(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146193
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】磁気センサおよび磁気センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20241004BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20241004BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 N
H01L29/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058949
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 司也
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA10
2G017AB07
2G017AC06
2G017AD55
2G017BA09
2G017BA15
5F092AB01
5F092AC08
5F092AC12
5F092AD03
5F092AD25
5F092BB16
5F092GA01
(57)【要約】
【課題】検出値の誤差を低減できるようにした磁気センサおよび磁気センサシステムを実現する。
【解決手段】磁気センサ1は、傾斜面21aの上に配置されると共に第1の検出信号S1を生成するように構成された第1のMR素子11と、傾斜面21aの上に配置されると共に第2の検出信号S2を生成するように構成された第2のMR素子21と、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2をそれぞれ第1の補正信号S1cと第2の補正信号S2に変換するように構成された変換器31とを備えている。変換器31は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率とは異ならせるように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準平面に対して傾斜した少なくとも1つの傾斜面を有する支持部材と、
前記少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の検出信号を生成するように構成された第1の磁気検出素子と、
前記少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に前記対象磁界を検出して前記第1の検出信号とは位相が異なる第2の検出信号を生成するように構成された第2の磁気検出素子と、
前記第1の検出信号と前記第2の検出信号をそれぞれ第1の補正信号と第2の補正信号に変換する変換器であって、前記第1の検出信号と前記第2の検出信号の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、前記第1の補正信号の振幅に対する前記第2の補正信号の振幅の比率を、前記第1の検出信号の振幅に対する前記第2の検出信号の振幅の比率とは異ならせるように構成された変換器とを備えたことを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記変換器は、前記第1の補正信号の振幅に対する前記第2の補正信号の振幅の比率が1を含まないように構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1の検出信号は、前記第2の検出信号に対して位相が進んだ信号であり、
前記変換器は、前記第1の補正信号の振幅に対する前記第2の補正信号の振幅の比率が1以下の範囲を含まないように構成されていることを特徴とする請求項2記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの傾斜面が前記基準平面に対してなす角度は、10°以上45°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1の磁気検出素子と前記第2の磁気検出素子の各々の平面形状は、円形であることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項6】
更に、電源端と、
グランド端と、
第1の出力端と、
第2の出力端と、
前記電源端と前記第1の出力端との間に設けられた第1の抵抗部と、
前記電源端と前記第2の出力端との間に設けられた第2の抵抗部と、
前記グランド端と前記第1の出力端との間に設けられた第3の抵抗部と、
前記グランド端と前記第2の出力端との間に設けられた第4の抵抗部とを備え、
前記第1の抵抗部と前記第3の抵抗部の一方は、前記第1の磁気検出素子を含み、
前記第1の抵抗部と前記第3の抵抗部の他方は、前記少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に前記対象磁界を検出して前記第1の磁気検出素子と協働して前記第1の検出信号を生成するように構成された第3の磁気検出素子を含み、
前記第2の抵抗部と前記第4の抵抗部の一方は、前記第2の磁気検出素子を含み、
前記第2の抵抗部と前記第4の抵抗部の他方は、前記少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に前記対象磁界を検出して前記第2の磁気検出素子と協働して前記第2の検出信号を生成するように構成された第4の磁気検出素子を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第1の磁気検出素子と前記第2の磁気検出素子の各々は、磁気抵抗効果素子であり、
前記磁気抵抗効果素子は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、前記対象磁界に応じて方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含み、
前記第1の磁気検出素子の前記磁化固定層の前記第1の磁化の方向と前記第2の磁気検出素子の前記磁化固定層の前記第1の磁化の方向は、互いに交差する方向であり、
前記第1の磁気検出素子の前記磁化固定層の前記第1の磁化の方向と前記第2の磁気検出素子の前記磁化固定層の前記第1の磁化の方向の一方は、前記基準平面と交差する方向であることを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項8】
更に、前記第1の補正信号と前記第2の補正信号を用いて、検出対象の角度と対応関係を有する検出値を生成するように構成されたプロセッサを備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記変換器を含むことを特徴とする請求項8記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記変換器は、前記第1の磁気検出素子または前記第2の磁気検出素子に電気的に接続された抵抗器を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの傾斜面は、第1の傾斜面と第2の傾斜面とを含み、
前記第1の磁気検出素子は、前記第1の傾斜面の上に配置され、
前記第2の磁気検出素子は、前記第2の傾斜面の上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気センサと、
前記対象磁界を発生する磁界発生器とを備えたことを特徴とする磁気センサシステム。
【請求項13】
前記磁気センサは、前記磁界発生器の外周に対向するように配置されていることを特徴とする請求項12記載の磁気センサシステム。
【請求項14】
前記磁気センサと前記磁界発生器は、前記磁気センサに対する前記磁界発生器の相対的な位置が変化すると、所定の位置における前記対象磁界の方向が回転するように構成されていることを特徴とする請求項13記載の磁気センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面の上に配置された磁気検出素子を含む磁気センサおよび磁気センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車におけるステアリングホイールまたはパワーステアリングモータの回転位置の検出等の種々の用途で、検出対象の角度と対応関係を有する角度検出値を生成する角度センサ装置が広く利用されている。角度センサ装置としては、例えば、磁気センサを用いた磁気式の角度センサ装置がある。磁気式の角度センサ装置では、一般的に、対象物の回転や直線的な運動に連動して方向が回転する磁界を発生する磁界発生器が設けられる。磁気センサは、磁界発生器が発生する磁界のうち、方向および強度の少なくとも一方が所定の平面内において変化する磁界(以下、対象磁界とも言う。)を検出するように構成されている。
【0003】
ここで、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸によって定義される直交座標系を想定すると共に、一定の強度でX軸周りに回転する対象磁界を想定する。対象磁界の方向は、YZ平面に平行な面の上に形成された磁気抵抗効果素子等の磁気検出素子によって検出することができる。しかし、場合によっては、YZ平面と90°以外の二面角をなして交差する非YZ平面に平行な面の上に形成された磁気検出素子によって、対象磁界の方向を検出したい場合がある。非YZ平面に平行な面の上に形成された磁気検出素子は、方向と強度が非YZ平面内において変化する磁界成分を検出することが可能である。磁界成分の方向と強度は、対象磁界の方向に応じて変化する。磁界成分の方向が所定の方向に対してなす角度は、対象磁界の方向が所定の方向に対してなす角度と対応関係を有している。
【0004】
磁界成分の方向は、互いに位相が90°異なる第1および第2の検出信号を生成する検出信号生成部を有する磁気センサを用いて検出することが可能である。磁界成分の方向が所定の方向に対してなす角度は、第1および第2の検出信号を用いた角度演算によって求めることができる。
【0005】
前述のように、磁界成分の強度は、対象磁界の方向に応じて変化する。そのため、対象磁界の方向が所定の周期で変化するときの第1および第2の検出信号の各々の波形は、理想的な正弦曲線から歪む。第1および第2の検出信号の各々の波形が歪むと、角度演算によって求めた値に誤差が生じる。
【0006】
特許文献1には、半径方向および回転方向の2つの出力電圧値の少なくとも一方に修正係数を乗算し、修正した2つの出力電圧値から回転角度を算出する回転角度検出装置が開示されている。特許文献2には、検出信号に対して行われる変換演算であって、オフセット補正演算、振幅補正演算および位相補正演算を含む変換演算に、誤差を低減するための補正項を含む演算を含ませることにより、角度センサにおける誤差を低減する技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、方向が所定の平面内において変化する検出対象の磁界を、所定の平面と90°以外の二面角をなして交差する傾斜面の上に配置された磁気抵抗効果素子によって検出する磁気センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/099054号
【特許文献2】特開2017-215222号公報
【特許文献3】特開2020-197491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2では、方向が所定の平面内において変化する検出対象の磁界を、所定の平面に平行な面の上に形成された磁気抵抗効果素子によって検出することを前提としている。特許文献1および2では、特許文献3のように、検出対象の磁界を傾斜面の上に配置された磁気抵抗効果素子によって検出することは想定されていない。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、傾斜面の上に配置された磁気検出素子を含む磁気センサによって生成される複数の検出信号を用いて生成される検出値の誤差を低減できるようにした磁気センサおよび磁気センサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁気センサは、
基準平面に対して傾斜した少なくとも1つの傾斜面を有する支持部材と、
少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の検出信号を生成するように構成された第1の磁気検出素子と、
少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の検出信号とは位相が異なる第2の検出信号を生成するように構成された第2の磁気検出素子と、
第1の検出信号と第2の検出信号をそれぞれ第1の補正信号と第2の補正信号に変換する変換器であって、第1の検出信号と第2の検出信号の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、第1の補正信号の振幅に対する第2の補正信号の振幅の比率を、第1の検出信号の振幅に対する第2の検出信号の振幅の比率とは異ならせるように構成された変換器とを備えている。
【0012】
本発明の磁気センサシステムは、本発明の磁気センサと、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の磁気センサおよび磁気センサシステムでは、変換器によって、第1の検出信号と第2の検出信号の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、第1の補正信号の振幅に対する第2の補正信号の振幅の比率を、第1の検出信号の振幅に対する第2の検出信号の振幅の比率とは異ならせている。これにより、本発明によれば、第1および第2の検出信号を用いて生成される検出値の誤差を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した1つの突出部を示す正面図である。
【
図3】
図1に示した1つの突出部を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの回路構成を示す回路図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における対象磁界について説明するための説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態における対象磁界の面内成分と垂直成分を示す説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態における第1および第2の検出信号を示す波形図である。
【
図9】第1の実施例の第1および第2の補正信号を示す波形図である。
【
図10】第2の実施例の第1および第2の補正信号を示す波形図である。
【
図11】第1の実施例、第2の実施例および比較例の各々の角度誤差を示す特性図である。
【
図12】振幅比と角度誤差との関係を示す特性図である。
【
図13】角度誤差が0になるときの傾斜角度と振幅比との関係を示す特性図である。
【
図14】本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサシステムを示す斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサシステムを示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
【
図17】本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、
図1ないし
図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
図2は、
図1に示した1つの突出部を示す正面図である。
図3は、
図1に示した1つの突出部を示す側面図である。
【0016】
本実施の形態に係る磁気センサ1は、第1の磁気検出素子と、第2の磁気検出素子と、第3の磁気検出素子と、第4の磁気検出素子とを備えている。本実施の形態では特に、第1ないし第4の磁気検出素子として、磁気抵抗効果素子を用いている。以下、磁気抵抗効果素子をMR素子と記す。また、第1の磁気検出素子を第1のMR素子11と記し、第2の磁気検出素子を第2のMR素子12と記し、第3の磁気検出素子を第3のMR素子13と記し、第4の磁気検出素子を第4のMR素子14と記す。
【0017】
磁気センサ1は、更に、第1ないし第4のMR素子11~14に電流を供給するための図示しない複数の電極を備えている。
【0018】
磁気センサ1は、更に、第1ないし第4のMR素子11~14を支持する支持部材20を備えている。支持部材20は、上面20aと、下面20bとを有している。支持部材20は、例えば、基板と、基板の上に積層された複数の絶縁層とを含む構造体であってもよい。
【0019】
ここで、
図1ないし
図3に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では特に、支持部材20の上面20aに垂直な方向であって、支持部材の下面20bから上面20aに向かう方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
【0020】
以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。また、「Z方向から見たとき」という表現は、Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
【0021】
支持部材20の下面20bは、XY平面に平行な平面である。支持部材20の下面20bは、本発明における「基準平面」に対応する。支持部材20の上面20aも、XY平面に平行な平面であってもよい。
【0022】
支持部材20は、支持部材20の上面20aにおいてX方向に平行な方向に並ぶ突出部21,22を含んでいる。突出部21,22の各々は、支持部材20の上面20aからZ方向に突出している。また、突出部21,22の各々は、Y方向に平行な方向に延在している。突出部21,22の各々は、YZ平面に対して対称またはほぼ対称な形状を有していてもよい。
【0023】
突出部21,22の各々の表面は、支持部材20の上面20aから遠ざかる方向(Z方向)に張り出す凸面である。この凸面は、Y方向に平行な方向に延在している。凸面の全体形状は、半円筒状の曲面である。
【0024】
突出部21の表面は、傾斜面21aと傾斜面21bとを含んでいる。傾斜面21aは、突出部21の表面のうち、突出部21の上端部よりも-X方向側の面である。傾斜面21bは、突出部21の表面のうち、突出部21の上端部よりもX方向側の面である。
図1では、突出部21の上端部すなわち傾斜面21aと傾斜面21bとの境界を、点線で示している。傾斜面21aと傾斜面21bは、突出部21の上端部と交差するYZ平面に対して対称またはほぼ対称な形状を有していてもよい。
【0025】
突出部21の表面についての上記の説明は、突出部22にも当てはまる。突出部21の表面についての上記の説明中の突出部21および傾斜面21a,21bをそれぞれ突出部22および傾斜面22a,22bに置き換えれば、突出部22の表面についての説明になる。
【0026】
傾斜面21a,21b,22a,22bは、本発明における「少なくとも1つの傾斜面」に対応する。第1ないし第4のMR素子11~14は、少なくとも1つの傾斜面の上に配置されている。本実施の形態では特に、第1および第3のMR素子11,13は、傾斜面21aの上に配置されている。また、第2および第4のMR素子12,14は、傾斜面22aの上に配置されている。
図1に示した例では、第3および第4のMR素子13,14は、それぞれ、第1および第2のMR素子11,12に対して、-Y方向の先に配置されている。
【0027】
ここで、任意のMR素子を符号110で表し、任意の突出部を符号120で表す。突出部120の表面は、傾斜面21aまたは22aに対応する傾斜面120aと、傾斜面21bまたは22bに対応する傾斜面120bとを含んでいる。
図3に示したように、MR素子110は、支持部材20の下面20bすなわち基準平面に対して傾斜する。支持部材20は、MR素子110を基準平面に対して傾くように支持するための部材である。
【0028】
本実施の形態では、傾斜面120a,120bの各々は曲面である。そのため、MR素子110は、曲面(傾斜面120a)に沿って湾曲する。本実施の形態では、便宜上、MR素子110と交差する仮想の直線がXY平面になす角度を、傾斜面120aが基準平面に対してなす角度とし、この角度の大きさを記号αで表す。仮想の直線は、Z方向から見たときのMR素子110の重心に最も近い傾斜面120a上の点を通る接線に平行であってもよい。また、X方向からZ方向に向かってαだけ回転した方向をU方向とし、U方向とは反対の方向を-U方向とする。
【0029】
αは、0°よりも大きく90°よりも小さい角度である。αは、例えば、10°以上45°以下の範囲内であってもよい。傾斜面120bが基準平面に対してなす角度の大きさは、実質的にαと等しくてもよい。以下の説明では、傾斜面21aが基準平面に対してなす角度の大きさ、傾斜面21bが基準平面に対してなす角度の大きさ、傾斜面22aが基準平面に対してなす角度の大きさおよび傾斜面22bが基準平面に対してなす角度の大きさは、いずれも、αであるものとする。
【0030】
なお、
図3では、MR素子110の下面が傾斜面120aに接するように描かれている。しかし、実際には、MR素子110の下面と傾斜面120aとの間には、他のMR素子110あるいは後述する電源端、グランド端、第1の信号端または第2の信号端と接続するための電極が設けられている。
【0031】
次に、
図4を参照して、磁気センサ1の回路構成について説明する。
図4は、磁気センサ1の回路構成を示す回路図である。磁気センサ1は、更に、電源端V1と、グランド端G1と、第1の出力端E1と、第2の出力端E2と、第1の抵抗部R1と、第2の抵抗部R2と、第3の抵抗部R3と、第4の抵抗部R4とを備えている。第1の抵抗部R1は、電源端V1と第1の出力端E1との間に設けられている。第2の抵抗部R2は、電源端V1と第2の出力端E2との間に設けられている。第3の抵抗部R3は、グランド端G1と第1の出力端E1との間に設けられている。第4の抵抗部R4は、グランド端G1と第2の出力端E2との間に設けられている。
【0032】
電源端V1は、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランド端G1はグランドに接続される。
【0033】
第1の抵抗部R1は、第1のMR素子11を含んでいる。第2の抵抗部R2は、第2のMR素子12を含んでいる。第3の抵抗部R3は、第3のMR素子13を含んでいる。第4の抵抗部R4は、第4のMR素子14を含んでいる。
【0034】
なお、
図4に示した例では、第1の抵抗部R1は、第1のMR素子11を含んでいる。しかし、第1の抵抗部R1は、第1のMR素子11として、直列に接続された複数のMR素子を含んでいてもよい。同様に、第2ないし第4の抵抗部R2~R4の各々は、直列に接続された複数のMR素子を含んでいてもよい。
【0035】
第1のMR素子11は、対象磁界MFを検出して第1の検出信号S1を生成するように構成されている。第3のMR素子13は、対象磁界MFを検出して第1のMR素子11と協働して第1の検出信号S1を生成するように構成されている。
【0036】
第2のMR素子12は、対象磁界MFを検出して第2の検出信号S2を生成するように構成されている。第4のMR素子14は、対象磁界MFを検出して第2のMR素子12と協働して第2の検出信号S2を生成するように構成されている。
【0037】
第1の検出信号S1は、第2の検出信号S2に対して、位相が進んだ信号であってもよい。第1の検出信号S1と第2の検出信号S2の位相差は、例えば90°である。
【0038】
磁気センサ1は、更に、検出対象の角度と対応関係を有する検出値θsを生成するように構成されたプロセッサ30を備えている。プロセッサ30は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)あるいはマイクロコンピュータによって構成されている。
【0039】
本実施の形態では特に、プロセッサ30は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2をそれぞれ第1の補正信号S1cと第2の補正信号S2cに変換する変換器31を含んでいる。変換器31は、プロセッサ30によって構成される機能ブロックであってもよい。変換器31の機能については、後で詳しく説明する。
【0040】
プロセッサ30は、更に、第1の補正信号S1cと第2の補正信号S2cを用いて、検出値θsを生成するように構成された検出値生成部32を含んでいる。検出値生成部32は、プロセッサ30によって構成される機能ブロックであってもよい。
【0041】
次に、第1および第2の検出信号S1,S2について説明する。始めに、
図5を参照して、MR素子110の構成について説明する。
図5は、MR素子110を示す斜視図である。MR素子110は、スピンバルブ型のMR素子である。MR素子110は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層112と、対象磁界MFの方向に応じて方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層114と、磁化固定層112と自由層114の間に配置されたギャップ層113とを含んでいる。MR素子110は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層113はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層113は非磁性導電層である。MR素子110では、自由層114の磁化の方向が磁化固定層112の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。
【0042】
MR素子110は、更に、反強磁性層111を含んでいる。反強磁性層111、磁化固定層112、ギャップ層113および自由層114は、この順に積層されている。反強磁性層111は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層112との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層112の磁化の方向を固定する。なお、磁化固定層112は、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned 層、SFP層)であってもよい。セルフピン止め型の固定層は、強磁性層、非磁性中間層および強磁性層を積層させた積層フェリ構造を有し、2つの強磁性層を反強磁性的に結合させてなるものである。磁化固定層112がセルフピン止め型の固定層である場合、反強磁性層111を省略してもよい。
【0043】
なお、MR素子110における層111~114の配置は、
図5に示した配置とは上下が反対でもよい。
【0044】
MR素子110の平面形状は、例えば、円形またはほぼ円形であってもよい。なお、MR素子110の平面形状は、層111~114の積層方向な一方向から見た形状であってもよいし、Z方向から見た形状であってもよい。
【0045】
図1において、MR素子に描かれた矢印は、そのMR素子の磁化固定層112の第1の磁化の方向を表している。また、
図4において、塗りつぶした矢印は、磁化固定層112の第1の磁化の方向を表している。また、
図4において、白抜きの矢印は、自由層114の第2の磁化の方向を表している。
【0046】
第1のMR素子11の磁化固定層112の第1の磁化の方向と第2のMR素子12の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、互いに交差する方向である。また、第3のMR素子13の磁化固定層112の第1の磁化の方向と第4のMR素子14の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、互いに交差する方向である。また、第1のMR素子11の磁化固定層112の第1の磁化の方向と第2のMR素子12の磁化固定層112の第1の磁化の方向の一方は、支持部材20の下面20bすなわち基準平面と交差する方向である。また、第3のMR素子13の磁化固定層112の第1の磁化の方向と第4のMR素子14の磁化固定層112の第1の磁化の方向の一方は、支持部材20の下面20bすなわち基準平面と交差する方向である。
【0047】
本実施の形態では、第1のMR素子11の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、U方向である。第2のMR素子12の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、-Y方向である。第3のMR素子13の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、-U方向である。第4のMR素子14の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、Y方向である。従って、第1および第3のMR素子11,13の各々の磁化固定層112の第1の磁化の方向が、基準平面と交差する方向である。第2および第4のMR素子12,14の各々の磁化固定層112の第1の磁化の方向は、基準平面に平行な方向である。
【0048】
第1および第3のMR素子11,13は、第1の出力端E1の電位が第1の検出信号S1として生成されるように構成されている。すなわち、第1および第3のMR素子11,13に印加されるU方向に平行な方向の磁界成分の向きおよび強度が変化すると、第1および第3の抵抗部R1,R3の各々の抵抗値は、第1の抵抗部R1の抵抗値が増加すると共に第3の抵抗部R3の抵抗値が減少するか、第1の抵抗部R1の抵抗値が減少すると共に第3の抵抗部R3の抵抗値が増加するように変化する。これにより、第1の出力端E1の電位が変化する。磁気センサ1は、第1の出力端E1の電位に対応する信号を第1の検出信号S1として生成する。
【0049】
第2および第4のMR素子12,14は、第2の出力端E2の電位が第2の検出信号S2として生成されるように構成されている。すなわち、第2および第4のMR素子12,14に印加されるY方向に平行な方向の磁界成分の向きおよび強度が変化すると、第2および第4の抵抗部R2,R4の各々の抵抗値は、第2の抵抗部R2の抵抗値が増加すると共に第4の抵抗部R4の抵抗値が減少するか、第2の抵抗部R2の抵抗値が減少すると共に第4の抵抗部R4の抵抗値が増加するように変化する。これにより、第2の出力端E2の電位が変化する。磁気センサ1は、第2の出力端E2の電位に対応する信号を第2の検出信号S2として生成する。
【0050】
なお、磁化固定層112の第1の磁化の方向は第1ないし第4のMR素子11~14の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。また、磁化固定層112の磁化は、上述の方向を主成分とする磁化成分を含むように構成されていてもよい。この場合、磁化固定層112の磁化の方向は、上述の方向またはほぼ上述の方向になる。
【0051】
次に、
図6および
図7を参照して、対象磁界MFについて説明する。
図6は、対象磁界MFについて説明するための説明図である。
図7は、対象磁界MFの面内成分と垂直成分を示す説明図である。
【0052】
図6および
図7において、記号PL1を付した平面は、基準位置P0と交差するYZ平面を表している。以下、この平面を、第1の平面PL1と言う。基準位置P0は、磁気センサ1の内部または表面にある。また、記号PL2を付した平面は、基準位置P0および第1の平面PL1と交差する平面を表している。以下、この平面を、第2の平面PL2と言う。また、記号PL3を付した平面は、基準位置P0と交差するXY平面を表している。以下、この平面を、第3の平面PL3と言う。
【0053】
対象磁界MFは、基準位置P0において第1の方向D1を有している。第1の方向D1は、第1の平面PL1内において変化するものである。
図6において、記号D1を付した矢印は、第1の方向D1と、基準位置P0における対象磁界MFの強度とを表している。記号D1を付した矢印の先端は、記号C1を付した円上を移動する。
【0054】
第2の平面PL2は、第1の平面PL1と第3の平面PL3の両方に対して傾くと共に、第3の平面PL3と二面角をなして交差する。二面角の大きさは、
図3に示した傾斜面120aが基準平面に対してなす角度の大きさαと等しい。なお、
図6および
図7に示した第2の平面PL2は、一例である。
【0055】
図7に示したように、基準位置P0における対象磁界MFは、第2の平面PL2に平行な面内成分MFaと第2の平面PL2に垂直な垂直成分MFbに分けることができる。なお、
図7は、基準位置P0における対象磁界MFの方向である第1の方向D1がZ方向と一致している状態を表している。面内成分MFaは、第1の方向D1の変化に応じて変化する第2の方向D2を有している。
図6において、記号D2を付した矢印は、第2の方向D2と、面内成分MFaの強度とを表している。記号D2を付した矢印の先端は、記号C2を付した楕円上を移動する。
【0056】
図6には、基準位置P0を通りZ方向に平行な仮想の直線L1と、基準位置P0を通りU方向に平行な仮想の直線L2と、仮想の直線L1と円C1の交点P1,P2と、仮想の直線L2と楕円C2の交点P3,P4とを示している。仮想の直線L2、楕円C2、交点P3,P4および第2の方向D2は、それぞれ、仮想の直線L1、円C1、交点P1,P2および第1の方向D1を、第2の平面PL2に垂直投影したものである。
【0057】
本実施の形態では、第1ないし第4のMR素子11~14毎に、第2の平面PL2が定義される。第2の平面PL2は、対応するMR素子と交差するものとする。
【0058】
第1ないし第4のMR素子11~14の各々が受ける対象磁界MFは、基準位置P0における対象磁界MFと同様に、第2の平面PL2に平行な面内成分と第2の平面PL2に垂直な垂直成分MFbに分けることができる。
図3では、MR素子110が受ける対象磁界MFの面内成分を、記号MFaを付した矢印で示している。第1ないし第4のMR素子11~14の各々が受ける対象磁界MFの面内成分は、
図7に示した面内成分MFaと同様に、第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。第1ないし第4のMR素子11~14の各々において、自由層114の第2の磁化の方向は、第2の方向の変化に応じて変化する。第1の検出信号S1、第2の検出信号S2および検出値θsの各々は、第2の磁化の方向に依存する。
【0059】
第2の方向は、第1の方向D1の変化に応じて変化することから、第2の磁化の方向は、第1の方向D1の変化に応じて変化する。従って、第1の検出信号S1、第2の検出信号S2および検出値θsの各々は、第1の方向D1に対応する。
【0060】
第1ないし第4のMR素子11~14は、対象磁界MFを受ける位置によって対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置される。そのため、第1ないし第4のMR素子11~14が受ける対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
【0061】
次に、プロセッサ30の変換器31の動作について説明する。
図8は、第1および第2の検出信号S1,S2を示す波形図である。
図8において、横軸は、対象磁界MFの第1の方向D1が所定の基準方向(例えばZ方向)に対してなす角度θM(以下、磁界角度θMと言う。)を示している。縦軸は、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の値を示している。
図8に示したように、第1の方向D1が所定の周期で変化する場合、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の波形は、理想的な正弦曲線から歪む。
【0062】
変換器31は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率とは異ならせるように構成されている。
【0063】
図9は、第1の実施例の第1および第2の補正信号S1c,S2cを示す波形図である。
図9において、横軸は磁界角度θMを示し、縦軸は第1および第2の補正信号S1c,S2cの各々の値を示している。第1の実施例では、第2の補正信号S2cの振幅が変換前の第2の検出信号S2の振幅よりも大きくなるように、第2の検出信号S2の振幅の大きさを変えている。これにより、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率と異ならせている。
【0064】
図10は、第2の実施例の第1および第2の補正信号S1c,S2cを示す波形図である。
図10において、横軸は磁界角度θMを示し、縦軸は第1および第2の補正信号S1c,S2cの各々の値を示している。第2の実施例では、第1の補正信号S1cの振幅が変換前の第1の検出信号S1の振幅よりも大きくなるように、第1の検出信号S1の振幅の大きさを変えている。これにより、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率と異ならせている。
【0065】
以下、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を変換後の振幅比と言い、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率を変換前の振幅比と言う。第1の実施例と第2の実施例のいずれにおいても、変換前の振幅比は1であり、変換後の振幅比は2である。
【0066】
変換器31は、変換後の振幅比が1を含まないように構成されていてもよい。本実施の形態では特に、変換器31は、変換後の振幅比が1以下の範囲を含まないように構成されていてもよい。変換後の振幅比の好ましい範囲については、後で詳しく説明する。
【0067】
なお、変換器31は、変換後の振幅比を変換前の振幅比と異ならせる処理に加えて、第1および第2の検出信号S1,S2の各々の位相およびオフセットを補正する処理を実行するように構成されていてもよい。
【0068】
次に、プロセッサ30の検出値生成部32の動作について説明する。検出値生成部32は、例えば下記の式(1)によって、0°以上360°未満の範囲内で検出値θsを算出する。なお、"atan"は、アークタンジェントを表す。
【0069】
θs=atan(S2c/S1c) …(1)
【0070】
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、変換器31によって、第1の補正信号S1cの振幅に対する第2の補正信号S2cの振幅の比率を、第1の検出信号S1の振幅に対する第2の検出信号S2の振幅の比率と異ならせている。これにより、本実施の形態によれば、検出値θsの誤差を低減することができる。以下、この効果について詳しく説明する。
【0071】
図11は、第1の実施例、第2の実施例および比較例の各々の角度誤差を示す特性図である。
図11において、横軸は磁界角度θMを示し、縦軸は角度誤差を示している。また、
図11において、符号71で示す曲線は第1の実施例の角度誤差を示し、符号72で示す曲線は第2の実施例の角度誤差を示し、符号73で示す曲線は比較例の角度誤差を示している。なお、
図11では、第1の実施例の角度誤差71と第2の実施例の角度誤差72は、ほとんど重なっている。
【0072】
第1の実施例の角度誤差71は、
図9に示した第1の実施例の第1および第2の補正信号S1c,S2cを用いて求めた検出値θsと磁界角度θMとの差である。第2の実施例の角度誤差71は、
図10に示した第2の実施例の第1および第2の補正信号S1c,S2cを用いて求めた検出値θsと磁界角度θMとの差である。比較例の角度誤差73は、第1および第2の補正信号S1c,S2cの代わりに
図8に示した第1および第2の検出信号S1,S2を式(1)に代入して求めた検出値θsと磁界角度θMとの差である。比較例の角度誤差73は、変換器31が設けられていない場合における角度誤差とも言える。
【0073】
図11に示したように、本実施の形態によれば、第1の実施例または第2の実施例のような第1の補正信号S1c,S2cを用いることにより、検出値θsの誤差を低減することができる。
【0074】
次に、振幅比の好ましい範囲について調べたシミュレーションの結果について説明する。シミュレーションでは、傾斜面21a,21b,22a,22bの各々が基準平面に対してなす角度の大きさαを、10°~45°の範囲内で5°ずつ変化させた。そして、各α毎に、変換後の振幅比を変えながら、検出値θsの誤差(角度誤差)を求めた。シミュレーションでは、磁界角度θMを変化させたときの角度誤差のピークピーク値を、角度誤差とした。
【0075】
図12は、変換後の振幅比と角度誤差との関係を示す特性図である。
図12において、横軸は変換後の振幅比を示し、縦軸は角度誤差を示している。また、
図12において、αが10°のときの角度誤差は、符号81を付した線で接続された複数の点で示している。αが15°のときの角度誤差は、符号82を付した線で接続された複数の点で示している。αが20°のときの角度誤差は、符号83を付した線で接続された複数の点で示している。αが25°のときの角度誤差は、符号84を付した線で接続された複数の点で示している。αが30°のときの角度誤差は、符号85を付した線で接続された複数の点で示している。αが35°のときの角度誤差は、符号86を付した線で接続された複数の点で示している。αが40°のときの角度誤差は、符号87を付した線で接続された複数の点で示している。αが45°のときの角度誤差は、符号88を付した線で接続された複数の点で示している。
【0076】
図12に示したように、αの値に関わらず、角度誤差が0になる振幅比が存在することが分かる。角度誤差を小さくする観点から、αおよび変換後の振幅比の大きさは、角度誤差が0またはほぼ0になるような値を選択することが好ましい。一方、MR素子110の作成の精度等の観点から、αは、10°~45°の範囲内であることが好ましい。これらのことから、αが10°~45°の範囲内である場合において角度誤差が0またはほぼ0になるように変換後の振幅比の大きさを選択することがより好ましい。
【0077】
図13は、角度誤差が0になるときの傾斜角度と振幅比との関係を示す特性図である。
図13において、横軸は傾斜面21a,21b,22a,22bの傾斜角度すなわちαを示し、縦軸は変換後の振幅比を示している。
図13から、αが10°~45°の範囲内である場合には、変換後の振幅比は、1以下の範囲を含まないことが好ましいことが分かる。
【0078】
また、
図13には、それぞれ変換後の振幅比を示す複数の点を結ぶ曲線も示している。この曲線は、αを変数とする関数1/sin(α)で表すことができる。すなわち、角度誤差が0になるときの変換後の振幅比は、αと関数1/sin(α)とを用いて算出することができる。
【0079】
角度誤差は、例えば1°以下であることが好ましい。αが10°の場合、角度誤差が1°以下になる変換後の振幅比は、5.76±0.20である。αが30°の場合、角度誤差が1°以下になる変換後の振幅比は、2.00±0.06である。αが45°の場合、角度誤差が1°以下になる変換後の振幅比は、1.41±0.05である。αに応じて変換後の振幅比を調整することにより、角度誤差を所定の大きさ以下にすることができる。
【0080】
次に、
図14を参照して、本実施の形態に係る磁気センサシステム100について説明する。
図14は、磁気センサシステム100を示す斜視図である。磁気センサシステム100は、磁気センサ1と、対象磁界MFを発生する磁界発生器101とを備えている。
図14に示した例では、磁界発生器101は、1組以上のN極とS極が交互にリング状に配列された磁石である。磁気センサ1は、磁界発生器101の外周部に対向するように配置されている。
【0081】
磁界発生器101は、回転軸Cを中心として回転するように構成されている。
図14に示した例では、例えば、磁界発生器101は、磁界発生器101の内側に設けられた図示しない固定部材によって、回転軸Cを中心として回転するシャフト102に固定されている。シャフト102は、例えば、図示しないモータのシャフトであってもよいし、モータのシャフトと共に回転するように構成されたシャフトであってもよい。磁界発生器101とシャフト102は、一体となって回転するように構成されている。
【0082】
磁気センサ1と磁界発生器101は、磁気センサ1に対する磁界発生器101の相対的な位置が変化すると、所定の位置における対象磁界MFの方向(第1の方向D1)が回転するように構成されている。本実施の形態では特に、所定の位置は、磁気センサ1が配置された位置である。磁界発生器101が回転軸Cを中心として回転すると、磁気センサ1に対する磁界発生器101の相対的な回転位置が変化し、その結果、対象磁界MFの方向が回転する。
【0083】
磁気センサシステム100では、磁気センサ1が配置された位置を中心として、X方向、Y方向およびZ方向が定義される。Y方向は、磁界発生器101の接線に平行な一方向であってもよい。Z方向は、磁気センサ1から回転軸に向かう方向であってもよい。
【0084】
[第2の実施の形態]
次に、
図15を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサシステム200について説明する。
図15は、磁気センサシステム200を示す斜視図である。磁気センサシステム200は、第1の実施の形態に係る磁気センサ1と、対象磁界MFを発生する磁界発生器201とを備えている。
図15に示した例では、磁界発生器201は、直線状に配列された複数組のN極とS極を有するリニアスケールである。磁気センサ1は、磁界発生器201の外周部に対向するように配置されている。
【0085】
磁気センサ1と磁界発生器201は、磁気センサ1に対する磁界発生器201の相対的な位置が変化すると、所定の位置における対象磁界MFの方向(第1の方向D1)が回転するように構成されている。本実施の形態では特に、所定の位置は、磁気センサ1が配置された位置である。磁気センサ1と磁界発生器201の一方は、図示しない動作体に連動して複数組のN極とS極が配列された方向に平行な方向に移動する。これにより、磁気センサ1に対する磁界発生器201の相対的な位置が変化し、その結果、対象磁界MFの方向が回転する。
【0086】
磁気センサシステム200では、磁気センサ1が配置された位置を中心として、X方向、Y方向およびZ方向が定義される。Y方向は、複数組のN極とS極が配列された方向に平行な一方向であってもよい。Z方向は、磁気センサ1から磁界発生器201に向かう方向であってもよい。
【0087】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0088】
[第3の実施の形態]
次に、
図16を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサ2について説明する。
図16は、磁気センサ2を示す斜視図である。
【0089】
本実施の形態では、支持部材20は、第1の実施の形態における突出部21,22の代わりに、支持部材20の上面20aからZ方向に突出する突出部220を含んでいる。突出部220の形状は、突出部21または22の形状と同様である。
【0090】
突出部220の表面は、傾斜面220aと傾斜面220bとを含んでいる。傾斜面220aは、突出部220の表面のうち、突出部220の上端部よりも
図16における左側の面である。傾斜面220bは、突出部220の表面のうち、突出部220の上端部よりも
図16における右側の面である。
図16では、突出部220の上端部すなわち傾斜面220aと傾斜面220bとの境界を、点線で示している。傾斜面220aと傾斜面220bは、突出部220の上端部と交差する平面に対して対称またはほぼ対称な形状を有していてもよい。
【0091】
磁気センサ2の第1ないし第4のMR素子11~14は、1つの突出部220の上に配置されている。第1および第3のMR素子11,13は、傾斜面220bの上に配置されている。第2および第4のMR素子12,14は、傾斜面220aの上に配置されている。傾斜面220aが基準平面に対してなす角度と傾斜面220bが基準平面に対してなす角度の定義は、第1の実施の形態において説明した、傾斜面120aが基準平面に対してなす角度の定義と同様である。
【0092】
磁気センサ2のその他の構成は、第1の実施の形態に係る磁気センサ1の構成と同様である。また、本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、
図17を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサ3について説明する。
図17は、磁気センサ3を示す斜視図である。
【0094】
本実施の形態では、支持部材20は、第1の実施の形態における突出部21,22の代わりに、支持部材20の上面20aにおいてX方向に平行な方向に並ぶ突出部23,24,25,26を含んでいる。突出部23~26の各々は、支持部材20の上面20aからZ方向に突出している。突出部23~26の各々の形状は、突出部21または22の形状と同様である。
【0095】
突出部23の表面は、傾斜面23aと傾斜面23bとを含んでいる。傾斜面23aは、突出部23の表面のうち、突出部23の上端部よりも-X方向側の面である。傾斜面23bは、突出部23の表面のうち、突出部23の上端部よりもX方向側の面である。
図17では、突出部23の上端部すなわち傾斜面23aと傾斜面23bとの境界を、点線で示している。傾斜面23aと傾斜面23bは、突出部23の上端部と交差するYZ平面に対して対称またはほぼ対称な形状を有していてもよい。
【0096】
突出部23の表面についての上記の説明は、突出部24~26にも当てはまる。突出部23の表面についての上記の説明中の突出部23および傾斜面23a,23bをそれぞれ突出部24および傾斜面24a,24bに置き換えれば、突出部24の表面についての説明になる。また、突出部23の表面についての上記の説明中の突出部23および傾斜面23a,23bをそれぞれ突出部25および傾斜面25a,25bに置き換えれば、突出部25の表面についての説明になる。また、突出部26の表面についての上記の説明中の突出部23および傾斜面23a,23bをそれぞれ突出部26および傾斜面26a,26bに置き換えれば、突出部26の表面についての説明になる。
【0097】
傾斜面23aが基準平面に対してなす角度、傾斜面24aが基準平面に対してなす角度、傾斜面25aが基準平面に対してなす角度および傾斜面26aが基準平面に対してなす角度の定義は、第1の実施の形態において説明した、傾斜面120aが基準平面に対してなす角度の定義と同様である。
【0098】
また、本実施の形態に係る磁気センサ3は、複数の第1のMR素子11、複数の第2のMR素子12、複数の第3のMR素子13および複数の第4のMR素子14を含んでいる。複数の第1のMR素子11は、傾斜面23aの上に配置されている。複数の第2のMR素子12は、傾斜面24aの上に配置されている。複数の第3のMR素子13は、傾斜面25aの上に配置されている。複数の第4のMR素子14は、傾斜面26aの上に配置されている。
【0099】
複数の第1のMR素子11の各々の構成は、第1の実施の形態における第1のMR素子11の構成と同じである。複数の第2のMR素子12の各々の構成は、第1の実施の形態における第2のMR素子12の構成と同じである。複数の第3のMR素子13の各々の構成は、第1の実施の形態における第3のMR素子13の構成と同じである。複数の第4のMR素子14の各々の構成は、第1の実施の形態における第4のMR素子14の構成と同じである。
【0100】
磁気センサ3は、第1の実施の形態に係る磁気センサ1と同様に、第1ないし第4の抵抗部R1~R4を備えている。第1ないし第4の抵抗部R1~R4と複数の第1のMR素子11、複数の第2のMR素子12、複数の第3のMR素子13および複数の第4のMR素子14との関係は、第1の実施の形態における第1ないし第4の抵抗部R1~R4と第1ないし第4のMR素子11~14との関係と同様である。本実施の形態では特に、複数の第1のMR素子11は直列に接続されていてもよく、複数の第2のMR素子12は直列に接続されていてもよく、複数の第3のMR素子13は直列に接続されていてもよく、複数の第4のMR素子14は直列に接続されていてもよい。
【0101】
磁気センサ3のその他の構成は、第1の実施の形態に係る磁気センサ1の構成と同様である。また、本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0102】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1ないし第4のMR素子11~14は、1つの傾斜面の上に配置されていてもよい。あるいは、第1および第2のMR素子11,12が1つの傾斜面または1つの突出部の上に配置され、第3および第4のMR素子13,14が1つの傾斜面または1つの突出部の上に配置されていてもよい。
【0103】
また、本発明の変換部は、MR素子に電気的に接続された抵抗器を含んでいてもよい。抵抗器は、第1ないし第4の抵抗部R1~R4に含まれていてもよいし、第1および第2の出力端E1,E2とプロセッサ30とを接続する経路に含まれていてもよい。
【0104】
また、突出部の表面の傾斜面は、平面部分を含んでいてもよい。あるいは、突出部の表面は、三角屋根形状であってもよい。
【0105】
また、支持部材20は、複数の突出部の代わりに、支持部材20の上面20aにおいてX方向に平行な方向に並ぶ複数の溝部を含んでいてもよい。複数の溝部の各々は、支持部材20の上面20aから-Z方向に窪んでいる。また、複数の溝部の各々は、Y方向に平行な方向に延在し、複数の溝部の各々の表面も、Y方向に平行な方向に延在している。複数の溝部の各々は、YZ平面に対して対称またはほぼ対称な形状を有していてもよい。複数の溝部の各々の少なくとも一部の形状は、U字谷状の溝であってもよいし、V字谷状の溝であってもよい。U字谷状の溝の表面は、半円筒状の曲面を含んでいる。V字谷状の溝の表面は、2つの平面部分を含んでいる。
【0106】
複数の溝部の各々の表面は、第1の傾斜面と第2の傾斜面とを含んでいる。第1の傾斜面は、溝部の表面のうち、溝部の下端部よりも-X方向側の面である。第2の傾斜面は、溝部の表面のうち、溝部の下端部よりもX方向側の面である。第1の傾斜面と第2の傾斜面の各々は、本発明における「少なくとも1つの傾斜面」に対応する。本発明における「少なくとも1つの傾斜面」についての説明は、第1の傾斜面と第2の傾斜面にも当てはまる。複数のMR素子の各々は、第1の傾斜面または第2の傾斜面に配置される。
【0107】
また、MR素子の平面形状は、円形に限らず、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。
【0108】
以上説明したように、本発明の磁気センサは、基準平面に対して傾斜した少なくとも1つの傾斜面を有する支持部材と、少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の検出信号を生成するように構成された第1の磁気検出素子と、少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の検出信号とは位相が異なる第2の検出信号を生成するように構成された第2の磁気検出素子と、第1の検出信号と第2の検出信号をそれぞれ第1の補正信号と第2の補正信号に変換する変換器であって、第1の検出信号と第2の検出信号の少なくとも一方の振幅の大きさを変えて、第1の補正信号の振幅に対する第2の補正信号の振幅の比率を、第1の検出信号の振幅に対する第2の検出信号の振幅の比率とは異ならせるように構成された変換器とを備えている。
【0109】
本発明の磁気センサにおいて、変換器は、第1の補正信号の振幅に対する第2の補正信号の振幅の比率が1を含まないように構成されていてもよい。また、第1の検出信号は、第2の検出信号に対して位相が進んだ信号であってもよい。この場合、変換器は、第1の補正信号の振幅に対する第2の補正信号の振幅の比率が1以下の範囲を含まないように構成されていてもよい。
【0110】
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの傾斜面が基準平面に対してなす角度は、10°以上45°以下の範囲内であってもよい。
【0111】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気検出素子と第2の磁気検出素子の各々の平面形状は、円形であってもよい。
【0112】
また、本発明の磁気センサは、更に、電源端と、グランド端と、第1の出力端と、第2の出力端と、電源端と第1の出力端との間に設けられた第1の抵抗部と、電源端と第2の出力端との間に設けられた第2の抵抗部と、グランド端と第1の出力端との間に設けられた第3の抵抗部と、グランド端と第2の出力端との間に設けられた第4の抵抗部とを備えていてもよい。第1の抵抗部と第3の抵抗部の一方は、第1の磁気検出素子を含んでいてもよい。第1の抵抗部と第3の抵抗部の他方は、少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第1の磁気検出素子と協働して第1の検出信号を生成するように構成された第3の磁気検出素子を含んでいてもよい。第2の抵抗部と第4の抵抗部の一方は、第2の磁気検出素子を含んでいてもよい。第2の抵抗部と第4の抵抗部の他方は、少なくとも1つの傾斜面の上に配置されると共に対象磁界を検出して第2の磁気検出素子と協働して第2の検出信号を生成するように構成された第4の磁気検出素子を含んでいてもよい。
【0113】
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の磁気検出素子と第2の磁気検出素子の各々は、磁気抵抗効果素子であってもよい。磁気抵抗効果素子は、方向が固定された第1の磁化を有する磁化固定層と、対象磁界に応じて方向が変化可能な第2の磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいてもよい。第1の磁気検出素子の磁化固定層の第1の磁化の方向と第2の磁気検出素子の磁化固定層の第1の磁化の方向は、互いに交差する方向であってもよい。第1の磁気検出素子の磁化固定層の第1の磁化の方向と第2の磁気検出素子の磁化固定層の第1の磁化の方向の一方は、基準平面と交差する方向であってもよい。
【0114】
また、本発明の磁気センサは、更に、第1の補正信号と第2の補正信号を用いて、検出対象の角度と対応関係を有する検出値を生成するように構成されたプロセッサを備えていてもよい。プロセッサは、変換器を含んでいてもよい。
【0115】
また、本発明の磁気センサにおいて、変換器は、第1の磁気検出素子または第2の磁気検出素子に電気的に接続された抵抗器を含んでいてもよい。
【0116】
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの傾斜面は、第1の傾斜面と第2の傾斜面とを含んでいてもよい。第1の磁気検出素子は、第1の傾斜面の上に配置されていてもよい。第2の磁気検出素子は、第2の傾斜面の上に配置されていてもよい。
【0117】
本発明の磁気センサシステムは、本発明の磁気センサと、対象磁界を発生する磁界発生器とを備えている。
【0118】
本発明の磁気センサシステムにおいて、磁気センサは、磁界発生器の外周に対向するように配置されていてもよい。磁気センサと磁界発生器は、磁気センサに対する磁界発生器の相対的な位置が変化すると、所定の位置における対象磁界の方向が回転するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…磁気センサ、11…第1のMR素子、12…第2のMR素子、13…第3のMR素子、14…第4のMR素子、20…支持部材、20a…上面、20b…下面、21,22…突出部、21a,21b,22a,22b…傾斜面、30…プロセッサ、31…変換器、32…検出値生成部、100…磁気センサシステム、101…磁界発生器、102…シャフト、MF…対象磁界、R1…第1の抵抗部、R2…第2の抵抗部、R3…第3の抵抗部、R4…第4の抵抗部、S1…第1の検出信号、S2…第2の検出信号、S1c…第1の補正信号、S2c…第2の補正信号。