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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146058
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241004BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 500
G03G15/08 226
G03G15/08 322B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058755
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】福本 章平
(72)【発明者】
【氏名】河野 浩史
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB18
2H077AC02
2H077AC03
2H077AC16
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AE06
2H077DA10
2H077DA24
2H077DB25
2H077EA03
2H077GA04
2H270KA09
2H270LA15
2H270LD03
2H270MH13
2H270MH14
2H270MH15
2H270NE01
2H270NE07
2H270RA03
2H270RA14
2H270RB04
2H270RB09
2H270RC03
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】クリーニングブレードの反転やめくれが発生した状態で画像形成動作が継続されることを防止する。
【解決手段】画像形成装置1は、回転可能に支持され、光が照射された領域が導電性に変化する絶縁性の表面を有する像担持体と、前記像担持体の表面と当接し、前記像担持体の表面に付着した付着物をかき落とす可撓性のクリーニングブレード30と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電ローラ41と、前記像担持体の表面を露光する露光手段と、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体の表面に形成された前記トナー像の濃度を検出する検出手段と、制御手段とを備える。さらに、画像形成動作中での、前記露光手段による露光を行わない前記像担持体の表面領域における前記検出手段の検出結果に基づいて異常の発生の有無を判定する異常判定手段を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が照射された領域が導電性に変化する絶縁性の表面を有し、駆動源によって回転される像担持体と、
前記像担持体の表面と当接し、前記像担持体の表面に付着した付着物をかき落とす可撓性のクリーニングブレードと、
前記像担持体に当接し、第1の電源から電圧もしくは電流の供給を受けて前記像担持体の表面を帯電させる帯電ローラと、
前記帯電された前記像担持体の表面を露光することで静電潜像を形成する露光手段と、
第2の電源から電圧の供給を受けて前記静電潜像にトナーを供給し、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像手段と、
前記像担持体の表面に形成された前記トナー像の濃度を検出する検出手段と、
制御手段と、を備える画像形成装置であって、
前記制御手段が、前記駆動源を制御して前記像担持体を回転させ、前記第1の電源および前記第2の電源から前記電圧もしくは前記電流を前記帯電ローラおよび前記現像手段にそれぞれ供給するように制御した状態において、前記露光手段による露光を行わない前記像担持体の表面領域における前記検出手段の検出結果に基づいて異常の発生の有無を判定する異常判定手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記帯電ローラは、前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の回転方向の下流側に、前記クリーニングブレードと隣り合うように配置され、
前記クリーニングブレードは、一端部が前記像担持体と接触し、他端部から一端部側に向かって所定の長さに渡って保持部材に保持され、
前記保持部材における前記一端部側の端部から、前記クリーニングブレードの前記一端部までの長さである第1長さL1が、前記保持部材の前記端部から前記帯電ローラの前記像担持体との接触位置までの長さである第2長さL2より長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記異常判定手段は、前記露光手段によって露光される前記像担持体表面の露光領域の前記像担持体の回転方向の上流側端もしくは下流側端からそれぞれ前記露光領域から離れる方向に存在する前記露光手段による露光が行われない領域である判定領域において、前記検出手段が検出した結果に基づいて判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記異常判定手段は、前記判定領域において所定のサンプリング周期で前記検出手段が検出した検出値の平均値が、予め定める閾値より大きい場合に異常ありと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、前記閾値を記憶する記憶部を備え、
前記制御手段は、画像形成動作ごとに算出される前記判定領域の前記平均値を過去所定回数分について平均化した過去平均値を算出し、前記記憶部に記憶し、
前記異常判定手段は、前記判定領域で検出された前記平均値が前記閾値より大きく、かつ前記記憶部に記憶された前記過去平均値よりも所定値以上大きいと判断された場合に異常ありと判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記検出手段は、前記像担持体の表面を所定のスポット径で照射する光源と前記像担持体からの反射光の強度を検出する反射光検出部とを備え、
前記制御手段は、前記判定領域では、前記光源を点灯して前記検出手段が前記所定のサンプリング周期で検出した前記平均値を算出し、前記判定領域以外では、前記光源を消灯することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記現像手段は、前記現像手段内のトナー量を検出するトナー量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記閾値を記憶する記憶部を備え、画像形成動作中に前記トナー量検出手段から所定のサンプリング周期で検出したトナー量検出値の移動平均値を算出して前記記憶部に記憶し、
前記異常判定手段は、前記異常ありと判定した時点での前記トナー量検出手段のトナー量検出値と、前記記憶部内の最も古い前記トナー量検出値との差が所定値以上である場合に、前記画像形成動作を緊急停止させ、画像形成動作を受け付けない状態にし、
前記トナー量検出値と前記移動平均値との差が前記所定値に満たない場合に、画像形成動作を緊急停止させ、ユーザによる復帰作業を促して、前記復帰作業がなされた場合に画像形成動作を受け付けることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に係る。特に、本開示は、像担持体の表面の付着物をかき落とすクリーニングブレードを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、帯電装置の帯電ローラ等によって感光体ドラムの表面を帯電させた後、露光装置によって感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、現像装置によってトナーを供給して静電潜像をトナー像に顕像化して、感光体ドラムから用紙にトナー像を転写する。トナー像の転写後に感光体ドラムの表面に付着しているトナーは、次の転写時における画像形成不良の原因となるため、例えばクリーニングブレードを感光体ドラムに当接させてかき落とされている。
【0003】
ところが、クリーニングブレードは、感光体ドラムの表面摩耗もしくは帯電時に発生する放電生成物などによって摩擦係数が増加すると、反転や、めくれを起こすことがある。クリーニングブレードの反転やめくれが発生すると、感光体ドラムの回転負荷が増大し、モータがロックし破損するおそれがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、像担持体と、像担持体を回転駆動する駆動手段と、像担持体に圧接されて表面から残留トナーを除去するクリーニングブレードとを備えた画像形成装置について開示されている。この例では、像担持体の駆動トルクを検出するトルク検出手段が設けられ、そのトルク検出手段の検出結果に基づいてクリーニングブレードの異常を判断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-258419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成では、専用のセンサであるトルク検出手段を設けなければならず、装置の複雑化やコスト増を招く問題点がある。また、トルク検出手段による像担持体の駆動トルクの検出では、クリーニングブレードに異常が発生していなくとも異常と判断するおそれがあり、誤検知を防ぐことは難しいといった問題点もある。
【0007】
本開示は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、専用のセンサを設けずともクリーニングブレードの反転やめくれの発生を検出し得て、クリーニングブレードの反転やめくれが発生した状態で画像形成動作が継続されることを防止できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本開示の解決手段は、光が照射された領域が導電性に変化する絶縁性の表面を有し、駆動源によって回転される像担持体と、前記像担持体の表面と当接し、前記像担持体の表面に付着した付着物をかき落とす可撓性のクリーニングブレードと、前記像担持体に当接し、第1の電源から電圧もしくは電流の供給を受けて前記像担持体の表面を帯電させる帯電ローラと、前記帯電された前記像担持体の表面を露光することで静電潜像を形成する露光手段と、第2の電源から電圧の供給を受けて前記静電潜像にトナーを供給し、前記像担持体の表面にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体の表面に形成された前記トナー像の濃度を検出する検出手段と、制御手段と、を備える画像形成装置であって、前記制御手段が、前記駆動源を制御して前記像担持体を回転させ、前記第1の電源および前記第2の電源から前記電圧もしくは前記電流を前記帯電ローラおよび前記現像手段にそれぞれ供給するように制御した状態において、前記露光手段による露光を行わない前記像担持体の表面領域における前記検出手段の検出結果に基づいて異常の発生の有無を判定する異常判定手段を備えることを特徴としている。
【0009】
前記構成の画像形成装置において、前記帯電ローラは、前記クリーニングブレードよりも前記像担持体の回転方向の下流側に、前記クリーニングブレードと隣り合うように配置され、前記クリーニングブレードは、一端部が前記像担持体と接触し、他端部から一端部側に向かって所定の長さに渡って保持部材に保持され、前記保持部材における前記一端部側の端部から、前記クリーニングブレードの前記一端部までの長さである第1長さL1が、前記保持部材の前記端部から前記帯電ローラの前記像担持体との接触位置までの長さである第2長さL2より長いことが好ましい。
【0010】
また、前記構成の画像形成装置において、前記異常判定手段は、前記露光手段によって露光される前記像担持体表面の露光領域の前記像担持体の回転方向の上流側端もしくは下流側端から、それぞれ前記露光領域から離れる方向に存在する前記露光手段による露光が行われない領域である判定領域において前記検出手段が検出した結果に基づいて判定することが好ましい。
【0011】
また、前記構成の画像形成装置において、前記異常判定手段は、前記判定領域において所定のサンプリング周期で前記検出手段が検出した検出値の平均値が、予め定める閾値より大きい場合に異常ありと判定することが好ましい。
【0012】
また、前記構成の画像形成装置において、前記制御手段は、前記閾値を記憶する記憶部を備え、前記制御手段は、画像形成動作ごとに算出される前記判定領域の前記平均値を過去所定回数分について平均化した過去平均値を算出し、前記記憶部に記憶し、前記異常判定手段は、前記判定領域で検出された前記平均値が前記閾値より大きく、かつ前記記憶部に記憶された前記過去平均値よりも所定値以上大きいと判断された場合に異常ありと判定してもよい。
【0013】
また、前記構成の画像形成装置において、前記検出手段は、前記像担持体の表面を所定のスポット径で照射する光源と前記像担持体からの反射光の強度を検出する反射光検出部とを備え、前記制御手段は、前記判定領域では、前記光源を点灯して前記検出手段が前記所定のサンプリング周期で検出した前記平均値を算出し、前記判定領域以外では、前記光源を消灯することが好ましい。
【0014】
また、前記構成の画像形成装置において、前記現像手段は、前記現像手段内のトナー量を検出するトナー量検出手段を備え、前記制御手段は、前記閾値を記憶する記憶部を備え、画像形成動作中に前記トナー量検出手段から所定のサンプリング周期で検出したトナー量検出値の移動平均値を算出して前記記憶部に記憶し、前記異常判定手段は、前記異常ありと判定した時点での前記トナー量検出手段のトナー量検出値と、前記記憶部内の最も古い前記トナー量検出値との差が所定値以上である場合に、前記画像形成動作を緊急停止させ、画像形成動作を受け付けない状態にし、前記トナー量検出値と前記移動平均値との差が前記所定値に満たない場合に、画像形成動作を緊急停止させ、ユーザによる復帰作業を促して、前記復帰作業がなされた場合に画像形成動作を受け付けるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、画像形成装置に別途新たなセンサを設けずともクリーニングブレードの反転やめくれの発生を検出し得て、クリーニングブレードの反転やめくれが発生した状態での画像形成動作の継続を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2A】前記画像形成装置に備えられる現像装置の一例を示す斜視図である。
図2B】前記現像装置を示す平面図である。
図3】前記現像装置に備えられる撹拌搬送部材を拡大して示す説明図である。
図4】前記現像装置およびその周辺構成について示す概略断面図である。
図5図4を拡大して感光体ドラムの周辺構成について示す概略断面図である。
図6】前記画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】前記感光体ドラムの判定領域について示す説明図である。
図8】前記画像形成装置における各部動作状態を示すタイミングチャートである。
図9】前記現像装置におけるトナー濃度とトナー濃度センサの出力値との関係を示すグラフである。
図10】前記画像形成装置における異常判定の実行処理の流れについて示すフローチャートである。
図11】前記画像形成装置における異常判定の実行処理の流れについて示すフローチャートである。
図12】前記画像形成装置における異常判定の実行処理の流れについて示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態に係る画像形成装置1について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(画像形成装置)
図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す断面図である。本実施形態では、画像形成装置1として、記録媒体である用紙Pに単色の画像(モノクロ画像)が形成されるモノクロ複合機を例に挙げて説明する。なお、画像形成装置1としては、これに限られず、カラープリンタ、カラー複合機、モノクロプリンタ等を含む種々の画像形成装置にも適用可能である。
【0019】
画像形成装置1を正面から見た場合に、前後方向Xのうち、画像形成装置1の正面側(手前側)を前方向X1とし、画像形成装置1の背面側(奥側)を後方向X2とし、左右方向Yのうち、向かって左側を左方向Y1とし、向かって右側を右方向Y2とし、上下方向Zのうち、上側を上方向Z1とし、下側を下方向Z2として以下説明する。
【0020】
画像形成装置1は、大別すると、原稿搬送部201、画像読取部202、画像形成部203、用紙搬送部204、および給紙部205を備えている。この画像形成装置1では、現像剤として、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像方式が採用されている。
【0021】
原稿搬送部201は、少なくとも1枚の原稿が原稿トレイ211にセットされると、原稿を1枚ずつ原稿トレイ211から引き出して搬送し、この原稿を画像読取部202の第1プラテンガラス223上に導いて通過させる。
【0022】
画像読取部202は、第1プラテンガラス223の下方に第1走査部221および第2走査部222を含む光学ユニットを備えており、原稿が第1プラテンガラス223上を通過する際に、第1走査部221の光源によって原稿表面を露光し、第1走査部221および第2走査部222のミラーによって原稿表面からの反射光を結像レンズ224へと導き、結像レンズ224によって原稿表面の画像をCCD(Charge Coupled Device)225上に結像する。CCD225は、原稿表面の画像を主走査方向に繰り返し読み取り、原稿表面の画像を示す画像データを出力する。
【0023】
原稿が画像読取部202上面の第2プラテンガラス226上に置かれた場合は、第1走査部221および第2走査部222を、相互に所定の速度関係を維持しつつ副走査方向に移動させながら、第1走査部221によって第2プラテンガラス226上の原稿表面を露光し、第1走査部221および第2走査部222によって原稿表面からの反射光をさらに反射して結像レンズ224へと導き、結像レンズ224によって原稿表面の画像をCCD225上に結像する。
【0024】
出力された画像データは制御回路により各種の画像処理が施され、画像形成部203に出力される。画像形成部203は、その略中央部に、駆動源24によって回転される像担持体としての感光体ドラム20を備えている。感光体ドラム20の周囲には、現像手段としての現像装置10、クリーニングブレード30、帯電装置40、露光手段としての露光装置50、および転写装置60等が配置されている。
【0025】
感光体ドラム20は、光が照射された領域が導電性に変化する絶縁性の基材を有し、駆動源24によって回転される。感光体ドラム20には、ドラム状の基材および基材の表面上に薄膜状に形成された光導電層が設けられている。例えば、基材は、アルミニウム等の金属で構成することができる。光導電層は、例えば、有機光半導体(OPC)やアモルファスシリコン(a-Si)等で構成することができる。
【0026】
帯電装置40は、第1の電源から電圧または電流の供給を受けて感光体ドラム20の表面を均一に帯電させる帯電ローラ41を備えている。また、露光手段としての露光装置50は、画像データに応じて光ビームの強度を変調しつつ、均一に帯電された感光体ドラム20の表面を露光することで静電潜像を形成する。露光装置50としては、レーザまたはLED等を用いることができる。
【0027】
現像手段としての現像装置10は、第2の電源から電圧の供給を受けて感光体ドラム20上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し、感光体ドラム20の表面にトナー像を形成する。現像装置10にはトナーを補給するためのトナーカートリッジ18が接続されている。現像装置10の詳細については後述する。
【0028】
転写装置60は、転写ローラ61を備えて、転写ローラ61と感光体ドラム20との間に用紙Pを挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム20上のトナー像を用紙Pに転写する。転写装置60としては、転写ローラ61のほかに、例えば、転写ベルト、帯電ブラシ、またはコロナ帯電器等を備えたものとすることができる。
【0029】
クリーニングブレード30は、トナー像が用紙Pに転写された後の感光体ドラム20の表面に当接して、感光体ドラム20の表面に付着しているトナー等の付着物をかき落とす。クリーニングブレード30としては、可撓性を有するブレード材が用いられ、弾性的に撓んだ状態で感光体ドラム20に当接している。
【0030】
感光体ドラム20の上方には、定着装置80が配置されている。定着装置80は、内部に熱源を備える定着ローラ81と加圧ローラ82との間に用紙Pを挟み込み、熱と圧力で画像を定着させる。定着後の用紙Pは、搬送ローラにより搬送され、用紙搬送部204の排紙ローラ241によって、画像読取部202と画像形成部203との間の胴内排紙空間に設けられた排紙トレイ244へと排出される。
【0031】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、用紙Pは排紙ローラ241で反対方向に反転搬送され、さらに反転搬送経路243へと搬送され、その表裏を反転してから画像形成部203へ再び搬送され、その裏面にトナー像が転写されて定着される。
【0032】
給紙部205は給紙カセット251を備えており、給紙カセット251内のトレイから用紙Pを1枚ずつ分離供給する。用紙Pは、用紙搬送部204が備える搬送ローラのうち、感光体ドラム20および転写装置60の手前に設けられたレジストローラ242によって一旦停止され、転写のタイミングに合わせて感光体ドラム20と転写装置60との間に供給され、感光体ドラム20上のトナー像が転写される。
【0033】
図2Aおよび図2Bは、画像形成装置1に備えられる現像装置10の一例を示し、図2Aは斜視図、図2Bは平面図である。図3は、現像装置10に備えられる撹拌搬送部材を拡大して示す説明図である。
【0034】
現像装置10は、現像ローラ15を有し、現像バイアス電源(第2の電源)19から電圧もしくは電流が現像ローラ15に供給されることで生じる感光体ドラム20と現像装置10との間に形成される現像電界によって、二成分現像剤に含まれる非磁性のトナーを感光体ドラム20の表面上に供給する。現像装置10は、前後方向Xに長く配設され、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤が収容される現像槽(収容容器)14を有している。現像槽14には、感光体ドラム20に対向する位置に開口部が設けられている。感光体ドラム20は、この開口部に面して配設されている。現像槽14の上部には、トナー補給口16が延設されている。
【0035】
現像槽14の内部には、現像槽14内で回転してトナーを含む現像剤を撹拌しつつ搬送する撹拌搬送部材として、第1撹拌搬送部材11と第2撹拌搬送部材12とが設けられている。図3に拡大して示すように、第1撹拌搬送部材11(および第2撹拌搬送部材12)には、それぞれ螺旋羽根171が、各回転軸部の外周に螺旋状に設けられている。現像装置10内で、第1撹拌搬送部材11および第2撹拌搬送部材12は、互いに平行に配置されており、これらが回転することで現像剤を現像槽14内で撹拌しつつ循環させる。また、この撹拌によって、現像剤に含まれるトナーと磁性キャリアとの間に摩擦を生じさせ、摩擦により非磁性のトナーを帯電させる。
【0036】
画像形成動作によって、現像剤は感光体ドラム20へと供給される。現像剤を構成するトナーは感光体ドラム20に吸着されることで、感光体ドラム20の表面の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。トナー像の形成によって現像槽14のトナー濃度は次第に低下してく。そのため、現像装置10には、現像槽14にトナーを補給するトナー補給口16が備えられている。また、現像槽14には、図3に示すように、トナー濃度の検出手段としてのトナー濃度センサ172も設けられている。
【0037】
図2Aに示すように、トナー補給口16は、前後方向Xの一方(例えば前方向X1寄り)に配設され、第1撹拌搬送部材11の上方に延設されている。また、トナー補給口16は、図1に示したように、トナーカートリッジ18に接続されており、補給されたトナーは、第1撹拌搬送部材11から第2撹拌搬送部材12を通じて磁性キャリアと混合されつつ撹拌される。
【0038】
図4は、画像形成装置1における現像装置10およびその周辺構成について示す概略断面図であり、図5は、図4をさらに拡大して感光体ドラム20の周辺構成について示す概略断面図である。なお、図面では各構成部材を見やすくするため断面を示すハッチングを省略して模式的に示している。
【0039】
現像ローラ15は、現像剤担持体として機能するマグネットローラであって、感光体ドラム20と対向する位置に配置されている。現像ローラ15が回転することで、現像槽14内の現像剤がその表面に担持され、担持した現像剤に含まれるトナーが感光体ドラム20の表面へと搬送される。
【0040】
図4に示すように、現像ローラ15と第2撹拌搬送部材12との間には、搬送部材としての搬送パドル13が配設されている。搬送パドル13は、現像剤を現像ローラ15へ搬送するとともに現像ローラ15から現像剤を回収するように設けられている。
【0041】
現像ローラ15の回転方向R2は、感光体ドラム20と対向する位置で、感光体ドラム20の回転方向R1と同一の方向となるように設定されている。感光体ドラム20と現像ローラ15とが対向する現像領域では、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像がトナーによって現像される。
【0042】
感光体ドラム20上に現像されたトナー像は、転写装置60によって用紙Pに転写される。転写ローラ61の回転方向R3の上流側には、感光体ドラム20のトナー像の濃度(トナー像濃度)を検出する検出手段として、後述する画像センサ21が設けられている。画像センサ21は感光体ドラム20の表面に対向するように配置されている。
【0043】
感光体ドラム20の表面は、画像形成動作中の感光体ドラム20の回転方向R1に対して、クリーニングブレード30よりも上流側に配置された除電装置70により除電される。感光体ドラム20の表面に付着したトナーは、除電装置70の光照射によって、感光体ドラム20との静電付着力が弱められた状態で、クリーニングブレード30によってかき落とされる。帯電装置40の帯電ローラ41は、感光体ドラム20の回転方向R1に対して、クリーニングブレード30よりも下流側に設けられており、クリーニングブレード30と隣り合う近傍位置に配置されている。
【0044】
(クリーニングブレード)
図5に示すように、クリーニングブレード30は、先端部301側で、感光体ドラム20の表面に当接し、接触している。また、クリーニングブレード30は、先端部301の反対側の基端部302側が保持部材31に接合されて保持されている。保持部材31に対しては、所定の長さSに渡って、クリーニングブレード30の基端部302側が接触するように設けられている。すなわち、クリーニングブレード30の基端部302から保持部材31の端部303までの長さは、長さSに相当する。ここで、本開示のクリーニングブレード30の長さSは5mmであるが、これより長くてもよい。
【0045】
また、クリーニングブレード30は、保持部材31の端部303から、クリーニングブレード30の先端部301までの長さが、第1長さL1を有するように設けられている。保持部材31の端部303から、帯電ローラ41と感光体ドラム20との接触位置C1までの長さは、第2長さL2とされている。この場合、第1長さL1は、第2長さL2より長く設けられている(L1>L2)。ここで、本開示の第1長さL1は10mmであり、第2長さL2は12mmであるが、これは一例であり、L1>L2の関係にあればよい。
【0046】
(異常判定手段)
図6は、画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。制御手段としての制御部100には、画像形成部203、記憶部110、異常判定部120、および画像センサ21等が接続されている。制御部100は、画像形成装置1を制御する機能部であり、記憶部110に記憶されている各種プログラムおよびデータを読み出して実行することによって、画像形成装置1の各種機能を実現する。制御部100は、例えばCPU(中央演算処理装置)等により構成されている。
【0047】
画像形成部203の詳細については、図1を参照して説明したとおりであり、ここでは本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を説明するために必要な機能部について記載している。例えば、画像形成部203においては、前記のとおり現像装置10はトナー濃度を検出するトナー濃度センサ172を含んで構成されている。
【0048】
記憶部110は、例えば、EEPROMやDRAM等の半導体メモリ、またはHDD等の磁気ディスクなどから構成することができる。記憶部110には、各種データや各プログラム等が記憶されている。
【0049】
画像センサ21は、画像濃度および階調調整の画質調整処理(プロセスコントロール、以下、単にプロコンという。)を実行するに際して用いられ、光源22と反射光検出部23とを備えて、トナー像の濃度を検出する。光源22は、感光体ドラム20の表面を所定のスポット径で照射する。反射光検出部23は、感光体ドラム20からの反射光を受光する。
【0050】
反射光検出部23の受光する反射光量は、感光体ドラム20上のトナー付着量に相関しているので、反射光量に応じて出力される電気信号の電流値または電圧値と、トナー付着量との相関性を予め相関式またはテーブルデータとして取得しておくことで、感光体ドラム20の表面のトナー付着量およびトナー像の濃度を検出することができる。
【0051】
画像形成装置1では、画像形成動作を制御するためにプロセスコントロール(以下、プロコン制御という。)が実施される。プロコン制御は、連続画像形成動作中であって露光装置50が印刷する画像データに基づく露光を行わない、つまり画像が形成されない非露光動作領域であって、連続する用紙Pと用紙Pとの間である紙間(表面領域)を利用して行う紙間プロコン(紙間プロコン制御)と、画像形成動作前もしくは連続画像形成動作を一時的に中断してその間に行う通常プロコン(通常プロコン制御)とがある。
【0052】
通常プロコンでは、所定のタイミング(電源オン時、環境変化時、消耗品交換時など)、また所定枚数(例えば300~500枚)ごとに実施されるもので、濃度の異なるテストパッチを生成し、それらの濃度を検出して、目標となる諧調性を実現できるように画像形成条件等にフィードバックする。紙間プロコンでは、連続画像形成動作中において所定枚数(例えば50枚)ごとに実施され、紙間に、ある濃度のテストパッチのみを生成し、その濃度を検出して、直前の結果を基準に相対的な変化量を算出して、画像形成条件等にフィードバックする。
【0053】
画像形成動作中での感光体ドラム20の表面の非露光部は、本来、トナー像が形成されない領域である。本実施形態に係る画像形成装置1では、画像形成動作中に露光装置50が露光動作を行っていない紙間を利用して、または紙間にかえて、画像形成動作前、または画像形成動作後の露光装置50が露光動作を行っていない状態で、画像センサ21により感光体ドラム20上の光学反射濃度を検出することが可能とされている。
【0054】
異常判定手段としての異常判定部120は、制御部100が、駆動源24を制御して感光体ドラム20を回転させ、第1の電源および第2の電源から、電圧もしくは電流を帯電ローラ41および現像装置10にそれぞれ供給するように制御した状態において、感光体ドラム20の表面領域における画像センサ21の検出結果に基づいて、異常の発生の有無を判定する。より具体的には、異常判定部120は、露光装置50によって静電潜像が形成される感光体ドラム20の表面領域の回転方向R1の下流側端から、さらに回転方向R1の下流側にある表面領域である判定領域Aにおいて画像センサ21が検出した結果に基づいて、後述するように、異常の発生の有無を判定するように構成されている。
【0055】
図7は、感光体ドラム20の判定領域Aについて示す説明図である。図中上方向を通紙方向(用紙搬送方向)Fとして、用紙P1、P2が搬送されるものとする。画像形成装置1における連続画像形成動作が、所定のプロセススピードで、所定の用紙サイズPLの用紙P1、P2に順に行われる場合、図示するように、用紙P1の先端位置P10から用紙P2の先端位置P20までの距離Kから用紙P1の通紙方向Fの長さを引いた距離PWが紙間距離PWである。
【0056】
感光体ドラム20や光源22の経時変化を考慮すると、感光体ドラム20に対する画像センサ21からの光照射は、紙間距離PWの全領域で行うのではなく、紙間より限定された所定領域である判定領域Aにおいて行うことが好ましい。そこで、図7に示すように、用紙P1の先端位置P10から通紙方向Fの上流側に距離Bの位置となる上流位置P30で、画像センサ21の光源22をONにし、画像センサ21を発光させる。
【0057】
判定領域Aには、光源22をONにする画像センサ21の発光直後を含めた構成とすることができるが、例えば上流位置P30での画像センサ21の発光開始から、反射光検出部23で反射光を受光する検出開始までの区間B1の相当分だけ、通紙方向Fの下流側に判定領域Aの始点を設定してもよい。この場合、判定領域Aは、感光体ドラム20の露光領域(静電潜像形成領域)における回転方向R1の下流側に相当し、画像センサ21の検出開始から検出終了までの区間となり、感光体ドラム20の露光領域から離れる方向に存在する、露光装置50による露光が行われない領域である。
【0058】
図8は、画像形成装置1における制御部100の制御による各部動作状態のタイミングチャートである。画像形成開始信号がOFFからONに入力されると、制御部100は、駆動源24を駆動し、感光体ドラム20の回転を開始させる。続いて、帯電ローラ41に帯電バイアス電源(第1の電源)42からの帯電バイアス(電圧もしくは電流)を供給させ、現像ローラ15に現像バイアス電源(第2の電源)19から現像バイアス(電圧もしくは電流)を供給させる。そして、感光体ドラム20上にトナー像を形成する画像領域では、印刷する画像データに基づいた静電潜像を感光体ドラム20上に形成するために露光装置50による露光を行い、感光体ドラム20上にトナー像を形成しない非画像領域では露光装置50を駆動せず露光を行わない。この露光装置50が露光動作を行っていない、非露光動作領域は紙間に相当し、そのうちのセンサ信号測定区間D1、D2、…Dn-1は、いずれも判定領域Aに含まれる。
【0059】
画像センサ21による感光体ドラム20の表面の検出領域を、露光領域(静電潜像形成領域)の回転方向R1の下流側である判定領域Aに設定することで、より限定された領域で精度よく判定を行うことが可能となる。また、異常判定部120の判定対象が1枚目の用紙P1の通紙中であっても、n枚目の用紙Pの通紙中であっても、センサ信号測定区間D1、…Dn-1で効率よく判定を行うことができ、同様の処理で容易に実施できる。
【0060】
画像形成部203のクリーニングブレード30は、図5に示したように、第1長さL1が、第2長さL2より長く設けられている。このため、仮に、クリーニングブレード30が反転やめくれを起こすと、クリーニングブレード30の先端部301が帯電ローラ41に接触し、感光体ドラム20の表面から離間することとなる。
【0061】
帯電ローラ41が感光体ドラム20から離れると、感光体ドラム20の表面を所定電位に帯電させることができなくなり感光体ドラム20の表面電位は0V近くまで低下する。このとき、現像ローラ15に現像バイアス電源19から電圧もしくは電流が供給されているので、感光体ドラム20の表面と現像ローラ15との間に生じた電位差によってトナーが感光体ドラム20上に強制的に供給されるという、意図しない現像が行われる(所謂かぶり現像)。つまり、クリーニングブレード30と帯電ローラ41との位置関係を前述した構成にすることで、本来トナー像が形成されない非画像領域において、画像センサ21がトナー像を検出した場合にクリーニングブレード30に反転やめくれが発生したと判定することができるようになる。また、クリーニングブレード30に反転やめくれが発生していなくて帯電バイアス電源42が故障している場合も同様に異常を検出することができる。
【0062】
ここで、画像センサ21は、光源22から感光体ドラム20に光を照射し、感光体ドラム20からの反射光を反射光検出部23において受光する。感光体ドラム20の表面にトナー等の付着物がない場合、感光体ドラム20は照射光を全反射するが、付着物があると反射光量が低下し、検出するトナー像の濃度が大きく(濃く)なる。異常判定部120は、このようなクリーニングブレード30の反転やめくれの発生の有無を判断するために、画像センサ21の検出結果に基づいて判定1および判定2を実行する。
【0063】
また、画像形成動作が繰り返されることで、微小なトナー飛散等により画像センサ21の反射光検出部23自体が汚れることがあり、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生していなくとも、反射光量が徐々に低下してしまうことも考えられる。そのような場合を考慮して、判定1および判定2では、過去の所定回数分の平均化したトナー像の濃度(または反射光量値)を用いた比較判断も含めて判定を行うことで、反転やめくれの発生の有無を判断することとしている。
【0064】
(判定1)
判定1では、異常判定部120は、判定領域Aにおいて画像センサ21が検出した検出値の平均値が、予め設定されている閾値の濃度より大きい場合には、さらに判定2に基づいて判定がなされる。画像センサ21が検出した検出値の平均値は、所定のサンプリング周期(第1サンプリング周期)の画像センサ検出値として取得され、記憶部110に記憶される。第1サンプリング周期は、例えば1000分の0.1秒、すなわち0.1msecとすることができる。異常判定部120は、記憶部110に記憶された第1サンプリング周期での画像センサ検出値を、判定対象の検出値(今回の画像センサ検出値)として、所定の閾値と比較することで判定を行う。
【0065】
このとき、制御部100は、判定領域Aで画像センサ21の光源22を点灯させ、画像センサ検出値として、第1サンプリング周期で検出した平均値を算出する。なお、制御部100は、判定領域A以外では、画像センサ21の光源22を消灯する。これにより、非露光動作領域以外に光源22を点灯させずに済み、光源22の長寿命化を図ることができ、感光体ドラム20の光疲労を最小限に抑えることが可能となる。
【0066】
クリーニングブレード30の反転やめくれを判定するためのトナー像の濃度の閾値は、実験データに基づいて設定することができ、記憶部110に記憶されている。本開示ではトナー像の濃度の閾値は、感光体ドラム20の表面領域においてトナーが一様に存在する所謂ベタ画像濃度のトナー付着量の1/2としている。つまり、感光体ドラム20上の非画像形成領域において、ベタ画像濃度のトナー付着量の1/2である値を超えるトナー付着量が検出された場合、つまり今回の画像センサ検出値が閾値の濃度よりも大きい場合には、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生している可能性ありと判断できる。そのため、判定2での判定となる。
【0067】
ここで、本開示のベタ画像濃度におけるトナー付着量は、例えば480mg/cmである。その1/2のトナー付着量に相当する240mg/cm以上のトナー付着量を検知したときの反射光量値は、実験データに基づいて「300」であった。この場合、クリーニングブレード30の反転やめくれを判定する反射光量は、「300」を閾値として設定することができる。
【0068】
(判定2)
判定2では、制御部100は、画像形成動作ごとに算出する、判定領域Aでの画像センサ21が検出したトナー像の濃度について、過去の所定回数分(例えば10回分)について平均化した過去平均値を算出し、記憶部110に記憶する。異常判定部120は、当該画像形成動作(最新の画像形成動作)の直前の判定領域Aで検出された画像センサ検出値が、記憶部110に記憶された過去平均値よりも所定値以上大きい場合に、「異常あり」と判定する。
【0069】
感光体ドラム20の反射光量に関しては、直近のN回分(例えば10回分)の紙間の反射光量の平均値と、今回の紙間の反射光量の値とを比較したときに、実験データに基づけば、通常のセンサ汚れでは10回分(用紙P10枚分)の画像形成動作で「50」以上の反射光量の変化は起こらないとされている。そこで、判定2では、直近10回分の反射光量の平均値(過去平均値)よりも、判定対象の今回の反射光量値が「50」以上低い場合には、少なくとも通常のセンサ汚れによる変化ではないと判定することができる。
【0070】
判定1での判定結果と、判定2での判定結果とに基づいて、異常判定部120はクリーニングブレード30の反転やめくれの発生の有無を判断する。最終的には判定2によって、異常判定部120が「異常あり」と判定した場合に、クリーニングブレード30が反転やめくれを起こしていると判断できるので、画像形成装置1の画像形成動作を緊急停止(仮停止)し、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生した状態で画像形成が継続されることを防止する。判定2で「異常なし」との判定であれば、画像形成動作が継続される。
【0071】
なお、異常判定部120の判定1および判定2は、画像センサ21が検出したトナー像の濃度に基づく構成として説明したが、反射光量とトナー付着量との相関性に基づいて、反射光量を基準とした構成とされてもよい。
【0072】
(トナー濃度センサ判定)
図9は、現像装置10におけるトナー濃度とトナー濃度センサ172の出力値との関係を示すグラフである。現像装置10の現像槽14内には、基準量の磁性キャリアが収容されている。図示するように、トナー量が少ない(トナー濃度が小さい)と、磁性キャリアの密度が増加してトナー濃度センサ172の出力値が上昇する。反対にトナー量が多い(トナー濃度が大きい)と、磁性キャリアの密度が減少してトナー濃度センサ172の出力値が低下する特性を有する。
【0073】
判定1および判定2を経て、異常判定部120が「異常あり」と判定した場合には、画像形成動作を仮停止する。前記のとおり、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生し、クリーニングブレード30の先端部301が感光体ドラム20に当接せずに離間していると、前述したかぶり現象が発生し、現像槽14のトナー濃度は急激に低下する。つまり画像形成動作中に現像槽14内の急激なトナー濃度低下を検出した場合は、クリーニングブレード30に反転やめくれが生じたと判定することができる。なお、トナー濃度は、正確には画像形成動作中にも微変動しているため、1枚の用紙Pに対する画像形成動作の開始から終了までの間、現像槽14の所定単位時間ごとにトナー濃度センサ172のトナー量の検出値のサンプリングを行うことが好ましい。
【0074】
この場合、制御部100は、トナー濃度センサ172から、画像形成動作中に検出した所定のサンプリング周期(第2のサンプリング周期。例えば10msec)でのトナー量の検出値(トナー量検出値)を取得する。例えば、現像槽14を所定時間動作させ、所定単位時間ごとにトナー濃度センサ172によるサンプリングを実施する。所定時間は、実験データに基づいて、信頼できるデータ取得のための必要サンプリング数として、例えば20回分のトナー量検出値が得られる時間とする。
【0075】
画像形成動作の開始から終了までサンプリングした直近N回分(例えば20枚分)のトナー量検出値の平均値を算出し、画像形成枚数が増える度に最も古い枚数目の平均値は削除し、最新の枚数目の平均値を追加した状態で、常に直近20枚分の平均値を算出した移動平均値として記憶部110に上書き記憶する。以上のように、記憶部110では、トナー量検出値および移動平均値をFIFO方式で保存し、更新する。
【0076】
異常判定部120は、仮停止を行うこととなった判定2の「異常あり」と判定した時点でのトナー濃度センサ172のトナー量検出値と、記憶部110内の最も古いトナー量検出値との差(トナー濃度センサ値の変化値)が所定の変化閾値以上である場合、すなわちトナー量検出値の変化度合いが大きい場合に、画像形成動作の緊急停止を継続する。また、画像形成装置1の例えば操作パネル等の表示部に異常の発生を表示して、画像形成動作を受け付けない状態にする(完全停止)。
【0077】
完全停止後はサービスマン等によるメンテナンスを促すメッセージを表示部に表示させ、所定のメンテナンスを実施しない限り、完全停止の解除をできないようにし、画像形成動作の停止状態を継続する。
【0078】
また、異常判定部120は、判定2で「異常あり」と判定した時点でのトナー濃度センサ172のトナー量検出値と、移動平均値との差が、所定の変化閾値に満たない場合には、画像形成動作を緊急停止させたまま、画像形成装置1の例えば操作パネル等の表示部にユーザによる復帰作業を促す表示を行う。また、直近N回分のトナー量検出値の平均値を移動平均値として記憶部110に上書き記憶する。
【0079】
この場合、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生していないと判断されるので、復帰作業がなされた場合に、画像形成動作の受け付けを開始する。画像形成動作を仮停止した時点で、画像形成処理がJAM状態となっている可能性がある。そのため、ユーザ等により所定の復帰作業がなされた後、画像形成動作を再開可能とすることが好ましい。
【0080】
このように構成される画像形成装置1においては、「異常あり」と判定されても、クリーニングブレード30に反転やめくれが発生していなければ、画像形成動作の仮停止だけで、その後、早期に画像形成動作を再開でき、誤検知を防いで画像形成動作を円滑に進めることが可能となる。画像センサ21は、感光体ドラム20上のトナー像の濃度を検出するために画像形成装置1に備えられているものであることから、クリーニングブレード30の異常の発生の有無を検出するために新たに設ける必要はない。そのため、装置の複雑化もコスト増も招くことなく、クリーニングブレード30の反転やめくれの発生に対応することが可能となる。
【0081】
(異常判定の実行処理)
図10図12は、画像形成装置1における異常判定の実行処理の流れについて示すフローチャートである。これらのフローチャートを参照して、異常判定部120による異常有無の判定等について説明する。
【0082】
図10に示すように、画像形成装置1が画像形成動作を開始し、画像センサ21の照射位置に感光体ドラム20表面の判定領域Aの判定開始位置が到達すると(ステップS1)、画像センサ21の光源22は感光体ドラム20の表面を所定のスポット径で照射する(ステップS2)。画像センサ21は、画像センサ検出値のサンプリングを開始する(ステップS3)。光源22の発光開始から所定時間が経過した後、画像センサ21によるサンプリングを終了する(ステップS4)。制御部100は、画像センサ21の光源22を消灯する(ステップS5)。第1サンプリング周期で検出した検出値に基づき平均値を算出し、画像センサ検出値として記憶部110に記憶する(ステップS6)。
【0083】
異常判定部120は、判定領域Aにおいて画像センサ21が検出した画像センサ検出値と、予め設定されている閾値の濃度とを比較して、判定1を実行する(ステップS7)。画像センサ検出値が閾値より大きい場合(ステップS7でYESと判断された場合)、すなわち感光体ドラム20上のトナー付着量が閾値より大きい場合に、判定2を実行する(ステップS8)。最新の画像形成動作の直前の判定領域Aで検出された画像センサ検出値が、記憶部110に記憶された過去平均値よりも所定値以上大きい場合、すなわち、画像センサ検出値と過去平均値との差分が所定の変化閾値より大きい場合(ステップS8でYESと判断された場合)、異常判定部120は「異常あり」と判定し、画像形成動作を仮停止する(ステップS11)。
【0084】
ステップS7でNOと判断された場合、およびステップS8でNOと判断された場合、図11に示すように、トナー濃度センサ172のサンプリングした直近N回分のトナー量検出値の平均値を算出し、移動平均値として記憶部110に上書き記憶する(ステップS9)。クリーニングブレード30に反転やめくれが発生していないと判断されるので、画像形成動作の仮停止を解除し、画像形成動作を継続可能とする(ステップS10)。
【0085】
判定2による画像形成動作の仮停止後、現像槽14を所定時間動作させ、所定単位時間ごとにトナー濃度センサ172によるサンプリングを実施し(ステップS12)、サンプリングした直近N回分のトナー量検出値の平均値を算出する(ステップS13)。算出したトナー濃度センサ172のトナー量検出値と、記憶部110内の最も古いトナー量検出値との差(トナー濃度センサ値の変化値)が所定の変化閾値以上である場合(ステップS14でYESと判断された場合)、画像形成動作を完全停止する(ステップS15)。
【0086】
ステップS14でNOと判断された場合、直近N回分のトナー量検出値の平均値を移動平均値として記憶部110に記憶する(ステップS16)。この場合、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生していないと判断されるので、所定の復帰作業がなされた後に、画像形成動作の受け付けを開始し、画像形成動作の継続可能とする(ステップS17)。
【0087】
また、画像形成動作中のトナー濃度の変化に対応するため、図12に示すように、1枚の用紙Pに対する画像形成動作の開始から終了までの間、動作中の現像槽14の所定単位時間ごとにトナー濃度センサ172のサンプリングを実行する(ステップS21)。サンプリングは、画像形成動作の開始から終了まで行う。画像形成動作が完了すると(ステップS22)、サンプリングしたトナー量の検出値の平均値を算出し、トナー量検出値として記憶部110に記憶する(ステップS23)。また、直近N回分のトナー量検出値の平均値を算出し、移動平均値として記憶部110に上書き更新する(ステップS24)。引き続き、画像形成動作は継続可能とされる(ステップS25)。
【0088】
このように、画像形成装置1では、別途専用のセンサを設けずともクリーニングブレード30の反転やめくれの発生を検出し得るとともに、クリーニングブレード30の反転やめくれの発生を誤検知することを防ぐことが可能であり、さらに、クリーニングブレード30の反転やめくれが発生した状態での画像形成動作が継続されることを防止できる。
【0089】
なお、画像形成装置1としては、外部から伝達される画像データやスキャナなどによって原稿から読み取った画像データに応じ、記録媒体に多色または単色の画像を形成することができる複合機を例に挙げて示したが、本開示の画像形成装置はこれに限定されるものではなく、例えば像担持体としては感光体ドラム20であるには限定されない。
【0090】
本開示は前記の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術的思想に含まれる技術的事項のすべてが本開示の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能であり、そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成装置
10 現像装置(現像手段)
11 第1撹拌搬送部材
12 第2撹拌搬送部材
13 搬送パドル
14 現像槽
15 現像ローラ
16 トナー補給口
171 螺旋羽根
172 トナー濃度センサ(トナー量検出手段)
18 トナーカートリッジ
19 現像バイアス電源(第2の電源)
20 感光体ドラム(像担持体)
21 画像センサ(検出手段)
22 光源
23 反射光検出部
24 駆動源
30 クリーニングブレード
31 保持部材
40 帯電装置
41 帯電ローラ
42 帯電バイアス電源(第1の電源)
50 露光装置(露光手段)
60 転写装置
61 転写ローラ
70 除電装置
80 定着装置
110 記憶部(記憶手段)
120 異常判定部(異常判定手段)
P 用紙
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12