(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146205
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】眼科撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20241004BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B3/14
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058973
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】小原 奈暉
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真也
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB06
4C316AB07
4C316AB11
4C316AB16
4C316FA06
4C316FB06
4C316FB07
4C316FB09
4C316FB16
4C316FC14
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】 検査効率が向上しやすい眼科撮影装置を提供すること。
【解決手段】 眼科撮影装置は、複数の撮影方法で被検眼の眼科画像を撮影する撮影光学系を有する撮影ユニットと、被検眼に対して前記撮影ユニットを相対的に移動させる駆動手段と、検者による操作入力を受け付けるユーザーインターフェースと、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、撮影方法選択画面を表示すると共に、前記被検眼に対する1つ以上の撮影方法を選択する選択操作を、前記撮影方法選択画面を介して受け付けて、前記選択された撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第1モードと、撮影方法選択画面を表示して前記選択操作を受け付けることなく、予め定められた撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第2モードと、の間で、撮影モードを切り換える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影方法で被検眼の眼科画像を撮影する撮影光学系を有する撮影ユニットと、
被検眼に対して前記撮影ユニットを相対的に移動させる駆動手段と、
検者による操作入力を受け付けるユーザーインターフェースと、
前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、撮影方法選択画面を表示すると共に、前記被検眼に対する1つ以上の撮影方法を選択する選択操作を、前記撮影方法選択画面を介して受け付けて、前記選択された撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第1モードと、
撮影方法選択画面を表示して前記選択操作を受け付けることなく、予め定められた撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第2モードと、
の間で、撮影モードを切り換える、眼科撮影装置。
【請求項2】
前記第2モードは、少なくとも被検眼に対する前記撮影ユニットのオートアライメントの開始から撮影までの一連の撮影シーケンスを、操作入力を受け付けなくても進行させる、請求項1記載の眼科撮影装置。
【請求項3】
前記第1モードと前記第2モードとを切り換えるための操作入力は、前記撮影方法選択画面とは異なる画面を介して入力される、請求項1又は2記載の眼科撮影装置。
【請求項4】
外部ネットワークとの通信手段を更に有し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して、被検眼に対する撮影方法を含む撮影オーダーを受け付けた場合、前記第2モードで撮影を実行する請求項1~3のいずれかに記載の眼科撮影装置。
【請求項5】
前記撮影ユニットは、前記撮影光学系として、前記眼科画像として被検眼のカラー正面画像を撮影する正面撮影光学系と、前記眼科画像として被検眼のOCT画像を撮影するOCT光学系と、を含む、請求項1から4のいずれかに記載の眼科撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)、眼底カメラ、および、SLO等の眼科撮影装置が、眼科分野において広く利用されている。
【0003】
また、眼科撮影装置として、複数の装置を組み合わせた複合装置も存在する。例えば、特許文献1には、OCTと眼底カメラとの複合装置が開示されている。このような装置では、例えば、OCT画像の撮影、OCT画像と眼底正面画像の両方の撮影、眼底正面画像の撮影、のいずれを実施するかについての選択操作を、検査毎に受け付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、医療機関および検査施設(以下、まとめて「施設等」という)の中には、被検者の多くに対して一定の撮影方法を用いて検査が行われている実態がある。
【0006】
しかしながら、従来は、複合装置のような、複数の撮影方法で撮影を行う装置は、撮影方法の選択操作が、検査毎に要求されるものであったので、検査の効率化が阻害されている。
【0007】
本開示は、従来技術の問題点の少なくともいずれかに基づいてなされたものであり、検査効率が向上しやすい眼科撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係る眼科撮影装置は、
複数の撮影方法で被検眼の眼科画像を撮影する撮影光学系を有する撮影ユニットと、被検眼に対して前記撮影ユニットを相対的に移動させる駆動手段と、検者による操作入力を受け付けるユーザーインターフェースと、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、撮影方法選択画面を表示すると共に、前記被検眼に対する1つ以上の撮影方法を選択する選択操作を、前記撮影方法選択画面を介して受け付けて、前記選択された撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第1モードと、撮影方法選択画面を表示して前記選択操作を受け付けることなく、予め定められた撮影方法に基づいて、前記駆動手段および前記撮影ユニットを制御する第2モードと、の間で、撮影モードを切り換える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施例に係る眼科撮影装置の光学系を示した図であり、特に、正面撮影光学系が具体的に示されている。
【
図3】実施例に係る眼科撮影装置の光学系を示した図であり、特に、前眼部観察光学系およびOCT光学系が具体的に示されている。
【
図4】眼科撮影装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】実施例における装置の動作の流れを示したフローチャートである。
【
図6】実施例における撮影パターン選択画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[概要]
本開示に係る眼科撮影装置の実施形態を説明する。各実施形態は、他の実施形態の一部または全部について適用することができる。
【0011】
本開示の各実施形態に係る眼科撮影装置は、撮影ユニットと、駆動部(実施形態における駆動手段)と、ユーザーインターフェースと、制御部(実施形態における制御手段)と、を少なくとも有する。
【0012】
撮影ユニットは、撮影光学系を有する。撮影光学系によって、複数の撮影方法で被検眼の眼科画像が撮影される。複数の撮影方法のうち、少なくとも1つの撮影方法と他の撮影方法とにおいて、画像種別(モダリティ)が互いに異なる眼科画像が撮影されてもよい。また、複数の撮影方法のうち、少なくとも1つの撮影方法と他の撮影方法とにおいて、固視標の呈示位置、および、被検眼における撮影部位のいずれかが、互いに異なっていてもよい。被検眼に対していずれの撮影方法を用いて撮影を行うかについては、検者の操作入力、又は、外部入力(例えば、施設内のシステムからの指令)に基づいて選択されてもよい。
【0013】
駆動部は、被検眼に対して撮影ユニットを相対的に移動させる。ユーザーインターフェースは、検者による操作入力を受け付ける。制御部は、眼科撮影装置における各種の制御を司るプロセッサである。制御部は、駆動部および撮影ユニットを少なくとも制御する。
【0014】
本実施形態において、制御部は、撮影方法選択画面を表示することができる。また、制御部は、第1モードと、第2モードと、の間で、撮影モードを切り換える。第1モードにおいて、制御部は、撮影方法選択画面を表示する。また、制御部は、被検眼に対する1つ以上の撮影方法を選択する選択操作を、撮影方法選択画面を介して受け付ける。更に、制御部は、選択された撮影方法に基づいて、駆動部および撮影ユニットを制御する。よって、第1モードでは、随意に撮影方法を選択できる。また、第2モードにおいて、制御部は、撮影方法選択画面を表示して選択操作を受け付けることなく、予め定められた撮影方法に基づいて、駆動部および撮影ユニットを制御する。よって、第2モードでは、検者による選択操作が不要になるので、検者の負担が軽減される。従って、本実施形態では、被検者が随意に撮影方法を選択することもできる一方で、予め定められた撮影方法で撮影を行う場合については、撮影方法を検査毎に選択する手間を省くことができる。
【0015】
なお、本実施形態では、第1モードと第2モードとのうち、第2モードが、検査毎の初期設定として予め設定されていることにより、撮影モードを選択するための操作入力が、検査毎に必須の操作として要求されずに、撮影可能であってもよい。第1モードと第2モードとのいずれかが一度選択されたら、選択された撮影モードは、以降の検査における初期設定として引き継がれてもよい。つまり、第2モードで撮影を行う場合において、撮影モードを選択するための操作入力を、不要とすることができる。
【0016】
また、第1モードと第2モードとを切り換えたい場合において、撮影モードを切り換えるための操作入力は、撮影方法選択画面とは異なる画面を介して入力されてもよい。
【0017】
本実施形態において、第2モードでは、少なくとも被検眼に対する撮影ユニットのオートアライメントの開始から撮影までの一連の撮影シーケンスを、操作入力を受け付けなくても進行させてもよい。すなわち、オートアライメントから撮影までの間の動作において、エラーが発生しない限り、操作入力を受け付けなくても、オートアライメントから撮影までの動作が自動的に実行される。エラーが発生した場合には、エラーを解消するための、或いは、アライメント、および、撮影光学系の調整をマニュアルで行うための操作入力が要求されてもよい。従って、本実施形態では、第2モードでは、検者からの操作入力を受け付けなくても撮影までの動作が進行するので、検者の負担が大幅に低減される。
【0018】
なお、この場合、一連の撮影シーケンスは、装置に対して所定の位置に被検者の顔が配置されたことが、顔検出部によって検出されることをトリガとして、自動的に(つまり、検者に操作入力を要求しないで)開始されてもよい。なお、顔検出部は、顔画像または前眼部画像を取得する光学系と、それらの画像に基づいて上記検出を行う制御部と、を含んでいてもよい。また、顔検出部は、顔支持部において顔を検出するセンサと、センサからの信号に基づいて上記検出を行う制御部と、を含んでいてもよい。
【0019】
本実施形態において、第1モードの場合、制御部は、少なくともオートアライメントが開始された後に、撮影光学系の調整および眼科画像の撮影の少なくともいずれかの際に操作入力を要求してもよい。制御部は、要求に応じた操作入力に基づいて撮影までの動作を進行させる。これにより、第1モードでは、検者に適切に介入させつつ、撮影シーケンスを進行させることができる。
【0020】
ここで、それぞれの撮影方法における撮影の自動化のレベルを一律化してしまうと、少なくとも一部の撮影方法において、検者負担の低減と撮影の確実性とを両立することが難しくなる。これに対し、本実施形態では、第1モードにおいて予め定められた撮影方法と、第2モードにおいて随意に選択される撮影方法と、の間で撮影の自動化のレベルを異ならせることによって、検者の負担の低減と撮影の確実性とを両立させやすくなる。
【0021】
本実施形態において、第2モードにおいて用いられる撮影方法は、検査の開始以前の段階で、変更可能であってもよい。例えば、登録画面において、第2モードにおいて用いられる1つの撮影方法を登録可能であってもよい。
【0022】
また、本実施形態において、眼科撮影装置は、外部ネットワークとの通信手段を更に有していてもよい。制御部は、通信手段を介して、被検眼に対する撮影方法を含む撮影オーダーを受け付けた場合、第2モードで撮影を実行してもよい。従って、眼科撮影装置を直接操作する検者が、撮影方法を含む撮影オーダーに応じて、撮影方法選択画面を介して改めて撮影方法を選択する必要が無くなる。
【0023】
また、本実施形態において、撮影ユニットは、撮影光学系として正面撮影光学系とOCT光学系とを含んでいてもよい。正面撮影光学系は、眼科画像として被検眼のカラー正面画像を撮影する。OCT光学系は、眼科画像として被検眼のOCT画像を撮影する。この装置では、さまざまに撮影方法を組み合わせて撮影可能であっても、施設等において頻繁に使用される撮影方法は、ごく一部に過ぎない場合がある。そこで、頻繁に使用される撮影方法が、第2モードにおける撮影方法として予め定められていることで、検査の効率を高めることができる。
【0024】
[実施例]
次に、実施形態に係る眼科撮影装置の一実施例について説明する。
【0025】
眼科撮影装置1は、眼底Erの2次元反射画像として、少なくともカラー眼底画像を撮影する。更に、被検眼のOCTデータを撮像する。
【0026】
図1は、眼科撮影装置1の外観図である。眼科撮影装置1は、撮影ユニット3を有する。撮影ユニット3は、
図2で示す光学系を主に備える。眼科撮影装置1は、基台7、駆動部8、顔支持ユニット9、および、顔撮影カメラ110を有する。これらを用いて、被検眼Eと撮影ユニット3との位置関係を調整する。
【0027】
駆動部8は、撮影ユニット3を、駆動部8上で被検眼Eに対してXYZの各方向に移動させる。駆動部8には、各可動方向に撮影ユニット3を移動させるためのアクチュエータを有しており、制御部100からの制御信号に基づいて駆動される。顔支持ユニット9は、被検者の顔を支持する。顔支持ユニット9は基台7に固定されている。
【0028】
顔撮影カメラ110は、被検者の顔を撮影する。制御部100は、撮影された顔画像から被検眼Eの位置を特定し、駆動部8を駆動制御することで、特定した被検眼Eの位置に対して撮影ユニット3を位置合わせする。
【0029】
また、撮影装置1は、モニタ120をさらに有している。モニタ120には、各種の撮影画像、観察画像、等が表示される。
【0030】
<光学系>
図2および
図3を参照して、眼科撮影装置1の光学系を説明する。本実施例において眼科撮影装置1は、正面撮影光学系10、前眼部観察光学系40、OCT光学系200を有する。本実施例では各光学系において対物レンズ22が共用される。本実施例において、正面撮影光学系10は、眼底観察光学系を兼用する。これらの光学系は、撮影ユニット3に設けられている。各々の光学系は、ハーフミラー45およびダイクロイックミラー43によって同軸とされている。
【0031】
<正面撮影光学系>
図2を参照して、正面撮影光学系10について説明する。なお、
図2において、被検眼の瞳と共役な瞳共役位置には光軸上に『△』を、眼底共役位置には光軸上に『×』を付して、それぞれを示す。
【0032】
正面撮影光学系は、照射光学系10aと、受光光学系10bと、を有する。照射光学系10aは、光源ユニット11、レンズ13、スリット状部材15a、レンズ17、ミラー18、穴開きミラー20、対物レンズ22、等を有する。受光光学系10bは、対物レンズ22、穴開きミラー20、レンズ25、スリット状部材15b、撮像素子28、等を有する。なお、レンズ17,25は、視度補正部の一部である。
【0033】
光源ユニット11は、波長帯が異なる複数種類の光源を有している。例えば、光源ユニット11は、可視光源11aおよび11bと、赤外光源11cおよび11dと、を有する。このように、本実施例の光源ユニット11には、波長毎に光源が2つずつ設けられている。同じ波長の2つの光源は、瞳共役面上において、光軸Lから離れて配置される。2つの光源は、
図2における走査方向であるX方向に沿って並べられており、光軸Lに関して軸対称に配置される。
図2に示すように、2つの光源の外周形状は、走査方向に比べて、走査方向と交差する方向が長い矩形形状であってもよい。
【0034】
2つの光源からの光は、レンズ13を通過して、スリット状部材15aに照射される。本実施例において、スリット状部材15aは、Y方向に沿って細長く形成された透光部(開口)をもつ。これにより、眼底共役面において、照明光がスリット状に形成される(眼底Er上でスリット状に照明された領域を、符号Bとして図示する)。
【0035】
スリット状部材15aは、透光部が光軸LをX方向に横切るようにして、図示なき駆動部によって変位される。これにより、本実施例における照明光の走査が実現される。なお、本実施例では、受光系側でも、スリット状部材15bによる走査が行われる。本実施例では、投光側と受光側のスリット状部材は、1つの駆動部(アクチュエータ)によって、連動して駆動される。これにより、スリット状部材15a,15bを含む走査部が形成される。走査部は、例えば、オプティカルチョッパーであってもよい。オプティカルチョッパーを採用した光学系の詳細については、例えば、本出願人による「特開2019-118721号公報」を参照されたい。
【0036】
照射光学系10aでは、各光源の像が、レンズ13から対物レンズ22までの光学系によってリレーされて、瞳共役面上で結像される。つまり、瞳共役面上において、走査方向に関して分離した位置に、2つの光源による瞳像が形成される。このようにして、本実施例では、瞳共役面上における2つの投光領域P1,P2が、2つの光源の像として形成される。
【0037】
また、スリット状部材15aを通過したスリット状の光は、レンズ17から対物レンズ22までの光学系によってリレーされて、眼底Er上に結像する。これにより、眼底Er上で照明光がスリット状に形成される。照明光は、眼底Er上で反射され、瞳孔Epから取り出される。
【0038】
穴開きミラー20は、照射光学系10aと受光光学系10bとの光路を結合する光路結合部である。穴開きミラー20は、光源ユニット11からの照明光を、被検眼E側へ反射し、被検眼Eからの眼底反射光のうち、開口を通過した一部を、撮像素子28側へ通過させる。穴開きミラー20以外の種々のビームスプリッターを用いることができる。例えば、穴開きミラー20に代えて、穴開きミラー20と透光部と反射部が逆転したミラーが光路結合部として用いられてもよい。但し、この場合、ミラーの反射側に受光光学系10bの独立光路が置かれ、ミラーの透過側に照射光学系10aの独立光路が置かれる。また、穴開きミラー、および、その代替手段としてのミラーは、それぞれ、ハーフミラーと遮光部との組み合わせに、さらに置き換えることができる。
【0039】
穴開きミラー20の開口は、被検眼の瞳と共役なので、撮影に利用される眼底反射光は、被検眼の瞳上において穴開きミラー開口の像(瞳像)を通過する一部に制限される。このため、被検眼の瞳上における開口の像が、本実施例における受光領域Rとなる。受光領域Rは、2つの投光領域P1,P2(2つの光源の像)に挟まれて形成される。また、各像の結像倍率、開口の径、2つの光源の配置間隔が適宜設定された結果として、受光領域Rと、2つの投光領域P1,P2とは、瞳上において互いに重ならないように形成される。
【0040】
対物レンズ22および穴開きミラー20の開口を通過した眼底反射光は、レンズ25を介して、眼底共役位置に、眼底Erのスリット状領域を結像する。このとき、結像の位置にスリット状部材15bの透光部が配置されていることで、有害光が除去される。
【0041】
撮像素子28は、眼底共役位置に配置されている。本実施例では、スリット状部材15bと撮像素子28の間にリレー光学系27が設けられており、これにより、スリット状部材15bと撮像素子28との双方が、眼底共役関係となる。その結果、有害光の除去と、結像と、の両方が良好に行われる。これに代えて、撮像素子28とスリット状部材15bとの間のリレー光学系27を省略し、両者を近接配置してもよい。本実施例では、撮像素子28として、2次元的な受光面をもつデバイスが用いられている。例えば、CMOS、二次元CCD、等であってもよい。撮像素子28には、スリット状部材15bの透光部で結像した、眼底Erのスリット状領域の像が投影される。撮像素子28は、赤外光および可視光の両方に感度をもつ。
【0042】
本実施例では、スリット状の照明光が眼底Er上で走査されるに従って、撮像素子28の走査線毎に、眼底Er上の走査位置の像(スリット状の像)が順次投影される。このように、撮像素子28には、時分割で走査範囲の全体像が投影される。その結果、走査範囲の全体像として、眼底の正面画像(2次元反射画像)が撮像される。
【0043】
なお、本実施例では、受光光学系10bにおける走査部がメカニカルにスリットを走査するデバイスであったが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、受光光学系10b側の走査部は、電子的にスリットを走査するデバイスであってもよい。一例として、撮像素子28がCMOSである場合、CMOSのローリングシャッター機能によって、スリットの走査が実現されてもよい。この場合には、撮像面上で露光される領域を、照射光学系10aにおける走査部と同期して変位させることで、有害光を除去しつつ、効率良く撮影することができる。また、液晶シャッター等を、電子的にスリットを走査する走査部として用いることもできる。
【0044】
正面撮影光学系10は、視度補正部を有している。本実施例では、照射光学系10aの独立光路と、受光光学系10bの独立光路と、のそれぞれに視度補正部(視度補正光学系17および25)が設けられている。但し、視度補正部は、照射光学系10aと受光光学系10bとの共通光路に設けられていてもよい。
【0045】
正面撮影光学系10は、さらに、指標投影光学系50を有する。指標投影光学系50は、2つのスプリット指標を、フォーカス指標として眼底Erに投影する。スプリット指標は、フォーカス検出に利用される。眼底画像(例えば、眼底観察画像)に写り込むスプリット指標に基づいて視度補正量が調整されることによって、撮像面と眼底Erとが共役な位置関係となる。
【0046】
<前眼部観察光学系>
図3を参照して、前眼部観察光学系40を説明する。前眼部観察光学系40は、被検眼Eの前眼部を撮像し、前眼部観察画像として取得する。前眼部観察光学系40は、赤外光で前眼部を照明し、前眼部の正面画像を撮影する。前眼部観察光学系は、光源41、ハーフミラー45、撮像素子47、ダイクロイックミラー43、対物レンズ22、等を有する。例えば、光源41は、赤外光源であり、被検眼Eを照明する。例えば、撮像素子47は二次元撮像素子であり、瞳孔Epと光学的に共役な位置に配置される。ダイクロイックミラー43と対物レンズ22は、正面撮影光学系と共用される。なお、前眼部観察光学系40は、他の光学系と独立した光路で前眼部を撮像するように構成されてもよい。
【0047】
<OCT光学系>
図3を参照して、OCT光学系200を説明する。一例として、OCT光学系200はSD-OCT光学系であるものとして、説明を行う。
【0048】
OCT光学系200は、眼底ErのOCTデータを撮像する。OCT光学系200は、OCT光源201、カップラー(光分割器)202、ポラライザ203、測定光学系200a、参照光学系200b、検出器210を備える。
【0049】
SD-OCTにおいて、OCT光源201には、広帯域光源が利用される。OCT光源201からの光は、カップラー202によって、測定光(試料光)と参照光と分割される。測定光は、測定光学系200aを介して眼底Erへ導かれる。参照光は、参照光学系200bに導かれる。
【0050】
本実施例において、測定光学系200aは、コリメータレンズ206、フォーカスレンズ240、走査部207、レンズ208、対物レンズ22、を有する。
【0051】
測定光は、コリメータレンズ206、フォーカスレンズ240を介して、走査部207に導かれる。走査部207は、測定光を眼底Er上で2次元的に測定光を走査させる。走査部207は、被検眼Eの瞳と、略共役な位置に配置される。これにより、被検眼Eの瞳を中心に、測定光は旋回される。本実施例において、走査部207は、例えば、2つのガルバノミラーが用いられる。走査部207を経た測定光は、対物レンズ22を介して、眼底Erに照射される。眼底Erからの測定光は、測定光学系200aを逆に辿ったのち、検出器210へと導かれる。
【0052】
本実施例において、参照光学系200bは、反射型光学系であって、参照ミラー231を主に備える。参照光は、カップラー202と参照ミラー231との間で1往復する。1往復してカップラー202に入射した参照光は、検出器210へと導かれる。
【0053】
本実施例において、参照ミラー231は、駆動部231aによって光軸方向に移動可能である。参照ミラー231の位置に応じて参照光学系200bの光路長が変更される。その結果、測定光と参照光との光路長差が調整される。
【0054】
本実施例では、参照光学系200bが、反射光学系によって形成される場合を示したが、参照光学系200bは、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成されていてもよい。
【0055】
本実施例において、ポラライザ203は、カップラー202と、参照光学系200bとの間に配置される。ポラライザ203によって、参照光における偏光状態が調整される。ポラライザ203は、駆動部203aによって駆動されて、参照光の偏光状態を変更する。なお、ポラライザ203の配置は、
図3の例に限定されるものではなく、測定光の偏光状態を調整する位置に配置されていてもよい。
【0056】
検出器210は、眼底Erからの測定光の戻り光と、参照光とによる干渉光を受光する。SD-OCTにおいて、検出器210には、分光器(スペクトロメータ)が利用される。検出器210からのスペクトル干渉信号に基づいて、眼底ErのOCTデータが生成される。
【0057】
<制御部>
図4に、眼科撮影装置1の制御系を示す。眼科撮影装置1は、制御部100を有する。制御部100は、各部の制御処理と、演算処理とを行う処理装置(プロセッサ)である。制御部100は、CPU、RAM、ROM、等を備える。また、制御部100は、便宜上、眼科撮影装置1にて得られた各種画像の画像処理を行うものとする。換言すれば、制御部100が画像処理部を兼用する。
【0058】
制御部100は、駆動部8、正面撮影光学系10、前眼部観察光学系40、顔撮影カメラ110、OCT光学系200、モニタ120、入力インターフェイス130、記憶部101等の各部と、電気的に接続されている。
【0059】
制御部100は、入力インターフェイス130から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御する。入力インターフェイス130は、検者の操作を受け付ける操作入力部である。例えば、マウス、キーボード、等であってもよい。
【0060】
記憶部101は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる、非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、記憶部101には、各種の制御プログラム、固定データ、等が格納される。また、例えば、記憶部101には、眼科撮影装置1による撮影画像が記憶される。撮影画像は、外部の記憶装置(例えば、制御部100にLANおよびWANで接続された記憶装置)へ記憶されてもよい。
【0061】
<動作説明>
次に、
図5のフローチャートを参照して、本実施例における眼科撮影装置1の動作を説明する。
【0062】
本実施例の眼科撮影装置1では、第1モードと第2モードとの2つの撮影モードが用意されている。
【0063】
第1モードにおいて、制御部100は、は、撮影方法パターン選択画面(
図6参照)が表示され、当該画面を介して、被検眼Eに対する1つ以上の撮影方法を選択する選択操作を受け付ける。制御部100は、駆動部8および撮影ユニット3を制御して、撮影シーケンスを実行する。第2モードは、撮影方法および動作の内容がフレキシブルである。撮影方法選択画面を介して、複数の撮影方法の中からいずれか1つ以上を随意に組み合わせて撮影が行われる。一例として、本実施例では、第1モードが設定された場合に、OCTが撮影可能となる。
【0064】
一方、第2モードでは、撮影方法選択画面は表示されない。つまり、撮影方法選択画面を介して撮影方法を受け付けない。第2モードでは、予め定められた撮影方法に基づいて、駆動部8および撮影ユニット3を制御して、撮影シーケンスを実行する。本実施例において、少なくとも第2モードでは、オートアライメントが開始された後は、操作入力を受け付けなくても撮影までの動作が進行される。
【0065】
一例として、本実施例において、第2モードでは、予め定められた固視位置で両眼のカラー眼底画像が撮影される。
【0066】
事前に、被検者の識別情報(ID、氏名、年齢等)の新規登録または呼出しを行う(S1)。例えば、被検者の識別情報が記述されたバーコードを装置に接続されたバーコードリーダーで読み取ったり、キーボードを介した直接入力したりすることで、識別情報が入力される。すでに識別情報が登録済みの被検者を撮影する場合は、被検者のリストを表示して当該リストの中から該当するいずれかを選択することで、識別情報を呼び出してもよい。
【0067】
次に、制御部100は、顔画像、および、各観察画像の取得を開始する(S2)。
【0068】
次に、モード選択画面を介して、第1モードと第2モードとのいずれかが選択される(S3)。本実施例において、S3のステップで選択された撮影モードは、次の被検者を撮影する際のデフォルト設定として引き継がれてもよい。撮影モードの変更には、モード切替のための操作入力が必要である。
【0069】
まず、第1モードが選択された場合(S3:第1モード)について説明する。第1モードでは、予め用意された複数の撮影方法から少なくとも1つを検者が随意に選択したうえで、撮影が行われる。
【0070】
まず、制御部100は、撮影パターン選択画面が表示される(
図6参照)。撮影パターン選択画面を介した操作入力に基づいて、OCT撮影が少なくとも選択可能である。
図6に示すように、撮影パターン選択画面を介して、「コンボ」「OCT/FC」「OCT」「FC」の4種類の撮影方法を選択可能である。「コンボ」は、異なる複数のスキャンパターンによって、OCT画像を撮影する撮影方法である。「OCT/FC」は、OCT画像とカラー眼底画像とを、撮影する撮影方法であり、「OCT」は、1つのスキャンパターンでOCT画像を撮影する撮影方法であり、「FC」は、眼底正面画像(カラー眼底画像、赤外画像、自発蛍光画像のいずれか)を撮影する撮影方法である。より具体的な撮影方法(OCT撮影におけるスキャンパターン等や、眼底正面画像の種別等)は、更に詳細に選択可能であってもよい。固視位置についても、第1モードでは随意に設定可能であってもよい。追加的に、本実施例では、OCT撮影を組み合わせることなく、正面撮影光学系10を介した眼底正面画像単体の撮影を、撮影パターン選択画面を介して選択可能であってもよい。
【0071】
また、第1モードでは、両眼の撮影だけでなく、片眼のみを撮影することも選択可能であってもよい。
【0072】
第1モードでは、撮影パターンが選択された後、オートアライメントが行われる(S5)。
【0073】
例えば、撮影パターン選択画面を介して撮影パターンが選択された後、被検者の顔が顔支持ユニット9によって支持されていることが検出されると、それをトリガとして、撮影シーケンスが開始される。このとき、例えば、顔支持ユニット9に設けられた図示なきセンサによって、顔が支持されているか否かが検出されてもよいし、顔撮影カメラ110および前眼部観察光学系40のいずれかを介して取得される被検者の顔画像または前眼部画像に基づいて顔が支持されているか否かが検出されてもよい。
【0074】
オートアライメントによって、眼底観察画像が取得可能な位置へと、撮影ユニット3の位置が被検眼Eに対して調整される。顔撮影カメラ110を介して取得される顔画像、および、前眼部観察光学系40を介して取得される前眼部観察画像に基づいて、撮影ユニット3の位置は調整される。調整の間、顔画像および前眼部観察画像は画面上に表示されていてもよい。
【0075】
本実施例では、オートアライメントの結果として、撮影光軸が瞳孔中心と一致するように調整される。また、被検眼Eと撮影ユニット3との間隔が所定の距離となるようにZ方向の位置関係が調整される。例えば、種々のアライメント指標を用いてZ方向の位置関係を調整してもよい。また、瞳孔に前眼部観察画像のフォーカスが合うように、撮影ユニット3が前後方向へ移動されてもよい。
【0076】
オートアライメントの完了後、モニタ上には、少なくとも前眼部観察画像と、眼底観察画像とが表示される。また、OCTを撮影する場合、OCT画像が随時取得され、画面上に表示される。
【0077】
第1モードにおいて、制御部100は、検者による光学系の調整操作を受け付け(S6)、調整操作に応じて光学系が調整される(S7)。調整操作は、OCT光学系200および正面撮影光学系10の自動調整を開始するトリガとなる操作であってもよい。
【0078】
例えば、正面撮影光学系10では、少なくともフォーカス調整が行われる。フォーカス調整の際に、制御部100は、被検眼に対してスプリット指標を投影する。眼底観察画像から検出されるスプリット指標が合致するように視度補正部(視度補正光学系17および25)を駆動する。このようにして、正面撮影光学系10のフォーカス調整が行われる。
【0079】
また、OCT光学系200では、フォーカス、光路長差、偏光状態、等の複数の撮影条件が調整される。例えば、フォーカス調整は、正面撮影光学系10と連動して実行される。また、光路長差、偏光状態、等が随時取得されるOCT画像に基づいて順々に調整される。
【0080】
本実施例では、第1モードにおけるこれらの調整は、検者の操作入力に基づいて実行されてもよい。例えば、自動調整を開始させるための操作入力であってもよいし、マニュアル調整のための操作であってもよい。マニュアル調整では、検者の操作に応じた駆動量で、OCT光学系200および正面撮影光学系10における光学素子が駆動される。
【0081】
ここで、被検眼に対してOCT光学系200を調整する場合、フォーカス、光路長差、偏光状態、等の複数の撮影条件が順々に調整されるので、比較的、調整に要する時間が長い。その間に、被検者の顔や眼が動いてしまったり、開瞼を十分に継続できなかったりすることで、調整が失敗しやすい。そこで、本実施例では、開瞼状態や固視の状態が適切であるか否かを検者に確認させ、更には、調整のタイミングを、検者に委ねている。これにより、必要に応じて検者が被検者の補助を行ったりすることができるので、調整の失敗が生じにくくなる。また、調整の結果は、眼底観察画像およびOCT画像によって把握できる。調整が失敗していた場合、再度の調整、または、手動での調整が、操作入力に基づいて実行可能である。
【0082】
また、第1モードでは、上記の調整の完了後、撮影(キャプチャ)が実行される。撮影された画像は、記憶部101に記憶される。第2モードでは、撮影のトリガについても別途、操作入力(レリーズ操作)が要求される(S8)。選択された撮影パターンに2つ以上の撮影方法(スキャンパターンおよび撮影方法)含まれる場合、1回のレリーズ操作に基づいて、それぞれの撮影方法による撮影が連続的に実行される(S9)。撮影に要する時間も比較的長いので、調整の場合と同様に撮影開始のタイミングを、検者に委ねることで、撮影の失敗が生じにくくなる。
【0083】
撮影結果は、画面上に表示されてもよい。また、撮影結果が表示された状態で、再撮影のための操作が入力可能であってもよい。
【0084】
両眼を撮影することが予め選択されていれば、反対眼へ撮影ユニットを移動させて、再度、オートアライメントから撮影までの動作を繰り返す(S20:Yes,S15~S19)。片眼のみを撮影することが予め選択されていれば(S20:No)、動作を終了する。
【0085】
次に、第2モードが選択された場合(S3:第2モード)について説明する。第2モードにおいて、撮影パターン選択画面が表示されることなく、一連の撮影シーケンスが開始される。まず、アライメントが開始される。第2モードにおいて、制御部100は、顔が支持されていることが検出されると、それをトリガとして、撮影シーケンスを開始する。第1モードにおいて、固視標は一定の位置にて呈示される。例えば、撮影される眼底画像の中心が、黄斑となる位置、または、黄斑と乳頭との中間となる位置、のいずれかであってもよい。
【0086】
顔が支持されていることが検出されると、制御部100は、まず、オートアライメントを実行する(S11)。オートアライメントにおける動作は、第1モードと同様であるため、説明を省略する。
【0087】
オートアライメントの後、制御部100は、被検眼Eに対して正面撮影光学系10を調整する。具体的には、フォーカス調整を実行する(S17)。第2モードにおいて、フォーカス調整は、オートアライメントの完了をトリガとして自動的に実行される。フォーカス調整の際に、制御部100は、被検眼に対してスプリット指標を投影する。眼底観察画像から検出されるスプリット指標が合致するように視度補正部(視度補正光学系17および25)を駆動して、正面撮影光学系10のフォーカス調整が行われる。
【0088】
フォーカス調整の完了後。制御部100は、可視光源11aを点灯させ、カラー眼底画像を撮影(キャプチャ)する(S19)。撮影された画像は、記憶部101に記憶される。
【0089】
片眼に対する撮影が完了したら、反対眼へ撮影ユニットを移動させて、再度、オートアライメントから撮影までの動作を繰り返す(S20:Yes,S11~S19)。その結果、両眼に対して、カラー眼底画像が撮影される。
【0090】
第1モードでは、被検者に対して、動作毎に適宜アナウンスが行われてもよい。例えば、顔支持部に対する顔の固定、開瞼、固視、および、瞬き、の少なくともいずれかに関するアナウンスが行われてもよい。
【0091】
なお、第1モードにおいて、例えば、オートアライメント時に顔画像または前眼部観察画像から被検眼が適切に検出されなかったり、オートフォーカス時にスプリット指標像が適切に検出されなかったりした場合に、制御部100は、エラーの発生を報知してもよい。エラーが発生した場合、検者の操作入力に基づいて撮影シーケンスを進行させることができる。この場合、例えば、制御部100は、再度のオートアライメントまたはオートフォーカスを指示するための操作入力や、マニュアルでアライメントまたはフォーカス調整を行うための操作入力を受け付けると共に、操作入力に基づいて撮影シーケンスを進行させる。
【0092】
以上の通り、本実施例では、第2モードが選択されると、撮影パターン選択画面を介した撮影パターンの選択操作が要求されなくなるので、検査時の検者の負担が低減されやすい。また、第2モードでは、顔支持ユニット5に対して顔が支持されることで検者の操作入力を必要としないで、一連の撮影シーケンスが進行されるので、いわゆるセルフ撮影を実現することもできる。
【0093】
また、本実施例では、第2モードで行われるカラー眼底画像の撮影は、OCT画像の撮影が選択され得る第1モードと比べて、全体的に所要時間が短いため、検者の介入を省いても撮影に失敗しにくい。
【0094】
一方、第1モードでは、撮影パターン選択画面を介して検者が随意に選択した撮影パターンを用いて撮影が行われる。よって、被検眼に応じた撮影パターンについても、適切に選択して撮影できる。
【0095】
また、上記実施例において、第1モードでは、OCT画像の撮影が選択され得るところ、OCT画像の撮影に際しては、調整および撮影に要する時間が比較的長いので、検者に適宜介入させたほうが、検査の効率が向上する場合がある。
【0096】
このように、撮影方法に応じて、撮影シーケンスを異ならせることによって、眼科撮影装置1における検査の効率が向上する。
【0097】
[変容例]
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態で例示された複数の技術のうちの一部のみを実行することも可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 眼科撮影装置
3 撮影ユニット
10 正面撮影光学系
200 OCT光学系
8 XYZ駆動部
100 制御部
130 ユーザーインターフェース