電力が供給されることとなる。
【0025】
この効率制御動作時においても、蓄電池ユニット24-1~24-4には、余剰電力(
図4の例の場合、電力容量20%分)が蓄えられているが、これば用いられることは無く、負荷13側から見れば、モジュラーUPS装置12が実効的に動作しておらず、単に商用系統から電力を供給されている状態となっている。
【0026】
以上の説明のように、従来においては、通常動作時及び効率制御動作時のいずれにおいても、ピークシフト動作が行われることはなく、電力消費量の平準化に貢献することができなかった。
そこで、本実施形態は、モジュラーUPS装置において、ピークシフト動作を行って、商用系統からの購入電力量を減らすことができるモジュラーUPS装置を提供する。
【0027】
次に実施形態の動作を説明する。
図5は、実施形態の動作処理フローチャート(その1)である。
図6は、実施形態の動作処理フローチャート(その2)である。
図7は、実施形態の動作説明図(その1)である。
この場合において、各蓄電池ユニット24-1~24-4には、ピークシフト動作を行うために定格電力容量に対して、所定%増しの電力(本実施形態では、定格電力容量の120%)を蓄電しておくものとする。そして、蓄電池ユニット24-1~24-4の蓄電電力が定格電力容量の20%増しとなった時点で、コントローラユニット22は当該蓄電池ユニット24-1~24-4がさらなる充電が可能な状態であっても、当該蓄電池ユニット24-1~24-4への充電を禁止し、購入電力量の低減を図りつつ、ピークシフト動作を行えるようにしている。
【0028】
まず、コントローラユニット22は、残量推定部として機能し、各UPSモジュール23-1~23-4に対応する蓄電池ユニット24-1~24-4の残量を推定する(ステップS11)。
そして、コントローラユニット22は、推定した各蓄電池ユニット24-1~24-4の残量が、定格電力容量の何%であるかを算出する(ステップS12)。
【0029】
図7の例の場合は、推定した各蓄電池ユニット24-1~24-4の残量が、初期設定通りの定格電力容量の120%であることを示している。
【0030】
次にコントローラユニット22は、モジュラーUPS装置12全体の定格電力容量よりも負荷13の必要電力量が少ない場合、負荷13の必要電力量に対して、何台のUPSモジュールで効率制御動作に対応可能かを判断する(ステップS13)。
この場合においては、負荷の要求電力量が100kVAであるので、効率制御動作が可能であるので、2台のUPSモジュールを選択する(ステップS14)。
【0031】
より具体的には、
図7の例の場合、UPSモジュール23-1及びUPSモジュール23-2を選択する。この場合において、選択の基準は、無停電電源システム10全体の長期にわたる信頼性の観点から、例えば、蓄電池ユニットの残量が定格電力容量を超えていること、残量が同様であればより劣化状態が進んでいる蓄電池ユニットを選択すること、劣化状態が同様であれば選択頻度が同様になるようにすること等が望まれる。
【0032】
さらにコントローラユニット22は、現在の時刻がピークシフト動作の対象時間帯であるか否かを判断する(ステップS15)。
すなわち、商用系統11からの電力の消費量が多い時間帯であり、商用系統11からの電力購入量を減らすべき時間帯であるか否かを判断する。
【0033】
ステップS15の判断において、現在の時刻がピークシフト動作の対象時間帯ではない場合には、コントローラユニット22は、電力需要が少なく、電力料金が安い深夜時間帯などの予め定めた充電可能時間帯であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0034】
ステップS16の判断において、充電可能時間帯ではない場合には(ステップS16;No)、コントローラユニット22は、ピークシフト時間帯でもなく、蓄電池ユニット24-1~24-4に対する充電が行える時間帯でもないため、例えば、
図6で示した様に、適宜選択したUPSモジュールで電力変換を行い、蓄電池ユニットからの電力を供給することなく動作する通常動作を行い(ステップS24)、処理を継続する。
【0035】
一方、ステップS16の判断において、充電可能時間帯である場合には(ステップS16;Yes)、コントローラユニット22は、通常動作として、商用系統11から負荷13に供給する100kVAに加えて、蓄電池ユニット24-1~24-4の充電に必要な電力を購入し、充電を行うようにUPSモジュール23-1~23-4を制御する(ステップS17)。
【0036】
ここで、必要な電力とは、負荷13に供給する電力の他、所定の初期蓄電電力(上限蓄電状態に相当する電力、本実施形態では、定格電力容量の120%の電力)未満の蓄電池ユニットが存在する場合の充電電力及び電力変換のロス分の電力である。
【0037】
より詳細には、コントローラユニット22は、商用系統11から、100kVAに加えて、電力変換によるロス分αkVAを購入し、選択した二つのの蓄電池ユニット24-1、24-2にそれぞれ50kVA+α1の電力が商用系統から入力されるように対応するUPSモジュール23-1、23-2を制御する。
【0038】
この結果、二つのUPSモジュール23-1、23-2のみが電力変換を行い、それぞれ50kVAの電力を負荷13に供給する。
したがって、負荷13には、合計で100kVAの電力が供給されることとなる。
【0039】
一方、ステップS15の判断において、現在の時刻がピークシフト動作の対象時間帯である場合には(ステップS15;Yes)、コントローラユニット22は、まず、UPSモジュール23-1~23-4を制御し、全ての蓄電池ユニット24-1~24-4に対する充電を禁止する(ステップS18)。
これは、蓄電池ユニット24-1~24-4への充電に必要な電力の購入がなされて、実効的に商用系統11からの購入電力が低減できなくなるのを防止するためである。
【0040】
続いて、コントローラユニット22は、減らした商用系統11からの電力購入分の電力を、選択した蓄電池ユニット24-1、24-2の蓄電電力からまかなうように、商用系統11からの購入電力量およびUPSモジュール23-1、23-2を制御する(ステップS19)。
【0041】
より具体的には、コントローラユニット22は、負荷13の必要電力が100kVAであり、蓄電池ユニット24-1、24-2がそれぞれ10kVAずつ供給可能だとすると、商用系統11から購入すべき電力量は80kVA(=100-2×10kVA)である。
【0042】
そこで、コントローラユニット22は、商用系統11からの電力購入量を各UPSモジュール23-1、23-2に対し、40kVAとし、不足する10kVAをそれぞれの蓄電池ユニット24-1、24-2の蓄電電力(の定格電力容量を超えている部分の電力)を供給するように制御する。
【0043】
この結果、二つのUPSモジュールのみがそれぞれ40kVAの電力変換を行うとともに、蓄電池ユニットの蓄電電力から、それぞれ10kVAの電力を出力して、合計でそれぞれ50kVAの電力を負荷13に供給する。
【0044】
したがって、負荷13には、合計で100kVAの電力が供給され、かつ、商用電力11からの電力購入を削減することとなる。
【0045】
さらにコントローラユニット22は、UPSモジュール毎に対応する蓄電池ユニットの残容量を監視し、現在、負荷に電力を供給しているUPSモジュールに対応する蓄電池ユニットの残容量が定格電力容量に至ったか否かを判断する(ステップS20)。
【0046】
ステップS20の判断において、未だ残容量が定格電力容量に至っていない場合には(ステップS20;No)、処理をステップS15に移行して処理を継続する。
【0047】
ステップS20の判断において、蓄電池ユニットの残容量が定格電力容量に至った場合には(ステップS20;Yes)、コントローラユニット22は、負荷13への電力供給を維持しつつ、定格電力容量に至った蓄電池ユニットの電力供給を停止する(ステップS21)。
これにより、モジュラーUPS装置が無停電源装置としての本来の機能を維持することが可能となっている。
【0048】
続いて、コントローラユニット22は、本来のモジュラーUPS装置としての機能を維持するため、未だ対応する蓄電池ユニットの残容量が定格電力容量に至っておらず電力を供給可能な他のUPSモジュール(及び対応する蓄電池ユニット)が存在するか否かを判断する(ステップS22)。
【0049】
ステップS22の判断において、他のUPSモジュールで未だ対応する蓄電池ユニットの残容量が定格電力容量に至っておらず電力を供給可能なUPSモジュールが存在する場合には(ステップS22;Yes)、コントローラユニット22は、UPSモジュールを切り替えて当該UPSモジュールに対応する蓄電池ユニットを選択し、当該蓄電池ユニットから電力を供給して、ピークシフト動作を継続する(ステップS23)。
【0050】
図8は、実施形態の動作説明図(その2)である。
図8の例の場合は、蓄電池ユニット24-1、24-2の残量が、定格電力容量の100%であり、無停電電源装置としての機能を維持するために、これ以上の電力供給は行えないことを示している。
【0051】
これに対し、蓄電池ユニット24-3、24-4の残量が、初期設定通りの定格電力容量の120%であり、未だ対応する蓄電池ユニット24-3、24-4の残容量が定格電力容量に至っておらず電力を供給可能であるとして、コントローラユニット22は、蓄電池ユニットを変更するためにUPSモジュール23-3、23-4を選択する。そして、コントローラユニット22は、対応する蓄電池ユニット24-3、24-4から電力を供給して、ピークシフト動作を継続することとなる。
【0052】
さらに、コントローラユニット22は、再び処理をステップS15に移行し、ピークシフト時間中、同様の制御を行うこととなる。
【0053】
一方、ステップS22の判断において、他のUPSモジュールで未だ対応する蓄電池ユニットの残容量が定格電力容量に至っておらず電力を供給可能なUPSモジュールが存在しない場合には(ステップS22;No)、コントローラユニット22は、例えば、
図5で示した様に、適宜選択したUPSモジュールで電力変換を行い、蓄電池ユニットからの電力を供給することなく動作する通常動作を行い(ステップS24)、処理を継続する。
【0054】
以上の説明のように、本実施形態によれば、複数のUPSモジュールを備えたモジュラーUPS装置において、ピークシフト動作を行って、商用系統11からの購入電力量を低減して、商用系統11に対する電力供給負荷を低減しつつ、負荷13への電力供給を継続することが可能となる。
【0055】
以上の説明においては、二つのUPSモジュール23-1、23-2に対応する蓄電池ユニット24-1、24-2の残容量が同時に定格電力容量に至った場合を例として、二つの他のUPSモジュール23-3、23-4に対応する蓄電池ユニット24-3、24-4から電力を供給するように同時に切り替えていたが、順次定格電力容量に至った蓄電池ユニットから定格電力容量を超えている蓄電池ユニットに切り替えるように構成することも可能である。
【0056】
以上の説明においては、コントローラユニット22が蓄電池ユニット24-1~24-4の残容量を推定する構成を採っていたが、コントローラユニット22とは別個に、残容量推定ユニット、蓄電池ユニットの劣化状態を判別する劣化状態判別ユニットを設けるように構成することも可能である。
【0057】
本実施形態のコントローラユニットは、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、SSD、HDD、などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、各種設定を行うための入力装置と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0058】
本実施形態のコントローラユニットで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでUSBメモリ、SSD等の半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0059】
また、本実施形態のコントローラユニットで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコントローラユニットで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態のコントローラユニットのプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 無停電電源システム
11 商用系統
11A 電力会社
11B 受変電設備
12 モジュラーUPS装置
13 負荷
21 入力電流/電圧センサ
22 コントローラユニット(制御ユニット)
23-1~23-4 UPSモジュール
24-1~24-4 蓄電池ユニット
25 出力電流/電圧センサ