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特開2024-146192表示システム、表示制御装置、表示方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146192
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】表示システム、表示制御装置、表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241004BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241004BHJP
   A63B 22/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06T19/00 A
A63B22/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058948
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 広樹
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA01
5B050DA07
5B050EA07
5B050EA26
5B050FA02
5E555AA11
5E555AA64
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC08
5E555BE10
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB65
5E555DA08
5E555DB03
5E555DC19
5E555DC21
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】運動中における表示装置の視認性を向上する。
【解決手段】表示制御装置は、利用者の視点と、表示装置と、目標点との相対的な位置関係に基づいて、表示装置におけるオブジェクトの配置を決定する。目標点は、表示装置より視線方向の後方の位置である予め定められた点である。表示制御装置は、視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、表示装置におけるオブジェクトの配置を決定する。表示制御装置は、決定された配置に従って、表示装置にオブジェクトを表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が乗って運動を行うための運動器具と、
表示面が前記運動器具に乗った前記利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置と、
前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定し、決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させる表示制御装置と、
を備える表示システム。
【請求項2】
前記利用者が写るように設けられた撮像装置を備え、
前記表示制御装置は、前記撮像装置によって撮像された画像データに基づいて前記位置関係を特定する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記利用者の頭部に装着された慣性センサを備え、
前記表示制御装置は、前記慣性センサによる計測データに基づいて前記位置関係を特定する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示装置は慣性センサを備え、
前記表示制御装置は、前記慣性センサによる計測データに基づいて前記位置関係を特定する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
表示面が利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置を制御する表示制御装置であって、
前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、
決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、
を実行する表示制御装置。
【請求項6】
利用者の視点と、表示面が前記利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、
決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、
を有する表示方法。
【請求項7】
表示面が利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置を制御するコンピュータに、
前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、
決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、表示制御装置、表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デスクワークにおける運動不足を解消するため、運動をしながらコンピュータを操作できる仕事環境が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、頭の位置を維持しながら運動をすることは容易でない。例えば、トレッドミル上を走る場合、頭の位置は上下方向に動きやすい。運動によって頭が動くことで、利用者は対向する表示装置に表示されたオブジェクトを認識することが難しくなる。
表示装置を視点から離れた位置におくことで、頭の位置の移動の影響を低減することができるが、設置スペースには限りがあるため、表示装置と運動器具との距離を広げることは容易ではない。
本発明の目的は、運動中における表示装置の視認性を向上することができる表示システム、表示制御装置および表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、表示システムは、利用者が乗って運動を行うための運動器具と、表示面が前記運動器具に乗った前記利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置と、前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定し、決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させる表示制御装置と、を備える。
【0006】
第2の態様によれば、第1の態様に係る表示システムが、前記利用者が写るように設けられた撮像装置を備え、前記表示制御装置は、前記撮像装置によって撮像された画像データに基づいて前記位置関係を特定する、ものであってよい。
【0007】
第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る表示システムが、前記利用者の頭部に装着された慣性センサを備え、前記表示制御装置は、前記慣性センサによる計測データに基づいて前記位置関係を特定する、ものであってよい。
【0008】
第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る表示システムが、前記表示装置は慣性センサを備え、前記表示制御装置は、前記慣性センサによる計測データに基づいて前記位置関係を特定する、ものであってよい。
【0009】
第5の態様によれば、表示制御装置は、表示面が利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置を制御する表示制御装置であって、前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、を実行する。
【0010】
第6の態様によれば、表示方法は、利用者の視点と、表示面が前記利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、を有する。
【0011】
第7の態様によれば、プログラムは、表示面が利用者の視線方向に交差するように設けられた表示装置を制御するコンピュータに、前記利用者の視点と、前記表示装置と、前記表示装置より前記視線方向の後方の位置である予め定められた目標点と、の相対的な位置関係に基づいて、前記視点と前記目標点とを結ぶ直線上にオブジェクトが位置するように、前記表示装置における前記オブジェクトの配置を決定するステップと、決定された前記配置に従って、前記表示装置に前記オブジェクトを表示させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記少なくともいずれか1つの態様によれば、運動中における表示装置の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施形態に係る表示システムの構成を示す概略図である。
図2】第一実施形態に係る表示制御装置のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
図3】第一実施形態に係る表示制御装置による表示方法を示すフローチャートである。
図4】第二実施形態に係る表示システムの構成を示す概略図である。
図5】第三実施形態に係る表示システムの構成を示す概略図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈第一実施形態〉
《表示システムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。第一実施形態に係る表示システム1は、利用者Uの運動不足を解消するために、利用者Uのデスクワーク用の画面を表示させながら、運動器具11による運動を可能とする。表示システム1は、運動器具11を用いた運動による利用者Uの視点の動きに連動して画面に写る画像を変形させることで、運動による視認性の低下を防ぐ。
【0015】
図1は、第一実施形態に係る表示システムの構成を示す概略図である。
表示システム1は、運動器具11と、台座12と、表示装置13と、撮像装置14と、表示制御装置15とを備える。
【0016】
運動器具11は、利用者Uが乗って運動を行うための運動器具である。図1に示す例において運動器具11は、トレッドミルである。なお、運動器具11は、トレッドミルに限られない。例えば、他の実施形態に係る運動器具11は、フィットネスバイクやステッパー等の他の運動器具であってもよい。また、運動器具11は、トランポリンやバランスボール等、動力を要しない運動器具であってもよい。
【0017】
台座12は、運動器具11の前方に設けられる。運動器具11の前方とは、運動器具11に乗った利用者Uの顔が向く方向である。トレッドミルの場合、ベルトコンベアの送り方向の反対方向が前方である。
【0018】
表示装置13は、利用者Uに閲覧させる情報を表示する。表示装置13は、台座12の上に、運動器具11と正対するように設置される。表示装置13は、運動器具11に乗った利用者Uの視点の高さにディスプレイが位置するように設けられる。つまり、表示装置13は、表示面が運動器具11に乗った利用者Uの視線方向に交差するように設けられる。
【0019】
撮像装置14は、運動器具11に乗った利用者Uの顔が写るように設けられる。なお、第一実施形態に係る撮像装置14はステレオカメラであり、撮像範囲の距離画像を生成する。撮像装置14は、利用者Uの視点の位置を計測するためのセンサの一例である。撮像装置14と表示装置13の相対的な位置関係は固定されている。例えば、撮像装置14は、図1に示すように表示装置13の上部に固設されてよい。例えば、撮像装置14は、表示装置13と一体に形成されたものであってもよい。
【0020】
表示制御装置15は、撮像装置14によって撮像された距離画像に基づいて、表示装置13に表示させる表示データを生成し、表示データを表示装置13に出力する。表示制御装置15は、表示制御装置の一例である。
【0021】
《表示制御装置15の構成》
図2は、第一実施形態に係る表示制御装置15のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
表示制御装置15は、パラメタ記憶部151、オブジェクト生成部152、計測値取得部153、位置関係演算部154、変形部155、出力部156を備える。
【0022】
パラメタ記憶部151は、利用者Uに閲覧させる情報を表すオブジェクトOを配置すべき目標点Ptと表示装置13の仕様(画面の幅、画面の高さ、解像度等)を記憶する。目標点Ptは、表示装置13を基準とする直交座標系である装置座標系で表される。目標点Ptは、表示装置13の画面より視線の前方、すなわちディスプレイより後方に設定される。
【0023】
オブジェクト生成部152は、利用者Uに閲覧させる情報を表すオブジェクトOを生成する。オブジェクトOは、例えば文書やデスクトップ画面等が表された平面状のオブジェクトであってもよい。
【0024】
計測値取得部153は、撮像装置14が撮像した距離画像を取得する。
【0025】
位置関係演算部154は、距離画像に基づいて、利用者Uの視点Puと目標点Ptとの位置関係を演算する。具体的には、位置関係演算部154は、以下のような計算をする。位置関係演算部154は、距離画像について顔認識処理を行い、距離画像において利用者Uの目が写る位置を特定する。これにより位置関係演算部154は、撮像装置14から見た目の深度を特定できる。位置関係演算部154は、表示装置13と撮像装置14との既知の位置関係に基づいて特定した深度を、表示装置13を基準とする装置座標系で表される位置に変換する。パラメタ記憶部151が記憶する目標点Ptも装置座標系で表されているため、位置関係演算部154は、視点Puと目標点Ptとの相対的な位置関係を求めることができる。
【0026】
変形部155は、位置関係演算部154が演算した視点Puと目標点Ptとの相対的な位置関係に基づいて、オブジェクトOを変形し、表示装置13に表示させる変形オブジェクトO´を生成する。具体的には、変形部155は、以下のような計算をする。変形部155は、装置座標系で表される仮想空間を生成する。変形部155は、仮想空間の原点に表示装置13のディスプレイの外枠を表す表示装置オブジェクトを配置する。変形部155は、仮想空間の目標点PtにオブジェクトOを配置する。変形部155は、仮想空間の視点Puにレンダリングカメラを配置する。レンダリングカメラは視線が目標点Ptを向くように配置される。変形部155は、レンダリングカメラから見た画像をレンダリングする。変形部155は、レンダリングされた画像のうち、表示装置オブジェクト内に写る領域を切り出し、変形オブジェクトO´とする。
【0027】
出力部156は、変形部155が生成した変形オブジェクトO´を表示するための表示データを生成し、表示装置13に出力する。
【0028】
《表示制御装置15の処理》
図3は、第一実施形態に係る表示制御装置15による表示方法を示すフローチャートである。
利用者Uが表示システム1の利用を開始すると、表示制御装置15の変形部155は、装置座標系で表される仮想空間を生成し、原点に表示装置オブジェクトを配置する(ステップS1)。オブジェクト生成部152は、利用者Uに閲覧させる情報を表すオブジェクトOを生成する(ステップS2)。変形部155は、パラメタ記憶部151から目標点Ptの位置を読み出し、ステップS2で生成したオブジェクトOを仮想空間における目標点Ptに配置する(ステップS3)。
【0029】
計測値取得部153は、撮像装置14から距離画像を取得する(ステップS4)。位置関係演算部154は、取得した距離画像に基づいて利用者Uの視点Puの位置を特定する(ステップS5)。変形部155は、視点Puの位置にレンダリングカメラを配置し、レンダリングカメラの視線を目標点Ptへ向ける(ステップS6)。つまり、変形部155は、レンダリングカメラの視線が目標点Ptを通るように、レンダリングカメラの姿勢を決定する。変形部155は、オブジェクトOが写る画像をレンダリングする(ステップS7)。変形部155は、レンダリングされた画像のうち、表示装置オブジェクト内に写る領域を切り出し、変形オブジェクトO´を生成する(ステップS8)。
【0030】
出力部156は、変形オブジェクトO´を表示するための表示データを生成し、表示装置13に出力する(ステップS9)。表示制御装置15は、利用者Uから表示システム1の利用終了の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。利用終了の指示を受け付けていない場合(ステップS10:NO)、表示制御装置15はステップS4に処理を戻す。他方、利用終了の指示を受け付けた場合(ステップS10:YES)、コンピュータは処理を終了する。
【0031】
このように、第一実施形態に係る表示システム1は、視点Puと表示装置13と目標点Ptとの相対的な位置関係に基づいて、表示装置13にオブジェクトOを表示させる。このとき、表示システム1は、視点Puと目標点Ptとを結ぶ直線上にオブジェクトOが位置するようにオブジェクトOを配置した変形オブジェクトO´を生成し、当該変形オブジェクトO´を表示装置13に表示させる。これにより、表示システム1は、運動器具11の利用によって視点Puが移動しても、利用者UによるオブジェクトOの視認性を維持することができる。
【0032】
〈第二実施形態〉
図4は、第二実施形態に係る表示システム1の構成を示す概略図である。
第二実施形態に係る表示システム1は、第一実施形態に係る撮像装置14に代えて、慣性センサ16を備える。第二実施形態の他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0033】
慣性センサ16は直交する三軸に係る加速度および角加速度を計測する。慣性センサ16は、利用者Uの頭部に装着される。慣性センサ16の1つの軸は、利用者Uの正面方向と一致するように装着される。慣性センサ16は、利用者Uの視点の位置を計測するためのセンサの一例である。
【0034】
第二実施形態に係る位置関係演算部154は、慣性センサ16の計測データに基づいて、利用者Uの視点Puの位置を演算する。具体的には、位置関係演算部154は、以下のような計算をする。位置関係演算部154は、計測データが表す加速度および角加速度に基づいて視点Puの位置を更新する。なお、位置関係演算部154は、運動器具11の利用時の標準的な視点の位置を視点Puの初期位置としてよい。計測データに基づいて視点Puの位置を更新することで、位置関係演算部154は視点Puの最新の位置を特定することができる。
【0035】
〈第三実施形態〉
図5は、第三実施形態に係る表示システム1の構成を示す概略図である。
第三実施形態に係る表示システム1は、第一実施形態に係る表示装置13および表示制御装置15に代えて、コンピュータを内蔵するヘッドマウントディスプレイ17を備える。すなわち、第三実施形態に係る表示システム1は、運動器具11とヘッドマウントディスプレイ17とを備える。ヘッドマウントディスプレイ17は、利用者の頭部に装着される。ヘッドマウントディスプレイ17は、表示面が運動器具11に乗った利用者Uの視線方向に交差するように設けられた表示装置の一例である。ヘッドマウントディスプレイ17は、慣性センサ171と表示制御装置172とを備える。
【0036】
ヘッドマウントディスプレイ17の表示制御装置172は、第一実施形態に係る表示制御装置15と同様に、図2に示すパラメタ記憶部151、オブジェクト生成部152、計測値取得部153、位置関係演算部154、変形部155、出力部156を備える。
【0037】
ここで、パラメタ記憶部151は、目標点Ptの初期位置を記憶する。目標点Ptの初期位置は、視点Puを水平方向に向けたときに、ヘッドマウントディスプレイ17の表示面より所定距離だけ視線方向前方の位置とする。また計測値取得部153は、慣性センサ171の計測データを取得する。
【0038】
位置関係演算部154は、慣性センサ171の計測データに基づいて、水平面と鉛直軸からなる直交座標系において目標点Ptの位置が維持されるように、装置座標系における目標点Ptの位置を更新する。なお、装置座標系における視点の位置はヘッドマウントディスプレイ17の設計によって定まる定数である。具体的には、位置関係演算部154は、以下のような計算をする。位置関係演算部154は、計測データが表す加速度および角加速度に基づいて、視点Puを基準として、目標点Ptを平行移動および回転させる。計測データに基づいて目標点Ptの位置を更新することで、位置関係演算部154は水平面と鉛直軸からなる直交座標系において目標点Ptの位置を維持することができる。
【0039】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係る表示制御装置15または表示制御装置172は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで表示制御装置15または表示制御装置172として機能するものであってもよい。
【0040】
上述した実施形態に係る表示システム1では、目標点Ptの位置を予め設定しておくが、これに限られない。例えば、第四実施形態に係る表示システム1は、目標点Ptの位置を計算によって決定してもよい。例えば、第四実施形態に係る表示制御装置15は、位置関係演算部154が求める利用者Uの視点Puの変動の幅に応じて視点から目標点Ptまでの距離を変化させてもよい。例えば、表示制御装置15は、視点Puの変動が大きいほど目標点Ptまでの距離を遠くさせることができる。
【0041】
また、上述した実施形態に係る表示システム1は、仮想空間に配置された視点Puと目標点Ptの位置関係に基づいて変形オブジェクトO´を生成するが、これに限られない。例えば、第五実施形態に係る表示システム1は、視点Puの上下方向の変化に応じてオブジェクトOを平行移動させるものであってよい。このとき、表示システム1は、視点Puと目標点Ptとの距離の変化によってオブジェクトOの拡大率を変更しなくてよい。また表示システム1は、視点Puの傾きの変化によってオブジェクトOを変形しなくてもよい。
【0042】
また、第六実施形態に係る表示システム1では、表示装置13が利用者Uによって把持されるもの(例えば、タブレット端末)であってもよい。この場合、表示装置13は内蔵する慣性センサによる計測データと、インカメラによる撮像画像との両方に基づいて、視点Puと目標点Ptとの相対位置を計算してよい。
【0043】
〈コンピュータ構成〉
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ2は、プロセッサ21、メインメモリ22、ストレージ23、インタフェース24を備える。
上述の表示制御装置15または表示制御装置172は、コンピュータ2に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ23に記憶されている。プロセッサ21は、プログラムをストレージ23から読み出してメインメモリ22に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ21は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ22に確保する。プロセッサ21の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサ等が挙げられる。
【0044】
プログラムは、コンピュータ2に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ2は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ21によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。また、他の実施形態においては、コンピュータ2は、1または複数のコンピュータ上で仮想化されたものであってもよい。
【0045】
ストレージ23の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ23は、コンピュータ2のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース24または通信回線を介してコンピュータ2に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ2に配信される場合、配信を受けたコンピュータ2が当該プログラムをメインメモリ22に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ23は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0046】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ23に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 表示システム
11 運動器具
12 台座
13 表示装置
14 撮像装置
15 表示制御装置
151 パラメタ記憶部
152 オブジェクト生成部
153 計測値取得部
154 位置関係演算部
155 変形部
156 出力部
16 慣性センサ
17 ヘッドマウントディスプレイ
171 慣性センサ
172 表示制御装置
2 コンピュータ
21 プロセッサ
22 メインメモリ
23 ストレージ
24 インタフェース
O オブジェクト
O´ 変形オブジェクト
Pt 目標点
Pu 視点
U 利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6