(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014603
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】笠木用照明装置及び照明笠木
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20240125BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20240125BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240125BHJP
F21V 11/16 20060101ALI20240125BHJP
E04F 11/18 20060101ALI20240125BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240125BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20240125BHJP
【FI】
F21V33/00 200
F21V29/70
F21V3/00 320
F21V11/16
E04F11/18
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117563
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518012582
【氏名又は名称】株式会社松下美紀照明設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄子 怜子
(72)【発明者】
【氏名】竹下 美紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 元彦
【テーマコード(参考)】
2E301
3K014
【Fターム(参考)】
2E301GG01
2E301HH03
2E301KK01
3K014AA01
3K014PB01
(57)【要約】
【課題】施工性が改善された笠木用照明装置及び照明笠木を提供する。
【解決手段】笠木用照明装置14は、光透過性を有し、両端が開口した管状のハウジング22と、ハウジング22の両端をそれぞれ塞ぐパッキン24,26と、ハウジング22内に設けられ、ハウジング22の軸方向に延びる放熱部材30と、ハウジング22内に設けられ、ハウジング22の軸方向に延びる放熱部材30と、放熱部材30に結合され、パッキン24,26を貫通すると共にパッキン24,26の位置を保持可能な棒状部材28と、ハウジング22内に設けられると共に放熱部材30に取り付けられ、光源となるLED48が設けられたLED基板32と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有し、両端が開口した管状のハウジングと、
前記ハウジングの両端をそれぞれ塞ぐパッキンと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの軸方向に延びる放熱部材と、
前記放熱部材に結合され、前記パッキンを貫通すると共に前記パッキンの位置を保持可能な棒状部材と、
前記ハウジング内に設けられると共に前記放熱部材に取り付けられ、光源となるLEDが設けられたLED基板と、
を有する笠木用照明装置。
【請求項2】
前記ハウジング内に設けられ、前記LEDの光を拡散させるための拡散部材を保持し、前記拡散部材を前記LEDに所定の間隙をもって対向させるホルダを有する、請求項1に記載の笠木用照明装置。
【請求項3】
前記棒状部材は、一対設けられ、両側の前記パッキン及び前記ハウジング内をそれぞれ貫通し、
前記LED基板は、前記放熱部材と前記棒状部材の間に配置されている、請求項2に記載の笠木用照明装置。
【請求項4】
前記ホルダは、一対の前記棒状部材の間に配置されると共に、一対の前記棒状部材に対しそれぞれ弾性的に接触する第1当接部を有する、請求項3に記載の笠木用照明装置。
【請求項5】
前記ホルダは、前記LEDの光を前記拡散部材に導く導光孔が形成されると共に、一対の前記棒状部材の間に配置される遮光部を有する、請求項3又は請求項4に記載の笠木用照明装置。
【請求項6】
前記ホルダは、一対の前記棒状部材に対し前記LED基板と反対側からそれぞれ接触する第2当接部を有する、請求項3又は請求項4に記載の笠木用照明装置。
【請求項7】
前記棒状部材は、少なくとも端部にねじ部を有し、
前記パッキンは、前記棒状部材の前記ねじ部に螺合させたナットにより前記ハウジングに固定されている、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の笠木用照明装置。
【請求項8】
前記放熱部材の端部には、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制する受け部が設けられている、請求項7に記載の笠木用照明装置。
【請求項9】
前記ハウジングの両端の内側に設けられ、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制するパッキン受けを有する、請求項7に記載の笠木用照明装置。
【請求項10】
笠木と、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の笠木用照明装置と、
前記棒状部材を支持して前記笠木用照明装置を前記笠木に取り付ける取付部材と、
を有する照明笠木。
【請求項11】
前記取付部材は、前記笠木用照明装置の取付角度を調整可能とされている、請求項10に記載の照明笠木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠木用照明装置及び照明笠木に関する。
【背景技術】
【0002】
通路やベランダなどに設置される手摺において、人が手を掛けるための笠木の内部に照明装置が納められた構造が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。このような照明装置により、人の足元を照らすことができ、また光の照射による演出効果が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-2232号公報
【特許文献2】特開2020-84735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の笠木用の照明装置は、特許文献1のように、テープLEDを用い、足元を満遍なく照らすものが主流であった。このテープLEDは、多数のLEDがフレキシブル基板に所定間隔で配置されたものであり、連続光を発することが可能となっている。また、特許文献2のように、必ずしも連続光でなくてもよい場合や、特許文献1のようにスポット的な光が望まれる場合もある。
【0005】
しかしながら、照明装置の光の照射方向が一定である場合、施工時に笠木を回して照射方向を設定したり、照射角度に応じて照明装置内の基板の設置角度を変え、照明装置を作り分けたりすることが必要になる。また、施工時に照明装置の防水作業が必要になる場合がある。
【0006】
本発明は、施工性が改善された笠木用照明装置及び照明笠木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る笠木用照明装置は、両端が開口した管状のハウジングと、前記ハウジングの両端をそれぞれ塞ぐパッキンと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの軸方向に延びる放熱部材と、前記放熱部材に結合され、前記パッキンを貫通すると共に前記パッキンの位置を保持可能な棒状部材と、前記ハウジング内に設けられると共に前記放熱部材に取り付けられ、光源となるLEDが設けられたLED基板と、を有する。
【0008】
また、ハウジングの両端はパッキンで塞がれるので、ハウジング内への水の侵入を抑制できる。したがって、笠木用照明装置を屋外の例えば歩行補助手摺に、防水作業を行うことなく設置することができる。防水作業を行う場合でも、従来よりも簡易な防水作業で済む。更に、ハウジング内において、LED基板は放熱部材に取り付けられているので、LED基板の過熱を抑制できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る笠木用照明装置において、前記ハウジング内に設けられ、前記LEDの光を拡散させるための拡散部材を保持し、前記拡散部材を前記LEDに所定の間隙をもって対向させるホルダを有する。
【0010】
この笠木用照明装置では、光透過性を有する管状のハウジング内に、光源となるLEDを有するLED基板が設けられている。ホルダに保持された拡散部材は、所定の間隙をもってLEDに対向している。LEDを発光させると、その光が拡散部材により拡散される。これにより、拡散部材面積よりも広い領域を照らすことができる。照射範囲は、拡散部材の設定やハウジング(棒状部材)の取付け角度等により任意に設定することが可能である。
【0011】
第3の態様は、第2の態様に係る笠木用照明装置において、前記棒状部材が一対設けられ、両側の前記パッキン及び前記ハウジング内をそれぞれ貫通し、前記LED基板が前記放熱部材と前記棒状部材の間に配置されている。
【0012】
この笠木用照明装置では、ハウジング及びパッキンには棒状部材が貫通しており、該棒状部材によりパッキンの位置を保持可能であるので、LED点灯時の発熱等によりハウジングの内圧が高まっても、パッキンがハウジングから外れることが抑制される。
【0013】
第4の態様は、第3の態様に係る笠木用照明装置において、前記ホルダが、一対の前記棒状部材の間に配置されると共に、一対の前記棒状部材に対しそれぞれ弾性的に接触する第1当接部を有する。
【0014】
この笠木用照明装置では、ホルダが、一対の棒状部材に対しLED基板側と反対側からそれぞれ弾性的に接触する第1当接部を有するので、各部の寸法のばらつきがあっても、一対の棒状部材とホルダとの位置関係を安定させることができる。
【0015】
第5の態様は、第3又は第4の態様に係る笠木用照明装置において、前記ホルダが、前記LEDの光を前記拡散部材に導く導光孔が形成されると共に、一対の前記棒状部材の間に配置される遮光部を有する。
【0016】
この笠木用照明装置では、ホルダに導光孔が形成されているので、LEDの光を効率的に拡散部材へ導くことができる。また、ホルダが、一対の棒状部材の間に配置される遮光部を有するので、予定しない方向へのLEDの光の漏れを抑制することができる。
【0017】
第6の態様は、第3又は第4の態様に係る笠木用照明装置において、前記ホルダが、一対の前記棒状部材に対し前記LED基板と反対側からそれぞれ接触する第2当接部を有する。
【0018】
この笠木用照明装置では、ホルダが、一対の棒状部材に対し前記LED基板と反対側からそれぞれ接触する第2当接部を有するので、拡散部材とLEDとの間隙を安定的に維持できる。このため、LEDの照射範囲を安定させることができる。
【0019】
第7の態様は、第1~第4の態様の何れか1態様に係る笠木用照明装置において、前記棒状部材が、少なくとも端部にねじ部を有し、前記パッキンは、前記ねじ部に螺合させたナットにより前記ハウジングに固定されている。
【0020】
この笠木用照明装置では、棒状部材のねじ部と該ねじ部に螺合させたナットにより、パッキンがハウジングの両端にそれぞれ固定されているので、パッキンがハウジングから外れることをより安定的に防止できる。
【0021】
第8の態様は、第7の態様に係る笠木用照明装置において、前記放熱部材の端部には、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制する受け部が設けられている。
【0022】
この笠木用照明装置では、放熱部材の端部に設けられた受け部によりパッキンのハウジング内への進入を抑制して、ハウジング内への水の侵入を抑制することができる。
【0023】
第9の態様は、第7の態様に係る笠木用照明装置において、前記ハウジングの両端の内側に設けられ、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制するパッキン受けを有する。
【0024】
この笠木用照明装置では、ハウジングの両端の内側に設けられたパッキン受けによりパッキンのハウジング内への進入を抑制して、ハウジング内への水の侵入を抑制することができる。
【0025】
第10の態様は、笠木と、第1~第4の態様の何れか1態様に係る笠木用照明装置と、前記棒状部材を支持して前記笠木用照明装置を前記笠木に取り付ける取付部材と、を有する。
【0026】
この照明笠木では、上記笠木用照明装置が、取付部材により笠木に取り付けられているので、改善された照明笠木を提供できる。
【0027】
第11の態様は、第10の態様に係る照明笠木において、前記取付部材が、前記笠木用照明装置の取付角度を調整可能とされている。
【0028】
この照明笠木では、取付部材により笠木用照明装置の取付角度を調整可能であるので、笠木を有する手摺等の設置場所において光の照射範囲を容易に調整できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、施工性が改善された笠木用照明装置及び照明笠木を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態に係る照明笠木を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る笠木用照明装置を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る笠木用照明装置を示す分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る照明笠木を示す分解斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る照明笠木を示す部分破断斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る照明笠木を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る照明笠木を示す、
図7における8-8矢視拡大断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る照明笠木を示す分解斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る笠木用照明装置を示す分解斜視図である。
【
図11】(A)は、第2実施形態に係る笠木用照明装置において、照射方向を真下方向に設定した例を示す斜視図である。(B)は、第2実施形態に係る笠木用照明装置において、取付角度調整により、照射方向を斜め下方向に設定した例を示す斜視図である。
【
図12】(A)は、第1実施形態に係る取付部材により、照射方向を真下方向に設定する例を示す斜視図である。(B)は、変形例に係る取付部材により、照射方向を斜め下方向に設定する例を示す斜視図である。
【
図13】第3実施形態に係る笠木用照明装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0032】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
【0033】
[第1実施形態]
図1から
図8において、本実施形態に係る照明笠木10は、笠木12と、笠木用照明装置14と、取付部材15とを有している。
【0034】
笠木12は、例えば歩行補助手摺の主要部分を構成する長尺状の略円筒部材であり、複数の壁付ブラケット16等の支持部材により支持されている。壁付ブラケット16には、笠木12を支持する支持部18が設けられている。笠木12は、支持部18に載置された状態で、下方からねじ20を用いて固定されている。
【0035】
図5に示されるように、笠木12の底面側には、笠木用照明装置14を収めるための例えば矩形の凹部12Aが設けられている。凹部12Aは、例えば笠木12の長手方向の全長にわたって連続的に形成されている。笠木12の外周面12Bは、凹部12Aを除き、例えば円筒面とされている。
【0036】
(笠木用照明装置)
図2から
図4において、笠木用照明装置14は、管状のハウジング22と、パッキン24,26と、一対の棒状部材28と、放熱部材30と、LED基板32と、ホルダの一例としてのレンズホルダ34と、を有している。
【0037】
ハウジング22は、光透過性を有し、両端が開口した、例えば円筒部材である。ハウジング22は、少なくともLED基板32からの光を通す部分が透明又は半透明とされている。ハウジング22の全体が透明又は半透明とされていてもよい。
【0038】
図3に示されるように、パッキン24,26は、ハウジング22の両端をそれぞれ塞ぐ、例えば円板状のゴム部材である。パッキン24,26には、他の部材が重ねて設けられている。具体的には、ハウジング22の長手方向の内側から外側に向かって、受け部の一例としてのパッキン受け35と、パッキン24、パッキン押え36、パッキン26、及びパッキン押え38とが順に配置されている。これらの部材には、棒状部材28を通すための貫通孔40と、LED基板32に接続される配線33を通すための貫通孔42とが、例えば2箇所ずつ形成されている。これらの部材を代表して、パッキン受け35に貫通孔40,42の符号を付している。パッキン受け35の外径は、ハウジング22の内径よりわずかに小さく設定されている。パッキン受け35は、ハウジング22の両端の内側に設けられ、パッキン24のハウジング22内への進入を抑制する。これにより、ハウジング22に対する棒状部材28、放熱部材30、LED基板32、及びレンズホルダ34の位置決めが可能となっている。
【0039】
パッキン24の外径は、例えばハウジング22の外径と同等とされており、ハウジング22の端面の全周に当接可能となっている。これにより、パッキン24がハウジング22の両端を塞ぐことが可能となっている。また、パッキン26及びパッキン押え36、38の外径は、パッキン24と同等とされている。パッキン26は、パッキン24よりも厚肉とされている。パッキン押え36、38は、例えば円板状の硬質樹脂部材である。なお、ハウジング22の両端を塞ぎ、ハウジング22に対する棒状部材28等の位置決めが可能であれば、これらの部材の一部を省略することも可能である。
【0040】
棒状部材28は、例えば少なくとも端部にねじ部を有し、両側のパッキン24,26をそれぞれ貫通すると共に、パッキン24,26の位置を保持可能とされている。この棒状部材28は、例えばハウジング22内及び両側のパッキン24,26をそれぞれ貫通する寸切りボルトである。寸切りボルトには、ねじ部が全長にわたって形成されている。パッキン24,26は、棒状部材28のねじ部に螺合させたナット44によりハウジング22に固定されている。ナット44とパッキン押え38との間には、例えば2枚の座金46が配置されている。座金46は、シール座金であってもよい。座金46をシール座金とすることで、防水性を高められる。ナット44から突出する部分には、後述する取付部材15が固定される(
図5)。
【0041】
放熱部材30は、ハウジング22内に設けられ、ハウジング22の軸方向に延びる、例えば金属部材である。放熱部材30は、板状に形成された一般部30Aと、一般部30Aの両端を折り曲げて形成された折曲げ部30Bとを有している。放熱部材30の長さは、ハウジング22の長さから、2枚のパッキン受け35の厚さを引いた長さに相当する。つまり、放熱部材30の折曲げ部30Bは、ハウジング22の端部からわずかに内側に位置するようになっている。また、両側の折曲げ部30Bは、それぞれパッキン受け35に当接している。これにより、放熱部材30は、ハウジング22の長手方向において、一対のパッキン受け35に挟みこまれている。
【0042】
放熱部材30の一般部30Aには、後述するねじ54によりLED基板32、レンズホルダ34等を固定するためのねじ穴30Cが、例えば2箇所形成されている(
図4)。放熱部材30における例えば折曲げ部30Bには、棒状部材28に係止される係止部30Dがそれぞれ形成されている。係止部30Dは、例えば、折曲げ部30Bの幅方向の両端縁に形成された半円状の凹部である。係止部30Dが棒状部材28に係止されることで、折曲げ部30Bの幅方向及び高さ方向における、棒状部材28に対する放熱部材30の位置決めがなされるようになっている。また、放熱部材30の折曲げ部30Bには、配線33(
図6)を通す貫通孔30Eが形成されている。
【0043】
図3、
図8に示されるように、LED基板32は、ハウジング22内に設けられ、放熱部材30と棒状部材28の間に配置されると共に放熱部材30に取り付けられている。LED基板32には、光源となるLED48が設けられている。LED48は、例えばLED基板32の中央部の1箇所に設けられている。またLED基板32には、ねじ54を通すための貫通孔32Aが形成されている。この貫通孔32Aは、LED基板32の長手方向におけるLED48の両側に1箇所ずつ形成されている。
【0044】
図2、
図3、
図7、
図8に示されるように、レンズホルダ34は、ハウジング22内に設けられ、LED48の光を拡散させるための拡散部材の一例としてのレンズ50を保持し、レンズ50をLED48に所定の間隙をもって対向させる部材である。レンズ50は、レンズホルダ34の中央に取り付けられる。具体的には、レンズ50は、LED48の光を拡散させるための部材であり、レンズホルダ34の下面中央に設けられた導光孔34Aの位置に配置され、該下面に固定されるレンズ押え52により保持される。レンズ押え52には、レンズ50を下方へ露出させるための貫通孔52Aと、ねじ54を通すための貫通孔52Bが形成されている。この貫通孔52Bは、レンズ押え52の長手方向における貫通孔52Aの両側に1箇所ずつ形成されている。LED基板32、レンズホルダ34、レンズ押え52の長さは、それぞれ互いに同等とされ、その長さは、例えばハウジング22の長さの半分程度とされている。
【0045】
レンズホルダ34は、一対の棒状部材28の間に配置される遮光部34Cを有する。遮光部34Cは、略直方体状に形成され、中央に導光孔34Aが形成されている。遮光部34Cの先端は、LED基板32に近接又は当接している。導光孔34Aは、LED48の光をレンズ50に導く貫通孔である。LED48とレンズ50は、導光孔34Aを通じて対向している。
【0046】
また、レンズホルダ34は、一対の棒状部材28に対しLED基板32側と反対側からそれぞれ弾性的に接触する第1当接部、例えば片持ち状の板状部34Eを有している。板状部34Eは、遮光部34Cの例えば全長にわたって、遮光部34Cの幅方向の両側に設けられている。板状部34Eは、その基端側(例えばレンズ50側)を中心として弾性的に揺動可能とされている。また、板状部34Eの先端は、LED基板32に近接又は当接している。更に、レンズホルダ34は、一対の棒状部材28に対しLED基板32と反対側からそれぞれ接触する第2当接部、例えば一対の張出し部34Bを有している。
【0047】
遮光部34Cの幅寸法は、一対の棒状部材28の間隔よりも小さく設定されている。これにより、レンズホルダ34の遮光部34Cは、一対の棒状部材28の間にLED基板32と反対側から差し込まれている。レンズホルダ34には、ねじ54を通すための貫通孔34Dが形成されている。この貫通孔34Dは、レンズホルダ34の長手方向における導光孔34Aの両側に1箇所ずつ形成されている。
【0048】
レンズ押え52、レンズホルダ34、LED基板32は、ねじ54を用いて放熱部材30に締結固定される。ねじ54は、放熱部材30のねじ穴30Cに螺合する。これにより、
図8に示されるように、レンズホルダ34は、棒状部材28に対しLED基板32と反対側から押圧固定されている。具体的には、レンズホルダ34の張出し部34Bの先端部が、LED基板32と反対側から棒状部材28にそれぞれ当接している。レンズホルダ34の板状部34Eは、棒状部材28に遮光部34C側から弾性的に当接している。また、レンズホルダ34の遮光部34Cは、LED基板32に近接又は当接している。
【0049】
なお、図示の例では、レンズホルダ34とレンズ押え52の間にレンズ50が挟まれているが、レンズホルダ34に設けた凹部にレンズ50が嵌合する構造であってもよい(図示せず)。この場合、レンズ押え52を省略することができる。
【0050】
図5、
図7に示されるように、取付部材15は、一対の棒状部材28を支持して笠木用照明装置14を笠木12に取り付ける、例えばL字形のアングル材である。この取付部材15は、棒状部材28が通される貫通孔15Bを有し(
図12(A))、棒状部材28の両端にナット56及び座金57を用いて固定されている。具体的には、取付部材15は、ナット44,56の間に挟持されている。取付部材15には、ねじ58を通すための貫通孔15Aが形成されている。取付部材15は、このねじ58を用いて笠木12の凹部12Aの天井面に固定される。これにより、笠木用照明装置14が凹部12A内に取り付けられている。取付部材15には、配線33が挿通されるようになっている。
【0051】
図5から
図7に示されるように、笠木12には、取付部材15を覆うカバー60が取り付けられている。一例として、笠木12の凹部12Aの天井面に、取付部材15に隣接してレール62が取り付けられる。この取付けには、例えばねじ64及び接着剤が用いられる。カバー60は、このレール62に嵌合することで、ねじを用いることなく取り付けられる。カバー60の幅は、凹部12Aの幅よりもわずかに小さく設定されている。カバー60の高さは、凹部12Aの深さと同等である。カバー60には、取付部材15との干渉を防ぐための切欠き60Aが形成されている。これにより、カバー60と取付部材15との干渉を防ぎつつ、カバー60で取付部材15を覆うことができるようになっている。
【0052】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係る笠木用照明装置14では、光透過性を有する管状のハウジング22内に、光源となるLED48を有するLED基板32が設けられている。レンズホルダ34に保持されたレンズ50は、所定の間隙をもってLED48に対向している。LED48を発光させると、その光がレンズにより拡散される。これにより、レンズ50の面積よりも広い領域を照らすことができる。照射範囲は、レンズ50の設定やハウジング22(棒状部材28)の取付け角度等により任意に設定することが可能である。例えば、LED48をスポット的に設けつつ、照射領域を笠木12の長手方向に長い楕円形に照らすことも可能である。
【0053】
また、棒状部材28とナット44により、パッキン24,26がハウジング22の両端にそれぞれ固定されている。これにより、パッキン24,26がハウジング22から外れることを安定的に防止できる。そして、ハウジング22の両端はパッキン24,26で塞がれている。これによって、ハウジング22内への水の侵入を抑制できる。したがって、笠木用照明装置14を屋外の例えば歩行補助手摺に、防水作業を行うことなく設置することができる。防水作業を行う場合でも、従来よりも簡易な防水作業で済む。
【0054】
更に、ハウジング22内において、LED基板32は放熱部材30に取り付けられているので、LED基板32の過熱を抑制できる。また、ハウジング22及びパッキン24,26には、棒状部材28が貫通しており、該棒状部材28によりパッキン24,26の位置を保持可能である。したがって、LED48の点灯時の発熱等によりハウジング22の内圧が高まっても、パッキン24,26がハウジング22から外れることが抑制される。
【0055】
レンズホルダ34に遮光部34Cに導光孔34Aが形成されているので、LED48の光を効率的にレンズ50へ導くことができる。また、レンズホルダ34が、一対の棒状部材28の間に配置される遮光部34Cを有するので、予定しない方向へのLED48の光の漏れを抑制することができる。
【0056】
更に、レンズホルダ34が、一対の棒状部材28に対しLED基板32側と反対側からそれぞれ弾性的に接触する第1当接部としての板状部34Eを有するので、各部の寸法のばらつきがあっても、一対の棒状部材28とレンズホルダ34との位置関係を安定させることができる。一対の板状部34Eの外寸が一対の棒状部材28の間隔よりも若干大きくても、板状部34Eが弾性変形することで、板状部34E及び遮光部34Cを一対の棒状部材28の間に入れることができる。また、板状部34Eが一対の棒状部材28の間に嵌合することで、レンズホルダ34を棒状部材28に対し仮止め状態とすることができる。これにより、ねじ54を用いて、レンズ押え52、レンズホルダ34及びLED基板32を、放熱部材30に締結固定する作業が容易となる。
【0057】
また、レンズホルダ34が、一対の棒状部材28に対しLED基板32と反対側からそれぞれ接触する第2当接部の一例としての張出し部34Bを有するので、レンズ50とLED48との間隙を安定的に維持できる。このため、LED48の照射範囲を安定させることができる。
【0058】
更に、
図3、
図4に示されるように、放熱部材30が、棒状部材28に係止される係止部30Dを有するので、ハウジング22内における放熱部材30、更には放熱部材30に取り付けられるLED基板32の位置を安定させることができる。
【0059】
また、
図5から
図7に示されるように、笠木12に、取付部材15を覆うカバー60が取り付けられているので、取付部材15及びその近傍に位置する配線33等の部材を保護することができる。
【0060】
そして、本実施形態に係る照明笠木10は、上記笠木用照明装置14を有している。したがって、本実施形態によれば、改善された笠木用照明装置14及び照明笠木10を提供することができる。
【0061】
[第2実施形態]
図9から
図11において、本実施形態に係る照明笠木10では、取付部材65が、笠木用照明装置14の取付角度を調整可能とされている。なお、
図10では、取付部材65に関連するねじ、座金、ナットの大きさを、取付部材65に対して大きく記載している。
【0062】
取付部材65は、例えば第1部材71と、第2部材72とを有している。第1部材71は、例えば金属板を略U字形に折り曲げて構成された部材であり、棒状部材28の両端にナット56及び座金57を用いて固定されている。具体的には、第1取付部材71は、折曲げ部71A,71Bを有しており、折曲げ部71Aがナット44,56の間に挟持されている。折曲げ部71Bの先端部71Cは、例えば略V字形に形成されている。
【0063】
第2部材72は、例えばL字形のアングル材であり、折曲げ部71Bに対して、ねじ74、ナット76及び座金78,80,82を用いて固定されている。座金80は、第1部材71と第2部材72の間に位置している。第2部材72には、ねじ58を通すための貫通孔72Aが形成されている。第2部材72は、このねじ58を用いて笠木12の凹部12Aの天井面に固定される。これにより、笠木用照明装置14が凹部12A内に取り付けられている。
【0064】
第2部材72にはストッパ部72Bが形成されている。笠木用照明装置14は、第1部材71における折曲げ部71Bの先端部71Cがストッパ部72Bに当接しない範囲で、第2部材72に対してねじ74を中心として回動可能とされている(
図11(A))。第1部材71の先端部71Cがストッパ部72Bに当接すると、それ以上の笠木用照明装置14の回動は制限される(
図11(B))。
【0065】
そして、第1部材71及び第2部材72には、配線33が挿通されるようになっている。
【0066】
本実施形態では、取付部材65、具体的には、第1部材71及び第2部材72により、笠木用照明装置14の取付角度を調整可能である。したがって、笠木12を有する手摺等の設置場所において光の照射範囲を容易に調整できる。
【0067】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
(変形例)
図12(A)において、第1実施形態に係る取付部材15では、棒状部材28が通される2つの貫通孔15Bが、取付部材15の幅方向と平行に配置されている。取付部材15を、その幅方向が水平方向となるように笠木12に取り付けることにより、笠木用照明装置14の照射方向を真下方向に設定することができる。
【0069】
一方、
図12(B)に示されるように、2つの貫通孔15Bが、取付部材15の幅方向に対して傾いた方向に配置されるようにしてもよい。取付部材15を、その幅方向が水平方向となるように笠木12に取り付けることにより、笠木用照明装置14の照射方向を斜め下方向に設定することができる。
【0070】
[第3実施形態]
図13において、本実施形態に係る笠木用照明装置14sでは、棒状部材29がハウジング22内を貫通しておらず、ハウジング22の両端部にそれぞれ別々に設けられている。この棒状部材29は、例えば六角ボルトであり、その頭部は放熱部材31の折曲げ部31Bの内側面に位置している。折曲げ部31Bには、半円状の凹部に代えてねじ穴(図示せず)が形成されている。棒状部材29のねじ部は、折曲げ部31Bに形成されたねじ穴(図示せず)に螺合して頭部と反対側にハウジング22の外まで突出している。ねじ部は、パッキン24、パッキン押え36、パッキン26、及びパッキン押え38を順に貫通している。これらの部材は、ねじ部に螺合させたナット44によりハウジング22に固定されている。
【0071】
本実施形態では、放熱部材31の端部の折曲げ部31Bがパッキン24に直接当接する構成となっている。つまり、折曲げ部31Bが、パッキン24のハウジング22内への進入を抑制する受け部に相当する。
【0072】
また、本実施形態では、LED基板32が複数のLED48を有している。ハウジング22内には、LED48の光を拡散させるために、拡散部材の一例としての光拡散シート90が設けられている。また、ハウジング22内には、光拡散シート90を保持するホルダ84が設けられている。ホルダ84は、略四角筒状の本体部91と、光拡散シート90を保持する枠部92とを備えている。
【0073】
枠部92は、LED48の光が通る部分が開口した例えば枠状部材である。枠部92、光拡散シート90、本体部91、LED基板32は、ねじ54を用いて放熱部材31に締結固定されている。これにより、光拡散シート90は、LED48と所定の間隙をもって対向した状態でホルダ84に保持される。
【0074】
本実施形態では、棒状部材29がハウジング22を貫通していないので、棒状部材28がハウジング22を貫通する構造の第1実施形態と比較して、ハウジング22内に複数のLED48を配置することが可能となり、より低出力のLED48を選択することもできる。また、放熱部材30の端部の折曲げ部31Bがパッキン24に直接当接するので、第1実施形態におけるパッキン受け35が不要となる。
【0075】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0076】
棒状部材28は寸切りボルトに限られず、例えば両端に雄ねじ部が部分的に設けられた棒状部材であってもよい。
【0077】
レンズホルダ34が、棒状部材28にそれぞれ接触する第2当接部の一例としての張出し部34Bを有するものとしたが、レンズホルダ34を安定的に固定できる構造であれば、棒状部材28に第2当接部を有していなくてもよい。
【0078】
放熱部材30が、棒状部材28に係止される係止部30Dを有するものとしたが、係止部30Dを有しない構成であってもよい。
【0079】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、放熱部材30の折曲げ部30Bにパッキン受け35が当接しており、パッキン受け35がパッキン24のハウジング22内への進入を抑制する受け部となっている。受け部は、折曲げ部30Bに限られず、放熱部材30における他の部位であってもよい。
【0080】
笠木12に、取付部材15を覆うカバー60が取り付けられるものとしたが、カバー60の構成は図示のものに限られない。
【0081】
図示の笠木12は、例えば歩行補助手摺の笠木12であるが、墜落防止手摺の笠木12や歩行者自転車用柵の笠木12であってもよい。また、図示の笠木12が複数の壁付ブラケット16に架設されるものとしたが、笠木12が複数の支柱(図示せず)に架設されていてもよい。
【0082】
以下、本開示の好ましい形態について付記する。
(付記1)
光透過性を有し、両端が開口した管状のハウジングと、
前記ハウジングの両端をそれぞれ塞ぐパッキンと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの軸方向に延びる放熱部材と、
前記放熱部材に結合され、前記パッキンを貫通すると共に前記パッキンの位置を保持可能な棒状部材と、
前記ハウジング内に設けられると共に前記放熱部材に取り付けられ、光源となるLEDが設けられたLED基板と、
を有する笠木用照明装置。
【0083】
(付記2)
前記ハウジング内に設けられ、前記LEDの光を拡散させるための拡散部材を保持し、前記拡散部材を前記LEDに所定の間隙をもって対向させるホルダを有する、付記1に記載の笠木用照明装置。
【0084】
(付記3)
前記棒状部材は、一対設けられ、両側の前記パッキン及び前記ハウジング内をそれぞれ貫通し、
前記LED基板は、前記放熱部材と前記棒状部材の間に配置されている、付記1又は付記2に記載の笠木用照明装置。
【0085】
(付記4)
前記ホルダは、一対の前記棒状部材の間に配置されると共に、一対の前記棒状部材に対しそれぞれ弾性的に接触する第1当接部を有する、付記3に記載の笠木用照明装置。
【0086】
(付記5)
前記ホルダは、前記LEDの光を前記拡散部材に導く導光孔が形成されると共に、一対の前記棒状部材の間に配置される遮光部を有する、付記3又は付記4に記載の笠木用照明装置。
【0087】
(付記6)
前記ホルダは、一対の前記棒状部材に対し前記LED基板と反対側からそれぞれ接触する第2当接部を有する、付記3~付記5の何れかに記載の笠木用照明装置。
【0088】
(付記7)
前記棒状部材は、少なくとも端部にねじ部を有し、
前記パッキンは、前記棒状部材の前記ねじ部に螺合させたナットにより前記ハウジングに固定されている、付記1~付記6の何れかに記載の笠木用照明装置。
【0089】
(付記8)
前記放熱部材の端部には、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制する受け部が設けられている、付記1~付記7の何れかに記載の笠木用照明装置。
【0090】
(付記9)
前記ハウジングの両端の内側に設けられ、前記パッキンの前記ハウジング内への進入を抑制するパッキン受けを有する、付記1~付記8の何れかに記載の笠木用照明装置。
【0091】
(付記10)
笠木と、
付記1~付記9の何れかに記載の笠木用照明装置と、
前記棒状部材を支持して前記笠木用照明装置を前記笠木に取り付ける取付部材と、
を有する照明笠木。
(付記11)
前記取付部材は、前記笠木用照明装置の取付角度を調整可能とされている、付記10に記載の照明笠木。
【符号の説明】
【0092】
10 照明笠木
12 笠木
12A 凹部
14 笠木用照明装置
15 取付部材
22 ハウジング
24 パッキン
26 パッキン
28 棒状部材
29 棒状部材
30 放熱部材
30B 折曲げ部
30D 係止部
31 放熱部材
31B 折曲げ部(受け部)
32 LED基板
34 レンズホルダ(ホルダ)
34A 導光孔
34B 張出し部(第2当接部)
34C 遮光部
34E 板状部(第1当接部)
35 パッキン受け(受け部)
48 LED
50 レンズ(拡散部材)
52 レンズ押え
60 カバー
65 取付部材
84 ホルダ
90 光拡散シート(拡散部材)