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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146165
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/217 20170101AFI20241004BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20241004BHJP
   B60Q 3/54 20170101ALI20241004BHJP
   B60Q 3/78 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
B60Q3/217
B60Q3/64
B60Q3/54
B60Q3/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058904
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】福田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】福永 晴紀
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040CA01
3K040CA05
3K040CA06
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】車幅方向のスペースの制約に対応し得る車両用照明装置を提供する。
【解決手段】光源52からの光を導光しつつ出光する長手方向に棒状をなす導光体51を備える車両用照明装置3であって、前記導光体から出光した光が入射する入射部65および該入射した光が出射する出射部67を有する拡散部材6と、車両における車幅方向の側部を構成する部材1における車室内側の面を構成する加飾部材2とを備え、前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて、前記加飾部材、前記導光体、前記拡散部材の順に隣り合って配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を導光しつつ出光する長手方向に棒状をなす導光体を備える車両用照明装置であって、
前記導光体から出光した光が入射する入射部および該入射した光が出射する出射部を有する拡散部材と、
車両における車幅方向の側部を構成する部材における車室内側の面を構成する加飾部材とを備え、
前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて、前記加飾部材、前記導光体、前記拡散部材の順に隣り合って配置されている、
車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記導光体の前記車幅方向に直交する鉛直方向の一方に、前記拡散部材が配されている、
車両用照明装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記加飾部材および前記拡散部材の、前記長手方向に直交する横断面が各々L字状であり、
前記加飾部材の前記横断面のL字状を形成する、前記加飾部材に含まれる2つの長尺の部材、および、前記拡散部材の前記横断面のL字状を形成する、前記拡散部材に含まれる2つの長尺の部材によって囲まれた内部に、前記導光体が配置される、
車両用照明装置。
【請求項4】
請求項3において、
4つの前記長尺の部材の少なくとも一つには、4つの前記長尺の部材によって囲まれた前記内部に向けた突起形状部が存在し、前記突起形状部は前記導光体を支持する、
車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項において、
前記加飾部材および前記拡散部材のうちの一方は、矩形孔を有し、
前記加飾部材および前記拡散部材のうちの他方は、突出部を有し、
前記矩形孔に前記突出部が係合する、
車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に光源からの光を導光しつつ出光する導光体を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のような車両の内装や外装等には、例えば照明や装飾など搭乗者の利用に供するための照明装置が設けられている。照明装置は、例えば車両における車幅方向の側部を構成する部材のドアトリムや、サイドモールや木目パネルなどを含む装飾品であるガーニッシュや、車名、仕様名、シンボルマークなどを含む自動車部品の装飾品であるオーナメント等に嵌め込まれ、光源からの光を例えば棒状の導光体を介して、車室内等に向けて照射する。
【0003】
特許文献1では、ドアトリムの加飾部材の裏に配置されるライン状のイルミネーション(ラインイルミとも略称し得る)において、車両における車幅方向で加飾部材に隣り合うハウジングレスで鉛直方向下方が開放したU字状のレンズ(後述の拡散部材に対応)の内側で導光体を支持する構成が開示されている(特に図10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6862119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両における車室内において室内空間を広く確保する観点から、車室内に備えられる各部材のためのスペースには限りがある。薄いドア内に備えられる各部材については尚更であり、その中でもスライドドアは、スライド動作のための機構や補強機構等のためのスペースが必要であるから、上記部材のためのスペースはさらに限られることとなる。そこで、車両における車幅方向などの寸法の制約は厳しいものとなる。特許文献1は、従来必要であったハウジングをなくすことで照明装置における省スペース化を図る技術ではあるが、従来どおりに上記車幅方向で加飾部材に隣り合う下方が開放したU字状のレンズを使用するなど、車幅方向のスペースに関する課題およびその解決手段については何ら開示も示唆もしていない。
【0006】
そこで本発明は、上記のような従来の課題に鑑みて、導光体を備えた車両用照明装置において、車幅方向のスペースの制約に対応し得る照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用照明装置は、
光源からの光を導光しつつ出光する長手方向に棒状をなす導光体を備える車両用照明装置であって、
前記導光体から出光した光が入射する入射部および該入射した光が出射する出射部を有する拡散部材と、
車両における車幅方向の側部を構成する部材における車室内側の面を構成する加飾部材とを備え、
前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて、前記加飾部材、前記導光体、前記拡散部材の順に隣り合って配置されている。
ここで、隣り合って配置されるとは、前記加飾部材と前記導光体との間、および/または、前記導光体と前記拡散部材との間に、他の部材が存在しないことを意味する。但し、上記間には、多少の隙間等は存在してもよい。なお上記間には、存在しても厚さの影響が軽いまたは無視できる程度であれば該他の部材が存在する可能性は排除されない。車幅方向の側部を構成する部材とは、例えば、スライドドアなどのドアを構成するドアトリムである。拡散部材は、全体または一部が透明で、例えばレンズ部のような構成を含む。
【0008】
上記の本発明の車両用照明装置の構成によると、前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて、前記加飾部材、前記導光体、前記拡散部材の順に隣り合って配置されている。ここでは、加飾部材と拡散部材(レンズ)によって導光体を保持することができ、ハウジングなどの別部材を必要としない。すなわち、従来のように上記車幅方向で加飾部材に隣り合い導光体を内側に含むU字状レンズ等を使用することにより加飾部材と導光体との間に存在する拡散部材(レンズ)が、上記構成では存在していない。よって本発明によると、車幅方向の寸法削減に寄与でき、車幅方向のスペースの制約に対応することができ、スペースが狭い箇所にもラインイルミが設置可能となる。
【0009】
上記構成では、例えば、前記導光体の前記車幅方向に直交する鉛直方向の上下部分が双方とも、前記拡散部材や前記加飾部材で覆われていなくてもよい。また、前記導光体の上記上下方向の少なくとも一方に、前記拡散部材(前記入射部および前記出射部の部分であってよく、また前記入射部および前記出射部の部分ではなくて導光体の支持機能を有する支持部の部分であってもよい)が配されていてもよい。これにより、導光体の上下両方向または上下のいずれか一方が、前記拡散部材によって覆われうる。なお、前記拡散部材において、当該入射部および出射部が配されている部分は、長手方向に連続して存在していてもよく、また上記支持部等を挟んで部分的に存在していてもよい。前記導光体は、前記長手方向に直交する横断面が、円形状(真円、楕円等)でも、矩形状や菱形状、平行四辺形状でも、多角形状でもよい。
【0010】
上記構成において、前記導光体の前記車幅方向に直交する鉛直方向の一方に、前記拡散部材が配されていてもよい。
この構成では、前記加飾部材、前記導光体、前記拡散部材の順に隣り合っている構成において、前記導光体の上下両方ではなく、上下のいずれか一方に、前記拡散部材が配されている。なお、前記導光体の上下の他方は、覆われずに開放されていてもよく、また導光体の支持等をするために前記加飾部材が配されていてもよい。この場合は、例えば後述のような、前記加飾部材および前記拡散部材の、前記長手方向に直交する横断面が各々L字状となる構成が含まれうる。該構成により、上で述べたような、加飾部材と拡散部材(レンズ)によって導光体を保持することができ、ハウジングなどの別部材を必要とせず、かつ、加飾部材と導光体との間に存在する拡散部材(レンズ)が、上記構成では存在していない。よって車幅方向の寸法削減に寄与でき、車幅方向のスペースの制約に対応することができる。
【0011】
上記構成において、前記加飾部材および前記拡散部材の、前記長手方向に直交する横断面が各々L字状であり、
前記加飾部材の前記横断面のL字状を形成する、前記加飾部材に含まれる2つの長尺の部材、および、前記拡散部材の前記横断面のL字状を形成する、前記拡散部材に含まれる2つの長尺の部材によって囲まれた内部に、前記導光体が配置されていてもよい。
この構成により、加飾部材と拡散部材の各々のL字状によって導光体の四方を取り囲むことで、導光体の脱落を防止してしっかりと保持することができる。また、車両の側面からの衝突(側突とも略して称し得る)の際に、前記L字状部分が開くことで、前記加飾部材および前記拡散部材の双方の変形が容易となり、従来の例えばU字状断面に比べ、その衝撃を吸収し得る。なお、前記L字形状は各々、そのなす角が直角である場合に限られない。また、前記加飾部材および前記拡散部材において各L字状部分は、長手方向に連続していてもよく、また部分的に存在していてもよい。さらに、上記横断面において、2つの前記L字部分は導光体の周囲を完全に囲んでいなくてもよい。
【0012】
4つの前記長尺の部材の少なくとも一つには、4つの前記長尺の部材によって囲まれた前記内部に向けた突起形状部が存在し、前記突起形状部は前記導光体を支持してもよい。安定的に支持するとの面から、前記突起形状部は、例えば2つの前記長尺の部材上に存在して、前記導光体を挟んで対向していることが望ましい。典型的には、前記突起形状部は、例えば4つ全ての前記長尺の部材上に存在している。ここで、従来の例えばU字状断面の場合のように面当てとなってしまうと、導光体が長尺であるほど撓むことで、特定の部位に応力が発生することとなり、その結果異常発光が生じうる。しかし本構成により、前記突起形状部が2つの前記長尺の部材上に存在している場合や4つ全ての前記長尺の部材上に存在している場合は特に、前記加飾部材と前記拡散部材とから、突起形状部を前記導光体に当てることで、その応力を逃がすことが可能となり、異常発光を防止できる。また例えば、突起形状部により前記拡散部材と前記加飾部材との間の隙間よりも導光体の出光端面を控えさせることができ、光漏れを防止でき、均一発光に寄与し得る。なお、前記突起形状部は、各々複数存在してよく、また前記長尺の部材上に各々一定の間隔で存在していてもよい。また、複数の異なる長尺の部材上に前記突起形状部が存在する場合、一の長尺の部材上に存在する前記突起形状部と、これと隣り合うまたは対向する他の長尺の部材上に存在する前記突起形状部とは、長尺方向で略同位置に存在してもよく、また異なる位置に存在してもよい。この場合、各々の突起形状部が前記導光体の長手方向において別の位置に設けられていることで、前記導光体への応力を分散して異常発光を防止でき、また各部材の寸法誤差を吸収することができる。さらに、一の長尺の部材上に存在する前記突起形状部の形状のみを他の長尺の部材上に存在する前記突起形状部の形状と異ならせてもよく、例えばこの一の長尺の部材上に存在する前記突起形状部の形状をランプ関数状、スロープ状に徐変することで、前記導光体を組付ける際のガイド形状とすることもできる。
【0013】
前記加飾部材および前記拡散部材のうちの一方は、矩形孔を有し、
前記加飾部材および前記拡散部材のうちの他方は、突出部を有し、
前記矩形孔に前記突出部が係合してもよい。
この構成により、上記係合で上記一方を上記他方に取り付けることができる。また、別の構成の上記係合をさらに設けることにより、上記取り付けをはずれ難くする構成を追加することもできる。例えば、前記矩形孔に前記突出部を嵌合してもよく、例えば爪嵌合とかんぬき差し込みの形状で嵌合し得る。従来のハウジングやU字状断面の拡散部材で導光体を保持する場合には、取付強度を確保する観点から、これらと前記加飾部材とをドアトリムの基体にそれぞれスクリュー固定していたが、上記構成では加飾部材をハウジングの一部として利用しているため加飾部材のみをスクリュー固定すればよい。上記構成では、前記拡散部材と前記加飾部材とを例えば爪嵌合とかんぬき差し込みの形状で嵌合して固定し、互いにスクリュー固定をしていない。なお、前記拡散部材が取り付けられた加飾部材は、例えばドアトリムの基体にスクリュー固定等を行いうる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、導光体を備えた車両用照明装置において、車幅方向のスペースの制約に対応し得る照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置を配置した車両のドアのドアトリムを車室内側から見た概略正面図である。
図2】同実施形態に係る、拡散部材が取り付けられた加飾部材を示す正面図である。
図3図2のA-A線に沿った断面図であり、導光体近傍の一構成を示す図である。
図4】同断面図であり、導光体近傍の他の構成を示す図である。
図5A】同実施形態に係る、突出部を有する加飾部材の斜視図である。
図5B】同実施形態に係る、矩形孔を有する拡散部材の斜視図である。
図6図5Aに示す加飾部材に図5Bに示す拡散部材を取り付ける動作を示す斜視図である。
図7】同実施形態に係る、拡散部材の矩形孔に加飾部材の突出部が係合している状態を示す斜視図である。
図8A】同実施形態に係る、突起形状部を有する加飾部材の斜視図である。
図8B】同実施形態に係る、突起形状部を有する拡散部材の斜視図である。
図9】導光体と突起形状部との位置関係を示す、導光体の長手方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の車両用照明装置(以下、単に照明装置とも称す)の利用の一実施形態として、ラインイルミの一例たる照明装置3を備えたスライドドア等の車両ドアのドアトリム1を示し、車室内側から見た(同図中のW軸方向視の)概略正面図である。車両(不図示)における車幅方向の側部を構成する部材であるドアトリム1の上部(同図のH軸方向)には、ドアハンドルDH、および加飾部材2等が現れており、ドアトリム1の下部には、スピーカ等が設けられている。同図では、ドアトリム1の基体1aや、加飾部材2を含む本実施形態の照明装置3の周囲等の、車両ドア内部の一部が露出した分解図となっている。一般的に照明装置から照射された光は、車両の乗員の目に直接入る直接光として利用される場合と、車室内の内装部材の被照射部位で反射して乗員の目に間接的に入る間接光として利用される場合とがある。間接光は、やわらかい光を演出し、直接光は視認性が高い光を演出する効果があり、照射対象や照明の目的に応じ、使い分けられている。本実施形態の照明装置3は間接光による照明であるが、直接光による照明であってもよい。
【0017】
図2は、本実施形態に係る拡散部材6が取り付けられた加飾部材2を示す正面図である。後述の様に、ドアトリム1における車室内側の面を構成する加飾部材2と、導光体51から出光した光が入射して本実施形態では該入射光を車室内へ出射させる拡散部材6との間に、発光体5(導光体51)が存在している。同図の加飾部材2は、直角に折れ曲がった形状をしており、拡散部材6は同図中でその下方の直線部分に取り付けられている。拡散部材6は、大部分が、同図中L軸方向に平行な長手方向に長尺な形状となっており、同図では紙面方向(W軸)で加飾部材2の裏側に配置される。同図では、拡散部材6については透視図となっている。
【0018】
本実施形態の発光体5は、光源52と光源52からの光を導光しつつ出光する導光体51とからなり、同図では加飾部材2と同様に紙面方向で加飾部材2の裏側に配置される。同図では、導光体51についても透視図となっている。大部分が、同図中L軸方向に平行な長手方向に略棒状をなす長尺な形状である導光体51の一端に、光源52が接続されている。なお光源52は、導光体51の両端に接続されてもよい(不図示)。導光体51は、長手方向に直交する横断面が、円形状(真円、楕円等)でも、矩形状や菱形状、平行四辺形状でも、多角形状でもよいが、本実施形態では矩形である。また導光体51は、光源52から遠ざかるにつれて、横断面(H軸-W軸平面による断面)の断面積が小さくなる先細り形状としてもよい。これにより導光体51内での光の反射回数が増え、出光量を増やすことができ、導光体51の先端が暗くなることを防止できる。これにより、光源ユニットは、導光体の片側に一個配置するだけでよく、部品数の削減と組み付け工数の低減により、コスト上有利であり、配置スペースに関する自由度も大きくなる。
【0019】
光源52は、白熱電球、ハロゲンランプ、またはLED等の光源本体、ケース体、配線用のハーネスなどの図示しない構成を含み、ケース体に形成された係合部によって、拡散部材6またはドアトリム基体1aに組み付けられる。光源52は、単色光の光源本体のみであっても、発光色が異なる複数の光源本体を組み合わせてもよい。ハーネスはコネクタを介して、車室内に設けられた図示しない電子部品用電源に接続される。
【0020】
図3に、図2のA-A線に沿った断面の一部(照明装置3近傍の部分)の概略図を示す。照明装置3は、導光体51と、本実施形態では導光体51を支持する加飾部材2および拡散部材6とを備える。本実施形態の拡散部材6は、後述の方法により加飾部材2に取り付けられている。同図の様に、本実施形態では、ほぼ前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて(同図中のW軸方向)、加飾部材2、導光体51、拡散部材6の順に隣り合って配置されており、具体的には加飾部材2と導光体51とは直接隣り合っており、それらの間には例えば拡散部材6などの部材が存在していない。よって本実施形態では、車幅方向の寸法削減に寄与でき、車幅方向のスペースの制約に対応できている。なお、こうした間には、上記効果を大幅に軽減させない程度で、微小隙間等の存在は許容されてよい。
【0021】
本実施形態では、導光体51の前記車幅方向(W軸方向)に直交する鉛直方向(H軸方向)の一方に、すなわち上面または下面に、拡散部材6が配されていてもよい。さらに本実施形態では、加飾部材2および拡散部材6は、前記長手方向に直交する横断面がL字状であってもよい。具体的には、同図に示すように、加飾部材2の前記横断面のL字状を形成する2つの長尺の部材21,23が、本実施形態では一体となって加飾部材2に含まれる。また、拡散部材6の前記横断面のL字状を形成する2つの長尺の部材61,63が、本実施形態では一体となって拡散部材6に含まれる。加飾部材2と拡散部材6とにより、導光体51は所謂挟み込まれる形となっている。具体的には、本実施形態では、長尺の部材21と長尺の部材61とが導光体51を挟んで対向し、長尺の部材23と長尺の部材63とが導光体51を挟んで対向している。
【0022】
上記のように、導光体51は、これらの4つの長尺の部材21,23,61,63によって囲まれた内部である収容部62(図3)に配置されている。この場合でも、前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて(同図中W軸方向)、加飾部材2、導光体51、拡散部材6の順に隣り合って配置されており、具体的には加飾部材2と導光体51とは直接隣り合っており、それらの間には例えば拡散部材6が存在していない。なお、同図の拡散部材6は、全体または一部が透明で、例えばレンズ部のような構成を含み、導光体51から出光した光が入射する入射部(面)65および該入射した光が出射する出射部(面)67を有する。
【0023】
横断面がL字状である上記構成により、車両の側面からの衝突(側突とも略して称し得る)の際に、前記L字状部分が開くことで、加飾部材2および拡散部材6の双方の変形が容易となり、従来の例えばU字状断面に比べ、その衝撃を吸収し得る。なお、前記L字形状は、そのなす角が直角である場合に限られない。また、加飾部材2および拡散部材6において各L字状部分は、長手方向に連続していてもよく、また部分的に存在していてもよい。さらに、上記横断面において、2つの前記L字部分は導光体51の周囲を完全に囲んでいなくてもよい。
【0024】
同図によると、加飾部材2および拡散部材6と、加飾部材2の上部に備えられたオーナメントOrとが、拡散部材6の下方に備えられたドアパネル(車体、いわゆる板金)Doに隣り合う基体1aに対して固定される。同図中の加飾部材2は、特に限定しないが、例えば金属モールにスパッタリングを施したものが望ましい。また拡散部材6の素材は、光透過性のあるポリプロピレン(PP:Poly-Propylene)であることが望ましく、例えば射出成型により形成されうる。なお本実施形態の拡散部材6は、異音対策の面から、通常用いられるポリカーボネートではなくてポリプロピレンを使用する。拡散部材6は、例えば入射部65および出射部67の部分(レンズ部分)に、周囲の意匠との色調バランス面等から発光の視認を妨げない範囲で着色してもよく、例えば乳白色等でもよく、また光を拡散するシリコン樹脂粒子が分散されていてもよい。ここで本実施形態の拡散部材6は、入射部65および出射部67の部分ではない導光体の支持機能を有する支持部(不図示)の部分を有してもよい。導光体51の素材は、特に限定しないが、アクリル系樹脂などであってよく、例えばPMMA(Polymethyl Methacrylate)であることが望ましい。なお導光体51は、加飾部材2と拡散部材6とに形成された後述の当て形状によって保持、固定されている。
【0025】
ここで、導光体51の車幅方向(同図中のW軸に平行方向)に直交する鉛直方向(H軸に平行方向)の上下部分が、図3とは異なって、両方とも拡散部材6や加飾部材2で覆われていなくてもよく、また導光体51の上記上下部分の両方に、拡散部材6を有してもよい。図4は、図3とは異なる導光体近傍の他の構成を示す断面図である。すなわち拡散部材6は同図左方が開放したU字状で、導光体51の上記上下方向の両方が拡散部材6によって覆われており、上下に出射部67が存在している点で、図3とは異なっている。この場合でも、前記車幅方向に前記車室内側から外側に向けて(同図中W軸方向)、加飾部材2、導光体51、拡散部材6の順に隣り合って配置されており、具体的には加飾部材2と導光体51とは直接隣り合っており、それらの間には例えば拡散部材6が存在していない。よって、車幅方向の寸法削減に寄与でき、図3の場合と同様に車幅方向のスペースの制約に対応できている。
【0026】
次に加飾部材2と拡散部材6の一例として、図5Aに、同図中W軸方向に突出する突出部23aを有する加飾部材2の斜視図を示す。また、図5Bは、H軸-L軸平面上に矩形孔61aを有する拡散部材6の斜視図である。さらに本実施形態では、加飾部材2は、W軸-L軸平面上に矩形孔23bも有し(図5A)、拡散部材6は、同図中H軸方向に突出する突出部61bも有する(図5B)。図6に示すように、図5Aに示す加飾部材2に向けて、図5Bに示す拡散部材6を同図中W軸方向に平行に移動させる。これにより本実施形態では、図7に示すように、加飾部材2の突出部23aと拡散部材6の矩形孔61aとが係合(具体的には本実施形態では嵌合)する。例えば、突出部23aの寸法が矩形孔61aに挿入し得る寸法で、機械的摩擦力で嵌合するものであってもよい。これにより、拡散部材6を加飾部材2にぶら下げる態様で固定して取り付けることができる。
【0027】
また、図7に示すように、加飾部材2の矩形孔23bと拡散部材6の突出部61bとが係合(具体的には本実施形態では嵌合)する。この場合、例えば、突出部61bが爪形状の先端部分を有して、加飾部材2に向けて拡散部材6をW軸方向に平行に移動させた際に、該爪形状が矩形孔23bを案内してその後に矩形孔23bに引っ掛って嵌合する態様であってもよい。これにより、上記取り付けにおいて、加飾部材2から拡散部材6をはずれ難くする構成とできる。拡散部材6と加飾部材2とは、例えば互いにスクリュー固定ではなく、突出部61bと矩形孔23bとの関係のような爪嵌合で、および、矩形孔61aと突出部23aとの関係のようなかんぬき差し込みの形状で固定しうる。
【0028】
従来のハウジングやU字状断面の拡散部材で導光体を保持する場合には、取付強度を確保する観点から、これらと加飾部材とをドアトリムの基体にそれぞれスクリュー固定していたが、上記構成では加飾部材2をハウジングの一部として利用しているため加飾部材2のみをスクリュー固定すればよい。上記構成では、拡散部材6と加飾部材2とを例えば爪嵌合とかんぬき差し込みの形状で嵌合して固定し、互いにスクリュー固定をしていない。なお、拡散部材6が取り付けられた加飾部材2は、例えばドアトリムの基体1aにスクリュー固定等を行いうる。
【0029】
更に加飾部材2と拡散部材6の一例として、図8Aに示すように、加飾部材2は、突起形状部21c、23cを有する。また、図8Bに示すように、拡散部材6は、突起形状部61c、63cを有する。突起形状部21cは、長尺の部材21上に鉛直方向に設けられ、収容部62に向けて突出する数百μm~数mmオーダーの突起である。突起形状部23cは、長尺の部材23上に水平方向に設けられ、収容部62に向けて突出する数百μm~数mmオーダーの突起である。突起形状部61cは、長尺の部材61上に鉛直方向に設けられ、収容部62に向けて突出する数百μm~数mmオーダーの突起である。突起形状部63cは、長尺の部材63上に水平方向に設けられ、収容部62に向けて突出する数百μm~数mmオーダーの突起である。
【0030】
本実施形態では、図8Aに示す加飾部材2と、図8Bに示す拡散部材6とを使用して、その内部である収容部62に導光体51を支持した場合、導光体51の長手方向から見た側面図(L軸方向に平行視)である図9に示すように、導光体51は、本実施形態では(4つの)全ての突起形状部21c、23c、61c、63cで支持される(この支持形状を、当て形状とも呼ぶ)。なお一の長尺の部材上に存在する突起形状部の形状のみを他の長尺の部材上に存在する突起形状部の形状と異ならせてもよい。本実施形態では例えば、導光体51を組付ける際のガイド形状とするために、鉛直方向で最下部に位置する突起形状部63cの形状のみを、同図中に示すように奥に(W軸方向に)向かうほど突出の長さが長くなるランプ関数状、スロープ状に徐変する、収容部62へ向く面(斜面)STを有している。
【0031】
従来の例えばU字状断面の場合のように面当てとなってしまうと、導光体が長尺であるほど撓むことで、特定の部位に応力が発生することとなり、その結果異常発光が生じうる。しかし上記の本実施形態の構成により、加飾部材2と拡散部材6とから、突起形状部21c、23c、61c、63cを導光体51に当てることで、その応力を逃がすことが可能となり、異常発光を防止できる。また例えば、突起形状部21c、23c、61c、63cにより拡散部材6と加飾部材2との間の隙間Δよりも導光体の出光端面を控えさせることができ、光漏れを防止でき、均一発光に寄与し得る。ここで、出光端面を控えさせるとは、突起形状部(典型的には突起形状部21c)があることで、導光体51の端面(同図中の点線L2で示す)が、隙間Δが存在する側の長尺の部材63の端面(破線L1で示す)よりも内側(拡散部材6側)に位置することを意味する。
【0032】
なお、突起形状部21c、23c、61c、63cは、各々複数存在してよく、また前記長尺の部材上に各々一定の間隔で存在していてもよい。また、上記のように複数の異なる長尺の部材21,23,61,63上に前記突起形状部21c、23c、61c、63cが存在する場合、一の長尺の部材上に存在する前記突起形状部と、これと隣り合うまたは対向する他の長尺の部材上に存在する前記突起形状部とは、長尺方向で略同位置に存在してもよく、また例えば(千鳥状に)異なる位置に存在してもよい(すなわち、異なる突起形状部が、同じ断面上に存在していなくてもよい)。この場合、各々の突起形状部が導光体51の長手方向において別の位置に設けられていることで、導光体51への応力を分散して異常発光を防止でき(特に対向する長尺の部材どうしの場合)、また各部材の寸法誤差を吸収することができる。
【0033】
本発明は上記実施形態に限定されず、請求項に記載の内容を逸脱しない範囲で、変形や変更が可能であるものとする。例えば、上記実施形態ではドアトリムを用いて説明したが、本発明の車両用照明装置を設ける対象はドアトリムに限らずインパネや天井やセンターコンソール等であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ドアトリム
2 加飾部材
21 長尺の部材
21c 突起形状部
23 長尺の部材
23a 突出部
23b 矩形孔
23c 突起形状部
3 照明装置
51 導光体
52 光源
6 拡散部材
61 長尺の部材
61a 矩形孔
61b 突出部
61c 突起形状部
62 収容部
63 長尺の部材
63c 突起形状部
65 入射部
67 出射部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9