(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146170
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及びテスト方法
(51)【国際特許分類】
G11C 29/50 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G11C29/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058910
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成見 昭宏
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA02
5L206DD01
5L206EE02
5L206FF05
(57)【要約】
【課題】メモリセルの劣化を考慮したマージンテストを行うことができる半導体記憶装置及びテスト方法を提供する。
【解決手段】行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置であって、前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路と、第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第1の容量素子群と、第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第2の容量素子群と、を含むテスト回路と、を備えた半導体記憶装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置であって、
前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路と、
第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第1の容量素子群と、第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第2の容量素子群と、を含むテスト回路と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリセルの動作マージンのテストを行う場合、
前記第1の制御線には、Hレベルの信号及びLレベルの信号のうちの一方の信号が流れ、
前記第2の制御線には、Hレベルの信号及びLレベルの信号のうちの他方の信号が流れる
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリセルは、SRAM(Static Random Access Memory)である
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置における前記メモリセルの動作マージンのテスト方法であって、
第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子をオン状態にして、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと読出制御回路との間に第1の容量素子群を接続した状態とし、
第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子をオフ状態にして、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に第2の容量素子群が接続されない状態とし、
前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路から信号を出力させる
テスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体記憶装置及びテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、メモリセルからデータを読み出す際に、ビット線に電荷をプリチャージする不揮発性のメモリが知られている。このようなメモリについて、
図4には、メモリセルMCELLからデータを読み出す際に、ビット線BL/BLNに電化をプリチャージする、従来の半導体記憶装置110の構成の一例が示されている。また、
図5には、
図4に示した半導体記憶装置110における読み出し動作の際のタイムチャートの一例が示されている。
【0003】
図4に示した半導体記憶装置110は、行列状に配置された複数のMCELL(MCELL1,2)、ROWデコーダ112、プリチャージ回路114、及びリードアンプ116を備える。
【0004】
図4に示した半導体記憶装置110では、一対のビット線BL/BLNに対応する一対のメモリセルMCELL1/MCELL2により、1ビットのデータを記憶する。メモリセルMCELL1、MCELL2は、ビット線BLまたはビット線BLNにドレインが接続され、ワード線WLにゲートが接続され、GND電位に設定されたソース線SLにソースが接続されている
【0005】
プリチャージ回路114は、メモリセル対MCELL1/MCELL2からデータを読み出す際に、ビット線BL/BLNに電化をプリチャージする。
図4に示すように、プリチャージ回路114は、ビット線BLまたはビット線BLNがドレインに接続され、PREC信号を供給する信号線がゲートに接続され、また電源電圧Vddにソースが接続された、複数のPMOSトランジスタP1、P2を含む。リードアンプ116は、一対のビット線BL/BLN毎に設けられている。
【0006】
データを読み出す場合、
図5に示すように、まず、タイミングt101でPREC信号がHレベルからLレベルに遷移することによって、ビット線対BL/BLNの電位が電源Vddによりプリチャージされ、LレベルからHレベルになることによりビット線対BL/BLNはプリチャージされた状態でフローティングとなる。
【0007】
次にタイミングt102でROWデコーダ112がワード線WL<0>~<n>のうちの1つを選択する。これにより、選択されたワード線WLのレベルがLレベルからHレベルに立ち上がる。これにより、選択されたワード線WLにゲートが接続されたメモリセル対MCELL1/MCELL2がオン状態になり、ビット線対BL/BLNの配線容量の電荷を、MCELL電流で引き抜くことによって、ビット線対BL/BLNのレベルをHレベルからLレベルに遷移させる。
【0008】
メモリセルMCELL1、MCELL2には、消去(「0」)とプログラム(「1」)の2種類の状態がある。消去状態はメモリセルMCELL1、MCELL2のソース-ドレイン間に電流が多く流れる状態である。また、プログラム状態は、ソース-ドレイン間に電流が流れにくい状態である。書込み動作によって、メモリセル対MCELL1/MCELL2では、消去/プログラム、或いはプログラム/消去の相反する状態となっている。この相反する状態によって、フローティング状態であるビット線対BL/BLNでは、Lレベルへの遷移時間が異なり、ビット線BL、BLNのいずれかが、より速くLレベルに達する。リードアンプ116から出力されるデータDoutは、メモリセル対MCELL1/MCELL2に記憶されているデータであり、ビット線対BL/BLNのレベルに応じたレベルとなる。
【0009】
一般に、このような半導体記憶装置に対してメモリセルの読み出しマージンテストが行われている。マージンテストを行うための技術として、例えば、特許文献1には、DRAMにおいて、テストモードにおける読み出しの際に、予め電荷を蓄積させたテスト用の固定容量をビット線に接続させ、電荷再分配によりビット線に生じる電位差を検出しにくくすることで、動作マージンの小さなメモリセル等を検出する技術が記載されている。
【0010】
また例えば、特許文献2には、メモリセルに接続される一対のビット線と、一対のビット線からビット線を指定する指定回路と、を備えたSRAMのテストモードにおいて、指定回路によって指定されたビット線に容量素子を接続し、指定されたビット線の電圧を、第1電圧と第2電圧との間の電圧に設定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平03-154289号公報
【特許文献2】特開2022-254299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、不揮発性のメモリは、書換え、環境条件等によってメモリセルMCELL1、MCELL2の特性が劣化することがある。例えば、消去状態のメモリセルMCELL1、MCELL2では、ソース-ドレイン間を流れる電流が徐々に減少し、プログラム状態のメモリセルMCELL1、MCELL2では、ソースードレイン間を流れる電流が徐々に増加するという劣化が生じる場合がある。
【0013】
メモリセルMCELL1、MCELL2個々の特性のバラツキにより劣化量は異なるため、メモリセル対MCELL1/MCELL2によっては、ソース-ドレイン間を流れる電流量が逆転して、誤ったデータを読み出してしまうという問題が生じる。しかしながら、従来の技術では、上記問題を解決するには十分ではなかった。
【0014】
本開示は、上記問題を解決するものであり、メモリセルの劣化を考慮したマージンテストを行うことができる半導体記憶装置及びテスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本開示の半導体記憶装置は、行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置であって、前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路と、第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第1の容量素子群と、第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第2の容量素子群と、を含むテスト回路と、を備える。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本開示のテスト方法は、行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置における前記メモリセルの動作マージンのテスト方法であって、第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子をオン状態にして、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと読出制御回路との間に第1の容量素子群を接続した状態とし、第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子をオフ状態にして、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に第2の容量素子群が接続されない状態とし、前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路から信号を出力させる方法である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、メモリセルの劣化を考慮したマージンテストを行うことができる半導体記憶装置及びテスト方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の半導体記憶装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図2】実施形態リードアンプの一例の回路図である。
【
図3A】半導体記憶装置のマージンテストにおけるタイムチャートの一例である。
【
図3B】半導体記憶装置のマージンテストにおけるタイムチャートの一例である。
【
図4】従来の半導体記憶装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図5】従来の半導体記憶装置における読み出し動作の際のタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の技術を限定するものではない。なお、符号に付す、「< >」は、個々を特定するためのものであり、総称する場合、「< >」の記載を省略する。例えば、m+1本のビット線の各々についてビット線BL<0>~BL<m>と称する(
図1参照)が、総称する場合、単にビット線BLと称する。
【0020】
まず、本実施形態の半導体記憶装置の構成の一例について
図1を参照して説明する。
図1には、本実施形態の半導体記憶装置10の構成の一例を表す回路図が示されている。本実施形態の半導体記憶装置10に係るメモリセルは、SRAM(Static Random Access Memory)である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の半導体記憶装置10は、ROWデコーダ12、プリチャージ回路14、リードアンプ16、テスト回路20、及び複数のメモリセル対MCELL1/MCELL2を備える。
【0022】
図1に示した半導体記憶装置10では、一対のビット線BL/BLNに対応する一対のメモリセルMCELL1/NCELL2により、1ビットのデータを記憶する。メモリセルMCELL1は、ビット線BLにドレインが接続され、ワード線WLにゲートが接続され、GND電位に設定されたソース線SLにソースが接続されている。また、メモリセルMCELL2は、ビット線BLNにドレインが接続され、ワード線WLにゲートが接続され、GND電位に設定されたソース線SLにソースが接続されている。行毎に、複数のメモリセル対MCELL1/MCELL2が同一のワード線WL及びソース線SLに接続されており、セルアレイブロックARRAYを成している。
【0023】
ROWデコーダ12は、ワード線WL及びソース線SLを駆動する。例えば、セルアレイブロックARRAY<0>に含まれるメモリセル対MCELL1/MCELL2からデータを読み出す場合、ROWデコーダ12は、ワード線WL<0>のレベルをHレベルにし、ソース線SL<0>のレベルをGNDにする。
【0024】
プリチャージ回路14は、メモリセル対MCELL1/MCELL2からデータを読み出す際に、ビット線BL/BLNに電化をプリチャージする。
図1に示すように、プリチャージ回路14は、ビット線BLがドレインに接続され、PREC信号を供給する信号線がゲートに接続され、また電源電圧Vddにソースが接続された、複数のPMOSトランジスタP1と、ビット線BLNがドレインに接続され、PREC信号を供給する信号線がゲートに接続され、また電源電圧Vddにソースが接続された、複数のPMOSトランジスタP2とを含む。
【0025】
リードアンプ16は、一対のビット線BL/BLN毎に設けられている。本実施形態のリードアンプ16が、本開示の読出制御回路の一例である。
図2には、本実施形態リードアンプ16の一例の回路図が示されている。
図2に示すように、リードアンプ16は、PMOSトランジスタP_RA、P1_RA、PA_RAと、NMOSトランジスタN1_RA、N2_RAと、インバータIN1_RA~IN4_RAと、を含む。
【0026】
PMOSトランジスタP_RAは、外部の制御装置(図示省略)から入力されるSEN信号により、オン/オフが制御され、SEN信号がLレベルの場合、オン状態となり電源電圧Vddを供給する。
【0027】
PMOSトランジスタP1_RAは、ゲートがビット線BLに接続されており、ビット線BLのレベルに応じてオン/オフが制御される。一方、PMOSトランジスタP2_RAは、ゲートがビット線BLNに接続されており、ビット線BLNのレベルに応じてオン/オフが制御される。上述したように、ビット線BLと、ビット線BLNとはレベルが相反関係にあるため、PMOSトランジスタP1_RA及びPMOSトランジスタP2_RAのいずれかがオン状態となり、データDoutが出力される。PMOSトランジスタP1_RA及びPMOSトランジスタP2_RAのいずれがオン状態となったかにより、データDoutのレベル、換言するとデータDoutが「0」及び「1」の何れであるかが定まる。
【0028】
なお、ビット線BLに接続されたメモリセルMCELL1が消去、ビット線BLNに接続されたメモリセルMCELL2がプログラムの場合、データDoutは、Hレベルとなり、データの値が「1」となる。また、ビット線BLに接続されたメモリセルMCELL1がプログラム、ビット線BLNに接続されたメモリセルMCELL2Lが消去の場合、データDoutは、Lレベルとなり、データの値が「0」となる。
【0029】
図1に示すように、テスト回路20は、メモリセルMCELL群と、リードアンプ16との間に設けられている。テスト回路20、PMOSトランジスタPt1により、メモリセルMCELL群とリードアンプ16との間のビット線BL接続される容量素子C1群と、PMOSトランジスタPt2により、メモリセルMCELL群とリードアンプ16との間のビット線BLNに接続される容量素子C2群と、を含む。
【0030】
PMOSトランジスタPt1は、テスト信号が流れる制御線TEST1にゲート(制御端子)が接続され、ビット線BLにドレインが接続され、また容量素子C1にソースが接続されている。容量素子C1は、一端がPMOSトランジスタPt1のソースに接続され、他端が、グランド(GND)に接続されている。制御線TEST1のレベルがHの場合、PMOSトランジスタPt1がオフ状態となり、容量素子C1とビット線BLとが分離される。一方、制御線TEST1のレベルがLの場合、PMOSトランジスタPt1がオン状態となり、容量素子C1とビット線BLとが接続される。本実施形態の制御線TEST1が、本開示の第1の制御線の一例であり、本実施形態のPMOSトランジスタPt1が、本開示の第1のスイッチング素子の一例であり、本実施形態のビット線BLが、本開示の一対のビット線のうちの一方のビット線の一例であり、また、本実施形態の容量素子C1が、本開示の第1の容量素子の一例である。
【0031】
PMOSトランジスタPt2は、テスト信号が流れる制御線TEST2にゲート(制御端子)が接続され、ビット線BLNにドレインが接続され、また容量素子C2にソースが接続されている。容量素子C2は、一端がPMOSトランジスタPt2のソースに接続され、他端が、グランド(GND)に接続されている。制御線TEST2のレベルがHの場合、PMOSトランジスタPt2がオフ状態となり、容量素子C2とビット線BLNとが分離される。一方、制御線TEST2のレベルがLの場合、PMOSトランジスタPt2がオン状態となり、容量素子C2とビット線BLNとが接続される。本実施形態の制御線TEST2が、本開示の第2の制御線の一例であり、本実施形態のPMOSトランジスタPt2が、本開示の第2のスイッチング素子の一例であり、本実施形態のビット線BLNが、本開示の一対のビット線のうちの他方のビット線の一例であり、また、本実施形態の容量素子C2が、本開示の第2の容量素子の一例である。
【0032】
データを読み出す場合、まず、PREC信号がHレベルからLレベルに遷移することによって、ビット線対BL/BLNの電位が電源Vddによりプリチャージされ、LレベルからHレベルになることによりビット線対BL/BLNはプリチャージされた状態でフローティングとなる。
【0033】
次にROWデコーダ12がワード線WL<0>~<n>のうちの1つを選択する。これにより、選択されたワード線WLのレベルがLレベルからHレベルに立ち上がる。これにより、選択されたワード線WLにゲートが接続されたメモリセル対MCELL1/MCELL2がオン状態になり、ビット線対BL/BLNの配線容量の電荷を、MCELL電流で引き抜くことによって、ビット線対BL/BLNのレベルをHレベルからLレベルに遷移させる。
【0034】
メモリセルMCELL1、MCELL2には、消去(「0」)とプログラム(「1」)の2種類の状態がある。消去状態はメモリセルMCELL1、MCELL2のソース-ドレイン間に電流が多く流れる状態である。また、プログラム状態は、ソース-ドレイン間に電流が流れにくい状態である。書込み動作によって、メモリセル対MCELL1/MCELL2では、消去/プログラム、或いはプログラム/消去の相反する状態となっている。この相反する状態によって、フローティング状態であるビット線対BL/BLNでは、Lレベルへの遷移時間が異なり、ビット線BL、BLNのいずれかが、より速くLレベルに達する。これにより、上述したように、メモリセル対MCELL1/MCELL2の状態に応じたレベルのデータDoutがリードアンプ16からが出力される。
【0035】
図3A及び
図3Bには、半導体記憶装置10のマージンテストにおけるタイムチャートの一例が示されている。
図3Aは、ROWデコーダ12がワード線WL<0>を選択し、データDoutが「1」を出力する(Hレベルとなる)場合が示されている。
図3Aのタイミングt1でPREC信号がHレベルからLレベルに遷移することによって、プリチャージ回路14のPMOSトランジスタP1、P2がオン状態となる。これにより、ビット線対BL/BLNの電位が電源Vddによりプリチャージされ、LレベルからHレベルになることによりビット線対BL/BLNはプリチャージされた状態でフローティングとなる。
【0036】
また、タイミングt1で制御線TEST1のレベルをHレベルからLレベルに遷移することによって、テスト回路20のPMOSトランジスタPt1がオン状態となる。これにより、容量素子C1もビット線BLを流れる電荷によりプリチャージされる。一方、制御線TEST2は、タイミングt1以降もHレベルを維持するため、テスト回路20のPMOSトランジスタPt2はオフ状態のままとなる。そのため、容量素子C2はプリチャージされない。
【0037】
次にタイミングt2でROWデコーダ12がワード線WL<0>を選択するとワード線W<0>がLレベルからHレベルに遷移する。
【0038】
メモリセル対MCELL1/MCELL2がオン状態になり、ソース-ドレイン間に電流が流れる。このとき、ビット線BL側は、ビット線BLの配線容量に、容量素子C1に蓄積された電荷も加わるため、
図3Aに示すように、ビット線BLがHレベルからLレベルに遷移する遷移時間は、実動作時よりも長くなる。
図3Aに示した例では、タイミングt3~t4で、データDoutが「1」を出力する(Hレベルとなる)が、ビット線BLがHレベルからLレベルに遷移する遷移期間は、タイミングt3を超えている。一方、ビット線BLN側は、ビット線BLNの配線容量のみのため、
図3Aに示すように、ビット線BLNがHレベルからLレベルに遷移する遷移時間は、実動作時と同じになる。
【0039】
また、
図3Bは、ROWデコーダ12がワード線WL<0>を選択し、データDoutが「0」を出力する(Lレベルとなる)場合が示されている。
図3Bのタイミングt1でPREC信号がHレベルからLレベルに遷移することにより、ビット線対BL/BLNがプリチャージされる。
【0040】
また、タイミングt1で制御線TEST2のレベルをHレベルからLレベルに遷移することによって、上述したように、容量素子C2もビット線BLNを流れる電荷によりプリチャージされる。一方、制御線TEST1は、タイミングt1以降もHレベルを維持するため、テスト回路20のPMOSトランジスタPt1はオフ状態のままとなる。そのため、容量素子C1はプリチャージされない。
【0041】
次にタイミングt2でROWデコーダ112がワード線WL<0>を選択するとワード線W<0>がLレベルからHレベルに遷移する。
【0042】
メモリセル対MCELL1/MCELL2がオン状態になり、ソース-ドレイン間に電流が流れる。このとき、ビット線BLN側は、ビット線BLNの配線容量に、容量素子C2に蓄積された電荷も加わるため、
図3Bに示すように、ビット線BLNがHレベルからLレベルに遷移する遷移時間は、実動作時よりも長くなる。
図3Bに示した例では、タイミングt3~t4で、データDoutが「0」を出力する(Lレベルとなる)が、ビット線BLNがHレベルからLレベルに遷移する遷移期間は、タイミングt3を超えている。一方、ビット線BL側は、ビット線BLの配線容量のみのため、
図3Bに示すように、ビット線BLがHレベルからLレベルに遷移する遷移時間は、実動作時と同じになる。
【0043】
このように、マージンテストを行う際には、ビット線BLには、容量素子C1の容量を追加し、ビット線BLNには、容量素子C2の容量を追加するため、容量素子C1、C2の容量分が、実動作に対してマージンとなる。
【0044】
このように、メモリセルMCELL1の特性劣化分を容量素子C1の容量として設定し、メモリセルMCELL2の特性劣化分を容量素子C2の容量として設定して、マージンテストを行う。ここで、容量素子C1及び容量素子C2の容量はそれぞれ、メモリセルMCELL1およびメモリセルMCELL2の劣化電流分とビット線BL及びビット線BLNの配線容量から導くことが出来る。特性劣化分の他には、ビット線の配線容量のばらつき分、電源Vddの電圧ばらつき分を考慮することによって誤読出しの抑制になる。このマージンテストを合格したメモリセル対MCELL1/MCELL2によれば、特性が劣化した場合でも誤ってデータが読み出されるのを抑制することができる。
【0045】
以上説明したように、上記実施形態の半導体記憶装置10は、行列状に配置された複数のメモリセルMCELLにおいて、同一のワード線WL及び一対のビット線BL/BLNにより選択される一対のメモリセルMCELL1/MCELLによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置である。半導体記憶装置10は、ビット線対BL/BLN毎に設けられたリードアンプ16と、テスト回路20と、を備える。テスト回路20は、容量素子C1群と、容量素子C2群とを含む。容量素子C1群は、制御線TEST1に制御端子が接続されたPMOSトランジスタPt1により、ビット線対BL/BLNのうちのビット線BLにおけるメモリセルMCELL1とリードアンプ16との間に接続される。容量素子C2群は、制御線TEST2に制御端子が接続されたPMOSトランジスタPt2により、ビット線対BL/BLNのうちのビット線BLNにおけるメモリセルMCELL2とリードアンプ16との間に接続される。
【0046】
このように、上記実施形態の半導体記憶装置10によれば、メモリセルMCELL1の劣化分を容量素子C1で補い、また、メモリセルMCELL2の劣化分を容量素子C2で補った状態でマージンテストを行うことができる。従って、上記実施形態の半導体記憶装置10によれば、メモリセルMCELL1、MCELL2の劣化を考慮したマージンテストを行うことができる。
【0047】
なお、上記各実施形態で説明した半導体記憶装置10、プリチャージ回路14、及びテスト回路20等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【0048】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置であって、
前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路と、
第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第1の容量素子群と、第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子により、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に接続される第2の容量素子群と、を含むテスト回路と、
を備えた半導体記憶装置。
【0049】
(付記2)
前記メモリセルの動作マージンのテストを行う場合、
前記第1の制御線には、Hレベルの信号及びLレベルの信号のうちの一方の信号が流れ、
前記第2の制御線には、Hレベルの信号及びLレベルの信号のうちの他方の信号が流れる
付記1に記載の半導体記憶装置。
【0050】
(付記3)
前記メモリセルは、SRAM(Static Random Access Memory)である
付記1または付記2に記載の半導体記憶装置。
【0051】
(付記4)
行列状に配置された複数のメモリセルにおいて、同一のワード線及び一対のビット線により選択される一対のメモリセルによって1ビットのデータが記憶される半導体記憶装置における前記メモリセルの動作マージンのテスト方法であって、
第1の制御線に制御端子が接続された第1のスイッチング素子をオン状態にして、前記一対のビット線のうちの一方のビット線における前記メモリセルと読出制御回路との間に第1の容量素子群を接続した状態とし、
第2の制御線に制御端子が接続された第2のスイッチング素子をオフ状態にして、前記一対のビット線のうちの他方のビット線における前記メモリセルと前記読出制御回路との間に第2の容量素子群が接続されない状態とし、
前記一対のビット線毎に設けられた読出制御回路から信号を出力させる
テスト方法。
【符号の説明】
【0052】
10 半導体記憶装置
14 プリチャージ回路
18 リードアンプ
20 テスト回路
BL、BLN ビット線
C1<0>~C1<m>、C2<0>~C2<m> 容量素子
MCELL1、MCELL2 メモリセル
Pt1<0>~Pt1<m>、Pt2<0>~Pt<m> PMOSトランジスタ
TEST1、TEST2 制御信号