(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146131
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】光検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241004BHJP
H04N 25/778 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/778
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058859
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】本庄 亮子
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA14
4M118CA03
4M118CA22
4M118DD04
4M118DD09
4M118EA14
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA38
4M118GA02
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA30
5C024GX14
5C024GY31
5C024HX17
(57)【要約】
【課題】電界効果トランジスタの相互インダクタンスの向上を図る。
【解決手段】光検出装置は、厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、上記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、上記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、を備えている。そして、上記光電変換セルは、上記半導体層の上記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、上記電界効果トランジスタは、平面視で上記光電変換セル及び上記分離領域と重畳するゲート電極を有し、上記ゲート電極が、上記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して上記上面部及び上記側面部と隣り合っている。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、
前記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、
前記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、
を備え、
前記光電変換セルは、前記半導体層の前記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、
前記電界効果トランジスタは、平面視で前記光電変換セル及び前記分離領域と重畳するゲート電極を有し、
前記ゲート電極が、前記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して前記上面部及び前記側面部と隣り合っている、光検出装置。
【請求項2】
前記分離領域は、前記光電変換セルの内部を区画する第1分離領域である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光電変換セルは、前記第1分離領域で区画された第1及び第2光電変換領域を有し、
前記第1及び第2光電変換領域の各々は、前記光電変換部及び前記電界効果トランジスタと、前記上面部及び側面部とを有し、
前記第1及び第2光電変換領域の各々の前記電界効果トランジスタは、各々の前記ゲート電極が一体化されている、請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記ゲート電極は、前記上面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた頭部と、前記頭部から前記半導体層側に突出し、かつ前記側面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた脚部と、を含み、
前記脚部は、前記第1光電変換領域の前記電界効果トランジスタと前記第2光電変換領域の前記電界効果トランジスタとで共有されている、請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記脚部は、前記半導体層の前記第1の面部側の掘り込み部の中に設けられている、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記分離領域は、前記光電変換セルの周囲を区画する第2分離領域である、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
平面視で前記第2分離領域を介して互いに隣り合う2つの前記光電変換セルの各々の前記電界効果トランジスタは、各々の前記ゲート電極が一体化されている、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記ゲート電極は、前記上面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた頭部と、前記頭部から前記半導体層側に突出し、かつ前記側面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた脚部と、を含み、
前記脚部は、2つの前記光電変換セルで共有されている、請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記脚部は、前記半導体層の前記第1の面部側の掘り込み部の中に設けられている、請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記電界効果トランジスタは、前記ゲート電極のゲート長方向の両側の前記半導体層に設けられた一対の主電極領域を更に有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記光電変換部で光電変換された信号電荷を画素信号に変換して出力する画素回路を更に備え、
前記画素回路に含まれる複数の画素トランジスタのうちの少なくとも1つが、前記電界効果トランジスタである、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記画素回路は、複数の前記光電変換セルで共有されている、請求項11に記載の光検出装置。
【請求項13】
光検出装置と、
被写体からの像光を前記光検出装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記光検出装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、
を備え、
前記光検出装置は、
厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、
前記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、
前記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、
を備え、
前記光電変換セルは、前記半導体層の前記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、
前記電界効果トランジスタは、平面視で前記光電変換セル及び前記分離領域と重畳するゲート電極を有し、
前記ゲート電極が、前記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して前記上面部及び前記側面部と隣り合っている、光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本開示に係る技術)は、光検出装置及び電子機器に関し、特に、分離領域で区画された光電変換セルに画素トランジスタを有する光検出装置及びそれを用いた電子機器に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置や測距装置などの光検出装置は、光電変換部で光電変換された信号電荷をこの信号電荷に基づく画素信号に変換して出力する画素回路を備えている。特許文献1には、画素回路に含まれる画素トランジスタを半導体層の光電変換セルに設けた固体撮像装置が開示されている。また、特許文献1には、光電変換セルをトレンチ型の画素分離領域で区画する技術も開示されている。また、特許文献1には、光電変換セルの内部をトレンチ型分離構造の画素内分離領域で2つの領域に区画する技術も開示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、画素回路に含まれる増幅トランジスタをフィン型の電界効果トランジスタで構成した固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-101491号公報
【特許文献2】特開2017-183636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、高解像が可能なイメージセンサが市場で求められており、画素サイズを縮小したイメージセンサの開発が進められている。
【0006】
しかしながら、画素サイズの縮小化は、光電変換セルに配置される画素トランジスタを微細化する必要があり、画素トランジスタの相互コンダクタンス(gm)が低下する。このため、小さなゲート電圧の変化で大きなドレイン電流の変化を得ることが可能な電界効果トランジスタが望まれている。そこで、分離領域に着目し、本技術をなした。
【0007】
本技術の目的は、電界効果トランジスタの相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本技術の一態様に係る光検出装置は、
厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、
前記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、
前記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、を備えている。
そして、前記光電変換セルは、前記半導体層の前記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、
前記電界効果トランジスタは、平面視で前記光電変換セル及び前記分離領域と重畳するゲート電極を有し、
前記ゲート電極が、前記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して前記上面部及び前記側面部と隣り合っている。
【0009】
(2)本技術の他の態様に係る電子機器は、
上記光検出装置と、
被写体からの像光を上記光検出装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
上記光検出装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、
を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の一構成例を示すチップレイアウト図である。
【
図2】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】本技術の第1実施形態に係るセンサ画素及び画素回路の一構成例を示す等価回路図である。
【
図4】
図1の画素アレイ部に含まれる画素ブロックの一構成例を模式的に示す平面図である。
【
図6A】
図5のa5-a5切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図6B】
図5のb5-b5切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図7A】本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法の工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7B】
図7Aに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7C】
図7Bに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7D】
図7Cに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7E】
図7Dに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7F】
図7Eに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7G】
図7Fに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7H】
図7Gに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7I】
図7Hに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7J】
図7Iに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図8】本技術の第1実施形態に係る変形例1-1を模式的に示す縦断面図である。
【
図9】本技術の第1実施形態に係る変形例1-2を模式的に示す縦断面図である。
【
図10】本技術の第1実施形態に係る変形例1-3を模式的に示す縦断面図である。
【
図11】本技術の第1実施形態に係る変形例1-4を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図11のa11-a11切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図13】本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置に搭載された画素ブロックの一構成例を模式的に示す平面図である。
【
図14】
図13のa13-a13切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図15】技術の第3実施形態に係る電子機器の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本技術の実施形態を詳細に説明する。
なお、以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
【0012】
また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0013】
また、以下の実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。即ち、本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本技術の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0015】
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第1の方向及び第2の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと直交する第3の方向をZ方向とする。そして、以下の実施形態では、後述する半導体層21の厚さ方向をZ方向として説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
この第1実施形態では、光検出装置として、裏面照射型CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである固体撮像装置に本技術を適用した一例について説明する。
また、この第1実施形態では、位相差を取得する画素について説明する。
【0017】
≪固体撮像装置の全体構成≫
まず、固体撮像装置1Aの全体構成について説明する。
図1に示すように、本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1Aは、平面視したときの二次元平面形状が方形状の半導体チップ2を主体に構成されている。即ち、固体撮像装置1Aは、半導体チップ2に搭載されており、半導体チップ2を個体撮像装置1Aとみなすことができる。この固体撮像装置1A(101)は、
図15に示すように、光学レンズ102を介して被写体からの像光(入射光106)を取り込み、撮像面上に結像された入射光106の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0018】
図1に示すように、固体撮像装置1Aが搭載された半導体チップ2は、互いに直交するX方向及びY方向を含む二次元平面において、中央部に設けられた方形状の画素アレイ部2Aと、この画素アレイ部2Aの外側に画素アレイ部2Aを囲むようにして設けられた周辺部2Bとを備えている。半導体チップ2は、製造プロセスにおいて、後述の半導体層21を含む半導体ウエハをチップ形成領域毎に小片化することによって形成される。したがって、以下に説明する固体撮像装置1Aの構成は、半導体ウエハを小片化する前のウエハ状態においても概ね同様である。即ち、本技術は、半導体チップの状態及び半導体ウエハの状態において適用が可能である。
【0019】
画素アレイ部2Aは、例えば
図15に示す光学レンズ(光学系)102により集光される光を受光する受光面である。そして、画素アレイ部2Aには、X方向及びY方向を含む二次元平面において複数の画素3(センサ画素)が行列状に配置されている。換言すれば、画素3は、二次元平面内で互いに直交するX方向及びY方向のそれぞれの方向に繰り返し配置されている。
【0020】
図1に示すように、周辺部2Bには、複数のボンディングパッド14が配置されている。複数のボンディングパッド14の各々は、例えば、半導体チップ2の二次元平面における4つの辺の各々の辺に沿って配列されている。複数のボンディングパッド14の各々は、半導体チップ2と外部装置とを電気的に接続する入出力端子として機能である。
【0021】
<ロジック回路>
半導体チップ2は、
図2に示すロジック回路13を備えている。
図2に示すように、ロジック回路13は、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7及び制御回路8などを含む。ロジック回路13は、電界効果トランジスタとして、例えば、nチャネル導電型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びpチャネル導電型のMOSFETを有するCMOS(Complementary MOS)回路で構成されている。
【0022】
図2に示す垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成されている。垂直駆動回路4は、所望の画素駆動線10を順次選択し、選択した画素駆動線10に画素3を駆動するためのパルスを供給し、各画素3を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路4は、画素アレイ部2Aの各画素3を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素3の光電変換部が受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素3からの画素信号を、垂直信号線11を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0023】
カラム信号処理回路5は、例えば画素3の列毎に配置されており、1行分の画素3から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路5は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
【0024】
図2に示す水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成されている。水平駆動回路6は、水平走査パルスをカラム信号処理回路5に順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から信号処理が行われた画素信号を水平信号線12に出力させる。
【0025】
図2に示す出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線12を通して順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バッファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
【0026】
図2に示す制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、及び水平駆動回路6等に出力する。
【0027】
<画素ブロック>
半導体チップ2は、
図3に示す画素ブロック15及び画素回路(読出し回路)16を備えている。
図3及び
図4に示すように、画素ブロック15は、複数の画素3を含む。この第1実施形態の画素ブロック15は、これに限定されないが、例えば、平面視でX方向及びY方向のそれぞれの方向に互いに隣り合って2つずつ並んで配置された4つの画素3(3a,3b,3c,3d)を含む。
図3及び
図4では、主に1つの画素ブロック15を図示しているが、画素ブロック15は、X方向及びY方向のそれぞれの方向に繰り返し配置され、
図1に示す画素アレイ部1Aを構築している。
【0028】
1つの画素ブロック15に含まれる4つの画素3a、3b、3c及び3dの各々は、基本的に同様の構成になっているが、
図5に示す素子形成領域21a,21b,21c,21dの配置パターンが異なっている。この第1実施形態では、
図4に示すように、X方向に並ぶ画素3aと画素3bとが同一の配置パターンになっている。また、X方向に並ぶ画素3cと画素3dとが同一の配置パターンになっている。そして、画素3cの配置パターンが画素3aの配置パターンに対して、画素3cと画素3aとの間の境界を反転軸とする反転パターンになっている。また、画素3dの配置パターンが画素3bの配置パターンに対して、画素3dと画素3bとの間の境界を反転軸とする反転パターンになっている。
【0029】
<画 素>
図3に示すように、1つの画素ブロック15に含まれる4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々は、光電変換セル22Aを備えている。光電変換セル22Aは、2つの光電変換領域(第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23R)を備えている。
第1光電変換領域23Lは、光電変換部(光電変換素子)PD1と、この光電変換部PD1で光電変換された信号電荷を保持(蓄積)する電荷保持部(フローティングディフュージョン:Floating Diffusion)FD1と、光電変換部PD1で光電変換された信号電荷を電荷保持部FD1に転送する転送トランジスタTR1と、を備えている。
同様に、第2光電変換領域23Rにおいても、光電変換部(光電変換素子)PD2と、この光電変換部PD2で光電変換された信号電荷を保持(蓄積)する電荷保持部FD2と、光電変換部PD2で光電変換された信号電荷を電荷保持部FD2に転送する転送トランジスタTR2と、を備えている。
【0030】
図3に示す2つの光電変換部PD1及びPD2の各々は、例えばpn接合型のフォトダイオード(PD)で構成され、受光量に応じた信号電荷を生成する。また、2つの光電変換部PD1及びPD2の各々は、生成した信号電荷を一時的に保持(蓄積)する。
【0031】
光電変換部PD1は、カソード側が転送トランジスタTR1のソース領域と電気的に接続され、アノード側が基準電位線(例えばグランド)と電気的に接続されている。
光電変換部PD2は、カソード側が転送トランジスタTR2のソース領域と電気的に接続され、アノード側が基準電位線(例えばグランド)と電気的に接続されている。
【0032】
図3に示す2つの転送トランジスタTR1及びTR2において、転送トランジスタTR1は、ソース領域が光電変換部PD1のカソード側と電気的に接続され、ドレイン領域が電荷保持部FD1と電気的に接続されている。そして、転送トランジスタTR1のゲート電極は、画素駆動線10(
図2参照)のうちの転送トランジスタ駆動線と電気的に接続されている。
また、転送トランジスタTR2は、ソース領域が光電変換部PD2のカソード側と電気的に接続され、ドレイン領域が電荷保持部FD2と電気的に接続されている。そして、転送トランジスタTR2のゲート電極は、画素駆動線10(
図2参照)のうちの転送トランジスタ駆動線と電気的に接続されている。
【0033】
図3に示す2つの電荷保持部FD1及びFD2において、電荷保持部FD1は、光電変換部PD1から転送トランジスタTR1を介して転送された信号電荷を一時的に蓄積して保持する。電荷保持部FD2は、光電変換部PD2から転送トランジスタTR2を介して転送された信号電荷を一時的に蓄積して保持する。
【0034】
<画素回路>
図3に示すように、画素回路16は、その入力段が、画素ブロック15に含まれる4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々の電荷保持部FD1,FD2と電気的に接続されている。画素回路16は、この4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々の電荷保持部FD1,FD2に保持された信号電荷を読出し、この信号電荷に基づく画素信号を出力する。画素回路16は、これに限定されないが、例えば画素ブロック15毎に設けられ、4つの画素3(3a,3b,3c,3d)、換言すれば4つの光電変換セル22A(8つの光電変換領域)で共有されている。
【0035】
図3に示すように、この第1実施形態の画素回路16は、これに限定されないが、画素トランジスタとして、例えば、2つの増幅トランジスタAMP及びAMP2と、2つの選択トランジスタSEL1及びSEL2と、2つのリセットトランジスタRST1及びRST2と、2つの切替トランジスタFDG1及びFDG2と、を備えている。これらの画素トランジスタ(AMP1,AMP2,SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)と、上述の転送トランジスタTR1,Tr2とは、電界効果トランジスタとして、例えば、酸化シリコン(SiO
2)膜からなるゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ソース領域及びドレイン領域として機能する一対の主電極領域と、を有するMOSFETで構成されている。また、これらの画素トランジスタとしては、ゲート絶縁膜が窒化シリコン(Si
3N
4)膜、或いは窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜などの積層膜からなるMISFET(Metal Insulator Semiconductor FET)でも構わない。
ここで、画素回路16に含まれる画素トランジスタ(AMP1及び2,SEL1及び2,RST1及び2,FDG1及び2)は、本技術の「電界効果トランジスタ」の一具体例に相当する。
【0036】
画素回路16に含まれる画素トランジスタ(AMP1,AMP2,SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)のうち、選択トランジスタSEL1及びSEL2と、リセットトランジスタRST1及びRST2と、切替トランジスタFDG1及びFDG2とは、主にスイッチング素子として機能し、増幅トランジスタAMP1及びAMP2は、主に増幅素子として機能する。
なお、選択トランジスタSEL1,SEL2及び切替トランジスタFDG1,FDG2は、必要に応じて省略してもよい。
【0037】
図3に示す2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2において、増幅トランジスタAMP1は、ソース領域が選択トランジスタSEL1のドレイン領域と電気的に接続され、ドレイン領域が電源線VDD及び2つのリセットトランジスタRST1及びRST2の各々のドレイン領域と電気的に接続されている。増幅トランジスタAMP2は、ソース領域が選択トランジスタSEL2のドレイン領域と電気的に接続され、ドレイン領域が電源線VDD及びリセットトランジスタRST2のドレイン領域と電気的に接続されている。そして、2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々のゲート電極は、4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々の電荷保持部FD1,FD2、及び2つのリセットトランジスタRST1及びRST2の各々のソース領域と電気的に接続されている。
【0038】
図3に示す2つの選択トランジスタSEL1及びSEL2において、選択トランジスタSEL1は、ソース領域が垂直信号線11(VSL)と電気的に接続され、ドレイン領域が増幅トランジスタAMP1のソース領域と電気的に接続されている。選択トランジスタSEL2は、ソース領域が垂直信号線11(VSL)と電気的に接続され、ドレイン領域が増幅トランジスタAMP2のソース領域と電気的に接続されている。そして、2つの選択トランジスタSEL1及びSEL2の各々のゲート電極は、画素駆動線10(
図2参照)のうちの選択トランジスタ駆動線と電気的に接続されている。
【0039】
図3に示す2つのリセットトランジスタRST1及びRST2において、リセットトランジスタRST1は、ソース領域が切替トランジスタFDG1のドレインと電気的に接続され、ドレイン領域が電源線VDD及び2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々のドレイン領域と電気的に接続されている。リセットトランジスタRST2は、ソース領域が切替トランジスタFDG2のドレインと電気的に接続され、ドレイン領域が電源線VDD及び2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々のドレイン領域と電気的に接続されている。そして、2つリセットトランジスタRSTの各々のゲート電極は、画素駆動線10(
図2参照)のうちのリセットトランジスタ駆動線と電気的に接続されている。
【0040】
図3に示す2つの切替トランジスタFDG1及びFDG2において、切替トランジスタFDG1は、ソース領域が4つの画素3の各々の電荷保持部FD1,FD2、及び2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々のゲート電極と電気的に接続され、ドレイン領域がリセットトランジスタRST1のソース領域と電気的に接続されている。切替トランジスタFDG2は、ソース領域が4つの画素3の各々の電荷保持部FD1,FD2、及び2つの増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々のゲート電極と電気的に接続され、ドレイン領域がリセットトランジスタRST2のソース領域と電気的に接続されている。そして、2つの切替トランジスタFDG1及びFDG2の各々のゲート電極は、画素駆動線10(
図2参照)のうちの切替トランジスタ駆動線と電気的に接続されている。
【0041】
なお、選択トランジスタSEL1,SEL2を省略する場合は、増幅トランジスタAMP1,AMP2のソース領域が垂直信号線11(VSL)と電気的に接続される。また、切替トランジスタFDG1,FDG2を省略する場合は、リセットトランジスタRST1,RST2のソース領域が増幅トランジスタAMP1,AMP2のゲート電極及び電荷保持部FD1,FD2と電気的に接続される。
【0042】
図3に示す転送トランジスタTR1は、転送トランジスタTR1がオン状態となると、光電変換部PD1で生成された信号電荷を電荷保持部FD1に転送する。
図3に示す転送トランジスタTR2は、転送トランジスタTR2がオン状態となると、光電変換部PD2で生成された信号電荷を電荷保持部FD2に転送する。
【0043】
図3に示すリセットトランジスタRST1,TST2は、リセットトランジスタRST1,RST2がオン状態となると、電荷保持部FD1,FD2の電位(信号電荷)を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSEL1,SEL2は、画素回路16からの画素信号の出力タイミングを制御する。
【0044】
図3に示す切替トランジスタFDG1,FDG2は、電荷保持部FD1,FD2による電荷保持を制御すると共に、増幅トランジスタAMP1,AMP2で増幅される電位に応じた電圧の増倍率を調整する。
【0045】
図3に示す増幅トランジスタAMP1,AMP2は、画素信号として、電荷保持部FD1,FD2に保持された信号電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMP1,AMP2は、ソースフォロア型のアンプを構成しており、光電変換部PD1,PD2で生成された信号電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMP1,AMP2は、選択トランジスタSEL,SELがオン状態となると、電荷保持部FD1,FD2の電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線11(VSL)を介してカラム信号処理回路5に出力する。
【0046】
図3に示す選択トランジスタSEL1,SEL2は、画素回路16から垂直信号線11への画素信号の出力タイミングを制御する。
【0047】
ここで、この第1実施形態の固体撮像装置1Aを備える電子機器では、2つの光電変換部PD1,PD2のそれぞれから信号電荷を画素3毎に読出し、その位相差を検出する。フォーカスが合っている場合には、光電変換部PD1と光電変換部PD2とに溜まる信号電荷の量に差が生じない。これに対して、フォーカスが合っていない場合には、光電変換部PD1に溜まる信号電荷の量Q1と、光電変換部PD2に溜まる信号電荷の量Q2との間に差が生じる。そして、フォーカスが合っていない場合、電子機器では、Q1とQ2とを一致させるように対象物レンズを操作するなどの操作を行う。これがオートフォーカスである。
【0048】
≪固体撮像装置の具体的な構成≫
次に、半導体チップ2(固体撮像装置1A)の具体的な構成について、
図5、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。なお、図面を見易くするため、
図5、
図6A及び
図6Bにおいては、後述する多層配線層の図示を省略している。また、
図5は
図1に対して上下が反転している。即ち、
図1は、半導体チップ2の光入射面側が描かれているが、
図5は、
図1に示す半導体チップ2の光入射面側とは反対側(多層配線層側)から見たときの平面図である。
【0049】
<半導体チップ>
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、半導体チップ2は、厚さ方向(Z方向)において互いに反対側に位置する第1の面部S1及び第2の面部S2を有する半導体層21と、この半導体層21に設けられた光電変換セル22Aと、この半導体層21の厚さ方向に延伸し、かつ光電変換セル22Aの周囲を区画する第2分離領域としてのセル間分離領域(画素間分離領域)31と、を備えている。半導体層21は、例えば単結晶シリコンで構成されている。光電変換セル22Aは、画素3毎に設けられている。即ち、画素アレイ部2Aに含まれる複数の画素3の各々は、光電変換セル22Aを備えている。
【0050】
また、半導体チップ2は、半導体層21の第2の面部S2側に、この第2の面部S2側から順次積層された平坦化膜61、カラーフィルタ62及びマイクロレンズ(オンチップレンズ)63を更に備えている。
また、半導体チップ2は、図示していないが、半導体層21の第1の面部S1側に設けられた多層配線層を更に備えている。多層配線層は、絶縁層と配線層とが順次積層された積層構造になっている。
【0051】
ここで、半導体層21の第1の面部S1を主面又は素子形成面、第2の面部S2を光入射面又は裏面と呼ぶこともある。そして、この第1実施形態に係る固体撮像装置1Aは、半導体層21の第2の面部S2側から入射した入射光を、半導体層21に設けられた光電変換セル22Aの光電変換部PD1,PD2で光電変換する。
【0052】
<平坦化膜、カラーフィルタ及びマイクロレンズ>
図6A及び
図6Bに示す平坦化膜61は、半導体層21の第2の面部S2側に、半導体層21の第2の面部S2を覆うようにして設けられ、半導体層21の第2の面部S2側を平坦化している。
【0053】
図6A及び
図6Bに示すカラーフィルタ62及びマイクロレンズ63は、それぞれ画素3(光電変換セル22A)毎に設けられている。カラーフィルタ62は、半導体チップ2の光入射面側から入射した入射光を色分離する。マイクロレンズ63は、照射光を集光し、集光した光を画素3(光電変換セル22A)に効率良く入射させる。また、1つのカラーフィルタ62及びマイクロレンズ63の各々は、後述する第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23Rの両方を覆うように設けられている。
【0054】
<光電変換セル>
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、光電変換セル22Aは、半導体層21の厚さ方向(Z方向)に延伸し、かつ光電変換セル22Aの内部を区画する第1分離領域としてのセル内分離領域32と、このセル内分離領域32でX方向に互いに隣り合って区画された第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23Rと、有する。
【0055】
第1光電変換領域23Lは、光電変換部PD1と、転送トランジスタTR1と、電荷保持部FD1と、を有する。第2光電変換領域23Rは、光電変換部PD2と、転送トランジスタTR2と、電荷保持部FD2と、を有する。そして、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々は、画素トランジスタを更に有する。
【0056】
第1光電変換領域23Lは、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に設けられた島状の素子形成領域(活性領域)21a及び21cを有する。また、第2光電変換領域23Rは、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に設けられた島状の素子形成領域(活性領域)21b及び21dを有する。これらの素子形成領域21a、21b、21c及び21dの各々は、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に設けられた第3分離領域としての素子間分離領域(フィールド分離領域)41によって区画され、電気的に分離されている。
【0057】
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、画素ブロック15に含まれる4つの画素3(3a,3b,3c,3d)において、画素3aの光電変換セル22Aでは、例えば、素子形成領域21aに画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMP1が設けられ、素子形成領域21bに画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMP2が設けられている。
また、
図4に示すように、画素3bの光電変換セル22Aでは、例えば、素子形成領域21aに画素トランジスタとしての選択トランジスタSEL1が設けられ、素子形成領域21bに画素トランジスタとしての増幅トランジスタSEL2が設けられている。
また、
図4に示すように、画素3cの光電変換セル22Aでは、例えば、素子形成領域21aに画素トランジスタとしてのリセットトランジスタRST1が設けられ、素子形成領域21bに画素トランジスタとしてのリセットトランジスタRST2が設けられている。
また、
図4に示すように、画素3dの光電変換セル22Aでは、例えば、素子形成領域21aに画素トランジスタとしての切替トランジスタFDG1が設けられ、素子形成領域21bに画素トランジスタとしての切替トランジスタFDG2が設けられている。
そして、
図4及び
図5に示すように、4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々の光電変換セル22Aにおいて、素子形成領域21cには、転送トランジスタTR1及び電荷保持部FD1が設けられ、素子形成領域21dには、転送トランジスタTR2及び電荷保持部FD2が設けられている。
【0058】
図4に示すように、光電変換セル22Aは、平面視で4つの辺を有する方形状の平面パターンになっている。そして、光電変換セル22Aは、詳細に図示していないが、平面視でX方向及びY方向のそれぞれの方向にセル間分離領域31を介して画素3毎に繰り返し配置されている。
【0059】
図6Aに示すように、光電変換セル22Aにおいて、第1光電変換領域23Lの素子形成領域21aは、半導体層21の第1の面部S1側に設けられた上面部21a
1と、この上面部21a
1に連なり、かつX方向において互いに反対側に位置する2つの側面部21a
2及び21a
3と、を有する。
また、第1光電変換領域23Rの素子形成領域21bは、半導体層21の第1の面部S1側に設けられた上面部21b
1と、この上面部21b
1に連なり、かつX方向において互いに反対側に位置する2つの側面部21b
2及び21b
3と、を有する。
即ち、この第1実施形態の光電変換セル22Aは、半導体層21の第1の面部S1側に設けられた上面部21a
1,21b
1及び側面部21a
2,21a
3,21b
2,21b
3を有する。
【0060】
側面部21a2及び21b2の各々は、X方向においてセル内分離領域32側に位置している。側面部21a3及び21b3の各々は、X方向においてセル間分離領域31側に位置している。
【0061】
<セル間分離領域>
図4及び
図5に示すように、1つの光電変換セル22A(画素3)に対応するセル間分離領域31は、平面視での平面形状が方形状の環状平面パターン(リング状平面パターン)になっており、1つの光電変換セル22Aの周囲を囲んでいる。そして、複数の光電変換セル22Aが配置された画素アレイ部2Aに対応するセル間分離領域31は、方形状の環状平面パターンの中に格子状平面パターンを有する複合平面パターンになっている。即ち、セル間分離領域31は、半導体層21に設けられた複数の光電変換セル22A(画素3)を光電変換セル22A毎に分離している。そして、1つの光電変換セル22Aは、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの配列方向(X方向)に延伸する2つのセル間分離領域31と、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの配列方向(X方向)と直行する方向(Y方向)に延伸する2つのセル間分離領域31とで囲まれている。換言すれば、1つの光電変換セル22Aは、X方向に延伸する2つのセル間分離領域31と、Y方向に延伸する2つのセル間分離領域31とで囲まれ、かつ区画されている。
【0062】
なお、この第1実施形態のセル間分離領域31は、平面視で1つの光電変換セル22Aの周囲を連続して囲む連続パターンになっているが、セル間分離領域31は、1つの光電変換セル22Aの周囲を断続的に囲む断続パターンでもよい。
【0063】
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、セル間分離領域31は、半導体層21の厚さ方向(Z方向)に延伸し、かつ半導体層21の厚さ方向と直交する二次元平面において互いに隣り合う光電変換セル22A間(画素3間)を電気的及び光学的に分離している。セル間分離領域31は、これに限定されないが、一端側が素子間離領域41と連結され、他端側が半導体層21の第2の面部S2に到達している。
【0064】
図6A及び
図6Bに示すように、セル間分離領域31は、例えば、半導体層21の深さ方向(Z方向)に延伸する掘り込み部33aと、この掘り込み部33aの側壁に沿って設けられた分離絶縁膜34と、この掘り込み部33aに分離絶縁膜34を介して充填された導電材35と、を含む。即ち、セル間分離領域31は、所謂トレンチ型分離構造になっている。分離絶縁膜34としては、例えば酸化シリコン膜を用いることができる。導電材35としては、例えば抵抗値を低減する不純物が導入された半導体膜を用いることができる。
【0065】
ここで、この第1実施形態では、セル間分離領域31が本技術の「第2分離領域」の一具体例に相当する。
【0066】
<セル内分離領域>
図5に示すように、セル内分離領域32は、平面視で光電変換セル22Aを挟んでX方向に延伸する2つのセル間分離領域31及び31の各々の中間部から内方(光電変換セル22A側)に突出し、互いに離間している。即ち、光電変換セル22Aは、X方向において互いに隣り合う第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとが、X方向に延伸する2つのセル間分離領域31及び31の各々の中間部から内方に突出する2つのセル内分離領域32で選択的に仕切られている。そして、第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとが、一方のセル内分離領域32と他方のセル内分離領域32との間で連結されている。2つのセル内分離領域32の各々は、Y方向において、平面視で半導体層21を介して互いに向かい合って離間している。
【0067】
図5に示すように、2つのセル内分離領域32のうちの一方のセル内分離領域32は、平面視で第1光電変換領域23Lの素子形成領域21aと、第2光電変換領域23Rの素子形成領域21bとの間に位置している。また、2つのセル内分離領域32のうちの他方のセル内分離領域32は、平面視で第1光電変換領域23Lの素子形成領域21cと、第2光電変換領域23Rの素子形成領域21dとの間に位置している。
【0068】
図6Aに示すように、素子形成領域21a及び21b側に位置する一方のセル内分離領域32は、半導体層21の厚さ方向(Z方向)に延伸し、かつ半導体層21の厚さ方向と直交する二次元平面において互いに隣り合う第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとを電気的及び光学的に分離している。そして、この一方のセル内分離領域32は、これに限定されないが、セル間分離領域31と同様に、一端側が素子間分離領域41と連結され、他端側が半導体層21の第2の面部S2に到達している。
【0069】
図示していないが、素子形成領域21c及び21d側に位置する他方のセル内分離領域32も、一方のセル内分離領域32と同様に、半導体層21の厚さ方向(Z方向)に延伸し、かつ半導体層21と直交する二次元平面において互いに隣り合う第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとを電気的及び光学的に分離している。そして、この他方のセル内分離領域32も、これに限定されないが、一方のセル内分離領域32と同様に、一端側が素子間分離領域41と連結され、他端側が半導体層21の第2の面部S2に到達している。
【0070】
図6Aに示すように、素子形成領域21a及び21b側に位置する一方のセル内分離領域32は、セル間分離領域31と同様に、例えば、半導体層21の深さ方向(Z方向)に延伸する掘り込み部33bと、この掘り込み部33bの側壁に沿って設けられた分離絶縁膜34と、この掘り込み部33bに分離絶縁膜34を介して充填された導電材35と、を含む。
【0071】
また、図示していないが、素子形成領域21c及び21d側に位置する他方のセル内分離領域32も、一方のセル内分離領域32と同様に、半導体層21の深さ方向(Z方向)に延伸する掘り込み部33bと、この掘り込み部33bの側壁に沿って設けられた分離絶縁膜34と、この掘り込み部33bに分離絶縁膜34を介して充填された導電材35と、を含む。即ち、この2つのセル内分離領域32の各々も、トレンチ型分離構造になっている。
【0072】
ここで、この第1実施形態では、セル内分離領域32が本技術の「第1分離領域」の一具体例に相当する。
また、この第1実施形態では、セル内分離領域32とセル間分離領域31とに分けて説明しているが、セル内分離領域32及びセル間分離領域31を含めて分離領域と定義することもできる。この場合、例えば、セル内分離領域32を分離領域の第1部分と呼び、セル間分離領域31を分離領域の第2部分と呼ぶことができる。
【0073】
<素子間分離領域>
図6A及び
図6Bに示すように、素子間分離領域41は、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に設けられている。そして、
図5に示すように、素子間分離領域41は、第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23Rに亘って設けられている。また、
図4に示すように、素子間分離領域41は、複数の光電変換セル22Aに亘って設けられている。そして、
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、素子間分離領域41は、平面視でセル間分離領域31及びセル内分離領域32の各々と重畳している。そして、素子間分離領域41は、セル間分離領域31及びセル内分離領域32の各々と半導体層21の深さ方向(Z方向)において互いに接触し、一体化されている。素子間分離領域41は、これに限定されないが、例えば、半導体層21の第1の面部S1から深さ方向に凹む浅溝部42の内部に絶縁膜43が埋め込まれたSTI(Shallow Trench Isolation)構造になっている。
【0074】
<光電変換部>
図6A及び
図6Bに示すように、光電変換セル22Aは、p型の半導体領域24と、n型の半導体領域25と、を更に有する。
p型の半導体領域24は、半導体層21の第1の面部S1側と第2の面部S2側とに亘って設けられている。そして、p型の半導体領域24は、詳細に図示していないが、第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとに亘って設けられている。
n型の半導体領域25は、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々に個別に設けられている。そして、n型の半導体領域25は、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々において、p型の半導体領域24の中に設けられている。即ち、n型の半導体領域25は、p型の半導体領域24で囲まれている。
【0075】
ここで、光電変換部PD1及びPD2の各々は、主にn型の半導体領域25で構成され、p型の半導体領域24とn型の半導体領域25とのpn接合を含むpn接合型のフォトダイオードとして構成されている。
図6A及び
図6Bに示すように、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々のn型の半導体領域25は、半導体層21の厚さ方向(Z方向)に延伸し、かつ半導体層21の第1の面部S1及び第2の面部S2から離間している。また、
図6Aに示すように、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々のn型の半導体領域25は、X方向においてセル間分離領域31及びセル内分離領域32から離間し、
図6Bでは詳細に図示していないが、Y方向においてセル間分離領域31から離間している。そして、図示していないが、第1及び第2光電変換領域23L,23Rの各々のn型の半導体領域25は、2つのセル内分離領域32の間で一体になっている。即ち、第1光電変換領域23Lの光電変換部PD1と、第2光電変換領域23Rの光電変換部PD21とは、2つのセル内分離領域32の間で一体になっている。
【0076】
<素子形成領域>
図5に示すように、素子形成領域21aと21bとは、平面視で2つのセル内分離領域32のうちの一方のセル内分離領域32側に配置され、X方向において互いに離間して隣り合っている。素子形成領域21cと21dとは、平面視で2つのセル内分離領域32のうちの他方のセル内分離領域32側に配置され、X方向において互いに離間して隣り合っている。
【0077】
図6A及び
図6Bに示すように、第1光電変換領域23Lにおいて、素子形成領域21aは、光電変換部PD1と重畳している。そして、図示していないが、素子形成領域21cも、素子形成領域21aと同様に、光電変換部PD1と重畳している。
【0078】
図6Aに示すように、第2光電変換領域23Rにおいて、素子形成領域21bは、第2光電変換領域23Rにおいて、光電変換部PD2と重畳している。そして、図示していないが、素子形成領域21dも、素子形成領域21bと同様に、光電変換部PD2と重畳している。
【0079】
<画素トランジスタ>
次に、画素トランジスタの構成について、増幅トランジスタを用いて説明する。
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMP1は、光電変換セル22Aの素子形成領域21aに設けられている。
【0080】
増幅トランジスタAMP1は、素子形成領域21aの上面部21a
1及び2つの側面部21a
2,21a
3の各々に亘って設けられたゲート絶縁膜51と、このゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21aに設けられたゲート電極53とを有する。
また、増幅トランジスタAMP1は、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の素子形成領域21a(半導体層21)に設けられた一対の主電極領域54a及び54b(
図6B参照)を更に有する。
また、増幅トランジスタAMP1は、ゲート電極53の直下であって、一対の主電極領域54aと54bとの間の素子形成領域21aに設けられたチャネル形成部を有する。
【0081】
図5及び
図6Aに示すように、増幅トランジスタAMP1のゲート電極53は、平面視で光電変換セル22Aと重畳し、かつ分離領域としてのセル間分離領域31及びセル内分離領域32と重畳している。そして、増幅トランジスタAMP1のゲート電極53は、ゲート電極53のゲート幅方向(X方向)において、ゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21aの上面部21a
1及び2つの側面部21a
2,21a
3と隣り合っている(向かい合っている)。そして、この第1実施形態のゲート電極53は、これに限定されないが、例えば、素子形成領域21aの上面部21a
1の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた頭部53aと、この頭部53aから素子形成領域21a側に突出し、かつ側面部21a
2の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
1と、この頭部53aから素子形成領域21a側に突出し、かつ側面部21a
3の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
2と、を有する。
【0082】
ゲート電極53の脚部53b1は、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部45の中に設けられている。そして、脚部53b1及び掘り込み部45の各々は、平面視でセル内分離領域32と重畳している。
【0083】
また、ゲート電極53の脚部53b2も、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部46の中に設けられている。そして、脚部53b2及び掘り込み部46の各々は、平面視でセル間分離領域31と重畳している。
また、ゲート電極53の脚部53b3も、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部47の中に設けられている。そして、脚部53b3及び掘り込み部47の各々は、平面視でセル間分離領域31と重畳している。
【0084】
ゲート絶縁膜51は、例えば酸化シリコン膜で構成されている。ゲート電極53は、例えば、抵抗値を低減する不純物が導入された多結晶シリコン膜で構成されている。
【0085】
一対の主電極領域54a及び54bは、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一対の主電極領域54a及び54bは、例えば、ゲート電極53と整合して素子形成領域21aの表層部に設けられたn型の半導体領域で構成されている。
【0086】
図5、
図6Aに示すように、画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMP2は、光電変換セル22Aの素子形成領域21bに設けられている。
増幅トランジスタAMP2は、素子形成領域21bの上面部21b
1及び2つの側面部21b
2,21b
3の各々に亘って設けられたゲート絶縁膜51と、このゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21bに設けられたゲート電極53とを有する。
また、増幅トランジスタAMP2は、図示していないが、
図6Bを参照すれば、増幅トランジスタAMP1と同様に、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の素子形成領域21b(半導体層21)に設けられた一対の主電極領域54a及び54bを更に有する。
また、増幅トランジスタAMP2は、ゲート電極53の直下であって、一対の主電極領域54aと54bとの間の素子形成領域21bに設けられたチャネル形成部を有する。
【0087】
図5及び
図6Aに示すように、増幅トランジスタAMP2のゲート電極53は、平面視で光電変換セル22Aと重畳し、かつ分離領域としてのセル間分離領域31及びセル内分離領域32と重畳している。そして、増幅トランジスタAMP2のゲート電極53は、ゲート電極53のゲート幅方向(X方向)において、ゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21bの上面部21b
1及び2つの側面部21b
2,21b
3と隣り合っている(向かい合っている)。そして、この第1実施形態のゲート電極53は、これに限定されないが、例えば、素子形成領域21bの上面部21b
1の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた頭部53aと、この頭部53aから素子形成領域21b側に突出し、かつ側面部21b
2の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
1と、この頭部53aから素子形成領域21b側に突出し、かつ側面部21b
3の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
3と、を有する。ゲート電極53の脚部53b
3も、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部47の中に設けられている。そして、脚部53b
3及び掘り込み部47の各々は、平面視でセル間分離領域31と重畳している。
【0088】
なお、画素トランジスタとしての選択トランジスタSEL1,SEL2、リセットトランジスタRST1,RST2、及び切替トランジスタFDG1,FD2の各々は、基本的に増幅トランジスタAMP1及びAMP2と同様の構成になっているので、これらの画素トランジスタ(SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FD2)の具体的な構成の説明は省略する。
【0089】
<ゲート電極>
図5及び
図6Aに示すように、第1光電変換領域23Lの素子形成領域21aに設けられた増幅トランジスタAMP
1と、第2光電変換領域23Rの素子形成領域21bに設けられた増幅トランジスタAMP2とは、各々のゲート電極53がX方向に延伸し、一体化されている。そして、増幅トランジスタAMP1と、増幅トランジスタAMP2とは、各々のゲート電極53の脚部53b
1が共有されている。即ち、脚部53b
1は、X方向において、第1光電変換領域23Lの素子形成領域21aの側面部21a
2とゲート絶縁膜51を介在して隣り合っていると共に、第2光電変換領域23Rの素子形成領域21bの側面部21b
2とゲート絶縁膜51を介在して隣り合っている。
【0090】
図5及び
図6Aに示すように、ゲート電極53は、1つの光電変換セル22Aにおいて、平面視でセル内分離領域32をX方向に横切り、第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとに亘って延伸している。
【0091】
≪固体撮像装置の製造方法≫
次に、本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1Aの製造方法について、
図7Aから
図7Jを用いて説明する。
図7Aから
図7H及び
図7Jは、
図5のa5-a5切断線と同一位置での縦断面図であり、
図7Iは、
図5のb5-b5切断線と同一位置での縦断面図である。
この第1実施形態では、固体撮像装置1Aの製造方法に含まれる分離領域(セル間分離領域31及びびセル内分離領域32と、画素トランジスタの製造に特化して説明する。
また、画素トランジスタの製造については、増幅トランジスタAMP1及びAMP2を例示して説明し、その他の画素トランジスタについての説明を省略する。
【0092】
まず、
図7Aに示すように、半導体層21にp型の半導体領域24及びn型の半導体領域25を形成する。p型の半導体領域24は、半導体層21の光電変換領域22A及び掘り込み部形成領域33a
1及び33b
1を含む全域に亘って形成する。n型の半導体領域25は、光電変換セル22Aの第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23Rの各々に選択的に形成する。p型の半導体領域24及びn型の半導体領域25の各々は、周知のフォトリソグラフィ技術及び不純物イオン注入法によって形成することができる。
【0093】
この工程において、p型の半導体領域24とn型の半導体領域25とのpn接合を含むpn接合型のフォトダイオードからなる光電変換部PD1及びPD2が光電変換セル22Aの第1及び第2光電変換領域23L,23Rに個別に形成される。
【0094】
また、この工程において、光電変換セル22Aは、まだ区画されておらず、この後の工程で掘り込み部33a(
図7B参照)が形成される掘り込み部形成領域33a
1によって周囲を囲まれている。また、光電変換セル22Aの第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとの間も、まだ区画されておらず、この後の工程で掘り込み部33b(
図7B参照)が形成される掘り込み部形成領域33b
1を介して互いに連結されている。第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23Rは、平面視で掘り込み部形成領域33b
1を介してX方向に並んでいる。
【0095】
次に、
図7Bに示すように、光電変換セル22Aの周囲の掘り込み部形成領域33a
1に、半導体層21の第1の面部S1から第2の面部S2側に向かって延伸する掘り込み部33aを形成すると共に、光電変換セル22A内の掘り込み部形成領域33b
1に、半導体層21の第1の面部S1から第2の面部S2側に向かって延伸する掘り込み部33bを形成する。
掘り込み部33aは、光電変換セル22Aの周囲を区画する。一方、掘り込み部33bは、光電変換セル22Aの内部を第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとに区画する。掘り込み部33a及び33bの各々は、例えば、周知のフォトリソグラフィ技術及び異方性ドライエッチング技術を用いて、半導体層21の掘り込み部形成領域33a
1及び33b
1を選択的にエッチングすることによって形成することができる。
【0096】
ここで、この第1実施形態の固体撮像装置1Aの製造では、半導体層21のZ方向の厚さを薄くする薄厚化工程(
図7J参照)が実施される。したがって、掘り込み部33a及び33bの各々のZ方向(半導体層21の厚さ方向)の深さを、薄厚化工程で実施される半導体層21の薄厚化線S2aよりも深く形成する。
【0097】
次に、掘り込み部33a及び33bの各々を形成した後、
図7Cに示すように、掘り込み部33a及び33bの各々の内部に分離絶縁膜34及び導電材35を選択的に形成する。分離絶縁膜34は、掘り込み部33a及び33bの各々の内部の内壁(側壁及び底壁)に沿って形成される。導電材35は、掘り込み部33a及び33bの各々の内部に分離絶縁膜34を介して形成される。掘り込み部33a及び33bの各々の内部の分離絶縁膜34及び導電材35は、例えば、掘り込み部33a及び33bの各々の内壁(側壁及び底壁)を含む半導体層21の第1の面部S1上の全面に分離絶縁膜34及び導電材35をこの順で形成し、その後、半導体層21の第1の面部S1上の導電材35及び分離絶縁膜34をこの順でCMP法などにより選択的に除去することによって形成することができる。分離絶縁膜34としては、例えば、酸化シリコン膜を用いることができる。導電材35としては、例えば、抵抗値を低減する不純物が堆積中又は堆積後に導入されたドープドポリシリコン膜を用いることができる。導電材35は、分離絶縁膜34を介して半導体層21と電的に分離されている。
【0098】
この工程において、掘り込み部33aと、この掘り込み部33aの内部に設けられた分離絶縁膜34及び導電材35と、を含むセル間分離領域31が形成される。そして、光電変換セル22Aがセル間分離領域31で区画され、更に互いに隣り合う光電変換セル22Aの間がセル間分離領域31で電気的及び光学的に分離される。
また、この工程において、掘り込み部33bと、この掘り込み部33bの内部に設けられた分離絶縁膜34及び導電材35と、を含むセル内分離領域32が形成される。そして、光電変換セル22Aの第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとがセル内分離領域32で区画され、かつ分離される。
【0099】
次に、セル間分離領域31及びセル内分離領域32を形成した後、
図7Dに示すように、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に、素子間分離領域41で区画された素子形成領域21a及び21bの各々を形成する。素子形成領域21a及び21bの各々は、素子間分離領域41で区画され、この素子間分離領域41を形成することによって半導体層21の第1の面部S1側の表層部に形成される。素子形成領域21aは、光電変換セル22Aの第1光電変換領域23Lに形成され、素子形成領域21bは、光電変換セルの第2光電変換領域23Rに形成される。素子間分離領域41は、平面視でセル間分離領域31及びセル内分離領域32の各々と重畳して形成される。
素子間分離領域41は、例えば、半導体層21の第1の面部S1から第2の面部S2側に窪む浅溝部(フィールド溝部)42を形成し、その後、浅溝部42の内部を含む半導体層21の第1の面部S1上の全面に例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜43を形成し、その後、絶縁膜43が浅溝部42の内部に選択的に残るようにCMP法で半導体層21の第1の面部S1上の絶縁膜43を選択的に除去することによって形成することができる。絶縁膜43としては、例えば、酸化シリコン膜を用いている。
【0100】
この工程において、素子形成領域21aは、平面視で半導体層21の第1の面部S1側にセル間分離領域31で囲まれた上面部21a
1を有する。また、素子形成領域21bは、平面視で半導体層21の第1の面部S1側にセル間分離領域31で囲まれた上面部21b
1を有する。
なお、この工程において、
図7Dには図示していないが、
図5に示す素子形成領域21c及び21dも形成される。そして、この素子形成領域21c及び21dの各々も、平面視で半導体層21の第1の面部S1側にセル間分離領域31で囲まれた上面部を有する。
【0101】
次に、素子形成領域21a、21b、21c及び21dを形成した後、
図7Eに示すように、半導体層21の第1の面部S1側の表層部に、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に窪む掘り込み部45、46及び47の各々を形成する。
掘り込み部45は、平面視でセル内分離領域32と重畳する位置に形成する。掘り込み部46は、平面視でX方向において光電変換セル22Aの両側に位置する2つのセル間分離領域31のうちの一方のセル間分離領域31と重畳する位置に形成し、掘り込み部47は、他方のセル間分離領域31と重畳する位置に形成する。そして、掘り込み部45、46及び47の各々は、平面視でX方向に一列で並ぶように形成する。そして、掘り込み部45、46及び47の各々は、素子間分離領域41のZ方向の深さよりも浅く形成する。
掘り込み部45、46及び47の各々は、例えば、周知のフォトリソグラフィ技術及び異方性ドライエッチング技術を用いて、半導体層21の第1の面部S1側の素子形成領域21a,21bと素子間分離領域41とを選択的にエッチングすることによって形成することができる。
【0102】
この工程において、素子形成領域21aに、この素子形成領域21aの上面部21a1と連なり、かつX方向において互いに反対側に位置する2つの側面部21a2及び21a3が形成されると共に、素子形成領域21bに、この素子形成領域21bの上面部21b1と連なり、かつX方向において互いに反対側に位置する2つの側面部21b2及び21b3が形成される。
【0103】
ここで、掘り込み部45、46、47の各々は、素子形成領域21a,21bと素子間分離領域41とに亘って形成される。このため、掘り込み部45,46,47の素子形成領域21a,21b側への食い込み量(突出量)に比例して素子形成領域21a,21bの上面部21a1,21b1のX方向の幅が小さくなる。したがって、掘り込み部45,46,47の素子形成領域21a,21b側への食い込み量をできるだけ小さくし、素子形成領域21a,21bの上面部21a1,21b1のX方向の幅を大きくすることが好ましい。即ち、素子形成領域21a,21bの側面部21a2,21a3,21b2,21b3を、できるだけ素子間分離領域41に近づけることが好ましい。
【0104】
なお、掘り込み部45、46、47の各々は、素子形成領域21a,21b側に選択的に形成し、
図5に示す素子形成領域21c,21d側には形成しない。
【0105】
次に、掘り込み部45、46及び47の各々を形成した後、
図7Fに示すように、素子形成領域21aの上面部21a
1及び2つの側面部21a
2及び21a
3に亘ってゲート絶縁膜51を形成すると共に、素子形成領域21bの上面部21b
1及び2つの側面部21b
2及び21b
3に亘ってゲート絶縁膜51を形成する。ゲート絶縁膜51は、例えば熱酸化法又は堆積法により形成することができる。ゲート絶縁膜51としては、例えば酸化シリコン膜を用いることができる。
【0106】
この工程において、ゲート絶縁膜51は、掘り込み部45の内部において、素子形成領域21aの側面部21a2と、素子形成領域21bの側面部21b2とに形成される。また、また、ゲート絶縁膜51は、掘り込み部46の内部において、素子形成領域21aの側面部21a3に形成され、掘り込み部47の内部において、素子形成領域21bの側面部21b3に形成される。
【0107】
なお、転送トランジスタTR1及びTR2のゲート絶縁膜をゲート絶縁膜51と同一工程で形成してもよい。
【0108】
次に、
図7Gに示すように、掘り込み部45、46及び47の各々の内部を含む半導体層21上の全面に導電膜52を形成する。導電膜52としては、例えば抵抗値を低減する不純物が成膜中又は成膜後に導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)膜を用いることができる。多結晶シリコン膜は、例えばCVD法で形成することができる。
【0109】
この工程において、素子形成領域21a,21bの上面部21a1,21b1及び側面部21a2,21a3,21b2,21b3と、導電膜52との間にゲート絶縁膜51が介在される。
【0110】
次に、周知のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて導電膜52をパターンニングし、
図7Hに示すように、素子形成領域21aの上面部21a1及び2つの側面部21a
2,21a
3とゲート絶縁膜51を介在して隣り合い、かつ素子形成領域21aの上面部21a1及び2つの側面部21a
2,21a
3とゲート絶縁膜51を介在して隣り合うゲート電極53を形成する。
【0111】
ゲート電極53は、素子形成領域21a及び21bの各々の上面部21a1,21b1の上方の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられ、かつ平面視で素子形成領域21a及び21bの各々に亘って延伸する頭部53aと、この頭部53aから素子形成領域21a及び21b側に突出してセル内分離領域32と重畳し、かつ素子形成領域21a及び21bの各々の側面部21a2,21b2の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた頭部53aと、を含む。
【0112】
また、ゲート電極53は、頭部53aから素子形成領域21a側に突出してセル間分離領域31と重畳し、かつ素子形成領域21aの側面部21a3の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b1と、頭部53aから素子形成領域21b側に突出してセル間分離領域31と重畳し、かつ素子形成領域21bの側面部21b3の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b2と、を更に含む。頭部53aは半導体層21よりも上方に突出して形成される。脚部53b1,53b2,53b3は、頭部53aと連結されて掘り込み部45、46、47の中に個別に形成される。
【0113】
なお、転送トランジスタTR1及びTR2の各々のゲート電極をゲート電極53と同一工程で形成してもよい。
【0114】
次に、
図7Iに示すように、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成領域21a(半導体層21)に、n型の半導体領域からなる一対の主電極領域54a及び54bを形成すると共に、図示していないが、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成領域21b(半導体層21)に、n型の半導体領域からなる一対の主電極領域54a及び54bを形成する。
【0115】
一対のn型の主電極領域54a及び54bは、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一対のn型の主電極領域54a及び54bは、ゲート電極53及び素子間分離領域41を不純物導入用マスクとして使用し、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成領域21aと、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成領域21bとに、n型を呈する不純物として例えば砒素イオン(As+)や燐イオン(P+)をイオン注入し、その後、不純物を活性化させる熱処理を施すことによって形成することができる。一対の主電極領域54a及び54bの各々は、素子形成領域21a及び素子形成領域21bの各々にゲート電極53と整合して形成される。
【0116】
なお、転送トランジスタTR1及びTR2の各々の一対の主電極領域を、一対の主電極領域54a及び54bと同一工程で形成してもよい。また、電荷保持部FD1及びFD2も、一対の主電極領域54a及び54bと同一工程で形成してもよい。
【0117】
次に、一対の主電極領域54a及び54bを形成した後、図示していないが、半導体層21の第1の面部S1側に、多層配線層を形成する。
【0118】
次に、多層配線層を形成した後、半導体層21の第2の面部S2側を例えばCMP法で切削して半導体層21の厚さを薄くする薄厚化工程を実施し、
図7Jに示すように、掘り込み部33a及び33bの各々の分離絶縁膜34及び導電材35を露出させる。半導体層21の薄厚化は、
図7Iに示す薄厚化線S2aまで行う。
【0119】
この工程において、半導体層21の第1の面部S1側の素子間分離領域41の底面部から半導体層21の第2の面部S2側に向かって延伸し、かつ先端が半導体層21の第2の面部S2に到達するセル間分離領域31及びセル内分離領域32が形成される。
【0120】
また、この工程において、周囲がセル間分離領域31で区画され、内部がセル内分離領域32で第1光電変換領域23Lと第2光電変換領域23Rとに区画された光電変換セル22Aが形成される。
【0121】
この後、半導体層21の第2の面部S2側に、平坦化膜61、カラーフィルタ62及びマイクロレンズ63を、この順で形成することにより、
図5、
図6A及び
図6Bに示す状態となる。
【0122】
≪第1実施形態の主な効果≫
次に、本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1Aの主な効果について説明する。
図6Aに示すように、この第1実施形態に係る固体撮像装置1Aは、画素トランジスタとして、光電変換セル22Aに設けられた増幅トランジスタAMP1を備えている。そして、増幅トランジスタAMP1は、平面視で光電変換セル22Aの素子形成領域21a及びセル内分離領域32と重畳するゲート電極53を有する。そして、ゲート電極53は、ゲート電極53のゲート幅方向(X方向)において、素子形成領域21aの上面部21a
1及び側面部21a
2とゲート絶縁膜51を介在して互いに隣り合っている。
【0123】
このため、従来技術において、ゲート電極のゲート幅方向(X方向)の端部が平面視でセル内分離領域よりも素子形成領域側に位置する場合と比較して、素子形成領域21aの上面部21a1でのゲート電極53のゲート幅Wgを拡張することができると共に、素子形成領域21aの側面部21a2でのゲート電極53のゲート幅Wgを深さ方向(Z方向)に拡張することができる。
【0124】
したがって、この第1実施形態に係る固体撮像装置1Aによれば、画素トランジスタとしての増幅トランジスタ(電界効果トランジスタ)AMP1の相互コンダクタンスの向上を図ることができる。
【0125】
また、増幅トランジスタAMP1のゲート電極53は、平面視で光電変換セル22Aの素子形成領域21a及びセル間分離領域31と重畳している。そして、ゲート電極53は、ゲート電極53のゲート幅方向(X方向)において、素子形成領域21aの上面部21a1及び側面部21a2とゲート絶縁膜51を介在して互いに隣り合っている。
【0126】
このため、素子形成領域21aの上面部21a1でのゲート電極53のゲート幅Wgを更に拡張することができると共に、素子形成領域21aの側面部21a3でのゲート電極53のゲート幅Wgを深さ方向(Z方向)に更に拡張することができる。
【0127】
したがって、この第1実施形態に係る固体撮像装置1Aによれば、ゲート電極53が平面視で素子形成領域21a、セル内分離領域32及びセル間分離領域31の各々と重畳しているので、画素トランジスタとしての増幅トランジスタ(電界効果トランジスタ)AMP1の相互コンダクタンスを、より一層向上させることができる。
【0128】
このゲート電極53のゲート幅Wgの拡張は、画素トランジスタとして素子形成領域21bに設けられた増幅トランジスタAMP2においても実施することができると共に、他の画素トランジスタ(SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)においても実施することができる。即ち、画素回路16含まれる画素トランジスタ(AMP1,AMP2,SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
【0129】
また、画素回路16含まれる画素トランジスタ(AMP1,AMP2,SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができるため、画素回路16の高速化を図ることができ、ひいては固体撮像装置1Aの画質性能の向上を図ることができる。
【0130】
また、画素回路16に含まれる画素トランジスタ(AMP1,AMP2,SEL1,SEL2,RST1,RST2,FDG1,FDG2)のオン抵抗を低減することができる。
【0131】
また、この第1実施形態では、1つの光電変換セル22Aにおいて、素子形成領域21aの増幅トランジスタAMP1と素子形成領域21bの増幅トランジスタAMP2とでゲート電極53の脚部53b1を共有している。そして、脚部53b1は、素子形成領域21aの側面部21a2及び素子形成領域21bの側面部21b2の各々とゲート絶縁膜51を介在して互いに隣り合っている。このため、1つのゲート電極53で増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々の相互コンダクタンスの向上を図ることができる。
【0132】
なお、上述の第1実施形態では、セル間分離領域及びセル内分離領域の各々が半導体層21の第1の面部S2に到達する場合について説明したが、本技術は、セル間分離領域及びセル内分離領域の各々が半導体層21の第1の面部S2から離間する場合にも適用することができる。
【0133】
≪第1実施形態の変形例≫
<変形例1-1,1-2>
上述の第1実施形態では、3つの脚部53b1、53b2及び53b3を有するゲート電極53について説明したが、本技術は、上述の第1実施形態のゲート電極53に限定されるものではない。
【0134】
例えば、変形例1-1の
図8に示すように、ゲート電極53の脚部として、セル間分離領域31側の脚部53b
2及び53b
3を省略してもよい。この変形例1-1の場合においても、増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
また、変形例1-2の
図9に示すように、ゲート電極53の脚部として、セル内分離領域32側の脚部53b
1を省略してもよい。この変形例1-2の場合においても、増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
【0135】
即ち、ゲート電極53は、セル内分離領域32及びセル間分離領域31の少なくとも何れか一方と重畳し、素子形成領域21a,21bの上面部及び側面部と隣り合っていればよい。
【0136】
<変形例1-3>
上述の第1実施形態では、光電変換セル22Aにおいて、第1光電変換領域23Lの増幅トランジスタAMP1と、第2光電変換領域23Rの増幅トランジスタAMP2とでゲート電極53の脚部53b1を共有した場合について説明したが、本技術は、この第1実施形態のゲート電極53に限定されるものではない。
【0137】
例えば、
図10に示すように、1つの光電変換セル22Aにおいて、第1光電変換領域23Lの増幅トランジスタAMP1と、第2光電変換領域23Rの増幅トランジスタAMP2とでゲート電極53及び脚部53b
1をそれぞれ個別に設けてもよい。この変形例1-3の場合においても、増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
【0138】
また、この変形例1-3の場合、1つの光電変換セル22Aにおいて、第1光電変換領域23Lの素子形成領域21a及び第2光電変換領域23Rの素子形成領域21bに、機能の異なる画素トランジスタを配置することができる。例えば、増幅トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ及び切替トランジスタの何れかの画素トランジスタを素子形成領域21aに配置し、残りの画素トランジスタの何れかを素子形成領域21bに配置することができる。
【0139】
<変形例1-4>
上述の第1実施形態では、平面視でX方向に互いに隣り合って並ぶ2つの光電変換セル22Aにおいて、一方の光電変換セル22Aのゲート電極53と他方の光電変換セル22Aのゲート電極53とを個別にした場合について説明したが、本技術は上述の第1実施形態のゲート電極53に限定されない。
【0140】
例えば、
図11及び
図12に示すように、平面視でX方向に互いに隣り合って並ぶ2つの光電変換セル22Aにおいて、一方の光電変換セル22Aのゲート電極53と他方の光電変換セル22Aのゲート電極53とを一体化してもよい。
図11では、増幅トランジスタAMP1及びAMP2のゲート電極53と、リセットトランジスタRST1及びTST2のゲート電極53とを例示しているが、他の画素トランジスタにおいても一体化することができる。
この変形例1-4の場合、一方の光電変換セル22Aと他方の光電変換セル22Aとの間のセル間分離領域31と平面視で重畳する脚部53b
3を共有することが好ましい。
この変形例1-4においても、上述の第1実施形態と同様に、増幅トランジスタAMP1及びAMP2の各々の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
【0141】
〔第2実施形態〕
本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置1Bは、基本的に上述の第1実施形態に係る固体撮像装置と同様の構成になっており、画素に含まれる光電変換セルの構成が異なっている。
【0142】
即ち、
図13及び
図14に示すように、本技術の第2実施形態に係る固体撮像装置1Bは、上述の第1実施形態の
図5及び
図6Aに示す光電変換セル22Aに替えて、光電変換セル22Bを備えている。その他の構成は、上述の第1実施形態と概ね同様である。
【0143】
具体的には、
図5及び
図6Aに示すように、上述の第1実施形態の光電変換セル22Aは、2つの光電変換領域(第1光電変換領域23L及び第2光電変換領域23R)と、2つの光電変換部PD1及びPD2と、2つの転送トランジスタTR1及びTR2と、2つの電荷保持部FD1及びFD2と、同一機能の2つの画素トランジスタと、を備えている。そして、上述の第1実施形態の光電変換セル22Aは、素子間分離領域41で区画された素子形成領域21a、21b、21c及び21dを更に備えている。
【0144】
これに対し、
図13及び
図14に示すように、この第2実施形態に係る光電変換セル22Bは、1つの光電変換領域23Bと、1つの光電変換部PDと、1つの転送トランジスタTRと、1つの電荷保持部FDと、1つの画素トランジスタと、を備えている。そして、この第2実施形態に係る光電変換セル22Bは、素子間分離領域41で区画された素子形成領域21e及び21fを更に備えている。
【0145】
図13に示すように、画素ブロック15に含まれる4つの画素3(3a,3b,3c,3d)において、画素3aの光電変換セル22Bでは、素子形成領域21eに画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMPが設けられている。また、画素3bの光電変換セル22Bでは、素子形成領域21eに画素トランジスタとしての選択トランジスタSELが設けられている。また、画素3cの光電変換セル22Bでは、素子形成領域21eに画素トランジスタとしてのリセットトランジスタRSTが設けられている。また、画素3dの光電変換セル22Bでは、素子形成領域21eに画素トランジスタとしての切替トランジスタFDGが設けられている。そして、画素3aから3dの各々の光電変換セル22Bでは、素子形成領域21fに、光電変換部PDと、転送トランジスタTRと、電荷保持部FDとが設けられている。
【0146】
画素ブロック15に含まれる4つの画素3(3a,3b,3c,3d)の各々の電荷保持部FDは、上述の実施形態と同様に画素回路の入力段に接続されている。そして、この画素回路は、画素トランジスタ(AMP,SEL,RST,FDG)を含む。
【0147】
図13に示すように、画素3aの光電変換セル22Bと画素3bの光電変換セル22Bとでは、素子形成領域21eと21fとのY方向の配置が逆になっている。同様に、画素3cの光電変換セル22Bと画素3dの光電変換セル22Bとでは、素子形成領域21eと21fとのY方向の配置が逆になっている。そして、画素3aの光電変換セル22Bと画素3cの光電変換セル22Bとでは、素子形成領域21eと21fとのY方向の配置が同一なっている。同様に、画素3bの光電変換セル22Bと画素3dの光電変換セル22Bとでは、素子形成領域21eと21fとのY方向の配置が同一なっている。
【0148】
<画素トランジスタ>
次に、画素トランジスタの構成について、増幅トランジスタを用いて説明する。
図14に示すように、画素トランジスタとしての増幅トランジスタAMPは、光電変換セル22Bの素子形成領域21eに設けられている。素子形成領域21eは、半導体層21の第1の面部S1側に設けられた上面部21e
1と、この上面部21e
1に連なり、かつX方向において互いに反対側に位置する2つの側面部21e
2及び21e
3と、を有する。
増幅トランジスタAMPは、基本的に、上述の第1実施形態の増幅トランジスタAMP1,AMP2と同様の構成になっている。
【0149】
増幅トランジスタAMPは、素子形成領域21eの上面部21e
1及び2つの側面部21e
2,21e
3の各々に亘って設けられたゲート絶縁膜51と、このゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21eに設けられたゲート電極53とを有する。
また、増幅トランジスタAMPは、ゲート電極53のゲート長方向(Y方向)の両側の素子形成領域21e(半導体層21)に設けられた一対の主電極領域54a及び54b(
図6B参照)を更に有する。
また、増幅トランジスタAMPは、ゲート電極53の直下であって、一対の主電極領域54aと54bとの間の素子形成領域21eに設けられたチャネル形成部を有する。
【0150】
図14に示すように、増幅トランジスタAMPのゲート電極53は、平面視でX方向に延伸して光電変換セル22Bと重畳し、かつ分離領域としてのセル間分離領域31と重畳している。そして、増幅トランジスタAMPのゲート電極53は、ゲート電極53のゲート幅方向(X方向)において、ゲート絶縁膜51を介在して素子形成領域21eの上面部21e
1及び2つの側面部21e
2,21e
3と隣り合っている(向かい合っている)。そして、この第2実施形態のゲート電極53は、これに限定されないが、例えば、素子形成領域21eの上面部21e
1の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた頭部53aと、この頭部53aから素子形成領域21e側に突出し、かつ側面部21e
2の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
1と、この頭部53aから素子形成領域21e側に突出し、かつ側面部21e
3の外側にゲート絶縁膜51を介在して設けられた脚部53b
2と、を有する。
【0151】
ゲート電極53の脚部53b1は、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部45の中に設けられている。そして、脚部53b1及び掘り込み部45の各々は、平面視でセル間分離領域31と重畳している。
【0152】
また、ゲート電極53の脚部53b2も、半導体層21の第1の面部S1側から第2の面部S2側に延伸する掘り込み部46の中に設けられている。そして、脚部53b2及び掘り込み部46の各々は、平面視でセル間分離領域31と重畳している。
【0153】
なお、画素トランジスタとしての選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRST、及び切替トランジスタFDGは、基本的に増幅トランジスタAMPと同様の構成になっているので、これらの画素トランジスタ(SEL,RST,FDG)の具体的な構成の説明は省略する。
【0154】
この第2実施形態の増幅トランジスタAMPにおいても、上述の増幅トランジスタAMP1と同様に、素子形成領域21eの上面部21e1でのゲート電極53のゲート幅Wgを拡張することができると共に、素子形成領域21eの側面部21e2及び21e3のゲート電極53のゲート幅Wgを深さ方向(Z方向)に拡張することができる。
【0155】
したがって、この第2実施形態に係る固体撮像装置1Bにおいても、画素トランジスタとしての増幅トランジスタ(電界効果トランジスタ)AMPの相互コンダクタンスの向上を図ることができる。
【0156】
このゲート電極53のゲート幅Wgの拡張は、他の画素トランジスタ(SEL,RST,FDG)においても実施することができる。即ち、画素回路含まれる画素トランジスタ(AMP,SEL,RST,FDG)の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができる。
【0157】
また、画素回路に含まれる画素トランジスタ(AMP,SEL,RST,FDG)の相互コンダクタンス(gm)の向上を図ることができるため、画素回路の高速化を図ることができ、ひいては固体撮像装置1Bの画質性能の向上を図ることができる。
なお、上述の第2実施形態では、脚部として、2つの脚部53b1,53b2を設けた場合について説明したが、2つの脚部53b1,53b2の何れか一方を省略してもよい。
また、上述の実施形態では、画素回路に含まれる複数の画素トランジスタを本技術の「電界効果トランジスタ」で構成した場合について説明したが、画素トランジスタに含まれる複数の画素トランジスタのうちの少なくとも1つを本技術の「電界効果トランジスタ」で構成してもよい。
【0158】
〔第3実施形態〕
≪電子機器への応用例≫
本技術(本開示に係る技術)は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置、撮像機能を備えた携帯電話機、又は、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0159】
図15は、本技術の第3実施形態に係る電子機器(例えば、カメラ)の概略構成を示す図である。
【0160】
図15に示すように、電子機器100は、固体撮像装置101と、光学レンズ102と、シャッタ装置103と、駆動回路104と、信号処理回路105とを備えている。この電子機器100は、固体撮像装置101として、本技術の第1実施形態に係る固体撮像装置1Aを電子機器(例えばカメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0161】
光学レンズ102は、被写体からの像光(入射光106)を固体撮像装置101の撮像面上に結像させる。これにより、固体撮像装置101内に一定期間にわたって信号電荷が蓄積される。シャッタ装置103は、固体撮像装置101への光照射期間及び遮光期間を制御する。駆動回路104は、固体撮像装置101の転送動作及びシャッタ装置103のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路104から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置101の信号転送を行なう。信号処理回路105は、固体撮像装置101から出力される信号(画素信号(画像信号)に各種信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、或いはモニタに出力される。
【0162】
このような構成により、固体撮像装置101において画素トランジスタの相互コンダクタンスの向上が図れているため、第3実施形態の電子機器200の画質性能の向上を図ることができる。
【0163】
なお、上述の実施形態の固体撮像装置を適用できる電子機器100としては、カメラに限られるものではなく、他の電子機器にも適用することができる。例えば、携帯電話機やタブレット端末等のモバイル機器向けカメラモジュール等の撮像装置に適用してもよい。
【0164】
また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置の他、ToF(Time of Flight)センサと呼称され、距離を測定する測定する測距センサなども含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射されて返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサにおいても、上述した画素トランジスタを採用することができる。
【0165】
なお、本技術は、以下のような構成としてもよい。
(1)
厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、
前記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、
前記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、
を備え、
前記光電変換セルは、前記半導体層の前記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、
前記電界効果トランジスタは、平面視で前記光電変換セル及び前記分離領域と重畳するゲート電極を有し、
前記ゲート電極が、前記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して前記上面部及び前記側面部と隣り合っている、光検出装置。
(2)
前記分離領域は、前記光電変換セルの内部を区画する第1分離領域である、上記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記光電変換セルは、前記第1分離領域で区画された第1及び第2光電変換領域を有し、
前記第1及び第2光電変換領域の各々は、前記光電変換部及び前記電界効果トランジスタと、前記上面部及び側面部とを有し、
前記第1及び第2光電変換領域の各々の前記電界効果トランジスタは、各々の前記ゲート電極が一体化されている、上記(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記ゲート電極は、前記上面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた頭部と、前記頭部から前記半導体層側に突出し、かつ前記側面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた脚部と、を含み、
前記脚部は、前記第1光電変換領域の前記電界効果トランジスタと前記第2光電変換領域の前記電界効果トランジスタとで共有されている、上記(3)に記載の光検出装置。
(5)
前記脚部は、前記半導体層の前記第1の面部側の掘り込み部の中に設けられている、上記(4)に記載の光検出装置。
(6)
前記分離領域は、前記光電変換セルの周囲を区画する第2分離領域である、上記(1)に記載の光検出装置。
(7)
平面視で前記第2分離領域を介して互いに隣り合う2つの前記光電変換セルの各々の前記電界効果トランジスタは、各々の前記ゲート電極が一体化されている、上記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記ゲート電極は、前記上面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた頭部と、前記頭部から前記半導体層側に突出し、かつ前記側面部の外側に前記ゲート絶縁膜を介在して設けられた脚部と、を含み、
前記脚部は、2つの前記光電変換セルで共有されている、上記(7)に記載の光検出装置。
(9)
前記脚部は、前記半導体層の前記第1の面部側の掘り込み部の中に設けられている、上記(8)に記載の光検出装置。
(10)
前記電界効果トランジスタは、前記ゲート電極のゲート長方向の両側の前記半導体層に設けられた一対の主電極領域を更に有する、上記(1)から(9)の何れかに記載の光検出装置。
(11)
前記光電変換部で光電変換された信号電荷を画素信号に変換して出力する画素回路を更に備え、
前記画素回路に含まれる複数の画素トランジスタのうちの少なくとも1つが、前記電界効果トランジスタである、上記(1)から(10)の何れかに記載の光検出装置。
(12)
前記画素回路は、複数の前記光電変換セルで共有されている、上記(11)に記載の光検出装置。
(13)
光検出装置と、
被写体からの像光を前記光検出装置の撮像面上に結像させる光学レンズと、
前記光検出装置から出力される信号に信号処理を行う信号処理回路と、
を備え、
前記光検出装置は、
厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部及び第2の面部を有する半導体層と、
前記半導体層の厚さ方向に延伸する分離領域と、
前記半導体層に設けられ、かつ光電変換部及び電界効果トランジスタを有する光電変換セルと、
を備え、
前記光電変換セルは、前記半導体層の前記第1の面部側に設けられた上面部及び側面部を有し、
前記電界効果トランジスタは、平面視で前記光電変換セル及び前記分離領域と重畳するゲート電極を有し、
前記ゲート電極が、前記ゲート電極のゲート幅方向において、ゲート絶縁膜を介在して前記上面部及び前記側面部と隣り合っている、光検出装置。
【0166】
本技術の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本技術が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本技術の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0167】
1A 固体撮像装置
2 半導体チップ
2A 画素アレイ部
2B 周辺部
3,3a,3b,3c,3d 画素
4 垂直駆動回路
5 カラム信号処理回路
6 水平駆動回路
7 出力回路
8 制御回路
10 画素駆動線
12 水平信号線
13 ロジック回路
14 ボンディングパッド
15 画素ブロック
16 画素回路(読出し回路)
21 半導体層
21a,21b,21c,21d,21e,21f 素子形成領域(アクティブ領域)
21a1,21b1,21e1 上面部
21a2,21a3,21b2,21b3,21e2,21e3 側面部
22A,22B 光電変換セル
23B 光電変換領域
23L 第1光電変換領域
23R 第2光電変換領域
24 p型の半導体領域
25 n型の半導体領域
30 分離領域
31 セル間分離領域(第1分離領域)
32 セル内分離領域(第2分離領域)
33a,33b 掘り込み部
34 絶縁膜
35 導電材
41 素子間分離領域
42 浅溝部
43 絶縁膜
51 ゲート絶縁膜
52 導電膜
53 ゲート電極
53a 頭部
53b1,53b2 脚部
AMP,AMP1,AMP2 増幅トランジスタ
FD,FD1,FD2 電荷保持部(フローティングディフュージョン)
FDG,FDG1,FDG2 切替トランジスタ
PD,PD1,PD2 光電変換部
RST,RST1,RST2 リセットトランジスタ
SEL,SEL1,SEL2 選択トランジスタ
RT,TR1,TR2 転送トランジスタ