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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014615
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】収納具
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20240125BHJP
   A45C 13/26 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A45C3/00 D
A45C13/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117580
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】神 教雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA11
3B045CE07
3B045DA23
3B045DA43
3B045EA02
3B045FC02
3B045FC04
3B045GA01
3B045GB01
3B045GC01
3B045HA04
3B045HB01
3B045IA06
3B045KA00
3B045KB03
(57)【要約】
【課題】仕切りによって内部収納空間を好適に区画し得る構成を備えた収納具を提供する。
【解決手段】内部収納空間spを姿勢変更可能な仕切りMによって区成可能に構成した収納具であって、仕切りMは、少なくとも、第一の面要素m1と第二の面要素m2を有してなり、これら第一、第二の面要素m1、m2は直接的に折り曲げ可能に連結されたものであり、第一、第二の面要素m1、m2は、それぞれ、内部収納空間spを形成する内壁面である第一、第二内壁面n1、n2に取り付けられているものとした。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部収納空間を姿勢変更可能な仕切りによって区成可能に構成した収納具であって、
前記仕切りは、少なくとも、第一の面要素と第二の面要素を有してなり、これら第一、第二の面要素は直接的又は間接的に折り曲げ可能に連結されたものであり、
前記第一、第二の面要素は、それぞれ、前記内部収納空間を形成する内壁面に取り付けられている収納具。
【請求項2】
前記仕切りが、前記第一、第二の面要素が前記内壁面に沿う第一の姿勢と、前記第一、第二の面要素が前記第一の姿勢とは異なる姿勢を採る第二の姿勢とを採り得るものである請求項1記載の収納具。
【請求項3】
前記第二の姿勢において、前記第二の面要素と前記内壁面との間に隙間が形成される請求項2記載の収納具。
【請求項4】
前記仕切りが、弾性変形可能な部材で形成されたものであり、前記第一、第二の姿勢において姿勢が安定するように設定されている請求項2記載の収納具。
【請求項5】
前記仕切りが、弾性変形可能な部材で形成されたものであり、前記第一の姿勢から前記第二の姿勢に姿勢変更される間、及び、前記第二の姿勢から前記第一の姿勢に姿勢変更される間に、前記第一、第二の面要素が撓み変形するものである請求項2記載の収納具。
【請求項6】
前記内壁面が、起立姿勢をなす第一壁体に設けられた第一内壁面、及び、前記第一壁体と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体に設けられた第二内壁面であり、
前記第一内壁面に対して、前記第一の面要素が取り付けられたものであり、
前記第二内壁面に対して、前記第二の面要素が取り付けられたものである請求項1記載の収納具。
【請求項7】
前記仕切りは、第一、第二の面要素が直接的に折り曲げ可能に連結されたものであり、前記第一、第二の面要素が前記第一、第二内壁面に沿う第一の姿勢と、前記第一、第二の面要素が前記第一の姿勢とは異なる姿勢を採り平面視において略L字状をなす第二の姿勢とを採り得るものである請求項6記載の収納具。
【請求項8】
前記内壁面が、起立姿勢をなす第一壁体に設けられた第一内壁面、前記第一壁体と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体に設けられた第二内壁面、及び、前記第二壁体と略直交する方向に延びてなり起立姿勢をなす第三壁体に設けられた第三内壁面であり、
前記第一内壁面に対して、前記第一の面要素が取り付けられたものであり、
前記第二内壁面に対して、前記第二の面要素が取り付けられたものであり、
前記隙間が、前記第二の面要素と前記第三内壁面との間に形成されたものである請求項3記載の収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部収納空間を区画するための姿勢変更可能な仕切りが設けられた収納具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来の仕切りは、基端部を回転中心として動作し得るだけのものであったため、必ずしも、内部収納空間を安定的に区成し得る構成のものとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63-000102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、仕切りによって、内部収納空間を好適に区画し得る構成を備えた収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、内部収納空間を姿勢変更可能な仕切りによって区成可能に構成した収納具であって、前記仕切りは、少なくとも、第一の面要素と第二の面要素を有してなり、これら第一、第二の面要素は直接的又は間接的に折り曲げ可能に連結されたものであり、前記第一、第二の面要素は、それぞれ、前記内部収納空間を形成する内壁面に取り付けられている収納具である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記仕切りが、前記第一、第二の面要素が前記内壁面に沿う第一の姿勢と、前記第一、第二の面要素が前記第一の姿勢とは異なる姿勢を採る第二の姿勢とを採り得るものである請求項1記載の収納具である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第二の姿勢において、前記第二の面要素と前記内壁面との間に隙間が形成される請求項2記載の収納具である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記仕切りが、弾性変形可能な部材で形成されたものであり、前記第一、第二の姿勢において姿勢が安定するように設定されている請求項2記載の収納具である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記仕切りが、弾性変形可能な部材で形成されたものであり、前記第一の姿勢から前記第二の姿勢に姿勢変更される間、及び、前記第二の姿勢から前記第一の姿勢に姿勢変更される間に、前記第一、第二の面要素が撓み変形するものである請求項2記載の収納具である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記内壁面が、起立姿勢をなす第一壁体に設けられた第一内壁面、及び、前記第一壁体と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体に設けられた第二内壁面であり、前記第一内壁面に対して、前記第一の面要素が取り付けられたものであり、前記第二内壁面に対して、前記第二の面要素が取り付けられたものである請求項1記載の収納具である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記仕切りは、第一、第二の面要素が直接的に折り曲げ可能に連結されたものであり、前記第一、第二の面要素が前記第一、第二内壁面に沿う第一の姿勢と、前記第一、第二の面要素が前記第一の姿勢とは異なる姿勢を採り平面視において略L字状をなす第二の姿勢とを採り得るものである請求項6記載の収納具である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記内壁面が、起立姿勢をなす第一壁体に設けられた第一内壁面、前記第一壁体と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体に設けられた第二内壁面、及び、前記第二壁体と略直交する方向に延びてなり起立姿勢をなす第三壁体に設けられた第三内壁面であり、前記第一内壁面に対して、前記第一の面要素が取り付けられたものであり、前記第二内壁面に対して、前記第二の面要素が取り付けられたものであり、前記隙間が、前記第二の面要素と前記第三内壁面との間に形成されたものである請求項3記載の収納具である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、仕切りによって、内部収納空間を好適に区画し得る構成を備えた収納具を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における正面図。
図3】同実施形態における背面図。
図4】同実施形態における左側面図。
図5】同実施形態における右側面図。
図6】同実施形態における平面図。
図7】同実施形態における底面図。
図8】同実施形態における斜視図。
図9】同実施形態における斜視図。
図10】同実施形態における斜視図。
図11図2におけるX-X線断面図。
図12図11に対応する作動説明図。
図13】同実施形態における前壁の一部を破断した部分拡大正面図。
図14】同実施形態における前壁の一部を破断した部分拡大正面図。
図15】取手の取り付けを説明するための説明図。
図16図13におけるY-Y線端面図。
図17】同実施形態における第一シート材の展開図。
図18】同実施形態における第二シート材の展開図。
図19】同実施形態の使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1~19を参照して説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に用いられる収納具であるキャリーバッグ(以下、単に「収納具」という。)に適用したものである。なお、収納具の前後及び左右の設定は、説明の便宜上のものである。
【0019】
収納具は、内部収納空間spを形成する収納具本体Aと、収納具本体Aに対をなして取り付けられた帯状の取手Cと、収納具本体Aに対して姿勢変更可能に構成され当該収納具本体Aにより形成された内部収納空間spを区成可能な構造物である仕切りMを備えたものである。
【0020】
収納具を構成する収納具本体A及び仕切りMは、二枚の合成樹脂製のシート材である第一、第二シート材S1、S2を所定の箇所で折り曲げるとともに所定の部位同士を溶着及び組み合わせることにより形成されている。なお、図面の溶着箇所については符号yを示している。
【0021】
<<収納具本体A>>
収納具本体Aは、上方が開放された矩形ボックス状をなしたものである。収納具本体Aは、合成樹脂製の第一、第二シート材S1、S2から形成されたものである。
【0022】
収納具本体Aは、底面視において全体として横長矩形状をなす底壁1と、矩形状をなし底壁1の前端縁から立設された起立姿勢をなす第三壁体である前壁2と、矩形状をなし底壁1の後端縁から立設された起立姿勢をなす第一壁体である後壁3と、矩形状をなし前壁2及び後壁3の左側端縁間を繋ぐ左側壁4と、矩形状をなし前壁2及び後壁3の右側端縁間を繋ぐ起立姿勢をなす第二壁体である右側壁5とを備えたものである。
【0023】
収納具本体Aは、底壁1、前壁2、後壁3、左側壁4、及び、右側壁5により囲われた内部収納空間spを有している。
【0024】
<底壁1>
底壁1は、内部収納空間spに収納された物品が載置される部位をなしている。底壁1は、第一、第二シート材S1、S2に設けられた複数すなわち、第一、第二、第三、第四の底壁構成片h1、h2、h3、h4を組み合わせることにより構成されている。
【0025】
第一の底壁構成片h1は、第一シート材S1に設けられている。第一の底壁構成片h1は、前壁2の下端縁から延設されている。
【0026】
第二、第三、第四の底壁構成片h2、h3、h4は、第二シート材S2に設けられている。第二の底壁構成片h2は、後壁3の下端縁から延設されている。第三の底壁構成片h3は、左側壁4の下端縁から延設されている。第四の底壁構成片h4は、右側壁5の下端縁から延設されている。
【0027】
<前壁2>
前壁2は、正面視において横長矩形状をなしている。前壁2は、第一シート材S1に設けられている。前壁2の上部には左右方向に帯状に延びてなる重合部Pが設けられている。前壁2の重合部Pは取手Cが取り付けられる部位をなしている。前壁2の重合部Pについては後で詳述する。
【0028】
<後壁3>
後壁3は、背面視において横長矩形状をなしている。後壁3は、第二シート材S2に設けられている。後壁3の上部には左右方向に帯状に延びてなる重合部Pが設けられている。後壁3の重合部Pは取手Cが取り付けられる部位をなしている。後壁3の重合部Pについては後で詳述する。
【0029】
壁体である後壁3は、第一の面である第一内壁面n1を有している。後壁3の第一内壁面n1には、仕切りMを構成する第一の面要素m1の一端部が取り付けられている。換言すれば、仕切りMを構成する第一の面要素m1における一方の側端部は、後壁3の内壁面に繋がっている。
【0030】
<左側壁4>
左側壁4は、側面視において、縦長矩形状をなしている。左側壁4は、第二シート材S2に設けられている。左側壁4の下部には、手指を引っ掛けるのに好適な貫通孔41が設けられている。
【0031】
<右側壁5>
右側壁5は、側面視において、縦長矩形状をなしている。右側壁5は、第二シート材S2に設けられている。
【0032】
壁体である右側壁5は、第一の面である第一内壁面n1と交差する方向(略直交する方向)に延びた第二の面である第二内壁面n2を有している。右側壁5の第二内壁面n2には、仕切りMを構成する第二の面要素m2の一端部が取り付けられている。換言すれば、仕切りMを構成する第二の面要素m2における一方の側端部は、右側壁5の内壁面に繋がっている。
【0033】
<前壁2及び後壁3の重合部P>
前壁2の重合部P及び後壁3の重合部Pは、それぞれ前後方向が異なるがそれ以外は略同様の構成をなしているため、共通の符号を用いて纏めて説明するものとする。
【0034】
前壁2の上部には、第一シート材S1を折り返して当該第一シート材S1の構成部分が水平方向すなわち前後方向に重なり合うことにより構成された重合部Pが設けられている。これと同様に、後壁3の上部には、第二シート材S2を折り返して当該第二シート材S2の構成部分が水平方向すなわち前後方向に重なり合うことにより構成された重合部Pが設けられている。
【0035】
重合部Pは、前壁2の上部及び後壁3の上部を構成するものである。重合部Pには、帯状をなす取手Cの基端部c2が取り付けられている。
【0036】
重合部Pは、収納具本体Aにおける前壁2の主要部及び後壁3の主要部を構成する主シート部分p1と、主シート部分p1の内面側に折り返される折り返しシート部分p2と、主シート部分p1と折り返しシート部分p2との間に介設され外面が上側を向く上端シート部分p3とを備えている。
【0037】
上端シート部分p3は、水平方向に延びた折り線である重合部折り線f4を介して折り返しシート部分p2及び主シート部分p1に繋がっている。
【0038】
折り返しシート部分p2は、取手Cの基端部c2が硬質部材であるリベットRにより取り付けられる部位をなしている。折り返しシート部分p2の上端部は、外面が上方を向く上端シート部分p3を介して、主シート部分p1に繋がっている。
【0039】
折り返しシート部分p2は、取手Cの基端部c2がリベットRを用いて固着された後に、重合部折り線f4で他のシートである主シート部分p1の内面側に折り曲げられる。その後、折り返しシート部分p2は、重合部Pを構成する主シート部分p1の内面に対して溶着により固定されるものとなっている。
【0040】
折り返しシート部分p2には、左右二箇所に間隔を空けて取手Cの帯状部分c3を通過させるためのスリットp4が設けられている。すなわち、折り返しシート部分p2には、取手Cにおける長手方向中間部に設けられた被把持部c1と両端部に設けられた基端部c2との間に位置する一対の帯状部分c3を通過させるスリットp4がそれぞれに対応させて別個に設けられている。
【0041】
スリットp4は、折り返しシート部分p2の上下方向中間位置に設けられている。換言すれば、スリットp4は、重合部Pの上端部に設けられた上端シート部分p3を避けた位置(上端シート部分p3よりも下の位置)に設けられている。取手Cの帯状部分c3が通過するスリットp4の位置が、前壁1及び後壁2の上端部を避けて設けられているため、当該前壁1及び後壁2の上端部における強度を好適に確保し得るものとなっている。
【0042】
折り返しシート部分p2は、スリットp4の下に、取手Cの基端部c2を折り返しシート部分p2に取り付けるためのリベットR通過用の貫通孔p5が設けられている。
【0043】
<<取手C>>
取手Cは、収納具本体Aを容易に持ち運びするための帯状のものである。取手Cは、帯状の生地によって作られている。取手Cは、前壁2の重合部P及び後壁3の重合部Pにそれぞれ取り付けられている。
【0044】
取手Cは、使用者に把持される被把持部c1と、重合部Pを構成する折り返しシート部分p2に固着される一対の基端部c2と、被把持部c1と基端部c2との間に形成された一対の帯状部分c3とを備えている。
【0045】
取手Cの基端部c2は、折り返しシート部分p2に対して、硬質部材である金属製のリベットRを用いて固着されるようになっている。
【0046】
取手Cは、図14に示すように、各スリットp4を通過させた各基端部c2の厚み方向にリベットRを貫通させ、当該リベットRを折り返しシート部分p2に固着することにより取り付けられる。このとき、各スリットp4には、取手Cの帯状部分c3が配設されるものとなる。
【0047】
その後、取手Cの基端部c2は、重合部Pを構成する折り返しシート部分p2が主シート部分p1の内面側に折り曲げられることにより、主シート部分p1と折り返しシート部分p2との間に位置するようになる。しかる後に、主シート部分p1の内面に対して折り返しシート部分p2が溶着されることにより、取手Cが最終的な姿勢を採るようになっている。
【0048】
<<仕切りM>>
仕切りMは、収納具本体Aの内部収納空間spを区画し得るものである。
【0049】
仕切りMは、収納具本体Aの内部に姿勢変更可能に架設されている。すなわち、仕切りMは、図1図8図11、及び、図13等に示すように、収納具本体Aの内面に沿った第一の姿勢(J)と、図10図12図14、及び、図18に示すように、収納具本体Aの内面から立ち上がる第二の姿勢(K)とを選択的に採り得るものとなっている。仕切りMは、第一シート材S1に設けられている。
【0050】
仕切りMは、収納具本体Aに形成された内部収納空間spを必要に応じて区画することができるように構成されている。すなわち、構造物である仕切りMは、使用者による操作力を受けることにより弾性変形可能な部材すなわち可撓変形可能な合成樹脂製のシート材で形成されている。
【0051】
仕切りMは、上下方向に延びた起立姿勢をなす第一の面要素m1と、上下方向に延びた起立姿勢をなす第二の面要素m2を有してなる。
【0052】
仕切りMは、略起立板状をなす第一、第二の面要素m1、m2が、上下方向に延びてなる折り曲げ線である中間折り曲げ線f1を介して直接的に折り曲げ可能に連結・接続されたものとなっている。
【0053】
仕切りMは、上下方向に延びる中間折り曲げ線f1の仮想延長線上に沿って第一の面要素m1と第二の面要素m2との間を離間させる切欠部Gが設けられている。切欠部Gは、仕切りMの下部すなわち反操作端側に形成されている。
【0054】
<第一の面要素m1>
第一の面要素m1は、その一端部が第一の面である第一内壁面n1に取り付けられている。第一の面要素m1の一端部は、内部収納空間spを形成する内壁面、すなわち、後壁3の内壁面である第一内壁面n1に対して回転可能に取り付けられている。
【0055】
第一の面要素m1における一方の側端部は後壁3の内壁面に繋がっており、他方の側端部は中間折り曲げ線f1を介して第二の面要素m2に繋がっている。第一の面要素m1の一端部には、後壁3の内壁面に対して溶着される被取付片である第一の被取付片t1が延設されている。
【0056】
第一の面要素m1には、略鉛直方向に延びてなる中間折り曲げ線f1と略平行をなして補助折り曲げ線f5が当該第一の面要素m1の中央部側に隣設されている。
【0057】
第一の面要素m1における幅方向中央部には、第一、第二の姿勢(J)、(K)の姿勢変更を補助し得る補助折り曲げ部f2が設けられている。補助折り曲げ部f2は、上端である操作端側から下端である反操作端側に向かって中間折り曲げ線f1から漸次離れるように傾斜した姿勢をなしている。
【0058】
第一の面要素m1に傾き姿勢に設けられた補助折り曲げ部f2は、上下の補助折り曲げ線部分f21と、上下の補助折り曲げ線部分f21の間に設けられたスリットf22とを備えている。
【0059】
補助折り曲げ部f2に設けられたスリットf22は、仕切りMにおける第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)との間の弾性変形による姿勢変更を円滑にさせるためのものである。
【0060】
すなわち、スリットf22は、仕切りMが第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)との間で部材の弾性変形を利用して姿勢変更される際において、一方の面要素構成部m11と他方の面要素構成部m12との間に設けられた補助折り曲げ部f2の一時的な屈曲を促進し得るものとなっている。
【0061】
第一の面要素m1から延設された第一の被取付片t1の近傍には二本の基端折り曲げ線f6が平行に設けられている。
【0062】
第一の面要素m1は、傾斜姿勢をなす補助折り曲げ部f2を境界にして、一方の面要素構成部m11と他方の面要素構成部m12とを備えている。一方の面要素構成部m11の上端縁部には、当該一方の面要素構成部m11の撓みやすさを促進し得るために、下方に凹ませた凹所maが設けられている。
【0063】
<第二の面要素m2>
第二の面要素m2は、その一端部が第二の面である第二内壁面n2に取り付けられている。第二の面要素m2の一端部は、内部収納空間spを形成する内壁面、すなわち、右側壁5の内壁面である第二内壁面n2に対して回転可能に取り付けられている。
【0064】
第二の面要素m2における一方の側端部は右側壁5の内壁面に繋がっており、他方の側端部は中間折り曲げ線f1を介して第一の面要素m1に繋がっている。第二の面要素m2の一端部には、右側壁5の内壁面に対して溶着される被取付片である第二の被取付片t2が延設されている。
【0065】
第二の面要素m2から延設された第二の被取付片t2の近傍には二本の基端折り曲げ線f7が平行に設けられている。
【0066】
<仕切りMの姿勢変更について>
仕切りMは、第一の面要素m1が第一内壁面n1に沿うとともに第二の面要素m2が第二内壁面n2に沿う第一の姿勢(J)と、第一、第二の面要素m1、m2が第一の姿勢(J)とは異なる姿勢を採り平面視において略L字状をなす第二の姿勢(K)とを採り得るものである。
【0067】
仕切りMの姿勢変更は、使用者による外力、すなわち、仕切りMの操作端である上縁部に対して、手指等によって第一の姿勢(J)の方向又は第二の姿勢(K)の方向の何れかに移動させる力を加えることにより行われる。
【0068】
仕切りMは、第一、第二の面要素m1、m2が第一、第二の面である第一、第二内壁面n1、n2に沿うような第一の姿勢(J)と、第一の面要素m1が第一内壁面n1から略直交する方向に起き上がるとともに第二の面要素m2が第二内壁面n2から略直交する方向に起き上がる第二の姿勢(K)とを採り得るものである。
【0069】
仕切りMは、図9に示すように、第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)との姿勢変更の過程で、中間姿勢(U)が採られるものとなっている。
【0070】
仕切りMは、第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)において姿勢が安定するように設定されている。一方で、仕切りMは、第一の姿勢(J)から第二の姿勢(K)に姿勢変更される間の中間姿勢(U)を含む全過程、及び、第二の姿勢(K)から第一の姿勢(J)に姿勢変更される間の中間姿勢(U)を含む全過程において、後壁3と右側壁5との間で突っ張ることになり、第一、第二の面要素m1、m2がそれぞれ撓み変形するものとなっている。
【0071】
すなわち、仕切りMの第一の姿勢(J)から第二の姿勢(K)への姿勢変更、及び、仕切りMの第二の姿勢(K)から第一の姿勢(J)への姿勢変更は、第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)との中間位置において生ずる弾性付勢力により促進されるように構成されている。
【0072】
仕切りMは、中間姿勢(U)において、スリットf22を有した補助折り曲げ部f2が大きく谷折りされることにより、第一の面要素構成部m11だけが第一内壁面n1に対して面的に接する姿勢を採るものとなっている。
【0073】
このとき、仕切りMは、中央折り曲げ線f2が大きく山折りされるとともに補助折り曲げ線f5が大きく谷折れされるように構成されており、第二の面要素m2及び他方の面要素構成部m12が過度に撓み変形しないようになっている。
【0074】
<第二の姿勢(K)の仕切りMについて>
この実施形態の収納具は、図19に示すように、仕切りMが第二の姿勢(K)をとる場合に、当該仕切りM、後壁3、及び、右側壁5によって外側部が囲われた空間Qに、ペットボトルや水筒等に代表される柱状の物品Dを配設できるようになっている。第二の姿勢(K)の仕切りMは、柱状の物品Dを、底壁1の上に起立した姿勢で安定的に保持し得るものとなっている。
【0075】
また、収納具は、図19に示すように、仕切りMが第二の姿勢(K)を採る場合に、第二の面要素m2と収納具本体Aの第三内壁面n3(すなわち第三壁体である前壁2の内壁面)との間に、隙間skが形成されるようになっている。第二の姿勢(K)における第二の面要素m2と前壁2とは略平行をなしている。
【0076】
そして、第二の姿勢(K)の仕切りMと前壁2との間に設けられた隙間skには、全体として概略板状をなす板状物品類Eを好適に配設し得るものとなっている。隙間skに配設された板状物品類Eは、仕切りMにおける第二の面要素m2と前壁2とによって倒れ止めされることになり、底壁1上に対して起立した姿勢が保持されるようになっている。
【0077】
なお、「板状物品類E」とは、例えば、図19において明示された折り畳まれたノートパソコンや、ノート等の冊子や、クリヤーフォルダー・バインダー・ポケットファイル等のファイルや、用紙や封筒等の紙葉類を挙げることができるが、これらに限られないことはもちろんのことである。
【0078】
上述した実施形態であれば、帯状の取手Cを見栄えよく強固に取り付けることができる収納具を提供することができるものとなる。
【0079】
また、上述した実施形態であれば、仕切りMによって内部収納空間spを好適に区画し得る構成を備えた収納具を提供することができるものとなる。
【0080】
また、上述した実施形態であれば、必要な時だけ機能性を好適に拡張し得る構造物である仕切りMを提供することができるものとなる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る収納具は、内部収納空間spを姿勢変更可能な仕切りMによって区成可能に構成したものである。
【0082】
そして、仕切りMは、第一の面要素m1と第二の面要素m2を有してなり、これら第一、第二の面要素m1、m2は直接的に折り曲げ可能に連結されたものである。仕切りMの第一、第二の面要素m1、m2は、それぞれ、内部収納空間spを形成する内壁面である第一、第二内壁面n1、n2に取り付けられている。
【0083】
このため、仕切りMによって内部収納空間spを好適に区画し得る構成を備えた収納具を提供することができるものとなる。
【0084】
仕切りMが、第一、第二の面要素m1、m2が第一、第二内壁面n1、n2に沿う第一の姿勢(J)と、第一、第二の面要素m1、m2が第一の姿勢(J)とは異なる姿勢である第二の姿勢(K)とを採り得るものである。
【0085】
このため、仕切りMは、第一の姿勢(J)と第二の姿勢(K)を採ることにより、必要に応じて内部収納空間spを好適に区画し得る柔軟性に優れた構成をなしている。
【0086】
収納具は、第二の姿勢(K)において、第二の面要素m2と内壁面である第三内壁面n3との間に隙間skが形成されるものなっている。
【0087】
このため、収納具は、第二の姿勢(K)において、隙間skを利用して、内部収納空間spに物品(例えば、板状物品類Eなど)を安定的に収納し得るものとなっている。
【0088】
仕切りMが、弾性変形可能な部材で形成されたものである。そして、仕切りMは、第一、第二の姿勢(J)、(K)において姿勢が安定するように設定されている。
【0089】
このため、仕切りMは、収納具本体Aに対して姿勢が安定し、所期の機能を好適に発揮し得るものとなっている。
【0090】
仕切りMが、弾性変形可能な部材で形成されたものである。そして、第一の姿勢(J)から第二の姿勢(K)に姿勢変更される間、及び、第二の姿勢(K)から第一の姿勢(J)に姿勢変更される間に、第一、第二の面要素m1、m2が撓み変形するものである。
【0091】
このため、仕切りMは、第一の姿勢(J)及び第二の姿勢(K)において姿勢が安定し得るための好適な構成を備えたものとなっている。
【0092】
起立姿勢をなす第一壁体である後壁3に設けられた内壁面である第一内壁面n1、及び、後壁3と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体である右側壁5に設けられた第二内壁面n2を備えたものである。そして、第一内壁面n1に対して、第一の面要素m1が回転可能に取り付けられたものであり、第二内壁面n2に対して、第二の面要素が回転可能に取り付けられたものである。
【0093】
このため、仕切りMは、後壁3及び右側壁5の各内面である第一、第二内壁面n1、n2に取り付けられ、収納具本体Aの内部収納空間spを区画する機能を好適に発揮し得るものとなっている。
【0094】
仕切りMは、第一、第二の面要素m1、m2が直接的に折り曲げ可能に連結されたものである。そして、第一、第二の面要素m1、m2が第一、第二内壁面n1、n2に沿う第一の姿勢(J)と、第一、第二の面要素m1、m2が第一の姿勢(J)とは異なる姿勢を採り平面視において略L字状をなす第二の姿勢(K)とを採り得るものである。
【0095】
このため、仕切りMは、平面視略L字状をなす第二の姿勢(J)において、収納具本体Aの内部収納空間spを区画する機能を好適に発揮し得るものとなっている。
【0096】
起立姿勢をなす第一壁体である後壁3に設けられた第一内壁面n1、後壁3と略直交する方向に延びてなる起立姿勢をなす第二壁体である右側壁5に設けられた第二内壁面n2、及び、右側壁5と略直交する方向に延びてなり起立姿勢をなす第三壁体である前壁2に設けられた第三内壁面n3を備えたものである。
【0097】
そして、第一内壁面n1に対して、第一の面要素m1が回転可能に取り付けられたものであり、第二内壁面n2に対して、第二の面要素m2が回転可能に取り付けられたものであり、隙間skが、第二の面要素m2と第三内壁面n3との間に形成されたものである。
【0098】
このため、第二の姿勢(K)をなす仕切り(M)における第二の面要素m2と前壁2との間に隙間skを設けることにより、物品(例えば、板状物品類Eなど)を立てるような姿勢で安定的に収納し得るものとなっている。
【0099】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0100】
仕切りは、第一の面要素及び第二の面要素が折り曲げ可能に接続されたものに限られるものではなく、第一の面要素及び第二の面要素が湾曲可能に接続されたものであってもよい。
【0101】
仕切りは、補助折り曲げ部が設けられていない構成のものであってもよい。
【0102】
仕切りの補助折り曲げ部は、第一の面要素及び第二の面要素の双方又は何れか一方に設けられたものであればよい。また、補助折り曲げ部は、折り曲げ線のみで構成されたもの(スリットが設けられていない構成のもの)であってもよい。
【0103】
仕切りは、切欠部が設けられていないものであってもよい。
【0104】
仕切りを構成する第一、第二の面要素は、第一、第二内壁面に対して姿勢変更可能に取り付けられたものであれば良い。
【0105】
仕切りを構成する第一、第二の面要素は間接的に折り曲げ可能に連結されたものであってもよい。例えば、仕切りは、第一の面要素と第二の面要素との間を単数又は複数の面要素を介在させて連結させたものであってもよい。
【0106】
仕切りを構成する第一、第二の面要素は、それぞれ、収納具本体の内部収納空間を形成する内壁面に取り付けられたものであればよい。
【0107】
仕切りにおける第二の姿勢は、第一の姿勢と異なる姿勢であればよく、その具体的な態様は、種々設定可能であることは言うまでもない。
【0108】
仕切りは、第二の姿勢において、平面視において略L字状をなしていないものであってもよい。
【0109】
仕切りと収納具本体の内壁面との間に形成される隙間の位置は、上述した実施形態に示された位置に限られるものではない。つまり、仕切りが第二の姿勢を採る場合に、第二の面要素と対向する内壁面は、前壁の内壁面に限られるものではない。
【0110】
収納具本体の形状は種々の形状を採り得るものであり、上述した実施形態のような矩形ボックス状のものに限られるものではない。
【0111】
重合部を構成する折り返しシート部分は、他のシート部分の外面側に配設されたものであってもよい。他のシート部分は、主シート部分に限られるものではない。
【0112】
重合部を構成する折り返しシート部分が、他のシート部分に対して溶着以外の方法で固定されたものであってもよい。
【0113】
硬質部材は、取手を折り返しシート部分に対して固着し得るものであればよく、金属製のリベットに限定されるものではない。
【0114】
取手に設けられた一対の帯状部分は、折り返しシート部分に設けられた単一のスリットを通過するものであってもよい。
【0115】
スリットが、重合部の上端部分に設けられたものであってもよい。
【0116】
収納具本体は、シート材から形成されたものであればよく、合成樹脂製のシート材に限られるものではない。シート材は、紙製のものであってもよい。
【0117】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0118】
A…収納具本体
1…底壁
2…前壁(第三壁体)
3…後壁(第一壁体)
4…左側壁
5…右側壁(第二壁体)
M…仕切り
m1…第一の面要素
m2…第二の面要素
n1…第一内壁面(内壁面)
n2…第二内壁面(内壁面)
sp…内部収納空間
図1
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