(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146027
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンクリート養生管理装置、コンクリート養生管理方法およびコンクリート養生管理プログラム
(51)【国際特許分類】
B28B 11/24 20060101AFI20241004BHJP
C04B 40/04 20060101ALI20241004BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20241004BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20241004BHJP
G01N 21/47 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B40/04
G01N21/17 B
E04G21/02 104
E04G21/02 ESW
G01N21/47 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058690
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(71)【出願人】
【識別番号】000223285
【氏名又は名称】ユアサ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田貴之
(72)【発明者】
【氏名】北田昂大
【テーマコード(参考)】
2E172
2G059
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172EA00
2E172HA03
2G059AA05
2G059BB08
2G059CC09
2G059EE02
2G059GG01
2G059MM01
2G059MM05
4G055AA01
4G055BA02
4G112RD00
(57)【要約】
【課題】コンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理すること。
【解決手段】コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理装置であって、打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得部と、取得した平面位置情報に基づいて、打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得部と、散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得部と、センサデータに基づいて、散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定部と、水膜判定部における判定結果に基づいて散水区画に対する散水を制御する散水制御部と、を備えた。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理装置であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得部と、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得部と、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得部と、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定部と、
前記水膜判定部における判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御部と、
を備えたコンクリート養生管理装置。
【請求項2】
前記反射強度をデータに応じて少なくとも2つの高低区分に区分けし、前記センサデータが、前記少なくとも2つの区分のいずれかに属するかを決定する区分決定部と、
前記少なくとも2つの高低区分のそれぞれに属する前記センサデータの数をカウントするカウント部と、
カウントされた前記センサデータの数のそれぞれに、属する高低区分に応じた重み付け係数を乗じて得られる値を前記散水区画において取得された前記センサデータの数で除することにより評価値を算出する評価値算出部と、
を備え、
前記水膜判定部は、前記評価値と所定基準値とを比較して、前記散水区画における水膜の有無を判定する請求項1に記載のコンクリート養生管理装置。
【請求項3】
前記区分決定部は、前記反射強度データに応じて前記センサデータが、第1区分、第2区分または第3区分に属するかを決定し、
すべて水膜で覆われている場合の反射強度に対するセンサデータの反射強度率が、前記第1区分は50%以上100%まで、前記第2区分は0%より上で50%未満、前記第3区分は0%である請求項2に記載のコンクリート養生管理装置。
【請求項4】
前記レーザセンサは、前記レーザ光の照射エリアにおける水膜の占有面積率が高いほど前記反射強度が高くなるよう設定されている請求項3に記載のコンクリート養生管理装置。
【請求項5】
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理方法であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得ステップと、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得ステップと、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定ステップと、
前記水膜判定ステップにおける判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御ステップと、
を含むコンクリート養生管理方法。
【請求項6】
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理方法であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得ステップと、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得ステップと、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定ステップと、
前記水膜判定ステップにおける判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート養生管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート養生管理装置、コンクリート養生管理方法およびコンクリート養生管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、気温や湿度等のコンクリートの環境条件からコンクリート表面における水分蒸発量を算出し、当該水分蒸発量に応じて散水装置を制御することにより、散水養生を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、コンクリートの環境条件に応じて散水を行うので、コンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート養生管理装置は、
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理装置であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得部と、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得部と、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得部と、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定部と、
前記水膜判定部における判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御部と、
を備えた。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート養生管理方法は、
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理方法であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得ステップと、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得ステップと、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定ステップと、
前記水膜判定ステップにおける判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート養生管理プログラムは、
コンクリートの打設領域において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理するコンクリート養生管理方法であって、
前記打設領域の平面位置情報を取得する平面位置情報取得ステップと、
取得した前記平面位置情報に基づいて、前記打設領域を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画の散水区画位置情報を取得する散水区画位置情報取得ステップと、
前記散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、前記反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得するセンサデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて、前記散水区画における水膜の有無を判定する水膜判定ステップと、
前記水膜判定ステップにおける判定結果に基づいて前記散水区画に対する散水を制御する散水制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置による養生管理の概要を説明するための図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置の構成を説明するブロック図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置におけるセンサデータの取得について説明するための(a)自走式センサの概要図、(b)打設領域の概要図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置が有する反射強度テーブルの一例を説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート養生管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6A】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図6B】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置によるセンサデータの区分けについて説明するための図である。
【
図6C】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置による重み付け係数について説明するための図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置が有する重み付け係数テーブルの一例を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。また、以下の実施形態において「水膜の有無」とは水膜の有無の程度を示す概念であり、「水膜が有る」「水膜有(り)」とは水膜の占有面積率が高く散水が不要な状態を示し、「水膜が無い」「水膜無(し)」とは、水膜の占有面積率が低く散水が必要な状態を示すものである。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の好ましい実施形態としてのコンクリート養生管理装置100について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、コンクリート養生管理装置100による養生管理の概要を説明するための図である。
【0012】
コンクリート養生管理装置100は、コンクリートの打設領域110において、養生中のコンクリート表面の水膜の状態に基づいて、コンクリート養生を管理する装置である。打設後のコンクリートは、水和反応により熱を発生するため、コンクリートの品質を確保する上では、コンクリートを適切に冷却する必要があり、コンクリート表面への散水養生が必要となる。
【0013】
散水作業は、人力で行う場合が多く、コンクリートを冷却して、品質を確保するためには、散水頻度やタイミングの管理を行う必要がある。そのため、例えば、タイマーなどを用いて時間管理して、自動的に散水する方法では、散水サイクルや周辺環境状態などにより、コンクリート表面の湿潤状態を保てないことや、過剰散水となることが想定されるため、この方法では、スラブ面の湿潤状態の管理やコンクリートの温度の管理が難しかった。
【0014】
コンクリート養生管理装置100においては、まず、コンクリートの打設領域110において、コンクリートの表面上を、自走式センサ130を走らせて得られたセンサデータから、コンクリート表面の水膜の有無を判定する。そして、コンクリート養生管理装置100は、水膜が無いと判定された位置に、散水するように、自動散水機120を制御して、散水する。
【0015】
また、コンクリート養生管理装置100は、コンクリートの打設領域110を所定サイズのメッシュで区画した散水区画を単位として、水膜の有無を判定する。コンクリート養生管理装置100は、例えば、水膜が無い散水区画である水膜無散水区画111には、散水するように自動散水機120を制御し、水膜が有る散水区画である水膜有散水区画112には、散水しないように自動散水機120を制御する。
【0016】
そして、自走式センサ130は、コンクリートの打設領域110の全体をセンシングできるように、コンクリートの表面上を移動する。また、打設領域110の表面は、平面となっているが、例えば、階段状に段差があるような表面であっても、傾斜がある表面であってもよい。
【0017】
なお、自走式センサ130を用いる代わりに、例えば、センサを搭載したドローンなどの無人航空機や、コンクリートの表面よりも高い位置に設置され打設領域110の表面を走査可能なセンサを用いることができる。また、打設領域110の上空にワイヤーなどを掛け渡して、これにセンサを吊り下げて移動可能としたものなどを用いてもよい。
【0018】
ここで、自走式センサ130に搭載されているセンサは、レーザ光センサであり、コンクリート表面からのレーザ光の反射強度を計測することができるセンサとなっている。コンクリート表面に水膜が存在する場合には、レーザ光が水膜で反射するので反射強度が高くなり、水膜が存在しない場合には、コンクリート表面でレーザ光が散乱されるので、反射強度が低くなる。コンクリート養生管理装置100は、レーザ光のこのような性質を用いて、コンクリート表面の水膜の有無を判定している。
【0019】
次に、
図2Aを参照して、コンクリート養生管理装置100の構成について説明する。コンクリート養生管理装置100は、平面位置情報取得部201、散水区画位置情報取得部202、センサデータ取得部203、水膜判定部204および散水制御部205を有する。
【0020】
平面位置情報取得部201は、打設領域110の平面位置情報を取得する。平面位置情報は、コンクリートを打設する場所の位置座標であり、例えば、コンクリートの打設計画を立案した段階で決定される位置座標である。コンクリートの打設計画は、例えば、CAD(Computer-Aided Design)などを用いて設計されるデータであり、平面位置情報取得部201は、このようなデータから、打設領域110の平面位置座標を取得する。なお、打設領域110のコンクリート打設計画は、コンクリート養生管理装置100において、設計されてもよい。また、コンクリートの打設領域110の面積は、32[m]×32[m]=1,024[m2]≒1,000[m2]程度が想定されるが、これよりも大きくても、小さくてもよい。
【0021】
散水区画位置情報取得部202は、取得した平面位置情報に基づいて、打設領域110を所定サイズのメッシュで区画して得られる少なくとも1つの散水区画(111,112)の散水区画位置情報を取得する。散水区画は、全て同じメッシュサイズであっても、一部が異なるメッシュサイズであってもよい。また、散水区画は、1つであっても、複数であってもよく、散水区画が複数あった方が、より細かく、コンクリートの養生管理を行える。
【0022】
また、メッシュサイズは、特に限定されず、任意のサイズを選択できるが、メッシュの網目を細かくすればするほど、より精密な養生管理を行うことができる。しかしながら、メッシュサイズを細かくすると、コンクリート養生管理装置100が処理しなければならないデータ量が増える傾向にある。
【0023】
そのため、コンクリート養生管理装置100のデータ処理能力や、打設領域110の面積などに応じたメッシュサイズを選ぶことが好ましく、本実施形態では、例えば、縦×横=2×2[m2]~4×4[m2]程度のサイズを想定している。また、例えば、自動散水機120の散水可能距離に応じたメッシュサイズを選んでもよい。
【0024】
センサデータ取得部203は、散水区画において、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度である反射強度データと、反射強度データが測定された位置の位置情報と、を紐付けたセンサデータを少なくとも1つ取得する。センサデータは、打設領域110に打設されたコンクリート上を走行可能な自走式センサ130から送信されるデータであり、センサデータ取得部203は、これを取得する。
【0025】
ここで、
図2B(a)に示したように、自走式センサ130は、4輪の台車131に制御部132やセンサ部133を搭載したものとなっている。制御部132には、動力機構や動力源、その他の制御機構が含まれている。センサ部133は、レーザセンサを含んで構成されており、コンクリート表面に対向する位置に搭載されている。センサ部133は、コンクリート表面に対してレーザ光を照射し、その反射光の反射強度を測定するセンサである。
【0026】
自走式センサ130は、速度2[km/h]=0.55…[m/s]≒0.6[m/s]で走行する。また、センサ部133の測定ピッチは、0.5[s]であるので、センサ部133は、約30[cm]ピッチ毎に測定を行うこととなる。例えば、打設領域110の大きさが、縦横32[m]で、メッシュサイズを縦横4[m]とすると、このサイズの打設領域110では、8×8メッシュの散水区画を設定できる。そして、自走式センサ130が、散水区画の縦または横の辺と平行に走行するとすると、1つのメッシュ当たり、約13点(=400[cm]/30[cm])の計測を行うこととなる。すなわち、1メッシュ当たり約13点のセンサデータが得られることとなる。
【0027】
センサ部133は、自走式センサ130の走行面134(例えば、コンクリートの表面)と対向する位置であって、走行面134から約50[mm]の位置に配置されるように、台車131に搭載されている。
【0028】
また、自走式センサ130の制御部132には、GPS(Global Positioning System)の発信機を搭載しておいてもよい。GPS発信機を搭載しておくことで、センサデータが測定された位置を容易に取得することができる。自走式センサ130にGPSを搭載しない場合には、打設領域110の周囲にカメラなどを設置して、カメラで撮像された映像から、自走式センサ130の位置を把握してもよい。
【0029】
そして、
図2B(b)に示したように、自走式センサ130は、打設領域110に設定された全ての散水区画(111,112)の上を通過するように制御される。例えば、図示したように、散水区画を一筆書きするように走行する。このように走行することで、全ての散水区画において、センサデータを測定できるようになる。なお、自走式センサ130を走行させてセンサデータを測定する時間間隔は、打設領域110の気温、湿度、天候などの外部要因によって決定されるが、任意の時間間隔を選択できる。
【0030】
そして、自走式センサ130は、測定したレーザ光の反射強度データと、そのセンサデータが測定された位置の位置情報(例えば、GPSデータ)とを紐付けてセンサデータとして一時的に保存する。自走式センサ130は、一時的に保存したセンサデータをセンサデータ取得部203へ送信する。自走式センサ130からセンサデータ取得部203へセンサデータを送信するタイミングは、自走式センサ130が、センサデータを測定するごとに送信しても、打設領域110の全ての散水区画のセンサデータを測定し終わった後に送信してもよい。
【0031】
また、自走式センサ130は、センサデータ取得部203からの要求に応じて、センサデータを送信するようにしてもよい。さらに、自走式センサ130が測定する散水区画のそれぞれについてのレーザ光の反射強度の回数は、1回には限定されず、複数回測定してもよい。1つの散水区画から複数のセンサデータを取得することで、より精度よく散水区画の水膜の状態を判定することができる。
【0032】
水膜判定部204は、センサデータに基づいて、散水区画における水膜の有無を判定する。水膜判定部204は、レーザ光の反射強度(あるいは、反射率)に基づいて、水膜有り、または、水膜無し、のいずれかを判定する。なお、レーザセンサは、レーザ光の照射エリアにおける水膜の占有面積率が高いほど反射強度が高くなるようにレーザ光を照射するように設定されている。水膜の有無の判定基準となる反射強度は、例えば、照射したレーザ光の強度の50%であってもよく、様々な条件に合わせて適宜変更してもよい。すなわち、水膜判定部204は、反射強度が50%以上の場合、水膜有りと判定し、反射強度が50%未満の場合、水膜無しと判定する。
【0033】
また、水膜判定部204は、反射強度データとして、レーザ光の照射エリアにおける反射面積に基づいて、散水区画における水膜の有無を判定してもよい。例えば、レーザ光の照射エリア(照射面積)がSで、反射光の反射面積がRである場合、(S-R)/Sが、散水区画に照射されたレーザ光のうち何%が反射光として戻ってきたかを表す。そのため、反射面積に基づいて、水膜の有無を判定することも可能である。
【0034】
例えば、散水区画の水膜が、乾燥や蒸発により、減少や消滅する場合、1つの散水区画の全体で徐々に水膜の厚みが減少するのではなく、散水区画の中の一部には、水膜が存在せず、他の部分には、水膜が存在するようなことがある。このような場合、散水区画のうち、水膜が存在しない部分にレーザ光を照射すると、その散水区画は、水膜無しの散水区画と判定される。
【0035】
しかしながら、上述したように、その散水区画には、水膜が存在している部分もあるため、散水の要否の判定として、必ずしも精度が高いとはいえない。そのため、水膜判定部204は、照射されたレーザ光の全ての照射面積(複数個所の照射した場合も含む)の何%から反射光が得られたかに基づいて、水膜の有無を判定可能である。例えば、水膜判定部204は、散水区画における反射面積が、レーザ光の全照射面積の50%以下であれば、その散水区画は、水膜が無いと判定する。なお、水膜が無いと判定される反射面積は、全照射面積の50%には限定されず、様々な要因を考慮して決定してもよい。なお、以上のように、照射光の反射面積に基づいて、水膜の有無を判定する場合、水膜の表面では、照射光がほぼ全反射することを前提とする。
【0036】
散水制御部205は、水膜判定部204における判定結果に基づいて、散水区画における散水を制御する。散水制御部205は、例えば、水膜が無いと判定された水膜無散水区画111に対して散水する指令を自動散水機120に送る。散水制御部205は、例えば、水膜が有ると判定された水膜有散水区画112に対しては、自動散水機120に特別な指令は送らない。
【0037】
図3を参照して、コンクリート養生管理装置100が有する反射強度テーブル301について説明する。反射強度テーブル301は、散水区画ID(Identifier)311に関連付けて反射強度312を記憶する。散水区画ID311は、コンクリートの打設領域110に設定された散水区画のそれぞれを識別するための識別子である。反射強度312は、散水区画のそれぞれにおけるレーザ光の反射強度を示す。反射強度は、例えば、照射したレーザ光に対する反射光の強度である。そして、水膜判定部204は、反射強度テーブル301を用いて、水膜の有無を判定する。
【0038】
図4を参照して、コンクリート養生管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2のコンクリート養生管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0039】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。平面位置データ441は、打設領域110の平面位置を示すデータである。散水区画位置データ442は、打設領域110を所定サイズのメッシュで区切って得られる散水区画の位置を示すデータである。反射強度データ443は、散水区画のそれぞれにおいて照射されたレーザ光の反射光の強度のデータである。測定位置データ444は、反射光の強度データが測定された位置のデータである。
【0040】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0041】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、反射強度テーブル301を格納する。反射強度テーブル301は、
図3に示した、散水区画ID311と反射強度312との関係を管理するテーブルである。
【0042】
ストレージ450は、さらに、平面位置情報取得モジュール451、散水区画位置情報取得モジュール452、センサデータ取得モジュール453、水膜判定モジュール454および散水制御モジュール455を格納する。平面位置情報取得モジュール451は、打設領域110の平面位置情報を取得するモジュールである。散水区画位置情報取得モジュール452は、打設領域110を所定サイズのメッシュで区画して得られる散水区画の位置情報を取得するモジュールである。センサデータ取得モジュール453は、レーザセンサから照射されたレーザ光の反射強度のデータと、当該反射強度が測定された位置の位置情報とを紐付けたセンサデータを取得するモジュールである。水膜判定モジュール455は、センサデータに基づいて、散水区画における水膜の有無を判定するモジュールである。これらのモジュール451~455は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム456は、コンクリート養生管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0043】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート養生管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0044】
次に
図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート養生管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図2のコンクリート養生管理装置100の各機能構成を実現する。
【0045】
ステップS501において、平面位置情報取得部201は、打設領域110の平面位置情報を取得する。ステップS503において、散水区画位置情報取得部202は、打設領域110を所定サイズのメッシュで区画して得られる散水区画のそれぞれの位置情報を取得する。ステップS505において、センサデータ取得部203は、散水区画において、照射されたレーザ光の反射強度データと当該散水区画の位置情報とを紐付けたセンサデータを取得する。ステップS507において、水膜判定部204は、取得したセンサデータに基づいて、散水区画における水膜の有無を判定する。ステップS507において、水膜が無いと判定した場合(ステップS507のNO)、コンクリート養生管理装置100は、ステップS509へ進む。ステップS507において、水膜が有ると判定した場合(ステップS507のYES)、コンクリート養生管理装置100は、ステップS511へ進む。
【0046】
ステップS509において、散水制御部205は、水膜が無いと判定された散水区画に対して散水するために、自動散水機120に対して指令を送り、散水を制御する。ステップS511において、コンクリート養生管理装置100は、打設領域110に打設されたコンクリートの養生が終了したか否かを判定する。コンクリートの養生が終了したと判定した場合(ステップS511のYES)、コンクリート養生管理装置100は、処理を終了する。コンクリートの養生が終了していないと判定した場合、コンクリート養生管理装置100は、ステップS505へ戻る。
【0047】
本実施形態によれば、コンクリート表面の水膜の有無に応じたコンクリートの養生管理を行うことができる。また、レーザ光の反射強度や反射面積を用いて、水膜の有無を判定するので、より精度の高いコンクリートの養生管理を行うことができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るコンクリート養生管理装置について、
図6A~
図9を用いて説明する。
図6Aは、本実施形態に係るコンクリート養生管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係るコンクリート養生管理装置600は、上記第1実施形態と比べると、区分決定部、カウント部および評価値算出部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0049】
コンクリート養生管理装置600は、区分決定部601、カウント部602および評価値算出部603をさらに有する。
【0050】
区分決定部601は、反射強度をデータに応じて少なくとも2つの高低区分に区分けし、センサデータが、少なくとも2つの区分のいずれかに属するかを決定する。
【0051】
図6Bのグラフ610に示したように、縦軸に反射強度(水膜の占有面積率)(I[%])、横軸に水膜の厚み(d)を取って、反射強度と水膜の厚みとの関係から、反射強度のデータに応じた3つの高低区分(区分620、区分630、区分640)を設定している。
【0052】
水膜の状態は、水膜660が厚い状態(650)から水膜660が薄い状態(651)、水膜660がまばらに存在する状態(652)、水膜660が存在しない状態(653)と遷移するので、これに応じた(反射強度のデータに応じた)、高低の区分けとなっている。
【0053】
そして、高低区分は、コンクリート表面が全て水膜で覆われている場合の反射強度に対するセンサデータの反射強度率に応じて、例えば、以下のように区分けされる。すなわち、反射強度率が50%以上100%までの場合(区分620)には、水膜の状態として、水膜が厚い状態(650)および水膜が薄い状態(651)となる。また、反射強度率が0%より上で50%未満の場合(区分630)には、水膜の状態として、水膜がまばらに存在する状態(632)となり、反射強度率が0%の場合(区分640)には、水膜が存在しない状態(653)となる。
【0054】
なお、水膜が薄い状態(651)から、水膜がまばらに存在する状態(652)、水膜が存在しない状態(653)へと遷移する場合、水膜が薄い状態(651)であれば、散水区画に水が存在しているため、散水の必要性は高くないと考えられる。しかしながら、水膜が存在していても、所々に水膜が存在しない場所がある状態、すなわち、水膜がまばらに存在する状態(652)では、水膜が存在しない場所に散水する必要があるものと考えられる。従って、本実施形態においては、散水区画における水膜の状態が区分620~区分640のいずれの状態に該当するかに応じて、その散水区画の状態を決定する。
【0055】
カウント部602は、打設領域110に含まれる散水区画のそれぞれについて、少なくとも2つの高低区分のそれぞれに属するセンサデータの数をカウントする。ここに示した例では、カウント部602は、3つの高低区分のそれぞれに属するセンサデータの数をカウントするが、区分の数は、2区分であっても、4区分以上であってもよい。
【0056】
ここで、
図6Cを参照して、センサデータのカウントについて説明する。自走式センサ130が、打設領域110のコンクリート表面上を走行して、水膜の有無にかかわらず、散水区画のそれぞれについて、センサデータを測定する。散水区画のそれぞれにおける、センサデータの測定点数は、1点には限られず、複数点であってもよい。
【0057】
そのため、
図6Cに示したように、本実施形態においては、例えば、自走式センサ130は、1つの散水区画について10点のセンサデータを得られるような測定ピッチで測定を行う。例えば、散水区画670は、縦横2[m]×2[m]であるとして、10点の測定点があるとする。
【0058】
図示した測定点のうち、「●」は、区分620に属し、「▲」は、区分630に属し、「×」は、区分640に属する測定点とする。散水区画670においては、区分620(●)に属する測定点が、4点、区分630(▲)に属する測定点が、4点、区分640(×)に属する測定点が、2点となっている。したがって、カウント部602は、区分620に4点、区分630に4点、区分640に2点、のセンサデータ(測定点)をカウントする。なお、1つの散水区画670における、センサデータの数(測定点数)は、10点には、限定されない。
【0059】
評価値算出部603は、カウントされたセンサデータの数のそれぞれに、属する高低区分に応じた重み付け係数を乗じて得られる値を散水区画において取得されたセンサデータの数で除することにより評価値を算出する。
【0060】
ここで、例えば、区分620に属するセンサデータは、反射強度が50%以上100%までのデータであり、水膜の厚みも十分な状態であるので、「安全」と判断され、区分630に属するセンサデータは、反射強度が0%より上で50%未満のデータであり、水膜が薄いか、まだらに存在するため、「注意」と判断できる。さらに、例えば、区分640に属するセンサデータは、反射強度が0%のデータであり、水膜が完全になくなっているため、「危険」と判断される。
【0061】
そして、このようなセンサデータに対して、以下に述べるように重み付け係数を乗じて、散水区画670のそれぞれの水膜の状態を判定する。「安全」と判断されたセンサデータ(測定点)については、重み付けを「0」とし、「注意」と判断されたセンサデータについては、重み付けを「0.5」とし、「危険」と判断されたセンサデータについては、重み付けを「1.0」とする。
【0062】
評価値算出部603は、まず、重み付け係数を乗じたセンサデータの点数を次のように、4点×0+4点×0.5+2×1.0=4.0と算出する。そして、評価値算出部603は、この値(=4.0)を散水区画670で測定されたセンサデータの数(測定点数=10)で除する。つまり、評価値=4.0/10=0.4となる。
【0063】
水膜判定部204は、評価値と所定基準値とを比較して、散水区画における水膜の有無を判定する。例えば、所定基準値を0.3とすると、上述の計算例で得られた散水区画670の評価値=0.4は、基準値=0.3を超えるので、水膜判定部204は、散水区画670には、水膜が無いと判定する。散水制御部205は、自動散水機120に散水指令を送り、散水区画670に散水する。
【0064】
次に、
図7を参照して、コンクリート養生管理装置600が有する重み付け係数テーブル701について説明する。重み付け係数テーブル701は、散水区画ID311に関連付けて区分711および重み付け係数712を記憶する。区分711は、散水区画のぞれぞれの水膜の状態がどの区分に属するかを示す。重み付け係数712は、散水区画に散水するか否かを判断するための評価値を算出するために用いられる係数であり、区分711に応じた係数が設定されている。そして、評価値算出部603は、重み付け係数テーブル701を用いて、評価値を算出する。
【0065】
図8を参照して、コンクリート養生管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図6のコンクリート養生管理装置600の各機能構成を実現する。
【0066】
RAM840は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM840には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。区分データ841は、各散水区画を水膜の状態に応じて区分けするための区分け先に関するデータである。カウント数842は、散水区画において、それぞれの区分に属するセンサデータの数についてのデータである。重み付け係数843は、区分けされる区分ごとに決められた、カウント数を補正するための係数である。
【0067】
ストレージ850には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ850は、重み付け係数テーブル701を格納する。重み付け係数テーブル701は、
図7に示した、散水区画ID311と重み付け係数712などとの関係を管理するテーブルである。
【0068】
ストレージ850は、さらに、区分決定モジュール851、カウントモジュール852および評価値算出モジュール853を格納する。区分決定モジュール851は、反射強度をデータに応じて少なくとも2つの高低区分に区分けして、センサデータがいずれの区分に属するかを決定するモジュールである。カウントモジュール852は、少なくとも2つの高低区分のそれぞれに属するセンサデータの数をカウントするモジュールである。評価値算出モジュール853は、センサデータの数と重み付け係数とを乗じて得られる値を、散水区画において取得されたセンサデータの数で除することにより評価値を算出するモジュールである。これらのモジュール851~853は、CPU410によりRAM840のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。
【0069】
次に
図9に示したフローチャートを参照して、コンクリート養生管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図8のCPU410がRAM840を使用して実行し、
図6のコンクリート養生管理装置600の各機能構成を実現する。
【0070】
ステップS901において、区分決定部601は、センサデータがいずれの区分に属するかを決定する。ステップS903において、カウント部602は、それぞれの区分に属するセンサデータの数をカウントする。ステップS905において、評価値算出部603は、カウントされたセンサデータの数に所定の重み付け係数を乗じて得られる値を1つの散水区画で取得されたセンサデータの数で除することにより評価値を算出する。ステップS907において、水膜判定部204は、算出された評価値が所定基準値よりも大きいか否かを判定する。所定基準値よりも大きいと判定した場合(ステップS907のYES)、コンクリート養生管理装置600は、ステップS509へ進む。所定基準値よりも大きくないと判定した場合(ステップS907のNO)、コンクリート養生管理装置600は、ステップS511へ進む。
【0071】
本実施形態によれば、散水区画のそれぞれについて、水膜の状態に応じた評価値を算出して、散水制御するので、より的確な散水制御を行え、コンクリートの養生管理を確実に行うことができる。
【0072】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0073】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。