IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146017
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/10 20060101AFI20241004BHJP
   B60P 5/00 20060101ALI20241004BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01G19/10 B
B60P5/00
B60P1/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058679
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野里 章吾
(57)【要約】
【課題】車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図る。
【解決手段】ダンプトラック1は、車輪11,12と、車体13と、複数のサスペンション装置14,15と、複数のサスペンション装置14,15に掛かる荷重を検知する荷重センサ16と、荷台17と、を備え、荷台17に取付けられた複数のランプ21と、制御装置23と、を有する。制御装置23は、荷重センサ16によって検知された各サスペンション装置14,15に掛かる荷重に基づいて、積載物3の実重心位置TGを算出し、積載物3の所定の目標重心位置IG、及び、積載物3の実重心位置TGに基づいて、前後方向X及び幅方向Yにおける目標積込み位置LPを算出し、複数のランプ21の点灯パターンを制御して目標積込み位置LPを表示させる。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、車体と、該車輪及び該車体の間に設けられた複数のサスペンション装置と、該複数のサスペンション装置に掛かる荷重を検知する荷重センサと、該車体の上部に配され、積載物を積込みする荷台と、を備えるダンプトラックであって、
前記荷台に取付けられた複数のランプと、該複数のランプを制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記荷重センサによって検知された各サスペンション装置に掛かる荷重に基づいて、前記ダンプトラックの前後方向及び幅方向における積載物の実重心位置を算出し、
前記前後方向及び前記幅方向における積載物の所定の目標重心位置、及び、前記積載物の実重心位置に基づいて、該前後方向及び該幅方向における前記荷台への積載物の目標積込み位置を算出し、
前記複数のランプの点灯パターンを制御して前記前後方向及び前記幅方向における前記荷台への積載物の前記目標積込み位置を表示させることを特徴とするダンプトラック。
【請求項2】
前記複数のランプは、前記荷台の少なくとも一方の側面において前記前後方向に間隔をあけて取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項3】
前記複数のランプは、前記荷台の両側面における前記幅方向外側の面において前記前後方向に間隔をあけて取付けられ、且つ、各側面における該幅方向外側の面に3つ以上取付けられていることを特徴とする請求項2に記載のダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物の目標積込み位置を表示するダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からダンプトラックにおける積載物の積込みに関する発明が知られている。特許文献1は、荷台上の積載物の積載荷重を前側サスペンションシリンダ及び後側サスペンションシリンダにそれぞれ設けられた圧力センサから得た各サスペンションシリンダの圧力に基づいて算出する作業機械の荷重計測装置を開示している。
【0003】
特許文献2は、各サスペンションシリンダの圧力に基づいて、積込み時の車体の重心位置及び積込物質量を算出し、実際の重心位置と均等時の重心位置のずれ量、及び、積込物質量に基づいて、積込物が前後方向において均等に積込みされるように次の積込み位置を指示するダンプトラックの積込み位置指示装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-212055号公報
【特許文献2】特開平02-006717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダンプトラックには、ダンプトラックの前後方向及び幅方向において、車体全体に掛かる荷重の均衡が保たれる理想的な積載物の重心位置(以下、理想重心位置ともいう)が存在する。理想重心位置に積載物が積込まれたダンプトラックは、車体に掛かる積載荷重の偏りが最小限となる。これにより、理想重心位置に積載物が積込まれたダンプトラックにおいては、ダンプトラックの各部品に均等に積載荷重を負担させることができるので、積載荷重を負担する部品の長寿命化、又は、積載荷重を負担する部品間における摩耗の偏りの低減化が期待できる。
【0006】
特許文献1に開示された作業機械の荷重計測装置には、積載物の積込み位置を表示することについて検討されていない。また、特許文献2に開示されたダンプトラックの積込み位置指示装置には、幅方向における積込み位置を表示することについて何ら考慮されていない。更に、特許文献2に開示されたダンプトラックの積込み位置指示装置には、前後方向においても、積載物を均等に積込むことに留まり、積載物の理想重心位置について考慮されておらず、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させる点において、積載物の目標積込み位置を表示するダンプトラックとして改善の余地がある。
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明は、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図ることが可能なダンプトラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のダンプトラックは、車輪と、車体と、該車輪及び該車体の間に設けられた複数のサスペンション装置と、該複数のサスペンション装置に掛かる荷重を検知する荷重センサと、該車体の上部に配され、積載物を積込みする荷台と、を備えるダンプトラックであって、前記荷台に取付けられた複数のランプと、該複数のランプを制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記荷重センサによって検知された各サスペンション装置に掛かる荷重に基づいて、前記ダンプトラックの前後方向及び幅方向における積載物の実重心位置を算出し、前記前後方向及び前記幅方向における積載物の所定の目標重心位置、及び、前記積載物の実重心位置に基づいて、該前後方向及び該幅方向における前記荷台への積載物の目標積込み位置を算出し、前記複数のランプの点灯パターンを制御して前記前後方向及び前記幅方向における前記荷台への積載物の前記目標積込み位置を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図ることが可能なダンプトラックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本実施形態に係るダンプトラックの概略構成を示す側面図。
図1B】本実施形態に係るダンプトラックの概略構成を示す背面図。
図1C】本実施形態に係るダンプトラックの概略構成を示す平面図。
図2】本実施形態に係るダンプトラックが備える目標積込み位置表示装置の概略構成を示す図。
図3】本実施形態に係るダンプトラックが備える目標積込み位置表示装置の制御装置による積込みに関する処理動作の一例を示すフローチャート。
図4】本実施形態に係るダンプトラックと積込機との位置関係を示す図。
図5】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示方法に関する説明を示す図。
図6A】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、初回の積込み状態を示す図。
図6B】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、二回目の積込み状態を示す図。
図6C】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、三回目の積込み状態を示す図。
図6D】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、四回目の積込み状態を示す図。
図6E】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、五回目の積込み状態を示す図。
図6F】本実施形態に係るダンプトラックにおける目標積込み位置の表示及び当該表示に則った積込み工程のうち、積込み完了状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0012】
図1Aは、本実施形態に係るダンプトラック1の概略構成を示す側面図である。図1Bは、本実施形態に係るダンプトラック1の概略構成を示す背面図である。図1Cは、本実施形態に係るダンプトラック1の概略構成を示す平面図である。
【0013】
本実施形態に係るダンプトラック1は、たとえば、鉱山の採掘オペレーションに使用されるリジッドダンプトラックである。また、以下の説明では、前後方向X及び幅方向Yは、ダンプトラック1を基準とし、前後左右上下の位置は、ダンプトラック1の前方向を基準とする。
【0014】
ダンプトラック1は、図1Aに示すように、車輪11,12と、車体13と、サスペンション装置14,15と、荷台17と、キャビン18と、を備える。
【0015】
車輪11,12は、前側の左右の車輪である前輪11と、後側の左右の車輪である後輪12と、からなる。車輪11,12は、それぞれ車体13を挟んで左右で一対となっている。車輪11,12は、車体13と連結されている。また、車輪11,12及び車体13の間には、複数のサスペンション装置14,15が設けられている。
【0016】
車体13は、頑丈なフレームである。車体13の上部には、荷台17が配されている。車体13の前輪11側上部には、キャビン18が設けられている。
【0017】
サスペンション装置14,15は、車体13及び荷台17などを支持するとともに、走行時に路面から受ける振動を吸収して車体13への衝撃を緩和する。サスペンション装置14,15は、前側サスペンション装置14と、後側サスペンション装置15と、からなる。
【0018】
前側サスペンション装置14は、左側の前輪11及び車体13の間に設けられた左前側サスペンション装置14lと、右側の前輪11及び車体13の間に設けられた右前側サスペンション装置14rと、を有する。
【0019】
後側サスペンション装置15は、左側の後輪12及び車体13の間に設けられた左後側サスペンション装置15lと、右側の後輪12及び車体13の間に設けられた右後側サスペンション装置15rと、を有する。
【0020】
サスペンション装置14,15には、サスペンション装置14,15を構成する不図示のサスペンションシリンダ内におけるたとえば油圧の圧力を検出する圧力センサ16(図2参照)が取り付けられている。圧力センサ16は、左前側サスペンション装置14lに取り付けられた左前圧力センサ16aと,右前側サスペンション装置14rに取り付けられた右前圧力センサ16bと、左後側サスペンション装置15lに取り付けられた左後圧力センサ16cと、右後側サスペンション装置15rに取り付けられた右後圧力センサ16dと、を有する。圧力センサ16aないし16dの油圧の圧力から、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重を検知することができる。換言すれば圧力センサ16aないし16dは、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重を検知する荷重センサ16として機能する。圧力センサ16aないし16dは、検出したサスペンションシリンダ内における油圧の圧力の情報を後述する制御装置23に送信する。
【0021】
荷台17は、荷台17のジョイント部17a及び車体13のジョイント部13aが重なるリンク位置19において車体13と連結される。荷台17は、車体13の中央から後輪12側の上部にわたって配され、土砂、砕石及び鉱物資源などの積載物を積込む本体部17bと、車体13の前輪11側上部に配され、キャビン18への積載物の落下を防止するフード部17cと、を有している。本体部17bは、上部が開口した箱型の形状を有している。本体部17bの底面は、図1Aに示すように、前後方向Xにおいて、後輪12側から前輪11側に向かって漸次高さが低くなるように傾斜している。
【0022】
キャビン18は、車体13の前輪11側上部に設けられている。キャビン18の上部には、フード部17cが配されている。キャビン18内には、後述する制御装置23が配されている。また、キャビン18内には、車体13の傾斜状態を検知し、検知した傾斜状態の情報を後述する制御装置23に送信する不図示の傾斜センサが取り付けられていてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態に係るダンプトラック1が備える目標積込み位置表示装置2の概略構成を示す図である。
【0024】
ダンプトラック1が備える目標積込み位置表示装置2は、図2に示すように、ランプ21と、積載荷重表示装置22と、制御装置23と、を有する。
【0025】
ランプ21は、制御装置23の制御指令に基づいて、点灯又は点滅する照明装置である。ランプ21は、荷台17に取付けられている。本実施形態では、複数のランプ21が、荷台17における本体部17bの幅方向Yに並列されている両側面のうち少なくとも一方の側面における幅方向Y外側の面に取付けられている。好ましくは、複数のランプ21は、両側面における幅方向Y外側の面において前後方向Xに間隔をあけて取付けられ、且つ、各側面における幅方向Y外側の面に3つ以上取付けられている。複数のランプ21は、たとえば、図1A及び図1Cに示すように、本体部17bの一方(左側)の側面における幅方向Y外側の面において前後方向Xに一定の間隔をあけて3つ、他方(右側)の側面における幅方向Y外側の面において前後方向Xに一定の間隔をあけて3つ、合計6つ取付けられている。ランプ21どうしの間隔としては、各ランプ21が識別可能であれば、特に制限はない。
【0026】
ランプ21は、荷台17の本体部17bにおいて、両側面における幅方向Y外側の面に埋め込まれた状態で取付けられてもよく、両側面における幅方向Y外側の面から突出した状態で取付けられてもよい。ランプ21は、本体部17bにおいて、両側面における幅方向Y外側の面から突出した状態で取付けられる場合、突出している部分を保護カバーによって覆われていることが好ましい。
【0027】
ランプ21は、図1Aに示すように制御装置23に接続されている。具体的には、ランプ21から制御装置23までの接続線は、荷台17内において本体部17bに取付けられたランプ21のうち、リンク位置19に一番近いランプ21からリンク位置19まで延び、次いで荷台17側からリンク位置19を通って車体13側に移り、次いで車体13内を前輪11側に向けて延び、次いで前輪11側上部にキャビン18が設けられている位置において車体13からキャビン18内に配された制御装置23に向けて延びている。ランプ21どうしについては、リンク位置19に一番近いランプ21からその他のランプ21に向けて接続線が延びている。なお、ランプ21は、制御装置23と情報通信可能に接続されてもよい。
【0028】
ランプ21は、複数の点灯及び点滅パターンで点消灯動作を行うように構成されている。本実施形態では、ランプ21は、制御装置23の制御指令に基づいて、3種類以上の点灯及び点滅パターンで点灯又は点滅し、前後方向X及び幅方向Yにおける荷台17への積載物3の目標積込み位置LPを表示する。なお、3種類以上の点灯及び点滅パターンとしては、点灯及び点滅の仕方の他、点灯及び点滅する色も含まれる。3種類以上の点灯及び点滅パターンを有するランプ21としては、たとえば、前後方向Xにおいて2色に分かれて、点灯又は点滅するコンビネーションランプなどが考えられる。
【0029】
ランプ21は、荷台17における本体部17bの両側面に取付けられたものを補助するための補助ランプ21aを含んでいてもよい。補助ランプ21aは、荷台17におけるフード部17c上の先端に、幅方向Yに間隔をあけて3つ取付けられている。補助ランプ21aは、制御装置23の制御指令に基づいて、点灯する照明装置である。補助ランプ21aは、制御装置23の制御指令に基づいて、目標積込み位置LPのうち幅方向Yに関して表示する。
【0030】
積載荷重表示装置22は、制御装置23によって算出された積載物3の積載荷重を表示する。積載荷重表示装置22は、キャビン18近傍において、ダンプトラック1の両側面に積載荷重が視認可能な状態で配置されており、制御装置23と接続線で接続されている。
【0031】
制御装置23は、CPUなどのプロセッサ及びメモリなどを備えて構成されている。制御装置23は、圧力センサ16などのセンサに接続され、各センサから検出結果が送信される。制御装置23は、各センサからの検出結果に基づき、メモリに記憶されたプログラムをCPUによって実行することによって、ランプ21及び積載荷重表示装置22の動作を制御する。
【0032】
制御装置23は、目標積込み位置LPを算出する場合に、目標積込み位置表示装置2のメモリに予め記憶されている荷台17上の目標重心位置IGを呼び出す。目標重心位置IGは、ダンプトラック1の設計仕様から存在する理想的な積載物3の重心位置に近づけるための目標となる位置である。
【0033】
制御装置23は、荷台17への積載物3の積込み時に、圧力センサ16aないし16dによって検知された各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重、及び、ダンプトラック1における荷台17の寸法に基づいて、荷台17上の実際の重心位置TG(以下、積載物3の実重心位置TGともいい、単に実重心位置TGともいう)を算出する。
【0034】
制御装置23は、目標重心位置IGと実重心位置TGに基づいて、目標積込み位置LPを算出する。目標積込み位置LPは、目標重心位置IGと実重心位置TGの差分に基づいて算出される。具体的には、目標積込み位置LPは、前後方向Xにおける目標重心位置IGと実重心位置TGの差分D1(図1A参照)、及び、幅方向Yにおける目標重心位置IGと実重心位置TGの差分D2(図1B参照)に基づいて算出される。なお、目標積込み位置LPは、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて算出された、他の位置に比べて荷台17に掛かる荷重が小さい位置とも言える。
【0035】
制御装置23は、複数のランプ21の点灯パターンを制御して前後方向X及び幅方向Yにおける目標積込み位置LPを表示させる。制御装置23は、複数のランプ21の点灯パターンを制御して前後方向X及び幅方向Yにおける目標積込み位置LPを表示させるとともに、補助ランプ21aを制御して目標積込み位置LPの表示を補助させてもよい。
【0036】
制御装置23は、荷台17への積載物3の積込み時に、各圧力センサ16aないし16dによって検知された各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、積載荷重を算出する。また、制御装置23は、積載荷重を算出する場合に、キャビン18内に取り付けられた不図示の傾斜センサから受信する傾斜状態の情報である車体の傾斜角度を用いてもよい。制御装置23は、算出した積載荷重を表示するよう積載荷重表示装置22を制御する。
【0037】
図3は、本実施形態に係るダンプトラック1が備える目標積込み位置表示装置2の制御装置23による積込みに関する処理動作の一例を示すフローチャートである。図3に示す動作例では、荷台17に積載物3が積込まれたことにより開始される。
【0038】
制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rにおけるサスペンションシリンダ内の油圧の圧力を、各圧力センサ16aないし16dから受信する(ステップS1)。
【0039】
制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rにおけるサスペンションシリンダ内の油圧の圧力、及び、サスペンションシリンダの断面積を乗じることによって、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重を算出する(ステップS2)。
【0040】
制御装置23は、ステップS2において算出した、左前側サスペンション装置14lに掛かる荷重と,右前側サスペンション装置14rに掛かる荷重と,左後側サスペンション装置15lに掛かる荷重と,右後側サスペンション装置15rに掛かる荷重と、を加算する。これによって、制御装置23は、サスペンション装置14l,14r,15l,15r上の全荷重を算出する(ステップS3)。
【0041】
制御装置23は、サスペンション装置14l,14r,15l,15r上の全荷重から、車体13及びキャビン18などのサスペンション装置14l,14r,15l,15rによって支持されている荷台17以外の部位の重量を減算することによって、積載荷重を算出する(ステップS4)。
【0042】
制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重から車体13の前後左右における荷重比を算出し、当該荷重比及びダンプトラック1における荷台17の寸法に基づいて、積載物3の実重心位置TGを算出する(ステップS5)。
【0043】
制御装置23は、ステップS4において算出した積載荷重が定格積載荷重に達しているか否かを判定する(ステップS6)。なお、定格積載荷重とは、予め製造業者によって指定された、機械が積載可能な荷重のことである。制御装置23は、積載荷重が定格積載荷重に達している場合に(ステップS6でYes)、複数のランプ21の点灯パターンを制御して積込み完了を表示させる(ステップS10)。
【0044】
制御装置23は、積載荷重が定格積載荷重に達していない場合に(ステップS6でNo)、目標積込み位置表示装置2のメモリに予め記憶されている積載物3の目標重心位置IGを呼び出す(ステップS7)。
【0045】
制御装置23は、積載物3の目標重心位置IG及び積載物3の実重心位置TGに基づいて、荷台17への積載物3の目標積込み位置LPを算出し(ステップS8)、複数のランプ21の点灯パターンを制御して荷台17への積載物3の目標積込み位置LPを表示させる(ステップS9)。
【0046】
複数のランプ21の点灯パターンによって表示された目標積込み位置LPを、積込機4(図4参照)の搭乗者が視て認識することによって、目標積込み位置LPを目標として、積込機4から荷台17に積載物3が積込まれる。制御装置23は、ステップS1からステップS5及びステップS7からステップS9の処理を、積載荷重が定格積載荷重に達するまで繰り返す。
【0047】
以下、荷台17への積載物3の目標積込み位置LPの表示について図4及び5を用いて説明する。図4は、本実施形態に係るダンプトラック1と積込機4との位置関係の例を示す図である。
【0048】
積込機4は、たとえば、上部旋回体と、下部走行体と、ブーム、アーム、及び、バケットからなる作業装置41と、搭乗者が着席する運転席を有するキャブ42と、を備えた油圧ショベルである。なお、積込機4は、油圧ショベルに限定されず、たとえば、ホイールローダやクレーンなどの積込みが可能な作業機械であってもよい。
【0049】
図4に示すように、ダンプトラック1に対する積込機4の位置は、種々の場合がある。たとえば、ダンプトラック1は、荷台17の側面が積込機4に対向するように停車される場合(符号4又は4aの位置)と、荷台17の後方が積込機4に対向するように停車される場合(符号4b)とが考えられる。本実施形態においては、種々の位置に積込機4が配置される場合でも、できるだけ多くのランプ21が積込機4のキャブ42から視認できるように取付けられていることが好ましい。また、ダンプトラック1は、図4においては、荷台17の左側面が積込機4に対向するように停車されているが、荷台17の右側面が積込機4に対向するように停車されてもよい。
【0050】
目標積込み位置表示装置2は、基本的に、制御装置23が、荷台17における本体部17bの両側面に取付けられた複数のランプ21を制御して目標積込み位置LPなどを表示させる。目標積込み位置表示装置2は、ダンプトラック1の左右どちらの側面に積込機4が位置しているかに合わせてランプ21の表示方法などを調整してもよい。たとえば、目標積込み位置表示装置2は、ダンプトラック1の左側の側面に積込機4が位置している場合に、制御装置23が、荷台17における本体部17bの左側の側面に取付けられたランプ21を制御して目標積込み位置LPなどを表示させるとともに、誤認識を防止する観点から本体部17bの右側の側面に取付けられたランプ21を制御して表示を停止させてもよい。逆に、目標積込み位置表示装置2は、ダンプトラック1の右側の側面に積込機4が位置している場合に、制御装置23が、本体部17bの右側の側面に取付けられたランプ21を制御して目標積込み位置LPなどを表示させるとともに、本体部17bの左側の側面に取付けられたランプ21を制御して表示を停止させてもよい。
【0051】
図5は、本実施形態に係るダンプトラック1の荷台17における目標積込み位置LPの表示方法に関する説明を示す図である。なお、図5以降の説明において、積込機4は、ダンプトラック1の左側に位置している。
【0052】
ダンプトラック1の荷台17における目標積込み位置LPとしては、たとえば、荷台17における本体部17bの前後方向Xを前方領域XF、中央領域XM、及び、後方領域XRの3領域に区画し、荷台17における本体部17bの幅方向Yを左方領域YL、中間領域YM、及び、右方領域YRの3領域に区画することが考えられる。これにより、目標積込み位置LPとしては、前後方向Xを3領域に区画し、幅方向Yを3領域に区画することで、図5に示すように、9区画に分けられる。当該9区画に分けられた目標積込み位置LPは、積込機4が一回の積込みを完了させた時の荷台17における本体部17b上の理想的な積込み位置である。
【0053】
以下、説明のために、9区画に分けられた目標積込み位置LPを、図5に示すように、区画A1ないしA9と呼ぶ。区画A1ないしA9は、以下の通りに区画される。また、ダンプトラック1においては、目標重心位置IGが区画A5内に存在する。
区画A1…前後方向Xの前方領域XF、及び、幅方向Yの右方領域YRによって区画
区画A2…前後方向Xの中央領域XM、及び、幅方向Yの右方領域YRによって区画
区画A3…前後方向Xの後方領域XR、及び、幅方向Yの右方領域YRによって区画
区画A4…前後方向Xの前方領域XF、及び、幅方向Yの中間領域YMによって区画
区画A5…前後方向Xの中央領域XM、及び、幅方向Yの中間領域YMによって区画
区画A6…前後方向Xの後方領域XR、及び、幅方向Yの中間領域YMによって区画
区画A7…前後方向Xの前方領域XF、及び、幅方向Yの左方領域YLによって区画
区画A8…前後方向Xの中央領域XM、及び、幅方向Yの左方領域YLによって区画
区画A9…前後方向Xの後方領域XR、及び、幅方向Yの左方領域YLによって区画
【0054】
以下の目標積込み位置LPの表示については、ランプ21として前後方向Xにおいて2色に分かれて点灯又は点滅するコンビネーションランプを用いて説明する。コンビネーションランプ21は、前後方向Xにおいて前輪11側が第1ランプ212であり、後輪12側が第2ランプ213である。
【0055】
たとえば、目標積込み位置LPとして前後方向Xを3領域に区画する場合に、コンビネーションランプ21は、各領域XF,XM,XR内に一つずつ取付けられる。これにより、たとえば、コンビネーションランプ21は、前後方向Xの3領域のうち、コンビネーションランプ21が点灯した領域が前後方向Xにおける目標積込み位置LPであることを積込機4の搭乗者に認識させる。
【0056】
すなわち、前後方向Xにおける目標積込み位置LPは、各領域XF,XM,XR内に1つずつ取付けられたコンビネーションランプ21のうち、何れか1つのコンビネーションランプ21が点灯されることで表示される。具体的には、前後方向Xにおける前方領域XFを目標積込み位置LPとする場合は、前方領域XF内に取付けられたコンビネーションランプ21が点灯される。前後方向Xにおける中央領域XMを目標積込み位置LPとする場合は、中央領域XM内に取付けられたコンビネーションランプ21が点灯される。前後方向Xにおける後方領域XRを目標積込み位置LPとする場合は、後方領域XR内に取付けられたコンビネーションランプ21が点灯される。
【0057】
また、たとえば、荷台17における本体部17bの左側の側面に取付けられたコンビネーションランプ21は、第1ランプ212が黄色に発光し、第2ランプ213が赤色に発光することにより、第1ランプ212及び第2ランプ213が識別可能となっている。これにより、たとえば、本体部17bの左側の側面に取付けられたコンビネーションランプ21は、第1ランプ212が点灯することによって、黄色に発光し、積込機4から視て幅方向Yにおける手前側の領域が目標積込み位置LPであることを積込機4の搭乗者に認識させる。更に、本体部17bの左側の側面に取付けられたコンビネーションランプ21は、第2ランプ213が点灯することによって、赤色に発光し、積込機4から視て幅方向Yにおける奥側の領域が目標積込み位置LPであることを積込機4の搭乗者に認識させる。更に、本体部17bの左側の側面に取付けられたコンビネーションランプ21は、第1ランプ212及び第2ランプ213が点灯することによって、両色共発光し、積込機4から視て幅方向Yにおける手前側の領域と奥側の領域の中間の領域が目標積込み位置LPであることを積込機4の搭乗者に認識させる。なお、本体部17bの右側の側面に取付けられたコンビネーションランプ21は、第1ランプ212が赤色に発光し、第2ランプ213が黄色に発光することにより、第1ランプ212及び第2ランプ213が識別可能となっている。
【0058】
すなわち、幅方向Yにおける目標積込み位置LPは、各領域YL,YM,YR毎に第1ランプ212点灯、第2ランプ213点灯、又は、第1ランプ212及び第2ランプ213点灯の何れかのパターンによってコンビネーションランプ21が点灯されることで表示される。具体的には、幅方向Yにおける左方領域YLを目標積込み位置LPとする場合は、コンビネーションランプ21の第1ランプ212が点灯される。幅方向Yにおける右方領域YRを目標積込み位置LPとする場合は、コンビネーションランプ21の第2ランプ213が点灯される。幅方向Yにおける中間領域YMを目標積込み位置LPとする場合は、コンビネーションランプ21の第1ランプ212及び第2ランプ213が点灯される。
【0059】
したがって、区画A1ないしA9は、目標積込み位置LPとして、上述のコンビネーションランプ21の前後方向X及び幅方向Yにおける点灯パターンの組合せによって、積込機4の搭乗者に認識可能な形で表示される。目標積込み位置LPの表示例として、たとえば、区画A1は、前方領域XF内に取付けられたコンビネーションランプ21の第2ランプ213が点灯することによって表示される。また、たとえば、区画A5は、中央領域XM内に取付けられたコンビネーションランプ21の第1ランプ212及び第2ランプ213が点灯することによって表示される。また、たとえば、区画A9は、後方領域XR内に取付けられたコンビネーションランプ21における第1ランプ212が点灯することによって表示される。
【0060】
更に、積載荷重が定格積載荷重に達した場合には、たとえば積込機4が位置している側の荷台17に取付けられたコンビネーションランプ21が全て点滅することによって、積込みが完了したことが表示される。
【0061】
図6は、本実施形態に係るダンプトラック1における目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程の一例を示す図である。図6Aは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち初回の積込み状態を示す図、図6Bは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち二回目の積込み状態を示す図、図6Cは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち三回目の積込み状態を示す図、図6Dは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち四回目の積込み状態を示す図、図6Eは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち五回目の積込み状態を示す図、図6Fは、目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程のうち積込み完了状態を示す図である。
【0062】
以下、ダンプトラック1の荷台17における目標積込み位置LPの表示及び当該表示に則った積込み工程の一例を説明する。なお、今回の例において、一回に積込まれる積載物の荷重は、各回とも同じ重さとする。更に、一般的な積込み工程では、三回から五回程度積込みを行うことで積載荷重が定格積載荷重に達するところ、今回の例においては、五回積込みを行うことで積載荷重が定格積載荷重に達するよう、一回に積込まれる積載物の荷重が設定されている。また、図6Aないし図6Fにおいては、説明をわかりやすくするため、各回において積込まれた積載物を太い実線で囲まれた濃い網掛け部分で示し、前回までに積込まれた積載物を細い実線で囲まれた淡い網掛け部分で示している。
【0063】
たとえば、初回の積込みが、図6Aに示された目標重心位置IGが存在する区画A5を目標に行われる場合について説明する。この場合、荷台17の本体部17bの底面が、前後方向Xにおいて、後輪12側から前輪11側に向かって漸次高さが低くなっていることから、区画A5に積込まれた積載物3は、高さが最も低くなっている前方領域XFに全て流れていく。また、積込機4の仕様上、積込み時において目標の位置よりも手前の位置から積込みが開始されることから、区画A5を目標に積込まれる積載物3は、区画A8にも積込みがされ、且つ、区画A8よりも高さが低い区画A7に全て流れていく。この結果、初回の積込みによって積込まれた積載物3は、区画A7に一番多く存在し、次いで区画A4、区画A1の順に存在する。なお、区画A5の近傍である区画A4を目標として初回の積込みが行われる場合も同様の結果となる。初回の積込みがされたことによって、制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、初回の積込みによる実重心位置TGを算出する。初回の積込みによる実重心位置TGは、図6Aに示すように、区画A7内に存在する。制御装置23は、目標重心位置IG及び区画A7内に存在する実重心位置TGの差分に基づいて、目標重心位置IGで実重心位置TGとの荷重のつり合いが取れる位置として区画A3内の目標積込み位置LPを算出する。制御装置23は、後方領域XR内に取付けられたコンビネーションランプ21の第2ランプ213を点灯させることによって、二回目の目標積込み位置LPとして、区画A3を表示させる。
【0064】
二回目の積込みは、図6Aに示すように、区画A3を目標に行われる。この場合、荷台17の本体部17bの底面が、前後方向Xにおいて、後輪12側から前輪11側に向かって漸次高さが低くなっていることから、区画A3に積込まれた積載物3は、図6Bに示すように、区画A3の中央付近から前輪11側に向かって広がり、区画A1における初回の積込み部分と接するまで広がる。また、積込機4の仕様上、積込み時において目標の位置よりも手前の位置から積込みが開始されることから、区画A3を目標に積込まれる積載物3は、区画A6にも積込みがされ、且つ、区画A6よりも高さが低い区画A4における初回の積込み部分と接するまで広がる。二回目の積込みがされたことによって、制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、二回目の積込みによる実重心位置TGを算出する。二回目の積込みによる実重心位置TGは、図6Bに示すように、区画A1内に存在する。制御装置23は、目標重心位置IG及び区画A1内に存在する実重心位置TGの差分に基づいて、目標重心位置IGで実重心位置TGとの荷重のつり合いが取れる位置として区画A8内の目標積込み位置LPを算出する。制御装置23は、中央領域XM内に取付けられたコンビネーションランプ21の第1ランプ212を点灯させることによって、三回目の目標積込み位置LPとして、区画A8を表示させる。
【0065】
三回目の積込みは、図6Bに示すように、区画A8を目標に行われる。この場合、荷台17の本体部17bの底面が、前後方向Xにおいて、後輪12側から前輪11側に向かって漸次高さが低くなっていることから、区画A8に積込まれた積載物3は、図6Cに示すように、区画A8よりも高さが低い区画A4及び区画A7における積込み高さが低い部分を埋めるように広がる。また、区画A8に積込まれた積載物3は、区画A5における二回目の積込み部分に覆いかぶさるように広がる。また、区画A8に積込まれた積載物3は、区画A6及び区画A9における区画A8に積込まれた積載物3よりも高さが低い部分まで広がる。三回目の積込みがされたことによって、制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、三回目の積込みによる実重心位置TGを算出する。三回目の積込みによる実重心位置TGは、図6Cに示すように、区画A5内に存在する。制御装置23は、目標重心位置IG及び区画A5内に存在する実重心位置TGの差分に基づいて、目標重心位置IGで実重心位置TGとの荷重のつり合いが取れる位置として区画A4内の目標積込み位置LPを算出する。制御装置23は、前方領域XF内に取付けられたコンビネーションランプ21の第1ランプ212及び第2ランプ213を点灯させることによって、四回目の目標積込み位置LPとして、区画A4を表示させる。
【0066】
四回目の積込みは、図6Cに示すように、区画A4を目標に行われる。この場合、区画A4に積込まれた積載物3は、図6Dに示すように、区画A4における既に積込まれた部分の上から積込み高さが低い区画A1、区画A2、及び、区画A5における既に積込まれた部分の上に広がる。また、積込機4の仕様上、積込み時において目標の位置よりも手前の位置から積込みが開始されることから、区画A4を目標に積込まれる積載物3は、A7の既に積込まれた部分の上にも積込まれる。四回目の積込みがされたことによって、制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、四回目の積込みによる実重心位置TGを算出する。四回目の積込みによる実重心位置TGは、図6Dに示すように、区画A4内に存在する。制御装置23は、目標重心位置IG及び区画A4内に存在する実重心位置TGの差分に基づいて、目標重心位置IGで実重心位置TGとの荷重のつり合いが取れる位置として区画A5内の目標積込み位置LPを算出する。制御装置23は、中央領域XM内に取付けられたコンビネーションランプ21の第1ランプ212及び第2ランプ213を点灯させることによって、五回目の目標積込み位置LPとして、区画A5を表示させる。
【0067】
五回目の積込みは、図6Dに示すように、区画A5を目標に行われる。この場合、目標重心位置IGと実重心位置TGに基づいて積載物3が積込まれている関係上、目標重心位置IGと実重心位置TGは、近似する。これに伴って、目標重心位置IG付近は、複数回積込まれるので、目標重心位置IG付近が山なりになる。これにより、区画A5に積込まれた積載物3は、図6Eに示すように、区画A3,区画A6、及び、区画A9における区画A5に積込まれた積載物3よりも高さが低い部分に向かって広がる。これにより、区画A5に積込まれた積載物3は、未積載部分がある区画A6に向かって主に広がりながら、中央領域XM及び後方領域XRおいてに満遍なく広がる。五回目の積込みがされたことによって、制御装置23は、各サスペンション装置14l,14r,15l,15rに掛かる荷重に基づいて、五回目の積込みによる実重心位置TGを算出する。五回目の積込みによる実重心位置TGは、図6Eに示すように、区画A5内に存在する。
【0068】
以上の目標積込み位置LPに則った積込みを行った場合に、図6Aないし図6Eに示すように、目標重心位置IGと実重心位置TGがだんだんと近似していくことが分かる。
【0069】
また、五回積込みが行われたことによって、積載荷重が定格積載荷重に達した結果、制御装置23は、図6Fに示すように、積込機4が位置している側の荷台17に取付けられた全てのコンビネーションランプ21の第1ランプ212及び第2ランプ213を点滅させることによって、積込みが完了したことを表示させる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るダンプトラック1は、車輪11,12と、車体13と、車輪11,12及び車体13の間に設けられた複数のサスペンション装置14,15と、複数のサスペンション装置14,15に掛かる荷重を検知する荷重センサ16と、車体13の上部に配され、積載物3を積込みする荷台17と、を備える。本実施形態に係るダンプトラック1は、荷台17に取付けられた複数のランプ21と、複数のランプ21を制御する制御装置23と、を有する。本実施形態に係るダンプトラック1は、制御装置23が、荷重センサ16によって検知された各サスペンション装置14,15に掛かる荷重に基づいて、ダンプトラック1の前後方向X及び幅方向Yにおける積載物3の実重心位置TGを算出する。本実施形態に係るダンプトラック1は、制御装置23が、前後方向X及び幅方向Yにおける積載物3の所定の目標重心位置IG、及び、積載物3の実重心位置TGに基づいて、前後方向X及び幅方向Yにおける荷台17への積載物3の目標積込み位置LPを算出する。本実施形態に係るダンプトラック1は、制御装置23が、複数のランプ21の点灯パターンを制御して前後方向X及び幅方向Yにおける荷台17への積載物3の目標積込み位置LPを表示させる。
【0071】
この構成によって、本実施形態に係るダンプトラック1は、積込機4の搭乗者に、目標積込み位置LPに則って荷台17へ積載物3を積込ませることができる。したがって、本実施形態に係るダンプトラック1は、前後方向X及び幅方向Yにおける実重心位置TGを目標重心位置IGに近似させていくことができる。これにより、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、荷台17上における積載荷重の偏りが目標重心位置IGに合わせて適正化されていくので、車体13に掛かる積載荷重の偏りを減らすことができる。この結果、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、ダンプトラック1の各部品に均等に積載荷重を負担させることができる。よって、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図ることが可能なダンプトラックの積込み位置表示装置を提供することができる。
【0072】
更に、本実施形態に係るダンプトラック1は、複数のランプ21が、荷台17の少なくとも一方の側面において前後方向Xに間隔をあけて取付けられている。
【0073】
この構成によって、本実施形態に係るダンプトラック1は、目標積込み位置LPを積込機4の搭乗者に認識させることが容易となる。したがって、本実施形態に係るダンプトラック1は、積込機4の搭乗者に、目標積込み位置LPに則って荷台17へ積載物3を積込ませることが容易となる。これにより、本実施形態に係るダンプトラック1は、前後方向X及び幅方向Yにおける実重心位置TGを目標重心位置IGに近似させていくことが容易となる。この結果、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、荷台17上における積載荷重の偏りが目標重心位置IGに合わせて更に適正化されていくので、車体13に掛かる積載荷重の偏りを減らすことができる。よって、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図ることが可能なダンプトラックの積込み位置表示装置を提供することができる。
【0074】
更に、本実施形態に係るダンプトラック1は、複数のランプ21が、荷台17の両側面における幅方向Y外側の面において前後方向Xに間隔をあけて取付けられ、且つ、各側面における幅方向Y外側の面に3つ以上取付けられている。
【0075】
この構成によって、本実施形態に係るダンプトラック1は、積込機4がダンプトラック1の左右どちらの側面に位置していても、目標積込み位置LPを積込機4の搭乗者に認識させることが容易となる。したがって、本実施形態に係るダンプトラック1は、積込機4の搭乗者に、目標積込み位置LPに則って荷台17へ積載物3を積込ませることが更に容易となる。これにより、本実施形態に係るダンプトラック1は、前後方向X及び幅方向Yにおける実重心位置TGを目標重心位置IGに近似させていくことが更に容易となる。この結果、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、荷台17上における積載荷重の偏りが目標重心位置IGに合わせて更に適正化されていくので、車体13に掛かる積載荷重の偏りを減らすことができる。よって、本実施形態に係るダンプトラック1によれば、車体に掛かる積載荷重の偏りを減少させることにより、積載荷重を負担する部品の長寿命化又は部品間における摩耗の偏りの低減化を図ることが可能なダンプトラックの積込み位置表示装置を提供することができる。
【0076】
また、本実施形態に係るダンプトラック1は、荷台17におけるフード部17c上の先端に、幅方向Yに間隔をあけて複数の補助ランプ21aが取付けられていてもよい。
【0077】
これによって、積込機4の搭乗者は、目標積込み位置LPの前後方向Xにおける位置について、荷台17の側面に取付けられたランプ21の点灯位置を視るだけで認識可能となり、目標積込み位置LPの幅方向Yにおける位置について、荷台17のフード部17c上の先端に取付けられた補助ランプ21aの点灯位置を視るだけで認識可能となる。これにより、本実施形態に係るダンプトラック1は、積込機4の搭乗者が、目標積込み位置LPを更に容易に認識することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0079】
1…ダンプトラック、2…目標積込み位置表示装置、3…積載物、11…前輪、12…後輪、13…車体、14…前側サスペンション装置、15…後側サスペンション装置、16…圧力センサ、17…荷台、21…ランプ、23…制御装置、X…前後方向、Y…幅方向、IG…目標重心位置、TG…実重心位置、LP…荷台への積載物の目標積込み位置
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F