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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146188
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A01C11/02 303D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058938
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA06
2B060AC01
2B060AD01
2B060AE01
2B060BA03
2B060CC06
2B060CC14
2B060CC15
(57)【要約】
【課題】挟持力の細かな調節を可能とし、併せて、引張りスプリングが他の部材に噛み込まれる不具合を好適に防止できる苗移植機を提供する。
【解決手段】
苗植付け装置6は、左右苗挟持植付爪31の挟持力を調節する第1挟持力調節手段k10を備え、
第1挟持力調節手段k10は、開閉部37Bの長手方向に沿って左右外縁を切欠くようにして形成された左右一対の複数の掛止用窪み部k13と、複数の掛止用窪み部k13に張設された複数の第1調節スプリングk11とを備え、
第1調節スプリングk11は、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、掛止用窪み部k13に掛止することで着脱可能に構成され、そのフック部を除くばね本体部分が、左右一対の開閉部37の左右方向における内側に配設されたことを特徴とする苗移植機1によって、上記課題の解決が図られる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、苗を搬送する苗搬送部と、苗搬送部によって植付供給位置へ搬送された苗を左右苗挟持植付爪が挟持して圃場に植付ける苗植付け装置を設けた苗移植機において、
前記左右苗挟持植付爪は、開閉機構にてその先端部が左右方向に開閉して苗を挟持するよう構成され、前記開閉機構は、左右苗挟持植付爪の基部を各々取り付けた左右開閉プレートと開閉作動機構から構成され、
前記左右開閉プレートは、爪ホルダに基端部が左右枢支軸にて回動自在に枢支され、先端部に前記左右苗挟持植付爪の基部が各々取り付けられた左右固定板が固定され、前記開閉作動機構によって開閉動作するよう構成されており、また、
左右それぞれ、前記基端部と、前記基端部と一体形成され、左右枢支軸を支点として回動し、左右一対で開閉するように構成された開閉部と、前記開閉部の先端に連続形成され、前記左右固定板を介して、左右苗挟持植付爪が装着された先端部とからなり、
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第1挟持力調節手段を備え、
前記第1挟持力調節手段は、前記開閉部の長手方向に沿って左右外縁を切欠くようにして形成された左右一対の複数の掛止用窪み部と、前記複数の掛止用窪み部に張設された複数の第1調節スプリングとを備え、
前記第1調節スプリングは、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、前記掛止用窪み部に掛止することで着脱可能に構成され、そのフック部を除くばね本体部分が、左右一対の前記開閉部の左右方向における内側に配設されたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第2挟持力調節手段をさらに備え、
前記第2挟持力調節手段は、先端部が前記左右固定板から後方へと延出するようにして固着され、前記先端部の周面に沿って環状凹部が設けられた左右の掛止用ピンと、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、前記環状凹部に掛止されて張設された第2調節スプリングとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第3挟持力調節手段をさらに備え、
前記第3挟持力調節手段は、ねじりばねの形状を有する第3調節スプリングを、前記左右枢支軸の軸上に配するとともに、そのフック部を、前記爪ホルダ下面に設けられた第1掛止用突起と、左側の前記開閉部上面に設けられた第2掛止用突起とに、それぞれ掛止し、これにより、左側の前記開閉部を閉方向に付勢するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を移植する苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、苗搬送部の植付供給位置から左右苗挟持植付爪が苗を挟持して取出し、圃場の土中にまで移送して苗を離して植付ける苗移植機が知られている。この苗移植機は、苗挟持植付爪の挟持具ホルダ上方に、スプリング取付ピンを設け、このスプリング取付ピンに張設した引張スプリングにより一対の苗植付け挟持具を互いに近づく方向へ付勢している。この引張スプリングを交換することで、苗植付け挟持具の挟持力の調節が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-116529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の苗移植機によれば、苗挟持植付爪の挟持力の細かな調節が難しいものであった。苗挟持植付爪の挟持力が適切でないと、苗が植付途中で脱落して不適切な姿勢で植え付けられしまうおそれがある。また、植付作業中、スプリング取付ピンに引張スプリングを張設すると、スプリング取付ピンが、挟持具ホルダ上方に、張り出しているため他の部材と接触が生じやすく、引張スプリングが他の部材に噛み込まれて動作が停止するおそれが存在した。
【0005】
そこで、本発明は、挟持力の細かな調節を可能とし、併せて、引張りスプリングが他の部材に噛み込まれる不具合を好適に防止できる苗移植機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明は、
走行装置と、苗を搬送する苗搬送部と、苗搬送部によって植付供給位置へ搬送された苗を左右苗挟持植付爪が挟持して圃場に植付ける苗植付け装置を設けた苗移植機において、
前記左右苗挟持植付爪は、開閉機構にてその先端部が左右方向に開閉して苗を挟持するよう構成され、前記開閉機構は、左右苗挟持植付爪の基部を各々取り付けた左右開閉プレートと開閉作動機構から構成され、
前記左右開閉プレートは、爪ホルダに基端部が左右枢支軸にて回動自在に枢支され、先端部に前記左右苗挟持植付爪の基部が各々取り付けられた左右固定板が固定され、前記開閉作動機構によって開閉動作するよう構成されており、また、
左右それぞれ、前記基端部と、前記基端部と一体形成され、左右枢支軸を支点として回動し、左右一対で開閉するように構成された開閉部と、前記開閉部の先端に連続形成され、前記左右固定板を介して、左右苗挟持植付爪が装着された先端部とからなり、
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第1挟持力調節手段を備え、
前記第1挟持力調節手段は、前記開閉部の長手方向に沿って左右外縁を切欠くようにして形成された左右一対の複数の掛止用窪み部と、前記複数の掛止用窪み部に張設された複数の第1調節スプリングとを備え、
前記第1調節スプリングは、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、前記掛止用窪み部に掛止することで着脱可能に構成され、そのフック部を除くばね本体部分が、左右一対の前記開閉部の左右方向における内側に配設されたことを特徴とする苗移植機を提供する。
【0007】
上記第1の発明によれば、第1調節スプリングを掛止する構成によって、第1調節スプリングを迅速かつ容易に着脱でき、作業性やメンテナンス性が向上する。また、掛止用窪み部は、開閉部の左右外縁を切欠くようにして形成され、これにより、第1調節スプリングが該掛止用窪み部に入り込んだ状態で掛止できるため、第1調節スプリングのフック部が他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。加えて、第1調節スプリングのフック部を除くばね本体部分を、左右の開閉部の左右方向における内側に配設されたことで、開閉部の開閉動作中(植付動作中)に、開閉部が、ばね本体部分のガードの役割を果たし、第1調節スプリングが他の部材や圃場の障害物等に接触することを良好に防止でき、噛み込み等の不具合の発生をさらに良好に防止できる。さらに、開閉部の長手方向に沿って、左右一対の複数の掛止用窪み部が設けられ、複数の第1調節スプリングを着脱可能にしたことにより、細かな挟持力の調節が可能となる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明の構成に加え、
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第2挟持力調節手段をさらに備え、
前記第2挟持力調節手段は、先端部が前記左右固定板から後方へと延出するようにして固着され、前記先端部の周面に沿って環状凹部が設けられた左右の掛止用ピンと、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、前記環状凹部に掛止されて張設された第2調節スプリングとを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の構成に加え、
第2調節スプリングを迅速かつ容易に着脱でき、作業性やメンテナンス性が向上する。また、掛止用ピンの周面に沿って環状凹部が設けられ、該環状凹部に第2調節スプリングを掛止するよう構成されたため、第2調節スプリングのフック部が他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。掛止用ピンが、左右固定板から後方へと延出するように固着されており、これにより、作業者が視認しやすく、さらに、第2調節スプリング着脱に係る作業を行いやすい(手が届きやすい)ため、作業効率を向上できる。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明の構成に加え、
前記苗植付け装置は、前記左右苗挟持植付爪の挟持力を調節する第3挟持力調節手段をさらに備え、
前記第3挟持力調節手段は、ねじりばねの形状を有する第3調節スプリングを、前記左右枢支軸の軸上に配するとともに、そのフック部を、前記爪ホルダ下面に設けられた第1掛止用突起と、左側の前記開閉部上面に設けられた第2掛止用突起とに、それぞれ掛止し、これにより、左側の前記開閉部を閉方向に付勢するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明の構成に加え、
第3挟持力調節手段は、爪ホルダと左側の開閉部との空間に第3調節スプリングを配設したことで、爪ホルダがガードの役割を果たし、第3調節スプリングが、他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。また、弾性力の異なる複数の第3調節スプリングを用意し、挟持力変更の際には、係る第3調節スプリングを交換することによって、左右苗挟持植付のさらに細かな挟持力変更・調節が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、挟持力の細かな調節を可能とし、併せて、引張りスプリングが他の部材に噛み込まれる不具合を好適に防止できる苗移植機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に係る苗移植機の側面図である。
図2図2は、同上の平面図である。
図3図3は、図1の苗搬送部の背面図である。
図4図4は、図1の苗植付け装置の斜視図である。
図5図5は、図1の苗植付け装置の側面図である。
図6図6は、図1の苗植付け装置の要部拡大斜視図である。
図7図7は、図1の苗植付け装置の要部拡大斜視図である。
図8図8は、図1の苗植付け装置の要部拡大平面図である。
図9図9は、図4の左右開閉プレート及びその周辺部材の概略平面図である。
図10図10は、同上の概略側面図である。
図11図11は、図9の開閉部近傍の要部拡大平面図である。
図12図12は、左右開閉プレート及びその周辺部材の概略平面図である。
図13図13は、同上の概略側面図である。
図14図14は、図1の苗搬送部周辺の概略斜視図である
図15図15は、図1のセンサに装着された溝切板の斜視図である。
図16図16は、クローラ周辺の要部斜視図である。
図17図17は、図16の転輪用スクレーパの変形例を示す要部縦断面図である。
図18図18は、図16のクローラ周辺の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.苗移植機の全体構成>
本発明の実施形態に係る苗移植機1を以下に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る苗移植機1の側面図である。また、図2は、同上の平面図である。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。また、以下では、苗移植機1によって甘薯苗を移植する場合について説明するが、移植する苗は、甘薯苗に限定されない。
【0015】
図1及び図2に示すように、苗移植機1は、走行装置4と操縦ハンドル2を備えた機体に、甘薯苗を搬送する苗搬送部5と、該苗搬送部5によって搬送されてきた苗を圃場に植付ける苗植付け装置6とを備えている。走行装置4は、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7と、該後輪7の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪8とを備えたものとしている。
【0016】
エンジン3の後部には、ミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
【0017】
ミッションケース9の左右両側部に伝動ケース10を回動自在に取り付け、この伝動ケース10の回動中心にミッションケース9から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース10内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース10内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端の内側側方に突出する後車軸11に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0018】
左右の伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム12を左右各々一体的に取り付けていて、左右のアーム12と、ミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダ13のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に取り付けた天秤杆14の左右両側部とを連結部を介して連結している。右側の連結部はロッドで構成され、左側の連結部は伸縮可能な左右水平制御用油圧シリンダ16で構成されている。昇降用油圧シリンダ13が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム12は後方に回動し、これに伴い伝動ケース10が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが機体前方に引っ込むと、左右のアーム12は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、機体が下降する。
【0019】
この昇降用油圧シリンダ13は、機体に対する畝上面高さを検出するセンサ17の検出結果に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付昇降レバー18の人為操作によって、機体を上昇或は下降させるよう作動する構成でもある。尚、前記植付昇降レバー18は、苗植付け装置6及び苗搬送部5の駆動の入切の操作が行える。また、植付昇降レバー18の側方には、ミッションケース9内の主クラッチを操作して走行装置4の走行の入切操作が可能な主クラッチレバー19を設けている。
【0020】
また、左右水平制御用油圧シリンダ16が伸縮作動すると、左側の伝動ケース10が上下に回動して左側の後輪7を上下動させ、機体を左右に傾斜させる。左右水平制御用油圧シリンダ16は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出する振り子式の左右傾斜センサの検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動するよう構成している。
左右の前輪8は、エンジン3下方の左右中央位置で前後方向の軸心周りに回動自在に取り付けた前輪支持フレーム20の左右両側部の下方に延びるアーム部分21の下端部に固定した前車軸22に回転自在に取り付けられている。
【0021】
従って、左右の前輪8は、機体の左右中央の前後方向の軸心周りにローリング動自在となっている。前輪支持フレーム20の前側には、該前輪支持フレーム20から畝案内用支持プレートを介して左右方向に延びる畝案内支持軸62を回動可能に支持している。この畝案内支持軸62から前方に延びる左右各々の畝案内支持フレーム63を介して左右の畝案内輪64を支持している。畝案内輪64は、遊転輪であり、畝の側面に接触して機体を畝に倣って走行させるべく案内する周知の構成である。
【0022】
昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドと畝案内支持軸62との間には、連動ケーブルを連結している。機体の旋回時等において、左右の後輪7を下動させて機体を最上昇位置へ上昇させるとき、昇降用油圧シリンダ13のピストンロッドが後側へ移動するのに伴って連動ケーブルが連動して引かれ、畝案内支持軸62が回動して左右の畝案内支持フレーム63が上動し、機体を基準にして左右の畝案内輪64が上昇する。
【0023】
操縦ハンドル2は、ミッションケース9に前端部を固定したハンドルフレーム23の後端部に取り付けられている。ハンドルフレーム23は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、ハンドルフレーム23の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。
【0024】
操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。尚、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0025】
<2.苗搬送部の構成>
図3は、図1の苗搬送部5の背面図である。
図3に示すように、苗搬送部5は、甘薯苗を蔓が前後方向に向く姿勢で収容する苗収容部となる苗収容体26を苗搬送方向Cに複数備えるとともに、該苗収容体26を機体上部側で右方向に搬送する上部横送り部5aと、該上部横送り部5aにより搬送されてきた苗収容体26を機体下方に搬送する下降送り部5bと、該下降送り部5bにより搬送されてきた苗収容体26を機体上方に搬送し前記上部横送り部5aの搬送始端側に戻す上昇送り部5cとを備える苗搬送ベルト5Aから構成されており、苗収容体26を単一のループ状の搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0026】
また、上部横送り部5aは、左側の前輪8及び後輪7より左側にまで突出するように構成され、左端が機体の左側の最外端となっている。尚、上昇送り部5cの中間部で苗搬送ベルト5Aを左右方向内側に撓ませるテンションローラ111を設けており、これにより上昇送り部5cが左側の後輪7と干渉しない構成となっている。また、前記上部横送り部5aの後端は、左側の前輪8及び後輪7より後側の位置に配置されている。従って、作業者は、左側の後輪7及び上部横送り部5aの後側で該上部横送り部5aへ苗を供給する。前記搬送経路は側面視で上部横送り部5aが後側に位置するように傾斜しており、苗搬送部5の後側にいる作業者の近い位置に上部横送り部5aの苗収容体26が配置され、作業者が上部横送り部5aの苗収容体26への苗供給作業を容易に行えるようにしている。尚、前記下降送り部5bには、苗が落下しないように苗収容部となる苗収容体26内に苗を案内する苗落下防止板27をその上部で支持部材28から支持して設けている。
【0027】
苗搬送ベルト5Aは、上部右側に設けた前後の駆動ローラ113と、下部に設けた左右の第一従動ローラ114と、上部左側に設けた第二従動ローラ115とに巻き掛けられ、植付け伝動ケース32から間欠回転動力が伝達される駆動ローラ113の駆動により間欠回転する。尚、左右の第一従動ローラ114の間で苗搬送ベルトは若干左右略水平方向に苗を搬送するが、この搬送部分に苗を苗植付け装置6が挟持して取り出す植付供給位置Aが設定されている。
【0028】
苗搬送ベルト5Aの間欠的な回転駆動は、苗植付け装置6の苗挟持植付爪31が苗を挟持するときに停止して、それ以外のときに駆動する構成となっている。よって、苗植付け装置6の苗挟持植付爪31が苗を挟持して下降し土壌中に植付けるときには苗収容体26が停止しているので、苗が円滑に苗収容体26から取り出されて適確に苗を圃場に植付けることができる。
【0029】
苗搬送部5の前側には、植付け伝動ケース32の第一ケース部32aから苗載台支持フレーム81を介して苗載台82を設けている。この苗載台82上に収容箱等に収容した状態で甘薯苗を載置するようになっており、作業者は苗載台82上の苗を苗搬送部5の上部横送り部5aへ供給する。苗載台82の後端部は上部横送り部5aの前端部に近づけて配置され、上部横送り部5aへの苗補給の容易化を図っている。
【0030】
また、上部横送り部5aの左側方には、予備の苗を収容する籠状の予備苗収容部118を設けている。予備苗収容部118は、第二従動ローラ115の中心軸回りに回動可能な前後の予備苗収容部支持フレーム119で支持されている。予備苗収容部支持フレーム119を機体の左右方向内側(右側)へ回動させて、予備苗収容部118を上部横送り部5aの上方に位置する収納位置へ移動させると、機体幅を縮小できる。予備苗収容部118は、右側への回動で死点越えし、機体に設けた収納用ストッパ120に予備苗収容部支持フレーム119が当たって収納位置に保持される。この収納位置でも、予備苗収容部118が苗搬送部5の苗搬送ベルトやクリップ26aに干渉せず、苗搬送部5を駆動することができる。
【0031】
<3.苗植付け装置の構成>
図4は、図1の苗植付け装置6の斜視図であり、図5は、同上の側面図であり、図6及び図7は、同上の要部拡大斜視図、図8は、要部拡大平面図である。
苗植付け装置6は、前記下降送り部5bにより苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部となる苗収容体26の苗を取り出して圃場に植付けるようになっている。苗収容体26の表面(外周面)の後端部には、苗の蔓の後端部を挟持して保持する苗保持具となるクリップ26aを備えている。クリップ26aは、苗搬送ベルトの受け板部26bから上に突出する左右一対の挟持体で構成されている。尚、前記左右一対の挟持体は、一方が弾性のあるスポンジ状の樹脂で構成され、他方が柔軟性の有るブラシで構成され、挟持する苗の蔓を傷めないようにしている。作業者が苗を下方に押し込むことにより、苗が左右一対の挟持体で挟持されて固定される。
【0032】
図4図8に示すように、苗植付け装置6は、苗挟持植付爪31とその開閉機構33及び苗押出体34とその押出作動機構35を有する苗移植部36と、苗移植部36を動作させるリンク機構Rから構成される。
【0033】
リンク機構Rは、基部が機枠に枢支されて前後搖動する搖動リンクR1と植付け伝動ケース32に設けた回転駆動するクランク駆動軸30にて間欠回転駆動される駆動クランクR2にて構成され、搖動リンクR1及び駆動クランクR2の先端部が苗移植部36のフレームを構成する爪ホルダ36aの先端側及び基端側に各々枢支されている。なお、爪ホルダ36aの上面には、弾性体であるゴム板(図示せず)が設けられ、搖動リンクR1の揺動時に該ゴム板と弾発接触することで、搖動リンクR1の揺動を補助するよう構成されている。
【0034】
苗植付け装置6の駆動クランクR2を駆動するクランク駆動軸30は、ミッションケース9内からの動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付け伝動ケース32に設けている。植付け伝動ケース32は、その前部がミッションケース9の後部に連結しそこから後斜め上方に延びる第一ケース部32aと、この第一ケース部32aの上部左側部に固定され左側方に延びる第二ケース部32bと、その第二ケース部32bの左端部に固定され後斜め下方に延びる第三ケース部32cとを有する(図1参照)。
【0035】
先ず、苗挟持植付爪31とその開閉機構33について説明する。
左右一対の苗挟持植付爪31(以下、左右苗挟持植付爪31という。)は、開閉機構33にてその先端部が左右方向に開閉して蔓状の苗を挟持する。開閉機構33は、左右苗挟持植付爪31の基部を各々取り付けた左右開閉プレート37と開閉作動機構38から構成される。
)は、開閉機構33にてその先端部が左右方向に開閉して蔓状の苗を挟持する。開閉機構33は、左右苗挟持植付爪31の基部を各々取り付けた左右開閉プレート37と開閉作動機構38から構成される。
【0036】
左右開閉プレート37は、爪ホルダ36aに基端部が左右枢支軸50にて回動自在に枢支され、先端部に左右苗挟持植付爪31基部が各々溶接固定された左右一対の固定板31a(以下、左右固定板31aという。)をボルトナットにて固定している。なお、この左右開閉プレート37及びその周辺部材の構成については、後述する。
【0037】
クランク駆動軸30には、クランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bを爪ホルダ36a基端部に設けたカム軸40に設け、該カム軸40に設けた開閉カム41a及び押出カム41bが回転駆動する構成とする。また、爪ホルダ36aには、カム軸40の近くにアーム枢支軸42を設け、該アーム枢支軸42に開閉アーム43及び押出アーム44基部を枢支している。開閉アーム43は、アーム枢支軸42に枢支された左右アーム43a,43bにて構成される。
【0038】
左アーム43aは、基部がアーム枢支軸42に枢支され、先端部に開閉ワイヤ45の基部が取り付けられている。右アーム43bは、L字状で一片43b1が左アーム43aと平行に延び他片43b2が一片43b1に対して90度折れ曲がった方向に延び、該折れ曲がり部がアーム枢支軸42に枢支されている。
【0039】
左アーム43aの中途部には長孔が設けられ、右アーム43bの一片43b1の中途部に固着されたボルト46aが該左アーム43a中途部の長孔を挿通してナット46bにて固定されている。また、右アーム43bの一片43b1先端部に固定されたナットに調節ボルト47が螺号され、該調節ボルト47先端が左アーム43aに接当する構成で、調節ボルト47を回して左アーム43aを押すことにより左アーム43aと右アーム43bの位置を変更し、前記ナット46bを締めつけることにより調節した位置で左アーム43aと右アーム43bの位置を固定できる。
【0040】
また、右アーム43bの他片43b2先端部には開閉カム41aに接当する開閉従動ベアリング48が回転自在に設けられている。一方、左右開閉プレート37間には、左右開閉プレート37をその基端部を枢支する左右枢支軸50回りに外向きに開き回動させる開閉駆動ベアリング49が爪ホルダ36aに設けた枢支軸49aに基部が枢支された回動アーム49b先端に回転自在に枢支されている。
【0041】
左開閉プレート37の内側には、開閉駆動ベアリング49に接当するカム部37aが設けられ、左右開閉プレート37基部に各々一体に設けた連動機構としての左右ギヤ37bが噛合している。そして、回動アーム49b先端は、開閉ワイヤ45先端に連結している。
【0042】
開閉作動機構38は、植付け伝動ケース32からの間欠回転駆動にて間欠回転するクランク駆動軸30、クランク側歯車39a、カム側歯車39b、開閉カム41a、開閉従動ベアリング48、開閉アーム43、開閉ワイヤ45、回動アーム49b、開閉駆動ベアリング49、左開閉プレート37内側のカム部37a、左右ギヤ37bからなる。
従って、クランク駆動軸30の間欠回転により、クランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより開閉カム41aが回転し、該開閉カム41aにて開閉従動ベアリング48が押されて開閉アーム43が回動して開閉ワイヤ45を引き、回動アーム49bが回動して開閉駆動ベアリング49が左開閉プレート37内側のカム部37aを外向きに押して左開閉プレート37が外向きに開き回動し、左右ギヤ37bにて右開閉プレート37も外向きに開き回動する。よって、左右開閉プレート37先端部に固定されている左右苗挟持植付爪31先端の苗を挟持する左右苗挟持部31bが開く(図4参照)。
【0043】
また、開閉アーム43の右アーム43bの調節ボルト47にて左アーム43aと右アーム43bの相対位置を変更することにより、開閉カム41aが開閉従動ベアリング48を押した時の開閉アーム43の回動量を変更でき、左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bの開閉量を微調節できるので、植付深さに適したタイミングで苗が開放され、植付深さの適正化が図れる。なお、開閉アーム43の右アーム43bの調節ボルト47にて左アーム43aと右アーム43bの相対位置を変更する機構を開閉量調節機構Bと謂う。
次に、苗押出体34とその押出作動機構35について説明する。
【0044】
苗押出体34は、爪ホルダ36aの上面に設けた案内部54に案内されて進退移動自在に設けられた押出ロッド55の先端部に押出部56を設けた構成である。案内部54は、爪ホルダ36a上面を貫通して設けた左右ボルト54a各々に左右規制体としての左右ブッシュ54bを挿通し、各ブッシュ54bの上に上方規制体としてのプレート54cを左右ボルト54aに挿通して設け、上からナット54dにて締付けている。
【0045】
従って、押出ロッド55は、左右ブッシュ54b間を挿通し上下をプレート54cと爪ホルダ36a上面にて案内されて、適切に進退移動する。押出部56は、押出プレート57a上面に設けたV字状の切り欠き部を押出ロッド55の先端部に溶接固定し、該押出プレート57aに弾性押出体であるゴム板57bをボルトにて固定している。該ゴム板57bが苗を土中に押し出して植付ける。
【0046】
押出作動機構35は、前記のカム軸40に設けた押出カム41bと押出ロッドアーム58にて構成される。押出カム41bは、前述のとおり、クランク駆動軸30の間欠回転によりクランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより回転する。
【0047】
押出ロッドアーム58は、爪ホルダ36aに基部が枢支された前部押出ロッドアーム58aと該前部押出ロッドアーム58a先端と押出ロッド55前端に枢支された後部押出ロッドアーム58bにて構成される。前部押出ロッドアーム58aには、押出カム41bに接当して前部押出ロッドアーム58aを後方に向けて回動させる押出従動部としての押出従動ベアリング59が回転自在に設けられている。
【0048】
前部押出ロッドアーム58aと後部押出ロッドアーム58b間には、両者を折り畳む方向に付勢する引張スプリング60が設けられている。従って、クランク駆動軸30の間欠回転により、クランク側歯車39a及びカム側歯車39bにより押出カム41bが回転し、該押出カム41bにて押出従動ベアリング59が押されて前部押出ロッドアーム58aが後方に向けて回動し、該前部押出ロッドアーム58aの後方に向けた回動に連携して引張スプリング60の付勢力に抗して後部押出ロッドアーム58bが前部押出ロッドアーム58aから開くように後方に移動し、押出ロッド55が進出方向にスライド移動する。該押出ロッド55の進出方向へのスライド移動にて、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける。また、前部押出ロッドアーム58aの下端部を後方へと付勢するスプリングを設け、これにより、押出ロッド55を機体前方へと引き付けることで、他の部材のとの干渉を防止するよう構成することもできる。
【0049】
そして、苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aへ搬送された苗収容部となる苗収容体26の苗を左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bが挟持して取り出して圃場中に突入して植付位置にて左右苗挟持部31bが左右に開いた時に、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける。
【0050】
なお、左右苗挟持植付爪31先端の左右苗挟持部31bが苗搬送部5の搬送軌跡の最下位置の植付供給位置Aで苗を挟持する直前で、駆動クランクR2は回転軌跡の最上部位置(上死点)にあり、左右苗挟持部31bは最大に開いた状態で、その後、植付供給位置Aにくると左右苗挟持部31bは完全に閉じた状態となって苗を挟持する。
また、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付ける際に、ゴム板57bが進出方向に最大限突出移動した状態で所要時間停止した後に急速に後退動し、適確に苗を土中に押し込んで植付ける。
【0051】
そして、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付けた直後に、押出カム41bが押出従動ベアリング59から離れて前部押出ロッドアーム58aが前方に向けて回動し、該前部押出ロッドアーム58aの前方に向けた回動に連携して引張スプリング60に付勢されて後部押出ロッドアーム58bが前部押出ロッドアーム58a側に閉じるように前方に移動するので、押出ロッド55が後退方向に急速度でスライド移動する。
【0052】
従って、押出部56のゴム板57bが進出方向に突出移動して苗を土中に押し出して植付けた後は、該押出ロッド55の後退方向への急速度でのスライド移動にて押出部56のゴム板57bが急速度で後退するので、押出部56のゴム板57bが苗を持ち帰るような事態を回避して良好に適切な深さで苗を植付けることができる。
なお、前部押出ロッドアーム58aは、前方回動した時にカム軸40等に干渉しないように湾曲した形状としている。
【0053】
以上のように、左右苗挟持植付爪31が植付供給位置Aと植付位置間を移動することに連動して押出ロッド55が進退動することにより、押出部56のゴム板57bが植付位置で確実に苗を土中に植付けることができるので、苗を開放するタイミングが遅れて植付深さが浅くなることや、苗が開放されず欠株となることが防止される。
【0054】
また、前部押出ロッドアーム58aと後部押出ロッドアーム58bを引張スプリング60で両者が閉じる方向に付勢することにより、押出ロッド55が後退方向に付勢されるので後退が早くなり、押出部56のゴム板57bが植え付けた苗を持ち上げることや、地面と接触して破損することが防止される。
【0055】
また、クランク駆動軸30にクランク側歯車39aを設け、該クランク側歯車39aに噛合するカム側歯車39bを爪ホルダ36a基端部に設けたカム軸40に設けたので、開閉カム41aと押出カム41bを爪ホルダ36aの基端部寄りに配置することができ、開閉カム41aと押出カム41bを押出ロッドアーム58の押出従動ベアリング59が設けられた前部押出ロッドアーム58aや開閉アーム43の開閉従動ベアリング48が設けられた右アーム43bからの離間距離を抑えて配置することができ、コンパクトな構成となる。
【0056】
また、押出ロッド55の先端部に設けた押出プレート57aに下方に延びる弾性押出体であるゴム板57bを設けることにより、苗を適切な位置で押し出すことができる。
また、押出ロッド55の左右両側に左右規制体である左右ブッシュ54bを設け、左右ブッシュ54bの上方を上方規制体であるプレート54cで連結したことにより、押出ロッド55が進退動する際に左右方向、ならびに上方へのブレが生じることを防止でき、苗を押し出し損なうことが防止される。
【0057】
<4.苗植付け装置の挟持力調節機構>
苗植付け装置6は、左右苗挟持植付爪31の挟持力を調節する挟持力調節手段Kとして、第1挟持力調節手段k10と、第2挟持力調節手段k20、第3把持力調節手段k30とを備えている(図4図8において図示せず)。まず、図9図10を参照しながら、苗植付け装置6の第1挟持力調節手段k10と、第2挟持力調節手段k20について、説明する。
【0058】
図9は、左右開閉プレート37及びその周辺部材の概略平面図であり、図10は、同上の概略側面図である。
左右開閉プレート37は、図9に示されるように、左右それぞれ、左右枢支軸50が配設された基端部37Aと、該基端部37Aと一体形成され、左右枢支軸50を支点として回動し、これにより、左右一対で開閉するように構成された開閉部37Bと、該開閉部Bの先端に連続形成され、左右一対の固定板31aを介して、左右苗挟持植付爪31が装着された先端部37Cとを備えている。
【0059】
この第1挟持力調節手段k10は、開閉部37Bに、第1調節スプリングk11を装着可能な装着部k12が設けられ、該装着部k12に付勢用の弾性部材である第1調節スプリングk11が張設され、これにより、左右苗挟持植付爪31を閉方向(内側方向)へと付勢するよう構成されている。
【0060】
また、第2挟持力調節手段k20は、左右固定板31aに、第2調節スプリングk21を装着可能な第2装着部k22が設けられ、該第2装着部k22に付勢用の弾性部材である第2調節スプリングk21が張設され、これにより、左右苗挟持植付爪31を閉方向(内側方向)へと付勢するよう構成されている。
【0061】
図11は、図9の開閉部37B近傍の要部拡大平面図である。
装着部k12は、開閉部37Bの左右外縁を切欠くようにして形成された掛止用窪み部k13からなる。図示例においては、3つの掛止用窪み部k13が形成されている。
【0062】
また、第1調節スプリングk11は、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、左右の掛止用窪み部k13に掛止されて張設されている。図示例においては、3つの掛止用窪み部k13に合わせて、3つの第1調節スプリングk11が掛止されている。このように、第1調節スプリングk11を掛止する構成によれば、第1調節スプリングk11を迅速かつ容易に着脱でき、作業性やメンテナンス性が向上する。また、掛止用窪み部k13は、開閉部37Bの左右外縁を切欠くようにして形成し、第1調節スプリングk11が該掛止用窪み部k13に入り込んだ状態で掛止するよう構成されたため、第1調節スプリングk11のフック部が他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。加えて、第1調節スプリングk11のフック部を除くばね本体部分を、左右の開閉部37B、37Bの左右方向における内側に配設できるため、開閉部37Bの開閉動作中(植付動作中)に、開閉部37Bが、ばね本体部分のガードの役割を果たし、第1調節スプリングk11が他の部材や圃場の障害物等に接触することを良好に防止でき、噛み込み等の不具合の発生をさらに良好に防止できる。
【0063】
さらに、このように構成された第1挟持力調節手段k10は、弾性力の異なる複数の第1調節スプリングk11を用意し、挟持力変更の際には、第1調節スプリングk11の着脱や交換をすることによって、容易に、左右苗挟持植付爪31の挟持力変更・調節が可能となっている。さらに、開閉部37Bの長手方向に沿って、左右一対の複数(図示例では3つ)の掛止用窪み部k13が設けられ、複数の第1調節スプリングk11を着脱可能にしたことにより、細かな挟持力の調節が可能となっている。なお、複数の第1調節スプリングk11は、全て同じ弾性力のものを用いる必要はなく、例えば、現状より挟持力を弱めるよう調節する際は、3つのうち、1つの第1調節スプリングk11を、より弾性力の弱いものに交換したり、取り外したりすることが可能である。また、掛止用窪み部k13及び第1調節スプリングk11は、挟持力の精細な調節を可能とするために、複数(3つ以上)設けられることが望ましい。
【0064】
第2装着部k22は、図9図10に示されるように、左右固定板31aに、左右それぞれ、掛止用ピンk23がその先端部が左右固定板31aから延出するようにして固着されてなり、該掛止用ピンk23の先端部の周面に沿って環状凹部k24が設けられている。また、第2調節スプリングk21は、コイルばねの形状を有し、その左右のフック部が、それぞれ、左右の掛止用ピンk23の環状凹部k24に掛止されて張設されている。このように、第2調節スプリングk21を、掛止用ピンk23に掛止する構成によれば、第2調節スプリングk21を迅速かつ容易に着脱でき、作業性やメンテナンス性が向上する。このように構成された第2挟持力調節手段k20は、弾性力の異なる複数の第2調節スプリングk21を用意し、挟持力変更の際には、係る第2調節スプリングk21を交換することによって、容易に、左右苗挟持植付爪31の挟持力変更・調節が可能となっている。また、掛止用ピンk23の周面に沿って環状凹部k24が設けられ、該環状凹部k24に第2調節スプリングk21を掛止するよう構成されたため、第2調節スプリングk21のフック部が他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。なお、図示例においては、掛止用ピンk23が、左右固定板31aから後方へと延出するように固着されており、これにより、作業者が視認しやすく、さらに、第2調節スプリングk21着脱に係る作業を行いやすい(手が届きやすい)ため、作業効率を向上できる。
【0065】
図12は、左右開閉プレート37及びその周辺部材の概略平面図であり、図13は、同上の概略側面図である。
第3挟持力調節手段k30は、図12図13に示されるように、ねじりばねの形状を有する第3調節スプリングk31を、左右枢支軸50の軸上に配するとともに、そのフック部を、爪ホルダ36a下面に設けられた第1掛止用突起k32と、左側の開閉部37B上面に設けられた第2掛止用突起k33とに、それぞれ掛止し、これにより、左側の開閉部37Bを閉方向(内側方向)に付勢し、その結果として、左側の苗挟持植付爪31を閉方向(内側方向)へと付勢するよう構成されている。このように構成された第3挟持力調節手段k30は、爪ホルダ36aと左側の開閉部37Bとの空間に第3調節スプリングk31を配設したことで、爪ホルダ36aがガードの役割を果たし、第3調節スプリングが、他の部材と干渉し、噛み込み等の不具合が発生することが良好に防止される。弾性力の異なる複数の第3調節スプリングk31を用意し、挟持力変更の際には、係る第3調節スプリングk31を交換することによって、左右苗挟持植付爪31のさらに細かな挟持力変更・調節が可能となっている。
【0066】
<5.泥付着防止カバーの構成>
図14は、図1の苗搬送部5周辺の概略斜視図である。
図14に示されるように、苗搬送部5には、泥の付着を防止する泥付着防止カバーVが装着されてもよい。この泥付着防止カバーVは、左右苗挟持植付爪31の下方に配設された可撓性を有する平板状の樹脂製カバーであり、左右苗挟持植付爪31の左右位置に合わせて、上下方向に切り欠いたスリットv1が設けられている。左右苗挟持植付爪31の植付動作時に、該スリットv1が左右苗挟持植付爪31に接触し、左右苗挟持植付爪31に付着した泥を落とすことで、苗搬送部5への泥の付着が防止される。なお、この泥付着防止カバーVは、苗搬送ベルト5Aを支持するフレーム材に、プッシュリベットv2にて組み付けられて固定される。
【0067】
<6.センサに装着可能な溝切板の構成>
図15は、図1のセンサに装着された溝切板Wの斜視図である。
次に、図15を参照しながら、機体に対する畝上面高さを検出するセンサ17に装着可能な溝切板Wについて説明する。溝切板Wは、畝上に溝を切る機能を果たすものであり、左右対称の形状を有し、断面略V字状の溝切板本体w1と、溝切板本体w1の左右両側に、それぞれ、畝に対して略垂直に当接するよう垂直に配設された側板部w2と、側面視で円弧状に屈曲した板状の取付板部w3とを備えている。溝切板本体w1は、その下端が後方に向かって登り傾斜を有しており、これにより、機体前進時に、溝切板Wが畝に接触すると、畦に対して溝切板Wが下方に潜り込むよう負荷がかかり、これにより良好に畝高さが検出可能となっている。また、側板部w2は、溝切板Wの蛇行を防止する機能を果たし、畦からの抵抗を軽減するため、前後に傾斜が設けられて略台形状に形成されている。取付板部w3は、ボルト締結によりセンサ17に装着でき、また、側面視で円弧状に屈曲を有する板状に形成されたため、畝上を滑らかに移動しながら、溝切板本体w1の過剰な沈み込みを防止する。
【0068】
<7.クローラの構成>
次に、苗移植機1の後輪7周りをクローラRによって構成した場合について説明する。
該クローラRの基本構成については、例えば、特開2019-004776号公報を参照されたい。図16は、クローラR周辺の要部斜視図である。図16に示されるように、クローラRの転輪r1には、転輪r1の外縁部分(リム)に付着した泥を落とす略T字形状の転輪用スクレーパr2が設けられている。この転輪用スクレーパr2によって、クローラベルトr3と、転輪r1との間に石や泥が入り込み、動作不良を起こす事態が良好に防止される。
【0069】
図17は、図16の転輪用スクレーパr2の変形例を示す要部縦断面図である。
図17に示されるように、転輪用スクレーパr2は、略V字系の線材で設けられてもよい。これにより、より簡易かつ軽量化された形状により転輪r1の外縁部分に付着した泥を落とすことができる。
【0070】
図18は、図16のクローラR周辺の要部縦断面図である。
図17に示されるように、転輪r1を、左右摺動可能に設けるとともに、転輪r1の回転軸r4上に取り付け固定されたピンr5と、転輪r1の該車軸への取付部材r6との間にバネからなる弾性部材r7を設け、転輪r1を内側へと付勢するよう構成する。係る構成によれば、転輪r1に石の噛み込み等の負荷が発生した場合に、転輪r1がスラスト方向に摺動して外側に逃げ、転輪r1の回転が阻害されることを防止し、これによる動作不良を防止することができる。
【0071】
また、転輪r1は、図中に示されるように、細い湾曲した3本スポーク形状をなし、湾曲により、回転や振動により付着した泥を落としやすいよう構成されている。
【0072】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0073】
例えば、図9に示される掛止用窪み部k13は、開閉部37Bに第1調節スプリングk11のフック部を取り付け可能な貫通孔を設けることにより構成することもできる。あるいは、開閉部37B上に、該貫通孔を設けた板状のプレートが立設されてもよい。これにより、開閉部37B上の空間を有効活用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 苗移植機
4 走行装置
5 苗搬送部
6 苗植付け装置
30 クランク駆動軸
31 左右苗挟持植付爪
31a 固定板
35 押出作動機構
36a フレーム(爪ホルダ)
37 左右開閉プレート
37b 連動機構(左右ギヤ)
39a クランク側歯車
39b カム側歯車
37A 基端部
37B 開閉部
37C 先端部
40 カム軸
41a 開閉カム
41b 押出カム
43 開閉アーム
50 枢支軸
51 スプリング(閉じ用引張スプリング)
54b 左右規制体(左右ブッシュ)
54c 上方規制体(プレート)
55 押出ロッド
56 押出部
58a 押出ロッドアーム(前部押出ロッドアーム)
58b 押出ロッドアーム(後部押出ロッドアーム)
59 押出従動部(押出従動ベアリング)
60 スプリング(引張スプリング)
A 植付供給位置
B 開閉量調節機構
K 挟持力調節手段
k10 第1挟持力調節手段
k11 第1調節スプリング
k12 装着部
k13 掛止用窪み部
K20 第2挟持力調節手段
k21 第2調節スプリング
k22 第2装着部
k23 掛止用ピン
k24 環状凹部
k30 第3把持力調節手段
k31 第3調節スプリング
k32 第1掛止用突起
k33 第2掛止用突起
V 泥付着防止カバー
v1 スリット
v2 プッシュリベット
W 溝切板
w1 溝切板本体
w2 側板部
w3 取付板部
R クローラ
r1 転輪
r2 転輪用スクレーパ
r3 クローラベルト
r4 回転軸
r5 ピン
r6 取付部材
r7 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18