(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014620
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】粘着シートの製造方法及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240125BHJP
C09J 7/40 20180101ALI20240125BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240125BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240125BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240125BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20240125BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20240125BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240125BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240125BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/40
C09J11/06
C09J201/00
C09J4/02
C09J133/00
C09J5/00
G02B5/30
B32B27/00 M
B32B37/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117586
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100214639
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔平
【テーマコード(参考)】
2H149
4F100
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4J040
【Fターム(参考)】
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4J040PA44
(57)【要約】
【課題】粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することができる、粘着シートの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の粘着シートの製造方法は、第1の基材シート、第1の光硬化性組成物を含む第1の塗布層、及び第1のはく離ライナーをこの順に含む第1の積層体に光を照射して第1の粘着シートを形成する工程Aと、第1のはく離ライナーを剥離する工程Bと、第2の基材シート、第2の光硬化性組成物を含む第2の塗布層、及び第2のはく離ライナーをこの順に含む第2の積層体に光を照射して第2の粘着シートを形成する工程Cと、を含む。工程Cでは、工程Bで剥離された第1のはく離ライナーを第2の基材シート及び/又は第2のはく離ライナーとして用いる。第1の光硬化性組成物及び第2の光硬化性組成物からなる群より選ばれる少なくとも1つは、酸化防止剤を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材シート、第1の光硬化性組成物を含む第1の塗布層、及び第1のはく離ライナーをこの順に含む第1の積層体に光を照射して、前記第1の塗布層から第1の粘着シートを形成する工程Aと、
前記第1の粘着シートから前記第1のはく離ライナーを剥離する工程Bと、
第2の基材シート、第2の光硬化性組成物を含む第2の塗布層、及び第2のはく離ライナーをこの順に含む第2の積層体に光を照射して、前記第2の塗布層から第2の粘着シートを形成する工程Cと、
を含み、
前記工程Cでは、前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを前記第2の基材シート及び/又は前記第2のはく離ライナーとして用い、
前記工程Aにおける前記第1の光硬化性組成物及び前記工程Cにおける前記第2の光硬化性組成物からなる群より選ばれる少なくとも1つは、酸化防止剤を含む、粘着シートの製造方法。
【請求項2】
前記工程Cでは、前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを前記第2のはく離ライナーとして用いる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2の粘着シートから前記第2のはく離ライナーを剥離する工程Dと、
第3の基材シート、第3の光硬化性組成物を含む第3の塗布層、及び第3のはく離ライナーをこの順に含む第3の積層体に光を照射して、前記第3の塗布層から第3の粘着シートを形成する工程Eと、
をさらに含み、
前記工程Eでは、前記工程Dで剥離された前記第2のはく離ライナーを、前記第3の基材シート及び/又は前記第3のはく離ライナーとして用いるか、あるいは前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを、前記第3の基材シート及び/又は前記第3のはく離ライナーとして用いる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2のはく離ライナーと、前記第2の粘着シートとの剥離力PS1が1.0N/50mm以下である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1のはく離ライナーと、前記第1の粘着シートとの剥離力PS0が0.01N/50mm以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1の光硬化性組成物及び前記第2の光硬化性組成物のそれぞれが前記酸化防止剤を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酸化防止剤の分子量が1500以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1の光硬化性組成物及び前記第2の光硬化性組成物のそれぞれは、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つのフィルムを含む、請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートの製造方法及び粘着シート付き光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及びエレクトロルミネセンス(EL)表示装置に代表される各種の画像表示装置は、一般に、偏光フィルム等の光学フィルムと粘着シートとを含む光学積層体を備えている。光学積層体に含まれる光学フィルム間の接合や、光学積層体と画像表示パネルとの接合には、通常、粘着シートが使用される。粘着シートとしては、アクリル単量体やシリコーン単量体等を含む単量体群を重合及び架橋により硬化させたシートが典型的である。
【0003】
特許文献1は、粘着シートの一例を開示している。特許文献1において、粘着シートは、2つのはく離ライナーの間に配置された粘着剤組成物の塗布層に光を照射することによって作製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬化による粘着シートの形成には、通常、熱や光等のエネルギーが必要である。光を利用する方法(光硬化法)によれば、例えば粘着剤組成物及び溶剤を含む塗布層をオーブンにより熱硬化させる方法(熱硬化法)に比べて、粘着シートの形成に必要なエネルギーの量を削減できる。しかし、粘着シート製造時の環境負荷を低減する観点からは、塗布層の硬化に必要なエネルギー量に着目するだけでは不十分である。
【0006】
そこで本発明は、剥離後直ちに廃棄されていたはく離ライナーを再使用可能とすることで、粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することができる、粘着シートの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
第1の基材シート、第1の光硬化性組成物を含む第1の塗布層、及び第1のはく離ライナーをこの順に含む第1の積層体に光を照射して、前記第1の塗布層から第1の粘着シートを形成する工程Aと、
前記第1の粘着シートから前記第1のはく離ライナーを剥離する工程Bと、
第2の基材シート、第2の光硬化性組成物を含む第2の塗布層、及び第2のはく離ライナーをこの順に含む第2の積層体に光を照射して、前記第2の塗布層から第2の粘着シートを形成する工程Cと、
を含み、
前記工程Cでは、前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを前記第2の基材シート及び/又は前記第2のはく離ライナーとして用い、
前記工程Aにおける前記第1の光硬化性組成物及び前記工程Cにおける前記第2の光硬化性組成物からなる群より選ばれる少なくとも1つは、酸化防止剤を含む、粘着シートの製造方法を提供する。
【0008】
さらに本発明は、
上記の製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む、粘着シート付き光学フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、剥離後直ちに廃棄されていたはく離ライナーを再使用可能とすることで、粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することができる、粘着シートの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図2】本発明の粘着シートの製造方法に使用しうるはく離ライナーの一例を模式的に示す断面図である。
【
図3A】粘着シートに対するクリープ量の測定方法を説明するための模式図である。
【
図3B】粘着シートに対するクリープ量の測定方法を説明するための模式図である。
【
図4】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図5】本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図7】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【
図8】本発明の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1態様にかかる粘着シートの製造方法は、
第1の基材シート、第1の光硬化性組成物を含む第1の塗布層、及び第1のはく離ライナーをこの順に含む第1の積層体に光を照射して、前記第1の塗布層から第1の粘着シートを形成する工程Aと、
前記第1の粘着シートから前記第1のはく離ライナーを剥離する工程Bと、
第2の基材シート、第2の光硬化性組成物を含む第2の塗布層、及び第2のはく離ライナーをこの順に含む第2の積層体に光を照射して、前記第2の塗布層から第2の粘着シートを形成する工程Cと、
を含み、
前記工程Cでは、前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを前記第2の基材シート及び/又は前記第2のはく離ライナーとして用い、
前記工程Aにおける前記第1の光硬化性組成物及び前記工程Cにおける前記第2の光硬化性組成物からなる群より選ばれる少なくとも1つは、酸化防止剤を含む。
【0012】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる製造方法では、前記工程Cでは、前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを前記第2のはく離ライナーとして用いる。
【0013】
本発明の第3態様において、例えば、第2態様にかかる製造方法は、
前記第2の粘着シートから前記第2のはく離ライナーを剥離する工程Dと、
第3の基材シート、第3の光硬化性組成物を含む第3の塗布層、及び第3のはく離ライナーをこの順に含む第3の積層体に光を照射して、前記第3の塗布層から第3の粘着シートを形成する工程Eと、
をさらに含み、
前記工程Eでは、前記工程Dで剥離された前記第2のはく離ライナーを、前記第3の基材シート及び/又は前記第3のはく離ライナーとして用いるか、あるいは前記工程Bで剥離された前記第1のはく離ライナーを、前記第3の基材シート及び/又は前記第3のはく離ライナーとして用いる。
【0014】
本発明の第4態様において、例えば、第2又は第3態様にかかる製造方法では、前記第2のはく離ライナーと、前記第2の粘着シートとの剥離力PS1が1.0N/50mm以下である。
【0015】
本発明の第5態様において、例えば、第1~第4態様のいずれか1つにかかる製造方法では、前記第1のはく離ライナーと、前記第1の粘着シートとの剥離力PS0が0.01N/50mm以上である。
【0016】
本発明の第6態様において、例えば、第1~第5態様のいずれか1つにかかる製造方法では、前記第1の光硬化性組成物及び前記第2の光硬化性組成物のそれぞれが前記酸化防止剤を含む。
【0017】
本発明の第7態様において、例えば、第1~第6態様のいずれか1つにかかる製造方法では、前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0018】
本発明の第8態様において、例えば、第1~第7態様のいずれか1つにかかる製造方法では、前記酸化防止剤の分子量が1500以下である。
【0019】
本発明の第9態様において、例えば、第1~第8態様のいずれか1つにかかる製造方法では、前記第1の光硬化性組成物及び前記第2の光硬化性組成物のそれぞれは、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は前記単量体群の部分重合物を含む。
【0020】
本発明の第10態様において、例えば、第9態様にかかる製造方法では、前記単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含む。
【0021】
本発明の第11態様にかかる粘着シート付き光学フィルムの製造方法は、
第1~第10態様のいずれか1つにかかる製造方法によって形成された粘着シートの露出面に光学フィルムを配置して粘着シート付き光学フィルムを形成することを含む。
【0022】
本発明の第12態様において、例えば、第11態様にかかる製造方法では、前記光学フィルムが、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つのフィルムを含む。
【0023】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0024】
本発明者らは、剥離後直ちに廃棄されていたはく離ライナーを再使用することにより、粘着シートの製造プロセスにおける環境負荷をさらに低減することを着想し、この着想に基づいて検討を進め、本発明を完成させた。
【0025】
[粘着シートの製造方法の実施形態]
図1を参照して、本実施形態の粘着シートの製造方法を説明する。
本実施形態の製造方法は、
第1の基材シート11a、第1の光硬化性組成物を含む第1の塗布層12a、及び第1のはく離ライナー13aをこの順に含む第1の積層体10aに光14を照射して、第1の塗布層12aから第1の粘着シート1aを形成する工程Aと、
第1の粘着シート1aから第1のはく離ライナー13aを剥離する工程Bと、
第2の基材シート11b、第2の光硬化性組成物を含む第2の塗布層12b、及び第2のはく離ライナー13bをこの順に含む第2の積層体10bに光14を照射して、第2の塗布層12bから第2の粘着シート1bを形成する工程Cと、
を含む。
【0026】
工程Cでは、工程Bで剥離された第1のはく離ライナー13aを第2の基材シート11b及び/又は第2のはく離ライナー13bとして用いる。言い換えると、工程Bで第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aを廃棄せずに、工程Cで再度利用する。このように、本実施形態の製造方法では、第1のはく離ライナー13aを廃棄せずに、工程A~工程Cを実施することによって、低環境負荷で粘着シートを製造することができる。工程Cでは、工程Bで剥離された第1のはく離ライナー13aを第2のはく離ライナー13bとして用いることが好ましい。
【0027】
なお、「工程Bで剥離された第1のはく離ライナー13aを第2の基材シート11b及び第2のはく離ライナー13bとして用いる」とは、詳細には、工程Bで剥離された複数の第1のはく離ライナー13aのうちの一部を第2の基材シート11bとして用いるとともに、他の一部を第2のはく離ライナー13bとして用いることを意味する。この場合、第2の基材シート11bとして用いる第1のはく離ライナー13a、及び、第2のはく離ライナー13bとして用いる第1のはく離ライナー13aのうちの少なくとも一方には、表面処理などの改質処理が施されてもよい。
【0028】
本実施形態の製造方法は、例えば、第2の粘着シート1bから第2のはく離ライナー13bを剥離する工程Dをさらに含む。さらに、本実施形態の製造方法では、第1のはく離ライナー13aを再使用した第2のはく離ライナー13bを、工程Dで剥離させた後、第3の基材シート11c及び/又は第3のはく離ライナー13cとして用いて、工程Aと同様の工程Eをさらに実施してもよい。言い換えると、再使用したはく離ライナー13bを廃棄せずに3回目の利用に供してもよい。工程Eでは、第3の基材シート11c、第3の光硬化性組成物を含む第3の塗布層12c、及び第3のはく離ライナー13cをこの順に含む第3の積層体10cに光を照射して、第3の塗布層12cから第3の粘着シート1cが形成される。なお、工程Eでは、工程Bで剥離された第1のはく離ライナー13aを、第3の基材シート11c及び/又は第3のはく離ライナー13cとして用いてもよい。第1のはく離ライナー13aを廃棄せずに繰り返しはく離ライナーとして使用することによって、より低環境負荷で粘着シートを製造することができる。
【0029】
本実施形態の製造方法では、工程Aにおける第1の光硬化性組成物、及び工程Cにおける第2の光硬化性組成物からなる群より選ばれる少なくとも1つは、酸化防止剤を含む。後述するとおり、酸化防止剤は、はく離ライナーと粘着シートとの剥離力の増加を抑制することに適した成分である。特に、第1の光硬化性組成物及び第2の光硬化性組成物のそれぞれが酸化防止剤を含むことが好ましい。工程Eにおける第3の光硬化性組成物も酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0030】
<工程A>
工程Aでは、光14の照射は、典型的には、第1の基材シート11aの側から実施する。このとき、光14は、第1の基材シート11aを透過して第1の塗布層12aに到達し、第1の塗布層12aを硬化させる。ただし、光14の照射は、第1のはく離ライナー13aの側から実施してもよいし、第1のはく離ライナー13a及び第1の基材シート11aの双方の側から実施してもよい。工程Aで形成された第1の粘着シート1aは、第1のはく離ライナー13aが剥離されるまでは、第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aによって挟持されて、積層体17aの一部を構成している。
【0031】
(第1の光硬化性組成物)
第1の光硬化性組成物は、光14の照射によって第1の塗布層12aから第1の粘着シート1aを形成する粘着剤組成物である。第1の光硬化性組成物は、例えば、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物を含む。第1の光硬化性組成物における(メタ)アクリル系成分、すなわち(メタ)アクリル系単量体及びその部分重合物、の含有率は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、さらには80重量%以上であってもよく、この場合、(メタ)アクリル重合体及びその架橋物を主成分とするアクリル系の第1の粘着シート1aを形成できる。ただし、第1の光硬化性組成物は上記例に限定されない。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0032】
(メタ)アクリル系単量体の例は、炭素数1~20のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。アルキル基の炭素数は、7以下、6以下、5以下、さらには4以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びオクタデシル(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、n-ブチル(メタ)アクリレートであってもよい。
【0033】
単量体群における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率は、例えば40重量%以上であり、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、さらには95重量%以上であってもよい。なお、含有率の計算にあたり、部分重合物の重量は、重合前の各単量体としての重量に換算する。
【0034】
単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がカルボキシル基含有単量体を含んでいてもよい。カルボキシル基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びクロトン酸である。単量体群におけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、例えば10重量%以下であり、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、さらには5重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.1重量%以上であり、0.5重量%以上、さらには1重量%以上であってもよい。単量体群は、カルボキシル基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0035】
単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよく、換言すれば、(メタ)アクリル系単量体がヒドロキシ基含有単量体を含んでいてもよい。ヒドロキシ基含有単量体は、粘着シートの凝集力向上に寄与しうる。ヒドロキシ基含有単量体の例は、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル及び(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートである。ヒドロキシ基含有単量体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルである。単量体群におけるヒドロキシ基含有単量体の含有率は、例えば10重量%以下であり、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、0.2重量%以下、さらには0.1重量%以下であってもよい。含有率の下限は、例えば0.01重量%以上であり、0.03重量%以上、さらには0.05重量%以上であってもよい。単量体群は、ヒドロキシ基含有単量体を含んでいなくてもよい。
【0036】
第1の光硬化性組成物において、上述した各単量体は部分重合物として含まれていてもよい。部分重合物は、単一重合体及び共重合体のいずれであってもよい。部分重合物は、第1の光硬化性組成物の粘度を適度に増大させることで、塗布層の安定した形成に寄与しうる。
【0037】
第1の光硬化性組成物は、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤の例は、波長450nmよりも短い波長の可視光及び/又は紫外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤である。
【0038】
光重合開始剤の例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾインエーテル類;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン;1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルホニルクロライド等の芳香族スルホニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム等の光活性オキシム;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;並びにチタノセン系化合物である。第1の光硬化性組成物は、1種又は2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0039】
第1の光硬化性組成物における光重合開始剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.02~10重量部であり、0.05~5重量部であってもよい。
【0040】
上述のとおり、第1の光硬化性組成物は、酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。第1の光硬化性組成物が酸化防止剤を含む場合、工程Cにおいて、第1のはく離ライナー13aを第2のはく離ライナー13bとして用いたときに、第2のはく離ライナー13bと第2の粘着シート1bとの剥離力を小さい値に調整できる傾向がある。詳細には、工程Aでは、光14の照射によって第1のはく離ライナー13aと第1の粘着シート1aとの間に化学的な結合が生じ、その一部や結合の分解により形成された官能基が第1の粘着シート1aの剥離後にも第1のはく離ライナー13aの表面に残留することがある。この官能基に起因して、第2の粘着シート1bに対する第2のはく離ライナー13b(第1のはく離ライナー13a)の剥離力が増大する傾向がある。酸化防止剤によれば、第1のはく離ライナー13aと第1の粘着シート1aとの間に化学的な結合が生じることを抑制できる傾向がある。さらに、酸化防止剤によれば、第1の粘着シート1aの製造条件(光の照射時間など)によらず、第1のはく離ライナー13aの表面が第1の粘着シート1aの材料で汚染されることを抑制できる傾向もある。
【0041】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物(特にヒンダードフェノール系化合物)、アミン系化合物(特にヒンダードアミン系化合物)、リン系化合物などが挙げられる。酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましく、ヒンダードフェノール系化合物を含むことが特に好ましい。酸化防止剤に含まれる化合物は、硫黄原子を含んでいなくてもよい。第1の光硬化性組成物は、1種又は2種以上の酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0042】
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製「Irganox 1010」)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1076」)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」)、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(BASF製「Irganox 1330」)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(BASF製「Irganox 3114」)、イソシアヌル酸トリス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル](BASF製「Irganox 3125」)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ADEKA製「アデカスタブ AO-60」)、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルキシオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA製「アデカスタブ AO-80」)、アクリル酸2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニル(住友化学製「スミライザーGS」)、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル(住友化学製「スミライザー GM」)、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート](住友化学製「スミライザー GA-80」)、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-tert-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(サイテック製「シアノックス 1790」)などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物は、好ましくはIrganox 1010、Irganox 1135であり、より好ましくはIrganox 1135である。
【0043】
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス-(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASF社製「Tinuvin123」)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-52」)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-57」)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシリックアシッド テトラメチルエステル 1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール β,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジエタノール(ADEKA社製「アデカスタブLA-63P」)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシリックアシッド テトラメチルエステル 2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール β,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジエタノール(ADEKA社製「アデカスタブLA-68」)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-72」)、ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-77Y」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製「アデカスタブLA-77G」)、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート(ADEKA社製「アデカスタブLA-81」)、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-82」)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-87」)、SONGLIGHT1190(SONGWON社製)、SONGLIGHT1230(SONGWON社製)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(SONGWON社製「SONGLIGHT2920」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(SONGWON社製「SONGLIGHT7700」)、ポリ(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノール-オルト-1,4-ブタンジオイック アシッド)(BASF社製「Uvinul5062H」)、Uvinul5050H(BASF社製)、N,N’-ビスホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン(BASF社製「Uvinul4050H」)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASF社製「Uvinul4077H」)などが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物は、好ましくはアデカスタブLA-52である。
【0044】
リン系化合物としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テトラトリデシル-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)-ジホスファイト、4,4’-イソプロピリデン-ジフェノールアルキルホスファイト(ただし、アルキルは炭素数12~15程度)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)]・1,6-ヘキサンジオールジホスファイト、ヘキサトリデシル-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス[4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3-ジステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-ホスファフェナンスレン-10-オキシド、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4’-イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノール-A-ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0045】
酸化防止剤は、分子量が小さいことが好ましい。分子量が小さい酸化防止剤によれば、工程Cにおいて、第1のはく離ライナー13aを第2のはく離ライナー13bとして用いたときに、第2のはく離ライナー13bと第2の粘着シート1bとの剥離力を小さい値に調整しやすい。なお、酸化防止剤は、分子量が小さいことに起因して、常温(25℃)で液体であることが好ましい。酸化防止剤の分子量は、例えば1500以下であり、1000以下、800以下、500以下、さらには400以下であってもよい。酸化防止剤の分子量の下限は、特に限定されず、例えば100以上であり、200以上、さらには300以上であってもよい。
【0046】
酸化防止剤の配合量は、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば0.01重量部以上であり、0.05重量部以上、0.1重量部以上、さらには0.3重量部以上であってもよい。酸化防止剤の配合量の上限は、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。
【0047】
第1の光硬化性組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能単量体である。多官能単量体は(メタ)アクリル系単量体であってもよい。多官能単量体の例は、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体、及び1分子中に1以上のC=C結合と、1以上のエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、ヒドラジン基、メチロール基等の重合性官能基とを有する単量体である。多官能単量体は、好ましくは、1分子中に2以上のC=C結合を有する単量体である。
【0048】
架橋剤の例は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物等);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートである。多官能単量体は、好ましくは、多官能アクリレートであり、より好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
【0049】
架橋剤の配合量は、分子量や官能基数等により異なるが、単量体群及びその部分重合物の合計100重量部に対して、例えば5重量部以下であり、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、さらには0.5重量部以下であってもよい。配合量の下限は、例えば0.01重量部以上であり、さらには0.05重量部以上であってもよい。
【0050】
第1の光硬化性組成物は、上述した以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、連鎖移動剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、帯電防止剤及び紫外線吸収剤である。
【0051】
第1の光硬化性組成物における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。第1の光硬化性組成物は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。溶剤を実質的に含まないとは、添加剤等に由来する溶剤等を、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下の含有率で許容する趣旨である。
【0052】
第1の光硬化性組成物の粘度は、好ましくは、5~100ポイズである。上記範囲の粘度を有する第1の光硬化性組成物は、第1の塗布層12aの形成に特に適している。
【0053】
(第1のはく離ライナー)
第1のはく離ライナー13aの基材(以下、「ライナー基材」)の例は、樹脂フィルムである。ライナー基材に含まれうる樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、アセテート樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、並びにポリフェニレンサルファイドである。樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルである。
【0054】
第1のはく離ライナー13aは、工程Aで照射する光14の透過性を有していてもよく、第1の基材シート11aと同程度の光14の透過性を有していてもよい。
【0055】
第1のはく離ライナー13aの厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0056】
第1のはく離ライナー13aは、ライナー基材以外の層を備えていてもよい。第1のはく離ライナー13aは、離型層を備えていてもよい。
図2の第1のはく離ライナー13aは、ライナー基材131と、ライナー基材131の一方の面に形成された離型層132とを備える。
図2の第1のはく離ライナー13aは、離型層132が第1の塗布層12aの側となるように使用できる。
【0057】
離型層132は、典型的には、離型剤を含む離型剤組成物の硬化層である。離型剤には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤、シリカ粉等の種々の離型剤を使用できる。第1のはく離ライナー13aは、シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物の硬化層(以下「シリコーン離型層」)を備えていてもよい。シリコーン離型層は、第1の粘着シート1aに対する密着性及び剥離性の両立に特に適している。なお、本明細書において主成分とは、最も含有率の大きな成分を意味する。
【0058】
シリコーン系離型剤は、例えば、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶媒型等の各種の硬化型シリコーン材料であり、付加反応硬化型シリコーン材料が好ましい。付加反応硬化型シリコーン材料は、第1の粘着シート1aに対する密着性及び剥離性の両立した離型層の形成に特に適している。硬化型シリコーン材料は、ウレタン、エポキシ、アルキッド樹脂等の有機樹脂にグラフト重合等により反応性シリコーンを導入したシリコーン変性樹脂であってもよい。
【0059】
付加反応硬化型シリコーン材料の例は、ビニル基又はアルケニル基を分子内に有するポリオルガノシロキサンである。付加反応硬化型シリコーン材料は、ヒドロシリル基を有さなくてもよい。アルケニル基の例は、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基、10-ウンデセニル基、及び11-ドデセニル基である。ポリオルガノシロキサンの例は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、並びにポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン)等の複数種のSi原子含有モノマーの共重合体である。ポリオルガノシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサンである。
【0060】
シリコーン系離型剤を主成分として含む離型剤組成物(以下「シリコーン離型剤組成物」)は、通常、架橋剤を含む。架橋剤の例は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンである。架橋剤は、一分子中に2以上のヒドロシリル基を有していてもよい。
【0061】
シリコーン離型剤組成物は、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒の例は、白金系触媒である。白金系触媒の例は、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体である。白金系触媒の使用量は、組成物の全固形分に対して、例えば10~1000ppm(重量基準、白金換算)である。
【0062】
シリコーン離型剤組成物は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例は、剥離コントロール剤及び密着性向上剤である。剥離コントロール剤の例は未反応性のシリコーン樹脂であり、より具体的な例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノシロキサン、及びMQレジンである。剥離コントロール剤及び密着性向上剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば1~30重量%である。添加剤のさらなる例は、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び着色剤である。さらなる添加剤の使用量は、組成物の全固形分に対して合計で、例えば10重量%以下である。
【0063】
シリコーン離型剤組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒の例は、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒である。2種以上の有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒の使用量は、好ましくは、シリコーン離型剤組成物の80~99.9重量%である。
【0064】
離型層132は、例えば、ライナー基材131上に形成した離型剤組成物を含む塗布膜を加熱及び乾燥して形成できる。離型剤組成物の塗布には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。加熱及び乾燥には、例えば熱風乾燥を適用できる。加熱温度及び時間は、ライナー基材の耐熱性により異なるが、通常、80~150℃及び10秒~10分程度である。必要に応じて、紫外線等の活性エネルギー線の照射を併用してもよい。
【0065】
離型層132の厚さは、例えば10~300nmである。厚さの上限は、200nm以下、150nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、100nm未満、90nm以下、80nm以下、70nm以下、70nm未満、さらには65nm以下であってもよい。厚さの下限は、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、さらには50nm以上であってもよい。離型層132の厚さは110nm以下であってもよく、換言すれば、第1のはく離ライナー13aは第1の塗布層12aの側の面に離型層132を備え、離型層132の厚さは110nm以下であってもよい。
【0066】
第1のはく離ライナー13aは、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0067】
第1のはく離ライナー13a、特に未使用の状態の第1のはく離ライナー13aと、第1の粘着シート1aとの剥離力PS0は、特に限定されず、例えば1.0N/50mm以下であり、0.5N/50mm以下、0.2N/50mm以下、0.15N/50mm以下、0.12N/50mm以下、0.1N/50mm以下、0.08N/50mm以下、さらには0.05N/50mm以下であってもよい。剥離力PS0は、0.01N/50mm以上であってもよく、0.02N/50mm以上、さらには0.03N/50mm以上であってもよい。
【0068】
剥離力PS0は、工程Aを実施して形成した積層体17aを幅50mmに切り出して試験片を作製し、作製した試験片から第1のはく離ライナー13aのみを引きはがす180°引きはがし試験を実施して評価できる。引きはがし試験は、第1の粘着シート1aの形成から0.5~1時間程度の時間が経過した後に実施する。第1の粘着シート1aの形成から引きはがし試験の実施まで、積層体17a及び試験片は23℃±5℃の大気雰囲気に置く。引きはがし試験の引きはがし速度は300mm/分、試験温度は23℃±5℃とする。積層体17aの幅が50mmに満たない場合は、原幅での測定値を幅50mmあたりの値に換算してもよい。第1の塗布層12aの形成方向を判別できる場合は、その方向であるMDに対して面内に垂直なTDを試験片の幅方向として定めることができる。第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aが長尺状である場合は、その幅方向を試験片の幅方向とすることができる。
【0069】
(第1の基材シート)
第1の基材シート11aの例は、樹脂フィルムである。第1の基材シート11aに含まれる樹脂の例は、ライナー基材に含まれうる樹脂の例と同じである。
【0070】
第1の基材シート11aは、工程Aで照射する光14の透過性に優れることが好ましい。
【0071】
第1の基材シート11aの厚さは、例えば10~200μmであり、25~150μmであってもよい。
【0072】
第1の基材シート11aは、第1の塗布層12aの側の面に離型層を備えていてもよい。第1の基材シート11aが備えうる離型層及びその製法の例は、第1のはく離ライナー13aが備えうる離型層及びその製法の例と同じである。第1のはく離ライナー13a及び第1の基材シート11aの双方が離型層を備えていてもよい。この場合、双方の離型層は、同じ離型剤を主成分として含む離型剤組成物から形成されていてもよい。また、双方の離型層の厚さは異なっていてもよく、例えば、第1の基材シート11aが備える離型層の方が厚くてもよい。
【0073】
第1の基材シート11aには、通常、第1の粘着シート1aとの剥離力が第1のはく離ライナー13aに比べて大きなシートを選択できる。
【0074】
第1の基材シート11aは、枚葉状であっても長尺状であってもよい。
【0075】
(第1の積層体及びその形成)
第1の積層体10aは、第1の基材シート11a、第1の塗布層12a及び第1のはく離ライナー13a以外のさらなる層を含んでいてもよい。上記さらなる層は、第1の基材シート11a及び/又は第1のはく離ライナー13aにおける第1の塗布層12aの側とは反対側に配置されていてもよい。第1の塗布層12aは、第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aと接していることが好ましい。
【0076】
第1の積層体10aは、例えば、第1の基材シート11a(又は第1のはく離ライナー13a)の上に第1の塗布層12aを形成し、形成した第1の塗布層12aの上に第1のはく離ライナー13a(又は第1の基材シート11a)を配置して形成できる。また、互いの主面が向き合うように所定の間隔に保持された第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aの間の空間に光硬化性組成物を流しこむように塗布して第1の積層体10aを形成してもよい。工程Cにおいて、剥離させた第1のはく離ライナー13aは、剥離する直前の工程Aにおいて第1の塗布層12aの側にあった面、例えば離型層132側の面、が第2の塗布層12bの側となるように使用してもよい。
【0077】
第1の塗布層12aの形成には、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等の各種の塗布方法を適用できる。
【0078】
第1の塗布層12aの厚さは、目的とする第1の粘着シート1aの厚さに応じて調整でき、例えば5~100μmであり、5~50μm、5~25μm、さらには5~20μmであってもよい。
【0079】
第1の積層体10aは、長尺状の第1の基材シート11a、長尺状の第1の塗布層12a及び長尺状の第1のはく離ライナー13aを含んでいてもよく、換言すれば、長尺状であってもよい。長尺状の第1の積層体10aは、例えば、巻回体から繰り出した第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aを搬送しながら両者の間に第1の塗布層12aを形成して得ることができる。
【0080】
(光の照射)
第1の積層体10aに照射する光14は、例えば、波長450nmよりも短い波長を有する可視光又は紫外線である。光14は、第1の光硬化性組成物が含む光重合開始剤の吸収波長と同じ領域の波長の光を含んでいてもよい。波長300nm以下の短波長光をフィルター等でカットした光14を照射してもよく、短波長光をカットすることは、光14による第1の基材シート11aの劣化の抑制に適している。光14の光源は、例えば紫外線照射ランプを備える光照射装置である。紫外線照射ランプの例は、紫外光LED、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、殺菌ランプ、低圧放電水銀ランプ、エキシマレーザーである。2以上の紫外線照射ランプが組み合わされていてもよい。
【0081】
光14の照射は、連続的であっても断続的であってもよい。
【0082】
光14の照度は、例えば1~20mW/cm2である。光14の照射時間は、例えば5分~5時間である。第1の積層体10aに対する光14の積算光量は、例えば100~5000mJ/cm2である。
【0083】
(第1の粘着シート)
第1の光硬化性組成物から形成された第1の粘着シート1aにおける単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
【0084】
第1の粘着シート1aのゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
【0085】
第1の粘着シート1aのクリープ量は、例えば180μm以下であり、160μm以下であってもよい。クリープ量の下限は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよい。
【0086】
第1の粘着シート1aのクリープ量は、以下のように評価できる(
図3A及び
図3B参照)。まず、評価対象である第1の粘着シート1aとサポートフィルム51との積層体を10mm×50mmの短冊状に切り出して試験片52とする。サポートフィルム51は、試験時に荷重が加えられる第1の粘着シート1aにおける当該荷重の印加部分の変形を抑え、これにより、クリープ量をより精度よく測定することを目的として配置する。サポートフィルム51には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムを使用できる。サポートフィルム51は、光学フィルム、あるいは光学フィルムを含む積層体であってもよい。サポートフィルム51の厚さは、上記荷重により自らが変形しない厚さであればよく、例えば、20~200μmである。次に、
図3A及び
図3Bに示すように、縦10mm×横10mmの接合面にて、ステンレス製試験板53の表面に試験片52を第1の粘着シート1aにより貼り付ける。なお、
図3Bは、
図3Aの断面B-Bである。試験板53への試験片52の貼り付けは、試験板53と第1の粘着シート1aとの間に気泡が混入しないように実施する。また、貼り付けた後、50℃及び5気圧(絶対圧)のオートクレーブ内に15分収容して試験板53と第1の粘着シート1aとの接合を均質化させる。次に、試験板53及び試験片52を、試験板53が上方となるように垂直に保持して25℃の雰囲気に少なくとも5分放置した後、試験板53を固定した状態で試験片52の下端中央に質量500gの錘を固定して500gfの荷重54を鉛直下方に加える。荷重54を加え始めてから3600秒後の時点における試験板53に対する第1の粘着シート1aのクリープ量(ずれ量)を錘の落下量として測定する。錘の落下量の測定には、レーザー変位計を使用できる。
【0087】
第1の粘着シート1aの厚さは、例えば2~70μmであり、2~50μm、5~40μm、10~30μm、10~25μm、さらには10~20μmであってもよい。
【0088】
<工程B>
工程Bでは、硬化後の積層体17aから第1のはく離ライナー13aを剥離する。積層体17aは、第1の基材シート11a、第1の粘着シート1a及び第1のはく離ライナー13aをこの順で含む。上記剥離により、第1のはく離ライナー13aと、第1の基材シート11a及び第1の粘着シート1aを含む積層体15aとが得られる。
【0089】
第1のはく離ライナー13aと第1の粘着シート1aとの剥離力は、例えば、第1の基材シート11aと第1の粘着シート1aとの剥離力に比べて小さい。第1の粘着シート1aに対する第1の基材シート11aの剥離力は、例えば0.1~10N/50mmであり、1~8N/50mm、2~7N/50mm、さらには3~5N/50mmであってもよい。
【0090】
剥離された第1のはく離ライナー13aは、巻き取ることで巻回体とした後に、工程Cで利用してもよい。
【0091】
<工程C>
工程Cでは、光14の照射は、典型的には、第2の基材シート11bの側から実施する。このとき、光14は、第2の基材シート11bを透過して第2の塗布層12bに到達し、第2の塗布層12bを硬化させる。ただし、光14の照射は、第2のはく離ライナー13bの側から実施してもよいし、第2のはく離ライナー13b及び第2の基材シート11bの双方の側から実施してもよい。工程Cで形成された第2の粘着シート1bは、第2のはく離ライナー13bが剥離されるまでは、第2の基材シート11b及び第2のはく離ライナー13bによって挟持されて、積層体17bの一部を構成している。
【0092】
(第2の光硬化性組成物)
第2の光硬化性組成物は、光14の照射によって第2の塗布層12bから第2の粘着シート1bを形成する粘着剤組成物である。第2の光硬化性組成物の材料としては、第1の光硬化性組成物について上述したものを用いることができる。すなわち、第2の光硬化性組成物は、例えば、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物、並びに光重合開始剤を含み、必要に応じて、酸化防止剤をさらに含む。第2の光硬化性組成物は、架橋剤やその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。第2の光硬化性組成物の組成は、第1の光硬化性組成物と同じであってもよく、異なっていてもよい。一例として、第1の光硬化性組成物及び第2の光硬化性組成物のそれぞれは、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体群及び/又は当該単量体群の部分重合物を含むことが好ましい。また、上述のとおり、第1の光硬化性組成物及び第2の光硬化性組成物のそれぞれが酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0093】
上述のとおり、第2の光硬化性組成物は、酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。第1の光硬化性組成物と同様に、第2の光硬化性組成物が酸化防止剤を含む場合、第2のはく離ライナー13bを第3のはく離ライナー13cとして用いて工程Eを実施するときに、第3のはく離ライナー13cと第3の粘着シート1cとの剥離力を小さい値に調整できる傾向がある。酸化防止剤によれば、第2の粘着シート1bの製造条件(光の照射時間など)によらず、第2のはく離ライナー13bの表面が第2の粘着シート1bの材料で汚染されることを抑制できる傾向もある。
【0094】
第1の光硬化性組成物と同様に、第2の光硬化性組成物における溶剤の含有率は、例えば5重量%以下であり、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、さらには0.5重量%以下であってもよい。第2の光硬化性組成物は、溶剤を実質的に含まなくてもよい。
【0095】
第2の光硬化性組成物の粘度は、好ましくは、5~100ポイズである。上記範囲の粘度を有する第2の光硬化性組成物は、第2の塗布層12bの形成に特に適している。
【0096】
(第2のはく離ライナー)
第2のはく離ライナー13bとしては、第1のはく離ライナー13aについて上述したものを用いることができる。第2のはく離ライナー13bは、工程Bで第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aそのものであってもよい。
【0097】
第2のはく離ライナー13b、特に工程Bで第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aと、第2の粘着シート1bとの剥離力PS1は、1.0N/50mm以下であることが好ましく、0.9N/50mm以下、0.8N/50mm以下、0.7N/50mm以下、0.6N/50mm以下、0.5N/50mm以下、0.4N/50mm以下、0.3N/50mm以下、0.2N/50mm以下、さらには0.15N/50mm以下であってもよい。剥離力PS1の下限は、例えば0.01N/50mm以上であり、0.03N/50mm以上、0.05N/50mm以上、0.08N/50mm以上、さらには0.1N/50mm以上であってもよい。
【0098】
上記の剥離力PS0に対する剥離力PS1の比PS1/PS0は、10以下であってもよく、8以下、6以下、さらには5以下であってもよい。比PS1/PS0の下限は、例えば、1.1以上であり、2.0以上であってもよい。
【0099】
(第2の基材シート)
第2の基材シート11bとしては、第1の基材シート11aについて上述したものを用いることができる。第2の基材シート11bは、工程Bで第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aそのものであってもよい。
【0100】
(第2の積層体及びその形成)
第2の積層体10bは、第2の基材シート11b、第2の塗布層12b及び第2のはく離ライナー13b以外のさらなる層を含んでいてもよい。上記さらなる層は、第2の基材シート11b及び/又は第2のはく離ライナー13bにおける第2の塗布層12bの側とは反対側に配置されていてもよい。第2の塗布層12bは、第2の基材シート11b及び第2のはく離ライナー13bと接していることが好ましい。
【0101】
第2の積層体10bは、第1の積層体10aについて上述した方法によって形成することができる。
【0102】
第2の積層体10bは、長尺状の第2の基材シート11b、長尺状の第2の塗布層12b及び長尺状の第2のはく離ライナー13bを含んでいてもよく、換言すれば、長尺状であってもよい。長尺状の第2の積層体10bは、例えば、巻回体から繰り出した第2の基材シート11b及び第2のはく離ライナー13bを搬送しながら両者の間に第2の塗布層12bを形成して得ることができる。
【0103】
(光の照射)
第2の積層体10bに照射する光14、及び光14の照射条件としては、工程Aについて上述したものが挙げられる。
【0104】
(第2の粘着シート)
第2の光硬化性組成物から形成された第2の粘着シート1bにおける単量体群の重合率は、好ましくは90%以上である。重合率は、95%以上、98%以上、さらには99%以上であってもよい。
【0105】
第2の粘着シート1bのゲル分率は、例えば50%以上であり、75%以上、80%以上、さらには85%以上であってもよい。
【0106】
第2の粘着シート1bのクリープ量は、例えば180μm以下であり、160μm以下であってもよい。クリープ量の下限は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよい。
【0107】
第2の粘着シート1bの厚さは、例えば2~70μmであり、2~50μm、5~40μm、10~30μm、10~25μm、さらには10~20μmであってもよい。
【0108】
<工程D>
工程Dでは、硬化後の積層体17bから第2のはく離ライナー13bを剥離する。積層体17bは、第2の基材シート11b、第2の粘着シート1b及び第2のはく離ライナー13bをこの順で含む。上記剥離により、第2のはく離ライナー13bと、第2の基材シート11b及び第2の粘着シート1bを含む積層体15bとが得られる。
【0109】
第2のはく離ライナー13bと第2の粘着シート1bとの剥離力は、例えば、第2の基材シート11bと第2の粘着シート1bとの剥離力に比べて小さい。第2の粘着シート1bに対する第2の基材シート11bの剥離力は、例えば0.1~10N/50mmであり、1~8N/50mm、2~7N/50mm、さらには3~5N/50mmであってもよい。
【0110】
剥離された第2のはく離ライナー13bは、巻き取ることで巻回体とした後に、工程Eで利用してもよい。
【0111】
<工程E>
工程Eは、工程Aと同様の方法及び条件で実施することができる。詳細には、第3のはく離ライナー13c、第3の光硬化性組成物、第3の粘着シート1c及び第3の基材シート11cとしては、それぞれ、第1のはく離ライナー13a、第1の光硬化性組成物、第1の粘着シート1a及び第1の基材シート11aとして説明したライナー、組成物又はシートを使用することができる。上述のとおり、工程Dにおいて、第2の粘着シート1bから剥離された第2のはく離ライナー13bは、例えば、第3の基材シート11c及び/又は第3のはく離ライナー13cとして用いられる。言い換えると、第3のはく離ライナー13c及び第3の基材シート11cのうちの少なくとも1つは、工程Dで第2の粘着シート1bから剥離された第2のはく離ライナー13bそのものである。なお、工程Bにおいて、第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aが、第3の基材シート11c及び/又は第3のはく離ライナー13cとして用いられてもよい。言い換えると、第3のはく離ライナー13c及び第3の基材シート11cのうちの少なくとも1つは、工程Bで第1の粘着シート1aから剥離された第1のはく離ライナー13aそのものであってもよい。
【0112】
次に、
図4を参照して、粘着シートの製造方法の別の一例を説明する。この例では、巻回体31から繰り出した長尺状の第1の基材シート11aの片面に対して、塗布装置32により第1の光硬化性組成物の第1の塗布層12aを形成する。次に、第1の塗布層12aの上に、巻回体33から繰り出した長尺状の第1のはく離ライナー13aを配置して、長尺状の第1の積層体10aを形成する。次に、光照射装置34から第1の積層体10aに光14を照射して、長尺状の第1の粘着シート1aを形成する。次に、第1の粘着シート1aを含む積層体17aから第1のはく離ライナー13aを剥離して巻回体35に巻き取る。以上の工程は、第1の基材シート11a及び第1のはく離ライナー13aを搬送しながら実施する。これにより、上述の工程A及び工程Bが実施される。巻き取られた第1のはく離ライナー13aは、工程Cで再利用される。工程C及び工程Dについても
図4と同様の方法で実施されてもよい。
図4の方法は、粘着シートの量産に特に適している。
【0113】
図5を参照して、粘着シートの製造方法の別の一例を説明する。この例では、積層体17aから剥離した第1のはく離ライナー13aを巻回体35に巻き取ることなく、第2の粘着シート1bの製造に用いている。第2の粘着シート1bが、第1の粘着シート1aと同様の方法によって製造されている。以上を除き、
図5の例は、
図4の例と同じである。
図5の方法は、粘着シートの量産に特に適している。なお、
図5では、積層体17aから剥離した第1のはく離ライナー13aを第2のはく離ライナー13bとして用いている。ただし、上述のとおり、第1のはく離ライナー13aは、第2の基材シート11bとして用いてもよい。
【0114】
[粘着シート付き光学フィルムの製造方法]
図6を参照して、本実施形態の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の一例を説明する。なお、以下の例では、第1の粘着シート1aを用いて粘着シート付き光学フィルムを製造する方法を説明する。ただし、第1の粘着シート1aに代えて、第2の粘着シート1bや第3の粘着シート1cを用いることも可能である。
【0115】
図6の例では、第1の基材シート11a、第1の粘着シート1a及び第1のはく離ライナー13aをこの順で含む積層体17aから第1のはく離ライナー13aを剥離することで形成された第1の粘着シート1aの露出面18に光学フィルム2を配置して、粘着シート付き光学フィルム21を形成する。粘着シート付き光学フィルム21は、第1の基材シート11a、第1の粘着シート1a及び光学フィルム2をこの順で含む。積層体17aは、上記工程Aにより形成できる。第1のはく離ライナー13aの剥離は、上記工程Bとして実施してもよい。粘着シート付き光学フィルム21は、そのまま又は第1の基材シート11aを剥離した後に、例えば、第1の粘着シート1aと光学フィルム2とを備える光学積層体として画像表示装置等に使用できる。光学積層体は、第1の粘着シート1aを介して対象物(例えば画像形成パネル)に貼り合わせてもよい。ただし、粘着シート付き光学フィルム21の用途は、上記例に限定されない。粘着シート付き光学フィルム21から第1の基材シート11aを剥離して形成された露出面18には、光学フィルム等のさらなる部材を配置してもよく、一例として、光学フィルム2A、第1の粘着シート1a及び光学フィルム2Bをこの順で含む粘着シート付き光学フィルム22を形成できる(
図7参照)。光学フィルム2A,2Bは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0116】
露出面18への光学フィルム2の配置は、直接的であっても間接的であってもよい。換言すれば、光学フィルム2は、露出面18に接するように配置されても、露出面18との間に他の層を挟んだ状態で配置されてもよい。
【0117】
図8を参照して、本実施形態の粘着シート付き光学フィルムの製造方法の別の一例を説明する。この例では、
図4の方法により形成された積層体15aにおける第1の粘着シート1aの露出面18に長尺状の光学フィルム2を配置して、長尺状の粘着シート付き光学フィルム21を形成する。光学フィルム2は、巻回体36から繰り出されて露出面18に配置される。
図8に示すように、第1の粘着シート1aの形成と粘着シート付き光学フィルム21の形成とを連続的に実施してもよい。
図8の方法は、粘着シート付き光学フィルム21の量産に特に適している。
【0118】
光学フィルム2は、例えば、偏光フィルム及び位相差フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むフィルムである。光学フィルム2は、偏光フィルム及び/又は位相差フィルムを含む積層フィルムであってもよい。光学フィルム2は、ガラス製のフィルムを含んでいてもよい。ただし、光学フィルム2は上記例に限定されない。
【0119】
偏光フィルムは、偏光子を含む。偏光フィルムは、典型的には、偏光子及び保護フィルム(透明保護フィルム)を含む。保護フィルムは、例えば、偏光子の主面(最も広い面積を有する表面)に接して配置されている。偏光子は、2つの保護フィルムの間に配置されていてもよい。保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されていてもよい。
【0120】
偏光子としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコール系フィルム(ポリビニルアルコール系フィルムには、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムが含まれる)、及び、ヨウ素等の二色性物質からなる。
【0121】
偏光子の厚さは、特に限定されず、例えば80μm以下であり、50μm以下、30μm以下、25μm以下、さらには20μm以下であってもよい。偏光子の厚さの下限は、特に限定されず、例えば1μm以上であり、5μm以上、10μm以上、さらには15μm以上であってもよい。薄型の偏光子(例えば、厚さ20μm以下)は、寸法変化が抑制されており、光学積層体の耐久性、特に高温下の耐久性、の向上に寄与しうる。
【0122】
保護フィルムの材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物が挙げられる。保護フィルムの材料は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂であってもよい。偏光フィルムが2つの保護フィルムを有する場合、2つの保護フィルムの材料は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、偏光子の一方の主面に対して、接着剤を介して、熱可塑性樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされ、偏光子の他方の主面に対して、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂で構成された保護フィルムが貼り合わされていてもよい。保護フィルムは、任意の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。
【0123】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より10~200μm程度である。
【0124】
偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。上記の接着剤以外の他の接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。接着剤は、金属化合物フィラーを含んでいてもよい。
【0125】
偏光フィルムでは、保護フィルムに代えて、位相差フィルム等を偏光子上に形成することもできる。保護フィルム上には、さらに別の保護フィルムを設けること、位相差フィルム等を設けること等もできる。
【0126】
保護フィルムについて、偏光子と接着している表面と対向する表面には、ハードコート層が設けられていてもよく、反射防止、スティッキング防止、拡散、アンチグレア等を目的とした処理を施すこともできる。
【0127】
偏光フィルムは、円偏光フィルムであってもよい。
【0128】
位相差フィルムとしては、高分子フィルムを延伸させて得られるものや液晶材料を配向、固定化させたものを用いることができる。位相差フィルムは、例えば、面内及び/又は厚さ方向に複屈折を有する。
【0129】
位相差フィルムには、反射防止用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0221〕、〔0222〕、〔0228〕参照)、視野角補償用位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0225〕、〔0226〕参照)、視野角補償用の傾斜配向位相差フィルム(特開2012-133303号公報〔0227〕参照)等が含まれる。
【0130】
位相差フィルムの具体的な構成、例えば、位相差値、配置角度、3次元複屈折率、単層か多層か等は特に限定されず、公知の位相差フィルムを使用することができる。
【0131】
位相差フィルムの厚さは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1~9μmであり、特に好ましくは3~8μmである。
【0132】
位相差フィルムは、例えば、液晶材料が配向、固定化された1/4波長板及び/又は1/2波長板を含んでいてもよい。
【0133】
上記製法により形成した粘着シート付き光学フィルムを用いて、画像表示装置を形成してもよい。画像表示装置は、例えば、粘着シート付き光学フィルム21,22と画像表示パネルとを接合して形成できる。接合は、第1の粘着シート1aにより行ってもよい。画像表示装置は、有機ELディスプレイであってもよく、液晶ディスプレイであってもよい。ただし、画像表示装置は上記例に限定されない。画像表示装置は、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等であってもよい。画像表示装置は、家電用途、車載用途、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)用途等に用いることができる。
【実施例0134】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0135】
(実施例1)
[はく離ライナーAの作製]
付加反応硬化型シリコーン(ヘキセニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むLTC761、30重量%トルエン溶液、東レ・ダウコーニング製)30重量部、剥離コントロール剤(未反応性シリコーン樹脂を含むBY24-850、東レ・ダウコーニング製)0.9重量部、及び硬化触媒(白金触媒を含むSRX212、東レ・ダウコーニング製)2重量部、及び希釈溶媒としてトルエン/ヘキサン混合溶媒(体積比1:1)を混合して、シリコーン系離型剤組成物Aを得た。離型剤組成物Aにおけるシリコーン固形分の濃度は、1.0重量%であった。次に、ライナー基材(ポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に離型剤組成物Aをワイヤーバーにより塗布し、130℃で1分間加熱して、離型層(厚さ60nm)を片面に備えるはく離ライナーAを作製した。
【0136】
[光硬化性組成物Aの調製]
n-ブチルアクリレート(BA)95.1重量部、アクリル酸(AA)4.8重量部、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)0.1重量部と、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)0.05重量部とを4つロフラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射することによって、部分的に光重合したモノマーシロップを得た。紫外線の照射は、フラスコ内の液体の粘度(計測条件:BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで実施した。次に、モノマーシロップ100重量部に対して、架橋剤として1,9-ノナンジオールジアクリレート(NDDA)0.09重量部と、酸化防止剤としてイソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」)0.3重量部とを添加し、均一に混合することによって光硬化性組成物Aを得た。
【0137】
[第1の粘着シートの作製]
第1の基材シート(離型層を有さないポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に、光硬化性組成物Aをアプリケーターにより塗布し、第1の塗布層(厚さ20μm)を形成した。次に、形成した第1の塗布層の上にはく離ライナーAを第1のはく離ライナーとして配置して第1の積層体を得た。第1のはく離ライナーは、離型層が第1の塗布層に接するように配置した。次に、第1の積層体における第1の基材シートの側から、照度2.42mW/cm2、照射時間10分の条件で紫外線(ブラックライト光源)を照射し、第1の塗布層を光硬化させて、第1の基材シート、第1の粘着シート(厚さ20μm)及び第1のはく離ライナーにより構成される積層体を形成した。
【0138】
形成した積層体から長さ220mm及び幅50mmの試験片(長さの方向は光硬化性組成物の塗布方向)を切り出した。試験片に対して、引張試験機を用いて第1のはく離ライナーのみを長さ方向に引きはがす180°引きはがし試験を実施して、剥離力PS0を評価した。引きはがし試験の条件は上述のとおりとした。
【0139】
[第2の粘着シートの作製]
上述の方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を作製し、第1の粘着シートから第1のはく離ライナーを剥離した。次に、第2の基材シート(離型層を有さないポリエステルフィルムであるルミラーXD500P、厚さ75μm)の片面に、光硬化性組成物Aをアプリケーターにより塗布し、第2の塗布層(厚さ20μm)を形成した。次に、形成した第2の塗布層の上に第2のはく離ライナーを配置して第2の積層体を得た。第2のはく離ライナーとしては、第1の粘着シートから剥離した第1のはく離ライナーを用いた。第2のはく離ライナーは、離型層が第2の塗布層に接するように配置した。次に、第1の粘着シートの作製時と同じ条件で、第2の積層体に紫外線を照射し、第2の塗布層を光硬化させて、第2の基材シート、第2の粘着シート(厚さ20μm)及び第2のはく離ライナーにより構成される積層体を形成した。
【0140】
形成した積層体から長さ220mm及び幅50mmの試験片(長さの方向は光硬化性組成物の塗布方向)を切り出した。試験片に対して、引張試験機を用いて第2のはく離ライナーのみを長さ方向に引きはがす180°引きはがし試験を実施して、剥離力PS1を評価した。引きはがし試験の条件は上述のとおりとした。
【0141】
(実施例2)
[はく離ライナーBの作製]
ライナー基材に塗布する離型剤組成物Aの厚さを変更したことを除き、はく離ライナーAの作製方法と同じ方法によって、離型層(厚さ120nm)を片面に備えるはく離ライナーBを作製した。
【0142】
[第1の粘着シートの作製]
第1のはく離ライナーとして、はく離ライナーBを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価した。
【0143】
[第2の粘着シートの作製]
上述の方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を作製し、当該第1の粘着シートから第1のはく離ライナーを剥離した。次に、第1の粘着シートから剥離した第1のはく離ライナーを第2のはく離ライナーとして用いて、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0144】
(実施例3)
[光硬化性組成物Bの調製]
酸化防止剤を用いなかったことを除き、光硬化性組成物Aの作製方法と同じ方法によって、光硬化性組成物Bを調製した。
【0145】
[第1の粘着シートの作製]
第1のはく離ライナーとして、はく離ライナーBを用いたこと、及び光硬化性組成物Bを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価した。
【0146】
[第2の粘着シートの作製]
上述の方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を作製し、当該第1の粘着シートから第1のはく離ライナーを剥離した。次に、第1の粘着シートから剥離した第1のはく離ライナーを第2のはく離ライナーとして用いて、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0147】
(実施例4)
[第1の粘着シートの作製]
第1のはく離ライナーとして、はく離ライナーBを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価した。
【0148】
[第2の粘着シートの作製]
上述の方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を作製し、当該第1の粘着シートから第1のはく離ライナーを剥離した。次に、第1の粘着シートから剥離した第1のはく離ライナーを第2のはく離ライナーとして用いたこと、及び、実施例3で調製した光硬化性組成物Bを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0149】
(実施例5~7)
第1の粘着シート及び第2の粘着シートを作製するときの紫外線の照射条件を表1に示すように変更したことを除き、実施例2と同じ方法によって、実施例5~7のそれぞれについて、第1の粘着シート及び第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価し、さらに、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0150】
(実施例8~10)
光硬化性組成物Aに含まれる酸化防止剤として表1に記載の化合物を用いたことを除き、実施例2と同じ方法によって、実施例8~10のそれぞれについて、第1の粘着シート及び第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価し、さらに、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0151】
(比較例1)
第1の粘着シート及び第2の粘着シートを作製するときに、実施例3で調製した光硬化性組成物Bを用いたことを除き、実施例2と同じ方法によって、第1の粘着シート及び第2の粘着シートを作製した。さらに、実施例1と同じ方法によって、第1の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS0を評価し、さらに、第2の粘着シートを含む積層体を用いて剥離力PS1を評価した。
【0152】
【0153】
表1中の略称は以下のとおりである。
Irg1135:イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF製「Irganox 1135」、分子量390)
Irg1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF製「Irganox 1010」、分子量1178)
LA-52:テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート(ADEKA社製「アデカスタブLA-52」、分子量847)
2112:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(ADEKA社製「アデカスタブ2112」、分子量647)
【0154】
表1からわかるとおり、第1の粘着シートを形成するための光硬化性組成物(第1の光硬化性組成物)、及び第2の粘着シートを形成するための光硬化性組成物(第2の光硬化性組成物)からなる群より選ばれる少なくとも1つが酸化防止剤を含む実施例では、比較例と比べて、剥離力PS1が小さい値であった。この結果から、実施例の条件は、はく離ライナーを繰り返し利用することに適していると推定される。
【0155】
なお、実施例では、いずれも、第1の粘着シートから剥離された第1のはく離ライナーが、第2のはく離ライナーとして再利用されている。ただし、第2の粘着シートの作製条件を適切に設定することによって、第1のはく離ライナーは、第2の基材シートとして再利用することも可能である。