(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146158
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】外装箱及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20241004BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D5/54 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058894
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 和美
【テーマコード(参考)】
3E013
3E060
【Fターム(参考)】
3E013BA21
3E013BB04
3E013BB12
3E013BC01
3E013BC04
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF13
3E013BF25
3E013BF36
3E060AB05
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA19
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】パウチを収容した状態で電子レンジにおいて加熱可能な外装箱であって、パウチを電子レンジで加熱する場合の安全性をより確保可能な外装箱、および上記外装箱とパウチを含む包装体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る外装箱は、正面板、背面板、天面板、底面板、第1側面板及び第2側面板を備え、正面板と底面板は第1方向において対向しており、第1側面板と第2側面板は第2方向において対向しており、正面板、底面板、第1側面板及び第2側面板によって胴部が形成されており、第3方向における胴部の両端部には天面板及び底面板が連結されており、正面板には第1開封誘導線が形成されており、第1側面板には第2開封誘導線が形成されており、第2側面板には第3開封誘導線が形成されており、背面板には第4開封誘導線及び第5開封誘導線が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱によって生じた蒸気を抜くための蒸気抜き部を有するパウチを収容するとともに、前記パウチを収容した状態で電子レンジ加熱される外装箱であって、
前記パウチを収容する収容空間を形成する正面板、背面板、天面板、底面板、第1側面板及び第2側面板を備え、
前記正面板と前記底面板は第1方向において対向しており、
前記第1側面板と前記第2側面板は、前記第1方向に直交する第2方向において対向しており、
前記正面板、前記底面板、前記第1側面板及び前記第2側面板によって胴部が形成されており、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記胴部の一方の端部には前記天面板が連結され、他方の端部には前記底面板が連結されており、
前記正面板には、前記胴部において前記正面板と前記第1側面板によって構成される第1縁部と、前記胴部において前記正面板と前記第2側面板によって構成される第2縁部との間にわたって第1開封誘導線が形成されており、
前記第1側面板には、前記第1開封誘導線の前記第1縁部上の第1端から、前記胴部において前記第1側面板と前記底面板によって構成される第3縁部に向けて第2開封誘導線が形成されており、
前記第2側面板には、前記第1開封誘導線の前記第2縁部上の第2端から、前記胴部において前記第2側面板と前記底面板によって構成される第4縁部に向けて第3開封誘導線が形成されており、
前記背面板には、前記第1側面板、前記底面板及び前記天面板によって構成される第1角部を囲むように前記第3縁部における前記第3開封誘導線の第3端から、前記底面板と前記天面板の連結部に向けて第4開封誘導線が形成されており、
前記背面板には、前記第2側面板、前記底面板及び前記天面板によって構成される第2角部を囲むように、前記第4開封誘導線の前記第4縁部上の第4端から、前記連結部に向けて第5開封誘導線が形成されている、
外装箱。
【請求項2】
前記第1開封誘導線は、前記第1端及び前記第2端に対して前記底面板寄りに位置する頂部を有し、
前記天面板から前記頂部までの長さをT1とし、前記正面板の前記第3方向の長さをL1としたとき、前記T1は、前記L1の35%上且つ45%以下である、
請求項1に記載の外装箱。
【請求項3】
前記第1開封誘導線は、前記第1端及び前記第2端に対して前記底面板寄りに位置する頂部を有し、
前記第1端から前記頂部に向けて延びる第1直線領域と、
前記第2端から前記頂部に向けて延びる第2直線領域と、
を有し、
前記第1直線領域及び前記第2直線領域それぞれと、前記第3方向に直交する平面の間の角度は20度以上且つ30度以下である、
請求項1に記載の外装箱。
【請求項4】
前記背面板において前記第4開封誘導線で囲まれる領域および前記背面板において前記第5開封誘導線で囲まれる領域をストッパ領域と称した場合、前記第4開封誘導線および前記第5開封誘導線それぞれは、前記ストッパ領域の重心を、デジタルフォースゲージに取り付けられた直径が5mmの円形の押し込み用先端子を押し込んだ場合におけるピーク強度が13.2N以上であるように、形成されている、
請求項1に記載の外装箱。
【請求項5】
加熱によって生じた内圧を逃がすための蒸気抜き部を有するパウチと、
前記パウチを収容する請求項1~4の何れか1項に記載の外装箱と、
を備えており、
前記パウチは、前記パウチの天部が前記天面板に対向するとともに、前記蒸気抜き部が前記正面板に対向するように、前記外装箱に収容されている、
包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外装箱及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において、特許文献1に記載の包装体が知られている。上記包装体は、蒸気抜き部を有するパウチと、パウチを収容する箱体とを有する。箱体は、開封可能な開封部を有する。上記包装体では、パウチを加熱する場合、開封部を開封し、パウチの蒸気抜き部を露出させる。これにより、箱体に収容されたパウチを電子レンジで加熱できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、パウチを電子レンジで加熱する際、開封部は、パウチの蒸気抜き部に対向配置されている。この場合、蒸気抜き部から吹き出した蒸気は開封部で止められる。そのため、例えば、加熱されたパウチを電子レンジから取り出す際に、蒸気抜き部から蒸気が吹き出ていても蒸気がユーザに吹き付けられることを抑制できている。この点で、安全性の確保が図られているが、更なる安全性の確保が求められている。
【0005】
本発明は、パウチを収容した状態で電子レンジにおいて加熱可能な外装箱であって、パウチを電子レンジで加熱する場合の安全性をより確保可能な外装箱、および上記外装箱とパウチを含む包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一側面に係る外装箱は、加熱によって生じた蒸気を抜くための蒸気抜き部を有するパウチを収容するとともに、上記パウチを収容した状態で電子レンジ加熱される外装箱であって、上記パウチを収容する収容空間を形成する正面板、背面板、天面板、底面板、第1側面板及び第2側面板を備え、上記正面板と上記底面板は第1方向において対向しており、上記第1側面板と上記第2側面板は、上記第1方向に直交する第2方向において対向しており、上記正面板、上記底面板、上記第1側面板及び上記第2側面板によって胴部が形成されており、上記第1方向及び上記第2方向に直交する第3方向における上記胴部の一方の端部には上記天面板が連結され、他方の端部には上記底面板が連結されており、上記正面板には、上記胴部において上記正面板と上記第1側面板によって構成される第1縁部と、上記胴部において上記正面板と上記第2側面板によって構成される第2縁部との間にわたって第1開封誘導線が形成されており、上記第1側面板には、上記第1開封誘導線の上記第1縁部上の第1端から、上記胴部において上記第1側面板と上記底面板によって構成される第3縁部に向けて第2開封誘導線が形成されており、上記第2側面板には、上記第1開封誘導線の上記第2縁部上の第2端から、上記胴部において上記第2側面板と上記底面板によって構成される第4縁部に向けて第3開封誘導線が形成されており、上記背面板には、上記第1側面板、上記底面板及び上記天面板によって構成される第1角部を囲むように上記第3縁部における上記第3開封誘導線の第3端から、上記底面板と上記天面板の連結部に向けて第4開封誘導線が形成されており、上記背面板には、上記第2側面板、上記底面板及び上記天面板によって構成される第2角部を囲むように、上記第4開封誘導線の上記第4縁部上の第4端から、上記連結部に向けて第5開封誘導線が形成されている。
【0007】
上記構成では、第1開封誘導線、第2開封誘導線、第3開封誘導線、第4開封誘導線及び第5開封誘導線によって外装箱を開封できる。これにより、パウチを外装箱に収容した状態で、パウチの蒸気抜き部を露出できる。上記のように外装箱を開封した場合、開封された外装箱における天面板側の部分(以下、説明の便宜のため「開封部」と称す)をパウチと反対方向に折り曲げ且つ上記蒸気抜き部と開封部に含まれる正面板とを対向するようにしておけば、外装箱に収容されたパウチを電子レンジで加熱した場合、蒸気抜き部から吹き出す蒸気は、開封部で遮断される。そのため、例えば、加熱されたパウチを電子レンジから取り出す際も、蒸気抜き部からの蒸気がユーザに吹き付けられないので、安全性が確保できている。
【0008】
上記構成では、第1角部を囲む第4開封誘導線と、第2角部を囲む第5開封誘導線とが背面板に形成されている。この場合、外装板を開封した段階で、背面板において、第4開封誘導線で囲まれる領域(以下、「第1所定領域」と称す)と、第5開封誘導線で囲まれる領域(以下、「第2所定領域」と称す)とを、外装箱(より具体的には、開封部)の内側に折り曲げることが可能である。このように折り曲げられた第1所定領域及び第2所定領域は、例えば加熱開始時の開封部の状態からパウチ側に傾むくことを防止するストッパとして機能する。これにより、蒸気の遮断効果が有効な開封部の位置(又は姿勢)を維持できるので、上記外装箱では、パウチを電子レンジで加熱する場合の安全性をより確保できる。
【0009】
[2]上記[1]に記載の外装箱において、上記第1開封誘導線は、上記第1端及び上記第2端に対して上記底面板寄りに位置する頂部を有し、上記天面板から上記頂部までの長さをT1とし、上記正面板の上記第3方向の長さをL1としたとき、上記T1は、上記L1の35%以上且つ45%以下であってもよい。この場合、開封部の機能(例えば蒸気の遮断機能)を確保しながら、外装箱12の開封性を確保できる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]に記載の外装箱において、上記第1開封誘導線は、記第1端及び上記第2端に対して上記底面板寄りに位置する頂部を有し、上記第1端から上記頂部に向けて延びる第1直線領域と、上記第2端から上記頂部に向けて延びる第2直線領域と、を有し、上記第1直線領域及び上記第2直線領域それぞれと、上記第3方向に直交する平面の間の角度は20度以上且つ30度以下であってもよい。この場合、開封部の機能(例えば蒸気の遮断機能)を確保しながら、外装箱12の開封性を確保できる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]の何れかに記載の外装箱において、上記背面板において上記第4開封誘導線で囲まれる領域および上記背面板において上記第5開封誘導線で囲まれる領域をストッパ領域と称した場合、上記第4開封誘導線および上記第5開封誘導線それぞれは、上記ストッパ域の重心を、デジタルフォースゲージに取り付けられた直径が5mmの円形の押し込み用先端子を押し込んだ場合におけるピーク強度が13.2N以上であるように、形成されていてもよい。
【0012】
[5]本発明の他の側面に係る包装体は、加熱によって生じた内圧を逃がすための蒸気抜き部を有するパウチと、上記パウチを収容する上記[1]~[4]の何れかに記載の外装箱と、を備えており、上記パウチは、上記パウチの天部が上記天面板に対向するとともに、上記蒸気抜き部が上記正面板に対向するように、上記外装箱に収容されている。この包装体は、上記包装体は上記外装箱を備えているので、パウチを電子レンジで加熱する場合の安全性をより確保である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パウチを収容した状態で電子レンジにおいて加熱可能な外装箱であって、パウチを電子レンジで加熱する場合の安全性をより確保可能な外装箱、および上記外装箱とパウチを含む包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一側面に係る包装体の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した包装体を異なる方向からみた場合の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した包装体のIII-III線に沿った断面構成の模式図である。
【
図4】
図4に示した包装体の使用状態を示す図面である。
【
図5】
図5は、
図4に示した使用状態の包装体の側面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した包装体1が有する外装箱のブランクの一例である。
【
図7】
図7(a)は、サンプル1Aの第4開封誘導線を説明するための模式図であり、
図7(b)は、サンプル1Bの第4開封誘導線を説明するための模式図である。
【
図8】
図8(a)は、サンプル1Cの第4開封誘導線を説明するための模式図であり、
図8(b)は、サンプル1Dの第4開封誘導線を説明するための模式図である。
【
図9】
図9(a)は、サンプル1Eの第4開封誘導線を説明するための模式図であり、
図9(b)は、サンプル1Fの第4開封誘導線を説明するための模式図である。
【
図10】
図10(a)は、サンプル1Gの第4開封誘導線を説明するための模式図であり、
図10(b)は、サンプル1Hの第4開封誘導線を説明するための模式図である。
【
図11】
図11(a)は、サンプル1Iの第4開封誘導線を説明するための模式図であり、
図11(b)は、サンプル1Jの第4開封誘導線を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、曲線領域を有する場合の第4開封誘導線の設計方法の一例を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0016】
図1は、本発明の一側面に係る包装体の斜視図である。
図2は、
図1に示した包装体10を異なる方向からみた場合の斜視図である。
図3は、
図1に示した包装体10のIII-III線に沿った断面構成の模式図である。
図4は、
図1に示した包装体10の使用状態を示す図面である。
図5は、
図4に示した使用状態の包装体10の側面図である。図は、
図1に示した包装体10が有する外装箱12の展開図である。以下では、
図1に示したX方向(第2方向)、Y方向(第1方向)及びZ方向(第3方向)を包装体10の説明に使用する場合もある。X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交している。
【0017】
包装体10は、外装箱12と、外装箱12に収容されるパウチ14(
図3、
図4及び
図5参照)とを備える。
【0018】
図3、
図4及び
図5に示したパウチ14は、電子レンジ加熱によって調理される内容物16を収容する包装袋である。内容物16は食品であり、食品の例は、カレー、シチュー、酢豚、ミートボール、八宝菜などである。パウチ14には、電子レンジ加熱によって生じた蒸気を抜くための蒸気抜き部18が設けられている。
【0019】
図4及び
図5に例示したパウチ14は、平パウチである。
図4及び
図5に例示したパウチ14は、パウチ14を構成するプラスチックシートが合掌状にシールされた合掌部20を有する、上記合掌部20を有するパウチ14では、合掌部20に蒸気抜き部18が形成されている。
【0020】
蒸気抜き部18は、電子レンジ加熱の際に生じた蒸気が抜けるように構成されている。例えば、蒸気抜き部18は、電子レンジ加熱によって生じた蒸気によってパウチ14の内圧が増加した場合、最初に剥離するように構成されたシール部でもよい。この場合、蒸気抜き部18の部分が最初に剥離されることによって、パウチ14の内側と外側が部分的に連通する。これによって、パウチ14内の蒸気を抜くことができる。
【0021】
外装箱12は、パウチ14を収容する角型の箱である。外装箱12の大きさは、収容するパウチ14の大きさに応じている。外装箱12のZ方向の長さL1の例は、170mm以上且つ180mm以下である。外装箱12のX方向の長さL2の例は、130mm以上且つ140mm以下である。外装箱12のY方向の長さL3の例は、15mm以上且つ25mm以下である。
【0022】
外装箱12は、パウチ14を収容した状態で電子レンジによって加熱される。外装箱12は、正面板22と、背面板24と、第1側面板26と、第2側面板28と、天面板30と、底面板32とを有する。正面板22、背面板24、第1側面板26、第2側面板28、天面板30及び底面板32は、パウチ14を収容する収容空間S(
図3参照)を形成している。背面板24は、パウチ14を収容した状態で電子レンジ加熱される際に、電子レンジ内における包装体10の設置面に接する部分である。
【0023】
図1~
図3に示したように、正面板22と背面板24は、Y方向において対向している。第1側面板26と第2側面板28は、X方向において対向している。第1側面板26と第2側面板28は、正面板22及び背面板24を連結している。具体的には、第1側面板26と第2側面板28は、正面板22及び背面板24の対向する側辺を連結している。このように正面板22及び背面板24が第1側面板26と第2側面板28によって連結されることによって、角筒状の胴部34が形成されている。
【0024】
天面板30と底面板32とはZ方向において対向している。天面板30は、Z方向における胴部34の一方の端部34aに配置されている。天面板30は、正面板22、背面板24、第1側面板26及び第2側面板28のZ方向の一方の端部(端部34aを構成する部分)に連結されている。底面板32は、Z方向における胴部34の他方の端部34bに配置されている。底面板32は、正面板22、背面板24、第1側面板26及び第2側面板28のZ方向の他方の端部(端部34bを構成する部分)に連結されている。
【0025】
外装箱12を構成する正面板22、背面板24、第1側面板26、第2側面板28、天面板30及び底面板32は、電子レンジ加熱用の外装箱12に用いられる材料によって構成されていればよい。
【0026】
正面板22、背面板24、第1側面板26、第2側面板28、天面板30及び底面板32には、例えばコートボール紙、カード紙などが用いられる。外装箱12に収容されるパウチ14の重量によって異なるが、外装箱12に用いられる紙の坪量は、例えば、120g/m2以上且つ400g/m2以下である。外装箱12に用いられる紙の密度は、例えば、0.6g/cm3以上且つ1.1g/cm3以下である。
【0027】
外装箱12(具体的には、正面板22、背面板24等)の内面及び外面の少なくとも一方はポリエチレンなどの樹脂でコートされていてもよい。したがって、正面板22、背面板24等は、上記樹脂でコートされているとともに、上述した坪量及び密度を有するコートボール紙又はカード紙によって構成され得る。
【0028】
外装箱12は、包装体10の使用時、すなわち、電子レンジで加熱される際には、
図4及び
図5に示したように、胴部34のうち天面板30寄りの部分が開封される。このように外装箱12を開封するために、胴部34には、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44が形成されている。
【0029】
第1開封誘導線36は、正面板22において、第1縁部46から第2縁部48にわたって形成されている。第1縁部46は、外装箱12において、正面板22と第1側面板26とが連結されている縁部である。第2縁部48は、外装箱12において、正面板22と第2側面板28とが連結されている縁部である。第1縁部46及び第2縁部48は、正面板22におけるZ方向に延びる側辺に対応する。第1開封誘導線36は、例えばミシン目である。
【0030】
第1開封誘導線36は、天面板30から底面板32に向けて凸状である。具体的には、第1開封誘導線36は、第1開封誘導線36の端(第1端)50及び端(第2端)52より底面板32寄りに位置する頂部54(先端部)を有する。端50は、第1開封誘導線36における第1縁部46上の端である。端52は、第1開封誘導線36における第2縁部48上の端である。X方向における頂部54の位置は限定されないが、本実施形態において、頂部54は、正面板22においてX方向の中央に位置する。
【0031】
Z方向において、天面板30から頂部54までの長さT1は、例えば長さL1の35%以上且つ45%以下である。長さT1の例は、65mm以上且つ75mm以下である。
【0032】
Z方向において、天面板30から端50までの長さT2aは、例えば長さL1の20%以上且つ30%以下である。長さT2aの例は、35mm以上且つ50mm以下である。
【0033】
Z方向において、天面板30から端52までの長さT2bは、例えば長さL1の20%以上且つ30%以下である。長さT2bの例は、35mm以上且つ50mm以下である。
【0034】
第1開封誘導線36は、端50から頂部54に向かう第1直線領域56と、端52から頂部54に向かう第2直線領域58とを有してよい。第1直線領域56と、Z方向に直交する平面Pとの間の角度θ1の例は、20度以上且つ30度以下である。第2直線領域58と、Z方向に直交する平面Pとの間の角度θ2の例は、20度以上且つ30度以下である。
【0035】
第1開封誘導線36は、頂部54を含む曲線領域60を有してもよい。曲線領域60における端50寄りの端60aと端50との間が第1直線領域56であってよい。曲線領域60における端52寄りの端60bと端52との間が第2直線領域58であってよい。前述した「端50から頂部54に向かう第1直線領域56」の概念は、曲線領域60の端60aと端50との間が第1直線領域56である場合を含む。前述した「端52から頂部54に向かう第2直線領域58」の概念は、曲線領域60の端60bと端52との間が第2直線領域58である場合を含む。
【0036】
正面板22には、頂部54(又は曲線領域60)を囲むように第6開封誘導線62が形成されていてもよい。この場合、頂部54と第6開封誘導線62の間の領域をユーザ(購入者)が押すことで、指を指し込める開口が形成される。この開口に指を差し込むことで、外装箱12を開封し易い。
【0037】
第2開封誘導線38は、第1側面板26において、第1縁部46から第3縁部64にわたって形成されている。第2開封誘導線38における第1縁部46上の端は端50と同じである。第3縁部64は、外装箱12において、第1側面板26と背面板24を連結している縁部である。第3縁部64は、第1側面板26及び背面板24それぞれにおけるZ方向に延びる側辺に対応する。第2開封誘導線38は,例えばミシン目である。
【0038】
第2開封誘導線38における第3縁部64上の端(第3端)66と天面板30との間の長さT3aは、長さT2aよりも短い。長さT3aは、例えば長さL1の15%以上且つ25%以下である。長さT3aの例は、25mm以上且つ40mm以下である。
【0039】
第2開封誘導線38は直線状でよい。この場合、第2開封誘導線38と平面Pとの間の角度の例は、角度θ1の例と同じでよい。第2開封誘導線38と平面Pとの間の角度は角度θ1と同じでよい。
【0040】
第3開封誘導線40は、
図2に示したように、第2側面板28において、第2縁部48から第4縁部68にわたって形成されている。第3開封誘導線40における第2縁部48上の端は端52と同じである。第4縁部68は、外装箱12において、第2側面板28と背面板24が連結されている縁部である。第4縁部68は、第2側面板28及び背面板24それぞれにおけるZ方向に延びる側辺に対応する。第3開封誘導線40は,例えばミシン目である。
【0041】
第3開封誘導線40における第4縁部68上の端(第4端)70と天面板30との間の長さT3bは、長さT2bおり短い。長さT3bの例は、長さT3aと同じである。長さT3bは、長さT3aと同じでよい。
【0042】
第3開封誘導線40は、直線状でよい。この場合、第3開封誘導線40と平面Pとの間の角度の例は、角度θ2の例と同じでよい。第3開封誘導線40と平面Pとの間の角度は角度θ1と同じでよい。
【0043】
図2に示したように、第4開封誘導線42は、背面板24に形成されている。第4開封誘導線42は、胴部34の第1角部72を囲むように第3縁部64から第5縁部74(連結部)に向けて形成されている。第1角部72は、第1側面板26、背面板24及び天面板30によって構成される部分である。第5縁部74は、外装箱12において、天面板30と背面板24を連結している縁部であり、天面板30と背面板24の連結部である。第4開封誘導線42における第3縁部64上の端は端66と同じである。
【0044】
第4開封誘導線42の形状及び第4開封誘導線42で囲まれる領域76の大きさは、領域76が後述するストッパ機能を有するように設定されている。
【0045】
第4開封誘導線42における第5縁部74上の端(第5端)78と、第1角部72との間の長さT4aの例は、長さL2の5%以上且つ20%以下である。長さT4aの例は、10mm以上且つ25mm以下である。
【0046】
第5開封誘導線44は、背面板24に形成されている。第5開封誘導線44は、胴部34の第2角部80を囲むように第4縁部68から第5縁部74(連結部)に向けて形成されている。第2角部80は、第2側面板28、背面板24及び天面板30によって構成される部分である。第5開封誘導線44における第4縁部68上の端は端70と同じである。
【0047】
第5開封誘導線44の形状及び第5開封誘導線44で囲まれる領域82の大きさは、領域82が後述するストッパ機能を有するように設定されている。
【0048】
第5開封誘導線44における第5縁部74上の端(第6端)84と、第2角部80との間の長さT4bの例は長さT4aの場合と同じである。長さT4bは、長さT4aと同じでよい。
【0049】
第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、
図2に示したように曲線領域2を有してよい。曲線領域2を有する場合の第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の形状は、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の設計方法の一例(以下、「設計方法DM」と称す)に基づいた形状である。
図12を利用して、上記設計方法DMを説明する。曲線領域2を有する場合の第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の設計方法は同じであるため、第4開封誘導線42の場合を説明する。
【0050】
[設計方法DM]
まず、
図12の二点鎖線で示したように、台形の領域76を規定するように第4開封誘導線42を暫定的に設計する。
図12に示した第4開封誘導線42は、端66から斜めに且つ直線状に延びる設計線4aと、端78からZ方向に沿って且つ直線状に延びる設計線4bとを有する。設計線4aと平面P(天面板30又は底面板32に平行な面)との間の角度の例は、角度θ1と同じである。設計線4aと設計線4bの交点4cは、台形の領域76において第1角部72と対向する角部である。設計線4aと設計線4bに接する円を想定した場合において、上記円と設計線4aと設計線4bの接点を接点4dと称す。上記円のうちの2つの接点4d,4dの間の円弧が曲線領域2である。設計線4a、曲線領域2及び設計線4bで構成される部分(すなわち、端66、接点4d、曲線領域2、接点4d及び端78で構成される部分)が、第4開封誘導線42に対応する。
【0051】
前述したように、第4開封誘導線42の場合について上記設計方法DMを説明したが、第5開封誘導線45の場合は、上記設計方法における第4開封誘導線42、領域76、端66及び端78を、第5開封誘導線44、領域82、端70及び端84に読み替えれば良い。
【0052】
第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、
図12に示したように、曲線領域2を形成する前の台形状に形成されてもよい。この場合、交点2cの部分は若干丸められてもよい。
【0053】
第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44それぞれは、次の条件αを満たすように形成されてもよい。条件αでは、領域76及び領域82をストッパ領域と称している。
[条件α]
ストッパ領域の重心を、デジタルフォースゲージに取り付けられた直径が5mmの円形の押し込み用先端子を押し込んだ場合におけるピーク強度が13.2N以上である。
【0054】
上記デジタルフォースゲージの例は、アイコーエンジニアリング社製のデジタルフォースゲージ MODEL-9500シリーズである。上記ピーク強度は、ピーク強度を測定している領域76及び領域82に対応する第4開封誘導線42又は第5開封誘導線44が破断したときの強度である。
【0055】
条件αを満たす第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、それらの形状(例えば曲線領域2の曲率半径、長さT4a,T4b、長さT3a,T3bの長さなど)、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44をミシン目で形成する場合、切れ目の長さ、繋ぎ目(隣接する切れ目の間の領域)の長さなど調整することによって形成され得る。
【0056】
本実施形態において、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は繋がっている。したがって、外装箱12には、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44を有する一つの開封誘導線86(
図1参照)が、正面板22から第1側面板26及び第2側面板28を通って背面板24の一部まで延びている。
【0057】
開封誘導線86は、正面板22のX方向における中央部をとおり且つX方向に直交する仮想平面において対称に形成されてもよい。この場合、第2開封誘導線38及び第3開封誘導線40は、上記仮想平面に対して対称であり、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44も上記仮想平面に対して対称であり、領域76及び領域82も上記仮想平面に対して対称である。
【0058】
一実施形態において、外装箱12は、以下の要件を全て満たす箱でよい。
・第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は繋がっており、一つの開封誘導線86を構成している。
・開封誘導線86は、正面板22のX方向における中央部をとおり且つX方向に直交する仮想平面において対称に形成されている。
・第1開封誘導線36は、頂部54を含む曲線領域60と、第1直線領域56と、第2直線領域58を有する。
・正面板22には第6開封誘導線62が形成されている。
・第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、曲線領域2を有する。
・第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44(又は領域76及び領域82)は条件αを満たすように形成されている。
【0059】
図6は、外装箱12のブランク88の一例である。
図6は、外装箱12の展開図の一例でもある。外装箱12における対応する部分には同じ符号を付して、ブランク88を説明するが、ブランク88は一枚のシートであり、ブランク88の説明において、正面板22、背面板24などは、一枚のシートにおける正面板22、背面板24等に対応する領域である。以下のブランク88の説明において方向を示す用語(「上」、「下」、「右」、「左」等)は、
図6に基づいた用語である。説明において、
図6に示したX方向及びZ方向を使用する場合もある。
図6に示したX方向及びZ方向は、
図1に示したX方向及びZ方向に対応する。
【0060】
ブランク88では、正面板22の右側に、Z方向に延びる第1折り曲げ線90を介して第1側面板26が設けられている。正面板22の左側辺には第1折り曲げ線90を介して側面接合片92が設けられている。側面接合片92は、ブランク88から外装箱12を形成した場合に第2側面板28と接合される部分である。正面板22の上側にはX方向に延びる第2折り曲げ線94を介して天面接合片96が設けられている。正面板22の下側には第2折り曲げ線94を介して底面接合片98が設けられている。第1側面板26の右側には、第1折り曲げ線90を介して背面板24が設けられている。第1側面板26の上側には第2折り曲げ線94を介して折り込み片100が設けられている。第2側面板28の上側には第2折り曲げ線94を介して折り込み片102が設けられている。
【0061】
背面板24の右側には、第1折り曲げ線90を介して第2側面板28が設けられている。背面板24の上側には、第2折り曲げ線94を介して天面板30が設けられている。背面板24の下側には、第2折り曲げ線94を介して底面板32が設けられている。第2側面板28の上側には第2折り曲げ線94を介して折り込み片104が設けられている。第2側面板28の下側には第2折り曲げ線94を介して折り込み片106が設けられている。
【0062】
図6に示したように、正面板22には第1開封誘導線36が形成されている。第1側面板26には、第2開封誘導線38が形成されている。背面板24には、第4開封誘導線42と第5開封誘導線44が形成されている。第2側面板28及び側面接合片92には、第3開封誘導線40が形成されている。ブランク88から外装箱12を形成した場合に、第2側面板28は側面接合片92上に配置される。側面接合片92の第3開封誘導線40は、側面接合片92上に第2側面板28が配置された場合に、第2側面板28の第3開封誘導線40と一致するように形成されている。
【0063】
第1開封誘導線36、第1側面板26及び側面接合片92の第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、ミシン目として形成されてよい。
【0064】
上記ブランク88を用いてパウチ14を収納した外装箱12を製函するには、第1折り曲げ線90に沿って側面接合片92、正面板22、第1側面板26、背面板24及び第2側面板28を順次折り曲げた後、側面接合片92上に第2側面板28を配置してそれらを接着させ、筒状スリーブに組み立てる。その後、筒状スリーブ内にパウチ14を収容する。この際、蒸気抜き部18が天面板30寄りに位置するとともに、蒸気抜き部18が正面板22と対向するように、パウチ14を上記筒状スリーブ内に収容する。
【0065】
次いで、底面接合片98、折り曲げ片102、折り曲げ片106及び底面板32を第2折り曲げ線94に沿って折り曲げ、接着する。この際、底面接合片98上に底面板32が位置するとともに、それらの間に折り曲げ片102,106が位置するように、底面接合片98、折り曲げ片102、折り曲げ片106及び底面板32を折り曲げる。同様に、天面接合片96、折り曲げ片100、折り曲げ片104及び天面板30を第2折り曲げ線94に沿って折り曲げ、接着する。この際、天面接合片96上に天面板30が位置するとともに、それらの間に折り曲げ片100,104が位置するように、天面接合片96、折り曲げ片100、折り曲げ片102及び天面板30を折り曲げる。
【0066】
上記により、パウチ14を収納した外装箱12が製函され、結果、包装体10が得られる。
【0067】
ユーザが包装体10を電子レンジ加熱する場合、
図4及び
図5に示したように、外装箱12を開封して、パウチ14の天部108側を外装箱12から露出させる。具体的には、正面板22に形成された第1開封誘導線36(例えば、頂部54の部分)から第2開封誘導線38を介して第4開封誘導線42まで及び第3開封誘導線40を介して第5開封誘導線44まで順次破断して、外装箱12を開封する。開封された外装箱12の天面部を含む部分を、開封部110と称す。
【0068】
外装箱12を開封した後、第4縁部68を軸として、パウチ14の天部108及び蒸気抜き部18が露出するように、開封部110を後側に折り曲げる。この状態で、
図6に示したように、領域76及び領域82を内側に向けて折り曲げる。具体的には、領域76及び領域82を、正面板22のうち開封部110に含まれる部分に対向するように領域76及び領域82を折り曲げる。その後、外装箱12の背面板24が電子レンジの外装箱12(包装体10)の設置箇所の表面112(電子レンジ内のトレーの表面など)に接するようにパウチ14が収容された外装箱12を配置する。この際、開封部110が有する天面板30も上記表面112に付ける。この状態で外装箱12に収容されたパウチ14を電子レンジ内で加熱する。
【0069】
上記外装箱12及びそれを含む包装体10では、パウチ14を電子レンジ加熱する場合、
図6に示したように、パウチ14の天部108の側方に開封部110(具体的には、正面板22のうち開封部110に含まれる部分)が位置している。パウチ14は、開封前の外装箱12において、蒸気抜き部18が天面板30寄りに位置するように収容されている。そのため、外装箱12を電子レンジに設置した状態では、開封部110(より具体的には、開封部110に含まれる正面板22)は、蒸気抜き部18の側方に位置する。この場合、加熱されたパウチ14の蒸気抜き部18から蒸気が噴き出した場合、蒸気は開封部110に向けて吹き出す。そのため、開封部110は蒸気を受ける(又は遮断する)壁として機能する。これにより、例えば、電子レンジ加熱後にすぐにユーザがパウチ14を取り出す際等に蒸気抜き部18から吹き出している蒸気にユーザが接しにくいことから、安全性を確保できる。
【0070】
開封部110が壁として機能することから、万が一、電子レンジ加熱中に、天部108又は蒸気抜き部18から内容物16が吹き出したとしても、内容物16が電子レンジ内の壁面などを汚すことを防止できる。
【0071】
壁としての開封部110の高さは、長さT1に対応する。従って、長さT1は上記壁としての機能を確保可能な長さに設定されている。長さT1が例示した範囲である場合、上記壁の機能を確保しながら、外装箱12の開封性を確保できる。
【0072】
図1に示した角度θ1及び角度θ2が例示した範囲である場合、壁としての機能し得る開封部110の大きさ(具体的には、開封部110が有する正面板22の大きさ)を確保できるとともに,開封性も確保できる。
【0073】
外装箱12にパウチ14を入れて電子レンジ加熱していることから、電子レンジからパウチ14を取り出す際に、加熱されたパウチ14を外装箱12に収容した状態で電子レンジから取り出せる。この場合、開封部110側を持つことによって、確実にパウチ14を外装箱12に収容した状態で外装箱12を取り出すことが、通常想定されている。しかしながら、外装箱12の底面板32側を持って外装箱12が取り出される場合も生じ得る。このような場合において、外装箱12の底面板32側が持ち上げられることでパウチ14が開封部110側に滑っても開封部110によって受けられる。そのため、加熱されたパウチが外装箱12の外部に落ちることを防止できている。
【0074】
上記外装箱12及びそれを含む包装体10では、パウチ14を電子レンジ加熱する場合、領域76及び領域82が内側に折り曲げられている。これにより、上記のように壁として機能する開封部110の設置状態を維持し易い。より具体的には、例えば、領域76及び領域82は、開封部110がパウチ14側に傾くことを防止するストッパとして機能する。すなわち、領域76及び領域82はストッパ機能を有する。そのため、包装体10の製造段階で想定された状態で、開封部110が使用されることから、上記安全性をより確保できる。
【0075】
更に、電子レンジから外装箱12を取り出す際に、外装箱12の底面板32側が持ち上げられることでパウチ14が開封部110側に滑ったとしても、領域76及び領域82がパウチ14を止めるストッパとして機能する。そのため、高温に加熱されたパウチ14に直接ユーザが触れる機会をより低減できるので、安全性の確保がより図れている。
【0076】
上記外装箱12の構成では、領域76及び領域82が内側に折り曲げることによって、開封部110の機能を確保するための位置(或いは姿勢)に開封部110を維持している。そのため、公知の外装箱の製造装置において、開封誘導線の形成位置を調整するだけで、容易に外装箱12を製造可能である。
【0077】
第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44(又は領域76及び領域82)は条件αを満たすように形成されている形態では、外装箱12を運搬中においても第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44が意図せずに破断することが生じにくい。
【0078】
次に実験例を説明する。
【0079】
実験例1では、外装箱12のサンプル1A、サンプル1B、サンプル1C、サンプル1D、サンプル1E、サンプル1F、サンプル1G、サンプル1H、サンプル1I及びサンプル1Jを作製した。
【0080】
サンプル1A~1Jは、
図1及び
図2を用いて説明した外装箱12の構成を有していた。サンプル1A~1Jは、ストッパとして機能する領域76(又は領域82)を規定する第4開封誘導線42(又は第5開封誘導線44)の構成を変更している点以外は、同じ構成を有していた。サンプル1A~1Jにおける共通の構成をまず説明する。
【0081】
サンプル1A~1Jは、
図1及び
図2に示したように直方体の外装箱12であった。
図1に示した長さL1、長さL2及び長さL3は次のとおりであった。
長さL1(高さ):175mm
長さL2(幅):137mm
長さL3(奥行き):20mm
【0082】
サンプル1A~1Jは、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44を有していた。
【0083】
第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44は、複数の切れ目が間隔を空けて配置されたミシン目であった。ミシン目において隣接する切れ目の間の領域を「繋ぎ目」と称す。上記切れ目は、正面板22など外装箱12において第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44が形成されるべき部分にミシン刃で傷加工を施すことによって形成した。
【0084】
サンプル1A~1Jは、
図1において、正面板22のX方向における中央部をとおり且つX方向に直交する仮想平面に対して対称な構成を有していた。
【0085】
図1及び
図2に示した長さT1,長さT2a、長さT2b、長さT3a,長さT3b,角度θ1及び角度θ2は、次のとおりであった。
長さT1:70mm
長さT2a,T2b:42.5mm
長さT3a,T3b:33mm
角度θ1,θ2:25度
【0086】
サンプル1A~1Jは、
図6に示したブランク88を準備し、それを組み立てることで製造された。ブランク88は、OKボール裏ネズ(坪量:350g/m
2)によって構成されていた。
【0087】
次にサンプル1A~1Jにおいて、ストッパとして機能する領域76(又は領域82)を規定する第4開封誘導線42(又は第5開封誘導線44)の構成を
図7~
図11を利用して説明する。前述したように、サンプル1A~1Jは、正面板22のX方向における中央部をとおり且つX方向に直交する仮想平面に対して対称な構成を有することから、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線43も上記仮想平面に対して対称である。よって、領域76を規定する第4開封誘導線42を説明する。
図7~
図11に示したように、サンプル1A~1Jが有する第4開封誘導線42は、5つの切れ目6a,6b,6c,6d,6eを有していた。切れ目6a~6eは、端66から端78に向けて切れ目6a、切れ目6b、切れ目6c、切れ目6d及び切れ目6eの順に配置されていた。
【0088】
図7(a)は、サンプル1Aの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図7(a)における各寸法の単位は「mm」である。
図7(a)に示したように、サンプル1Aにおいて、長さT4aは10mmであった。サンプル1Aにおける第4開封誘導線42は曲線領域2を有しており、曲線領域2は、切れ目6bによって形成されていた。曲線領域2の曲率半径は5mmであった。サンプル1Aにおける切れ目6a,6b,6c,6d,6eの長さ及び繋ぎ目(隣接する切れ目の間の領域)長さは、次のとおりであった。実験例の説明において、切れ目及び繋ぎ目の寸法は、小数点以下1桁に丸めた数字である。
切れ目6aの長さ:5mm
切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6bの長さ:9mm
切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6cの長さ:5mm
切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6dの長さ:5mm
切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6eの長さ:8mm
【0089】
図7(a)に示したように、切れ目6b~6eは、領域76側に屈曲した屈曲部8を有していた。屈曲部8の長さは2.5mmであり、屈曲角θ3は135度であった。上記切れ目6a~6eにおいて、屈曲部8を有しない切れ目の長さは、切れ目の両端間の直線距離であり、屈曲部8を有する切れ目の長さは、屈曲部8を除いた部分の両端間の直線距離であった。繋ぎ目の長さは繋ぎ目の両端間の直線距離であった。切れ目及び繋ぎ目の長さの定義は、以下のサンプル1B~1Jの説明においても同様である。
【0090】
図7(b)は、サンプル1Bの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図7(b)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Bの第4開封誘導線42は、切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ、切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ及び切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さが3mmであり、切れ目6eの長さが6mmである点以外は、サンプル1Aにおける第4開封誘導線42と同じであった。
【0091】
図8(a)は、サンプル1Cの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図8(a)における各寸法の単位は「mm」である。
図8(a)に示したように、サンプル1Cにおいて、長さT4aは15mmであった。サンプル1Cの第4開封誘導線42は曲線領域2を有しており、曲線領域2は、切れ目6bと、切れ目6a,6b間の繋ぎ目によって形成されていた。曲線領域2の曲率半径は15mmであった。サンプル1Cにおける切れ目6a,6b,6c,6d,6eの長さ及び繋ぎ目の長さは、次のとおりであった。
切れ目6aの長さ:9.5mm
切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ:2.5mm
切れ目6bの長さ:12mm
切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6cの長さ:5mm
切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ:3mm
切れ目6dの長さ:5mm
切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さ:3mm
切れ目6eの長さ:7mm
【0092】
端66からの破断を切れ目6bにスムーズに伝達するために、切れ目6aはわずかに曲線形状を呈していた。
図8(a)に示したように、切れ目6d,6eは、サンプル1Aの場合と同様に屈曲部8を有していた。屈曲部8の長さ及び屈曲角θ3はサンプル1Aの場合と同じであった。
【0093】
図8(b)は、サンプル1Dの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図8(b)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Dの第4開封誘導線42は、切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さが3mmであること、切れ目6c,6dの長さが4.5mmであること、切れ目6cが屈曲部8を有すること、及び、切れ目6eの長さが8.5mmである点以外は、サンプル1Cにおける第4開封誘導線42と同じであった。
【0094】
図9(a)は、サンプル1Eの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図9(a)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Eにおいて、長さT4aは20mmであった。サンプル1Eの第4開封誘導線42は曲線領域2を有しており、曲線領域2は、切れ目6b,6c、切れ目6a,6b間の繋ぎ目及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目によって形成されていた。曲線領域2の曲率半径は20mmであった。サンプル1Eにおける切れ目6a,6b,6c,6d,6eの長さ及び繋ぎ目の長さは、次のとおりであった。
切れ目6aの長さ:4.5mm
切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6bの長さ:9mm
切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6cの長さ:9mm
切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6dの長さ:8.5mm
切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さ:3mm
切れ目6eの長さ:7mm
【0095】
曲線領域2におけるミシン目の破断を端78にスムーズに伝達するために、切れ目6dはわずかに曲線形状を呈していた。
図9(a)に示したように、切れ目6eは、サンプル1Aの場合と同様に屈曲部8を有していた。屈曲部8の長さ及び屈曲角θ3はサンプル1Aの場合と同じであった。
【0096】
図9(b)は、サンプル1Fの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図9(b)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Fの第4開封誘導線42は、切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さが3mmであること、切れ目6aの長さが3.5mmであること、及び、切れ目6d,6eの長さが8mmである点以外は、サンプル1Eにおける第4開封誘導線42と同じであった。
【0097】
図10(a)は、サンプル1Gの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図10(a)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Gにおいて、長さT4aは20mmであった。サンプル1Gの第4開封誘導線42は曲線領域2を有しており、曲線領域2は、切れ目6b,6c、切れ目6a,6b間の繋ぎ目及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目によって形成されていた。曲線領域2の曲率半径は20mmであった。サンプル1Gにおける切れ目6a,6b,6c,6d,6eの長さ及び繋ぎ目の長さは、次のとおりであった。
切れ目6aの長さ:4.5mm
切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ:2.5mm
切れ目6bの長さ:8mm
切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ:2.5mm
切れ目6cの長さ:8mm
切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6dの長さ:9mm
切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さ:3mm
切れ目6eの長さ:9mm
【0098】
曲線領域2におけるミシン目の破断を端78にスムーズに伝達するために、切れ目6dはわずかに曲線形状を呈していた。
図10(a)に示したように、切れ目6eは、サンプル1Aの場合と同様に屈曲部8を有していた。屈曲部8の長さ及び屈曲角θ3はサンプル1Aの場合と同じであった。
【0099】
図10(b)は、サンプル1Hの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図10(b)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Hの第4開封誘導線42は、切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さが3mmであること、切れ目6aの長さが5.5mmであること、及び、切れ目6dの長さが8.5mmである点以外は、サンプル1Eにおける第4開封誘導線42と同じであった。
【0100】
図11(a)は、サンプル1Iの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図11(a)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Iにおいて、長さT4aは15mmであった。サンプル1Iの第4開封誘導線42は曲線領域2を有しており、曲線領域2は、切れ目6b、切れ目6a,6b間の繋ぎ目及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目によって形成されていた。曲線領域2の曲率半径は10mmであった。サンプル1Iにおける切れ目6a,6b,6c,6d,6eの長さ及び繋ぎ目の長さは、次のとおりであった。
切れ目6aの長さ:5mm
切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ:2.5mm
切れ目6bの長さ:8.5mm
切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さ:2.5mm
切れ目6cの長さ:8.5mm
切れ目6c,6d間の繋ぎ目の長さ:2mm
切れ目6dの長さ:4.5mm
切れ目6d,6e間の繋ぎ目の長さ:3mm
切れ目6eの長さ:5mm
【0101】
図11(a)に示したように、切れ目6d,6eは、サンプル1Aの場合と同様に屈曲部8を有していた。屈曲部8の長さ及び屈曲角θ3はサンプル1Aの場合と同じであった。
【0102】
図11(b)は、サンプル1Jの第4開封誘導線42を説明するための模式図である。
図11(b)における各寸法の単位は「mm」である。サンプル1Jの第4開封誘導線42は、切れ目6a,6b間の繋ぎ目の長さ及び切れ目6b,6c間の繋ぎ目の長さが3mmであること、切れ目6dの長さが5mmであること、及び、切れ目6eの長さが4mmである点以外は、サンプル1Iにおける第4開封誘導線42と同じであった。
【0103】
実験例1では、例えば外装箱12を搬送中における第4開封誘導線42の切れにくさを、領域76の押し込み強度と、落下試験における第4開封誘導線42の破断の有無において評価した。
【0104】
(押し込み強度の測定)
サンプル1A~1Jの領域76の押し込み強度を、押し込み用先端子を取り付けたデジタルフォースゲージを用いて測定した。デジタルフォースゲージには、アイコーエンジニアリング社製のデジタルフォースゲージ MODEL-9500シリーズを用いた。上記押し込み強度は、直径が5mmの円形の押し込み用先端子を上記デジタルフォースゲージに取り付け、上記押し込み用先端子で領域76の重心を押し込み、第4開封誘導線42が破断したときの強度を、押し込み強度として取得した。
【0105】
(落下試験)
カレー200gを充填した蒸気抜き三方パウチをサンプル1A~1Jに梱包した。上記パウチを梱包したサンプル1A~1Jの第1角部72を落下箇所として、JIS Z0200及びZO202を参考に、高さ40cm(上記JISZ0200及びZO20におけるレベルIIIに相当)で垂直落下させて第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の破断の有無を評価した。落下試験の評価基準は次のとおりであった。
評価A:第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44に破断が生じなかった。
評価B:第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の一方の一部に破断が生じた。
評価C:第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の両方の一部に破断が生じた。
【0106】
サンプル1A~1Jの押し込み強度の測定結果及び落下試験の評価結果は、表1のとおりであった。
【表1】
【0107】
表1の結果より、押し込み強度が13.2N以上の場合、落下による第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44の破断が生じないことが理解できる。したがって、第4開封誘導線42及び領域76並びに第5開封誘導線44及び領域82を押し込み強度が13.2N以上となるように構成することによって、例えば、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44を形成していても、外装箱12の運搬中に外装箱12が破損しにくい。
【0108】
(実験例2)
実験例2では、外装箱12のサンプル2A、サンプル2B、サンプル2C及びサンプル3Dを作製した。
【0109】
サンプル2Bは、サンプル1Eと同じ構成であった。サンプル2A、サンプル2C及びサンプル2Dは、
図1に示した長さT1を65mm、75mm及び80mmに変更した点以外は、実質的にサンプル1Eと同じ構成を有していた。具体的には、サンプル2A、2C及びサンプル2Dにおける角度θ1(角度θ2)はサンプル1Eと同じあったことから、サンプル2A、2C及びサンプル2Dにおける長さT2a(T2b)及び長さT3a(T3b)は、長さT1の上記違いに応じた長さであった。
【0110】
実験例2では、カレー200gを充填した蒸気抜き三方パウチをサンプル2A~2Dに梱包した。その後、サンプル2A~2Dを開封して、開封性を評価した。更に、回付したサンプル2A~2Dを、
図5に示したように開封部110を形成した状態で電子レンジ内に配置した。その後、600W且つ2分で電子レンジ加熱を行って、開封部110の壁としての効果を確認した。開封部110の壁としての効果は、電子レンジ内にパウチの内容物の付着状態に基づいて評価した。評価結果は、次のとおりであった。評価結果の説明では、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44によって構成される開封誘導線を「ミシン目」と称している。
【0111】
(サンプル2Aの評価結果)
サンプル2A(長さT1:65mm)では、ミシン目に沿って(換言すれば、ミシン目から脱線せずに)サンプル2Aを開封できた。サンプル2Aを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されていた。ただし、電子レンジ加熱後に、電子レンジの内壁面を目視した程度では確認できなかあったが、上記内壁面を布で拭き取った場合、上記布にわずかにパウチの内容物が確認された。
【0112】
(サンプル2Bの評価結果)
サンプル2B(長さT1:70mm)では、ミシン目に沿って(換言すれば、ミシン目から脱線せずに)サンプル2Bを開封できた。サンプル2Bを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されており、電子レンジの内壁面へのパウチの付着は確認できなかった。
【0113】
(サンプル2Cの評価結果)
サンプル2C(長さT1:75mm)では、サンプル2Cを正面からみた場合において、頂部から左側及び右側に延びるミシン目において、一方のミシン目からの脱線が生じたが開封は可能であった。サンプル2Cを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されており、電子レンジの内壁面へのパウチの付着は確認できなかった。
【0114】
(サンプル2Dの評価結果)
サンプル2D(長さT1:80mm)では、頂部近傍においてミシン目からの脱線が確認されたが開封は可能であった。サンプル2Dを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されており、電子レンジの内壁面へのパウチの付着は確認できなかった。
【0115】
上記サンプル2A~2Dの評価結果より、長さT1が65mm以上であれば、電子レンジ加熱時にパウチ内から内容物が噴出しても開封部110が内容物を遮蔽する壁として機能できることが理解できる。特に、長さT1が70mm以上であれば、開封部110を壁として機能させるための高さを確保しやすい。サンプル2C,2Dの結果より、長さT1が長くなってくると、パウチが収容された外装箱12を開封可能であっても開封性が低下する傾向にある。サンプル2C,2Dの結果より、長さT1は、80mm以下(又は80mm未満)が開封性の観点から好ましく、長さT1は、75mm以下(又は75mm未満)がより好ましい。以上より、長さT1は、65mm以上且つ80mm以下(又は80mm未満)が好ましく、70mm以上且つ75mm以下(又は75mm未満)がより好ましいことが理解できる。サンプル2A~2Dの外装箱12の長さL1(
図1参照)は、175mmであることから、長さT1が、長さL1の35%以上且つ45%以下であれば、開封しやすいとともに、開封部110が壁として適切に機能する。
【0116】
(実験例3)
実験例3では、外装箱12のサンプル3A、サンプル3B及びサンプル3Cを作製した。
【0117】
サンプル3Bは、サンプル1Eと同じ構成であった。サンプル3A及びサンプル3Cは、
図1に示した角度θ1(角度θ2)を20度及び30度に変更した点以外は、実質的にサンプル1Eと同じ構成を有していた。具体的には、サンプル3A及びサンプル3Cにおける長さT1がサンプル1Eと同じあったことから、サンプル3A及びサンプル3Cにおける長さT2a(T2b)及び長さT3a(T3b)は、角度θ1(角度θ2)の上記違いに応じた長さであった。
【0118】
実験例3では、実験例2と同様にしてサンプル3A~3Cを評価した。すなわち、カレー200gを充填した蒸気抜き三方パウチを梱包したサンプル3A~3Cを開封して、開封性を評価した。更に、開封したサンプル3A~3Cを、
図5に示したように開封部110を形成した状態で電子レンジ内に配置した。その後、600W且つ2分で電子レンジ加熱を行って、開封部110の壁としての効果を確認した。開封部110の壁としての効果は、電子レンジ内にパウチの内容物の付着状態に基づいて評価した。評価結果は、次のとおりであった。評価結果の説明では、実験例2の場合と同様に、第1開封誘導線36、第2開封誘導線38、第3開封誘導線40、第4開封誘導線42及び第5開封誘導線44によって構成される開封誘導線を「ミシン目」と称している。
【0119】
(サンプル3Aの評価結果)
サンプル3A(角度θ1,θ2:20度)では、ミシン目から一部脱線した箇所があったが、サンプル3Aを開封できた。サンプル3Aを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されており、電子レンジの内壁面へのパウチの付着は確認できなかった。
【0120】
(サンプル3Bの評価結果)
サンプル3B(角度θ1,θ2:25度)では、ミシン目に沿って(換言すれば、ミシン目から脱線せずに)サンプル3Bを開封できた。サンプル3Bを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されており、電子レンジの内壁面へのパウチの付着は確認できなかった。
【0121】
(サンプル3Cの評価結果)
サンプル3C(角度θ1,θ2:30度)では、シン目に沿って(換言すれば、ミシン目から脱線せずに)サンプル3Cを開封できた。サンプル3Cを電子レンジ加熱した場合、パウチから噴出した内容部は開封部110で遮蔽されていた。ただし、電子レンジ加熱後に、電子レンジの内壁面を目視した程度では確認できなかあったが、上記内壁面を布で拭き取った場合、上記布にわずかにパウチの内容物が確認された。
【0122】
上記サンプル3A~3Cの評価結果より、角度θ1(角度θ2)が20度以上であれば、開封しやすいことが理解できる。特に、角度θ1(角度θ2)が25度以上であれば、開封性がより向上していた。角度θ1(角度θ2)が20度より小さくなると、開封は可能であるが、開封性が低下すると推測される。サンプル3A~3Cの結果より、角度θ1(角度θ2)が30度以下(又は30度未満)であれば、開封部110の壁としての機能を確保しやすい。これは、開封部110の大きさ(例えば開封部110が有する正面板22の面積)をより確保できるからと考えられる。よって、角度θ1(角度θ2)は、20度以上(又は20度より大きく)且つ30度以下(又は30度未満)が好ましいことが理解できる。
【0123】
以上、本開示を実施の形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0124】
第1開封誘導線、第2開封誘導線などは、ユーザが開封可能に構成されていれば、ミシン目に限定されない。
【符号の説明】
【0125】
10…包装体、12…外装箱、14…パウチ、16…内容物、18…蒸気抜き部、22…正面板、24…背面板、26…第1側面板、28…第2側面板、30…天面板、32…底面板、34…胴部、34a…端部(胴部の一方の端部)、34b…端部(胴部の他方の端)、36…第1開封誘導線、38…第2開封誘導線、40…第3開封誘導線、42…第4開封誘導線、44…第5開封誘導線、46…第1縁部、48…第2縁部、50…端(第1端)、52…端(第2端)、54…頂部、56…第1直線領域、58…第2直線領域、64…第3縁部、66…端(第3端)、68…第4縁部、70…端(第4端)、72…第1角部、74…第5縁部、78…端(第5端)、80…第2角部、84…端(第6端)、108…天部。