(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146195
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム、制御システム、および空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/80 20180101AFI20241004BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241004BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20241004BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20241004BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F11/74
F24F11/79
F24F120:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058955
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 広樹
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA07
3L260BA08
3L260CA04
3L260FB12
3L260FC14
(57)【要約】
【課題】人の運動の量に関する数値的情報に基づいて空調機の制御を行うことのできる制御装置等を提供する。
【解決手段】制御装置が、受信部と、制御部とを備える。受信部は、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する。制御部は、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、
受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記センサー信号は、前記運動器具を使用する人の単位時間当たり心拍数を表す信号である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記センサー信号は、前記対象空間に存在する人が使用する前記運動器具において検知される運動の量を表す信号である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記センサー信号は、前記対象空間に存在する人が使用する前記運動器具によって当該人の身体にかけられる負荷の大きさを表す信号である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された前記運動の量が大きい程、出力される前記空気の、
A)温度を低く、
または、
B)風量を多く、
するように、A)およびB)の少なくともいずれかの制御を行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された前記運動の量に基づいて、出力される前記空気の出力方向が特定の方向となるように制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、前記対象空間内における複数の領域のそれぞれごとの、把握された前記運動の量に基づいて、それぞれの前記領域を対象として出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
制御装置が空調機を制御する制御方法であって、
受信部が、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する過程と、
制御部が、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する過程と、
を含む制御方法。
【請求項9】
対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、
受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、
を備える制御装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
センサーと、制御装置とを備える制御システムであって、
前記センサーは、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するものであり、
前記制御装置は、
前記センサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、
受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、
を備えるものである、
制御システム。
【請求項11】
センサーと、制御装置と、空調機とを備える空調システムであって、
前記センサーは、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するものであり、
前記制御装置は、
前記センサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、
受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、
を備えるものであり、
前記空調機は、前記制御装置から制御を受けることによって、前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかが可変となるように運転可能である、
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、プログラム、制御システム、および空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象空間における空気を調整するための空調システムにおいては、エネルギーのコストを最適化しながら、対象空間に居る人の快適性を高めることが望ましい。空調機を用いて空気を冷却する場合に、対象空間に居る人が暑いと感じる度合いに応じて空調機から出力される空気を制御することが、エネルギーコストの最適化の一つの手段となり得る。また、対象空間内において熱が発生する度合いに応じて空調機から出力される空気を制御することが、エネルギーコストの最適化の一つの手段となり得る。
【0003】
一方で、人々の健康志向の高まりとともに、日常の生活あるいは仕事をしながらも運動を行うことのできる環境が望まれている。その一例として、職場(例えば、オフィス(いわゆるホームオフィスを含む))内に運動器具を設置することにより、人が仕事(例えば、デスクワーク)をしながら運動器具を用いた運動を行うことのできる環境(職場環境等)の普及が今後期待される。
【0004】
特許文献1の段落0009には、リモコン装置から送信された操作信号を受信するとともに、空調対象領域の画像を撮像して、その画像に基づいてリモコン装置を操作した人物を追跡し、受信された操作信号と人物の追跡結果とに基づいて空調を制御する空調機が記載されている。
【0005】
特許文献2の請求項1には、人の位置を検出するとともに障害物の位置を検出し、人が障害物よりも空調機の室内機に近い側に居るか否かに応じて、空調機からの送風方向を上下方向に変更する空調機が記載されている。
【0006】
特許文献3の請求項11には、カメラで撮影した画像の経時的変化に基づいて在室者の行動内容および活動量を算出し、その活動量に基づいて空調機を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/185587号
【特許文献2】特開2017-044392号公報
【特許文献3】特開2011-174648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の先行技術によって解決できない課題も存在する。例えば前述のように対象空間内で人が運動を行う場合に、その運動を行うことによって人の体内で熱が生じ、その熱の要因で人の不快度が増す場合がある。
【0009】
特許文献1や特許文献2に記載された技術では、人の運動によって生じ得る不快度に対応して空調制御を行うことはできない。
【0010】
特許文献3に記載された技術では、在室者の行動を把握してその活動量を算出することはできる。しかしながら、そこで算出される活動量は画像を解析した結果に過ぎず、運動の量の大きさや激しさ(例えば、運動する場合に身体にかかる負荷等)を定量的に精度よく捉えることは不可能である。
【0011】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、対象空間に居る人の運動の量に関する数値的情報に基づいて空調機の制御を行うことのできる制御装置、制御方法、プログラム、制御システム、および空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による制御装置は、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える。
【0013】
[2]また、本発明の一態様は、上記[1]の制御装置において、前記センサー信号は、前記運動器具を使用する人の単位時間当たり心拍数を表す信号である、というものである。
【0014】
[3]また、本発明の一態様は、上記[1]または[2]の制御装置において、前記センサー信号は、前記対象空間に存在する人が使用する前記運動器具において検知される運動の量を表す信号である、というものである。
【0015】
[4]また、本発明の一態様は、上記[1]から[3]までのいずれかの制御装置において、前記センサー信号は、前記対象空間に存在する人が使用する前記運動器具によって当該人の身体にかけられる負荷の大きさを表す信号である、というものである。
【0016】
[5]また、本発明の一態様は、上記[1]から[4]までのいずれかの制御装置において、前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された前記運動の量が大きい程、出力される前記空気の、A)温度を低く、または、B)風量を多く、するように、A)およびB)の少なくともいずれかの制御を行うものである。
【0017】
[6]また、本発明の一態様は、上記[1]から[5]までのいずれかの制御装置において、前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された前記運動の量に基づいて、出力される前記空気の出力方向が特定の方向となるように制御するものである。
【0018】
[7]また、本発明の一態様は、上記[1]から[6]までのいずれかの制御装置において、前記制御部は、前記センサー信号に基づいて運動の量を把握し、前記対象空間内における複数の領域のそれぞれごとの、把握された前記運動の量に基づいて、それぞれの前記領域を対象として出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御するものである。
【0019】
[8]また、本発明の一態様は、制御装置が空調機を制御する制御方法であって、受信部が、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する過程と、制御部が、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する過程と、を含む制御方法である。
【0020】
[9]また、本発明の一態様は、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備える制御装置、としてコンピューターを機能させるためのプログラムである。
【0021】
[10]また、本発明の一態様は、センサーと、制御装置とを備える制御システムであって、前記センサーは、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するものであり、前記制御装置は、前記センサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備えるものである、制御システムである。
【0022】
[11]また、本発明の一態様は、センサーと、制御装置と、空調機とを備える空調システムであって、前記センサーは、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するものであり、前記制御装置は、前記センサーから、前記センサー信号を受信する受信部と、受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する制御部と、を備えるものであり、前記空調機は、前記制御装置から制御を受けることによって、前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかが可変となるように運転可能である、空調システムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、制御装置が持つ受信部は、運動の量に関する数値(温度以外の数値)を含んだセンサー信号を受信する。制御部は、そのセンサー信号に基づいて、空調機から出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する。つまり、検知される運動の量に応じて空調機を制御することが可能となる。本発明によれば、対象空間の温度のみに基づく制御を行う場合よりも、特定の状況における対象空間内の快適度を上げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態による空調システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態によるセンサーが運動器具に設置されて運動器具の状態等を検知する場合の機能の構成を示す概略図である。
【
図3】同実施形態によるセンサーが運動器具を利用するユーザーに装着されて、ユーザーの状態を検知する場合の機能の構成を示す概略図である。
【
図4】同実施形態による制御装置がセンサー信号に基づいて空調機を制御する際の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】同実施形態におけるセンサーからのセンサー信号が表すデータと、空調機の目標温度、目標風量、および目標風向との関係を示す概略図である。
【
図6】同実施形態による制御装置内の制御部が運動器具の位置を管理するために維持するテーブルの構成例を示す概略図である。
【
図7】同実施形態による空調システムが空気調整のための制御の対象とする対象空間を平面視した例を示す平面図である。
【
図8】同実施形態による空調システムにおける情報処理機能を実現する装置(コンピューター)の内部構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本実施形態による空調システムの機能構成を示すブロック図である。この図において、符号400が空調システムである。図示するように、空調システム400は、制御システム200と空調機3とを含んで構成される。
【0027】
制御システム200は、空調機3を制御する。具体的には、制御システム200は、そのときの状況に応じて、空調機3の稼働状況を制御する。さらに具体的には、制御システム200は、空調機3が出力する空気の温度を制御したり、出力する空気の風量を制御したり、出力する空気の風向を制御したりする。制御システム200がさらに空調機3の運転に関する他の要素を制御するようにしてもよい。なお、空調機3が出力する空気の風量は、例えば送風するためのファンの回転量を調節することによって制御可能である。また、空調機3が出力する空気の風向は、送風する吹き出し口を適切に選択することによって、また吹き出し口におけるフィンの向きを変えること等によって制御可能である。
【0028】
空調機3は、対象とする空間の空気を調整する装置である。「空調機」は、「空気調整機」(air conditioner)の略である。空調機3は、例えば、対象空間の温度を所望の温度に近づけたり、対象空間の湿度を所望の湿度に近づけたりするために使用される装置である。空調機3は、例えば、対象空間の空気を吸気口等から吸い込んで、熱交換器を用いてその空気の温度を変化させ、変化させた結果の温度の空気を吹き出し口等から対象空間に向けて出力する。空調機3は、その際、対象空間の空気の少なくとも一部を、対象空間外の空気と交換してもよい。空調機3は、制御装置1から制御を受けることによって、対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかが可変となるように運転可能である。空調機3自体は、既存技術を用いて実現され得る。
【0029】
空調システム400は、1つまたは複数の空調機3を含むように構成され得る。また、空調機3は、通常は室外機と室内機とを含む。空調機3は、1つの室外機に対して、1つまたは複数の室内機を持つものであってよい。また、空調機3は、いわゆる親機および子機を持つものであってよい。
【0030】
制御システム200は、センサー2と、制御装置1とを含むように構成される。
【0031】
センサー2は、設置された位置における物理量を検知したり物理量の変化を検知したりして、その検知結果を表すセンサー信号を外部に出力する。本実施形態では、センサー2は、制御装置1内の受信部11に対してセンサー信号を送信する。本実施形態におけるセンサー2は、運動器具に設置されたり、運動器具を使用するユーザー(人)の身体に装着されたりした状況で稼働する。
【0032】
センサー2は、具体的には、次のようなものを検知する。即ち、センサー2は、運動の量に関する数値として、人(運動する人)の生体としての状態を表す数値(心拍数)や、運動器具における運動の量を表す数値や、運動器具が人にかける負荷の大きさを表す数値等を検知する。
【0033】
さらに具体的には、センサー2は、例えば、人(運動する人)の生体としての状態を検知し、その状態を表す数値等(センサー数値)のセンサー信号を出力する。より具体的には、センサー2は、人の単位時間当たりの心拍数や、人の血圧や、人の発汗量や、人の汗に含まれる成分分析の結果や、人の血液中の成分分析の結果(血糖値等)を検知し、その状態を表す数値等のセンサー信号を出力する。人の生体としての状態を検知するセンサー2自体は、既存技術を用いて実現可能である。この場合、センサー2は、身体の適切な個所(例えば、腕や指先や胸部等)に装着される。
【0034】
また、センサー2は、例えば、運動器具を使用する人の運動の量を検知し、その量を表す数値等(センサー数値)のセンサー信号を出力する。より具体的には、センサー2は、歩行マシンやランニングマシンの移動量(移動距離、歩行距離、走行距離)あるいは単位時間当たりの移動量や、サイクリングマシンのペダルの回転数あるいは単位時間当たりの回転数や、ローイングマシンの漕ぎ回数あるいは単位時間当たりの漕ぎ回数や、ウェイトトレーニングマシンの往復運動の回数あるいは単位時間当たりの往復運動の回数等であってよい。また、センサー2は、運動の量として、ここに例示した量以外の量を検知して、その数値等をセンサー信号として出力するものであってよい。運動の量を検知するセンサーは、例えば、運動器具における可動部の適切な個所に設けられる。
【0035】
また、センサー2は、例えば、運動器具が運動する人にかける運動の負荷の大きさを検知し、その負荷の大きさを表す数値等(センサー数値)のセンサー信号を出力する。より具体的には、センサー2が検知する負荷の大きさは、歩行マシンやランニングマシンの回転負荷(重さ)や走行面あるいは歩行面の傾斜角度であってよい。また、センサー2が検知する負荷の大きさは、サイクリングマシンのペダルの回転運動抵抗の大きさや、ローイングマシンを使用するユーザーが漕ぐ動作における運動抵抗の大きさであってよい。また、センサー2が検知する負荷の大きさは、クロストレーナーがユーザーの手足の運動の際に与える運動抵抗の大きさであってよい。また、センサー2が検知する負荷の大きさは、ウェイトトレーニングマシンにおけるウェイト(重り)の重さ(重力による負荷)や、バネ等の伸縮の際の重さ(バネ等による負荷)であってよい。また、センサー2は、ユーザーにかかる運動の負荷の大きさとして、ここに例示した量以外の量を検知して、その数値等をセンサー信号として出力するものであってよい。運動の負荷の大きさを検知するセンサーは、例えば、運動器具において負荷の要因となるパーツに関する検知を行えるように、適切な個所に設けられる。
【0036】
なお、センサー2は、1種類または複数種類の量を検知するものであってよい。また、制御システム200は、1つまたは複数のセンサー2を含んで構成され得る。センサー2による量の検知自体の原理は、既存技術を用いるものであってよい。制御装置1は、1個または複数のセンサー2からのセンサー信号に基づいて空調機3を制御する。制御装置1は、1種類または複数種類の量(センサー数値)に基づいて空調機を制御してよい。
【0037】
制御装置1は、1つまたは複数のセンサー2から送信されるセンサー信号を受信し、それらのセンサー信号に基づいて空調機3を制御する。制御装置1は、内部の構成として、受信部11と、制御部12とを含む。制御装置1を構成する各々の機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリーや磁気ハードディスク装置等といった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピューターおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0038】
受信部11は、センサー2から送信されるセンサー信号を受信し制御部12に渡す。具体的には、受信部11は、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサー2から、前記センサー信号を受信する。
【0039】
上記のセンサー信号は、対象空間内の運動器具を使用する人の単位時間当たり心拍数を表す信号であってよい。また、上記のセンサー信号は、対象空間に存在する人が使用する運動器具において検知される運動の量を表す信号であってよい。また、上記のセンサー信号は、対象空間に存在する人が使用する運動器具によって当該人の身体にかけられる負荷の大きさを表す信号であってよい。受信部11が受信するセンサー信号は、ここに列挙した心拍数と運動の量と負荷の大きさとのうちの複数の情報を含む信号であってよい。
【0040】
制御部12は、受信部11において受信されたセンサー信号に基づいて、空調機3を制御する。より具体的には、制御部12は、受信部11が受信したセンサー信号に基づいて、空調機3から対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御するものである。制御部12は、空調機3から出力される空気の、温度と、風量と、出力方向とうちの1つまたは複数を制御するものであってよい。
【0041】
制御部12は、受信部11が受信するセンサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された運動の量が大きい程、空調機3から出力される空気の、A)温度を低く、または、B)風量を多く、するように、A)およびB)の少なくともいずれかの制御を行うものであってよい。つまり、制御部12は、対象空間内において運動器具を使用した運動が行われている場合に、その運動の量に応じて運動を行っている人が暑く(言い換えれば不快に)感じることを想定して、その対象空間において人がより涼しく感じるように、上記A)またはB)の制御を行う。上記A)またはB)の制御を行うことにより、対象空間内にはより多くの冷気(相対的に負の熱量)が届けられる。
【0042】
また、制御部12は、受信部11が受信するセンサー信号に基づいて運動の量を把握し、把握された運動の量に基づいて、出力される空気の出力方向が特定の方向となるように制御するものであってよい。空気の出力方向は、例えば、空調機3の空気が出力される吹き出し口において設けられるフィン(羽)の方向を変えることによって制御可能である。空気の出力方向は、あるいは、空気の複数の吹き出し口のうちのいずれか(1つまたは複数)を選択して空気が出力されるように制御することが可能である。制御部12が空気の出力方向が特定の方向となるように制御することによって、運動器具が設けられている位置(即ち、運動を行っている人が居る位置)に、より集中して、冷気(相対的に負の熱量)を届けることが可能となる。
【0043】
また、制御部12は、受信部11が受信するセンサー信号に基づいて運動の量を把握し、対象空間内における複数の領域のそれぞれごとの、把握された運動の量に基づいて、それぞれの前記領域を対象として出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御するようにしてよい。これにより、制御部12が複数の領域を管理する場合に、特定の領域(1つまたは複数)だけにより集中して冷気(相対的に負の熱量)を届けることが可能となる。つまり、空調機による消費エネルギーに対する冷却の効率が向上する。
【0044】
なお、対象空間内の複数の領域の一例については、後で
図7を参照しながら説明する。
【0045】
次に、
図2および
図3を参照しながら、センサー2の設置の状況や稼働の前提について説明する。
【0046】
図2は、センサー2が運動器具に設置されて運動器具の状態等を検知する場合の機能の構成を示す概略図である。運動器具20は、負荷手段21と、センサー2と、通信部22とを含んで構成される。図示する運動器具20は、空調機3が空気の調整対象とする対象空間内に置かれる。運動器具20は、具体的には、トレッドミル(ランニングマシンあるいはウォーキングマシン等の、人の走行あるいは歩行による運動器具)や、サイクリングマシン(足漕ぎによる運動器具)や、ローイングマシン(ボート漕ぎの動作のための運動器具)や、クロストレーナー(人の手と足とを交互に動かす運動をするためのマシン)や、ウェイトトレーニングマシン(人の筋肉に重さ等の負荷をかけるための運動器具)や、その他の運動器具であってよい。運動器具20が設置される対象空間は、例えば、家庭内の居室や、オフィス空間や、店舗や、工場や、乗り物(電車、バス、船、飛行機等)内や、その他の任意の施設内の空間であってよい。
【0047】
運動器具20は、対象空間内で運動するユーザーによって使用される器具である。言い換えれば、運動器具20は、ユーザーに対して運動の負荷を与える。例えば、トレッドミルは、ユーザーの走行あるいは歩行する運動に関する負荷を与える。トレッドミルが与える負荷は、例えば、ユーザーの走行面あるいは歩行面の傾斜角度によるものであってもよいし、トレッドミルが備えるベルトコンベアー(走行面あるいは歩行面)の回転運動抵抗であってもよい。サイクリングマシンが与える負荷は、例えば、ユーザーが漕ぐペダルの回転運動抵抗であってよい。ローイングマシンが与える負荷は、例えば、ユーザーが漕ぐ動作における運動抵抗であってよい。クロストレーナーが与える負荷は、例えば、手足の運動の際の運動抵抗であってよい。ウェイトトレーニングマシンが与える負荷は、例えば、ユーザーが動かしたり持ち支えたりするウェイト(重り)の重さ(重力による負荷)や、バネ等の伸縮の際の重さ(バネ等による負荷)であってよい。また、その他の運動器具も、ユーザーに対して運動の負荷を与えるものである。
【0048】
図2に示す負荷手段21は、上記のような様々な運動の負荷をユーザーに対して与えるものである。センサー2は、そのような負荷手段21による負荷の大きさを検知し、その大きさに対応する数値等の情報を含んだセンサー信号を出力する。
【0049】
通信部22は、外部装置等と通信を行うことができ、センサー2から出力されるセンサー信号を外部装置等に伝える機能を持つ。通信部22は、具体的には、制御装置1の受信部11(
図1)に対して、センサー信号を送信する。なお、通信部22は、運動器具20に備え付けられていてもよいし、センサー2に内蔵されていてもよい。
【0050】
図3は、センサー2が運動器具を利用するユーザーに装着されて、ユーザーの状態を検知する場合の機能の構成を示す概略図である。ここでユーザーが使用する運動器具は、
図2を参照しながら説明したものと同様の器具である。
図3の構成の場合には、センサー2は、生体(人等)の適切な個所に装着されて、その生体の状態を検知する。センサー2は、例えば、ユーザーの心拍数(人の腕、手首、指等で検知可能)を検知したり、ユーザーの血圧(人の腕、手首、指等で検知可能)を検知したり、ユーザーの発汗状況(人の身体の所定箇所表面で検知可能)を検知したり、ユーザーの呼気の荒さ(人の口において検知可能)を検知したり、ユーザーのその他の状況を検知したりする。ユーザーの心拍数は、単位時間当たりの心拍の回数である。ユーザーの血圧は、循環器系における血流の圧力である。ユーザーの発汗状況は、皮膚表面における水分の量や質によって検知可能である。ユーザーの呼気の状況は、単位時間当たりの呼吸の回数あるいは単位時間当たりの呼気の量等によって検知可能である。
【0051】
図3の場合には、センサー2は、センサー信号を端末装置26に渡す。端末装置26は、外部装置等と通信を行うことができ、センサー2から出力されるセンサー信号を外部装置等に伝える機能を持つ。端末装置26は、具体的には、制御装置1の受信部11(
図1)に対して、センサー信号を送信する。端末装置26は、例えば、ユーザーが個人の用途で使用するためのパーソナル端末装置である。より具体的には、端末装置26は、PC(パーソナルコンピューター)や、スマートフォン(スマホ)や、腕時計型端末装置や、その他のウェアラブル端末装置等であってよい。端末装置26は、制御装置1と通信するための通信機能を持つ。また、センサー2と端末装置26との間は、有線または無線による通信で接続される。センサー2と端末装置26とは、ペアリングの通信手順によって相互に関連付けられてもよい。
【0052】
以上、
図2および
図3を参照しながら、センサー2から制御装置1の受信部11へのセンサー信号の伝達方法について説明したが、その他の方法によってセンサー2におけるセンサー信号を制御装置1の受信部11に伝達するようにしてもよい。
【0053】
次に、制御装置1の動作手順について説明する。
【0054】
図4は、制御装置1がセンサー信号に基づいて空調機3を制御する際の処理の手順を示すフローチャートである。なお、空調システム400が複数の空調機を含む場合、制御装置1は、個々の空調機3について個別にこのフローチャートの手順を実行することによって制御を行ってもよいし、複数の空調機3を集合体としてまとめて制御してもよい。
【0055】
なお、前提として、制御装置1において、空調機3から出力される空気に関して温度制御を行うか否か、風量制御を行うか否か、風向制御を行うか否か、のそれぞれについて予め決められている。言い換えれば、制御装置1は、温度制御を行う機能をそもそも持っていても持っていなくてもよい。また、制御装置1は、風量制御を行う機能をそもそも持っていても持っていなくてもよい。また、制御装置1は、風向制御を行う機能をそもそも持っていても持っていなくてもよい。また、温度制御、風量制御、あるいは風向制御の機能を制御装置1が持っている場合に、それぞれ、温度制御、風量制御、あるいは風向制御を行うか否かを設定できるようにしてよい。これらが設定可能な場合には、制御装置1の制御部12は、これらそれぞれの制御に関する設定情報を適宜参照することによって、温度制御、風量制御、あるいは風向制御を行うか否かを判断することができる。つまり、制御装置1の制御部12は、温度制御、風量制御、あるいは風向制御のそれぞれを行うか否かの判断を行える。なお、制御部12は、温度制御、風量制御、あるいは風向制御の少なくともいずれか1つの制御を行う。以下、このフローチャートに沿って手順を説明する。
【0056】
ステップS1において、制御装置1の受信部11は、1つまたは複数のセンサー2から、センサー信号を受信する。受信部11は、受信したセンサー信号を制御部12に渡す。
【0057】
次にステップS2において、制御装置1の制御部12は、ステップS1において渡されたセンサー信号から、データを抽出する。ここで抽出されるデータは、前述のとおり、対象空間内において運動器具を使用して運動する人の状態(一例として心拍数等)を表すデータ(数値等)や、対象空間内において運動器具を使用して運動する人の運動の量を表すデータ(数値等)や、対象空間内において運動器具を使用して運動する人に対してかかる運動の負荷の大きさを表すデータ(数値等)等であってよい。
【0058】
ステップS3において、制御部12は、空調機3から出力される空気に関する温度制御を行うか否かを判断する。温度制御を行う場合(ステップS3:YES)には、次のステップS4に進む。温度制御を行わない場合(ステップS3:NO)には、ステップS5に飛ぶ。
【0059】
ステップS4に進んだ場合には、同ステップにおいて、制御部12は、ステップS2で得られたデータに基づいて対象の空調機3の目標温度を決定する。
【0060】
ステップS5において、制御部12は、空調機3から出力される空気に関する風量制御を行うか否かを判断する。風量制御を行う場合(ステップS5:YES)には、次のステップS6に進む。風量制御を行わない場合(ステップS5:NO)には、ステップS7に飛ぶ。
【0061】
ステップS6に進んだ場合には、同ステップにおいて、制御部12は、ステップS2で得られたデータに基づいて対象の空調機3の目標風量を決定する。
【0062】
ステップS7において、制御部12は、空調機3から出力される空気に関する風向制御を行うか否かを判断する。風向制御を行う場合(ステップS7:YES)には、次のステップS8に進む。風量制御を行わない場合(ステップS7:NO)には、ステップS9に飛ぶ。
【0063】
ステップS8に進んだ場合には、同ステップにおいて、制御部12は、ステップS2で得られたデータに基づいて対象の空調機3の風向風量を決定する。
【0064】
次に、ステップS9において、制御部12は、対象の空調機3に関して、温度、風量、あるいは風向(空気の出力方向)の少なくともいずれかを制御するための信号を出力する。本ステップにおいて制御部12が出力する制御信号は、それぞれ、上のステップS4、S6、あるいはS8のいずれかにおいて決定された目標値に対応する制御信号である。
【0065】
次に、ステップS10において、制御部12は、本フローチャートの処理(制御動作)を終了するか否かを判定する。終了する場合(ステップS10:YES)には、制御部12は、処理を終了する。終了しない場合(ステップS10:NO)には、次の制御を行うために、ステップS1に戻る。なお、制御部12が空調機3の制御を終了するように判定するのは、空調システム400全体の終了がユーザー等によって指示された場合や、制御システム200の終了がユーザー等によって指示された場合や、空調機3の停止が検出された場合や、何らかの障害の発生等によって空調制御を継続することが不適切になった場合等である。
【0066】
図5は、センサー信号が表すデータと、空調機3の目標温度、目標風量、および目標風向との関係を示す概略図である。制御装置1の制御部12は、
図5に示す関係に基づいて、センサー信号から抽出したデータ(数値。便宜的に「センサー数値」と呼ぶ場合がある。)から、目標温度、目標風量、および目標風向のうちの必要な目標値を算出し、決定する。目標温度は、例えば度(摂氏等)で表わされる値である。目標風量は、単位時間あたりの送風空気量や、ファンの単位時間当たりの回転量等で表わされる値である。目標風向は、空調機3の吹き出し口のフィン(羽)の角度や、対象空間内の方向等を表す値である。
【0067】
制御部12は、このようなデータ(数値)に基づいて、当該センサー2に対応する運動器具におけるユーザーの運動の量を推定する。推定される運動の量は、必ずしも絶対的な値ではなくてもよい。運動の量が大きいか小さいかという傾向を示す値が推定される形態であってもよい。次に、制御部12は、運動の量の推定値に基づいて、生体(ユーザー、人)の発熱の量を推定する。ここで推定される発熱の量は、運動器具を用いた運動によってそのユーザーが感じる暑さに関連する。制御部12は、そのような暑さを軽減するように、空調機3についての目標温度、目標風量、あるいは目標風向の少なくともいずれかを決定する。つまり、制御部12は、運動器具を用いた運動の量が大きい程、その運動器具が設置されている箇所(あるいはその箇所を含む領域、空間)の目標温度が低くなるように、空調機3を制御する。また、制御部12は、運動器具を用いた運動の量が大きい程、その運動器具が設置されている箇所(あるいはその箇所を含む領域、空間)の目標風量が大きくなるように、空調機3を制御する。また、制御部12は、運動器具を用いた運動の量が大きい程、その運動器具が設置されている箇所(あるいはその箇所を含む領域、空間)に向けて空気(冷気)が送られるように、空調機3の目標風向を制御する。
【0068】
なお、
図5は、センサー2が検知する数値と、運動器具を用いた運動の量と、その運動による発熱の量と、それらに対応した目標温度、目標風量、および目標風向との関係をモデル化して示したものである。制御部12は、必ずしも
図5に示す順序でデータを順次処理しなければならないわけではない。例えば、制御部12は、推定された運動の量に基づいて、直接、目標温度や目標風量や目標風向を決定してもよい。また、例えば、制御部12は、受け取ったセンサー数値に基づいて、直接、目標温度や目標風量や目標風向を決定してもよい。
【0069】
図5のように想定したモデルを前提として、制御部12は、入力される数値データ(センサー数値等の入力データ)と、出力される目標数値(目標温度、目標風量、および目標風向等の出力データ)と、の関係を予め獲得しておくようにしてよい。制御部12は、例えば、多数のサンプルデータ(入力データと出力データとの組)に基づいて、回帰式を予め求めておくようにしてよい。制御部12は、回帰式を獲得している状態において、入力データを基に出力データを求めることができる。また、制御部12は、既知の機械学習の手法を用いて、入力データと出力データとの関係を予め獲得しておくようにしてもよい。このようにして、制御部12は、受け取ったセンサー数値に基づいて、空調機3の目標温度や目標風量や目標風向を決定することができる。
【0070】
つまり、対象空間において、あるいは対象空間内の特定の箇所または領域において、運動器具を用いて行われる運動の量が大きい程、空調機3がその対象空間(あるいはその中の特定の箇所または領域)をより冷やすように、制御部12は空調機3を制御する。
【0071】
図6は、制御部12が運動器具の位置を管理するために維持するテーブルの構成例を示す概略図である。図示するように、このテーブルは、運動器具識別情報と、位置と、関連付けられた端末装置とのそれぞれの項目を持つ。このテーブルの1行のデータが、1つの運動器具に対応する。運動器具識別情報は、個々の運動器具を一意に識別するためのIDである。位置は、対象空間内におけるその運動器具の位置を表す情報である。位置は、例えば、2次元または3次元の座標等によって表され得る。関連付けられた端末装置は、その運動器具が特定の端末装置(例えば、ユーザー個人の端末装置)と関連付けられている状態のときに、その端末装置を識別する情報である。その運動器具が端末装置と関連付けられていない場合には、この欄の値は例えばNULLである。
【0072】
図6に示すテーブルを参照することにより、制御部12は、それぞれの運動器具の対象空間内における位置を把握することができる。運動器具の位置は、例えば、固定された座標の値として予め登録されていてもよい。また、空調システム400が運動器具の位置を把握する機能を備えるようにしてもよい。この場合には、位置把握機能(不図示)は、運動器具に設けられたGPS端末から位置情報を受け取ったり、近距離無線通信を用いた測位を行ったり、対象空間の画像を撮影して画像処理によって運動器具の位置を認識したりすることにより、運動器具の位置を把握し、
図6のテーブルの「位置」の欄に値を設定する。
【0073】
前述のとおり、センサー2は、特定の運動器具を用いた運動の量に関連する数値を検知する。また、
図6のテーブルを参照することにより、制御装置1の制御部12は、特定の運動器具の位置を把握する。したがって、制御部12は、特定の運動器具を用いた運動の量に関連するセンサー数値に基づいて、対象空間内の特定の箇所または領域について、空調機3が出力する空気の温度や、風量や、風向を制御することができる。
【0074】
図3を参照しながら説明したとおり、運動器具と端末装置26との関連付けが行われる場合がある。運動器具と端末装置26との関連付けは、動的に行われ得る。例えば、運動器具識別情報を端末装置26が読み取ることにより、運動器具と端末装置26との間の関連付けが行われる。あるいは、例えば、端末装置26の識別情報を運動器具が読み取ることにより、運動器具と端末装置26との間の関連付けが行われる。あるいは、GPSの機能や、近距離無線通信を用いた測位の機能によって、近接する運動器具と端末装置26との間の関連付けを行うようにしてもよい。また、運動器具に設けられたセンサー2が検知する運動の量と、ユーザーに装着されたセンサー2が検知するユーザーの状況(心拍数等)との相関関係に基づいて、運動器具と端末装置26との間の関連付けを行うようにしてもよい。このように運動器具と端末装置26との間の関連付けが行われることによって、
図6に示すテーブル上のデータにも、その関連が反映される。
【0075】
図7は、空調システム400が制御の対象とする対象空間を平面視した例を示す平面図である。同図に示す例では、対象空間600は、12個の領域に区切られている。ここでは、それらの領域を、便宜的に、領域11,12,13,14,21,22,23,24,31,32,33,および34と呼ぶ。本例では、これらの領域の各々に、1台の空調機3が設けられている。空調機3は、一例として、各領域の中央部の天井に設けられる。一般的には、すべての領域に空調機3が設けられる必要はない。また、1つの領域に2つ以上の空調機が設けられてもよい。また、空調機3の代わりに、空調機3からの空気の吹き出し口が1つの領域に設けられてもよい。
図7に示す例の場合には、例えば、それぞれの領域に設けられた空調機3について、出力される空気の温度や風量や風向を個別に制御することができる。
【0076】
図6に示したテーブルを参照することにより、制御装置1の制御部12は、特定の運動器具が設けられている位置に送る空気を制御することができる。
図6のテーブルが運動器具の位置の情報を持っているため、制御部12は、それぞれの運動器具の位置を
図7の平面図上にマッピングすることができる。また、制御部12は、それぞれの運動器具を用いて行われる運動の量に関する数値データを、その運動器具に関連付けられているセンサー2から取得する。つまり、制御部12は、例えば、
図7に示す12台の空調機3のそれぞれから出力される空気の、温度や風量や風向を制御することにより、運動の量に応じて、特定の運動器具の箇所を、特にその他の場所よりも強く冷却することができる。
【0077】
図8は、本実施形態の空調システム400における情報処理機能を実現する装置の内部構成の例を示すブロック図である。具体的には、
図1に示した制御装置1やセンサー2や空調機3や、
図2に示した通信部22や、
図3に示した端末装置26が持つ機能の少なくとも一部を、
図8に示すコンピューターを用いて実現可能である。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポート903にアクセスする。
【0078】
実施形態で説明した機能の少なくとも一部をコンピューターで実現する場合、その機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0079】
以上説明した実施形態によれば、制御装置1が持つ受信部11は、対象空間内に存在する運動器具を使用した運動の量に関する数値であって、温度以外の数値、の信号をセンサー信号として出力するセンサーから、前記センサー信号を受信する。また、制御部12は、受信部11が受信した前記センサー信号に基づいて、空調機から前記対象空間内の特定の位置において出力される空気の、温度と、風量と、出力方向と、の少なくともいずれかを制御する。
【0080】
実施形態のバリエーションとして、制御装置1は、運動器具が設置されている場所に依存しない形で、運動器具が設置されている対象空間のための空調機3が出力する空気の温度や風量を制御するものであってよい。また、実施形態のバリエーションとして、制御装置1は、運動器具が設置されている場所に依存する形で、複数の空調機3のうちの特定の空調機3を制御したり、空調機3からの空気の吹き出し口を選択したり、空調機3から出力される空気の風向を制御したりしてよい。また、実施形態のバリエーションとして、制御装置1の制御部12は、内部で適切なモデルに基づいて計算を行うことによって、受け取ったセンサー数値から空調機3の制御パラメーターへの変換を行ってよい。制御部12は、検知された運動の量が多い程、対象空間全体において、あるいは対象空間内の特定の箇所(運動器具が設けられた位置)において、温度が低く、あるいは風量が多くなるように、空調機3を制御する。また、実施形態のバリエーションとして、対象空間において設けられた空調機3が単一であり、且つその風向が固定である場合には、制御装置1の制御部12は、空調機3から出力される空気の温度あるいは風量の少なくともいずれかを制御するものであってよい。また、実施形態のバリエーションとして、対象空間において設けられた空調機3が複数であり、または出力する風向が可変である場合、制御装置1の制御部12は、対象空間内の特定の位置(あるいは領域)を他の位置よりも強力に冷却するように空調機3を制御してよい。そのために制御部12は、対象空間のマップに相当する情報を持ってよい。また、そのマップの情報によって、運動器具の位置が把握され得る。また、実施形態のバリエーションとして、複数の空調機3のうちの特定の空調機3、あるいは複数の空気の吹き出し口のうちの特定の吹き出し口から出力される空気それぞれについて、温度、風量、風向の少なくともいずれかが可変(制御可能)であり、制御装置1の制御部12によって制御可能である。また、実施形態のバリエーションとして、制御部12が制御する風向は、対象空間の例えば天井に設けられた空調機3の吹き出し口からの吹き出す方向の俯角として表わすことも可能であるし、対象空間を平面視したときの方向(例えば、東西南北等)に対応する角度として表すことも可能である。また、さらに実施形態のその他のバリエーションを採用してもよい。
【0081】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えば、空調機を制御するための制御装置の製造や使用に利用することが可能である。また、本発明は、例えば、不動産(建築物等)の構築や管理・運営等に利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0083】
1 制御装置
2 センサー
3 空調機
11 受信部
12 制御部
20 運動器具
21 負荷手段
22 通信部
25 生体
26 端末装置
200 制御システム
400 空調システム
600 対象空間
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス