(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146154
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20241004BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20241004BHJP
H03K 17/0812 20060101ALN20241004BHJP
H03K 17/08 20060101ALN20241004BHJP
H03K 17/567 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H03K19/0185 210
H02M1/08 A
H03K17/0812
H03K17/08 Z
H03K17/567
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058889
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南條 広行
(72)【発明者】
【氏名】桜井 健司
(72)【発明者】
【氏名】内海 智之
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
5J056
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH03
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J055AX33
5J055BX16
5J055CX13
5J055CX20
5J055DX09
5J055DX60
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY05
5J055EY12
5J055EY13
5J055EY21
5J055EZ20
5J055GX01
5J056AA37
5J056BB46
5J056DD13
5J056DD55
5J056DD56
5J056EE11
5J056FF08
(57)【要約】
【課題】ゲート耐圧が低い高圧素子を用いて、カスコード接続を可能とし、耐圧向上を図ることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、第1の半導体素子101(HVNM1)と、第2の半導体素子102(HVNM2)と、抵抗111(R1)と、ツェナーダイオード(VZ)112と、高圧ダイオード113と、を備え、HVNM1のドレインと、HVNM2のソースがカスコード接続され、HVNM2のゲート-ソース間に、抵抗111(R1)とツェナーダイオード(VZ)112が接続され、HVNM1のゲートと、HVNM2のゲートの間に、高圧ダイオード113が接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体素子と、第2の半導体素子と、抵抗と、ツェナーダイオードと、高圧ダイオードと、を備え、
前記第1の半導体素子のドレインと、前記第2の半導体素子のソースがカスコード接続され、
前記第2の半導体素子のゲート-ソース間に、前記抵抗と前記ツェナーダイオードが接続され、
前記第1の半導体素子のゲートと、前記第2の半導体素子のゲートの間に、前記高圧ダイオードが接続される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体素子をOFFして、前記第1の半導体素子と前記第2の半導体素子の中間電位が上がった場合、前記第2の半導体素子のゲート電圧を、前記ツェナーダイオードが、ツェナー電圧にクランプする
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
さらに、前記抵抗を介して前記高圧ダイオードからの電流を前記中間電位側に逃がし、前記第2の半導体素子のゲート電圧を前記中間電位と同電位まで下げて、前記第2の半導体素子をOFFする
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の半導体素子を駆動するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト回路の出力が接続され、モータを駆動する上アームまたは下アームのスイッチング素子の駆動回路と、が接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルへの通電を切り替えることで駆動させる一般的なモータにおいては、半導体スイッチング素子(Insulated-gate bipolar transistor:IGBTなど)を含んだ駆動回路(半導体装置)が用いられる。一方、半導体装置の別例としては、単相インバータ装置を複数直列に接続して1相分のインバータ装置群を形成し、これを例えば3相に組み合わせて3相のインバータシステムを形成した電力変換装置が知られている。
【0003】
このようなインバータシステムでは、論理パルスを入力し次段のゲートを駆動するゲート駆動回路部(ゲートドライバ)が用いられる。このゲートドライバに用いられる半導体装置は、トランジスタの一部を高耐圧トランジスタにする必要がある。
【0004】
特許文献1には、駆動信号を半導体素子の制御端子に伝達する手段を備えるレベルシフト回路が記載されている。
【0005】
図7は、高耐圧トランジスタを含むMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)ゲートドライバIC(半導体装置)の回路構成を示す図である。
図7は、U,V,Wの3相の制御信号のうち、U相を代表して示し、また、上アーム駆動回路を示す。なお、以降の図において丸で囲んだトランジスタは高耐圧、囲んでいないものは低耐圧であることを示す。
図7に示すMOSゲートドライバICは、基準電源端子1、低圧電源端子2、U相制御入力信号INを入力する入力端子3、U相上アーム駆動回路電源端子(BU)7、U相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8、およびU相上アーム出力の基準端子(U)9を備える。
【0006】
基準電源端子1は、基準電位の端子であり、ここではGND電位である。低圧電源端子2は、15V程度の低圧電源の端子である。U相制御入力端子3は、図示しない低耐圧制御部(マイコン)からの入力信号INを入力する。U相上アーム駆動回路電源端子(BU)7、U相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8、およびU相上アーム出力の基準端子(U)9は、高電圧系端子である。
【0007】
図7に示すMOSゲートドライバICは、低耐圧回路4と、高圧NMOS5と、レベルシフト回路10と、上アーム駆動回路30と、を備える。高圧NMOS5は、高圧素子部20(
図7の破線囲み)を構成する。
低耐圧回路4は、高圧NMOS5を駆動する。レベルシフト回路10は、ツェナーダイオード(VZ)11および抵抗12からなる保護回路と、バッファ13と、ダイオード14と、を備える。
レベルシフト回路10は、高電位側がU相上アーム駆動回路電源端子(BU)7に接続される。レベルシフト回路10の出力は、上アーム駆動回路30に接続され、上アーム駆動回路30を介してU相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8に接続される。レベルシフト回路10の出力はまた、上アーム駆動回路30を経由せずに、逆流防止のダイオード14を介してPGU出力端子8に接続される。
【0008】
図7に示すMOSゲートドライバICは、U相上アーム駆動回路電源端子(BU)7、U相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8、U相上アーム出力の基準端子(U)9上アーム駆動回路30、およびレベルシフト回路10が、高圧側である。このため、耐圧向上を図るため高圧NMOS5を高圧素子部20に用いている。
特に、誘電体分離技術を用いたプリドライバICでは、ESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)が発生すると、ESDが集中する高圧NMOS5で破壊が発生していた。例えば、
図7の囲みaに示すように、高圧素子部20にESD電圧が一箇所に集中し、高圧NMOS5が破壊する。ここで、高圧NMOS5は、耐圧でESD耐量が決まっている。
【0009】
図8は、
図7のゲート耐圧が低い高圧素子をカスコード(縦積み)接続した場合のゲートドライバIC(半導体装置)の回路構成を示す図である。
図8に示すMOSゲートドライバICは、ゲート耐圧が低い高圧素子である高圧NMOS5と高圧NMOS6とをカスコード接続した高圧素子部21を備える。高圧NMOS5がソース接地されたカスコード接続は、低周波によるゲインが高く、出力抵抗が大きい利点がある。また、高圧NMOS5と高圧NMOS6とを容量分圧することができる。
【0010】
耐圧向上としてゲート耐圧が低い高圧素子(高圧NMOS5と高圧NMOS6)をカスコード接続した場合、ゲート耐圧が低いため、ゲート破壊の懸念があった。例えば、
図8に示すMOSゲートドライバICは、U相上アーム駆動回路電源端子(BU)7の電圧が0V→600Vに上がると、カスコード接続した高圧NMOS5と高圧NMOS6間の電位は、容量分圧されたとしても、0V→300V程度かかってしまう(
図8の符号b)。ゲート耐圧が低い高圧素子(高圧NMOS5と高圧NMOS6、特に高電位側の高圧NMOS6)のゲートは、20V耐圧のため破壊される(
図8の符号c)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、
図7のゲートドライバICでは、高圧素子にESD電圧が集中することが知られており、このため、高圧素子のESD耐量が決まっている。しかしながら、誘電体分離技術を用いたプリドライバICでは、高耐圧トランジスタを用いるなど有効な対策をとらなかった場合、ESDが集中する高圧NMOSで破壊が発生していた。
また、
図8のゲートドライバICでは、ゲート耐圧が低い高圧素子をカスコード接続した場合、
図7の場合と同様に、高圧印加時にゲートが破壊してしまうという課題がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ゲート耐圧が低い高圧素子を用いて、カスコード接続を可能とし、耐圧向上を図ることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、第1の半導体素子と、第2の半導体素子と、抵抗と、ツェナーダイオードと、高圧ダイオードと、を備え、前記第1の半導体素子のドレインと、前記第2の半導体素子のソースがカスコード接続され、前記第2の半導体素子のゲート-ソース間に、前記抵抗と前記ツェナーダイオードが接続され、前記第1の半導体素子のゲートと、前記第2の半導体素子のゲートの間に、前記高圧ダイオードが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゲート耐圧が低い高圧素子を用いて、カスコード接続を可能とし、耐圧向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の回路構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置を有するゲートドライバを備えるインバータ装置の構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の入力INにHの信号が入力された直後の過渡時の動作状態を説明する図である。
【
図4】
図3のその後の半導体装置の動作状態を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の入力INにLの信号が入力された直後の過渡時の動作状態を説明する図である。
【
図6】
図5のその後の半導体装置の動作状態を説明する図である。
【
図7】従来の高耐圧トランジスタを含むMOSゲートドライバICの回路構成を示す図である。
【
図8】
図7のゲート耐圧が低い高圧素子をカスコード接続した場合のゲートドライバICの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の回路構成を示す図である。
図8と同一構成部分には、同一符号を付している。本実施形態の半導体装置は、3相IGBT/MOSゲートドライバICに適用した例である。U相の上アーム駆動回路を例にとる。
半導体装置100は、プリドライバ回路4と、カスコード接続部110(
図1の破線囲み)と、レベルシフト回路10と、上アーム駆動回路30と、を備える。
カスコード接続部110は、第1の半導体素子101(HVNM1)と、第2の半導体素子102(HVNM2)と、抵抗111(R1)と、ツェナーダイオード(VZ)112と、高圧ダイオード113と、を備え、第1の半導体素子101(HVNM1)のドレインと、第2の半導体素子102(HVNM2)のソースが接続され、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート-ソース間に、抵抗111(R1)とツェナーダイオード(VZ)112が接続され、第1の半導体素子101(HVNM1)のゲートと、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートの間に、高圧ダイオード113が接続される。
【0018】
第1の半導体素子101(HVNM1)のドレインと第2の半導体素子102(HVNM2)のソースは、HVNM1-2中間電位115である。抵抗111(R1)およびツェナーダイオード(VZ)112は、このHVNM1-2中間電位115と第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートとを接続する。
【0019】
カスコード接続部110は、ESD電圧が集中する箇所をカスコード接続して破壊耐量UPさせながら、ゲート耐圧が低い高圧素子である第1の半導体素子101(HVNM1)と第2の半導体素子102(HVNM2)とをカスコード接続した場合であっても、耐圧の低いゲート間に高圧ダイオード113、抵抗111(R1)、ツェナーダイオード(VZ)112を追加することで、高圧印加時のゲートの破壊を防ぐことができる。
【0020】
低耐圧回路4は、カスコード接続した第1の半導体素子101(HVNM1)および第2の半導体素子102(HVNM2)を駆動する。
【0021】
レベルシフト回路10は、ツェナーダイオード(VZ)11および抵抗(R2)12からなる保護回路と、バッファ13と、ダイオード14と、を備える。レベルシフト回路10は、半導体素子101(HVNM1)と半導体素子102(HVNM2)から電流を流すことで動作する。
レベルシフト回路10は、高電位側がU相上アーム駆動回路電源端子(BU)7に接続される。レベルシフト回路10の出力は、上アーム駆動回路30に接続され、上アーム駆動回路30を介してU相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8に接続される。レベルシフト回路10の出力はまた、上アーム駆動回路30を経由せずに、逆流防止のダイオード14を介してU9に接続される。
【0022】
図2は、
図1の半導体装置100を有するゲートドライバ220を備えるインバータ装置200の回路図である。
インバータ装置200は、制御部210と、半導体装置100を有するゲートドライバ220と、モータMを駆動するインバータ回路230と、モータMを備える。
インバータ装置200は、直流電源Vsに接続され、U相配線、V相配線、W相配線の3相によってモータMに接続される。インバータ装置200は、モータMに駆動電圧を印加して、モータMの回転を制御する。
モータMは、3相のブラシレスDCモータであり、各相のコイルLu,Lv,Lwとロータ(不図示)とを備えている。これらコイルLu,Lv,Lwの一端は、Y結線されている。コイルLu,Lv,Lwの他端は、それぞれインバータ回路230のU相出力、V相出力、W相出力に接続され、インバータ回路230は、モータMのU相、V相、W相のコイルLu,Lv,Lwに駆動電流を供給してロータを回転させる。
【0023】
インバータ回路230は、スイッチング素子Q1,Q2が直列接続されるU相のスイッチングレッグと、スイッチング素子Q3,Q4が直列接続されるV相のスイッチングレッグと、スイッチング素子Q5,Q6が直列接続されるW相のスイッチングレッグとを有している。インバータ回路230は、直流電源Vsに接続され、更に抵抗Rsに接続されている。
【0024】
U相、V相、W相のスイッチングレッグは、それぞれ上アーム側のスイッチング素子Q1,Q3,Q5と、下アーム側のスイッチング素子Q2,Q4,Q6とを備えている。スイッチング素子Q1,Q3,Q5のエミッタ端子は、それぞれ直流電源Vsの正極に接続されている。スイッチング素子Q1,Q3,Q5のエミッタ端子は、それぞれスイッチング素子Q2,Q4,Q6のコレクタ端子に接続されており、それらの接続点より、それぞれU相、V相、W相の交流信号が出力される。スイッチング素子Q2,Q4,Q6のコレクタ端子は、それぞれ抵抗Rsを介してグランド(直流電源Vsの負極)に接続されている。スイッチング素子Q1~Q6のゲート端子は、それぞれゲートドライバ220に接続される。
【0025】
インバータ回路230は、直流電源Vsから電力の供給を受け、ゲートドライバ220から駆動信号が入力されると、3相交流をモータMのU相配線、V相配線、W相配線に流す。
ゲートドライバ220(モータ駆動部の一部)は、接続されるインバータ回路230との組合せでモータ駆動部を構成し、制御部210に接続される。ゲートドライバ220は、
図1に示す半導体装置100を備え、半導体装置100の上アーム駆動回路30のU相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)8は、上アーム側のスイッチング素子Q1,Q3,Q5に接続される(図示しない下アームについても同様)。
【0026】
制御部210は、例えば回転位置算出部、回転速度算出部、通電タイミング調整部、通電信号生成部(いずれも図示省略)等を備え、マイクロプロセッサに含まれている。なお、各部は、ソフトウェアで実現されて、機能を仮想的に表したものであってもよい。
【0027】
以下、上述のように構成された半導体装置100の動作について説明する。
図3乃至
図6は、
図1の半導体装置100の動作を説明する図である。
図3は、入力IN3にHの信号が入力された直後の過渡時の動作状態を示し、
図4は、
図3のその後の動作状態を示す。
図5は、入力IN3にLの信号が入力された直後の過渡時の動作状態を示し、
図6は、
図5のその後の動作状態を示す。図中の太線がアクティブ状態にある素子および経路を示している。
【0028】
<第1の半導体素子101(HVNM1)ON時>
図3に示すように、半導体装置100の入力IN3にHの信号を入力すると、第1の半導体素子101(HVNM1)の高耐圧素子がONし、HVNM1とHVNM2の中間電位であるHVNM1-2中間電位115がGND電位となる。
【0029】
HVNM1-2中間電位がGND電位になることで、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート-ソース間の電位差が開き、
図4に示すように、HVNM2の高耐圧素子がONする。HVNM2のONにより、レベルシフト回路10が導通し、レベルシフト回路10の抵抗R2に電流を流すことで、レベルシフト回路10は、U相上アーム出力の基準端子(U)9の電位にレベルシフト動作を行う。
【0030】
<第1の半導体素子101(HVNM1)OFF時>
図5に示すように、半導体装置100の入力IN3にLの信号を入力すると、第1の半導体素子101(HVNM1)がOFFする。これにより、HVNM1-2中間電位115が上がる。
このとき、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートは、ツェナーダイオード(VZ)112により、HVNM1-2中間電位115に対してツェナー電圧によりクランプし、高圧が印加しないようにする。ツェナーダイオード(VZ)112だけであると、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートに電荷が残るので、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート-ソース間に抵抗111(R1)を入れており、抵抗111(R1)を介して高圧ダイオード113のからの電流をHVNM1-2中間電位115側に逃がす。
【0031】
その後、
図6に示すように、抵抗R1を通じて第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート電圧をHVNM1-2中間電位115と同電位まで下げることで、HVNM2の高耐圧素子がOFFする。HVNM2のOFFにより、レベルシフト回路10の抵抗12(R2)に電流を流さずGNDの電位にレベルシフト動作を行う。
【0032】
[効果]
以上説明したように、本実施形態の半導体装置100(
図1参照)は、第1の半導体素子101(HVNM1)と、第2の半導体素子102(HVNM2)と、抵抗111(R1)と、ツェナーダイオード(VZ)112と、高圧ダイオード113と、を備え、第1の半導体素子101(HVNM1)のドレインと、第2の半導体素子102(HVNM2)のソースがカスコード接続され、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート-ソース間に、抵抗111(R1)とツェナーダイオード(VZ)112が接続され、第1の半導体素子101(HVNM1)のゲートと、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートの間に、高圧ダイオード113が接続される。
【0033】
この構成により、第1の半導体素子101(HVNM1)をOFFして、HVNM1-2中間電位115が上がった場合であっても、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート電圧をHVNM1-2中間電位115と同電位まで下げて、第2の半導体素子102(HVNM2)をOFFすることができる。これにより、ゲート耐圧が低い高圧素子(HVNM1およびHVNM2)を使用しながら、ゲート破壊を防いでカスコード接続を可能とし、耐圧向上を行うことができる。すなわち、
図1のカスコード接続部110(
図1の破線囲み)に流入する矢印に示すように、ESD電圧が集中する高圧素子として、ゲート耐圧が低い高圧素子を用いることができる。ゲート耐圧が低い高圧素子を用いることができるので、従来の汎用の高圧素子をそのまま使用することができ、コスト低減および汎用部品使用による実施の容易性を実現することができる。また、高耐圧トランジスタの半導体基板上の占有面積は、低耐圧トランジスタの占有面積に比べて大きく、プリドライバICに搭載する場合に障害となるが、この点でも従来の汎用の高圧素子を使用することで、設計の容易化、コスト低減を図ることができる。
【0034】
本実施形態の半導体装置100(
図1参照)において、第1の半導体素子101(HVNM1)をOFFして、HVNM1-2中間電位115が上がった場合、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート電圧を、ツェナーダイオード(VZ)112が、ツェナー電圧にクランプする。
【0035】
このようにすることにより、半導体装置100は、入力IN3にLの信号を入力し、HVNM1がOFFして、HVNM1-2中間電位115が上がる場合、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲートに、高圧が印加しないようにすることができる。
【0036】
本実施形態の半導体装置100(
図1参照)において、さらに、抵抗111(R1)を介して高圧ダイオード113からの電流をHVNM1-2中間電位115側に逃がし、第2の半導体素子102(HVNM2)のゲート電圧をHVNM1とHVNM2の中間電位であるHVNM1-2中間電位115と同電位まで下げて、第2の半導体素子102(HVNM2)をOFFする。
【0037】
このようにすることにより、半導体装置100は、第2の半導体素子102(HVNM2)の高耐圧素子をOFFにより、レベルシフト回路10の抵抗R2に電流を流さずGNDの電位にレベルシフト動作を行うことができる。
【0038】
本実施形態の半導体装置100(
図1参照)において、第2の半導体素子102(HVNM2)を駆動するレベルシフト回路10と、レベルシフト回路10の出力が接続され、モータMを駆動する上アームまたは下アームのスイッチング素子(Q1~Q6)の駆動回路(上アーム駆動回路30)と、が接続される。
【0039】
このようにすることにより、半導体装置100は、例えばプリドライバICで構成されるゲートドライバ220に用いることができ、インバータシステムを有するモータ駆動制御装置や電力変換装置に適用することができる。
【0040】
本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、スイッチング素子としてMOSFETを用いているが、これらに限らず、他の種類の素子を適用することも可能である。なお、デバイスに応じて、主端子やセンス端子の名称が、上述の「ドレイン」および「ソース」に代えて、「コレクタ」および「エミッタ」と呼称される。
【0041】
また、信号線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 基準電源端子
2 低圧電源端子
3 入力信号INを入力する入力端子
4 低耐圧回路
7 U相上アーム駆動回路電源端子(BU)
8 U相上アームゲート駆動用出力端子(PGU)
9 U相上アーム出力の基準端子(U)
10 レベルシフト回路
30 上アーム駆動回路(上アームまたは下アームのスイッチング素子の駆動回路)
100 半導体装置(プリドライバ回路)
101 HVNM1(第1の半導体素子)
102 HVNM2(第2の半導体素子)
110 カスコード接続部
111 R1(抵抗)
112 ツェナーダイオード(VZ)
113 高圧ダイオード
115 HVNM1-2中間電位(第1の半導体素子と第2の半導体素子の中間電位)
200 インバータ装置
210 制御部
220 ゲートドライバ
230 インバータ回路
M モータ