(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146006
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】浮体式洋上風力発電装置の基礎構造
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20200101AFI20241004BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20241004BHJP
【FI】
B63B35/00 T
F03D13/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058668
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】396002851
【氏名又は名称】中村物産有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓造
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB41
3H178CC22
3H178DD12Z
3H178DD61X
(57)【要約】
【課題】
波の影響による揺れが低減され、良好な発電効率および作業員の安全性の向上が図られた浮体式洋上風力発電装置の基礎構造を提供する。
【解決手段】
風車部(210)と風車部(210)を支持するタワー部(220)とを備える洋上風力発電装置(200)の基礎構造(100)は、タワー部(220)に対し直接または間接に連続し風力発電装置(200)を支持する中空筒状の浮体と、浮体(10)の上下方向中間部において、当該浮体(10)の外周面(12)において周方向に延在する拡径部(20)が設けられており、拡径部(20)は、浮体(10)の外周面(12)から最も離れた箇所である拡径先端(22)から、浮体(10)の外周面(12)側である基端側に向けて上下方向において測定される厚みが増大するよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車部と前記風車部を支持するタワー部とを備える洋上風力発電装置の基礎構造であって、
前記タワー部に対し直接または間接に連続し前記洋上風力発電装置を支持する中空筒状の浮体と、
前記浮体の上下方向中間部において、当該浮体の外周面において周方向に延在する拡径部が設けられており、
前記拡径部は、前記浮体の外周面から最も離れた箇所である拡径先端から、前記浮体の外周面側である基端側に向けて上下方向において測定される厚みが増大していることを特徴とする浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項2】
前記浮体の底面中央部に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された移動防止用長尺部材が設けられており、
前記移動防止用長尺部材の先端近傍が分岐している請求項1に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項3】
前記浮体の下端部外縁に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された回転防止用長尺部材が複数設けられており、
前記回転防止用長尺部材の先端近傍が分岐している請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項4】
前記浮体の底面中央部に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された移動防止用長尺部材および/または、前記浮体の下端部外縁に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された回転防止用長尺部材が設けられており、
前記移動防止用長尺部材および/または前記回転防止用長尺部材の先端部の所定の箇所と、海面に浮かぶ位置表示体とが、紐状体によって繋がれている請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項5】
前記拡径部の前記拡径先端を通り前記浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、
前記拡径部の表面において、前記基準線より上側に位置する拡径部上面の面積は、前記基準線より下側に位置する拡径部下面の面積よりも小さい請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項6】
前記拡径部の前記拡径先端を通り当該浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、
前記拡径部の表面において、前記基準線より上側に位置する拡径部上面および前記基準線より下側に位置する拡径部下面は、それぞれ外方向に凸の湾曲部分を有し、
前記拡径部上面における前記湾曲部分のR値が、前記拡径部下面における前記湾曲部分のR値よりも小さい請求項1または2に記載する浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【請求項7】
前記拡径部の前記拡径先端を通り前記浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、前記拡径部の表面であって前記基準線より上側に位置する拡径部上面には波返し部が設けられており、
前記波返し部は、
前記拡径部上面から直接または間接に上方に延在する固定軸と、
円筒細状であって内部に前記固定軸が貫通し軸回転可能な回転部と、
前記回転部の側面に取り付けられた第一衝突板および第二衝突板と、を有し、
前記第一衝突板および前記第二衝突板は、それぞれの一辺が互いに前記側面において隣接するとともに、上面視においてV字状となるよう位置決めされて前記側面に固定されている請求項1または2に記載する浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置の基礎構造に関し、詳しくは洋上において風力発電を行う洋上風力発電装置の浮体式の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化をはじめとする地球環境問題に関心が高まっている。これに対し、風力発電は、二酸化炭素などの環境汚染物質を排出せず、かつ無尽蔵な自然エネルギーを産生可能なため、開発および実施に対する期待が高まっている。
【0003】
従来、洋上風力発電装置の基礎構造は、浮力を有する浮体を用い発電装置を洋上に浮かせるとともに係留索によって係留する浮体式、およびモノパイル基礎に代表される海底に設置した杭によって発電装置を支持する海底設置式が主流である。一般に係留索の先端部は、固定杭や錘などで海底に対し固定される。
【0004】
浮体式の基礎構造を用いた洋上風力発電装置の例としては、例えば特許文献1に示されるように浮体の上部において風力発電装置のタワーが支持されるとともに、当該浮体の上部から下垂する係留索および係留索の先端部を海底に対し固定する錘によって所定域に係留されるタイプが知られる。
【0005】
また海底設置式の基礎構造を用いた洋上風力発電装置の例としては、例えば特許文献2に示されるように海底に打設された杭の上端と風力発電装置のタワー部の下端とが連結されて支持されるタイプが知られる。
【0006】
杭を海底に打設して設置する海底設置式の洋上風力発電装置の基礎構造は、海流などの影響を受けながら海底に対し構築しなければならず、設置の費用や労力が非常に大きいという問題がある。これに対し、洋上風力発電装置を支持する浮体を係留索で海底に係留する浮体式の洋上風力発電装置の基礎構造は、海底設置式の洋上風力発電装置の基礎構造に比べて、設置の費用や労力が小さい点で望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-188557号公報
【特許文献2】特開2017-115373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、浮体式の洋上風力発電装置の基礎構造は、係留索によって所定域に洋上風力発電装置を係留することができるものの、海底設置式のように完全に発電装置の設置姿勢を固定するものではない。そのため、浮体式の基礎構造に支持された洋上風力発電装置は、絶えず波の影響を受け設置姿勢が揺れ、その結果、発電効率に望ましくない影響が生じる可能性があった。
【0009】
また洋上に設置された風力発電装置によって発電を行う場合、定期的に装置の点検を行い、また不具合が生じた場合には修理等を行う必要がある。このような点検や修理を行う場合には、作業員および機材(以下、作業員等という場合がある)を乗せた作業船を風力発電装置の近傍に停泊させ、当該作業員等を風力発電装置に移動させる必要がある。そのような場合に、風力発電装置やその基礎構造が揺れると、作業員の安全性が低下する危険があった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、波の影響による揺れが低減され、良好な発電効率および作業員の安全性の向上が図られた浮体式洋上風力発電装置の基礎構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、風車部と上記風車部を支持するタワー部とを備える洋上風力発電装置の基礎構造であって、上記タワー部に対し直接または間接に連続し上記洋上風力発電装置を支持する中空筒状の浮体と、上記浮体の上下方向中間部において、当該浮体の外周面において周方向に延在する拡径部が設けられており、上記拡径部は、上記浮体の外周面から最も離れた箇所である拡径先端から、上記浮体の外周面側である基端側に向けて上下方向において測定される厚みが増大していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造は、消波効果を発揮する拡径部が基礎を構成する浮体に設けられており、従来の浮体式の基礎構造に対し、発電効率の改善が期待されるとともに風力発電装置のメンテナンス等を行う作業員の安全性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかる浮体式の基礎構造を用いた洋上風力発電装置の側面図である。
【
図2】
図1に示す基礎構造のII-II断面図である。
【
図3】
図3A~
図3Dは、本発明の第一実施形態の基礎構造における拡径部の変形例を説明する側面図である。
【
図4】本発明の第二実施形態における拡径部近傍を観察した部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を用いて説明する。図示する本発明の実施形態は、理解容易のために、特定の部材を全体において比較的大きく図示する場合、または小さく図示する場合などがあるが、いずれも本発明の各構成の寸法比率を何ら限定するものではない。
本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
本発明または本願明細書において、上下方向とは、海洋に本発明の浮体式の基礎構造を用いて洋上風力発電装置を設置した際の上下方向を指す。
尚、以下の説明では、適宜、洋上風力発電装置のことを単に風力発電装置と称呼し、本発明の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造を単に本発明の基礎構造と称呼する場合がある。
【0015】
[第一実施形態]
以下に、本発明の第一実施形態である基礎構造100を用いて、本発明を説明する。説明には適宜
図1~
図3を用いる。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる基礎構造100を用いた洋上風力発電装置200の側面図である。
図2は、
図1に示す基礎構造100のII-II断面図であり、紐状体52の図示を省略している。
図3A~
図3Dは、基礎構造100における拡径部20の変形例の側面図である。
【0016】
図1に示すとおり、基礎構造100は、風車部210と風車部210を支持するタワー部220とを備える風力発電装置200の基礎構造100である。基礎構造100は、タワー部220に対し直接または間接に連続する中空筒状の浮体10を備えており、かかる浮体10の浮力により風力発電装置200を海に浮かした状態で支持している。
本発明では、浮体10の上下方向中間部において、当該浮体10の外周面12において周方向に延在する拡径部20が設けられている。拡径部20は、浮体10の外周面12から最も離れた箇所である拡径先端22から、浮体10の外周面12側である基端側に向けて上下方向において測定される厚みが増大している。即ち、
図3に示すとおり、拡径先端22側の厚みt1よりも相対的に基端側の厚みt2が大きくなる構成されている。
【0017】
上述する構成を有する本発明では、浮体10に寄せる波が拡径部20に衝突することによって当該波の波高を低減させることができるため、波の衝突による基礎構造100の揺れを低減させることができる。上述する拡径部20による効果を消波効果と呼ぶ場合がある。以下に基礎構造100についてさらに詳細に説明する。
【0018】
(風力発電装置)
風力発電装置200は、風車部210とタワー部220を備える。
図1には3枚のブレードを有する風車部210が図示されているが、風力発電装置200は一般的に知られる洋上風力発電装置の種々の態様から適宜選択して用いることができる。タワー部220は、風力発電装置200の支持軸である。タワー部200の下端は中空筒状の浮体10の上端に対し直接または間接に接続されて支持されている。本実施形態では、連結部230を介して、タワー部200の下端と浮体10の上端とが接続されている。
風力発電装置200の規模に応じ、浮体10のスケールを適宜変更し浮力を調整することができるため、基礎構造100は、風力発電装置200の規模を問わず実施可能である。
【0019】
(浮体)
浮体10は、上述する風力発電装置200を支持しつつ海上に浮かすための浮力を有する。従って浮体10の内部の少なくとも一部は中空部となるよう構成されている。浮体10の内部に設けられる中空部の位置は特に限定されないが、たとえば浮体10は、内部下方に予めコンクリートなどの重量物が充填されて重心位置が下方となるよう設計され、その重量物の上方に中空部が設けられるとよい。
本実施形態における浮体10は、横断面が円形である円筒形状である。ただし本発明において浮体10はこれに限定されず、横断面がたとえば楕円形、四角形、若しくはこれら以外の定型の形状、または不定形の形状のいずれかまたは組合せであってよい。海水の抵抗を受け難いという観点からは浮体10の横断面は円形であることが好ましい。
【0020】
浮体10の上端は、海面900の近傍または海面900より上方に位置することが好ましく、
図1に示す本実施形態のように、当該上端が、海面900より上方に位置することがより好ましい。浮体10の、海面900より上に存在する領域において、たとえば
図1に示すように作業ステージ110を設けることができる。作業ステージ110は、たとえば風力発電装置200のメンテナンスや修理を行うための作業員等や作業用クレーンなどを載せることができる。本発明は、拡径部20を備え消波効果を発揮するため、作業ステージ110における作業の安全性に優れる。
浮体10の下端は、海面900と海底910との間に位置する。
【0021】
浮体10の内部に設けられた中空部は、浮力を発揮するために空気などの気体が充満しているが、基礎構造100の高さを調整するため、中空部の一部に海水を供給し、また排水することもできる。本実施形態では、浮体10における中空部に海水を供給し、また排水するための給排水口16が設けられている。給排水口16が設けられる場所は特に限定されないが、たとえば
図1に示すとおり作業用ステージ110の上部に設けられることによって給水、排水の作業が行い易く好ましい。給水、排水の作業方法は特に限定されないが、図示省略する給排水用のポンプやホースを用いて行うことができる。
【0022】
尚、基礎構造100は、上述するとおり拡径部20を有し、これにより消波効果を発揮する。かかる消波効果をより良好に発揮させるために、拡径部20と海面900との距離を調整してもよい。当該距離の調整は、たとえば、浮体10の内部の中空部に供給された海水の重量によって調整可能である。かかる海水の重量を簡易に調整するという観点から、浮体10に給排水口16が設けられていることが好ましく、上述する作業ステージ110より上方に設けられ作業ステージ110上において給排水口16の作業ができることがより好ましい。拡径部20の高さ(即ち、拡径部20と海面900との距離)については後述する。
【0023】
浮体10を構成する部材は特に限定されないが、適度な強度があり、かつ長時間、海中に設置されても不具合のない部材が好ましく、たとえば鉄や鋼などが好適である。
【0024】
(拡径部)
基礎構造100は、浮体10の上下方向中間部において、当該浮体10の外周面12において周方向に延在する拡径部20が設けられている。本実施形態における拡径部20は、上述する外周面12の周方向において連続的に延在しており、円盤状の形状をなす。拡径部20は、拡径部20が取り付けられた位置における浮体10の外周面12よりも外方向(つまり浮体10から離れる方向)に膨出した部位である。換言すると、拡径部20は、浮体10の中間部において水平方向に膨出した形状をなす。拡径部20は、
図3で示すように、拡径先端22寄りの厚みt1よりも、相対的に基端側(浮体10の外周面側)寄りの厚みt2が大きくなるよう構成されている。
かかる構成を備える基礎構造100では、浮体10の軸方向に対し交差方向に流れる海水が拡径部20に衝突することにより流れが分散され、その結果、拡径部20を有しない従来の浮体式の基礎構造と比較して消波効果が発揮される。
【0025】
即ち、拡径部20が設けられていない従来の浮体式の基礎構造では、浮体の外周面に海水が衝突し浮体の周囲の波高が高くなるとともに浮体およびこれに支持された風力発電装置の揺れが誘因されていた。
これに対し、拡径部20が設けられた基礎構造100では、拡径部20近傍において浮体10に寄せる海水は、まず拡径部20の拡径先端22または拡径部20の表面に衝突し、その後、拡径部20の表面に沿ってスムーズに上下方向などに分散される。そのため、浮体10に対する海水の衝撃力が低減されるとともに、海水と浮体10との衝突により発生する波の波高を従来に比べ低減することができる。かかる消波効果により、基礎構造100により支持された風力発電装置200の揺れが軽減され、発電効率の低下が抑制され、また作業員の安全性が改善されうる。
【0026】
本実施形態における拡径部20は、
図3Aで示すように、拡径先端22寄りの厚みt1よりも、相対的に基端側(浮体10の外周面12側)寄りの厚みt2が大きくなるよう構成されており、基端側に向かう厚みの増大が連続的である。換言すると、拡径先端22から基端に向かって拡径部20の表面(拡径部上面24および拡径部下面26)がそれぞれ、上斜め方向および下斜め方向に連続的に傾斜している。そのため、拡径部20の表面に衝突した海水はスムーズに当該表面に沿って流れるとともに上下方向などに分散される。
【0027】
図3Aに示す本実施形態の拡径部20は、拡径部20の拡径先端22を通り浮体10の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線60としたとき、基準線60を中心線として上下線対称となるよう構成されている。
ただし本発明における拡径部20の形状は、本実施形態に限定されず、拡径先端22寄りである厚みt1よりも相対的に浮体10側である厚みt2の方が大きいという条件を満たす範囲において適宜変更することができる。以下に
図3A~
図3Dを用いて、拡径部20のいくつかの態様について説明する。尚、拡径部20に関し、適宜、基準線60より上側に位置する拡径部20の上側の外周面を拡径部上面24と称呼し、基準線60より下側に位置する拡径部の下側の外周面を拡径部下面26と称呼する。
【0028】
上述するとおり、
図3Aに示す拡径部20(拡径部20A)は、
図1に示す拡径部20と同様に側面視において基準線60を中心線として上下が線対称となる形状をなし、拡径先端22を含む先端近傍は丸みを帯びた形状となっている。拡径部20Aの拡径部上面24および拡径部下面26は、それぞれ拡径先端22から浮体10側に向けて滑らかに湾曲している。拡径部20の厚みは基準線60を基準として上下均等に増大しており、拡径部上面24の面積と拡径部下面26の面積とが等しい。
【0029】
図3Bは、側面視において、拡径先端22から浮体10の外周面12に向けて拡径部20(拡径部20B)の外縁のラインが略直線となるよう構成されている。側面視において確認される拡径部20Bの外縁のラインは、基準線60より上のラインよりも基準線60より下のラインの方が長く、拡径部上面24の面積は拡径部下面26の面積より小さい。
【0030】
図3Cに示す拡径部20(拡径部20C)は、拡径部上面24において、拡径先端22寄りの領域は外方向に凸の湾曲面となっており、一方、浮体10寄りの領域では内方向に凸の湾曲面となっている。拡径部上面24において拡径先端22寄りの領域および浮体10寄りの領域の間である中間部が略平坦となるよう構成されている。換言すると側面視において、拡径部上面24の外縁中間部は基準線60と平行している。
一方、拡径部下面26は、拡径先端22から浮体10に向けて大きく湾曲しており、上下方向の厚みが連続的に増加している。拡径部下面26の湾曲部分のR値は、拡径部上面24の拡径先端22寄りの領域に形成された湾曲部分のR値よりも大きい。拡径部20Cは、基準線60より上の厚みに対し、基準線60より下の厚みが大きくなるよう構成されており、拡径部上面24の面積は拡径部下面26の面積より小さい。尚、本明細書においてR値とは、湾曲部のカーブに沿った円の半径を指す。
【0031】
図3Dに示す拡径部20(拡径部20D)は、拡径部上面24が拡径部20の外方向に凸の緩やかな湾曲面であるのに対し、拡径部下面26が拡径部20の内方向に凸の湾曲面となっている。拡径部上面24の湾曲面のR値(絶対値)は、拡径部下面26の湾曲面のR値(絶対値)よりも小さく、拡径部上面24の面積は拡径部下面26の面積より小さい。
【0032】
上述するとおり拡径部20は種々の形状を採用し得るが、消波効果をより充分に発揮させるためには、たとえば
図3B~
図3Dに示される態様のように、拡径部20の表面において、基準線60より上側に位置する拡径部上面24の面積が、基準線60より下側に位置する拡径部下面26の面積よりも小さいことが好ましい。かかる態様では、相対的に拡径部下面26に接触した海水に対する抵抗を大きくすることができる。この結果、拡径部20に衝突した海水を上下方向などに分散させた際、上方側(つまり海水面900側)に分散した海水の速度を、下面側に分散した海水の速度より相対的に早くすることができる。これにより、海面900近くを流れる海水がスムーズに基礎構造100を流れ過ぎるため、基礎構造100の周辺の波高が増大することを効果的に抑制することができる。
【0033】
また別の観点からいえば、拡径部20の表面において、拡径部上面24および拡径部下面26が、
図2Cに示すとおり、拡径先端22から浮体10の外周面12に向けてそれぞれ外方向に凸の湾曲部分を有し、拡径部上面24における湾曲部分のR値が、拡径部下面26における湾曲部分のR値よりも小さくなるよう構成されることが好ましい。ここでいうR値とは、拡径部上面24および拡径部下面26それぞれで示される湾曲部分の弧の半径を指す。かかる構成の拡径部20であれば、より良好な消波効果が期待される。
【0034】
拡径部20は、浮体10と一体成形されていてもよいし、浮体10の所定の箇所に、別途作製された拡径部20が溶接などで取り付けられてもよい。拡径部20を構成する部材は特に限定されないが、たとえば上述する浮体10と同様の部材から選択することができる。また拡径部20の寸法は特に限定されず、風力発電装置200の規模や、浮体10の外径などを考慮して適宜設計することができる。
【0035】
上述するとおり拡径部20は、その表面に衝突した海水を多方向に分散させるためのものであり、内部は中実であっても中空であってもよい。内部が中空である、または内部の一部に中空部が設けられている拡径部20は、基礎構造100の浮力の増大に貢献する点で好ましい。
【0036】
拡径部20の設置により消波効果が有意に発揮されるよう、拡径部20は、浮体10の上下方向2分の1の高さ以上の位置に取り付けられるとよい。より望ましくは、拡径部20全体が海面900より下方に位置し、かつ、拡径部20の上端28と海面900との距離が2m以上20m以下であることが好ましく、3m以上15m以下であることがより好ましく、4m以上12m以下であることがさらに好ましく、5m以上10m以下であることが特に好ましい。
ここでいう拡径部20の上端28とは、拡径部20の拡径部上面24と浮体10の境界部分であって、浮体10の径よりも大きくなる始める位置を指している。
【0037】
本発明において提案する拡径部20は、海底設置型の洋上風力発電装置の基礎構造にも用いられうる。この場合、海底設置型の基礎構造の杭の外周面に対し直接または間接に拡径部20を設置すればよい。
ただし、海底設置型に用いられた拡径部20は、海底910からの高さが固定されるため、拡径部20の上端28と海面900との距離は、海面900の高さの変化によって変動する。即ち、海底設置型では、拡径部20の上端29と海面900の距離を常に一定の距離に維持することが難しい。これに対し浮体式の洋上風力発電装置の基礎構造100では、拡径部20が基礎構造100とともに海中に浮かんだ状態であるため、海面900の高さの変化に影響を受けることなく、拡径部20の上端28と海面900との距離が概ね一定に維持される。
【0038】
(移動防止用長尺部材)
図1、
図2に示すとおり、本実施形態の基礎構造100は、浮体10の底面14中央部に直接または間接に取り付けられ、海底910に向かって下垂するとともに、先端部34が海底910に沿って配置された移動防止用長尺部材30が設けられている。より具体的には、底面14における、上下方向に伸長する筒状体である浮体10の軸中心付近に移動防止用長尺部材30の一端が取り付けられ、他端(先端)は自由端として海底900上に配置されている。移動防止用長尺部材30は、海流などにより基礎構造100が移動することを防止する錘となり得るものであり、たとえば金属製のチェーンなどから構成されうる。このように浮体10の軸中心付近から錘となる長尺部材を取り付けることによって、浮体式の基礎構造100を移動し難く安定させることが可能である。
尚、先端部34とは、移動防止用長尺部材30の海底910側の先端を含む任意の長さ領域を意味する。より具体的には、先端部34とは、海底910に沿って配置された領域を指し、当該領域の長さは、限定的ではなく基礎構造100の高さの変更などにより変更しうる。
【0039】
基礎構造100をより移動し難くするという観点からは、移動防止用長尺部材30の先端近傍が分岐しているとよい。本実施形態では、移動防止用長尺部材30の先端近傍は分岐部31および分岐部32を有し二股に分岐しているが、分岐部は三股以上に分岐していてもよい。かかる分岐部を備えることによって、移動防止用長尺部材30が基礎構造100に引っ張られた際、当該分岐部と海底910との摩擦による抵抗力が発生するため、長尺部材の海底910側の端部(拡径先端22)を海底910に対し固定杭で係留しなくても、基礎構造100が移動することを良好に防止することができる。尚、移動防止用長尺部材30の先端近傍とは、移動防止用長尺部材30の先端を含み、先端部34よりも短い長さ領域を指す。移動防止用長尺部材30の先端近傍の長さ領域(即ち、分岐部31の分岐長さ)は、先端からたとえば、3m以上20m以下であることが好ましく、5m以上15m以下であることがより好ましい。
【0040】
(回転防止用長尺部材)
本実施形態の基礎構造100は、浮体10の下端部外縁に直接または間接に取り付けられ、海底910に向かって下垂するとともに、先端部44が海底910に沿って配置された回転防止用長尺部材40が複数設けられており、浮体式の基礎構造100が海流などの影響で回転することが防止されている。本実施形態では、浮体10を介して180度対向する位置に2本の回転防止用長尺部材40が設けられているが、たとえば3本以上の回転防止用長尺部材40のそれぞれの端部が、浮体10の下端外縁部周方向において等間隔に取り付けられてもよい。ここで浮体10の下端部外縁とは、浮体10の底面14の外縁または底面14の外縁より上方である外周面12を含む。本実施形態では、回転防止用長尺部材40の一端は、底面14の外縁に設けられているが、図示省略する変形例として底面14の外縁より上方である浮体10の外周面12に回転防止用長尺部材40の一端が取り付けられても良い。かかる変形例では、浮体10の高さを100%としたとき、底面14から当該高さの30%以下の領域で回転防止用長尺部材40の一端が取り付けられるとよい。
尚、先端部44とは、回転防止用長尺部材40の海底910側の先端を含む任意の長さ領域を意味する。より具体的には、先端部44とは、海底910に沿って配置された領域を指し、当該領域の長さは、限定的ではなく基礎構造100の高さの変更などにより変更しうる。
【0041】
基礎構造100の回転をより良好に防止するという観点からは、回転防止用長尺部材40の先端近傍が分岐しているとよい。本実施形態では、回転防止用長尺部材40の先端近傍は分岐部41および分岐部42を有し二股に分岐しているが、分岐部は三股以上に分岐していてもよい。かかる分岐部を備えることによって、回転防止用長尺部材40が基礎構造100に引っ張られた際、当該分岐部と海底910との摩擦による抵抗力が発生するため、長尺部材の海底910側の端部を海底910に対し固定杭などで係留しなくても、基礎構造100が回転することを良好に防止することができる。尚、回転防止用長尺部材40の先端近傍とは、回転防止用長尺部材40の先端を含み、先端部44よりも短い長さ領域を指す。回転防止用長尺部材40の先端近傍の長さ領域(即ち、分岐部41、42の分岐長さ)は、先端からたとえば、1m以上15m以下であることが好ましく、3m以上10m以下であることがより好ましい。
【0042】
上述する移動防止用長尺部材30および回転防止用長尺部材40は、たとえば金属製などのチェーンで構成することができるが、これに限定されない。これら長尺部材の一端は、浮体10の底面14に直接に取り付けられても良いし、底面14に対し取り付け用のリングなどを設置して、当該リングにこれら長尺部材の一端を取り付けてもよい。取付手段は特に限定されないが、たとえば、シャックルなどの取付具を底面14等に設置し、当該取付具に長尺部材の一端を連繋してもよい。
【0043】
(位置表示体)
上述する移動防止用長尺部材30の先端部34の所定の箇所および/または回転防止用長尺部材40の先端部44の所定の箇所と、海面900に浮かぶ位置表示体50とが、紐状体52によって繋がれていることが好ましい。本実施形態では、具体的には回転防止用長尺部材40の先端部44に繋がれており、かかる紐状体52の他端はブイなどの海面浮遊体である位置表示体50に繋がれている。
これによって、長尺部材の先端部の位置がすぐにわかるという効果がある。また別の効果として、基礎構造100の配置位置を変更し、あるいは基礎構造100を回収する等の場合、紐状体52を牽引手段として移動方向に引っ張ることで容易に基礎構造100を移動させることができる。
尚、長尺部材40の先端部44のいずれの位置に紐状体52が繋がれるかは特に限定されないが、たとえば、分岐部41と分岐部42とが合流する箇所に紐状体52の一端が繋がれる態様、あるいは、
図1に示すとおり紐状体52の端部を分岐させ、分岐部それぞれの端部(即ち、本実施形態では分岐部41および分岐部42の端部)に繋がれる態様が好ましい。かかる態様によれば紐状体52を牽引手段として所望の移動方向に基礎構造100をスムーズに移動させることができる。
【0044】
基礎構造100をより容易に人為的に移動させるという観点からは、上述する位置表示体50および紐状体52を備える態様において、さらに移動防止用長尺部材30および/または回転防止用長尺部材40の先端部34、44の位置を海底910に対し従来のように固定杭などで打ち付けて固定させず、上述するとおり分岐部を設けることが好ましい。
また分岐部を設けるとともに、当該分岐部の先端にアンカーを取り付けることがより好ましい。これにより、基礎構造100を移動させる必要が生じたい場合に固定杭などによる係留を解除する作業を行う必要がなく、紐状体52を引っ張ることで速やかに基礎構造100を移動させることができる。
【0045】
上述する紐状体52は、強度が高く耐久性に優れた部材から構成されることが好ましい紐状体52を構成する部材としては、たとえば炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの軽量性に優れるとともに強度の高い高機能繊維が好ましい。
【0046】
[第二実施形態]
以下に本発明の第二実施形態について
図4、
図5を用いて説明する。
図4は、本発明の第二実施形態の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造に設けられた拡径部20近傍を観察した部分側面図であり、
図5は、
図4におけるIV-IV断面図である。
第二実施形態は、
図3Cに示す態様の拡径部20を備え、後述する波返し部70を備えること以外は、第一実施形態にかかる浮体式洋上風力発電装置の基礎構造100と同様に構成される。したがって、以下の説明では特に波返し部70について説明し、それ以外の構成については、適宜第一実施形態の説明が参照される。尚、本実施形態において拡径部20は、
図3Cに示す態様以外の態様に適宜変更することができる。
【0047】
本実施形態では、拡径部20の拡径先端22を通り浮体10の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線60としたとき、拡径部20の表面であって基準線60より上側に位置する拡径部上面24には波返し部70が設けられている。
【0048】
波返し部70は、拡径部上面24から直接または間接に上方に延在する固定軸74(
図5参照)と、円筒細状であって内部に固定軸74が貫通し軸回転可能な回転部73と、回転部73の側面に取り付けられた第一衝突板71および第二衝突板72と、を有する。
本実施形態では、拡径部上面24の浮体10寄りに設けられ上面が水平な台座76を有し、かかる台座76の上面に固定軸74の下端が固定され支持されている。ただし図示省略する変形例として、固定軸74の下端は拡径部上面24の表面に対し直接に固定されてもよい。
【0049】
第一衝突板71および第二衝突板72は、それぞれ一辺が互いに回転部73の側面において隣接するとともに、上面視(
図5参照)においてV字状となるよう位置決めされて当該側面に固定されている。
【0050】
上記構成を備える波返し部70は、第一衝突板71および/または第二衝突板72に海流が衝突すると、海水の流れ方向を板面に沿って誘導するとともに、回転部73の軸回転を誘因する。これによって、上面視V字状の第一衝突板71および第二衝突板72が回転部73とともに軸回転し、浮体10に向かって流れる海流を緩やかに受け止めつつ、浮体10から離れる方向に誘導することができる。
尚、第一衝突板71および第二衝突板72が回転部73とともに軸回転した際、第一衝突板71の外面(第一衝突板外面71a)および第二衝突板72の外面(第二衝突板外面72a)が浮体10の表面に当たらないよう、回転部73の軸回転の範囲を規制するストッパー(図示省略)を設けてもよい。
【0051】
特に、潮の流れが概ね一定方向であることが把握された海域において浮体式風力発電装置を設営する場合には、波返し部70はさらに優れた効果を発揮しうる。
即ち、
図5に示すとおり潮の流れが概ね紙面矢印方向であることが把握される海域では、上面視において、潮の流れ方向(第一方向)と、浮体10の軸中心と第一衝突板71および第二衝突板72の隣接部(即ちV字の頂点部分)とを結ぶ直線方向(第二方向)と、が略同方向となるよう、波返し部70を設けるとよい。ここで、第一方向と第二方向とが略同方向とは、潮の流れが概ね一定方向の海域において、当該潮の流れのある程度の変化を許容することを意味する。たとえば年間を通じて把握される当該海域の潮の流れの平均的な流れ方向を計測して当該平均的な流れ方向を第一方向とし、当該第一方向と上記第二方向と、が同方向となるよう波返し部70を設けることができる。
かかる態様では、紙面で示す潮の流れ方向から流れてきた海流の少なくとも一部は、第一衝突板外面71aおよび第二衝突板外面72aに衝突し、板面に沿って浮体10から離れる方向に流れの向きが導かれる。その結果、第一衝突板71および第二衝突板72の延長方向において、第一衝突板71の内側の面である第一衝突板内面71bおよび第二衝突板72の内側の面である第二衝突板内面72bが向かい合う領域(波除領域77)は、波高が低い領域となる。したがって、波除領域77に作業船を位置させることによって、当該作業船の揺れを小さくし、作業船と風力発電装置とを行き来する作業員の安全性等を向上させることできる。
【0052】
尚、第一衝突板71および第二衝突板72は、回転部73に固定された状態で、回転部73とともに軸回転するため、潮の流れ方向の変化により波除領域77も軸回転方向に変化しうる。そのため、波除領域77に停泊した船は、海流の方向の変化により変化する波除領域77に収まるよう、停泊位置を適宜調整するとよい。
【0053】
波返し部70の寸法や形状は、風力発電装置の規模や拡径部20の寸法などを加味し、上述する本態様の趣旨に逸脱しない範囲で適宜決定することができる。たとえば、第一衝突板71および第二衝突板72はそれぞれ、高さ1m以上3m以下、幅2m以上5m以下の四辺形の板状体とすることができる。また、第一衝突板71および第二衝突板72の幅寸法は、上面視においてV字の2つの先端がそれぞれ拡径部20の拡径先端22より内側(浮体10側)に収まるよう設計されることが好ましい。第一衝突板71および第二衝突板72の内角θは、たとえば45度以上120度以下の範囲で決定され固定されるとよい。
尚、本実施形態における第一衝突板71および第二衝突板72は、平板な板状体であって面の法線が水平方向となるよう回転部73に取り付けられているが、本実施形態は、図示省略する変形例として、第一衝突板71および第二衝突板72は、非平板の形状であってもよく、また面の法線が水平方向と交差する方向に板状体が傾斜している態様を包含する。上述する非平板の形状とは、たとえば全体が一方方向に緩やかに湾曲する湾曲板状体などが挙げられる。
【0054】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)風車部と前記風車部を支持するタワー部とを備える洋上風力発電装置の基礎構造であって、
前記タワー部に対し直接または間接に連続し前記洋上風力発電装置を支持する中空筒状の浮体と、
前記浮体の上下方向中間部において、当該浮体の外周面において周方向に延在する拡径部が設けられており、
前記拡径部は、前記浮体の外周面から最も離れた箇所である拡径先端から、前記浮体の外周面側である基端側に向けて上下方向において測定される厚みが増大していることを特徴とする浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(2)前記浮体の底面中央部に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された移動防止用長尺部材が設けられており、
前記移動防止用長尺部材の先端近傍が分岐している(1)に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(3)前記浮体の下端部外縁に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された回転防止用長尺部材が複数設けられており、
前記回転防止用長尺部材の先端近傍が分岐している(1)または(2)に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(4)前記浮体の底面中央部に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された移動防止用長尺部材および/または、前記浮体の下端部外縁に直接または間接に取り付けられ、海底に向かって下降するとともに、先端部が前記海底に沿って配置された回転防止用長尺部材が設けられており、
前記移動防止用長尺部材および/または前記回転防止用長尺部材の先端部の所定の箇所と、海面に浮かぶ位置表示体とが、紐状体によって繋がれている(1)から(3)のいずれか一項に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(5)前記拡径部の前記拡径先端を通り前記浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、
前記拡径部の表面において、前記基準線より上側に位置する拡径部上面の面積は、前記基準線より下側に位置する拡径部下面の面積よりも小さい(1)から(4)のいずれか一項に記載の浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(6)前記拡径部の前記拡径先端を通り当該浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、
前記拡径部の表面において、前記基準線より上側に位置する拡径部上面および前記基準線より下側に位置する拡径部下面は、それぞれ外方向に凸の湾曲部分を有し、
前記拡径部上面における前記湾曲部分のR値が、前記拡径部下面における前記湾曲部分のR値よりも小さい(1)から(5)のいずれか一項に記載する浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
(7)前記拡径部の前記拡径先端を通り前記浮体の軸方向に直交する方向に伸長する線を基準線としたとき、前記拡径部の表面であって前記基準線より上側に位置する拡径部上面には波返し部が設けられており、前記波返し部は、前記拡径部上面から直接または間接に上方に延在する固定軸と、円筒細状であって内部に前記固定軸が貫通し軸回転可能な回転部と、前記回転部の側面に取り付けられた第一衝突板および第二衝突板と、を有し、前記第一衝突板および前記第二衝突板は、それぞれの一辺が互いに前記側面において隣接するとともに、上面視においてV字状となるよう位置決めされて前記側面に固定されている(1)から(6)のいずれか一項に記載する浮体式洋上風力発電装置の基礎構造。
【符号の説明】
【0055】
10・・・浮体
12・・・外周面
14・・・底面
16・・・給排水口
20・・・拡径部
22・・・拡径先端
24・・・拡径部上面
26・・・拡径部下面
28・・・上端
30・・・移動防止用長尺部材
31、32、41、42・・・分岐部
34、44・・・先端部
40・・・回転防止用長尺部材
50・・・位置表示体
52・・・紐状体
60・・・基準線
70・・・波返し部
71・・・第一衝突板
71a・・・第一衝突板外面
71b・・・第一衝突板内面
72・・・第二衝突板
72a・・・第二衝突板外面
72b・・・第二衝突板内面
73・・・回転部
74・・・固定軸
75・・・軸補助部
76・・・台座
77・・・波除領域
100・・・基礎構造
110・・・作業ステージ
200・・・洋上風力発電装置
210・・・風車部
220・・・タワー部
230・・・連結部
900・・・海面
910・・・海底
t1、t2・・・厚み
θ・・・内角