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特開2024-146144電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法
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  • 特開-電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146144
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241004BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/10
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058875
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山添 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】小松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
(72)【発明者】
【氏名】上城 貴嗣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】本開示は、電動作業機械のバッテリの劣化抑制と長寿命化が可能な運用支援装置を提供する。
【解決手段】複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々を複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々に割り当てる運用支援装置1である。運用支援装置1は、各々の作業現場WSの作業負荷の情報を格納する情報格納部11と、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態を取得する状態取得部12と、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態を算出する状態予測部13と、運用計画部14と、を備える。運用計画部14は、情報格納部11によって格納された情報に基づいて作業負荷が高い順に作業現場WSを選択するとともに、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から予測劣化状態に基づいて特定の電動作業機械EWMを割り当てる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電動作業機械を複数の作業現場に割り当てるサーバを備える運用支援装置であって、
前記サーバは、
複数の前記作業現場の作業負荷の情報をそれぞれ格納する情報格納部と、
複数の前記電動作業機械にそれぞれ搭載されたバッテリの劣化状態を取得する状態取得部と、
複数の前記電動作業機械のそれぞれが複数の前記作業現場のいずれかで作業した場合の前記バッテリの予測劣化状態を算出する状態予測部と、
前記情報格納部に格納された前記作業負荷の情報に基づいて前記作業負荷が高い順に作業現場を選択し、選択した作業現場の順に、複数の前記電動作業機械の中から前記状態取得部で取得した前記バッテリの劣化状態と前記状態予測部で算出した前記バッテリの予測劣化状態とに基づく特定の電動作業機械を割り当てる運用計画部と、
を備えることを特徴とする電動作業機械の運用支援装置。
【請求項2】
前記運用計画部は、前記バッテリの劣化状態と前記バッテリの予測劣化状態とに基づいて複数の前記電動作業機械がそれぞれ複数の前記作業現場で作業した場合のバッテリ劣化量を算出し、前記特定の電動作業機械として、複数の前記電動作業機械の中から前記バッテリ劣化量が最小の電動作業機械を選択することを特徴とする請求項1に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項3】
前記運用計画部は、複数の前記電動作業機械の中に前記バッテリの予測劣化状態が所定値以上の電動作業機械が存在する場合には、前記特定の電動作業機械として、複数の前記電動作業機械の中から前記バッテリの予測劣化状態が所定値以上で前記バッテリ劣化量が最小となる電動作業機械を選択することを特徴とする請求項2に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項4】
前記運用計画部は、複数の前記電動作業機械の中に前記バッテリの予測劣化状態が所定値以上の電動作業機械が存在しない場合には、前記特定の電動作業機械として、複数の前記電動作業機械の中から前記バッテリの予測劣化状態が最大の電動作業機械を選択することを特徴とする請求項2に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項5】
前記運用計画部は、複数の前記電動作業機械の中に前記バッテリの予測劣化状態が所定値以上の電動作業機械が存在しない場合には、前記特定の電動作業機械として、複数の前記電動作業機械の中から前記バッテリの予測劣化状態が最大の電動作業機械を選択することを特徴とする請求項3に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項6】
前記運用計画部は、複数の前記電動作業機械の中に所定の評価指標を満たす電動作業機械が存在する場合には、前記特定の電動作業機械として、複数の前記電動作業機械の中から前記評価指標を満たし前記バッテリの予測劣化状態が最大となる電動作業機械を選択することを特徴とする請求項1に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項7】
前記運用計画部は、複数の前記電動作業機械の中で、所定の中古市場評価指標を満たし、かつユーザによって売却可と判定された電動作業機械を、売却対象として記録することを特徴とする請求項1に記載の電動作業機械の運用支援装置。
【請求項8】
複数の電動作業機械を複数の作業現場に割り当てる運用支援方法であって、
複数の前記作業現場の作業負荷の情報をそれぞれ格納する情報格納工程と、
複数の前記電動作業機械にそれぞれ搭載されたバッテリの劣化状態を取得する状態取得工程と、
複数の前記電動作業機械のそれぞれが複数の前記作業現場のいずれかで作業した場合の前記バッテリの予測劣化状態を算出する状態予測工程と、
前記情報格納工程に格納された前記作業負荷の情報に基づいて前記作業負荷が高い順に作業現場を選択し、選択した作業現場の順に、複数の前記電動作業機械の中から前記状態取得工程で取得した前記バッテリの劣化状態と前記状態予測工程で算出した前記バッテリの予測劣化状態とに基づいて特定の前記電動作業機械を割り当てる運用計画作成工程と、
を有することを特徴とする電動作業機械の運用支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からバッテリ駆動される電動モータを搭載した建設機械の電力供給システムに関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された建設機械の電力供給システムは、複数の被牽引車と、少なくとも1台の建設機械と、充電設備と、少なくとも1台の運搬車両と、コンピュータとを備える(第0009段落および請求項1)。
【0003】
上記複数の被牽引車は、それぞれにバッテリが搭載されている。上記少なくとも1台の建設機械は、複数の被牽引車の1台を牽引し、その被牽引車のバッテリの電力で駆動される電動機および当該電動機で駆動される油圧ポンプを有する。上記充電設備は、複数の被牽引車に搭載されたバッテリを充電するための設備である。
【0004】
上記少なくとも1台の運搬車両は、複数の被牽引車のうち充電設備で充電された充電済み被牽引車を少なくとも1台の建設機械のいずれかの近辺まで牽引し、その充電済み被牽引車に代えてその建設機械に牽引されていた被牽引車を充電設備まで牽引する。
【0005】
上記コンピュータは、少なくとも1台の建設機械の所定期間における作業量計画に基づいて、その所定期間においてその建設機械が交換する被牽引車の交換回数と各交換時刻を予測する。また、上記コンピュータは、さらに、各交換時刻に間に合うように、少なくとも1台の運搬車両が建設機械の近辺に充電済み被牽引車を牽引して到着する時刻を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-084633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の建設機械の電力供給システムによれば、建設機械の作業量計画に基づいたバッテリの交換時刻が推定できるので、建設機械の作業効率とバッテリの利用効率を向上できる(特許文献1、第0010段落)。しかしながら、この従来のシステムは、各々の建設機械のバッテリの劣化の進行のばらつきを考慮していないため、バッテリの劣化抑制と長寿命化の点で改善の余地がある。
【0008】
本開示は、電動作業機械のバッテリの劣化抑制と長寿命化が可能な電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、複数の電動作業機械を複数の作業現場に割り当てるサーバを備える運用支援装置であって、前記サーバは、複数の前記作業現場の作業負荷の情報をそれぞれ格納する情報格納部と、複数の前記電動作業機械にそれぞれ搭載されたバッテリの劣化状態を取得する状態取得部と、複数の前記電動作業機械のそれぞれが複数の前記作業現場のいずれかで作業した場合の前記バッテリの予測劣化状態を算出する状態予測部と、前記情報格納部に格納された前記作業負荷の情報に基づいて前記作業負荷が高い順に作業現場を選択し、選択した作業現場の順に、複数の前記電動作業機械の中から前記状態取得部で取得した前記バッテリの劣化状態と前記状態予測部で算出した前記バッテリの予測劣化状態とに基づく特定の電動作業機械を割り当てる運用計画部と、を備えることを特徴とする電動作業機械の運用支援装置である。
【発明の効果】
【0010】
電動作業機械のバッテリの劣化抑制と長寿命化が可能な電動作業機械の運用支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示に係る運用支援装置の実施形態1を示す概略図。
図1B図1Aに示す運用支援装置の動作の一例を示すフロー図。
図2】本開示に係る運転支援装置の実施形態2を説明するフロー図。
図3】本開示に係る運転支援装置の実施形態3を説明するフロー図。
図4】本開示に係る運転支援装置の実施形態4を説明するフロー図。
図5】本開示に係る運転支援装置の実施形態5を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態を説明する。
【0013】
[実施形態1]
図1Aは、本開示に係る電動作業機械の運用支援装置の実施形態1を示す概略図である。本実施形態の運用支援装置1は、たとえば、図示を省略する中央処理装置(CPU)および記憶装置を備えたコンピュータによって構成され、インターネットなどのネットワークNに接続されたサーバである。運用支援装置1は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々を、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々に割り当てる装置である。
【0014】
各々の電動作業機械EWMは、たとえば、バッテリBが搭載され、バッテリBに蓄えられた電力によってモータを回転させて駆動力を発生させる。複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnは、たとえば、電動式油圧ショベル、電動式ダンプトラック、または、電動式マテリアルハンドリング機の少なくとも一つを含む。運用支援装置1によって各々の作業現場WSに割り当てられる前の複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnは、たとえば、機械ステーションMSで待機している。
【0015】
各々の電動作業機械EWMは、たとえば、無線通信装置または衛星通信装置などの通信装置(図示省略)と、バッテリBの劣化状態を算出するコントローラ(図示省略)と、を備えている。バッテリBの劣化状態としては、たとえば、バッテリBの初期の満充電容量に対する劣化時の満充電容量の割合である「State of Health:SOH」を使用することができる。バッテリBの劣化状態SOHは、たとえば、初期の満充電容量を100とする百分率で表され、バッテリBが劣化すると低下する。なお、劣化状態SOHは、たとえば、電動作業機械EWMの稼働時のバッテリBの充放電容量や、充電装置によってバッテリBに充電された充電容量に基づいて算出してもよい。
【0016】
各々の電動作業機械EWMに搭載された通信装置は、たとえば、無線基地局WBSを含む無線通信回線RCL、または、通信衛星CSおよび衛星基地局SBSを含む衛星通信回線SCLと、ネットワークNと、を介して運用支援装置1と情報通信可能に接続される。各々の電動作業機械EWMに搭載されたコントローラは、たとえば、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを、各々の電動作業機械EWMに搭載された通信装置を介して運用支援装置1へ送信する。
【0017】
運用支援装置1は、たとえば、情報格納部11と、状態取得部12と、状態予測部13と、運用計画部14と、を備えている。これら運用支援装置1の各部は、たとえば、運用支援装置1のCPUによって、運用支援装置1の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで実現される、運用支援装置1の各機能を表している。以下、図1Bを参照して、本実施形態の運用支援装置1の動作および本実施形態の電動作業機械EWMの運用支援方法OSMを説明する。
【0018】
図1Bは、図1Aに示す運用支援装置1の動作を示すフロー図であり、本実施形態の運用支援方法OSMの各工程を説明するフロー図である。本実施形態の運用支援方法OSMは、たとえば、運用支援装置1を使用して、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々を、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々に割り当てる方法である。
【0019】
運用支援装置1は、図1Bに示す運用支援方法OSMを開始すると、まず、情報格納工程S1を実行する。この工程S1において、情報格納部11は、たとえば、各々の作業現場WSの作業負荷の情報を格納する。作業負荷の情報は、たとえば、電動作業機械EWMのユーザが所有する情報端末(図示省略)からネットワークNを介して運用支援装置1の入出力部へ入力され、情報格納部11によって運用支援装置1の記憶装置に格納される。情報格納部11によって格納される各々の作業現場WSの作業負荷の情報の一例を、以下の表1Aに示す。
【0020】
【表1A】
【0021】
表1Aに示す例において、作業負荷の情報は、たとえば、作業日数、電動作業機械EWMの稼働時(日中)の平均気温、電動作業機械EWMの非稼働時(夜間)の平均気温、一日当たりの充放電量、放電電力、および充電電力を含む。また、作業負荷の情報は、たとえば、放電電力および充電電力に替えて、放電電流および充電電流を含んでもよい。次に、運用支援装置1は、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得する状態取得工程S2を実行する。
【0022】
この工程S2において、運用支援装置1の状態取得部12は、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得する。各々の電動作業機械EWMのコントローラは、たとえば、所定の周期で各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得し、通信装置、無線通信回線RCLまたは衛星通信回線SCL、およびネットワークNを介して運用支援装置1へ送信する。状態取得部12は、各々の電動作業機械EWMから送信された各々の電動作業機械EWMのバッテリBの劣化状態SOHを、運用支援装置1の入出力部を介して取得する。
【0023】
次に、運用支援装置1は、各々の電動作業機械EWMの作業可否を予測する作業可否予測工程S3を実行する。この工程S3において、状態予測部13は、たとえば、情報格納部11によって格納された各々の作業現場WSの作業負荷の情報に基づいて、各々の作業現場WSにおける各々の電動作業機械EWMの作業可否を予測する。
【0024】
より具体的には、状態予測部13は、たとえば、情報格納部11によって記憶装置に格納された各々の電動作業機械EWMのバッテリBの仕様を取得し、各々の作業現場WSにおいて要求される一日当たりの充放電量や放電電力と比較する。その結果、ある電動作業機械EWMのバッテリBが、ある作業現場WSで要求される一日当たりの充放電量や放電電力を満足することができない場合に、その電動作業機械EWMがその作業現場WSに対応不可であることを記録する。
【0025】
次に、運用支援装置1は、バッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する状態予測工程S4を実行する。この工程S4において、運用支援装置1の状態予測部13は、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する。予測劣化状態ESOHは、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで所定の作業を行った後の各々の電動作業機械EWMのバッテリBの劣化状態SOHの予測値である。
【0026】
状態予測部13は、たとえば、上記表1Aに示すような作業負荷のすべてまたは一部の項目を劣化要因として各々の電動作業機械EWMのバッテリBの予測劣化状態ESOHを予測する。より具体的には、状態予測部13は、たとえば、以下の式(1)から(3)を用いて予測劣化状態ESOHを算出する。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】
上記式(1)において、a_stはバッテリBの保存劣化速度[/d0.5]である(d:日)。また、式(1)の右辺のT_stは保存絶対温度[K]であり、SOC_stは保存SOC(0≦SOC_st<1)であり、a0からa2は係数であり、a3は定数である。
【0031】
また、上記式(2)において、a_cycはバッテリBの劣化速度[/d]である。また、式(2)の右辺のT_opは稼働時平均温度[℃]であり、D_dayは一日放電量であり、Dpは放電電力であり、Cpは充電電力である。また、Q_batはバッテリBの電池容量であり、a4からa7は係数であり、a8は定数である。
【0032】
また、上記式(3)において、ESOHは予測劣化状態[%]である。また、式(3)の右辺のa_stは、上記式(1)で求めたバッテリBの保存劣化速度[/d0.5]であり、a_cycは、上記式(2)で求めたバッテリBの劣化速度[/day]であり、dは、電動作業機械EWMの稼働日数である。
【0033】
すなわち、予測劣化状態ESOHは、バッテリBを充放電させない保存時または休止時の劣化の速度である保存劣化速度a_stと、バッテリBの充放電によるサイクル劣化の速度である劣化速度a_cycと、に基づいて算出される。なお、式(1)および(2)の係数a0,a1,a3からa7、ならびに定数a3およびa8は、バッテリBによって異なる。そのため、個々のバッテリBのこれらの係数および定数は、たとえば、事前に運用支援装置1の情報格納部11によって記憶装置に格納しておく。
【0034】
次に、運用支援装置1は、各々の作業現場WSに電動作業機械EWMを割り当てる運用計画作成工程S5を実行する。この工程S5において、運用支援装置1の運用計画部14は、まず、記憶装置に格納された各々の作業現場WSの作業負荷の情報(表1A参照)に基づいて、作業負荷が高い順に作業現場WSを選択する。
【0035】
この工程S5において、運用計画部14は、さらに、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWMの中から予測劣化状態ESOHに基づく特定の電動作業機械EWMを割り当てる。以下の表1Bを参照して、運用計画部14が各々の作業現場WSに各々の電動作業機械EWMを割り当てる手順の一例を説明する。
【0036】
【表1B】
【0037】
表1Bにおいて、機械No.は、たとえば、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々の識別番号である。電池製造者、電池容量、およびSOHは、たとえば、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの製造元、電池容量、および最新の劣化状態SOHである。
【0038】
ESOHは、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで所定の作業を行った後のバッテリBの予測劣化状態である。予測劣化状態ESOHは、左から右へ作業負荷が高い順に選択された複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々と、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々との組合せに対し、それぞれ算出される。
【0039】
ΔSOHは、各々の電動作業機械EWMのバッテリBの現在の劣化状態SOHと予測劣化状態ESOHとに基づいて算出されるバッテリ劣化量である。具体的には、バッテリ劣化量ΔSOHは、各々の電動作業機械EWMのバッテリBの現在の劣化状態SOHから、各々電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合の予測劣化状態ESOHへの、劣化状態SOHの変化量である。
【0040】
すなわち、運用計画部14は、バッテリBの劣化状態SOHと予測劣化状態ESOHとに基づいて各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリ劣化量ΔSOHを算出する。さらに、運用計画部14は、たとえば、最も作業負荷が高い作業現場WS1を選択し、その作業現場WS1に対し、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中からバッテリ劣化量ΔSOHが-5[%]で劣化状態SOHの減少幅が最小の電動作業機械EWM2を割り当てる。
【0041】
なお、表1Bに示す例において、機械No.3の電動作業機械EWM3は、前述の電動作業機械EWMの作業可否を予測する工程S3において、作業現場WS1における作業に対応不可(NA)であることが予測されている。この場合、運用計画部14は、作業現場WS1に電動作業機械EWM3を割り当てない。
【0042】
工程S5の終了後、運用計画部14は、たとえば、すべての電動作業機械EWMの作業現場WSへの割り当てが完了したか否かを判定する工程S6を実行する。この工程S6において、運用計画部14は、少なくとも一台の電動作業機械EWMの割り当てが完了していない(NO)と判定すると、各々の作業現場WSに各々の電動作業機械EWMを割り当てる工程S5を繰り返す。
【0043】
運用計画部14は、2回目の工程S5において、二番目に作業負荷が高い作業現場WS2を選択する。運用計画部14は、選択した作業現場WS2に対し、作業現場WS1に割り当てた電動作業機械EWM2を除く複数の電動作業機械EWM1,EWM3,…,EWMnの中からバッテリ劣化量ΔSOHが-5[%]で劣化状態SOHの減少幅が最小の電動作業機械EWMnを割り当てる。
【0044】
同様に、3回目の工程S5では、三番目に作業負荷が高い作業現場WS3に電動作業機械EWM1が割り当てられ、4回目の工程S5では、四番目に作業負荷が高い作業現場WS4に電動作業機械EWM3が割り当てられる。その後、運用計画部14は、工程S6において、すべて作業現場WSに対する電動作業機械EWMの割り当てが完了したこと(YES)を判定すると、図1Bに示す運用支援方法OSMを終了する。
【0045】
運用計画部14は、たとえば、各々の電動作業機械EWMに割り当てた各々の作業現場WSの情報を含む電動作業機械EWMの運用計画を作成して、電動作業機械EWMのユーザの情報端末に対し、ネットワークNを介して送信する。また、運用計画部14は、たとえば、各々の電動作業機械EWMに割り当てた各々の作業現場WSの情報を、各々の電動作業機械EWMに対し、ネットワークNおよび衛星通信回線SCLまたは無線通信回線RCLを介して送信する。
【0046】
以下、本実施形態の電動作業機械EWMの運用支援装置1および運用支援方法OSMの作用を説明する。
【0047】
本実施形態の運用支援装置1は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnを複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnに割り当てるサーバを備える装置である。サーバは、情報格納部11と、状態取得部12と、状態予測部13と、運用計画部14とを備える。情報格納部11は、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの作業負荷の情報をそれぞれ格納する。状態取得部12は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnにそれぞれ搭載されたバッテリBの劣化状態を取得する。状態予測部13は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnのそれぞれが複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnのいずれかで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する。運用計画部14は、情報格納部11に格納された作業負荷の情報に基づいて作業負荷が高い順に作業現場WSを選択し、選択した作業現場WSの順に、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から状態取得部12で取得したバッテリBの劣化状態と状態予測部13で算出したバッテリBの予測劣化状態ESOHとに基づく特定の電動作業機械EWMを割り当てる。
【0048】
換言すると、本実施形態の運用支援装置1は、前述のように、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々を複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々に割り当てるサーバである。運用支援装置1は、情報格納部11と、状態取得部12と、状態予測部13と、運用計画部14とを備える。情報格納部11は、各々の作業現場WSの作業負荷の情報を格納する。状態取得部12は、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得する。状態予測部13は、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する。運用計画部14は、情報格納部11によって格納された情報に基づいて作業負荷が高い順に作業現場WSを選択するとともに、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWMの中から予測劣化状態ESOHに基づく特定の作業現場WSを割り当てる。
【0049】
このような構成により、本実施形態の運用支援装置1によれば、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnに対し、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHに基づいて、作業負荷が高い作業現場WSから作業負荷が低い作業現場WSへ、順次、適切な電動作業機械EWMを割り当てることができる。これにより、各々の電動作業機械EWMにおいて、バッテリBの劣化状態SOHが極端に低下することを防止でき、バッテリBの劣化抑制と長寿命化を可能にすることができる。
【0050】
また、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、バッテリBの劣化状態SOHとバッテリBの予測劣化状態ESOHとに基づいて、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnがそれぞれ複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnで作業した場合のバッテリ劣化量ΔSOHを算出する。また、運用計画部14は、特定の電動作業機械WSとして、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中からバッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWMを選択する。
【0051】
換言すると、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、たとえば、表1Bに示すように、バッテリBの劣化状態SOHと予測劣化状態ESOHとに基づいて、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリ劣化量ΔSOHを算出する。さらに、運用計画部14は、作業負荷が高い順に選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中からバッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWMを割り当てる。
【0052】
このような構成により、本実施形態の運用支援装置1によれば、各々の作業現場WSで各々の電動作業機械EWMが作業した後のバッテリBの劣化状態SOHの低下を最小限にすることができる。その結果、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnに搭載された複数のバッテリBの劣化を全体的に抑制し、これらのバッテリBを全体的に長寿命化することができる。
【0053】
また、本実施形態の運用支援方法OSMは、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnを複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnに割り当てる方法である。本実施形態の運用支援方法OSMは、前述のように、情報格納工程S1と、状態取得工程S2と、状態予測工程S4と、運用計画作成工程S5と、を有する。情報格納工程S1は、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの作業負荷の情報をそれぞれ格納する工程である。状態取得工程S2は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnにそれぞれ搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得する工程である。状態予測工程S4は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnのそれぞれが複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnのいずれかで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する工程である。運用計画作成工程S5は、情報格納工程S1に格納された作業負荷の情報に基づいて、作業負荷が高い順に作業現場WSを選択し、選択した作業現場WSの順に、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から状態取得工程S2で取得したバッテリBの劣化状態SOHと状態予測工程S4で算出したバッテリBの予測劣化状態ESOHとに基づいて、特定の電動作業機械EWMを割り当てる工程である。
【0054】
換言すると、本実施形態の運用支援方法OSMは、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々を複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々に割り当てる方法である。本実施形態の運用支援方法OSMは、前述のように、情報格納工程S1と、状態取得工程S2と、状態予測工程S4と、運用計画作成工程S5と、を有する。情報格納工程S1は、各々の作業現場WSの作業負荷の情報を格納する工程である。状態取得工程S2は、各々の電動作業機械EWMに搭載されたバッテリBの劣化状態SOHを取得する工程である。状態予測工程S4は、各々の電動作業機械EWMが各々の作業現場WSで作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHを算出する工程である。運用計画作成工程S5は、情報格納工程S1で格納された情報に基づいて作業負荷が高い順に作業現場WSを選択するとともに、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中からバッテリBの予測劣化状態ESOHに基づいて特定の電動作業機械EWMを割り当てる工程である。
【0055】
このような構成により、本実施形態の運用支援方法OSMによれば、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnに対し、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHに基づいて、作業負荷が高い作業現場WSから作業負荷が低い作業現場WSへ、順次、適切な電動作業機械EWMを割り当てることができる。これにより、各々の電動作業機械EWMにおいて、バッテリBの劣化状態SOHが極端に低下することを防止でき、バッテリBの劣化抑制と長寿命化を可能にすることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、電動作業機械EWMのバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能な、電動作業機械の運用支援装置1および運用支援方法OSMを提供することができる。
【0057】
[実施形態2]
以下、図1A図2、および表2を参照して、本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態2を説明する。図2は、本実施形態の運用支援装置1の動作を説明するフロー図であり、本実施形態の運用支援方法OSM2の各工程を説明するフロー図である。
【0058】
本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM2は、運用計画作成工程S5aにおける運用計画部14の動作が、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと異なっている。本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM2のその他の点は、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施形態の運用支援装置1は、図2に示す運用支援方法OSM2を開始すると、前述の運用支援方法OSMと同様に情報格納工程S1から状態予測工程S4までを実行する。これにより、表2に示すように、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々が、複数の作業現場WS1,WS2,…,WSnの各々で作業した場合の予測劣化状態ESOHおよびバッテリ劣化量ΔSOHが算出される。
【0060】
【表2】
【0061】
その後、運用支援装置1の運用計画部14は、運用計画作成工程S5aを実行する。本実施形態の運用支援方法OSM2において、運用計画作成工程S5aは、たとえば、以下の工程S51aから工程S55aまでを含んでいる。工程S51aにおいて、運用計画部14は、選択した作業現場WSで複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々が作業した場合に、バッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上になる電動作業機械EWMが存在するか否かを判定する。
【0062】
ここで、運用計画部14は、工程S51aの判定に用いる所定値を、たとえば、80%に設定する。そして、運用計画部14は、工程S51において、表2に示すように、最初に選択した作業現場WS1で複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々が作業した場合に、予測劣化状態ESOHが所定値以上になる電動作業機械EWMが存在するか否かを判定する。
【0063】
作業現場WS1では、機械No.1,4の電動作業機械EWM1,EWM4のバッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値である80%以上である。したがって、運用計画部14は、工程S51aにおいて、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが存在すること(YES)を判定し、次の工程S52aを実行する。
【0064】
この工程S52aにおいて、運用計画部14は、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが複数であるか否かを判定する。作業現場WS1では、機械No.1,4の電動作業機械EWM1,EWM4のバッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値である80%以上である。したがって、運用計画部14は、この工程S52aにおいて、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが複数であること(YES)を判定し、次の工程S53aを実行する。
【0065】
この工程S53aにおいて、運用計画部14は、選択された作業現場WS1に対し、各々の電動作業機械EWMがその作業現場WS1で作業した場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHに基づいて、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、特定の電動作業機械EWMを割り当てる。より具体的には、たとえば、表2に示すように、各々の電動作業機械EWMのバッテリBの劣化状態SOHと予測劣化状態ESOHとに基づいて算出したバッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWM4を、作業現場WS1に割り当てる。
【0066】
なお、この工程S53aにおいて、運用計画部14は、前述の実施形態1と同様に、工程S3で作業現場WS1での作業に対応不可(NA)と判定された作業現場WS3を、作業現場WS1に割り当てる複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnから除外する。次に、運用計画部14は、前述の実施形態1と同様に工程S6を実行し、すべての作業現場WSに対する電動作業機械EWMの割り当てが完了していないこと(NO)を判定すると、前述の工程S51a以降を繰り返す。
【0067】
二回目の工程S51aにおいて、運用計画部14は、たとえば、表2に示すように、作業負荷が二番目に高い作業現場WS2を選択する。そして、すでに他の作業現場WS1に割り当てられた電動作業機械EWM4を除く複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中に、作業現場WS2で作業した場合の予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが存在するか否かを判定する。
【0068】
ここで、表2に示すように、たとえば、所定値を80%とすると、電動作業機械EWM4を除いて、電動作業機械EWM1のみが、作業現場WS2で作業した場合の予測劣化状態ESOHが所定値以上になっている。そのため、運用計画部14は、この二回目の工程S51aにおいて、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが存在すること(YES)を判定し、さらに二回目の工程S52aにおいて、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが複数ではないこと(NO)を判定する。
【0069】
この場合、運用計画部14は、選択した作業現場WS2に対し、予測劣化状態ESOHが所定値以上である電動作業機械EWM1を割り当てる工程S54aを実行し、さらに二回目の工程S6を実行し、すべての作業現場WSに対する電動作業機械EWMの割り当てが完了していないこと(NO)を判定して、三回目の工程S51aを実行する。この三回目の工程S51aにおいて、運用計画部14は、作業負荷が三番目に高い作業現場WS3を選択する。
【0070】
ここで、表2に示すように、たとえば、所定値を80%とすると、すでに他の作業現場WS1,WS2に割り当てられた電動作業機械EWM4,EWM1を除き、作業現場WS3で作業した後のバッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMは存在しない。そのため、この三回目の工程S51aにおいて、運用計画部14は、予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMは存在しないこと(NO)を判定して、次の工程S55aを実行する。
【0071】
この工程S55aにおいて、運用計画部14は、選択した作業現場WS3に対し、他の作業現場WS1,WS2に割り当てられた電動作業機械EWM4,EWM1を除く複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWM3を割り当てる。その後、運用計画部14は、工程S6および四回目の工程S51aを経て、二回目の工程S55aを実行する。
【0072】
この二回目の工程S55aにおいて、運用計画部14は、作業負荷が四番目に大きい作業現場WS4を選択する。また、運用計画部14は、選択した作業現場WS4に割り当てる電動作業機械EWMの候補から、他の作業現場WS1,WS2,WS3に割り当てられた電動作業機械EWM4,EWM1,EM3を除外する。さらに、運用計画部14は、選択した作業現場WS4に対し、複数の電動作業機械EWM2,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWMnを割り当てる。
【0073】
その後、工程S6において、運用計画部14が、すべての作業現場WSに対する電動作業機械EWMの割り当てが完了したこと(YES)を判定すると、運用支援装置1は、図2に示す運用支援方法OSM2を終了する。
【0074】
以上のように、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中にバッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが存在するか否かを判定する。さらに、運用計画部14は、その電動作業機械EWMが存在する場合に、特定の電動作業機械EWMとして、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上で、バッテリ劣化量ΔSOHが最小となる電動作業機械EWM4を選択する。
【0075】
換言すると、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中に予測劣化状態ESOHが所定値以上の複数の電動作業機械EWMが存在するか否かを判定する。さらに、運用計画部14は、その複数の電動作業機械EWMが存在する場合に、選択した作業現場WS1に対して、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、バッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上で、バッテリ劣化量ΔSOHが最小となる電動作業機械EWM4を割り当てる。
【0076】
このような構成により、本実施形態の運用支援装置1によれば、他の作業現場WS2,WS3,…,Wsnよりも作業負荷が高い作業現場WS1に対し、バッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上でかつバッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWM4を割り当てることができる。したがって、本実施形態の運用支援装置1によれば、比較的に予測劣化状態ESOHが低くバッテリ劣化量ΔSOHが大きいバッテリBが搭載された電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnを、比較的に作業負荷が高い作業現場WS1に割り当てる場合と比較して、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々のバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能になる。
【0077】
また、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中に予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWM1が一台だけ存在することを判定した場合に、選択した作業現場WS2に対して、その予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWM1を割り当てる。
【0078】
このような構成により、本実施形態の運用支援装置1によれば、他の作業現場WS3,WS4よりも作業負荷が高い作業現場WS2に対し、バッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWM1を割り当てることができる。したがって、本実施形態の運用支援装置1によれば、比較的に予測劣化状態ESOHが低いバッテリBが搭載された電動作業機械EWM2,EWM3,…EWMnを、比較的に作業負荷が高い作業現場WS2に割り当てる場合と比較して、複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの各々のバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能になる。
【0079】
また、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの中にバッテリBの予測劣化状態ESOHが所定値以上の電動作業機械EWMが存在しない場合には、特定の電動作業機械EWMとして、複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの中からバッテリBの予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWMを選択する。
【0080】
換言すると、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、選択した作業現場WS3に対して、複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの中から予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWM3を割り当てる。同様に、運用計画部14は、選択した作業現場WS4に対して、複数の電動作業機械EWM2,…,EWMnの中から予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWMnを割り当てる。
【0081】
このような構成により、本実施形態の運用支援装置1によれば、他の作業現場WS4よりも作業負荷が高い作業現場WS3に対し、バッテリBの予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWM3を割り当てることができる。同様に、他の作業現場WSよりも作業負荷が高い作業現場WS4に対し、バッテリBの予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWMnを割り当てることができる。したがって、本実施形態の運用支援装置1によれば、複数の電動作業機械EWM2,EWM3,…,EWMnの各々のバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能になる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、電動作業機械EWMのバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能な、電動作業機械の運用支援装置1および運用支援方法OSM2を提供することができる。
【0083】
[実施形態3]
以下、図1A図3、表3A、および表3Bを参照して、本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態3を説明する。図3は、本実施形態の運用支援装置1の動作を説明するフロー図であり、本実施形態の運用支援方法OSM3の各工程を説明するフロー図である。
【0084】
本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM3は、運用計画部14が売却査定工程S7を実行する点と、その後の運用計画作成工程S5bにおける運用計画部14の動作が、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと異なっている。本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM3のその他の点は、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態の運用支援装置1は、図3に示す運用支援方法OSM3を開始すると、前述の実施形態1と同様に、工程S1から工程S4までを実行する。その後、運用支援装置1は、売却査定工程S7を実行する。この工程S7は、たとえば、次の工程S71から工程S73までを含む。工程S71において、運用支援装置1の運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々が、中古市場の評価指標を満足するか否かを判定する。
【0086】
より具体的には、運用計画部14は、たとえば、以下の表3Aに示すように、情報格納部11によって記憶装置に格納された各々の電動作業機械EWMのバッテリBの劣化状態SOH、使用期間、および総稼働時間を取得する。また、運用計画部14は、たとえば、以下の表3Bに示すように、情報格納部11によって記憶装置に格納された複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々の中古市場評価指標を取得する。
【0087】
【表3A】
【0088】
【表3B】
【0089】
各々の電動作業機械EWMの中古市場評価指標は、たとえば、表3Bに示すように、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々に設定された使用期間、総稼働時間、およびバッテリBの劣化状態SOHの条件を含む。これらの条件は、たとえば、各々の電動作業機械EWMを中古市場で所定の価格以上の高価格で売却可能な任意の条件に設定することができる。
【0090】
なお、各々の電動作業機械EWMの劣化状態SOH、使用期間、総稼働時間、および中古市場評価指標は、時間の経過とともに変動するので、たとえば、定期的に更新することができる。また、たとえば、バッテリBの交換などによって電池製造者および電池容量などが変更された場合には、これらの情報も更新される。
【0091】
工程S71において、運用計画部14は、たとえば、工程S3で作業現場WS1に対応不可(NA)と判定された電動作業機械EWM3を判定対象から除外する。さらに、運用計画部14は、工程S71において、たとえば、表3Aに示す複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの各々のバッテリBの劣化状態SOH、使用期間、および総稼働時間と、表3Bに示す各々の電動作業機械EWMの条件とを比較する。
【0092】
表3Aに示す例では、電動作業機械EWM3を除いて、太枠で囲んだ機械No.1,2,4の電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4のバッテリBの劣化状態SOH、使用期間、および総稼働時間が、表3Bにおいて太枠で囲んだそれぞれの電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4の中古市場評価指標を満たしている。この場合、運用計画部14は、工程S71において、電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4が、中古市場の評価指標を満足すること(YES)を判定する。
【0093】
また、運用計画部14は、工程S71において、電動作業機械EWM3,EWMnが、中古市場の評価指標を満足しないこと(NO)を判定する。その後、運用計画部14は、中古市場の評価指標を満足する電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4の売却可否を判定する工程S72を実行する。
【0094】
より具体的には、工程S72において、運用計画部14は、たとえば、ユーザの端末に電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4の売却可否の問い合わせを送信し、ユーザの端末から売却可否の入力を受け付ける。運用計画部14は、工程S72において、たとえば、入力された売却可否に基づいて電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4の売却可否を判定する。ここで、工程S72において、運用計画部14が電動作業機械EWM1,EWM2,EWM4を売却不可(NO)と判定すると、一回目の工程S5bが実行される。
【0095】
この一回目の工程S5bにおいて、運用計画部14は、前述の実施形態1と同様に、最も作業負荷が高い作業現場WS1を選択する。さらに、運用計画部14は、表3Aに示すように、選択した作業現場WS1で作業した場合のバッテリBのバッテリ劣化量ΔSOHが最も少ない電動作業機械EWM2を、選択した作業現場WS1に割り当てる。その後、運用計画部14は、工程S6を経て二回目の工程S71を実行する。
【0096】
この二回目の工程S71において、運用計画部14は、電動作業機械EWM1,EWM4が、中古市場の評価指標を満足すること(YES)を判定し、二回目の工程S72を実行する。この二回目の工程S72において、運用計画部14が電動作業機械EWM1,EWM4を売却不可(NO)と判定すると、二回目の工程S5bが実行される。この二回目の工程S5bにおいて、運用計画部14は、二番目に作業負荷が高い作業現場WS2に対し、残された複数の電動作業機械EWM1,EWM3,EWM4,EWMnの中から、バッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWM4を割り当てる。
【0097】
その後、運用計画部14は、工程S6を経て三回目の工程S71を実行する。この三回目の工程S71において、運用計画部14は、電動作業機械EWM1,EWM3が、中古市場の評価指標を満足すること(YES)を判定し、三回目の工程S72を実行する。この三回目の工程S72において、運用計画部14が、たとえば、電動作業機械EWM1を売却不可(NO)と判定し、電動作業機械EWM3を売却可(YES)と判定すると、次の工程S73が実行される。
【0098】
この工程S73において、運用計画部14は、たとえば、情報格納部11を介して売却対象の電動作業機械EWM3の情報を記憶装置に記録する。その後、三回目の工程S5bが実行される。この三回目の工程S5bにおいて、運用計画部14は、三番目に作業負荷が高い作業現場WS3に対し、たとえば、前の工程S72で売却可(YES)と判定された売却対象の電動作業機械EWM3を割り当てる。なお、売却対象の電動作業機械EWM3は、たとえば、作業現場WS3での作業終了後に中古市場で売却される。その後、運用計画部14は、工程S6を経て四回目の工程S71を実行する。
【0099】
この四回目の工程S71において、運用計画部14は、電動作業機械EWM1が、中古市場の評価指標を満足すること(YES)を判定し、四回目の工程S72を実行する。この四回目の工程S72において、運用計画部14が、たとえば、電動作業機械EWM1を売却不可(NO)と判定すると、四回目の工程S5bが実行される。この四回目の工程S5bにおいて、運用計画部14は、四番目に作業負荷が高い作業現場WS4に対し、たとえば、残された複数の電動作業機械EWM1,EWMnの中から、バッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWMnを割り当てる。
【0100】
以上のように、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中で、所定の中古市場評価指標を満たし、かつユーザによって売却可と判定された電動作業機械EWM4を、売却対象として記録する。このような構成により、本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM3によれば、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと同様の効果を奏するだけでなく、市場価値の高い電動作業機械EWMを選択して中古市場において高価格で売却することができる。
【0101】
[実施形態4]
以下、図1A図4、および表4を参照して、本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態4を説明する。図4は、本実施形態の運用支援装置1の動作を説明するフロー図であり、本実施形態の運用支援方法OSM4の各工程を説明するフロー図である。
【0102】
本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM4は、運用計画作成工程S5cにおける運用計画部14の動作が、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと異なっている。本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM4のその他の点は、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
本実施形態の運用支援装置1は、図4に示す運用支援方法OSM4を開始すると、前述の実施形態1と同様に、工程S1から工程S4までを実行する。その後、運用支援装置1は、運用計画作成工程S5cを実行する。この工程S5cにおいて、運用支援装置1の運用計画部14は、前述の実施形態1と同様に、情報格納部11によって格納された情報に基づいて作業負荷が高い順に作業現場WSを選択する。
【0104】
さらに、運用計画部14は、前述の実施形態1と同様に選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWMの中から予測劣化状態ESOHに基づく特定の電動作業機械EWMを割り当てる。ここで、運用計画部14は、たとえば、以下の表4に示すように、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWMの中から予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWMを割り当てる。
【0105】
【表4】
【0106】
表4に示すように、最も作業負荷が高い作業現場WS1では、対応不可(NA)で除外された電動作業機械EWM3を除く複数の電動作業機械EWM1,EWM2,…,EWMnの中から、予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWM1が割り当てられる。同様に、作業現場WS2では、電動作業機械EWM2が割り当てられ、作業現場WS3では、電動作業機械EWMnが割り当てられ、作業現場WS4では、電動作業機械EWM3が割り当てられる。
【0107】
本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM4によれば、作業負荷が高い作業現場WSから低い作業現場WSへ、作業後のバッテリBの予測劣化状態ESOHが最大となる電動作業機械EWMを、順次、割り当てていくことができる。したがって、本実施形態によれば、前述の実施形態1と同様に、電動作業機械EWMのバッテリBの劣化抑制と長寿命化が可能な、電動作業機械の運用支援装置1および運用支援方法OSM4を提供することができる。
【0108】
[実施形態5]
以下、図1A図5、表5A、および表5Bを参照して、本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態5を説明する。図5は、本実施形態の運用支援装置1の動作を説明するフロー図であり、本実施形態の運用支援方法OSM5の各工程を説明するフロー図である。
【0109】
本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM5は、運用計画作成工程S5dにおける運用計画部14の動作が、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと異なっている。本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM5のその他の点は、前述の実施形態1の運用支援装置1および運用支援方法OSMと同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
本実施形態の運用支援装置1は、図5に示す運用支援方法OSM5を開始すると、前述の実施形態1と同様に、工程S1から工程S4までを実行する。その後、運用支援装置1は、運用計画作成工程S5dを実行する。本実施形態の運用支援方法OSM5において、運用計画作成工程S5dは、たとえば、以下の工程S51dから工程S55dまでを含んでいる。以下、表5Aおよび表5Bを参照して、本実施形態の運用支援装置1による運用計画作成工程S5dを説明する。
【0111】
【表5A】
【0112】
【表5B】
【0113】
運用計画部14は、工程S51dにおいて、最も作業負荷が高い作業現場WS1の選択後、所定の評価指標を満たす電動作業機械EWMがあるか否かを判定する。ここで、電動作業機械EWMの評価指標は、たとえば、表5Bに示すように、各々の電動作業機械EWMに対して設定された使用期間、総稼働時間、および劣化状態SOHの条件を含む。
【0114】
ここで、表5Aに示す作業現場WS1で作業した場合の各々の電動作業機械EWMのバッテリBの予測劣化状態ESOHを参照する。すると、電動作業機械EWM1の予測劣化状態ESOHが、表5Bに示す劣化状態SOHの条件を満たし、使用期間および総稼働時間の条件も満たしている。また、他の電動作業機械EWMのバッテリBの予測劣化状態ESOHは、各々の電動作業機械EWMの評価指標の劣化状態SOHを満たさない。
【0115】
この場合、運用計画部14は、工程S51dにおいて、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあること(YES)を判定し、次の工程S52dにおいて、複数の電動作業機械EWMが評価指標を満たさないこと(NO)を判定する。さらに、運用計画部14は、工程S54dを実行し、選択した作業現場WS1に対して、評価指標を満たす電動作業機械EWM1を割り当てる。その後、運用計画部14は、工程S6を経て二回目の工程S51dを実行する。
【0116】
この二回目の工程S51dにおいて、運用計画部14は、二番目に作業負荷が高い作業現場WS2を選択する。さらに、運用計画部14は、使用期間、総稼働時間、および、選択した作業現場WS2で作業をした場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHが、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあるか否かを判定する。作業現場WS2では、機械No.4の電動作業機械EWM4のみが評価指標を満たす。
【0117】
この場合、運用計画部14は、二回目の工程S51dにおいて、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあること(YES)を判定し、二回目の工程S52dにおいて、複数の電動作業機械EWMが評価指標を満たさないこと(NO)を判定する。さらに、運用計画部14は、二回目の工程S54dを実行し、選択した作業現場WS2に対して、評価指標を満たす電動作業機械EWM4を割り当てる。その後、運用計画部14は、工程S6を経て三回目の工程S51dを実行する。
【0118】
この三回目の工程S51dにおいて、運用計画部14は、三番目に作業負荷が高い作業現場WS3を選択する。さらに、運用計画部14は、使用期間、総稼働時間、および、選択した作業現場WS3で作業をした場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHが、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあるか否かを判定する。作業現場WS3では、機械No.3の電動作業機械EWM3のみが評価指標を満たす。
【0119】
この場合、運用計画部14は、三回目の工程S51dにおいて、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあること(YES)を判定し、三回目の工程S52dにおいて、複数の電動作業機械EWMが評価指標を満たさないこと(NO)を判定する。さらに、運用計画部14は、三回目の工程S54dを実行し、選択した作業現場WS3に対して、評価指標を満たす電動作業機械EWM3を割り当てる。その後、運用計画部14は、工程S6を経て四回目の工程S51dを実行する。
【0120】
この四回目の工程S51dにおいて、運用計画部14は、四番目に作業負荷が高い作業現場WS4を選択する。さらに、運用計画部14は、使用期間、総稼働時間、および、選択した作業現場WS4で作業をした場合のバッテリBの予測劣化状態ESOHが、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあるか否かを判定する。作業現場WS4では、機械No.2,nの二台の電動作業機械EWM2,EWMnが評価指標を満たす。
【0121】
この場合、運用計画部14は、四回目の工程S51dにおいて、評価指標を満たす電動作業機械EWMがあること(YES)を判定し、四回目の工程S52dにおいて、複数の電動作業機械EWMが評価指標を満たすこと(YES)を判定する。さらに、運用計画部14は、次の工程S53dを実行し、選択した作業現場WS4に対して、評価指標を満たす複数の電動作業機械EWM2,EWMnのうち、予測劣化状態ESOHが最大の電動作業機械EWM2を割り当てる。
【0122】
一方、運用計画部14は、S51dにおいて、評価指標を満たす作業機械がないこと(NO)を判定すると、選択した作業現場WSに対し、バッテリ劣化量ΔSOHが最小の電動作業機械EWMを割り当てる工程S55dを実行する。その後、運用計画部14が、工程S6において、すべての作業現場WSに対する電動作業機械EWMの割り当てが完了したことを判定すると、運用支援装置1は、図5に示す運用支援方法OSM5を終了する。
【0123】
以上のように、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の電動作業機械EWMの中に所定の評価指標を満たす電動作業機械EWMが存在する場合には、特定の電動作業機械EWMとして、複数の電動作業機械EWMの中から評価指標を満たしバッテリBの予測劣化状態ESOHが最大となる電動作業機械EWMを選択する。
【0124】
換言すると、本実施形態の運用支援装置1において、運用計画部14は、複数の運用支援装置1の中に所定の評価指標を満たす複数の電動作業機械EWMが存在する場合に、選択した作業現場WSに対して複数の電動作業機械EWMの中から評価指標を満たし予測劣化状態ESOHが最大となる電動作業機械EWMを割り当てる。このような構成により、本実施形態の運用支援装置1および運用支援方法OSM5によれば、前述の実施形態1と同様の効果を奏することができるだけでなく、各々の作業現場WSに割り当てられる電動作業機械EWMの仕様を適切に管理することができる。
【0125】
以上、図面を用いて本開示に係る電動作業機械の運用支援装置および運用支援方法の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 :サーバ(運用支援装置)
11:情報格納部
12:状態取得部
13:状態予測部
14:運用計画部
B:バッテリ
ESOH:予測劣化状態
EWM,EWM1-EWMn:電動作業機械
OSM,OSM2-OSM5:運用支援方法
S1:情報格納工程
S2:状態取得工程
S4:状態予測工程
S5,S5a-S5d:運用計画作成工程
SOH:劣化状態
WS,WS1-WSn:作業現場
ΔSOH:バッテリ劣化量
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5