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特開2024-146108画像表示装置、プログラムおよび連続シーン判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146108
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像表示装置、プログラムおよび連続シーン判定方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/02 20060101AFI20241004BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241004BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241004BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241004BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20241004BHJP
   H04N 9/64 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
G09G5/02 B
G09G5/37 320
G09G3/20 642J
H04N7/18 U
H04N7/18 K
G06T1/00 340A
G09G3/20 612U
G09G3/20 650M
H04N9/64 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058826
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
【テーマコード(参考)】
5B057
5C054
5C066
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CC01
5B057CE17
5C054CA04
5C054CC02
5C054EE06
5C054FC12
5C054HA17
5C066AA03
5C066CA13
5C066CA17
5C066EA15
5C066EB03
5C066HA03
5C080AA06
5C080AA10
5C080DD30
5C080EE30
5C080JJ02
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK42
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB01
5C182AC03
5C182AC43
5C182BC23
5C182BC26
5C182CA32
5C182CA33
5C182CA34
5C182DA53
5C182DA54
(57)【要約】
【課題】撮影時や編集時等の環境(条件)が分からないようなコンテンツでも美しい肌色を表示する。
【解決手段】入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、連続シーンの判定を行う連続シーン判定部と、前記映像データの色補正を行う色補正部と、を備え、前記色補正部は、前記顔検出部での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、前記連続シーン判定部において連続シーンとして判定されていた場合には、前の色補正を維持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、
前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、
前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、
前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、連続シーンの判定を行う連続シーン判定部と、
前記映像データの色補正を行う色補正部と、
を備え、
前記色補正部は、前記顔検出部での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、前記連続シーン判定部において連続シーンとして判定されていた場合には、色補正を継続する、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記顔検出部における顔検出結果と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果と、前記連続シーン判定部による連続シーンの判定結果とを用いて、前記映像データの肌色の色相あるいは彩度のシフト度合いを検出する色シフト検出部と、
前記色シフト検出部で検出した肌色の色相あるいは彩度のシフト度合いを基に、色補正用のパラメータを生成する色補正パラメータ生成部と、
を備え、
前記色シフト検出部は、前記顔検出部での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、前記連続シーン判定部において連続シーンとして判定されていた場合には、色補正を継続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記連続シーン判定部は、前記映像データの前のフレームの色相ヒストグラムとの類似度の高さによって連続シーンか非連続シーンかを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記連続シーン判定部は、前記映像データの前のフレームと現在のフレームとの全色相の度数の差分または特定色相の度数の差分の累積に応じて、前記類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置を制御するコンピュータを、
前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、
前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、
前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、連続シーンの判定を行う連続シーン判定部と、
前記映像データの色補正を行う色補正部と、
として機能させ、
前記色補正部は、前記顔検出部での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、前記連続シーン判定部において連続シーンとして判定されていた場合には、色補正を継続する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置における連続シーン判定方法であって、
前記映像データの前のフレームの色相ヒストグラムとの類似度の高さによって連続シーンか非連続シーンかを判定する、
ことを特徴とする連続シーン判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置、プログラムおよび連続シーン判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置では、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を利用するなどして人物を撮影した撮影画像から顔を検出し、検出した顔の肌色部分を色補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4983643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術をテレビ等の画像表示装置に適用しようとした場合、入力映像の撮影時および編集時の環境が不明であり、かつ、コンテンツまたはシーン毎に映像特性も異なるため、コンテンツやシーンに適した色補正を行うことが難しい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像表示装置は、入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、連続シーンの判定を行う連続シーン判定部と、前記映像データの色補正を行う色補正部と、を備え、前記色補正部は、前記顔検出部での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、前記連続シーン判定部において連続シーンとして判定されていた場合には、色補正を継続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態にかかる画像表示装置の一例を示す模式図である。
図2図2は、肌画像補正部の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、顔検出部における顔検出方法の一例を示す図である。
図4図4は、ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。
図5図5は、ヒストグラム検出に制限を加える例を示す図である。
図6図6は、CbCr空間の色相領域の画素数に基づいて連続シーンの判定を行う例を示す図である。
図7図7は、シフト度合い計算例を示す図である。
図8図8は、色補正部における色補正の例を示す図である。
図9図9は、肌画像補正部が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、画像表示装置、プログラムおよび連続シーン判定方法を詳細に説明する。
【0008】
図1は、実施形態にかかる画像表示装置1の一例を示す模式図である。
【0009】
画像表示装置1は、画像処理部10と、表示部12と、を備える。画像表示装置1は、画像処理部10で画像処理を行ったデータを表示部12に転送し、ディスプレイ部16に表示を行う。
【0010】
画像処理部10には、図示しないチューナー部、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子などから映像データ40が入力される。画像処理部10は、入力された映像データ40を画像処理した映像データ42を、表示部12へ出力する。
【0011】
画像処理部10は、画質調整部20と、肌画像補正部22と、を備える。
【0012】
画質調整部20は、入力される映像データ40に対して、ガンマ、色合い、明るさなどを調整する機能を有する。画質調整部20は、入力された映像データ40を調整した映像データ41を、肌画像補正部22へ出力する。
【0013】
肌画像補正部22は、撮影時や編集時等の環境(条件)が分からない場合でも良好な映像表示を行うために、画質調整部20から入力された映像データ41に対し、リアルタイムに補正対象シーンの判定および色補正を行う。
【0014】
ここで、図2は肌画像補正部22の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
図2に示すように、肌画像補正部22は、顔検出部23、ヒストグラム検出部24、色シフト検出部である色シフト度合い計算部25、色補正パラメータ生成部26、色補正部27、および連続シーン判定部28を有する。
【0016】
肌画像補正部22は、概略的には、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果、および連続シーン判定部28における連続シーン判定を用いて、色シフト度合い計算部25において画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)の肌色の色相あるいは彩度のシフト度合いを検出するシフト度合いを検出する。肌画像補正部22は、色シフト度合い計算部25において検出された色相あるいは彩度のシフト度合いに基づき色補正パラメータ生成部26により色相あるいは彩度のシフト度合いに応じた補正パラメータを生成して、色補正部27により色補正を行う。
【0017】
なお、顔検出部23、ヒストグラム検出部24、色シフト度合い計算部25、色補正パラメータ生成部26、および色補正部27は、ハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよく、また、ハードウェアとソフトウェアを両方用いて実現してもよい。
【0018】
表示部12は、ディスプレイ駆動部14と、ディスプレイ部16と、を備える。ディスプレイ部16は、画像を表示するディスプレイである。ディスプレイ部16は、例えば、有機EL(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、などである。
【0019】
ディスプレイ駆動部14は、画像処理部10から入力される映像データ42に応じてディスプレイ部16を駆動するための電圧、電流に変換を行い、ディスプレイ部16を駆動する。
【0020】
次に、肌画像補正部22を構成する各部について詳述する。
【0021】
顔検出部23は、画質調整部20から入力された映像データ41から人物の顔の検出を行う。ここで、図3は顔検出部23における顔検出方法の一例を示す図である。図3に示すように、顔検出方法としては、さまざまな顔を検出できるように予め学習したDNN(Deep Neural Network)を用いて、映像データ41を複数のエリアに分割し、それぞれの領域に人物の顔が含まれる確率(0~1)を求める方法などがある。このような方法によれば、人物の顔が含まれる領域の数値は高く、人物の顔が含まれない領域の数値は低くなるため、顔検出部23は、一定の閾値より値が大きい領域を人物の顔あり、閾値より値が小さい領域を人物の顔なしと検出する。顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積以上の場合、人物の顔として検出する。
【0022】
ヒストグラム検出部24は、画質調整部20から入力された映像データ41から色相のヒストグラム検出を行う。ここで、図4はヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。図4(a)は、YCbCr信号におけるCbCrに基づく色相分布を示し、図4(b)は、YCbCr色空間を示すものである。ヒストグラム検出部24によるヒストグラム検出は、例えば、映像データ41にかかる画像全体、または人物の顔を含む映像データ41にかかる画像の一部の領域における特定の色相に分布する画素数を求めてヒストグラム化するものである。
【0023】
ここで、図5はヒストグラム検出に制限を加える例を示す図である。図5に示すように、ヒストグラム検出部24は、ヒストグラム検出において、3次元のYCbCr色空間で彩度の検出範囲に制限を加えたり(図5(a))、3次元のYCbCr色空間で輝度の検出範囲に制限を加えたり(図5(b))するなどしても良い。なお、本実施形態においては、3次元のYCbCr色空間での彩度・輝度の範囲に制限を加えるようにしたが、これに限るものではなく、色(色相、彩度)が自然で美しく見えるように補正できるものであれば、これに限るものではない。
【0024】
連続シーン判定部28は、顔検出がされない場合でも、コンテンツ、シーン毎の映像特性が同じであった場合は、補正を継続できるように、連続シーン判定を行う。具体的には、連続シーン判定部28は、ヒストグラム検出部24による色相のヒストグラム検出に基づいて、前のフレームと現在のフレームとの類似度の高さによって連続シーンか非連続シーンかを判定する。
【0025】
連続シーン判定は、撮影時の照明や、カラーグレーディングなど、表示される色が赤っぽい、青っぽいといった同じ傾向のシーンが続いているかどうか、補正を切り替えたら違和感が生じるかどうか、を見分けるのが目的である。
【0026】
連続シーン判定部28は、顔の向きが変わった場合のような被写体に動きがあった場合、カメラがゆっくりとズームイン、ズームアウトした場合を、連続したシーンとして判定する。また、連続シーン判定部28は、カット割りが変わったような場合(アングル切替)も、連続シーンの対象として判定する。
【0027】
本実施形態においては、連続シーン判定部28は、例えば図6に示すように、CbCr空間の色相領域の画素数に基づいて、前のフレームと現在のフレームとの類似度を算出して連続シーンを判定する方法を用いる。例えば、連続シーン判定部28は、映像データの前のフレームと現在のフレームとの全色相の度数の差分または特定色相の度数の差分の累積に応じて、類似度を算出する、以下において、詳述する。
【0028】
図6は、CbCr空間の色相領域の画素数に基づいて連続シーンの判定を行う例を示す図である。連続シーン判定部28は、YCbCr入力信号に対して、図6(a)のようにCbCr空間で色相を32分割し、各領域にあたる入力データの画素数をH[n]、前フレームの画素数をHo[n]とし、下記式(1)を満足する場合は連続シーン、下記式(1)を満足しない場合は非連続シーンとして判定する。
【0029】
【数1】
【0030】
また、連続シーン判定部28は、二乗しない下記式(2)を満足する場合は連続シーン、下記式(2)を満足しない場合は非連続シーンとして判定するようにしてもよい。
【0031】
【数2】
【0032】
また、連続シーン判定部28は、色相の一部でもよい下記式(3)を満足する場合は連続シーン、下記式(3)を満足しない場合は非連続シーンとして判定するようにしてもよい。
【0033】
【数3】
【0034】
色シフト度合い計算部25は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果、および連続シーン判定部28における連続シーン判定を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相シフト度合いを検出する。色シフト度合い計算部25は、例えば、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相が赤色または黄色よりにシフトしている度合いを検出する。
【0035】
例えば、色シフト度合い計算部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしている場合、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」を計算する。また、色シフト度合い計算部25は、肌色の色相が黄よりにシフトしている場合、黄よりにシフトしている度合いを示す「黄よりシフト量」を計算する。一方、色シフト度合い計算部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしていない場合、および、肌色の色相が黄よりにシフトしていない場合、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」および「黄よりシフト量」を0とする。
【0036】
加えて、色シフト度合い計算部25は、顔検出部23での検出結果が「顔検出あり」から「顔検出なし」に変わった場合であっても、連続シーン判定されていた場合には、前の色相シフト度合い検出情報を維持する。
【0037】
ここで、図7は色シフト度合い計算部25によるシフト度合い計算例を示す図である。肌色の色相が赤よりシフト度合い計算は、例えば、図7(a)のような取得した色相ヒストグラムのデータから、下記式(4)により肌色色相の中心値Cを求める。
【0038】
【数4】
【0039】
色シフト度合い計算部25は、図7(b)に示すように、肌色色相の中心値Cが小さいほどシフト量が大きいと判断し、赤よりのシフト度合いを求める。
【0040】
色補正パラメータ生成部26は、色シフト度合い計算部25で検出した「赤よりシフト量」または「黄よりシフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する。
【0041】
例えば、色補正パラメータ生成部26は、色相シフトのないときに適用する標準的なカラーマネジメントテーブル(CMS[m])と、赤色シフト度合い(RH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMR[m])と、黄色シフト度合い(YH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMY[m])と、を有しているとする。
【0042】
色補正パラメータ生成部26は、赤色シフト度合いをもとに、最終的に色補正部27に適用する色補正用のパラメータを、最終的に色補正部27に適用するカラーマネジメントテーブル(CM[m])とする。ここで、CM[m]は、色相H[h],彩度S[s],明度V[v]の要素からなる。すなわち、m=h×s×vである。
【0043】
色補正パラメータ生成部26は、色相シフトのないときに適応する標準的なカラーマネジメントテーブル(CMS[m])とする。また、色補正パラメータ生成部26は、赤色シフト度合い(RH,0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMR[m])とする。また、色補正パラメータ生成部26は、黄色シフト度合い(YH,0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMY[m])とする。
【0044】
色補正パラメータ生成部26は、色シフト度合い計算部25による検出結果における赤色シフト度合いも黄色シフト度合いも0のとき、
CM[m]=CMS[m]
として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。
【0045】
また、色補正パラメータ生成部26は、色シフト度合い計算部25による検出結果における赤色シフト度合いが0でないとき、
CM[m]=RH×CMR[m]+(1-RH)×CMS[m]
として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。
【0046】
また、色補正パラメータ生成部26は、色シフト度合い計算部25による検出結果における黄色シフト度合いが0でないとき、
CM[m]=YH×CMY[m]+(1-YH)×CMS[m]
として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。
【0047】
ここで、CMS[m]は肌色領域に対して少し赤みを加えた値であるとき、CMR[m]は赤みを加える量をいくらか-(マイナス)した値とし、CMY[m]は赤みを加える量をいくらか+(プラス)した値とする。画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が赤よりにシフトしている場合には、過剰な補正を抑制することができる。また、画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が黄よりにシフトしている場合には、補正不足を補うことができる。
【0048】
色補正部27は、色補正パラメータ生成部26で適用されたカラーマネジメントテーブル(CM[m])に基づいて、画質調整部20から入力された映像データ41の色補正を行う。
【0049】
図8は、色補正部27における色補正の例を示す図である。CM[m]は、色相H[h],彩度S[s],明度V[v]の要素からなる。色相H[h],彩度S[s],明度V[v]は、3次元のYCbCr空間において、h,s,vが重なったポイント(図8(d)参照)における色相、彩度、輝度の補正度合いを表している。
【0050】
なお、色補正部27は、ポイントの中間の値については、隣接するポイントの補正値を用いて補間を行う。
【0051】
次に、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を説明する。
【0052】
図9は、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9に示すように、顔検出部23は、画質調整部20から入力された映像データ41を複数のエリアに分割し、それぞれの領域に人物の顔が含まれるかを検出する(ステップS1)。
【0053】
顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積以上の場合(ステップS2のYes)、映像データ41に人物の顔を検出したものとして、ステップS3に進む。一方、顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS2のNo)、映像データ41に人物の顔を検出しなかったものとして、ステップS5に進む。
【0054】
ステップS3では、ヒストグラム検出部24は、画質調整部20から入力された映像データ41から色相のヒストグラムを取得する。
【0055】
続いて、色シフト度合い計算部25は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相が赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」を計算する(ステップS4)。
【0056】
次いで、色補正パラメータ生成部26は、色シフト度合い計算部25で検出した「赤よりシフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する(ステップS8)。
【0057】
最後に、色補正部27は、色補正パラメータ生成部26で適用された色補正用のパラメータに基づいて、画質調整部20から入力された映像データ41の色補正を行う(ステップS9)。
【0058】
一方、人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS2のNo)、連続シーン判定部28は、ヒストグラム検出部24による色相のヒストグラム検出に基づいて、連続シーンの判定を行う(ステップS5)。
【0059】
連続シーン判定部28は、連続シーンであると判定した場合(ステップS5のYes)、ステップS6に進む。一方、連続シーン判定部28は、連続シーンでないと判定した場合(ステップS5のNo)、ステップS7に進む。
【0060】
すなわち、色シフト度合い計算部25は、顔検出されない場合でも(ステップS2のNo)、連続シーン判定されていれば(ステップS5のYes)、前のフレームの計算値を維持(ホールド)し(ステップS6)、ステップS8に進む。
【0061】
一方、色シフト度合い計算部25は、顔検出されない場合で(ステップS2のNo)、連続シーン判定されていなければ(ステップS5のNo)、補正するシーンではないので、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相が赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」を0として、リセットを行い(ステップS7)、ステップS8に進む。
【0062】
このように、実施形態の画像表示装置によれば、リアルタイムに顔検出と色相シフト度合いと連続シーン判定とを検出して、入力映像の特性に合わせた肌色の補正を行うことで、撮影時や編集時等の環境(条件)が分からないようなコンテンツでも美しい肌色を表示することができ、良好な映像表示を行うことができる。
【0063】
特に、実施形態の画像表示装置によれば、色相ヒストグラムの取得情報を元に連続シーン判定を行い、顔検出ありからなしに変わったときでも、連続シーンと判定される場合は、色補正を継続することにより、顔検出されないシーンにおいても、適切な色の補正を行うことができ、より多くのシーンで、違和感のない、最適な色表示を行うことができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、色シフト度合い計算部25が、顔検出部23での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、連続シーン判定部28において連続シーンとして判定されていた場合には検出結果を保持することにしたが、これに限るものではない。すなわち、色補正部27が、顔検出部23での検出結果が顔検出ありから顔検出なしに変わった場合であっても、連続シーン判定部28において連続シーンとして判定されていた場合に色補正を継続することができれば良く、補正なしに切り替えず、補正量の変化を固定あるいは小さくしたり、あるいは緩やかに変化させるなどしても良い。
【0065】
一般的なシーンチェンジ検出等では、前後のフレームの画素値の差分や、アプリケーションの違いなどによって判定されることが多いが、顔の向きが変わった場合のような被写体に動きがあった場合、カメラがゆっくりとズームイン、ズームアウトした場合、は連続シーンと判定できることが多いが、カット割りが変わったような場合を連続シーンと判定することは難しい。一方で、色相ヒストグラムは、撮影時の照明、被写体、カラーグレーディング等の要素が同じであれば、類似した特性を得ることができる。そのため、第1の実施形態の画像表示装置によれば、顔の向きが変わった場合のような被写体に動きがあった場合、カメラがゆっくりとズームイン、ズームアウトした場合、だけでなく、カット割りが変わったような場合も高精度に連続シーンと判定することできる。
【0066】
なお、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)は、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0067】
本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0068】
さらに、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0069】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像表示装置
12 表示部
23 顔検出部
24 ヒストグラム検出部
25 色シフト検出部
26 色補正パラメータ生成部
27 色補正部
28 連続シーン判定部
図1
図2
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図9