(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146030
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20241004BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20241004BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
B01D46/10 B
F24F8/108 210
F24F8/80 110
F24F8/80 212
F24F8/80 232
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058694
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】西沢 伸彦
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA12
4D058JA14
4D058KC19
4D058KC22
4D058KC33
4D058KC52
4D058KC54
(57)【要約】
【課題】空気清浄機の筐体にエアフィルタを取り付けるための取付用部品を紛失することがなく、エアフィルタの取り付け及び取り外しの作業性に優れた空気清浄機を提供する。
【解決手段】実施形態の空気清浄機は、平板状のエアフィルタと、エアフィルタを通過する気流方向の両側からエアフィルタを挟む第1筐体及び第2筐体と、第1筐体との間にエアフィルタを挟み込んで保持するための保持枠と、を備える。第1筐体は、保持枠と向き合い、エアフィルタの周りを囲むように設けられた周状壁部を有する。保持枠は、第1筐体に対し回動可能となるよう、周状壁部の第1壁部領域に連結される。保持枠は、第2壁部領域と向き合う保持枠の部分に設けられた少なくとも1つの係止部材を有し、係止部材は、操作されることにより第2壁部領域に係止し、第2壁部領域を相対的に引き寄せるよう構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に空気を通過させる平板状のエアフィルタと、
前記エアフィルタを通過する気流方向の両側から前記エアフィルタを挟むように、互いに組み合わせられる第1筐体及び第2筐体と、
前記第1筐体との間に前記エアフィルタを挟み込んで保持するための保持枠と、を備え、
前記第1筐体は、前記保持枠と向き合い、前記エアフィルタの周りを囲むように設けられた周状壁部を有し、
前記保持枠は、前記第1筐体に対し回動可能となるよう、前記周状壁部の周方向の一部の領域である第1壁部領域に連結され、
前記保持枠は、前記第1壁部領域以外の前記周状壁部の領域である第2壁部領域と向き合う前記保持枠の部分に設けられた少なくとも1つの係止部材を有し、前記係止部材は、操作されることにより前記第2壁部領域に係止し、前記第2壁部領域を相対的に引き寄せるよう構成されている、ことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記エアフィルタは水平方向に空気を通過させるように保持され、
前記エアフィルタを通過する気流方向に見て、前記周状壁部及び前記保持枠は互いに重なる矩形形状を有し、
前記周状壁部は、前記周状壁部の四辺のうち最下部に位置する下辺をなす壁部領域を前記第1壁部領域とし、前記周状壁部の四辺のうち最上部に位置する上辺をなす壁部領域を少なくとも前記第2壁部領域とする、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記第2筐体は、前記第1筐体の前記周状壁部のうち前記第1壁部領域以外の壁部領域の周りを囲むように設けられた外周壁部を有し、前記外周壁部は、前記第1筐体と共に前記空気清浄機の上面部及び側面部を形成し、
前記エアフィルタを通過する気流方向に見たときの前記外周壁部と前記周状壁部の間隔に関して、前記側面部における間隔G1は、前記上面部における間隔G2よりも狭い、請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記係止部材は、前記第2壁部領域として、前記周状壁部の四辺のうち前記上辺をなす壁部領域と向き合う前記保持枠の前記部分に加え、さらに、前記周状壁部の四辺のうち前記上辺と前記下辺の間の側辺をなす壁部領域と向き合う前記保持枠の部分に設けられている、請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第1筐体は、前記第1壁部領域の外周側において、前記エアフィルタを通過する気流方向の両側のうち前記第2筐体が配置される側である前記第2の側に迫り出した迫出部をさらに有し、前記迫出部は、前記第2筐体と共に、前記第2の側の前記空気清浄機の面の部分を形成し、
前記第1筐体に対する回動角度の角度範囲を制限するように、前記保持枠と前記第1壁部領域との連結位置における前記保持枠と前記迫出部との間隔が定められている、請求項2から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記保持枠は、前記エアフィルタと前記第2筐体との間に挟み込まれて配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記エアフィルタを通過する気流方向と平行な方向の長さに関して、前記保持枠の長さは前記周状壁部の長さより長い、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタを備える空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
一方向に空気を通過させて濾過を行う平板状のエアフィルタを収容し、エアフィルタを気流方向の両側から筐体で挟むように組み立てた薄型の空気清浄機が知られている。薄型の空気清浄機は、一般に、空気が水平方向にエアフィルタを通過するように、床などの設置面に対して立設した状態で使用される。
【0003】
薄型の空気清浄機を立設した状態で移動できるように、例えば、キャスター付きの脚部を空気清浄機本体の底部に設けたものが知られている。脚部は、薄い空気清浄機本体が倒れないよう、空気清浄機本体と直交する方向に延びるように設けられている。しかし、このような脚部があると、空気清浄機の周りの環境によっては、移動させる際に机や椅子などの周りの物に引っ掛けたり、近くを人が通る際に足を引っ掛けたりする場合がある。そこで、このような脚部を設けず、壁に掛けて使用できるように設計された空気清浄機が用いられる場合がある。
【0004】
ところで、薄型の空気清浄機の筐体へのエアフィルタの取り付けは、例えば、空気清浄機の筐体の内面に設けた、エアフィルタの取付位置の周りを囲む周状壁部の内側にエアフィルタを収納し、さらに、エアフィルタを取り囲む方向に互いに間隔をあけた周状壁部の複数箇所において、ボルトや係止用部材などの取付用部品を取り付け、締め付けることで行うことができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
壁に掛けて使用できるように設計された空気清浄機を壁に掛けたまま、取付用部品を用いてエアフィルタの取り付け、取り外しを行うと、作業中に取付用部品が落下し、紛失しやすい。
【0007】
本発明は、空気清浄機の筐体にエアフィルタを取り付けるための取付用部品を紛失することがなく、エアフィルタの取り付け及び取り外しの作業性に優れた空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の態様を包含する。
態様1
一方向に空気を通過させる平板状のエアフィルタと、
前記エアフィルタを通過する気流方向の両側から前記エアフィルタを挟むように、互いに組み合わせられる第1筐体及び第2筐体と、
前記第1筐体との間に前記エアフィルタを挟み込んで保持するための保持枠と、を備え、
前記第1筐体は、前記保持枠と向き合い、前記エアフィルタの周りを囲むように設けられた周状壁部を有し、
前記保持枠は、前記第1筐体に対し回動可能となるよう、前記周状壁部の周方向の一部の領域である第1壁部領域に連結され、
前記保持枠は、前記第1壁部領域以外の前記周状壁部の領域である第2壁部領域と向き合う前記保持枠の部分に設けられた少なくとも1つの係止部材を有し、前記係止部材は、操作されることにより前記第2壁部領域に係止し、前記第2壁部領域を相対的に引き寄せるよう構成されている、ことを特徴とする空気清浄機。
【0009】
態様2
前記エアフィルタは水平方向に空気を通過させるように保持され、
前記エアフィルタを通過する気流方向に見て、前記周状壁部及び前記保持枠は互いに重なる矩形形状を有し、
前記周状壁部は、前記周状壁部の四辺のうち最下部に位置する下辺をなす壁部領域を前記第1壁部領域とし、前記周状壁部の四辺のうち最上部に位置する上辺をなす壁部領域を少なくとも前記第2壁部領域とする、態様1に記載の空気清浄機。
【0010】
態様3
前記第2筐体は、前記第1筐体の前記周状壁部のうち前記第1壁部領域以外の壁部領域の周りを囲むように設けられた外周壁部を有し、前記外周壁部は、前記第1筐体と共に前記空気清浄機の上面部及び側面部を形成し、
前記エアフィルタを通過する気流方向に見たときの前記外周壁部と前記周状壁部の間隔に関して、前記側面部における間隔G1は、前記上面部における間隔G2よりも狭い、態様2に記載の空気清浄機。
【0011】
態様4
前記係止部材は、前記第2壁部領域として、前記周状壁部の四辺のうち前記上辺をなす壁部領域と向き合う前記保持枠の前記部分に加え、さらに、前記周状壁部の四辺のうち前記上辺と前記下辺の間の側辺をなす壁部領域と向き合う前記保持枠の部分に設けられている、態様2に記載の空気清浄機。
【0012】
態様5
前記第1筐体は、前記第1壁部領域の外周側において、前記エアフィルタを通過する気流方向の両側のうち前記第2筐体が配置される側である前記第2の側に迫り出した迫出部をさらに有し、前記迫出部は、前記第2筐体と共に、前記第2の側の前記空気清浄機の面の部分を形成し、
前記第1筐体に対する回動角度の角度範囲を制限するように、前記保持枠と前記第1壁部領域との連結位置における前記保持枠と前記迫出部との間隔が定められている、態様2から4のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【0013】
態様6
前記保持枠は、前記エアフィルタと前記第2筐体との間に挟み込まれて配置されている、態様1から5のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【0014】
態様7
前記エアフィルタを通過する気流方向と平行な方向の長さに関して、前記保持枠の長さは前記周状壁部の長さより長い、態様1から6のいずれか1項に記載の空気清浄機。
【発明の効果】
【0015】
上記態様の空気清浄機によれば、空気清浄機の筐体にエアフィルタを取り付けるための取付用部品を紛失することがなく、エアフィルタの取り付け及び取り外しの作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の一例による空気清浄機を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、第2筐体を取り外した空気清浄機を示す斜視図であり、(b)は、さらに、保持枠を回動させ、エアフィルタを取り出した空気清浄機を示す斜視図である。
【
図3】第2筐体を取り外し、保持枠を回動させた空気清浄機を示す側面図である。
【
図4】第1筐体に係止した係止部材を示す図である。
【
図5】第2筐体を取り外した空気清浄機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態の空気清浄機について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の一例による空気清浄機を示す斜視図である。
図2及び
図3に、後述する第2筐体を取り外した空気清浄機を示す。
【0019】
空気清浄機1は、エアフィルタ10と、第1筐体20及び第2筐体30と、保持枠40と、を備える。
【0020】
エアフィルタ10は、
図2のX方向(以降、気流方向Xという)に空気を通過させる平板状の物品である。エアフィルタ10は、具体的に、濾材11と、枠体13とを有している。
【0021】
濾材11は、気体中の塵埃等の微粒子を捕集する部材である。濾材11は、例えば、ガラス繊維、有機繊維、あるいはこれらの混合繊維からなる繊維体であり、例えば、不織布、ペーパ、綿、あるいはマットの形態を有している。濾材11の性能は特に制限されないが、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタであれば、定格風量で粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を有し、かつ初期の圧力損失が245Pa以下となる濾材が用いられる。
図2に示す濾材11は、プリーツ加工され、山折りと谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状を有している。プリーツの隣り合う間隔は、例えば、濾材11の表面に設けた樹脂製の部材(スペーサ)、あるいは隣り合うプリーツの間の隙間に配置される部材(セパレータ)によって一定に保たれる。
【0022】
枠体13は、濾材11を周状に取り囲む部材であり、
図2に示す枠体13は、気流方向Xに見て矩形形状を有している。枠体13は、複数の板材を組み合わせて作製される。
【0023】
第1筐体20及び第2筐体30は、気流方向Xの両側から、エアフィルタ10を挟むように、互いに組み合わせられる部品である。図示される例において、第2筐体30と組み合わせられる第1筐体20の部分には、
図3に示すように、第2筐体30の後述する外周壁部35と嵌め合うよう設けられた複数の爪21がある。
【0024】
図示される第1筐体20は、エアフィルタ10の下方において、気流方向Xの上流側(空気清浄機1の背面側)から下流側(空気清浄機1の前面側)に向かって迫り出した迫出部23を有している。迫出部23は、第2筐体30と共に、空気清浄機1の前面部1aを形成する部分である。迫出部23には、空気清浄機1に取り込まれる空気が通過する吸気口20aが形成されている。吸気口20aの外側には、人の指が吸気口20aに入り込まないようフィンガーガード60が設けられている。吸気口20aの内側には、ファン及びモータを備える図示されない送風機が配置されている。モータは、電源が供給されることによりファンを回転駆動して、外部の空気を吸気口20aから取り込み、後述する流路内を流れ、エアフィルタ10を通過し、後述する排気口30aから排出される空気の流れを形成する。
【0025】
第1筐体20は、
図2及び
図3に示すように、保持枠40と向き合い、エアフィルタ10の周りを囲むように設けられた周状壁部25を有している。周状壁部25は、気流方向Xと平行な方向に延びている。図示される周状壁部25は、エアフィルタ10の周りを囲む方向に一周するように連続しているが、周方向に途切れていてもよい。周状壁部25の内側の気流方向Xの下流側を向く第1筐体20の表面には、エアフィルタ10の枠体13と間に挟み込まれて弾性変形する図示されないガスケットが周状壁部25に沿って一周するよう周状に設けられている。
【0026】
空気清浄機1の背面側に位置する空気清浄機1の背面部1bは、第1筐体20のみで形成される。空気清浄機1の背面部1bをなす第1筐体20の部分20bには、吸気口20aから取り込まれた空気がエアフィルタ10に向かって流れる図示されない流路が形成されている。流路内では、
図3に破線の矢印で示すように、空気清浄機1の背面に沿って下方から上方に向かってY方向に空気が流れる。
【0027】
第2筐体30には、
図1に示すように、エアフィルタ10を通過した空気を排出するための排気口30aが設けられている。排気口30aは、周状壁部25内に収納されたエアフィルタ10と面するように形成されている。
図1に示す排気口30aには、排気口30aを内側から塞ぐようにパンチングメタル70が設けられている。パンチングメタル70には、空気が通る複数の孔が互いに間隔をあけて設けられている。
【0028】
保持枠40は、第1筐体20との間にエアフィルタ10を挟み込んで保持するための部材である。保持枠40には、
図2(b)に示すように、エアフィルタ10を通過した空気が通る開口40aが設けられている。保持枠40は、第1筐体20に対し回動可能となるよう、周状壁部25の周方向の一部の領域である第1壁部領域25aに連結されている。図示される例において、保持枠40と周状壁部25は、蝶番41により連結されている。保持枠40が回動して、
図2(b)及び
図3に示すように、気流方向Xの下流側に倒れることにより、エアフィルタ10を、周状壁部25の内側に収納あるいは取り外すことができる。
【0029】
保持枠40は、第1壁部領域25a以外の周状壁部25の領域である第2壁部領域25dと向き合う保持枠40の部分40dに設けられた少なくとも1つの係止部材50を有している。図示される例において、係止部材50は2つ設けられている。係止部材50は、操作されることにより第2壁部領域25dに係止し、第2壁部領域25dを相対的に引き寄せるよう構成されている。このような係止部材50の例として、図示されたキャッチクリップ(パッチン錠あるいはスナップ錠とも呼ばれる)が挙げられる。第2壁部領域25dには、係止部材50に係止される突起31が設けられている。図示される例において、突起31は第2壁部領域25dに2つ設けられている。
【0030】
図4に、係止部材50を詳細に示す。
係止部材50は、ベース51、フック52、及びレバー53を有している。ベース51は、第2壁部領域25dと向き合う保持枠40の部分40dに固定される部分である。レバー53は、回動中心53aの回りに回動するようにベース51に支持されている。フック52は、回動中心52aの回りに回動するようレバー53に支持されている。フック52の回動中心52aは、レバー53の回動中心53aよりも気流方向Xの下流側にある。この係止部材50では、レバー53を操作して回動させ、フック52を、周状壁部25の突起31に引っ掛けた後、反対側に回動するようにレバー53を操作することにより、係止部材50は、第2壁部領域25dを相対的に引き寄せるように、突起31に力を作用させる。このように係止部材50を操作することにより、エアフィルタ10は第1筐体20と保持枠40との間に挟み込まれ、保持される。これに伴って、ガスケットは気流方向Xに圧縮され、流路を流れた空気はリークすることなくエアフィルタ10の濾材11を通過することができる。このように空気のリークを防止するために、係止部材50が周状壁部25に係止したときに、周状壁部25と保持枠40との間には、
図4に示すように、気流方向Xに間隔があくようになっている。
一方、上記と反対の手順で係止部材50を操作することにより、フック52が突起31から外れ、係止部材50の周状壁部25に対する係止を解除することができる。
【0031】
以上の空気清浄機1において、エアフィルタ10を取り付ける際は、保持枠40を回動させ、保持枠40が周状壁部25に対して開いた状態で、エアフィルタ10を周状壁部25の内側に収納し、その後、保持枠40を反対側に回動させ、保持枠40が周状壁部25に対して閉じた状態で、係止部材50を周状壁部25に係止させる。一方、エアフィルタ10を取り外す際は、保持枠40を回動させ、保持枠40が周状壁部25に対して開いた状態で、エアフィルタ10を取り出す。
【0032】
空気清浄機1では、エアフィルタ10を第1筐体20に取り付けるための部材である保持枠40及び係止部材50は、直接または間接的に第1筐体20に連結されている。そのため、エアフィルタ10の取り付け、取り外しの際に、これらの部材が紛失することがない。そして、上述のように、係止部材50を操作し、保持枠40を回動させることにより、エアフィルタ10の取り付け、取り外しを行えるので、ボルトや係止用部材などの取付用部品を用いて取り付け、取り外しを行う場合と比べ、作業性に優れる。また、係止部材50は、保持枠40に設けられているので、周状壁部25に設けられた場合と比べ、操作がしやすく、作業性の向上に寄与する。
【0033】
エアフィルタ10は、好ましくは、水平方向に空気を通過させるように保持される。空気清浄機1を壁に掛けるために、例えば、空気清浄機1の背面部1bをなす第1筐体20の部分に設けた1又は複数の凹部(不図示)を、壁に設けた1又は複数のフック(不図示)に引っ掛けることができる。そのため、空気清浄機1は、壁に掛けられるように、空気清浄機1の下面部1dを形成する第1筐体20及び第2筐体30の部分に、気流方向Xと平行な方向に延びる部分(脚部)を有しないことが好ましい。そのような脚部は、例えば、空気清浄機を立設した状態で移動させるためのキャスター(不図示)を有している。
【0034】
気流方向Xに見て、周状壁部25及び保持枠40は、好ましくは、図示されるように、互いに重なる矩形形状を有している。周状壁部25は、図示されるように、周状壁部25の四辺のうち最下部に位置する下辺をなす壁部領域を第1壁部領域25aとし、周状壁部25の四辺のうち最上部に位置する上辺をなす第1壁部領域25aを少なくとも第2壁部領域25dとすることが好ましい。このような空気清浄機1では、周状壁部25の下辺に保持枠40が連結され、周状壁部25の上辺において、保持枠40が開くように回動するので、エアフィルタ10の取り付け、取り外しの際中に、開いた保持枠40が自重により勝手に閉じることがなく、作業性に優れる。開いた保持枠40と周状壁部25との間の空間内には、上方あるいは側方からエアフィルタ10を運び入れることができる。このようにして、壁に掛けたままエアフィルタ10の取り付け、取り外しを行うことができる。保持枠40が周状壁部25の上辺に連結されていると、周状壁部25の下辺において開くように保持枠40を回動させても、保持枠40から手を離すと、自重により閉じてしまうので、作業しづらい。
【0035】
図1に示すように、第2筐体30は、第1筐体20と組み合わせられた状態で、周状壁部25のうち第1壁部領域25a以外の壁部領域の周りを囲むように設けられた外周壁部35を有している。外周壁部35は、第1筐体20と共に空気清浄機1の上面部1c及び側面部1e、1fを形成する。一実施形態によれば、気流方向Xに見たときの外周壁部35と周状壁部25の間隔Gに関して、側面部1e、1fにおける間隔G1は、
図5に示すように、上面部1cにおける間隔G2よりも狭いことが好ましい。
図5は、第2筐体30を取り外した空気清浄機1の正面図である。なお、
図5に示す矢印の各対において外側の矢印は、外周壁部35の内側の端の位置を示す。壁に掛けて使用される空気清浄機1は、省スペース化のため、コンパクトであることが好ましいが、エアフィルタ10の交換頻度を少なくする観点からは、濾材11の濾過面積は十分に確保される必要がある。そのため、周状壁部25と外周壁部35との間のスペースは、できる限り小さくすることが好ましい。空気清浄機1によれば、ボルトなどの取付用部品を用いずにエアフィルタ10の取り付け、取り外しが可能であることに加え、周状壁部25の側辺と向き合う保持枠40の部分に係止部材50を配置する必要がないため、空気清浄機1の側面部1e、1fにおける第1筐体20内のスペースを、上面部1cにおける第1筐体20内のスペースよりも小さくできる。すなわち、間隔G1を間隔G2よりも狭くすることができる。このため、空気清浄機1の横方向(Y方向)の寸法を小さくすることができる。この形態では、係止部材50は、周状壁部25の上辺だけに配置され、側辺には配置されない。なお、空気清浄機1をコンパクトにするためには、縦方向(Z方向)の寸法も小さくすることが好ましい。したがって、間隔G1と間隔G2の比G1/G2は、好ましくは0.25~0.9であり、より好ましくは0.4~0.6である。キャッチクリップは、
図4や後で参照する
図6に示すように縦方向(Z方向)に平坦な形状を有しているので、係止部材50としてキャッチクリップを用いることは、間隔G2を短くすることにも貢献する。
【0036】
その一方で、係止部材50は、第2壁部領域25dとして、周状壁部25の四辺のうち上辺をなす壁部領域と向き合う保持枠40の部分40dに加え、さらに、周状壁部25の四辺のうち上辺と下辺の間の側辺をなす壁部領域と向き合う保持枠40の部分に設けられていることも好ましい。係止部材50を、周状壁部25の上辺をなす壁部領域のみに設けた場合、周状壁部25の側辺をなす壁部領域では、十分な締め付け力が得られない場合がある。そのため、周状壁部25の側辺をなす壁部領域と向き合う保持枠40の部分にも係止部材50を設けることで、強い締め付け力を、エアフィルタ10の回りを囲む方向にわたって確保することができる。この場合、係止部材50は、周状壁部25の側辺をなす壁部領域と向き合う保持枠40の部分それぞれに、1又は複数(例えば2つ)設けることができる。
【0037】
上述した迫出部23は、第1壁部領域25aの外周側において、気流方向Xの両側のうち第2筐体30が配置される側である第2の側(気流方向Xの下流側)に迫り出した第1筐体20の部分である。一実施形態によれば、
図3に示すように、第1筐体20に対する回動角度αの角度範囲を制限するように、保持枠40と第1壁部領域25aとの連結位置における保持枠40と迫出部23との間隔G3が定められていることが好ましい。保持枠40の回動角度が制限されていると、保持枠40が手前側(気流方向Xの下流側)に大きく開きすぎることがないので、エアフィルタ10の取り外し、取り付けの際に、開いた保持枠40が作業者にあたって作業の邪魔になることがなく、作業がしやすい。具体的に、間隔G3は、保持枠40の周状壁部25に対する回動角度αの角度範囲は、好ましくは30°以下、より好ましくは26°以下である。そのため、間隔G3は、保持枠40の気流方向Xの長さL1の、好ましくは0.5倍以下の長さであり、より好ましくは0.44倍以下の長さである。図示される例において、迫出部23には、保持枠40の下辺の下流側の端の部分(角部)が当接する。迫出部23の気流方向Xの下流側の端は、保持枠40の気流方向Xの下流側の端よりも下流側に位置する。一方で、エアフィルタ10の周状壁部25内への収納、周状壁部25内からの取り出しを妨げないよう、保持枠40の周状壁部25に対する回動角度αの角度範囲は、好ましくは18°以上である。そのため、間隔G3は、保持枠40の気流方向Xの長さL1の、好ましくは0.31倍以上の長さである。
【0038】
保持枠40は、エアフィルタ10と第2筐体30との間に挟み込まれて配置されていることが好ましい。空気清浄機1では、ボルトなどの取付用部品の代わりに、係止部材50及び保持枠40を採用したことにより、このような形態をとることが可能である。このような形態により、空気清浄機1の奥行き(気流方向Xの長さ)を短くしてコンパクトにでき、壁に掛けて使用するのに好ましい薄型の形態が得られる。ボルトなどの取付用部品を用いてエアフィルタを筐体に取り付ける従来の空気清浄機では、エアフィルタと、エアフィルタの下流側の筐体との間に、ボルトなどの取付用部品が配置されるスペースが必要なため、空気清浄機の奥行きを短くし薄くすることに限界がある。保持枠40は、エアフィルタ10及び第2筐体30の両方に接して挟み込まれていることが好ましい。なお、図示される例において、保持枠40は、周方向と直交する断面が直角をなすよう屈曲した板材からなる。
【0039】
図4は、第1筐体20に係止した係止部材50を示す図である。
気流方向Xと平行な方向の長さに関して、保持枠40の長さL1は、
図4に示すように、周状壁部25の長さL2より長いことが好ましい。保持枠40は、濾過面積の大きいエアフィルタ10と対応した大きな開口40aを有しているので、長さL1が短いと保持枠40の剛性が不足し、保持枠40が周状壁部25に対し開いた状態で作業をする際に、例えば両側の側辺が互いにねじれるように変形し、保持枠40をエアフィルタ10に被せ難くなる場合がある。そのため、取り付け、取り外しの作業性が低下する場合がある。そこで、上記のように、保持枠40の長さL1を周状壁部25の長さL2より長くすることで、保持枠40の強度を補い、作業性が損なわれないようにすることができる。一方で、保持枠40の長さL1が長すぎると、周状壁部25の長さL2を十分に確保できず、収納されたエアフィルタ10を位置決めする周状壁部25の機能が損なわれる。また、保持枠40の長さL1が長すぎると、空気清浄機1の奥行きが長くなり、空気清浄機1をコンパクトにできない。
【0040】
図6に、変形例による係止部材50を示す。
図6に示す係止部材50は、ベース(不図示)、レバー53及びフック52を有するキャッチクリップである。
図6に示すキャッチクリップは、気流方向Xと平行な方向の長さに関して、レバー53のフック52に対する相対的な長さが、
図4に示すキャッチクリップにおけるレバー53のフック52に対する相対的な長さと比べて短く、係止部材50の気流方向Xと平行な方向の長さが、
図4に示すキャッチクリップと比べ短い。また、フック52は、周状壁部25側の突起31を覆うカバーの形態を有している。
図6に示す係止部材50は、気流方向Xと平行な方向の長さが短いので、空気清浄機1の奥行きを短くし、空気清浄機1をコンパクトにすることに貢献する。
【0041】
以上、本発明の空気清浄機について詳細に説明したが、本発明の空気清浄機は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。例えば、係止部材50は、周状壁部25の下辺を第2壁部領域25dとして、第2壁部領域25dと向き合う保持枠40の部分に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 空気清浄機
1a 前面部
1b 背面部
1c 上面部
1d 下面部
1e、1f 側面部
10 エアフィルタ
11 濾材
13 枠体
20 第1筐体
20a 吸気口
21 爪
23 迫出部
25 周状壁部
25a 第1壁部領域
25d 第2壁部領域
30 第2筐体
30a 排気口
31 突起
35 外周壁部
40 保持枠
40a 開口
40d 保持枠の部分
50 係止部材
60 フィンガーガード
70 パンチングメタル