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特開2024-146096ポリオール組成物、ポリウレタンフォーム用組成物及び発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146096
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ポリオール組成物、ポリウレタンフォーム用組成物及び発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20241004BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20241004BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/40 018
C08G18/08 038
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058812
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】末竹 貴雄
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG22
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC23
4J034KD02
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA16
4J034QB10
4J034QB14
4J034RA10
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】得られる発泡体の被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れ、横伸びが抑制されて施工性に優れるポリウレタンフォーム用組成物並びにその調製に用いるポリオール組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリオール組成物は、リン酸エステル、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤、第四級アンモニウム塩を含む触媒、及びポリイソシアネートと組み合わせて、ポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物を調製するために用いられ、芳香族ポリエステルポリオール及び自己触媒性ポリオールを含有し、ポリオール組成物は水を含有してもよく、その場合の含有量は、ポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満である。ポリウレタンフォーム用組成物におけるリン酸エステルの含有量は、ポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール組成物、リン酸エステル、発泡剤、触媒及びポリイソシアネートを組み合わせて、ポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の調製に用いられるポリオール組成物であって、
前記発泡剤はハロゲン化オレフィンを含み、
前記触媒は第四級アンモニウム塩を含み、
前記ポリウレタンフォーム用組成物に含有される前記リン酸エステルの含有量は、前記ポリウレタンフォーム用組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部であり、
前記ポリオール組成物は、自己触媒性を有さない芳香族ポリエステルポリオールと、自己触媒性ポリオールとを含有し、
前記ポリオール組成物は水を含有してもよく、該水を含有する場合、該水の含有量は、前記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満であるポリオール組成物。
【請求項2】
前記芳香族ポリエステルポリオール及び前記自己触媒性ポリオールの合計量の割合は、前記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量%とした場合に70質量%以上である請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記芳香族ポリエステルポリオールの含有割合が、前記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量%とした場合に60~90質量%である請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記自己触媒性ポリオールが、エチレンジアミンのアルキレンオキサイド付加物を含む請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
前記リン酸エステルを含有する請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
前記発泡剤を含有する請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
前記触媒を含有する請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
水を含有しない請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のポリオール組成物と、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤と、リン酸エステルと、第四級アンモニウム塩を含む触媒と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなるポリウレタンフォーム用組成物において、前記リン酸エステルの含有量は、前記ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部であるポリウレタンフォーム用組成物。
【請求項10】
前記ポリオール組成物が前記発泡剤、前記リン酸エステル及び前記触媒を含有する請求項9に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
【請求項11】
前記ポリウレタンフォーム用組成物が水を含有する場合、該水の含有量が、前記ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満である請求項9に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
【請求項12】
請求項9に記載のポリウレタンフォーム用組成物を発泡させて得られた発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体(ポリウレタンフォーム)を与え、施工性に優れるポリウレタンフォーム用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂発泡体として、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム等が知られている。このうち、ポリウレタンフォームは、建築物、電気製品、家具、車両等における空隙部又は凹部に収容すると、断熱性、防音性等に優れることから、広く利用されている。
例えば、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体壁面、天井、屋根等の断熱のために、ポリウレタンフォームからなる断熱層(断熱材)を形成する場合、一般に、2液型組成物、即ち、ポリオールと、発泡剤と、必要に応じて、触媒、整泡剤等の各種助剤とを含有するポリオール組成物(プレミックス液)、及び、ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物の混合物(ポリウレタンフォーム用組成物)を、被着体(発泡体形成対象物)に塗工しポリオール及びポリイソシアネートを反応させ、発泡・硬化させつつ形成されたポリウレタンフォーム層を被着体に接着させる方法が用いられる。このとき、厚肉のポリウレタンフォーム層を得るために、重ね塗りが容易なスプレー塗工等が適用される。
【0003】
ポリウレタンフォーム又はその形成に用いられる組成物として、以下の技術が知られている。
特許文献1には、ポリイソシアネートとポリオールとを発泡剤および触媒などの存在下で反応させて得られる硬質ポリウレタンフォームであって、ポリオールが、芳香族濃度17~35wt%のポリエステルポリオールと、非アミン系ポリエーテルポリオールおよび/または芳香族アミン系ポリエーテルポリオールを含むものであり、発泡剤がハロゲン化オレフィンを含むものであることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームが開示されている。
特許文献2には、ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成され、かかるポリオールとポリイソシアネートとの反応と共に、発泡剤による発泡にて、ポリウレタンフォームを形成する発泡性組成物にして、前記ポリオール組成物が、前記発泡剤として、少なくともハロゲン化ハイドロオレフィンを含有すると共に、更に、破泡剤を含有することを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物が開示されている。
また、特許文献3には、ポリオールを主体とするポリオール組成物と、ポリイソシアネートとから構成され、かかるポリオールとポリイソシアネートとを、触媒として少なくともカルボン酸金属塩触媒を用いて反応せしめると共に、発泡剤による発泡にて、ポリウレタンフォームを形成するための発泡性組成物にして、前記ポリオール組成物が、前記ポリオールとして、ポリエステルポリオール(A)とポリエーテルポリオール(B)とを質量比においてA:B=70:30~40:60の割合で含有し、且つ該ポリエーテルポリオールの70質量%以上が、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールにて構成されていると共に、更に、ポリマー微粒子を含有していることを特徴とするポリウレタンフォーム用発泡性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-155905号公報
【特許文献2】特開2022-15801号公報
【特許文献3】特開2022-32435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、壁、天井等にポリウレタンフォーム用組成物を供給しながら発泡・硬化させてポリウレタンフォームを形成させつつ接着させて、ポリウレタンフォームからなる断熱層を有する一体化物を得る工法が採用されることがある。このような場合、ポリウレタンフォーム層の被着体への接着性が必要となる。
また、ポリウレタンフォーム用組成物のスプレー塗工においては、厚みのあるポリウレタンフォーム層を形成するために、通常、被着体の所定部に対して、霧状の組成物を吹き付け続けて大面積の塗膜を形成させるとともに、反応、発泡及び成長を繰り返す。吹き付けの際に、意図せずに所定部を超えてしまった組成物は、被着体に接触することなく、この所定部の周りに、被着体表面に沿うように広がって、不要なポリウレタンフォーム部となる。このように意図しない発泡体形成現象(以下、この現象を「横伸び」という。)におけるポリウレタンフォーム部は、被着体の所定部に吹き付けられて形成されたポリウレタンフォーム層に比べると、被着体への接着性が劣るため、施工性(作業性)を低下させることとなった。
更に、ポリウレタンフォームを、例えば、断熱材又は防音材として用いる場合、予め、金型にポリウレタンフォーム用組成物を注入して発泡・硬化させて、発泡体を得た後、所定形状のポリウレタンフォームを、部材どうしの間、又は、1部材の所定の空間(凹部等)に埋設させる作業がなされることがある。このような場合、ポリウレタンフォーム部に優れた機械的強度(特に、圧縮強度)が要求されることがあった。
【0006】
本発明は、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体を与え、横伸びが抑制されて施工性に優れるポリウレタンフォーム用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示される。尚、「自己触媒性ポリオール」とは、ウレタン反応性を有しつつ、ウレタン結合の形成を促進する触媒としても作用するポリオールを意味する。
[1]ポリオール組成物、リン酸エステル、発泡剤、触媒及びポリイソシアネートを組み合わせて、ポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の調製に用いられるポリオール組成物であって、
上記発泡剤はハロゲン化オレフィンを含み、
上記触媒は第四級アンモニウム塩を含み、
上記ポリウレタンフォーム用組成物に含有される上記リン酸エステルの含有量は、上記ポリウレタンフォーム用組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部であり、
上記ポリオール組成物は、自己触媒性を有さない芳香族ポリエステルポリオールと、自己触媒性ポリオールとを含有し、
上記ポリオール組成物は水を含有してもよく、該水を含有する場合、該水の含有量は、上記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満であるポリオール組成物。
[2]上記芳香族ポリエステルポリオール及び上記自己触媒性ポリオールの合計量の割合は、上記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量%とした場合に70質量%以上である上記[1]に記載のポリオール組成物。
[3]上記芳香族ポリエステルポリオールの含有割合が、上記ポリオール組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量%とした場合に60~90質量%である上記[1]に記載のポリオール組成物。
[4]上記自己触媒性ポリオールが、エチレンジアミンのアルキレンオキサイド付加物を含む上記[1]に記載のポリオール組成物。
[5]上記リン酸エステルを含有する上記[1]に記載のポリオール組成物。
[6]上記発泡剤を含有する上記[1]に記載のポリオール組成物。
[7]上記触媒を含有する上記[1]に記載のポリオール組成物。
[8]水を含有しない上記[1]に記載のポリオール組成物。
[9]上記[1]に記載のポリオール組成物と、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤と、リン酸エステルと、第四級アンモニウム塩を含む触媒と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなるポリウレタンフォーム用組成物において、上記リン酸エステルの含有量は、上記ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部であるポリウレタンフォーム用組成物。
[10]上記ポリオール組成物が上記発泡剤、上記リン酸エステル及び上記触媒を含有する上記[9]に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
[11]上記ポリウレタンフォーム用組成物が水を含有する場合、該水の含有量が、上記ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満である上記[9]に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
[12]上記[9]に記載のポリウレタンフォーム用組成物を発泡させて得られた発泡体。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリウレタンフォーム用組成物を用いると、横伸びが抑制されて施工性に優れ、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れた発泡体(ポリウレタンフォーム)を得ることができる。従って、被着体に塗工した後、発泡・硬化を経て、発泡体の、被着体への接着性が発揮される用途、例えば、建築物の内外壁材、パネル等における断熱、金属サイディング、冷蔵庫等における断熱、ビル、マンション、冷凍倉庫等の躯体壁面、天井、屋根等における断熱又は結露防止、輸液パイプ等の断熱等に用いられる部材形成に好適である。
本発明のポリオール組成物は、このような発泡体(ポリウレタンフォーム)を与えるポリウレタンフォーム用組成物の製造原料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構成的な詳細を示すことを意図しておらず、本説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明のポリオール組成物は、このポリオール組成物と、リン酸エステルと、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤と、第四級アンモニウム塩を含む触媒と、ポリイソシアネートとを組み合わせて、ポリウレタンフォームの製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の調製に用いられる組成物である。本発明において、リン酸エステルの含有量が、ポリウレタンフォーム用組成物を構成する全てのポリオールの合計を100質量部とした場合に1~15質量部であるポリウレタンフォーム用組成物を、被着体に塗工したり、被着体に形成された空隙に供給したり等することにより、横伸びが抑制されて施工性に優れ、被着体への接着性及び難燃性に優れたウレタン樹脂からなる発泡体を形成することができ、本発明のポリオール組成物は、このようなポリウレタンフォーム用組成物の調製に好適な組成物である。そして、本発明のポリオール組成物は、自己触媒性を有さない芳香族ポリエステルポリオールと、自己触媒性を有するポリオールとを含むポリオール(以下、「ポリオール成分」という)を含有し、水を含有してもよく、水を含有する場合、その含有量は、全てのポリオール成分の合計を100質量部とした場合に0.5質量部未満である。本発明のポリオール組成物は、後述するように、ポリオール成分以外に他の成分を含有することができる。他の成分として発泡剤が挙げられ、水は発泡剤として作用することが知られているが、本発明のポリオール組成物において、水の起源によらず、上記のように、全てのポリオール成分の合計を100質量部とした場合に水の含有量は0.5質量部未満である。
【0011】
ポリオール組成物を構成するポリオール成分は、自己触媒性を有さない芳香族ポリエステルポリオールと、自己触媒性を有するポリオールとを含み、必要により、他のポリオール(後述)を含むことができる。
【0012】
芳香族ポリエステルポリオールは、好ましくはフタル酸又はその無水物と、ジオールとを用いて得られた縮合反応生成物からなるポリエステルポリオールである。尚、フタル酸は、o-フタル酸及びテレフタル酸のいずれでもよい。また、ジオールは、脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールのいずれでもよいが、好ましくは脂肪族ジオールである。
【0013】
脂肪族ジオールは、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。直鎖状ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール等が挙げられる。分岐状ジオールとしては、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリオール組成物に含まれる芳香族ポリエステルポリオールは、1種のみでも、2種以上でもよい。本発明に係る芳香族ポリエステルポリオールは、o-フタル酸又はその無水物と、ジオールとから形成されたポリエステルポリオール(以下、「第1ポリエステルポリオール」という)、及び、テレフタル酸と、ジオールとから形成されたポリエステルポリオール(以下、「第2ポリエステルポリオール」という)から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0015】
第1ポリエステルポリオールにおける芳香族部分の含有割合(以下、「芳香族濃度」ともいう)、即ち、第1ポリエステルポリオールを構成する芳香環の質量比率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10~35質量%、更に好ましくは15~25質量%である。
また、第2ポリエステルポリオールにおける芳香族部分の含有割合(芳香族濃度)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10~35質量%、更に好ましくは15~25質量%である。
【0016】
本発明のポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量%とすると、芳香族ポリエステルポリオールの含有割合の下限は、ポリオール組成物を含有するポリウレタンフォーム用組成物を用いて得られる発泡体の被着体への接着性の観点から、好ましくは60質量%、より好ましくは65質量%、更に好ましくは70質量%である。また、上限は、好ましくは90質量%、より好ましくは88質量%、更に好ましくは85質量%である。
【0017】
本発明のポリオール組成物に含まれる自己触媒性ポリオールは、具体的には、窒素原子を有するものであり、好ましくは1級アミン、2級アミン及び3級アミンのいずれかの構造を有するものであり、より好ましくは3級アミン構造を有するものである。上記自己触媒性ポリオールとしては、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、トルエンジアミン系ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらのうち、エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールが好ましい。また、自己触媒性を有さない芳香族ポリエステルポリオールは、具体的には、窒素原子を有さないものである。
【0018】
エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールは、好ましくはエチレンジアミンのアルキレンオキサイド付加物であり、このアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。アルキレンオキサイドは、これらのうちの1種のみ又は2種以上が用いられたものとすることができる。アルキレンオキサイドとしては、硬質フォームの物性、及び、原料の価格の観点から、プロピレンオキシドを含むことが好ましい。この場合、プロピレンオキシドの使用量の割合は、アルキレンオキサイドの全体に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
エチレンジアミン系ポリエーテルポリオールの水酸基価は、得られる発泡体の機械的強度の観点から、好ましくは400mgKOH/g以上である。
【0019】
本発明のポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量%とすると、自己触媒性ポリオールの含有割合の下限は、ポリオール組成物を含有するポリウレタンフォーム用組成物を用いて得られる発泡体の被着体への接着性及び機械的強度の観点から、好ましくは5質量%、より好ましくは8質量%、更に好ましくは10質量%である。また、上限は、好ましくは30質量%、より好ましくは25質量%、更に好ましくは20質量%である。
【0020】
また、本発明のポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量%とすると、芳香族ポリエステルポリオール及び自己触媒性ポリオールの合計量の割合は、ポリオール組成物を含有するポリウレタンフォーム用組成物を用いて得られる発泡体の被着体への接着性及び機械的強度の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
【0021】
本発明のポリオール組成物は、必要に応じて、更に、他のポリオールを含有することができる。他のポリオールとしては、多価アルコール、多価フェノール、天然油脂系ポリオール(ヒマシ油等)、ポリエーテルポリオール(グリセリン系ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール、マンニッヒ系ポリエーテルポリオール、シュクロース系ポリエーテルポリオール、ソルビトール系ポリエーテルポリオール等)、ポリエーテルエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール、トルエンジアミン系ポリエーテルポリオール、トリレンジアミン系ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0022】
本発明のポリオール組成物は、ポリオール以外に、更に、触媒、発泡剤、発泡体のセル構造を均一化する整泡剤、リン酸エステル、難燃剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、抗菌剤、腐食防止剤、着色剤、水等の他の成分(添加剤)を含有することができる。尚、水は発泡剤として用いられることがあるが、これに限定されない。
【0023】
触媒としては、ウレタン結合の形成を促進するウレタン化触媒(樹脂化触媒)、イソシアヌレート環の生成を促進するイソシアヌレート化触媒(三量化触媒)等が挙げられる。本発明においては、ウレタン化触媒(樹脂化触媒)及びイソシアヌレート化触媒(三量化触媒)を併用することが好ましい。
【0024】
ウレタン化触媒(樹脂化触媒)としては、3級アミン、イミダゾール化合物、K、Sn、Pb、Zn、Fe、Cu、Ni、Co、Mn、Zr又はBiを含むカルボン酸金属塩等が挙げられる。用いられるウレタン化触媒は、1種のみでも、2種以上でもよい。
【0025】
3級アミンとしては、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン等のN,N-ジメチルアルキルアミン類;2-(ジメチルアミノ)エチルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン等の(ジメチルアミノ)アルキルアミン類;N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、(ジメチルアミノ)アセトニトリル、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、1-(ジメチルアミノ)ピロール、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、4-ジメチルアミノトルエン、ジメチルアニリン、4-ジメチルアミノアニリン、2-(ジメチルアミノ)ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾニトリル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチルモルホリン、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0026】
イミダゾール化合物としては、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0027】
カルボン酸金属塩としては、カルボン酸のカルボキシ基を構成する水素原子が、K、Sn、Pb、Zn、Fe、Cu、Ni、Co、Mn、Zr又はBiに置換されてなる化合物が好ましく用いられる。具体的なカルボン酸金属塩としては、酢酸カリウム、酪酸カリウム、オクチル酸カリウム、ナフテン酸カリウム、オレイン酸カリウム、オクタン酸カリウム、ネオデカン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、安息香酸カリウム等のカルボン酸カリウム;酢酸錫、酪酸錫、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫、オクタン酸第一錫、ジラウリン酸第一錫、ジパルミチン酸第一錫、ジステアリン酸第一錫、ジオレイン酸第一錫、ビス(ネオデカン酸)錫、ステアリン酸錫、安息香酸錫等のカルボン酸錫;酢酸鉛、酪酸鉛、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、オレイン酸鉛、オクタン酸鉛、ネオデカン酸鉛、ラウリン酸鉛、ステアリン酸鉛、安息香酸鉛等のカルボン酸鉛;酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、安息香酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛;酢酸鉄、酪酸鉄、オクチル酸鉄、ナフテン酸鉄、オレイン酸鉄、オクタン酸鉄、ネオデカン酸鉄、ラウリン酸鉄、ステアリン酸鉄、安息香酸鉄等のカルボン酸鉄;酢酸銅、酪酸銅、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オクタン酸銅、ネオデカン酸銅、ラウリン酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅等のカルボン酸銅;酢酸ニッケル、酪酸ニッケル、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケル、ラウリン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、安息香酸ニッケル等のカルボン酸ニッケル;酢酸コバルト、酪酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、オクタン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、安息香酸コバルト等のカルボン酸コバルト;酢酸マンガン、酪酸マンガン、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オレイン酸マンガン、オクタン酸マンガン、ネオデカン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、ステアリン酸マンガン、安息香酸マンガン等のカルボン酸マンガン;酢酸ジルコニウム、酪酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オレイン酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、安息香酸ジルコニウム等のカルボン酸ジルコニウム;酢酸ビスマス、酪酸ビスマス、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、オレイン酸ビスマス、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ラウリン酸ビスマス、ステアリン酸ビスマス、安息香酸ビスマス等のカルボン酸ビスマス等が挙げられる。
【0028】
本発明において、ウレタン化触媒(樹脂化触媒)は、3級アミン及びカルボン酸金属塩を組み合わせてなることが好ましい。
【0029】
ウレタン化触媒(樹脂化触媒)を用いる場合、ポリウレタンが効率よく形成されることから、その使用量(合計)は、ポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量部とすると、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~7質量部、更に好ましくは2~5質量部である。
【0030】
イソシアヌレート化触媒(三量化触媒)としては、第四級アンモニウム塩、脂肪酸アルカリ金属塩、含窒素芳香族化合物、第三級アンモニウム塩等が挙げられる。用いられるイソシアヌレート化触媒は、1種のみでも、2種以上でもよい。
【0031】
第四級アンモニウム塩のカチオン部である第四級アンモニウム基としては、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム等の脂肪族アンモニウム基;(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム等のヒドロキシアンモニウム基;1-メチル-1-アザニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、1,1-ジメチル-4-メチルピペリジニウム、1-メチルモルホリニウム、1-メチルピペリジニウム等の脂環式アンモニウム基等が挙げられる。
【0032】
第四級アンモニウム塩のアニオン部としては、ギ酸イオン、酢酸イオン、オクタン酸イオン、蓚酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、安息香酸イオン、トルイル酸イオン、エチル安息香酸イオン、メチル炭酸イオン、フェノールイオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸エステルイオン、ハロゲン化物イオン、OH、CO 2-、HCO 等が挙げられる。
【0033】
脂肪酸アルカリ金属塩としては、オクチル酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
含窒素芳香族化合物としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等が挙げられる。
第三級アンモニウム塩としては、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0034】
本発明のポリオール組成物が触媒を含有する場合、イソシアヌレート化触媒(三量化触媒)として第四級アンモニウム塩を含むことが好ましい。
【0035】
イソシアヌレート化触媒(三量化触媒)を用いる場合、ポリオールのヒドロキシ基と、ポリイソシアネートのイソシアネート基との反応によりイソシアヌレート環の生成が促進されることから、その使用量は、ポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計量を100質量部とすると、好ましくは0.3~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部、更に好ましくは1~4質量部である。
【0036】
本発明において、触媒は、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体の製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の原料として含まれる。本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全量の触媒が含まれる組成物であってもよいし、触媒の一部又は全てを含有しない組成物であってもよい。
【0037】
発泡剤としては、ハロゲン化オレフィン、ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、水等が挙げられる。本発明のポリオール組成物に含まれる発泡剤は、1種のみでも、2種以上でもよい。本発明においては、ポリウレタンフォーム用組成物がハロゲン化オレフィンを含むことから、本発明のポリオール組成物が発泡剤を含有する場合、ハロゲン化オレフィンを含むことが好ましい。
【0038】
本発明のポリオール組成物が水を除く発泡剤(以下、「発泡剤(S)」という)を含有する場合、その含有量は、ポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量部とすると、好ましくは10~50質量部、より好ましくは15~45質量部、更に好ましくは20~40質量部である。
上記発泡剤(S)は、ハロゲン化オレフィンのみからなるものであるか、ハロゲン化オレフィンと、ハイドロカーボン及びハイドロフルオロカーボンから選ばれた少なくとも1種とからなるものとすることができる。
【0039】
上記ハロゲン化オレフィンは、好ましくは、ハロゲン原子として、塩素原子、フッ素原子等を含む、炭素原子数が2~6個程度の不飽和炭化水素誘導体であり、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン等が挙げられる。
【0040】
ハイドロフルオロオレフィンとしては、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)等のペンタフルオロプロペン類;1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ye)等のテトラフルオロプロペン類;3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)等のトリフルオロプロペン類;テトラフルオロブテン(HFO-1345)類;ペンタフルオロブテン異性体(HFO-1354)類;1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)等のヘキサフルオロブテン異性体(HFO-1336)類;ヘプタフルオロブテン異性体(HFO-1327)類;ヘプタフルオロペンテン異性体(HFO-1447)類;オクタフルオロペンテン異性体(HFO-1438)類;ノナフルオロペンテン異性体(HFO-1429)類等が挙げられる。
【0041】
また、ハイドロクロロフルオロオレフィンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、ジクロロトリフルオロプロペン(HCFO-1223)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)、1-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)等が挙げられる。
【0042】
ハイドロカーボンとしては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、シクロペンタン等が挙げられる。
【0043】
ハイドロフルオロカーボンとしては、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
【0044】
本発明において、発泡剤は、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体の製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の原料として含まれる。本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全量の発泡剤が含まれる組成物であってもよいし、発泡剤の一部又は全てを含有しない組成物であってもよい。
【0045】
整泡剤は、ノニオン系、アニオン系及びカチオン系のいずれの化合物でもよいが、ノニオン系整泡剤を含むことが好ましい。用いられる整泡剤は、1種のみでも、2種以上でもよい。
具体的な整泡剤としては、オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等のシリコーン系化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油脂肪酸エステル、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0046】
本発明において、整泡剤は、シリコーン系化合物を含むことが好ましい。
本発明のポリオール組成物が整泡剤を含有する場合、その含有量は、ポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量部とすると、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.5~4質量部、更に好ましくは1~3質量部である。
【0047】
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。用いられるリン酸エステルは、1種のみでも、2種以上でもよい。
【0048】
モノリン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
【0049】
縮合リン酸エステルとしては、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート等が挙げられる。
【0050】
本発明において、リン酸エステルは、施工性に優れ、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体の製造に用いるポリウレタンフォーム用組成物の原料として含まれる。本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンフォーム用組成物に含まれる全量のリン酸エステルが含まれる組成物であってもよいし、リン酸エステルの一部又は全てを含有しない組成物であってもよい。
本発明のポリオール組成物がリン酸エステルを含有する場合、その含有量は、本発明のポリオール組成物を構成する全てのポリオール成分の合計を100質量部とすると、好ましくは1~15質量部、より好ましくは1.5~14質量部、更に好ましくは2~10質量部である。
【0051】
難燃剤としては、リン酸塩、スズ酸塩、ハロゲン化合物(リン酸エステルを除く)、ホウ素化合物、金属水酸化物、赤リン、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物、有機ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、トリアジン化合物、環状モノウレイド、環状ジウレイド、アミジン化合物等が挙げられる。用いられる難燃剤は、1種のみでも、2種以上でもよい。尚、難燃剤は、ポリウレタンフォーム用組成物を用いて得られる発泡体の断熱性の向上のためには液状を有することが好ましい。
【0052】
後述する本発明のポリウレタンフォーム用組成物において、含まれる全てのポリオール成分の合計を100質量部とした場合に、水の含有量が0.5質量部未満(0質量部でもよい)であると、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れた発泡体を効率よく製造することができる。従って、このようなポリウレタンフォーム用組成物を製造する原料として、全てのポリオール成分の合計を100質量部とした場合に、水の含有量が0.5質量部未満であるポリオール組成物を用いることは、有用である。本発明のポリオール組成物が水を含有する場合、その含有量は、全てのポリオール成分の合計を100質量部とした場合に、好ましくは0.5質量部未満、より好ましくは0.4質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下である。
本発明において、水を含有しないポリオール組成物もまた、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れた発泡体の製造に好適なポリウレタンフォーム用組成物を与える。
【0053】
本発明のポリオール組成物を製造する方法は、特に限定されない。水を含有するポリオール組成物を製造する場合には、製造後の水の含有割合を考慮しつつ、原料を混合することが好ましい。
【0054】
本発明のポリウレタンフォーム用組成物は、上記本発明のポリオール組成物と、リン酸エステルと、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤と、第四級アンモニウム塩を含む触媒と、ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物とが組み合わされてなる組成物である。
【0055】
本発明に係るポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含む一方、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応しない成分を含んでもよい組成物である。尚、このポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートのみからなるものであってもよい。
【0056】
ポリイソシアネートは、ポリオール組成物中のポリオール成分と反応することにより、ポリウレタン(樹脂)を生成させるものであり、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。
【0057】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体又はカルボジイミド変性体等が挙げられる。ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、1種のみでも2種以上でもよい。
【0058】
芳香族ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0059】
本発明において、ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含むことが好ましい。
ポリイソシアネート組成物を構成するポリイソシアネートの合計に対する、芳香族ポリイソシアネートの含有割合の下限は、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%である。
【0060】
ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート以外に、他の成分を含有することができる。他の成分としては、ポリオール組成物に含まれてもよいとした他の成分(添加剤)のうち、リン酸エステル、発泡剤(S)、触媒等の、ポリイソシアネートと反応しない成分を用いることができる。
【0061】
本発明に係るポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、ポリオール組成物に含まれるポリオール成分と反応して、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れる発泡体を与える成分であり、本発明のポリウレタンフォーム用組成物におけるポリオール及びポリイソシアネートの間には、好ましい含有割合がある。本発明においては、ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオール成分のヒドロキシ基との当量比(NCO/OH)が、好ましくは0.9~4.5、より好ましくは1~3、更に好ましくは1.1~2となるように、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物が構成される。
【0062】
本発明のポリウレタンフォーム用組成物を製造する方法は、少なくとも、ポリオール成分、リン酸エステル、ハロゲン化オレフィンを含む発泡剤、第四級アンモニウム塩を含む触媒及びポリイソシアネートが含有されるように、原料を混合する方法であれば、特に限定されない。原料を混合する場合には、例えば、高速撹拌機、衝突混合機等を用いることができる。
【0063】
本発明において、ポリウレタンフォーム用組成物の製造に用いるポリオール組成物は、リン酸エステルの一部又は全てを含有しない組成物とすることができる。この場合、ポリウレタンフォーム用組成物を製造する方法としては、(1)リン酸エステルを含有しないポリオール組成物と、リン酸エステルと、ポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(2)リン酸エステルを含有しないポリオール組成物と、リン酸エステルを含有するポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(3)リン酸エステルの一部を含有するポリオール組成物と、リン酸エステルの残部を含有するポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法等が挙げられる。このように、本発明のポリオール組成物がリン酸エステルを含有しない場合、リン酸エステルは単独で又はポリイソシアネート組成物に含まれる形で用いられるが、そのときの使用量は、いずれも、上記のようにポリオール組成物に含まれる全てのポリオール成分の合計に対する好ましい量である。また、上記各方法において、発泡剤(S)及び触媒の使用方法は、特に限定されない。
【0064】
更に、本発明において、ポリウレタンフォーム用組成物の製造に用いるポリオール組成物は、発泡剤の一部又は全てを含有しない組成物とすることができる。この場合、(1)水を含んでもよいが、ハロゲン化オレフィン等の発泡剤(S)を含まないポリオール組成物と、発泡剤(S)と、ポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(2)水を含んでもよいが発泡剤(S)を含まないポリオール組成物と、発泡剤(S)を含有するポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(3)発泡剤を含まないポリオール組成物と、必要により水と、発泡剤(S)と、ポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(4)発泡剤を含まないポリオール組成物と、必要により水と、発泡剤(S)を含むポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法、(5)発泡剤(S)の一部を含有するポリオール組成物と、発泡剤(S)の残部を含有するポリイソシアネート組成物とを製造原料として用いる方法等が適用される。特に、本発明のポリオール組成物が発泡剤(S)を含有しない場合、ポリウレタンフォーム用組成物を製造する際に、発泡剤(S)は単独で又はポリイソシアネート組成物に含まれる形で用いられるが、そのときの使用量は、いずれも、上記のようにポリオール組成物に含まれる全てのポリオール成分の合計に対する好ましい量である。また、上記各方法において、リン酸エステル及び触媒の使用方法は、特に限定されない。
【0065】
本発明において、水を含む発泡剤を用いずに、又は、水を単独で用いずに、ポリウレタンフォーム用組成物を製造した場合には、当然ながら、水を全く含有しないポリウレタンフォーム用組成物が製造され、このような組成物も、被着体への接着性及び難燃性に優れる発泡体を得る好ましい1態様である。
【0066】
本発明のポリウレタンフォーム用組成物を用いて発泡体を製造する場合、従来、公知の方法を適用することができる。例えば、ポリウレタンフォーム用組成物を被着体に塗工し、板状に発泡・硬化させるラミネート連続発泡法;ポリウレタンフォーム用組成物を被着体における所定の空間部に注入して、発泡・硬化させる注入発泡法;ポリウレタンフォーム用組成物を、スプレーガン等を用いて被着体に吹き付けて発泡・硬化させるスプレー発泡法等が挙げられる。尚、触媒、リン酸エステル、水及び発泡剤(S)が、ポリオール組成物並びにポリイソシアネート組成物のいずれにも含有されずに、スプレー発泡法を採用する場合には、現場において、発泡機等により、予め、個々の原料を混合してポリウレタンフォーム用組成物が調製される。また、形成される発泡体が当接する被着面の構成材料は、特に限定されず、無機材料(金属、無機化合物等)、有機材料(高分子等)又はこれらを含む複合材料とすることができる。
被着体の表面から厚肉のポリウレタンフォーム層を形成する場合には、スプレー発泡法が好ましく適用される。
【0067】
ここで、ポリウレタンフォーム用組成物を被着体に吹き付けて、厚みのあるポリウレタンフォーム層を形成する場合、被着体に対して、霧状の組成物を吹き付けて連続的な塗膜を形成し、その後、反応、発泡及び成長を繰り返すことが一般的である。しかしながら、吹き付けを繰り返す中、霧状組成物は、意図せずに所定部を超えてしまうことがある。このとき、組成物が成長中(堆積中)のポリウレタンフォーム層をはみ出して、その周りに、被着体表面に沿うように広がって、不要なポリウレタンフォーム部が形成される「横伸び」が発生することとなる。本発明のポリウレタンフォーム用組成物は、上記のように、特定の構成を有するため、横伸びの発生が抑制される。これにより、被着体の所望の部分へのポリウレタンフォーム層を効率よく形成することができ、施工性(作業性)を向上させるものである。
【0068】
本発明の発泡体(ポリウレタンフォーム)は、上記本発明のポリウレタンフォーム用組成物を、発泡・硬化させてなる、独立気泡率の高い硬質発泡体(硬質ポリウレタンフォーム)である。上記のように、特定の構成を有する上記本発明のポリウレタンフォーム用組成物を用いたことから、本発明の発泡体は機械的強度及び難燃性に優れ、上記本発明のポリウレタンフォーム用組成物を被着体に塗布してその表面で発泡・硬化させた場合には、被着体への接着性にも優れる。
【実施例0069】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、下記の記載において、「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0070】
1.組成物の製造原料
実施例及び比較例で用いたポリウレタンフォーム用組成物の原料を以下に示す。
【0071】
1-1.ポリオール
1-1-1.芳香族ポリエステルポリオール
(1)無水フタル酸系ポリエステルポリオール(O-芳香族エステル1)
エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル社製「マキシモールRDK-133」(商品名)を用いた。芳香族濃度は23%である。
(2)テレフタル酸系ポリエステルポリオール(P-芳香族エステル1)
エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル社製「マキシモールRFK-505」(商品名)を用いた。芳香族濃度は22%である。
【0072】
1-1-2.自己触媒性ポリオール
(1)エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール1
AGC社製「EXCENOL 750ED」(商品名)を用いた。開始剤に付加されたアルキレンオキサイドの100質量%がプロピレンオキシドである。
(2)エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール2
AGC社製「EXCENOL 500ED」(商品名)を用いた。開始剤に付加されたアルキレンオキサイドの100質量%がプロピレンオキシドである。
【0073】
1-1-3.脂肪族ポリエステルポリオール
エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル社製コハク酸系ポリエステルポリオール「マキシモールSDK-145」(商品名)を用いた。芳香族濃度は0%である。
【0074】
1-2.触媒
1-2-1.三量化触媒
花王社製第四級アンモニウム塩「カオーライザーNo.420」(商品名)を用いた。
【0075】
1-2-2.樹脂化触媒
(1)3級アミン
エボニック・ジャパン社製N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン「ポリキャット12」(商品名)を用いた。
(2)オクチル酸ビスマス
日本化学産業社製「プキャット25」(商品名)を用いた。
【0076】
1-3.整泡剤
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製シリコーン系整泡剤「NiaxTM Silicone L-6100」(商品名)を用いた。
【0077】
1-4.リン酸エステル
ワンシャン社製「トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート」(商品名)を用いた。
【0078】
1-5.発泡剤
(1)非フロン系発泡剤1
Honeywell社製1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン「HCFO-1233zd」(商品名)を用いた。
(2)非フロン系発泡剤2
Chemours社製1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン「HFO-1336mzz」(商品名)を用いた。
(3)水
【0079】
1-6.ポリイソシアネート
万華化学ジャパン社製ポリメリックMDI「Wannate PM-130」(商品名)を用いた。
【0080】
2.ポリウレタンフォーム用組成物の製造及び評価
上記の原料を用いて、ポリウレタンフォーム用組成物を製造した。その後、該組成物を用いて発泡体を作製し、各種評価を行った。
【0081】
実施例1
80部のO-芳香族エステル1と、20部のエチレンジアミン系ポリエーテル1と、2部の第四級アンモニウム塩と、3部の3級アミンと、1部のオクチル酸ビスマスと、1.5部の整泡剤と、8部のリン酸エステルと、30部の非フロン系発泡剤1と、0.3部の水とを撹拌、混合し、ポリオール組成物を得た(表1参照)。
その後、得られたポリオール組成物(合計145.8部)と、ポリイソシアネート145.8部とを撹拌、混合して、ポリウレタンフォーム用組成物を得た。
【0082】
次に、得られたポリウレタンフォーム用組成物を用いて、JIS A 9526(2022)に準ずる方法、即ち、ポリウレタンフォーム用組成物をコンクリート板に吹き付けて硬化させることによりポリウレタンフォームを製造した。このとき、コンクリート板への接着性の評価を行った。また、発泡体の機械的強度及び難燃性を評価するため、圧縮強度の測定及び燃焼試験を行った。更に、ポリウレタンフォーム用組成物を合板試料用ボードに吹き付けて硬化させてポリウレタンフォームを製造し、このときの施工性(横伸び及び端部接着性)についても評価した。これらの結果を表1に併記した。
【0083】
(1)コンクリート板への接着性
0℃及び10℃の各温度雰囲気下、コンクリート板にポリウレタンフォーム用組成物の吹き付けを行い、3分経過後に、コンクリート板からはみ出した発泡体端部を、コンクリート板に沿ってカッターで切断し、コンクリート板と発泡体との接着面付近を目視で観察して、発泡体の剥離の有無を確認した。
○:両温度でコンクリート板からの発泡体の剥離が認められなかった。
△:10℃ではコンクリート板からの発泡体の剥離が認められないが、0℃では発泡体の剥離が認められた。
×:コンクリート板からの発泡体の剥離が認められた。
【0084】
(2)圧縮強度
23℃の雰囲気下、ポリウレタンフォーム用組成物を合板試料用ボードに吹き付けて厚さ約70mmの硬質ポリウレタンフォーム層を形成させた。その後、切削加工により、厚さ50mm×50mm×50mmのサイズの試験片であって、その中にスキン層が1層存在するようにして作製した試験片を用いて、JIS K 7220に準ずる方法により、10%圧縮強度を測定した。測定装置は、ミネベア社製万能試験機である。
○:圧縮強度が170kPaを超えた
△:圧縮強度が150kPaを超えて170kPa以下であった
×:圧縮強度が150kPa以下であった
【0085】
(3)施工性(横伸び)
20℃の合板試料用ボードにポリウレタンフォーム用組成物の吹き付けを行い、厚さ70mmのポリウレタンフォーム層を形成させた。硬化完了後、発泡体を合板試料用ボードに対して水平方向に裁断し、ポリウレタンフォーム用組成物の塗着部の端部から横方向に発泡して形成された発泡体部の先端までの距離(mm)を測定した。測定は、10ヶ所において行い、その平均値を算出した。
○:塗着部の端部から発泡体の先端までの距離が10mm以下であった。
△:塗着部の端部から発泡体の先端までの距離が10mmを超えて30mm以下であった。
×:塗着部の端部から発泡体の先端までの距離が30mmを超えた。
【0086】
(4)施工性(端部接着性)
20℃の合板試料用ボード(サイズ:900mm×900mm)の全面にポリウレタンフォーム用組成物の吹き付けを行い、厚さ70mmのポリウレタンフォーム層を形成させた。その後、厚さ方向にボードの表面から150mm、各端部からいずれも50mmの位置における、厚さ50mmのポリウレタンフォーム層を含む一体化物からなる試験片(サイズ:25mm×25mm)を5個ずつ取り出し、合計10個を準備した。そして、JIS A 9526に準ずる方法により、合板試料用ボードに対するポリウレタンフォーム層の接着強度を測定した。測定装置は、ミネベア社製万能試験機である。
○:接着強度が120kPa以上であった。
×:接着強度が120kPa未満であった。
【0087】
(5)難燃性
JIS A 9526(2022)に準じて作製した各発泡体について、JIS A 9511(2017)の燃焼試験方法Bに則り、燃焼の長さを測定した。
○:燃焼の長さが30mm以下であった
△:燃焼の長さが30mmを超えて60mm以下であった
×:燃焼の長さが60mmを超えた
【0088】
実施例2~13及び比較例1~7
原料の種類及び使用量を表1及び表2及び表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリウレタンフォームを製造した。その後、各種評価を行った(表1~表3参照)。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
表1~表3から以下のことが分かる。
実施例1~13は、本発明の構成を有するポリオール組成物を含むポリウレタンフォーム用組成物の例であり、施工性に優れ、得られた発泡体は、被着体への接着性、難燃性及び機械的強度に優れていた。一方、比較例1~3は、水の含有量が多すぎるポリオール組成物を含むポリウレタンフォーム用組成物を用いた例であり、特に、被着体への接着性及び施工性が十分ではなかった。比較例4は、第四級アンモニウム塩を含有しないポリウレタンフォーム用組成物を用いた例であり、被着体への接着性、施工性、難燃性及び機械的強度が十分ではなかった。比較例5は、芳香族ポリエステルポリオールに代えて脂肪族ポリエステルポリオールを含有するポリオール組成物を含むポリウレタンフォーム用組成物を用いた例であり、被着体への接着性、施工性、難燃性及び機械的強度が十分ではなかった。比較例6は、自己触媒性ポリオールを含有しないポリオール組成物を含むポリウレタンフォーム用組成物を用いた例であり、被着体への接着性、施工性、難燃性及び機械的強度が十分ではなかった。また、比較例7は、リン酸エステルの含有量が多すぎるポリオール組成物を含むポリウレタンフォーム用組成物を用いた例であり、被着体への接着性、施工性及び機械的強度が十分ではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のポリウレタンフォーム用組成物は、建築物の内外壁材、パネル等における断熱、金属サイディング、冷蔵庫等における断熱、ビル、マンション、冷凍倉庫等の躯体壁面、天井、屋根等における断熱又は結露防止、輸液パイプ等の断熱に用いる発泡体形成に好適である。