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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146081
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20241004BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241004BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20241004BHJP
   F28F 19/02 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
F28F1/32 X
F25B1/00 396D
F28D1/047 Z
F28F19/02 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058791
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】長野 友紘
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀徳
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA12
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC23
3L103DD04
3L103DD33
3L103DD70
(57)【要約】
【課題】熱交換器を輸送する際、振動や衝撃により、分割されたプレートフィン同士がこすれあうと、プレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれ、剥がれた部分が腐食の起点となる恐れがある。
【解決手段】熱源側熱交換器23は、複数の第1伝熱管61と、第1プレートフィン群41と、複数の第2伝熱管62と、第2プレートフィン群42と、を備える。複数の第1伝熱管61は、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第1プレートフィン群41は、複数の第1伝熱管61が差し込まれる複数のプレートフィン41a、を有する。複数の第2伝熱管62は、複数の第1伝熱管61と接続され、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第2プレートフィン群42は、複数の第2伝熱管62が差し込まれる複数のプレートフィン42a、を有する。第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔Iを空けて配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気と熱交換する冷媒が内部を流れる、複数の第1伝熱管(61)と、
複数の前記第1伝熱管が差し込まれる複数のプレートフィン(41a)、を有する第1プレートフィン群(41)と、
複数の前記第1伝熱管と接続され、前記空気と熱交換する前記冷媒が内部を流れる、複数の第2伝熱管(62)と、
複数の前記第2伝熱管が差し込まれる複数のプレートフィン(42a)、を有する第2プレートフィン群(42)と、
を備え、
前記第1プレートフィン群および前記第2プレートフィン群は、前記冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔(I)を空けて配置される、
熱交換器(23)。
【請求項2】
前記間隔は、0.5mm~3mmの範囲内である、
請求項1に記載の熱交換器(23)。
【請求項3】
前記間隔を維持するスペーサ(84,91a,92a)、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【請求項4】
前記スペーサは、空気を通さない部材により成形される、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【請求項5】
前記第1プレートフィン群および前記第2プレートフィン群は、前記間隔を一定として、前記空気を供給するファン(24)を囲むように配置される、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【請求項6】
前記冷媒は、温度を変化させながら、前記第1伝熱管および前記第2伝熱管の内部を流れる、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【請求項7】
前記冷媒は、二酸化炭素である、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【請求項8】
海上コンテナ内の空気調和を行う冷凍サイクル装置(100)に搭載される、
請求項1または2に記載の熱交換器(23)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第4760542号公報)に示されているように、空気流との熱交換量を増加させるため、熱交換器のプレートフィンを分割する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱交換器を輸送する際、振動や衝撃により分割されたプレートフィン同士がこすれあうと、プレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれ、剥がれた部分が腐食の起点となる恐れがある。そのため、分割に止まらず、プレートフィン同士の間隔を空けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の熱交換器は、複数の第1伝熱管と、第1プレートフィン群と、複数の第2伝熱管と、第2プレートフィン群と、を備える。複数の第1伝熱管は、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第1プレートフィン群は、複数の第1伝熱管が差し込まれる複数のプレートフィン、を有する。複数の第2伝熱管は、複数の第1伝熱管と接続され、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第2プレートフィン群は、複数の第2伝熱管が差し込まれる複数のプレートフィン、を有する。第1プレートフィン群および第2プレートフィン群は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔を空けて配置される。
【0005】
第1観点の熱交換器では、第1プレートフィン群および第2プレートフィン群は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔を空けて配置される。その結果、熱交換器は、熱交換器を輸送する際の振動や衝撃によってプレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを防止することができる。
【0006】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、間隔は、0.5mm~3mmの範囲内である。
【0007】
第2観点の熱交換器は、このような構成により、プレートフィン同士がこすれあわず、かつ熱交換器自体の大きさが大きくなり過ぎないように、間隔を空けることができる。
【0008】
第3観点の熱交換器は、第1観点または第2観点の熱交換器であって、間隔を維持するスペーサ、をさらに備える。
【0009】
第3観点の熱交換器は、このような構成により、熱交換器を輸送する際の振動や衝撃によってプレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを、さらに防止することができる。
【0010】
第4観点の熱交換器は、第1観点から第3観点のいずれか1つの熱交換器であって、スペーサは、空気を通さない部材により成形される。
【0011】
第4観点の熱交換器は、このような構成により、スペーサから空気が漏れることを防止しつつ、間隔を維持することができる。
【0012】
第5観点の熱交換器は、第1観点から第4観点のいずれか1つの熱交換器であって、第1プレートフィン群および第2プレートフィン群は、間隔を一定として、空気を供給するファンを囲むように配置される。
【0013】
第6観点の熱交換器は、第1観点から第5観点のいずれか1つの熱交換器であって、冷媒は、温度を変化させながら、第1伝熱管および第2伝熱管の内部を流れる。
【0014】
第6観点の熱交換器は、このような構成により、温度を変化させながら、第1伝熱管および第2伝熱管の内部を流れる冷媒(例えば超臨界状態の冷媒)であっても、第1プレートフィン群および第2プレートフィン群が間隔を空けて配置されることにより、プレートフィン間の熱移動が抑制され、熱交換器内の全域を通じて冷媒温度と空気温度との温度差が適正に維持される。
【0015】
第7観点の熱交換器は、第1観点から第6観点のいずれか1つの熱交換器であって、冷媒は、二酸化炭素である。
【0016】
第7観点の熱交換器は、このような構成により、高圧時に超臨界状態となる二酸化炭素が冷媒であっても、第1プレートフィン群および第2プレートフィン群が間隔を空けて配置されることにより、プレートフィン間の熱移動が抑制され、冷媒温度と空気温度との温度差が適正に維持される。
【0017】
第8観点の熱交換器は、第1観点から第7観点のいずれか1つの熱交換器であって、熱交換器は、海上コンテナ内の空気調和を行う冷凍サイクル装置に搭載される。
【0018】
第8観点の熱交換器は、このような構成により、輸送する際に特に強い振動や衝撃を受ける、海上コンテナ内の空気調和を行う冷凍サイクル装置に搭載されても、プレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図2】冷凍サイクル装置のモリエル線図である。
図3】熱源側熱交換器の概略外観斜視図である。
図4】熱源側熱交換器の設置例を示す図である。
図5】熱源側熱交換器の概略上面図である。
図6】第1ヘッダおよび第2ヘッダ側から見た第4管板を示す図である。
図7図5におけるF-F概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)冷凍サイクル装置の構成
図1は、冷凍サイクル装置100の概略構成図である。図1に示されるように、冷凍サイクル装置100は、熱源ユニット2と、利用ユニット3と、液側冷媒連絡配管6と、ガス側冷媒連絡配管7と、を備える。冷凍サイクル装置100では、熱源ユニット2と利用ユニット3とが、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管7を介して接続されることで、冷媒が循環する冷媒回路10が構成される。
【0021】
冷凍サイクル装置100では、冷媒回路10内に封入される冷媒が、圧縮され、凝縮され、減圧され、蒸発された後に、再び圧縮される、という蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷凍サイクル装置100は、冷凍サイクルを循環する冷媒の蒸発により、対象空間の空気を冷却する。本実施形態では、冷凍サイクル装置100は、海上コンテナに取り付けられ、海上コンテナ内の対象空間の空気を冷却する。
【0022】
冷媒回路10内に封入される冷媒は、二酸化炭素(R744)である。二酸化炭素は、フッ素含有冷媒と比較して地球温暖化係数(GWP)が小さい、不燃性の自然冷媒である。冷媒回路10では、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒は、その圧力が臨界圧力より大きい超臨界状態にある。
【0023】
(2)冷凍サイクル装置の動作
図2は、冷凍サイクル装置100のモリエル線図である。図2を用いて、冷凍サイクル装置100の冷媒回路10を循環する冷媒の状態の変化について説明する。図2には、冷媒の飽和液線L1、乾き飽和蒸気線L2および臨界点CPが描かれている。臨界点CPは、飽和液線L1および乾き飽和蒸気線L2の高圧側の端点である。臨界点CPより高圧の冷媒は、超臨界状態にある。
【0024】
図1,2に示すように、熱源ユニット2において、冷媒回路10を流れる低圧の冷媒は、第1圧縮機21において圧縮されて中間圧の冷媒となる(P1→P2)。第1圧縮機21から吐出された中間圧の冷媒は、第2配管52を通過する際にわずかに放熱する(P2→P3)。その後、中間圧の冷媒は、第2アキュムレータ22bに流入して液冷媒とガス冷媒とに分離される。第2アキュムレータ22bで分離されたガス冷媒は、第2圧縮機22において圧縮されて高圧の冷媒となる(P3→P4)。第2圧縮機22から吐出された高圧の冷媒は、第3配管53を通過し、熱源側熱交換器23に流入する。熱源側熱交換器23に流入した高圧の冷媒は、熱源側ファン24によって供給される外気と熱交換されて放熱する(P4→P5)。
【0025】
熱源側熱交換器23で放熱した冷媒は、第4配管54を通過し、第1熱源側膨張弁25aで減圧されて、中間圧の冷媒となる(P5→P6)。第1熱源側膨張弁25aで減圧されて気液二相状態となった冷媒は、気液分離器26に流入して、液冷媒とガス冷媒とに分離される(P6→P7)。気液分離器26で分離された液冷媒は、第5配管55を通過し、第2熱源側膨張弁25bでさらに減圧されて、低圧の冷媒となる(P7→P8)。第2熱源側膨張弁25bで減圧された液冷媒は、液側閉鎖弁28および液側冷媒連絡配管6を通過して利用ユニット3に流入して、利用側熱交換器31に流入する。利用側熱交換器31に流入した低圧の液冷媒は、利用側ファン32によって供給される、利用ユニット3が設置される対象空間の空気、と熱交換されて吸熱してガス冷媒となる(P8→P1)。利用側熱交換器31で吸熱した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管7を通過して、ガス側閉鎖弁29から熱源ユニット2に流入する。熱源ユニット2に流入した低圧の冷媒は、第1配管51を通過し、第1アキュムレータ21bに流入して液冷媒とガス冷媒とに分離される。第1アキュムレータ21bで分離されたガス冷媒は、第1圧縮機21に吸入される。
【0026】
(3)熱源側熱交換器の詳細構成
以下の記載における「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」という方向は、図面に記載されている方向を意味する。図3は、熱源側熱交換器23の概略外観斜視図である。図4は、熱源側熱交換器23の設置例を示す図である。図5は、熱源側熱交換器23の概略上面図である。図6は、第1ヘッダ71および第2ヘッダ72側から見た第4管板84を示す図である。
【0027】
図3,4に示すように、熱源側熱交換器23は、熱源ユニット2のケーシングCA内に、熱源側ファン24を囲むように配置される。図4に示すように、熱源側熱交換器23の下面は、板金92によって固定される。熱源側熱交換器23の上面は、板金91によって固定される。板金91には、熱源側ファン24によって上方向に空気を吹き出すための開口91cが設けられている。図4内の矢印は、熱源側ファン24が駆動されることによって生じる、空気の流れを示している。図4に示すように、熱源側ファン24が駆動されると、熱源側ファン24は、熱源側熱交換器23の外面側から内面側に向かって空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、開口91cを通じて上方向に吹き出す。
【0028】
図3,5に示すように、熱源側熱交換器23は、主として、第1プレートフィン群41と、第2プレートフィン群42と、第3プレートフィン群43と、第1伝熱管61と、第2伝熱管62と、第3伝熱管63と、第1管板81と、第2管板82と、第3管板83と、第4管板84(スペーサ)と、第1ヘッダ71と、第2ヘッダ72と、を有する。
【0029】
(3-1)第1プレートフィン群、第2プレートフィン群、および第3プレートフィン群
図5に示すように、熱源側熱交換器23は、熱源側熱交換器23の外面側から内面側に向かって、第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43の順に、3つのプレートフィン群を有する。第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43は、熱源側ファン24を囲むように、ロの字状に配置されている。第1プレートフィン群41は複数のプレートフィン41aを有し、第2プレートフィン群42は複数のプレートフィン42aを有し、第3プレートフィン群43は複数のプレートフィン43aを有する。プレートフィン41a,42a,43aは、アルミニウム、およびアルミニウム合金等により成形される。第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔Iを空けて配置される。同様に、第2プレートフィン群42および第3プレートフィン群43は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔Iを空けて配置される。好ましくは、間隔Iは、0.5mm~3mmの範囲内である。本実施形態では、間隔Iは一定である。
【0030】
図6に示すように、プレートフィン41a,42a,43aにはそれぞれ、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63を差し込むための複数の貫通孔が上下方向に形成されている。本実施形態では、プレートフィン41a,42a,43aにはそれぞれ、12個の貫通孔が形成されている。言い換えると、プレートフィン41aには12本の第1伝熱管61が差し込まれ、プレートフィン42aには12本の第2伝熱管62が差し込まれ、プレートフィン43aには12本の第3伝熱管63が差し込まれる。
【0031】
(3-2)第1伝熱管、第2伝熱管、および第3伝熱管
第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63の内部には、空気と熱交換する冷媒が流れる。第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63は、アルミニウム、およびアルミニウム合金等により成形される。上述のように、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63の内部を流れる冷媒は、超臨界状態の冷媒である(図2のP4→P5参照)。そのため、冷媒は、温度を変化させながら、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63の内部を流れる。
【0032】
図3,5に示すように、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63の第1ヘッダ71および第2ヘッダ72側の端部には、第4管板84が取り付けられている。第1伝熱管61の第4管板84とは反対側の端部には、第1管板81が取り付けられている。第2伝熱管62の第4管板84とは反対側の端部には、第2管板82が取り付けられている。第3伝熱管63の第4管板84とは反対側の端部には、第3管板83が取り付けられている。
【0033】
図6では、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63は、紙面に垂直な方向に伸びている。図6内の矢印は、冷媒の流れを示している。実線矢印は、第4管板84側の冷媒の流れを示し、点線矢印は、第1管板81、第2管板82、および第3管板83側の冷媒の流れを示している。
【0034】
図3,5,6に示すように、第4管板84側において、第1ヘッダ71と第1伝熱管61とは、6本の第4伝熱管64によって接続される。また、第4管板84側において、第1伝熱管61と第2伝熱管62とは、6本のU字状の第5伝熱管65によって接続される。また、第4管板84側において、第2伝熱管62と第3伝熱管63とは、6本のU字状の第6伝熱管66によって接続される。また、第4管板84側において、第2ヘッダ72と第3伝熱管63とは、6本の第7伝熱管67によって接続される。また、第1管板81側において、第1伝熱管61同士が、6本のU字状の第8伝熱管68によって接続される。また、第2管板82側において、第2伝熱管62同士が、6本のU字状の第9伝熱管69によって接続される。また、第3管板83側において、第3伝熱管63同士が、6本のU字状の第10伝熱管70によって接続される。なお、図6では、説明のため、第4伝熱管64および第7伝熱管67は、前後方向に描かれているが、実際は、第4伝熱管64および第7伝熱管67は、紙面に垂直な方向に伸びている。
【0035】
(3-3)第1管板、第2管板、第3管板、および第4管板
図3,5,6に示すように、第1管板81は、第1伝熱管61を拡管により固定する。第2管板82は、第2伝熱管62を拡管により固定する。第3管板83は、第3伝熱管63を拡管により固定する。第4管板84は、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63を、拡管により固定する。
【0036】
第1管板81、第2管板82、第3管板83、および第4管板84は、空気を通さない、アルミニウム、ステンレス、鋼等の部材により成形される。
【0037】
図6に示すように、第4管板84は、第1伝熱管61、第2伝熱管62、および第3伝熱管63を固定することにより、第1プレートフィン群41と第2プレートフィン群42との間隔I、および第2プレートフィン群42と第3プレートフィン群43との間隔Iを維持する。言い換えると、第4管板84は、間隔Iを維持するためのスペーサとして機能する。
【0038】
(3-4)第1ヘッダおよび第2ヘッダ
図5,6に示すように、第1ヘッダ71は、第3配管53から流入するする冷媒を分流させ、分流させた冷媒を、第4伝熱管64に流す。本実施形態では、第1ヘッダ71は、6つの冷媒の流れに分流させる。
【0039】
第2ヘッダ72は、第7伝熱管67から流入する冷媒を合流させ、合流させた冷媒を、第4配管54に流す。本実施形態では、第2ヘッダ72は、6つの冷媒の流れを合流させる。
【0040】
(3-5)熱源側熱交換器内の冷媒の流れ
図5,6に示すように、第3配管53を通過した冷媒は、第1ヘッダ71に流入し、6つの冷媒の流れに分流される。分流された冷媒は、第4伝熱管64、第1伝熱管61(第4管板84側から第1管板81側へ)、第8伝熱管68、第1伝熱管61(第1管板81側から第4管板84側へ)、第5伝熱管65、第2伝熱管62(第4管板84側から第2管板82側へ)、第9伝熱管69、第2伝熱管62(第2管板82側から第4管板84側へ)、第6伝熱管66、第3伝熱管63(第4管板84側から第3管板83側へ)、第10伝熱管70、第3伝熱管63(第3管板83側から第4管板84側へ)、第7伝熱管67の順に通過し、第2ヘッダ72に流入する。第2ヘッダ72に流入した冷媒は、1つの流れに合流し、第4配管54から流出する。
【0041】
(4)特徴
(4-1)
従来、空気流との熱交換量を増加させるため、熱交換器のプレートフィンを分割する技術がある。
【0042】
しかし、従来の技術では、熱交換器を輸送する際、振動や衝撃により、分割されたプレートフィン同士がこすれあうと、プレートフィンに施された塩害対策用の塗装が剥がれ、剥がれた部分が腐食の起点となる恐れがある。そのため、分割に止まらず、プレートフィン同士の間隔を空けることが望ましい。
【0043】
本実施形態の熱源側熱交換器23は、複数の第1伝熱管61と、第1プレートフィン群41と、複数の第2伝熱管62と、第2プレートフィン群42と、を備える。複数の第1伝熱管61は、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第1プレートフィン群41は、複数の第1伝熱管61が差し込まれる複数のプレートフィン41a、を有する。複数の第2伝熱管62は、複数の第1伝熱管61と接続され、空気と熱交換する冷媒が内部を流れる。第2プレートフィン群42は、複数の第2伝熱管62が差し込まれる複数のプレートフィン42a、を有する。第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔Iを空けて配置される。
【0044】
熱源側熱交換器23では、第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42は、冷媒が流れる方向と直交する第1方向に沿って、間隔Iを空けて配置される。その結果、熱源側熱交換器23は、熱源側熱交換器23を輸送する際の振動や衝撃によって、プレートフィン41a,42aに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを防止することができる。
【0045】
(4-2)
本実施形態の熱源側熱交換器23では、間隔Iは、0.5mm~3mmの範囲内である。その結果、熱源側熱交換器23は、プレートフィン41a,42a同士がこすれあわず、かつ熱源側熱交換器23自体の大きさが大きくなり過ぎないように、間隔Iを空けることができる。
【0046】
(4-3)
本実施形態の熱源側熱交換器23は、間隔Iを維持する第4管板84(スペーサ)、をさらに備える。その結果、熱源側熱交換器23は、熱源側熱交換器23を輸送する際の振動や衝撃によって、プレートフィン41a,42aに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを、さらに防止することができる。
【0047】
(4-4)
本実施形態の熱源側熱交換器23では、第4管板84は、空気を通さない部材により成形される。その結果、熱源側熱交換器23は、第4管板84から空気が漏れることを防止しつつ、間隔Iを維持することができる。
【0048】
(4-5)
本実施形態の熱源側熱交換器23では、第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42は、間隔Iを一定として、空気を供給する熱源側ファン24を囲むように配置される。
【0049】
(4-6)
本実施形態の熱源側熱交換器23では、冷媒は、温度を変化させながら、第1伝熱管61および第2伝熱管62の内部を流れる。その結果、熱源側熱交換器23は、温度を変化させながら、第1伝熱管61および第2伝熱管62の内部を流れる冷媒(例えば、超臨界状態の冷媒)であっても、第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42が間隔Iを空けて配置されることにより、プレートフィン41a,42a間の熱移動が抑制され、熱源側熱交換器23内の全域を通じて冷媒温度と空気温度との温度差が適正に維持される。
【0050】
(4-7)
本実施形態の熱源側熱交換器23では、冷媒は、二酸化炭素である。その結果、熱源側熱交換器23は、高圧時に超臨界状態となる二酸化炭素が冷媒であっても、第1プレートフィン群41および第2プレートフィン群42が間隔Iを空けて配置されることにより、プレートフィン41a,42a間の熱移動が抑制され、熱源側熱交換器23内の全域を通じて冷媒温度と空気温度との温度差が適正に維持される。
【0051】
(4-8)
本実施形態の熱源側熱交換器23は、海上コンテナ内の空気調和を行う冷凍サイクル装置100に搭載される。その結果、熱源側熱交換器23は、輸送する際に特に強い振動や衝撃を受ける、海上コンテナ内の空気調和を行う冷凍サイクル装置100に搭載されても、プレートフィン41a,42aに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを防止することができる。
【0052】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、スペーサとして、第4管板84が用いられた。しかし、熱源側熱交換器23は、さらに、板金91,92にスペーサを取り付けてもよい。
【0053】
図7は、図5におけるF-F概略断面図である。図6と同様に、図7内の矢印は、冷媒の流れを示している。図7に示すように、第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43と、板金91との間には、第1スペーサ91aが取り付けられている。第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43と、板金92との間には、第2スペーサ92aが取り付けられている。第1スペーサ91aおよび第2スペーサ92aはそれぞれ、ビス留め、両面テープ等により、板金91,92に取り付けられる。第1スペーサ91aおよび第2スペーサ92aは、樹脂、発泡ウレタン、発報シール材、ゴム等により成形される。
【0054】
第1スペーサ91aには、3つの凹み部91bが形成されている。第1スペーサ91aは、凹み部91bによって、第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43を挟み込むことにより、間隔Iを維持する。同様に、第2スペーサ92aには、3つの凹み部92bが形成されている。第2スペーサ92aは、凹み部92bによって、第1プレートフィン群41、第2プレートフィン群42、および第3プレートフィン群43を挟み込むことにより、間隔Iを維持する。
【0055】
そのため、熱源側熱交換器23は、熱源側熱交換器23を輸送する際の振動や衝撃によって、プレートフィン41a,42a,43aに施された塩害対策用の塗装が剥がれることを、さらに防止することができる。
【0056】
(5-2)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0057】
23 熱源側熱交換器(熱交換器)
24 熱源側ファン(ファン)
41 第1プレートフィン群
41a プレートフィン
42 第2プレートフィン群
42a プレートフィン
61 第1伝熱管
62 第2伝熱管
84 第4管板(スペーサ)
91a 第1スペーサ(スペーサ)
92a 第2スペーサ(スペーサ)
100 冷凍サイクル装置
I 間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特許第4760542号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7