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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146037
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】切離しシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/78 20170101AFI20241004BHJP
   E02B 3/14 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A01K61/78
E02B3/14 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058704
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】延田 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】草刈 成直
【テーマコード(参考)】
2B003
2D118
【Fターム(参考)】
2B003AA02
2B003BB01
2B003CC04
2B003DD01
2B003EE04
2D118AA11
2D118BA03
2D118CA02
2D118CA03
2D118DA05
(57)【要約】
【課題】重量物の据付工事を能率化することが可能な切離しシステムを提供する。
【解決手段】切離しユニット1が飛沫帯に位置するとき混合通信モードに設定することで、船上ユニット50から切離しユニット1へ水中無線通信を用いた超音波指令が優先的に送信され、切離しユニット1からの応答が一定時間無かったとき、水中無線通信を用いた超音波指令に切り替えるので、確実に切離しユニット1のリリースフックの開閉状態を知る、又は切離しユニット1の電動アクチュエータ32を開動作させてリリースフックを開放することが可能であり、消波ブロック等の重量物の据付工事を能率化することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切離しユニットと該切離しユニットを遠隔操作するための船上ユニットとを備える切離しシステムであって、
前記船上ユニットと前記切離しユニットとの間で水中無線通信を行うための水中無線通信手段と、前記船上ユニットと前記切離しユニットとの間で気中無線通信を行うための気中無線通信手段とを備え、
前記切離しユニットは、吊り下げ手段によって吊り下げられる本体フレームと、該本体フレームの下端部に設けられるリリースフックと、前記本体フレームに設けられ、前記リリースフックの開閉を切り替える電動アクチュエータとを有し、
前記船上ユニットは、前記水中無線通信手段を用いて前記切離しユニットへ超音波指令を送信する水中無線通信モードと、前記気中無線通信手段を用いて前記切離しユニットへ電波指令を送信する気中無線通信モードと、前記切離しユニットへ前記電波指令を優先的に送信し、前記切離しユニットから応答が無かったとき、前記切離しユニットへの送信を前記超音波指令に切り替える混合通信モードとの3つの通信モードを有することを特徴とする切離しシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の切離しシステムであって、
前記切離しユニットは、消波ブロックに巻き掛けられたワイヤロープの一端側を案内する一対のワイヤガイドを有し、
前記一対のワイヤガイドは、前記本体フレームに上下に間隔をあけて配置されることを特徴とする切離しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消波ブロック等の重量物の据付工事に用いられ、切離しユニットを遠隔操作して吊荷を切り離す切離しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フレーム先端部に設けられるリリースフックと、該リリースフックを開閉させる電動アクチュエータと、船上ユニット(超音波送受信機)からの超音波指令を受信するトランスポンダとを備える水中切離し装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-241393号公報
【特許文献2】特開2022-052380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、消波ブロックの据付工事では、消波ブロックを海底の基礎から海面上まで順次積み上げていくので、切離しユニットが海中に没した状態から気中に曝された状態へ移行したとき、例えば特許文献2に開示されているように、船上ユニットと切離しユニットとの間の通信を水中無線通信(超音波通信)から気中無線通信(電波無線)へ切り替える必要がある。便宜上、船上ユニットと切離しユニットとの通信を水中無線通信と気中無線通信との間で切り替え可能な従来の切離しシステムを従来のシステムと称する。
【0005】
しかし、切離しユニットが、飛沫帯、即ち海中に没した状態と気中に曝された状態との混合帯に位置するとき、いずれの通信が有効であるのか曖昧である。このため、船上ユニットと切離しユニットとの間の通信を水中無線通信から気中無線通信へ切り替えた後、船上ユニットからの指令に対して切離しユニットから応答が無かった場合、船上ユニットと切離しユニットとの間の通信を気中無線通信から水中無線通信へ再度切り替える必要があり、据付工事の能率が低下する原因になっていた。
【0006】
本発明は、重量物の据付工事を能率化することが可能な切離しシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の切離しシステムは、切離しユニットと該切離しユニットを遠隔操作するための船上ユニットとを備える切離しシステムであって、前記船上ユニットと前記切離しユニットとの間で水中無線通信を行うための水中無線通信手段と、前記船上ユニットと前記切離しユニットとの間で気中無線通信を行うための気中無線通信手段とを備え、前記切離しユニットは、吊り下げ手段によって吊り下げられる本体フレームと、該本体フレームの下端部に設けられるリリースフックと、前記本体フレームに設けられ、前記リリースフックの開閉を切り替える電動アクチュエータとを有し、前記船上ユニットは、前記水中無線通信手段を用いて前記切離しユニットへ超音波指令を送信する水中無線通信モードと、前記気中無線通信手段を用いて前記切離しユニットへ電波指令を送信する気中無線通信モードと、前記切離しユニットへ前記電波指令を優先的に送信し、前記切離しユニットから応答が無かったとき、前記切離しユニットへの送信を前記超音波指令に切り替える混合通信モードとの3つの通信モードを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切離しシステムを用いた重量物の据付工事を能率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る切離しユニットの正面図であって、プレートの一部を切り欠いた図である。
図2】本実施形態に係る切離しユニットの側面図である。
図3】本実施形態に係る切離しシステムの構成図である。
図4】本実施形態の説明図であって、操作パネルの一例を示す図である。
図5】本実施形態の説明図であって、消波ブロックの据付工事のフロー図である。
図6】本実施形態に係る切離しユニットの説明図であって、ワイヤガイドによってワイヤロープが案内されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
本実施形態に係る切離しシステム(以下「本システム」と称する)は、例えば、起重機船(図示省略)のクレーン(吊り下げ手段)を用いて消波ブロック15(図6参照)等の重量物を据付ける海上工事に適用される。ここで、図1は本システムに用いられる切離しユニット1の正面図を示し、図2は当該切離しユニット1の側面図を示す。
【0011】
図1又は図2に示されるように、切離しユニット1は、一定間隔をあけて対向配置された一対のプレート4,4を含む本体フレーム3を備える。本体フレーム3の上端部には、クレーン側のワイヤロープ6(図6参照)を連結するためのシャックル5が設けられる。図6に示されるように、正面側のプレート4には、消波ブロック15に巻き掛けられたワイヤロープ7の、シャックル5に接続される一端部8(一端側)を案内するワイヤガイド16,17が設けられる。ワイヤガイド16,17は、上下方向に間隔をあけて配置されている。
【0012】
本体フレーム3の下端部には、ワイヤロープ7の他端部9(他端側)を開放可能に拘束するリリースフック11が設けられる。リリースフック11は、プレート4,4の下端に開口して上方向に向かって延びるU字形の切欠き12,12(図1に1つのみ表示)を有する。リリースフック11は、プレート4,4を貫通する軸22を中心に回転可能な可動プレート21を有する。可動プレート21には、プレート4,4の切欠き12,12と協働してワイヤロープ7の他端部9を拘束又は開放する切欠き23が設けられる。
【0013】
切離しユニット1は、可動プレート21を、プレート4,4の切欠き12,12の開口が閉じられた状態、換言すれば、リリースフック11によってワイヤロープ7の他端部9が拘束された状態で保持する保持機構31を備える。保持機構31は、可動プレート21の軸22を中心とする回転位置を、プレート4,4の切欠き12,12の開口が閉じられた位置(以下「拘束位置」と称する)と開かれた位置(以下「開放位置」と称する)との間で切り替える電動アクチュエータ32(ソレノイド)を有する。電動アクチュエータ32は、ステー33を介して本体フレーム3に縦に設けられる。電動アクチュエータ32の下端部には、可動プレート21に対して平行に配置されたブラケット34が設けられる。
【0014】
保持機構31は、ブラケット34に設けられたU字形の切欠き35を有する。切欠き35は、ブラケット34の下端に開口して上方向に向かって延びる。保持機構31は、ブラケット34に設けられた軸38を中心に回転可能なフックプレート37を有する。フックプレート37には、ブラケット34の切欠き35と協働して可動プレート21に形成されたキー24を拘束又は開放する切欠き39が設けられる。
【0015】
なお、保持機構31は、従来の切離しユニットにおけるストッパと同一の機構が採用されており、可動プレート21に形成されたキー24がフックプレート37の切欠き39に掛止されることで当該可動プレート21の回転が抑止され、この状態から電動アクチュエータ32を作動させて切欠き39によるキー24の掛止を解除することで、可動プレート21が自重によって回転する。
【0016】
本システムは、切離しユニット1を遠隔操作するための船上ユニット50を有する。また、本システムは、船上ユニット50と切離しユニット1との間で水中無線通信を行うための水中無線通信装置(水中無線通信手段)と、船上ユニット50と切離しユニット1との間で気中無線通信を行うための気中無線通信装置(気中無線通信手段)とを有する。
【0017】
図1又は図3に示されるように、水中無線通信装置は、船上ユニット50のトランスデューサ接続部56(図4参照)にケーブル(図示省略)を介して接続される超音波送受信機71と、切離しユニット1に設けられるトランスポンダ72とを有する。他方、気中無線装置は、船上ユニット50のモデム接続部58(図4参照)にケーブル(図示省略)を介して接続される無線モデム75と、切離しユニット1の制御筐体40に格納された制御部41に接続される無線モデム76とを有する。なお、切離しユニット1の制御筐体40の上面には、トランスポンダ72の水中無線アンテナ42と無線モデム76の気中無線アンテナ43とが左右方向に間隔をあけて平行に設けられている。
【0018】
図3を参照すると、制御部41には、電動アクチュエータ32、開位置検出センサ44、閉位置検出センサ45、バッテリ46、及びバッテリ残量表示ランプ47が接続される。開位置検出センサ44は、電動アクチュエータ32に設けられ、電動アクチュエータ32の作動ロッド36(図1参照)が開位置に位置する、延いてはリリースフック11の切欠き12,12(図1参照)が開いた状態を検出する。閉位置検出センサ45は、電動アクチュエータ32に設けられ、電動アクチュエータ32の作動ロッド36が閉位置に位置する、延いてはリリースフック11の切欠き12,12が閉じた状態を検出する。バッテリ残量表示ランプ47は、制御筐体40(図1参照)の正面に設けられ、バッテリ46の残量を5段階で表示する。
【0019】
図4に船上ユニット50の操作パネル55の一例を示す。図3又は図4を参照すると、操作パネル55の左下部には、前述した超音波送受信機71が接続されるトランスデューサ接続部56が設けられる。トランスデューサ接続部56の右側には、電源ケーブル(図示省略)が接続される電源接続部57が設けられる。電源接続部57の右側には、前述した無線モデム75が接続されるモデム接続部58が設けられる。
【0020】
操作パネル55の左中央部には、例えば、A,B,C,Dの複数の切離しユニット1のうち、各切離しユニット1の単一操作を選択、又は全ての切離しシステム1の同時操作を選択するためのコード選択スイッチ59が設けられる。コード選択スイッチ59の上側には、各切離しユニット1におけるリリースフック11の開閉状態を表示するインジケータ60が設けられる。コード選択スイッチ59の右側には、船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信モードを選択するための通信モード選択スイッチ61が設けられる。
【0021】
ここで、船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信は、水中無線モード、気中無線モード、及び混合無線モードの3つの通信モードを有する。水中無線モードでは、水中無線通信装置を用いた水中無線通信が行われ、船上ユニット50側の超音波送受信機71から切離しユニット1側のトランスポンダ72へ超音波指令が送信される。気中無線モードでは、気中無線通信装置を用いた気中無線通信が行われ、船上ユニット50側の無線モデム75から切離しユニット1側の無線モデム76へ電波指令が送信される。
【0022】
混合通信モードでは、気中無線通信が優先的に行われ、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信に切り替わる。換言すれば、船上ユニット50から切離しユニット1へ気中無線通信を用いた電波指令が優先的に送信され、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信を用いた超音波指令へ切り替わる。
【0023】
操作パネル55の中央部には、コールボタン62が設けられる。コード選択スイッチ59によって切離しユニット1(A,B,C,D)を選択し、コールボタン62を操作することで、選択された切離しユニット1のリリースフック11の開閉状態をインジケータ60の表示によって知ることができる。なお、本システムでは、コールボタン62の操作によって、スリープ状態のシステム(制御部51)を起動させることができる。これにより、システムをバッテリ69で駆動しているとき、当該バッテリ69の電力消費を低減することが可能であり、バッテリ69による駆動時間を延ばすことができる。
【0024】
コールボタン6の右側には、コマンド送信ボタン63が設けられる。コード選択スイッチ59によって切離しユニット1(A,B,C,D)を選択し、コマンド送信ボタン63を操作することで、選択された切離しユニット1の電動アクチュエータ32を開動作させてリリースフック11を開放することができる。なお、コマンド送信ボタン63には、安全カバー64が設けられる。また、本システムでは、コマンド送信ボタン63を押した状態でコールボタン62を押すことによってコマンド指令が送信されるようにすることで安全性を向上させている。また、コマンド送信ボタン62の下側には、電源スイッチ65が設けられる。
【0025】
操作パネル55の左上部には、表示器66が設けられる。表示器66には、コールボタン62が操作されたとき、超音波送受信機71とトランスポンダ72との超音波通信を利用して測定された起重機船のクレーンのブームトップ(図示省略)と各切離しユニット1との距離が表示される。ここでの測距は、通信モード選択スイッチ61が水中無線通信モードに設定されているとき、かつコード選択スイッチ59が単一の切離しユニット1に設定されているときにのみ有効である。なお、操作パネル55の中央上部には、船上ユニット50からの指令に対する切離しユニット1の応答を音で知らせるスピーカ67及び音量調整ノブ68が設けられる。
【0026】
次に本システムを用いて消波ブロック15を据付ける手順を図5に基づき説明する。便宜上、基礎マウンド、起重機船、クレーン等の図示を省略する。
まず、複数個の消波ブロック15が積載された起重機船を工事海域に係留する(図5における「ステップ1」)。なお、工事海域の海底には、基礎マウンドが構築されている。次に、衛星航行システムを用いて起重機船を既定位置に位置決めする(図5における「ステップ2」)。
【0027】
次に、起重機船の甲板上で消波ブロック15(吊荷)にワイヤロープ7を玉掛けし、該ワイヤロープ7の他端部9(他端側)を切離しユニット1のリリースフック11で拘束する(図5における「ステップ3」)。このとき、可動プレート21に装着したシャフト25を操作して切欠き12を閉じることにより、当該切欠き12に挿入されたワイヤロープ7の他端部9を拘束する。さらに、プレート4,4と可動プレート21とにストッパピン26を挿通することにより、リリースフック11によるワイヤロープ7の他端部9の拘束状態を保持する。なお、ワイヤロープ7の一端部8(一端側)は、シャックル5に接続されるとともに2つのワイヤガイド16,17によって案内されている。
【0028】
次に、船上ユニット50の操作パネル55を操作して電動アクチュエータ32を作動させることにより、電動アクチュエータ32のブラケット34の切欠き35に挿入された可動プレート21のキー24をフックプレート37の切欠き39によって掛止する。このときの船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信は気中無線通信モードを選択する。なお、シャフト25及びストッパピン26を所定のタイミングで取り外す。
【0029】
次に、消波ブロック15を起重機船のクレーンによって吊り上げ、クレーンのブームトップを衛星航行システムを用いて目標位置に位置決めする(図5における「ステップ4」)。位置決め完了後、クレーン側のワイヤロープ6を繰り出して消波ブロック15を海底の基礎マウンドに向かって沈下させる(図5における「ステップ5」)。消波ブロック15が基礎マウンドに着底したことを確認した後、クレーン側のワイヤロープ6を一定量だけ巻き上げて当該ワイヤロープ6に一定のテンションを付与する。このときの切離しユニット1は水中に没した状態にある。
【0030】
次に、船上ユニット50の操作パネル55を操作して切離しユニット1の電動アクチュエータ32を作動させることにより、フックプレート37の切欠き39による可動プレート21のキー24の掛止を解除する(図5における「ステップ6」)。これにより、可動プレート21が図1における時計回り方向へ回転し、リリースフック11が開放される。このときの船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信は水中無線通信モードを選択する。
【0031】
次に、操作パネル55のインジケータ60によってリリースフック11が開放されていることを確認後、クレーン側のワイヤロープ6を巻き上げて切離しユニット1を起重機船の甲板に戻す(図5における「ステップ7」)。前述したステップ3からステップ7の工程を繰り返し、基礎マウンド上に消波ブロック15を順次積み上げていく。その過程において、切離しユニット1が飛沫帯に位置しているとき、換言すれば、切離しユニット1に取り付けられた水中無線アンテナ42及び気中無線アンテナ43が、海中に没した状態と気中に曝された状態との混合帯に位置しているとき、操作パネル55の通信モード選択スイッチ61を操作して船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信を混合通信モードに切り替える。
【0032】
これにより、気中無線通信が優先的に行われ、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信に切り替わる。換言すれば、まず、船上ユニット50から切離しユニット1へ気中無線通信を用いた電波指令を送信し、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信を用いた超音波指令へ切り替える。そして、切離しユニット1が飛沫帯よりも高い位置にあるとき、操作パネル55を操作して船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信を気中無線通信モードに切り替える。
【0033】
ここで、従来のシステムでは、切離しユニットが海中に没した状態から気中に曝された状態へ移行したとき、操作パネルを操作して船上ユニットと切離しユニットとの間の通信を水中無線通信(超音波通信)から気中無線通信(電波無線)へ切り替えていたので、いずれの通信が有効であるのか曖昧な飛沫帯に切離しユニットが位置しているとき、水中無線通信から気中無線通信へ切り替えた後に船上ユニットからの指令に対して切離しユニットからの応答が無い場合、気中無線通信から水中無線通信へ再度切り替える必要があり、据付工事の能率が低下する原因になっていた。
【0034】
これに対し、本システムでは、切離しユニット1が飛沫帯に位置しているとき、船上ユニット50の操作パネル55の通信モード選択スイッチ61を操作して船上ユニット50と切離しユニット1との間の通信を混合通信モードに切り替えることにより、気中無線通信が優先的に行われ、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信に切り替わる。換言すれば、気中無線通信を用いた電波指令が優先的に送信され、切離しユニット1から応答が無かったとき、水中無線通信を用いた超音波指令に切り替わる。
【0035】
本システムによれば、切離しユニット1が飛沫帯に位置するときであっても1度のコールボタン又はコマンド送信ボタン63の操作で、確実に、切離しユニット1のリリースフック11の開閉状態を知る、又は切離しユニット1の電動アクチュエータ32を開動作させてリリースフック11を開放することが可能であり、消波ブロック15の据付工事を能率化することができる。
【0036】
ところで、消波ブロック15を正面姿勢(4脚のうち1脚が直立した状態)で吊る場合、当該消波ブロック15の頭部(直立した脚)をワイヤロープ7の一端側と他端側との両側で支持する(挟み込む)必要がある。一方、本システムでは、切離しユニット1の破損を防ぐため、消波ブロック15の上で玉掛けする必要がある。本システムでは、これらの条件を両立させるため、切離しユニット1に設けられた一対のワイヤガイド16,17により、シャックル5に接続されたワイヤロープ7の一端部8(一端側)を消波ブロック15の頭部に押し付けるように案内、換言すれば、ワイヤロープ7の両端側を絞って消波ブロック15の頭部に当接させるように案内した。これにより、ワイヤロープ7の両端側で消波ブロック15の頭部を支持することが可能となり、かつ切離しユニット1の破損を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 切離しユニット、3 本体フレーム、11 リリースフック、32 電動アクチュエータ、50 船上ユニット、71 超音波送受信機(水中無線通信手段)、72 トランスポンダ(水中無線通信手段)、75 無線モデム(気中無線通信手段)、76 無線モデム(気中無線通信手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6