(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146200
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器及び熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28D 9/00 20060101AFI20241004BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20241004BHJP
F28F 3/06 20060101ALI20241004BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F3/00 311
F28F3/06 A
F28F3/08 301A
F28F3/08 311
F28F3/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058964
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 拓也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正敏
(72)【発明者】
【氏名】諏佐 利浩
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
(57)【要約】
【課題】熱交換器を容易に製造できるようにする。
【解決手段】熱交換器は、層部材(110)、及び隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、第1プレート部材(200)と、第2プレート部材(300)とを備え、前記複数の層部材(110)の各々は、冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)とを含む熱交換器であって、前記熱交換器には、前記熱交換器を前記積層方向(V1)に沿って貫通する複数の孔が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、
前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、
前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)と
を備え、
前記複数の層部材(110)の各々は、
冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、
前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)と
を含む熱交換器であって、
前記熱交換器には、前記熱交換器を前記積層方向(V1)に沿って貫通する複数の孔が設けられる、熱交換器。
【請求項2】
前記複数の孔の各々は、前記第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を前記積層方向(V1)に沿って貫通する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の孔は、
ピン(T)を挿通するための第1孔(500)と、
ボルト(Z)を挿通するための第2孔(700)と
を含む、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第2孔(700)のうち前記第2プレート部材(300)に位置する部分には、ネジ溝(304)が設けられる、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換器には、前記第1プレート部材(200)から前記第2プレート部材(300)に亘って前記積層方向(V1)に沿って延びる複数の穴(600)が設けられる、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、
前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、
前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)と
を備え、
前記複数の層部材(110)の各々は、
冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、
前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)と
を含む熱交換器であって、
前記熱交換器には、第1プレート部材(200)から前記第2プレート部材(300)に亘って前記積層方向(V1)に延びる複数の穴(600)が設けられる、熱交換器。
【請求項7】
前記複数の穴(600)の各々は、
前記第1プレート部材(200)、前記隔壁部材(120)、及び前記スペーサ部材(112)を前記積層方向(V1)に貫通する貫通孔と、
前記第2プレート部材(300)に設けられ、前記貫通孔に連通する有底の穴とを含む、請求項5又は請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記有底の穴にはネジ溝(304)が設けられる、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記複数の層部材(110)の各々について、前記スペーサ部材(112)に前記流路部材(111)が取り付けられる、請求項1、請求項2、請求項5、及び請求項6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、
前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、
前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)と
を備え、
前記複数の層部材(110)の各々は、
冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、
前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)と
を含む熱交換器の製造方法であって、
前記第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)には、前記積層方向(V1)に貫通する第1孔(500)と第2孔(700)とが設けられ、
前記製造方法は、
前記第1孔(500)にピン(T)を挿通することで前記熱交換器の構成部材を位置決めする工程と、
前記第2孔(700)にボルト(Z)を締め付けることで前記熱交換器の構成部材間の位置を固定する工程と、
前記第1孔(500)から前記ピン(T)を外した後、前記熱交換器の構成部材を互いに接合する工程と
を含む、熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器及び熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器が開示されている。特許文献1の熱交換器は、一対のスペーサバー(スペーサ部材)を挟んでチューブプレート(隔壁部材)を重ねることにより、流体通路が複数段に形成された構造をしている。各段の流体通路は、1段毎に形成された流通方向が90度変わる直交型式とされ、各流体通路には、その流通方向に沿って波形フィン(流路部材)が配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器の構成部材が組み立てられた後、当該構成部材がろう付け等により互いに接合されることによって、熱交換器が製造される。構成部材の組み立て時における熱交換器の構成部材の位置決め、及び、構成部材の接合時における構成部材の組み付け状態の保持を行うために、治具を作成して当該治具で構成部材の位置決めと保持を行ったり、各構成部材に凸部、タブ部、切り欠き部等の嵌合部を設けて当該嵌合部同士を嵌合させることで構成部材の位置決めと保持を行ったりする方法がある。
【0005】
しかし、治具を作成して構成部材を保持する場合は膨大な治具の管理が必要となるため煩雑である。接合時には構成部材の全体加熱が必要なために時間がかかり、治具の数は膨大となり管理工数を増加させるため煩雑である。また、接合時には構成部材のみならず治具も加熱されるので、加熱が繰り返されることで治具が劣化していく。このため治具の使用回数に限度があり、治具が劣化する度に治具を交換しなければならないので、熱交換器の製造コストが増加する。また、各構成部材に凸部を設け凸部同士を篏合させる場合、構成部材の板厚などを加味しながら凸部の幅及び高さを管理しなければ構成部材の接合面間に隙間が生じて構成部材同士の接合不良が生じる可能性があるため、煩雑である。また、構成部材にタブ部と切り欠き部を設けて、当該タブ部と切り欠き部を篏合させる場合、構成部材にタブ部を形成するための面積の確保が必要となったり、タブ部の角度の管理が必要となるため煩雑である。
【0006】
本開示の目的は、容易に製造できる熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の熱交換器は、積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)とを備え、前記複数の層部材(110)の各々は、冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)とを含む熱交換器であって、前記熱交換器には、前記熱交換器を前記積層方向(V1)に沿って貫通する複数の孔が設けられる。
【0008】
第1の態様では、熱交換器を容易に製造することができる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記複数の孔の各々は、前記第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を前記積層方向(V1)に沿って貫通する。
【0010】
第2の態様では、孔にピン(T)を挿通することで、第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を位置決めすることができる。孔にボルト(Z)を締め付けることで第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を互いに固定することができる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様において、前記複数の孔は、ピン(T)を挿通するための第1孔(500)と、ボルト(Z)を挿通するための第2孔(700)とを含む。
【0012】
第3の態様では、ピン(T)により熱交換器の構成部材を位置決めしつつ、ボルト(Z)により当該構成部材を互いに固定することができる。
【0013】
第4の態様は、第3の態様において、前記第2孔 (700)のうち前記第2プレート部材(300)に位置する部分には、ネジ溝(304)が設けられる。
【0014】
第4の態様では、ネジ溝(304)にボルト(Z)を締め付けることで熱交換器の構成部材を互いに固定することができる。
【0015】
第5の態様は、第1の態様又は第2の態様において、前記熱交換器には、前記第1プレート部材(200)から前記第2プレート部材(300)に亘って前記積層方向(V1)に沿って延びる複数の穴(600)が設けられる。
【0016】
第5の態様では、穴(600)にボルト(Z)を締め付けることで、熱交換器の構成部材を互いに固定することができる。
【0017】
第6の態様の熱交換器は、積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)とを備え、前記複数の層部材(110)の各々は、冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)とを含む熱交換器であって、前記熱交換器には、第1プレート部材(200)から前記第2プレート部材(300)に亘って前記積層方向(V1)に延びる複数の穴(600)が設けられる。
【0018】
第6の態様では、熱交換器を容易に製造することができる。
【0019】
第7の態様は、第5の態様又は第6の態様において、前記複数の穴(600)の各々は、前記第1プレート部材(200)、前記隔壁部材(120)、及び前記スペーサ部材(112)を前記積層方向(V1)に貫通する貫通孔と、前記第2プレート部材(300)に設けられ、前記貫通孔に連通する有底の穴とを含む。
【0020】
第7の態様では、貫通孔にボルト(Z)を挿通させて有底の穴でボルト(Z)を締め付けることで熱交換器の構成部材を互い固定することができる。
【0021】
第8の態様は、第7の態様において、前記有底の穴にはネジ溝(304)が設けられる。
【0022】
第8の態様では、ネジ溝(304)にボルト(Z)を締め付けることで熱交換器の構成部材を互い固定することができる。
【0023】
第9の態様は、第1の態様~第8の態様のいずれか1つの態様において、前記複数の層部材(110)の各々について、前記スペーサ部材(112)に前記流路部材(111)が取り付けられる。
【0024】
第9の態様では、流路部材(111)がスペーサ部材(112)に取り付けられることでスペーサ部材(112)によって位置決め及び支持されるので、流路部材(111)に対して、ピン(T)用の孔(熱交換器の構成部材を位置決めするための孔)、ボルト(Z)用の孔(熱交換器の構成部材を互いに固定するための孔)を設ける必要がない。
【0025】
第10の態様は、積層される複数の層部材(110)、及び隣り合う前記層部材(110)の間に配置される隔壁部材(120)を含む積層体(10)と、前記層部材(110)の積層方向(V1)の一方向側(V11)から前記積層体(10)に対向する第1プレート部材(200)と、前記積層方向(V1)の他方向側(V12)から前記積層体(10)に対向する第2プレート部材(300)とを備え、前記複数の層部材(110)の各々は、冷媒の流路を形成する流路部材(111)と、前記流路部材(111)に対し、前記層部材(110)の積層方向(V1)に垂直な方向側に配置されるスペーサ部材(112)とを含む熱交換器の製造方法である。前記第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)には、前記積層方向(V1)に貫通する第1孔(500)と第2孔(700)とが設けられる。前記製造方法は、前記第1孔(500)にピン(T)を挿通することで前記熱交換器の構成部材を位置決めする工程と、前記第2孔(700)にボルト(Z)を締め付けることで前記熱交換器の構成部材間の位置を固定する工程と、前記第1孔(500)から前記ピン(T)を外した後、前記熱交換器の構成部材を互いに接合する工程とを含む。
【0026】
第10の態様では、熱交換器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、熱交換器の一部を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、熱交換器の差込部に差込部材が差し込まれている状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、第1プレート部材の平面図である。
図4(b)は、第2プレート部材の平面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1スペーサ部材の平面図である。
図5(b)は、第2スペーサ部材の平面図である。
【
図7】
図7は、熱交換器の差込部に差込部材が差し込まれている状態を示す平面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、流路部材を流れる冷媒を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(b)は、孔にピンを挿通させている状態の熱交換器の構成部材を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(b)は、ボルトを締め付ける状態の熱交換器の構成部材を示す斜視図である。
図10(c)は孔からピンを外した状態の熱交換器の構成部材の構成部材を示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、穴にボルトが締め付けられた状態を示す断面図である。
図11(b)は、孔にボルトが締め付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。各実施形態、変形例、及び図中において、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、詳細な説明及びそれに付随する効果等の説明は繰り返さない。
【0029】
(1)全体構成
実施形態に係る熱交換器(1)は、複数の流体の間で熱交換を行う機器である。熱交換器(1)は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属製の素材により形成される。
図1及び
図2に示すように、熱交換器(1)は、積層体(100)と、第1プレート部材(200)と、第2プレート部材(300)とを備える。
【0030】
積層体(10)は、複数の層部材(110)と、隔壁部材(120)とを含む。複数の層部材(110)は、第1方向(V1)に沿って積層される。第1方向(V1)は、層部材(110)の積層方向を示す。複数の層部材(110)の各々は、流路部材(111)と、スペーサ部材(112)とを含む。
【0031】
流路部材(111)は、冷媒の流路を形成する。流路部材(111)は、第1方向(V1)の一方向側(V11)に凸となる山部(111a)と、第1方向(V1)の他方向側(V12)に凸となる谷部(111b)とを含む。流路部材(111)は、山部(111a)と谷部(111b)とを交互に配置した波板形状を有する(
図8(a)および
図8(b)参照)。
【0032】
スペーサ部材(112)は、流路部材(111)の設置スペースを確保する。スペーサ部材(112)は、第1方向(V1)(層部材(110)の積層方向)に対して垂直な方向側に配置される。本実施形態では、第1方向(V1)に対して垂直な方向として、第2方向(V2)と、第3方向(V3)とを規定する。第1方向(V1)、第2方向(V2)、及び第3方向(V3)は互いに垂直な方向である。
【0033】
本実施形態では、複数の層部材(110)は、2種類の層部材を含む。2種類の層部材は、第1層部材(110A)と、第2層部材(110B)とで構成される。第1層部材(110A)と第2層部材(110B)とが、第1方向(V1)に沿って交互に配置される。なお、複数の層部材(110)は、3つ以上の種類の層部材を含み、3つ以上の種類の層部材が第1方向(V1)に沿って順番に繰り返し配置されていてもよい。
【0034】
以下では、第1層部材(110A)の流路部材(111)を第1流路部材(111A)と記載し、第2層部材(110B)の流路部材(111)を第2流路部材(111B)と記載することがある。また、第1層部材(110A)のスペーサ部材(112)を第1スペーサ部材(112A)と記載し、第2層部材(110B)のスペーサ部材(112)を第2スペーサ部材(112B)と記載することがある。
【0035】
第1流路部材(111A)の山部(111a)と谷部(111b)は、第3方向(V3)に沿って延びる。第1流路部材(111A)は、第3方向(V3)に沿って冷媒を送る。第2流路部材(111B)の山部(111a)と谷部(111b)は、第2方向(V2)に沿って延びる。第2流路部材(111B)は、第2方向(V2)に沿って冷媒を送る。本実施形態では、第1流路部材(111A)と、第2流路部材(111B)とが、互いに垂直な方向に冷媒を送る。なお、第1層部材(110A)の第1流路部材(111A)により冷媒が送られる方向と、第2流路部材(111B)により冷媒が送られる方向とは特に限定されない。
【0036】
第1流路部材(111A)と第2流路部材(111B)とは、互いに異なる種類の冷媒を送る。本実施形態では、第1流路部材(111A)と第2流路部材(111B)とのうちの一方の流路部材が冷媒としてプロパンを送り、他方の流路部材が冷媒として水を送る。なお、第1流路部材(111A)と第2流路部材(111B)とのうちの一方の流路部材が冷媒としてプロパンを送り、他方の流路部材が冷媒としてCO2を送ってもよい。また、第1流路部材(111A)と第2流路部材(111B)とのうちの一方の流路部材が冷媒として水を送り、他方の流路部材が冷媒としてCO2を送ってもよい。
【0037】
流路部材(111)は、冷媒が流れる流路(R)を形成する。以下では、第1流路部材(111A)により形成される第1流路(R1)を流れる冷媒を第1冷媒と記載し、第2流路部材(111B)により形成される第2流路(R2)を流れる冷媒を第2冷媒と記載することがある。第1流路(R1)は第2方向(V2)に沿って延びる。第2流路(R2)は第3方向(V3)に沿って延びる。
【0038】
隔壁部材(120)は、平板状の部材である。隔壁部材(120)は、隣り合う層部材(110)の間に配置される。本実施形態では、隔壁部材(120)が第1層部材(110A)と第2層部材(110B)との間に配置される。
【0039】
第1プレート部材(200)は、平板状の部材である。第1プレート部材(200)は、第1方向(V1)の一方向側(V11)から積層体(10)に対向する。第1プレート部材(200)は、最も第1方向(V1)の一方向側(V11)(最上段)に位置する。
【0040】
第2プレート部材(300)は、平板状の部材である。第2プレート部材(300)は、第1方向(V1)の他方向側(V12)から積層体(10)に対向する。第2プレート部材(300)は、最も第1方向(V1)の他方向側(V12)(最下段)に位置する。
【0041】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、熱交換器(1)には、差込部材(P)を差し込むための差込部(400)が形成される。差込部材(P)は、冷媒配管(P1)と、板状部(P2)とを含む。冷媒配管(P1)は、冷媒を送るための管状の部材である。板状部(P2)は、板状の部材であり、差込部(400)に差し込まれる。板状部(P2)には、冷媒配管(P1)が設けられる。板状部(P2)には、冷媒が通る孔が設けられ、当該孔が冷媒配管(P1)の内部と連通していると共に熱交換器(1)と対向している。冷媒配管(P1)を通じて熱交換器(1)に冷媒が送られる。差込部(400)及び冷媒配管(P1)は、熱交換器(1)において、第2方向(V2)の両側と、第3方向(V3)の両側とに計4つ設けられる。なお、
図1~
図3(b)においては、差込部(400)及び冷媒配管(P1)は1つしか設けられておらず、残り3つの差込部(400)及び冷媒配管(P1)の図示は省略している。なお、熱交換器(1)には差込部(400)が設けられていなくてもよく、差込部材(P)が設けられなくてもよい。
【0042】
(2)熱交換器の構成部材
(2-1)第1プレート部材
図4(a)に示すように、第1プレート部材(200)は、対向部(201)と、隅部(202)とを含む。対向部(201)は、流路部材(111)と対向する。対向部(201)は、第1プレート部材(200)の中央部に設けられる。隅部(202)は、第1隅部(2021)~第4隅部(2024)を含み、第1プレート部材(200)の4隅に設けられる。隣り合う隅部(202)の間には差込部(400)が形成される。
【0043】
(2-2)第2プレート部材
図4(b)に示すように、第2プレート部材(300)は、対向部(301)と、隅部(302)と、載置部(303)とを含む。対向部(301)は、流路部材(111)と対向する。対向部(301)は、第2プレート部材(300)の中央部に設けられる。隅部(302)は、第1隅部(3021)~第4隅部(3024)を含み、第2プレート部材(300)の4隅に設けられる。隣り合う隅部(302)の間には、載置部(303)が位置する。載置部(303)には、差込部(400)に差し込まれた差込部材(P)が載置される。
【0044】
(2-3)第1スペーサ部材
図5(a)に示すように、第1スペーサ部材(112A)は、配置部(112A1)と、隅部(112A2)と、一対の第1枠部(112A3)と、一対の第2枠部(112A4)とを含む。一対の第1枠部(112A3)は、第2方向(V2)に沿って互いに離間しつつ、第3方向(V3)に沿って互いに平行に延びる。一対の第2枠部(112A4)は、第3方向(V3)に沿って互いに離間しつつ、第2方向(V2)に沿って互いに平行に延びる。一対の第1枠部(112A3)と、一対の第2枠部(112A4)とが略矩形状の枠を形成しており、当該枠の内側に配置部(112A1)が位置する。配置部(112A1)は、第1流路部材(111A)を配置するために設けられ、第1スペーサ部材(112A)を第1方向(V1)に沿って貫通する空所である。配置部(112A1)は、第1スペーサ部材(112A)の中央部に設けられる。隅部(112A2)は、第1隅部(112A21)~第4隅部(112A24)を含み、第1スペーサ部材(112A)の4隅に設けられる。隣り合う隅部(112A2)の間には差込部(400)が形成される。第1枠部(112A3)及び第2枠部(112A4)は隅部(112A2)を介して連続している。第1枠部(112A3)には第1流路部材(111A)が取り付けられる。第2枠部(112A4)と第1流路部材(111A)との間には、隙間(Q1)が存在する。
【0045】
(2-4)第2スペーサ部材
図5(b)に示すように、第2スペーサ部材(112B)は、配置部(112B1)と、隅部(112B2)と、一対の第3枠部(112B3)と、一対の第4枠部(112B4)とを含む。一対の第3枠部(112B3)は、第2方向(V2)に沿って互いに離間しつつ、第3方向(V3)に沿って互いに平行に延びる。一対の第4枠部(112B4)は、第3方向(V3)に沿って互いに離間しつつ、第2方向(V2)に沿って互いに平行に延びる。一対の第3枠部(112B3)と、一対の第4枠部(112B4)とが略矩形状の枠を形成しており、当該枠の内側に配置部(112B1)が位置する。配置部(112B1)は、第2流路部材(111B)を配置するために設けられ、第2スペーサ部材(112B)を第1方向(V1)に沿って貫通する空所である。配置部(112B1)は、第2スペーサ部材(112B)の中央部に設けられる。隅部(112B2)は、第1隅部(112B21)~第2隅部(112B24)を含み、配置部(112B1)の4隅に設けられる。隣り合う隅部(112B2)の間には差込部(400)が形成される。第3枠部(112B3)及び第4枠部(112B4)は隅部(112B2)を介して連続している。第3枠部(112B3)には第2流路部材(111B)が取り付けられる。第4枠部(112B4)と第2流路部材(111B)との間には、隙間(Q2)が存在する。
【0046】
(2-5)隔壁部材
図6に示すように、隔壁部材(120)は、対向部(121)と、隅部(122)とを含む。対向部(121)は、流路部材(111)と対向する。対向部(121)は、隔壁部材(120)の中央部に設けられる。隅部(122)は、第1隅部(1221)~第4隅部(1224)を含み、対向部(121)の4隅に設けられる。隣り合う隅部(122)の間には差込部(400)が形成される。
【0047】
第1プレート部材(200)の第n隅部(202n)と、第2プレート部材(300)の第n隅部(302n)と、第1スペーサ部材(112A)の第n隅部(112A2n)と、第2スペーサ部材(112B)の第n隅部(112B2n)と、隔壁部材(120)の第n隅部(122n)とが、第1方向(V1)に沿って積層されるように配置される。nは、1以上、4以下の自然数である。
【0048】
図5(a)に示す第1流路部材(111A)においては、一対の第1枠部(112A3)の各々との間に隙間(Q1)をそれぞれ形成しつつ、第1流路部材(111A)のうち第3方向(V3)の両側の端部(111C)が第1スペーサ部材(112A)の一対の第2枠部(112A4)に形成された溝(112a)にそれぞれ嵌められることで第1スペーサ部材(112A)に取り付けられる。
図5(b)に示す第2流路部材(111B)においては、一対の第4枠部(112B4)の各々との間に隙間(Q2)をそれぞれ形成しつつ、第2流路部材(111B)のうち第2方向(V2)の両側の端部(111C)が第2スペーサ部材(112B)の一対の第3枠部(112B3)に形成された溝(112a)にそれぞれ嵌められることで第2スペーサ部材(112B)に取り付けられる。
【0049】
(3)冷媒の流れ
図7に示すように、熱交換器(1)に設けられる差込部材(P)には、第2方向(V2)に沿って配置される一対の第1差込部材(PA11,PA12)と、第3方向(V3)に沿って配置される一対の第2差込部材(PB21,PB22)が含まれる。
【0050】
図7及び
図8(a)に示すように、第1冷媒は、第1差込部材(PA11)の冷媒配管(P1)に流入して、冷媒配管(P1)を通過した後、隙間(Q1)を通じて第1流路部材(111A)へ送られる。第1流路部材(111A)へ送られた第1冷媒は、第1流路部材(111A)の第1流路(R1)を通じて送られた後、第1差込部材(PA12)の冷媒配管(P1)を通じて熱交換器(1)から排出される。
【0051】
図7及び
図8(b)に示すように、第2冷媒は、第2差込部材(PA21)の冷媒配管(P1)に流入して、冷媒配管(P1)を通過した後、隙間(Q2)を通じて第2流路部材(111B)へ送られる。第2流路部材(111B)へ送られた第2冷媒は、第2流路部材(111B)の第2流路(R2)を通じて送られた後、第2差込部材(PA22)の冷媒配管(P1)を通じて熱交換器(1)から排出される。
【0052】
図5(a)および
図5(b)に示すように、流路部材(111)は、スペーサ部材(112)により支持される。スペーサ部材(112)には溝(112a)が形成され、溝(112a)に流路部材(111)が嵌められる(取り付けられる)ことで、流路部材(111)がスペーサ部材(112)に対して位置決めされる。本実施形態では、隔壁部材(120)は流路部材(111)の周囲に配置される複数の枠部を含み、複数の枠部のうち流路部材(111)を介して互いに対向する一対の枠部(112A4, 112B3)には溝(112a)がそれぞれ形成され、当該溝(112a)には流路部材(111)が嵌められ、流路部材(111)を介して互いに対向する他の一対の枠部(112A3, 112B4)の各々と流路部材(111)との間には、それぞれ隙間(Q1,Q2)が設けられる。溝(112a)は、一対の枠部(112A4, 112B3)の各々において、流路部材(111)と対向する面を凹ませた形状を有する。
図8(a)および
図8(b)に示すように、当該一対の隙間(Q1,Q2)のうちの1つの隙間を通じて冷媒が流路部材(111)に送られ、他の1つの隙間を通じ冷媒が流路部材(111)の外部に送られる。複数の隔壁部材(120)の各々は、流路部材(111)を囲むようにして当該複数の枠部を環状に接続した1つの部材で構成される。
【0053】
(4)熱交換器の孔
図4(a)~
図6(a)及び
図9(a)に示すように、熱交換器(1)には複数の孔(500)が設けられる。複数の孔(500)は、熱交換器(1)の製造時において、熱交換器(1)の構成部材を接合する前に、熱交換器(1)の構成部材の位置決めを行うために使用される。本実施形態では、複数の孔(500)の各々にピン(T)が挿通されることで、熱交換器(1)の構成部材が位置決めされる(
図9(a)及び
図9(b)参照)。
【0054】
複数の孔(500)の各々は、熱交換器(1)を第1方向(V1)に沿って貫通する。複数の孔500)の各々は、第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を第1方向(V1)に沿って貫通する。なお、流路部材(111)については、隔壁部材(120)により支持されているため、孔(500)が形成されない。
【0055】
本実施形態では、4つの孔(500)が熱交換器(1)の4隅にもうけられる。なお、複数の孔(500)は、少なくとも、熱交換器(1)の対角線上に互いに間隔を空けて2つ設けられることが好ましい。
【0056】
本実施形態では、複数の孔(500)は、第1孔(510)、第2孔(520)、第3孔(530)、及び第4孔(540))を含む。第1孔(510)は、第1プレート部材(200)の第1隅部(2021)から第2プレート部材(300)の第1隅部(3021)に亘って設けられる。第2孔(520)は、第1プレート部材(200)の第2隅部(2022)から第2プレート部材(300)の第2隅部(3022)に亘って設けられる。第3孔(530)は、第1プレート部材(200)の第3隅部(2023)から第2プレート部材(300)の第3隅部(3023)に亘って設けられる。第4孔(540)は、第1プレート部材(200)の第4隅部(2024)から第2プレート部材(300)の第4隅部(3024)に亘って設けられる。
【0057】
(5)熱交換器の穴
図4(a)~
図6(a)、
図9(a)及び
図11(a)に示すように、熱交換器(1)には複数の穴(600)が設けられる。複数の穴(600)は、熱交換器(1)の製造時において、熱交換器(1)の構成部材を接合する前に、熱交換器(1)の構成部材間の位置を固定するために使用される。本実施形態では、複数の穴(600)の各々にボルト(Z)が締め付けられることで、熱交換器(1)の構成部材が互いに固定される(
図10(a)及び
図10(b)参照)。
【0058】
複数の穴(600)の各々は、第1プレート部材(200)から第2プレート部材(300)に亘って第1方向(V1)に沿って延びる有底の穴である。複数の穴(600)の各々は、第1プレート部材(200)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を積層方向(V1)に貫通する貫通孔と、第2プレート部材(300)に設けられ、当該貫通孔に連通する有底の穴とを含む。複数の穴(600)の各々において、第2プレート部材(300)に穴底が形成される。穴(600)の内周面のうち第2プレート部材(300)に位置する部分(第2プレート部材(300)の有底の穴)にはネジ溝(304)が設けられる。ネジ溝(304)は、ボルト(Z)を締め付け可能な形状を有する。ボルト(Z)は、第1プレート部材(200)側から穴(600)に挿入されて第2プレート部材(300)のネジ溝(304)により締め付けられる。
【0059】
複数の穴(600)の各々は、第1プレート部材(200)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を第1方向(V1)に沿って貫通するが、第2プレート部材(300)においては第1方向(V1)に沿って貫通することなく凹部の形状となることで穴底を形成する。
【0060】
流路部材(111)については、隔壁部材(120)により支持されているため、穴(600)が形成されない。
【0061】
本実施形態では、4つの穴(600)が熱交換器(1)の4隅にもうけられる。本実施形態では、4つの穴(600)は、4つの孔(500)で囲まれた領域の内側に設けられる。なお、穴(600)と孔(500)との位置関係については特に限定されない。複数の穴(600)は、少なくとも、熱交換器(1)の対角線上に互いに間隔を空けて2つ設けられることが好ましい。
【0062】
本実施形態では、複数の穴(600)は、第1穴(610)、第2穴(620)、第3穴(630)、及び第4穴(640))を含む。第1穴(610)は、第1プレート部材(200)の第1隅部(2021)から第2プレート部材(300)の第1隅部(3021)に亘って設けられ、第1隅部(3021)に穴底を形成する。第2孔(520)は、第1プレート部材(200)の第2隅部(2022)から第2プレート部材(300)の第2隅部(3022)に亘って設けられ、第2隅部(3022)に穴底を形成する。第3孔(530)は、第1プレート部材(200)の第3隅部(2023)から第2プレート部材(300)の第3隅部(3023)に亘って設けられ、第3隅部(3023)に穴底を形成する。第4孔(540)は、第1プレート部材(200)の第4隅部(2024)から第2プレート部材(300)の第4隅部(3024)に亘って設けられ、第4隅部(3024)に穴底を形成する。
【0063】
(6)熱交換器が製造される手順
図9(a)に示すように、熱交換器(1)の製造時には支持部材(W)が用いられる。支持部材(W)は、ピン(T)と、ピン(T)が設けられるピン支持部(W1)とを含む。複数のピン(T)は、複数の孔(500)とそれぞれ対応する場所に位置するようにしてピン支持部(W1)から立設している。本実施形態では、ピン支持部(W1)から4つのピン(T)(第1ピン(T1)~第4ピン(T4))が立設している。第1ピン(T1)~第4ピン(T4)は、それぞれ、第1孔(510)~第4孔(540)と対応する。
【0064】
熱交換器(1)の構成部材(流路部材(111)、スペーサ部材(112)、隔壁部材(120)、第1プレート部材(200)、及び第2プレート部材(300))は、互いに別体の部材である。
図9(a)において、熱交換器(1)の構成部材は、接合前の状態であり、互いに分離している。なお、流路部材(111)については、隔壁部材(120)に取り付けられることで、隔壁部材(120)に対して位置決めされた状態にある。
【0065】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、複数の孔(500)に対して、それぞれ、対応するピン(T)が挿通される。これにより、熱交換器(1)の構成部材が位置決めされる。
【0066】
図10(a)、
図10(b)及び
図11(a)に示すように、複数の穴(600)の各々にボルト(Z)が挿入され、複数の穴(600)の各々にボルト(Z)が締め付けられる。これにより、熱交換器(1)の構成部材間の位置が固定される。
【0067】
図10(c)に示すように、複数の孔(500)の各々からピン(T)を外すことで、熱交換器(1)の構成部材が支持部材(W)から外される。その後、熱交換器(1)の構成部材を互いに接合する。
【0068】
熱交換器(1)の構成部材は、例えば、ろう付けにより互いに接合される。ろう付けは、熱交換器(1)の構成部材間にろう材を配置し、ろう材を加熱することで溶かし、、熱交換器(1)の構成部材間の接合面の隙間にろう材を行き渡らせて当該構成部材をろう材により接合面同士を接合することである。熱交換器(1)の構成部材は、例えば、銅合金製のろう材によって炉中ろう付けされて接合される。
【0069】
熱交換器(1)の構成部材は、拡散接合により互いに接合されてもよい。拡散接合は、熱交換器(1)の構成部材を加熱しながら、熱交換器(1)の構成部材を第1方向(V1)に沿ってプレスすることで熱交換器(1)の構成部材の接合面間に金属結合を実現させて、熱交換器(1)の構成部材を互いに接合することである。
【0070】
熱交換器(1)の構成部材を互いに接合した後、複数の孔(500)から複数のボルト(Z)をそれぞれ外したものを熱交換器(1)の完成品としてもよく、複数の孔(500)に複数のボルト(Z)がそれぞれ締め付けられた状態のものを熱交換器(1)の完成品としてもよい。
【0071】
(7)効果
以上のように、熱交換器(1)には、熱交換器(1)を第1方向(V1)(積層方向)に沿って貫通する複数の孔(500)が設けられる。これによると、熱交換器(1)の構成部材の組み立て時に、孔(500)にピン(T)を挿通させることで熱交換器(1)の構成部材を容易に位置決めすることができる。その結果、熱交換器(1)を容易に製造することができる。
【0072】
また、熱交換器(1)には、熱交換器(1)を第1方向(V1)(積層方向)に沿って貫通する複数の孔(500,700)が設けられる。これによると、熱交換器(1)が組み付けられた後、孔(700)にボルト(Z)を締め付けることで、熱交換器(1)の構成部材を互いに固定することができるので、熱交換器(1)の構成部材の組み付け状態を容易に保持することができる。その結果、熱交換器(1)を容易に製造することができる。
【0073】
また、熱交換器(1)の構成部材同士を接合する処理(ろう付け、又は拡散接合)は、ボルト(Z)により構成部材同士が固定された状態(締め付けられた状態)が保持されつつ、孔(500)からピン(T)が外された状態の構成部材に対して行えばよい。これにより、接合時にはピン(T)が加熱されないので、ピン(T)が劣化することを抑制できる。その結果、ピン(T)を効果的に使いまわすことができるので、熱交換器(1)の製造コストの増加を抑制できる。
【0074】
また、孔(500,700)の方が凸部及びタブよりも形状が簡素であるため、熱交換器(1)の構成部材に孔(500,700)を設けれる方が、当該構成部材に凸部又はタブを形成するよりも容易である。その結果、当該構成部材の金型の管理工数を低減することができる。
【0075】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう(例えば、下記(A)~(C))。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0076】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【0077】
(A)本実施形態では、ボルト(Z)が締め付けられる穴(600)が有底である。しかし、本発明はこれに限定されない。穴(600)に代えて熱交換器(1)を第1方向(V1)に沿って貫通する孔(700)を設け、当該孔(700)にボルト(Z)を締め付けるように構成してもよい。
図11(b)に示すように、孔(700)は、第1プレート部材(200)、第2プレート部材(300)、隔壁部材(120)、及びスペーサ部材(112)を第1方向(V1)に沿って貫通する。孔(700)の内周面のうち第2プレート部材(300)に位置する部分にはネジ溝(304)が設けられる。ボルト(Z)は、第1プレート部材(200)側から孔(700)に挿入されて第2プレート部材(300)のネジ溝(304)により締め付けられる。
【0078】
(B)熱交換器(1)の構成部材には、熱交換器(1)の構成部材の位置決めを行うために使用する孔(500)が設けられるが、熱交換器(1)の構成部材間の位置を固定するために使用する穴(600)又は孔(700)が設けられていなくてもよい。すなわち、熱交換器(1)の構成部材には、孔(500)、穴(600)、及び孔(700)のうち、孔(500)のみが設けられていてもよい。この場合、熱交換器(1)の製造時において、熱交換器(1)の構成部材間の位置を固定する構成については、上記した穴(600)又は孔(700)にボルト(Z)を締め付ける構成以外のものであってもよい。
【0079】
(C)熱交換器(1)の構成部材には、孔(500)、穴(600)、及び孔(700)のうち、穴(600)のみが設けられていてもよい。また、熱交換器(1)の構成部材には、孔(500)、穴(600)、及び孔(700)のうち、(700)のみが設けられていてもよい。この場合、熱交換器(1)の製造時において、熱交換器(1)の構成部材の位置決めを行う構成については、上記した孔(500)にピン(T)を挿通する構成以外のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上に説明したように、本開示は、熱交換器及び熱交換器の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 熱交換器
110 層部材
111 流路部材
112 スペーサ部材
120 隔壁部材
200 第1プレート部材
300 第2プレート部材
V1 第1方向(積層方向)
V11 第1方向の一方向側
V12 第1方向の他方向側