(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146029
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】繰出容器及びリフィル容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/14 20060101AFI20241004BHJP
A45D 40/04 20060101ALI20241004BHJP
A45D 40/16 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A45D40/14
A45D40/04 Z
A45D40/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058692
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】下谷 和彦
(57)【要約】
【課題】内容物を有効に使い切ることができる繰出容器及びリフィル容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の繰出容器は、中皿本体の底壁部上に配置された押上片を有し、中皿に相対回転不能に設けられた押上部材と、外装筒の内側に外装筒に対して容器軸回りに回転可能に設けられた回転部材と、回転部材に相対回転不能で、かつ回転部材に対して上下動可能に設けられ、貫通筒に連係する螺旋軸と、を備えている。押上部材は、螺旋軸に対する貫通筒の容器軸回りの回転に伴い、中皿本体の内側を押上片が上下動可能に構成されている。外装筒は、回転部材を径方向の外側から覆う閉塞位置、及び回転部材を径方向の外側に露出させる開放位置間を切替可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器軸に沿って配置された外装筒と、
前記容器軸回りに延びる第1螺旋溝を有し、前記外装筒の内側に前記外装筒に相対回転不能に設けられた螺旋部材と、
前記第1螺旋溝に係合する第1係合部を有し、前記螺旋部材に対する前記容器軸回りに回転に伴い上下動する可動部材と、
棒状内容物の下端部を収容可能な筒状に形成され、前記可動部材の上下動に伴い前記外装筒に対して上下動する中皿と、
前記外装筒の内側で前記中皿及び前記螺旋部材の周囲を取り囲むとともに、前記螺旋部材に対して回転可能に構成された収容筒部材と、
前記中皿の内側に配置されて前記棒状内容物を前記棒状内容物の下方から支持する押上片、及び前記押上片から下方に延びる貫通部を有し、前記中皿に相対回転不能に設けられた押上部材と、
前記外装筒の内側に前記外装筒に対して前記容器軸回りに回転可能に設けられた回転部材と、
前記回転部材に相対回転不能で、かつ前記回転部材に対して上下動可能に設けられ、前記貫通部に連係する螺旋軸と、を備え、
前記押上部材及び前記螺旋軸には、前記螺旋軸に対する前記貫通部の前記容器軸回りの回転に伴い、前記中皿の内側で前記押上片を上下動させる螺旋状の係合部が形成され、
前記外装筒は、前記回転部材を径方向の外側から覆う閉塞位置、及び前記回転部材を径方向の外側に露出させる開放位置間を切替可能に構成されている繰出容器。
【請求項2】
前記可動部材は、
内周面に形成された前記第1係合部、及び外周面に形成された前記容器軸回りに延びる第2螺旋溝を有する内筒と、
前記第2螺旋溝に係合する第2係合部を有し、前記内筒の周囲を取り囲むとともに、前記中皿に接続された外筒と、を備えている請求項1に記載の繰出容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の繰出容器に対して前記棒状内容物を詰替可能に保持するリフィル容器であって、
開口部を通じて前記棒状内容物を突出させた状態で、前記棒状内容物を保持する保持筒と、
前記保持筒に連なるとともに、前記棒状内容物の外周面から離間した状態で、前記保持筒の軸方向に延びるガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、当該リフィル容器と前記繰出容器とを組み合わせた状態で、前記棒状内容物のうち前記保持筒から突出した部分を前記中皿の内側に進入させた状態で前記中皿の周囲を取り囲むリフィル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器及びリフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
繰出容器は、筒状の外装筒と、外装筒の内側に容器軸回りに回転可能に支持された収容筒部材と、収容筒部材の内側に設けられて棒状内容物を保持する中皿と、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。繰出容器では、外装筒と収容筒部材とを相対回転させると、収容筒部材の内側で中皿が上下動することで、収容筒部材を通じて棒状内容物が進退する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、繰出容器において、棒状内容物は、下端部が有底筒状の中皿内に装填された状態で、中皿に保持されている。そのため、従来技術にあっては、棒状内容物のうち、中皿内に装填された部分が残存してしまい、棒状内容物を有効に使い切ることができなかった。特に、棒状内容物をリフィル可能な繰出容器の場合には、リフィル前の棒状内容物を完全に使い切ることが好ましい。
【0005】
本発明は、内容物を有効に使い切ることができる繰出容器及びリフィル容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係る繰出容器は、容器軸に沿って配置された外装筒と、前記容器軸回りに延びる第1螺旋溝を有し、前記外装筒の内側に前記外装筒に相対回転不能に設けられた螺旋部材と、前記第1螺旋溝に係合する第1係合部を有し、前記螺旋部材に対する前記容器軸回りに回転に伴い上下動する可動部材と、棒状内容物の下端部を収容可能な筒状に形成され、前記可動部材の上下動に伴い前記外装筒に対して上下動する中皿と、前記外装筒の内側で前記中皿及び前記螺旋部材の周囲を取り囲むとともに、前記螺旋部材に対して回転可能に構成された収容筒部材と、記中皿の内側に配置されて前記棒状内容物を前記棒状内容物の下方から支持する押上片、及び前記押上片から下方に延びる貫通部を有し、前記中皿に相対回転不能に設けられた押上部材と、前記外装筒の内側に前記外装筒に対して前記容器軸回りに回転可能に設けられた回転部材と、前記回転部材に相対回転不能で、かつ前記回転部材に対して上下動可能に設けられ、前記貫通部に連係する螺旋軸と、を備え、前記押上部材及び前記螺旋軸には、前記螺旋軸に対する前記貫通部の前記容器軸回りの回転に伴い、前記中皿の内側で前記押上片を上下動させる螺旋状の係合部が形成され、前記外装筒は、前記回転部材を径方向の外側から覆う閉塞位置、及び前記回転部材を径方向の外側に露出させる開放位置間を切替可能に構成されている。
【0007】
本態様によれば、回転部材の回転によって中皿内で押上片を上昇させることで、棒状内容物のうち中皿内に収容された部分(装填部分)が中皿から押し上げられる。これにより、棒状内容物の装填部分を使用することができる。その結果、棒状内容物を有効に使い切ることができる。
特に、本態様において、外装筒は、回転部材を径方向の外側から覆う閉塞位置、及び回転部材を径方向の外側に露出させる開放位置間を切替可能に構成されている。そのため、棒状内容物のうち中皿から上方に突出した部分(突出部分)が残存している状態で、回転部材が予期せず回転して棒状内容物の装填部分が中皿から押し上げられることを抑制できる。これにより、棒状内容物の突出部分が十分に残っている状態において、中皿によって棒状内容物を安定して保持できる。その結果、棒状内容物の破損や脱落等を抑制して、棒状内容物を有効に使い切ることができる。
【0008】
上記態様に係る繰出容器において、前記可動部材は、内周面に形成された前記第1係合部、及び外周面に形成された前記容器軸回りに延びる第2螺旋溝を有する内筒と、前記第2螺旋溝に係合する第2係合部を有し、前記内筒の周囲を取り囲むとともに、前記中皿に接続された外筒と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、螺旋部材及び内筒間、並びに内筒及び外筒間でそれぞれ上下方向に相対移動が行われるので、繰出容器の上下方向での寸法を抑えた上で、中皿のストローク(最下端位置及び最上端位置間の距離)を確保し易い。
【0009】
本発明の一態様に係るリフィル容器は、上記態様に係る繰出容器に対して前記棒状内容物を詰替可能に保持するリフィル容器であって、開口部を通じて前記棒状内容物を突出させた状態で、前記棒状内容物を保持する保持筒と、前記保持筒に連なるとともに、前記棒状内容物の外周面から離間した状態で、前記保持筒の軸方向に延びるガイド部と、を備え、前記ガイド部は、当該リフィル容器と前記繰出容器とを組み合わせた状態で、前記棒状内容物のうち前記保持筒から突出した部分を前記中皿の内側に進入させた状態で前記中皿の周囲を取り囲む。
本態様によれば、新しい棒状内容物を中皿に装填するにあたって、ガイド部が中皿の周囲を取り囲むことで、繰出容器とリフィル容器との径方向への相対移動を規制できる。これにより、新しい棒状内容物を繰出容器に詰め替える際の詰替姿勢を安定させることができる。その結果、詰替時における棒状内容物の破損等を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物を有効に使い切ることができる繰出容器及びリフィル容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る繰出容器において、中皿が最下端位置にある状態を示す断面図である。
【
図2】実施形態に係る繰出容器において、中皿が最上端位置にある状態を示す断面図である。
【
図3】実施形態に係る繰出容器において、外装筒が開放位置(取り外し位置)にある状態を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係る繰出容器において、外装筒が開放位置(取り外し位置)にある状態を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係るリフィル容器の断面図である。
【
図6】実施形態に係る繰出容器において、棒状内容物の詰替方法を示す断面図である。
【
図7】実施形態に係る繰出容器において、棒状内容物の詰替方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す繰出容器1は、棒状内容物を繰り出して使用する。棒状内容物は、例えば化粧料(口紅やリップクリーム、スティックアイシャドー等)や薬剤、糊等が挙げられる。
【0013】
繰出容器1は、外装筒10と、収容筒部材11と、繰出機構12と、中皿13と、押上機構14と、キャップ15と、を備えている。外装筒10、収容筒部材11及び中皿13は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配置されている。以下、共通軸を容器軸O1といい、容器軸O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見た平面視において、容器軸O1に交差する方向を径方向といい、容器軸O1回りに周回する方向を周方向という。この場合、繰出容器1のうち、上下方向におけるキャップ15の頂壁側を上方といい、頂壁とは反対側を下方という。また、周方向のうち、内容物を上昇させる方向を繰出方向といい、内容物を下降させる方向を収容方向という。
【0014】
外装筒10は、容器軸O1と同軸に配置されている。外装筒10は、拡径部10a及び縮径部10bを有し、下方に位置するものほど内径が拡大された段付き形状に形成されている。なお、外装筒10は、有底筒状であってもよい。
【0015】
収容筒部材11は、外装筒10の上端開口部を通じて上方に突出した状態で、外装筒10内に挿入されている。収容筒部材11は、外装筒10に対して容器軸O1回りに回転可能に構成されている。
【0016】
繰出機構12は、伝達部材21と、可動部材22と、を備えている。
伝達部材21は、外装筒10と一体回転可能(相対回転不能)に構成されている。伝達部材21は、可動部材22に対する容器軸O1回りの回転に伴い、伝達部材21に対して可動部材22を上下動させる。伝達部材21は、嵌合筒31と、内フランジ部32と、螺旋部材33と、を備えている。
【0017】
嵌合筒31は、外装筒10の下方から外装筒10内に嵌め込まれている。嵌合筒31は、大径部31a及び小径部31bを有し、上方に位置するものほど外径が小さい段付き形状に形成されている。嵌合筒31は、大径部31a及び小径部31b間に位置する段差面が、外装筒10のうち拡径部10a及び縮径部10b間に位置する段差面に、下方から近接又は当接した状態で、外装筒10内に嵌め込まれている。拡径部10a及び大径部31aには、外装筒10に対する伝達部材21の回転を規制する外装回り止め部35が形成されている。外装回り止め部35は、例えば拡径部10aに形成された溝部内に、大径部31aに形成された突起部が収容されることで、拡径部10aと大径部31aとを相対回転不能とする構成である。
【0018】
嵌合筒31は、小径部31bに形成された嵌合突起31cが、縮径部10bに形成された周溝部10cにアンダーカット嵌合されることで、外装筒10に対する上下動が規制されている。また、小径部31bの上部には、摺動リング36が嵌め込まれている。小径部31bは、摺動リング36を介して収容筒部材11内に進入している。これにより、伝達部材21は、摺動リング36が収容筒部材11の内周面上を摺動しながら、収容筒部材11に対して容器軸O1回りに回転可能に構成されている。
【0019】
内フランジ部32は、嵌合筒31の上端開口縁から径方向の内側に張り出している。
螺旋部材33は、内フランジ部32の内周縁から上方に延びている。螺旋部材33は、容器軸O1と同軸に配置された筒状に形成されている。螺旋部材33の外周面には、内側螺旋溝(第1螺旋溝)33aが形成されている。内側螺旋溝33aは、繰出方向に向かうに従い上方に向けて螺旋状に延びている。
【0020】
可動部材22は、内筒41と、外筒42と、を備えている。
内筒41は、螺旋部材33の周囲を取り囲んでいる。内筒41の下端部には、径方向の内側に突出する第1係合突起(第1係合部)41aが形成されている。第1係合突起41aは、螺旋部材33の内側螺旋溝33a内に収容(係合)されている。内筒41は、螺旋部材33に対する容器軸O1回りの回転に伴い、第1係合突起41aが内側螺旋溝33a内を螺旋状に移動することで、螺旋部材33に対して上下動する。内筒41の外周面には、外側螺旋溝(第2螺旋溝)41bが形成されている。外側螺旋溝41bは、繰出方向に向かうに従い上方に向けて螺旋状に延びている。
【0021】
外筒42は、収容筒部材11の内側において、内筒41の周囲を取り囲んでいる。外筒42の下端部には、径方向の内側に突出する第2係合突起(第2係合部)42aが形成されている。第2係合突起42aは、外側螺旋溝41b内に収容(係合)されている。外筒42は、内筒41に対する容器軸O1回りの回転に伴い、第2係合突起42aが外側螺旋溝41b内を螺旋状に移動することで、内筒41に対して上下動する。なお、外筒42と収容筒部材11とは容器軸O1回りの相対回転が規制されている。
【0022】
中皿13は、可動部材22の上下動に伴い、収容筒部材11の内側を上下動する。中皿13は、中皿本体51と、連結筒52と、を備えている。
中皿本体51は、棒状内容物を保持する。本実施形態において、棒状内容物は、下端部が中皿本体51に装填されている。これにより、棒状内容物は、中皿本体51から上方に突出した状態で、中皿本体51に保持されている。中皿本体51は、周壁部51a及び底壁部51bを有する有底筒状に形成されている。底壁部51bのうち、容器軸O1上に位置する部分には、貫通孔51cが形成されている。
【0023】
連結筒52は、貫通孔51cの内周縁から下方に延びている。連結筒52は、外筒42内に外筒42の上方からアンダーカット嵌合されている。一方、外筒42の上端縁は、底壁部51bに底壁部51bの下方から当接している。したがって、中皿13は、外筒42の上下動に伴い、収容筒部材11の内側を上下動する。なお、中皿13は、外筒42と一体に形成されていてもよい。
【0024】
押上機構14は、押上部材61と、回転部材62と、螺旋軸63と、を備えている。
押上部材61は、中皿13に対して上下動可能に設けられている。具体的に、押上部材61は、押上片61aと、貫通筒(貫通部)61bと、を備えている。
押上片61aは、中皿本体51の内側において、底壁部51bの上方に配置されている。すなわち、押上片61aは、中皿本体51内において棒状内容物を下方から支持している。押上片61aは、例えば円環状等、底壁部51bの平面視外形に対応する形状をなしている。押上片61aと周壁部51aには、中皿回り止め部65が形成されている。中皿回り止め部65は、例えば周壁部51aに形成された突条と、押上片61aに形成された溝部と、を備えている。中皿回り止め部65は、中皿13に対する押上部材61の容器軸O1回りの回転を規制する。なお、押上片61aは、中皿13に相対回転不能に構成されていれば、底壁部51bと異形状に形成されていてもよい。
【0025】
貫通筒61bは、押上片61aの内周縁から下方に延びている。貫通筒61bは、貫通孔51cを通じて底壁部51bを貫通している。貫通筒61bは、中皿13が最下端位置にあるとき、内筒41の内側に進入している。貫通筒61bの下端部には、押上係合部61eが形成されている。押上係合部61eは、貫通筒61bから径方向の内側に向けて突出するねじ状に形成されている。
【0026】
回転部材62は、外装筒10の内側に、外装筒10及び伝達部材21に対して容器軸O1回りに回転可能に設けられている。回転部材62は、容器軸O1と同軸に配置され、かつ上方に位置するものほど外径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、回転部材62は、操作筒62aと、挿入筒62bと、ガイド筒62cと、を備えている。
操作筒62aは、外装筒10の内側において、伝達部材21よりも下方に位置する部分に設けられている。
図1に示す例において、操作筒62aは、外装筒10の下部によって周囲が取り囲まれている。
【0027】
挿入筒62bは、操作筒62aから上方に延びている。挿入筒62bは、嵌合筒31内に嵌合筒31の下方から進入している。挿入筒62bには、径方向の外側に突出するガイド突起62dが形成されている。ガイド突起62dは、嵌合筒31(大径部31a)の内周面に形成された支持突起31dに、支持突起31dの上方から係合している。したがって、回転部材62は、伝達部材21に対する下方への移動が規制された状態で、伝達部材21に対して容器軸O1回りの回転が許容されている。
【0028】
ガイド筒62cは、挿入筒62bから上方に延びている。ガイド筒62cは、螺旋部材33の内側に進入している。ガイド筒62cには、径方向の内側に向けて開放されたガイド溝部62eが形成されている。ガイド溝部62eは、ガイド筒62cの内周面上を上下方向に延びている。図示の例において、ガイド溝部62eは、径方向で向かい合う位置に一対で設けられている。
【0029】
螺旋軸63は、押上部材61と回転部材62との間を接続している。螺旋軸63は、下軸部63aと、張出部63bと、上軸部63cと、を備えている。
下軸部63aは、回転部材62の内側に挿入されている。中皿13が最下端位置にあるとき、下軸部63aの下端部は、操作筒62aの内側に位置している。下軸部63aには、ガイド突条63eが形成されている。ガイド突条63eは、下軸部63aの外周面から径方向の外側に突出するとともに、上下方向に延びている。ガイド突条63eは、対応するガイド溝部62e内に収容されている。これにより、螺旋軸63は、回転部材62に対する容器軸O1回りの回転が規制された状態で、回転部材62に対して上下動可能に構成されている。
【0030】
張出部63bは、下軸部63aと上軸部63cとの間に位置している。張出部63bは、下軸部63a及び上軸部63cよりも大径に形成されている。張出部63bの外周部分は、中皿13が最下端位置にあるとき、ガイド筒62cに対してガイド筒62cの上方から近接又は当接している。
上軸部63cは、張出部63bから上方に延びている。上軸部63cは、貫通筒61b内に進入している。上軸部63cの外周面には、押上螺旋(係合部)63f及び規制突起63gが形成されている。押上螺旋63fは、上軸部63cの下部において、繰出方向に向かうに従い上方に向けて螺旋状に延びている。押上螺旋63fには、押上係合部(係合部)61eが収容(係合)されている。押上部材61は、螺旋軸63に対する容器軸O1回りの回転に伴い、押上係合部61eが押上螺旋63f内を螺旋状に移動することで、螺旋軸63に対して上下動する。すなわち、押上片61aは、中皿13内を上下動する。規制突起63gは、上軸部63cの上端部において、押上螺旋63fに対して上方に間隔をあけた状態で形成されている。規制突起63gは、繰出方向に向かうに従い上方に向けて螺旋状に延びている。なお、規制突起63gは、螺旋状に限られない。
【0031】
キャップ15は、容器軸O1と同軸に配置された有頂筒状に形成されている。キャップ15には、収容筒部材11の上部が挿通された状態で、外装筒10の上端部に着脱可能に装着される。
【0032】
ここで、繰出容器1のうち、収容筒部材11、繰出機構12、中皿13及び押上機構14を繰出モジュールとした場合、上述した外装筒10は繰出モジュールに対して着脱可能に構成されている。外装筒10は、繰出モジュールに装着された装着状態において、繰出モジュールの下部を取り囲んでいる。この場合、外装筒10は、収容筒部材11の下部、伝達部材21及び回転部材62の周囲を取り囲んでいる。したがって、外装筒10が装着状態にあるとき、操作筒62aの周囲が外装筒10によって径方向の外側から覆われることで、操作筒62aの操作が規制されている(閉塞位置)。
一方、
図3に示すように、外装筒10が繰出モジュールから取り外された取り外し状態において、操作筒62aは径方向の外側に露出している(開放位置)。これにより、操作筒62aが操作可能になる。
【0033】
次に、上述した繰出容器1の作用について説明する。以下の説明では、まず繰出容器1の使用方法について説明する。
図1、
図2に示すように、繰出容器1を使用する際には、まずキャップ15を外装筒10から取り外す。次に、外装筒10及び収容筒部材11をそれぞれ把持し、外装筒10及び収容筒部材11を繰出方向に相対回転させる。このとき、外装筒10及び伝達部材21は相対回転不能に取り付けられているため、外装筒10及び伝達部材21が収容筒部材11に対して一体に回転する。
【0034】
外装筒10及び収容筒部材11を相対回転させると、伝達部材21及び内筒41が一体となって外筒42に対して回転するか、或いは、伝達部材21が可動部材22全体(内筒41及び外筒42)に対して回転するか、の少なくとも一方の動作が生じる。
【0035】
伝達部材21及び内筒41が一体となって外筒42に対して回転する場合には、第2係合突起42aが外側螺旋溝41b内に係合した状態で、外側螺旋溝41b内を螺旋状に移動することで、外筒42が内筒41に対して上昇する。これにより、外筒42を介して中皿13が押し上げられる。このように、内筒41と外筒42とが繰出方向に相対回転することで中皿13が上昇する動作を、本明細書では「第1動作」という。
【0036】
伝達部材21が内筒41に対して回転する場合には、第1係合突起41aが内側螺旋溝33a内に係合した状態で、内側螺旋溝33a内を螺旋状に移動することで、可動部材22全体が伝達部材21に対して上昇する。これにより、外筒42を介して中皿13が押し上げられる。このように、伝達部材21と可動部材22全体とが繰出方向に相対回転することで、中皿13が可動部材22とともに上昇する動作を、本明細書では「第2動作」という。
【0037】
つまり、外装筒10及び収容筒部材11を繰出方向に相対回転させると、第1動作及び第2動作の少なくとも一方の動作により中皿13が上昇する。これにより、内容物が収容筒部材11から上方に繰り出される。第1動作及び第2動作のうちどちらが生じるかは、各部材間の摩擦抵抗等によって変動する。但し、何れの動作が優先的に行われるとしても、内容物が繰り出されるため、使用者は内容物を使用することができる。なお、第1動作及び第2動作の双方が同時に生じてもよい。
【0038】
そして、棒状内容物が収容筒部材11よりも上方に突出した状態で、被塗布部に対して棒状内容物を塗布等することができる。
【0039】
外装筒10に対して中皿13が上昇する過程において、押上片61aを介して押上部材61が上方に引き上げられる。これにより、押上係合部61e及び押上螺旋63fを介して螺旋軸63が引き上げられる。その結果、中皿13、押上部材61及び螺旋軸63は、回転部材62に対する回転が規制された状態で、一体となって上昇する。
【0040】
中皿13を下降させる際には、外装筒10及び収容筒部材11を収容方向に相対回転させる。すると、伝達部材21及び内筒41が一体となって外筒42に対して回転するか、或いは、伝達部材21が可動部材22全体に対して回転するか、によって収容筒部材11に対して中皿13が下降する。この際、押上部材61及び螺旋軸63は、中皿13とともに下降する。
【0041】
ここで、棒状内容物のうち中皿本体51から上方に突出した部分(以下、突出部分という。)を使い切った後、中皿本体51の内部には棒状内容物のうち中皿本体51に装填された部分(以下、装填部分という。)が残存する。この状態において、棒状内容物の装填部分を使用するには、中皿13を最上端位置に移動させた状態で、外装筒10を繰出モジュールから取り外す。具体的には、
図3に示すように、繰出モジュールに対して外装筒10を上方に引き上げることで、繰出モジュール80から外装筒10が取り外される。これにより、操作筒62aが外部に露出する。
【0042】
図3、
図4に示すように、操作筒62aが露出した状態で、操作筒62a及び収容筒部材11をそれぞれ把持し、操作筒62a及び収容筒部材11を繰出方向に相対回転させる。すると、螺旋軸63と押上部材61とが繰出方向に相対回転する。すると、押上係合部61eが押上螺旋63f内に係合した状態で、押上螺旋63f内を螺旋状に移動することで、押上部材61が中皿13に対して上昇する。これにより、棒状内容物の装填部分が押上片61aによって押し上げられることで、中皿本体51よりも上方に突出する。その結果、棒状内容物の装填部分を被塗布部に塗布等することができる。
【0043】
押上係合部61eは押上螺旋63fから上方に離脱することで、押上螺旋63fと規制突起63gとの間に位置する。この場合、回転部材62を回転させたとしても、押上螺旋63f上で空転することになる。これにより、押上部材61の上昇が停止する。そして、押上係合部61eが押上螺旋63fと規制突起63gとの間に位置する状態において、仮に押上部材61が螺旋軸63に対して上方に移動したとしても、押上係合部61eが規制突起63gに当接することで、押上部材61が螺旋軸63から離脱することが抑制される。なお、押上係合部61eが押上螺旋63fと規制突起63gとの間に位置する状態において、回転部材62を収容方向に回転させることで、規制突起63gを介して押上係合部61eが収容方向に回転させられる。これにより、押上部材61が収容方向に回転することで、再び押上係合部61eが押上螺旋63fに係合し易くなる。
【0044】
続いて、棒状内容物を使い切った後、新たな棒状内容物を中皿本体51に装填する方法について説明する。新たな棒状内容物は、
図5に示すリフィル容器100に充填された状態で、中皿本体51に詰め替えられる。
【0045】
リフィル容器100は、容器本体101と、蓋部102と、を備えている。
容器本体101は、保持筒110と、フランジ部111と、ガイド部112と、を備えている。
【0046】
保持筒110は、リフィル軸O2を中心軸線とする有頂筒状に形成されている。保持筒110内には、棒状内容物が充填されている。図示の例において、棒状内容物は、下端部が保持筒110の下端開口部から突出した状態で、保持筒110内に保持されている。
フランジ部111は、保持筒110の下端開口縁から径方向の外側に張り出している。
【0047】
ガイド部112は、フランジ部111の外周縁から下方に延びている。ガイド部112は、保持筒110と同軸上に配置された筒状に形成されている。ガイド部112は、棒状内容物の外周面との間に径方向に隙間を空けた状態で、棒状内容物の周囲を取り囲んでいる。この場合、ガイド部112と棒状内容物との間の隙間は、下方に開放されている。なお、ガイド部112は、棒状内容物との間に隙間を形成する構成であれば、筒状に限られない。
【0048】
蓋部102は、容器本体101の下端開口を閉塞している。図示の例において、蓋部102は、ガイド部112にアンダーカット嵌合されている。
【0049】
図6に示すように、新たな棒状内容物を中皿本体51に装填するには、繰出容器1については中皿13を最上端位置まで上昇させておく。一方、リフィル容器100については、容器本体101から蓋部102を取り外しておく。この状態で、容器軸O1とリフィル軸O2とを同軸に配置し、中皿本体51の上端開口部と容器本体101の下端開口部とを向かい合せる。
【0050】
続いて、繰出容器1とリフィル容器100(容器本体101)とを上下方向に接近移動させる。すると、収容筒部材11及び周壁部51aが棒状内容物とガイド部112との間の隙間に下方から進入するとともに、棒状内容物の下端部(棒状内容物のうち保持筒110から突出した部分)が中皿本体51内に進入する。その結果、棒状内容物の下端部が中皿本体51内に装填される。
【0051】
続いて、
図7に示すように、容器本体101を上方に引き抜くと、中皿本体51に棒状内容物が保持されたまま、容器本体101が棒状内容物から離脱する。これにより、中皿本体51に新しい棒状内容物が保持される。
【0052】
このように、本実施形態の繰出容器1は、中皿本体51の底壁部51b上に配置された押上片61aを有し、中皿13に相対回転不能に設けられた押上部材61と、外装筒10の内側に外装筒10に対して容器軸O回りに回転可能に設けられた回転部材62と、回転部材62に相対回転不能で、かつ回転部材62に対して上下動可能に設けられ、貫通筒61bに連係する螺旋軸63と、を備えている。その上で、押上部材61は、螺旋軸63に対する貫通筒61bの容器軸O回りの回転に伴い、中皿本体51の内側を押上片61aが上下動可能に構成されている。
この構成によれば、回転部材62の回転によって中皿本体51内で押上片61aを上昇させることで、棒状内容物のうち中皿本体51内に装填された部分(装填部分)が中皿本体51から押し上げられる。これにより、棒状内容物の装填部分を使用することができる。その結果、棒状内容物を有効に使い切ることができる。
特に、本実施形態において、外装筒10は、回転部材62を径方向の外側から覆う閉塞位置、及び回転部材62を径方向の外側に露出させる開放位置間を切替可能に構成されている。そのため、棒状内容物のうち中皿本体51から上方に突出した部分(突出部分)が残存している状態で、回転部材62が予期せず回転して棒状内容物の装填部分が中皿本体51から押し上げられることを抑制できる。これにより、棒状内容物の突出部分が十分に残っている状態において、中皿本体51によって棒状内容物を安定して保持できる。その結果、棒状内容物の破損や脱落等を抑制して、棒状内容物を有効に使い切ることができる。
【0053】
本実施形態の繰出容器1において、可動部材22は、内周面に形成された第1係合突起41a及び外周面に形成された外側螺旋溝41bを有する内筒41と、内周面に形成された第2係合突起42aを有し、中皿13に接続された外筒42と、を備える構成とした。
この構成によれば、伝達部材21及び内筒41間、並びに内筒41及び外筒42間でそれぞれ上下方向に相対移動が行われるので、繰出容器1の上下方向での寸法を抑えた上で、中皿13のストローク(最下端位置及び最上端位置間の距離)を確保し易い。
【0054】
本実施形態のリフィル容器100において、ガイド部112は、リフィル容器100と繰出容器1とを組み合わせた状態で、棒状内容物のうち保持筒110から突出した部分を中皿本体51の内側に進入させた状態で中皿本体51の周囲を取り囲む構成とした。
この構成によれば、新しい棒状内容物を中皿本体51に装填するにあたって、ガイド部112が中皿本体51(及び収容筒部材11)の周囲を取り囲むことで、繰出容器1とリフィル容器100との径方向への相対移動を規制できる。これにより、新しい棒状内容物を繰出容器1に詰め替える際の詰替姿勢を安定させることができる。その結果、詰替時における棒状内容物の破損等を抑制できる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、可動部材22が内筒41及び外筒42を備える構成について説明したが、この構成に限られない。可動部材22は、一体で形成される構成、すなわち螺旋部材33と収容筒部材11とに係合する部材を一つ有していればよい。
上述した実施形態では、外装筒10が繰出モジュールに着脱されることで、閉塞位置及び開放位置間の切り替えが行われる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば外装筒10が繰出モジュールに対してスライドすることで、外装筒10の着脱を伴わずに閉塞位置及び開放位置の切り替えが行われる構成であってもよい。また、外装筒10の着脱方法は、上下方向に限られない。例えば外装筒10が周方向に半割りに形成された上で、繰出モジュールに対して着脱される構成であってもよい。
上述した実施形態では、螺旋部材33の外周面に内側螺旋溝33aが形成され、可動部材22が螺旋部材33の外側を取り囲む構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、筒状の螺旋部材33の内周面に螺旋溝が形成され、係合突起を有する可動部材が螺旋部材33の内側に配置される構成であってもよい。
上述した実施形態では、貫通筒61bの内側に上軸部63cが挿入される構成について説明したが、この構成に限られない。筒状の上軸部63cの内側に貫通部が挿入される構成であってもよい。
【0056】
上述した実施形態では、本発明に係る嵌合部及び非嵌合部の平面視形状が円形状(円筒状)に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。嵌合部及び被嵌合部の平面視形状は、互いに対応する多角形状等であってもよい。この場合、嵌合部及び被嵌合部同士が嵌合した状態において、対応する各角部同士が互いに周方向に係合することで、嵌合部と被嵌合部との周方向の相対回転が規制される。すなわち、互いに対応する角部同士が回り止め部を構成する。
【0057】
上述した実施形態では、中皿13が有底筒状に形成された構成について説明したが、中皿13は棒状内容物の下端部を収容可能な構成であれば底壁部51bを有さない構成であってもよい。この場合には、押上片61aが中皿本体51の内側で棒状内容物を下方から支持する。
なお、中皿13(連結筒52)と押上部材61(貫通筒61b)との間に、貫通筒61bが連結筒52に下方から係合する係合部を形成してもよい。係合部は、回転部材62を直接操作した場合の回転力によって押上部材61が上方に乗り越え可能に形成される。これにより、閉塞位置において外装筒10の回転力が回転部材62に伝わってしまった場合であっても、回転部材62を直接操作した場合の回転力よりも小さく、押上部材61が中皿本体51に対して上昇することを規制できる。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1:繰出容器
10:外装筒
11:収容筒部材
13:中皿
22:可動部材
33:螺旋部材
33a:内側螺旋溝(第1螺旋溝)
41:内筒
41a:第1係合突起(第1係合部)
41b:外側螺旋溝(第2螺旋溝)
42:外筒
42a:第2係合突起(第2係合部)
61:押上部材
61a:押上片
61b:貫通筒(貫通部)
61e:押上係合部(係合部)
62:回転部材
63:螺旋軸
63f:押上螺旋(係合部)
100:リフィル容器
110:保持筒
112:ガイド部